登録日:2010/07/16 Fri 19:48:50
更新日:2025/04/14 Mon 13:18:58
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目次
概要
関空快速用の車両として、1994年に初登場。
1995年からは
新快速用車両が登場し、221系に代わってJR西日本の近郊形電車の標準となり、マイナーチェンジを繰り返しながら近畿エリアと岡山地区に投入された。
総生産数は926両。
しかし、安全性の向上に限界があった事と、下枠交差式パンタグラフを始めとする機器類の調達が困難になった事などから、その後の新車両の増備を後継の
225系に託し、2008年度製造分を以って製造を終了した。
以下に223系の特徴をまとめる。
車体
先代の221系を引き継いだ20m級・片側3扉の標準的な近郊形車両の車体だが、素材は1991年に登場した207系に引き続き軽量ステンレス製とされた。
関空連絡橋の横風対策で車高は221系比で60mm低い3,640mmとされ、後に新快速用として造られた車両等でも高速走行時の安定性を高めるべく、この値を採用している。
先頭形状は221系のイメージを踏襲した半流線型ながら、全体的に角ばった形状とされた。
灯具類は0番台では丸型前照灯と尾灯を1灯ずつ配していたが、1000番台では角型前照灯とフォグランプを2灯ずつ、尾灯を1灯ずつ配するよう変更された。
更に2000番台では、0・1000番台で前面ステップ端に取り付けられていた尾灯を、前照灯・フォグランプの真下に移した。
この配置は以降の223系増備車全てに採用されたほか、北陸地方向けの521系や
姫新線用のキハ122・127系でも採用されている。
窓は221系と同じく連窓とされたが、縦方向の寸法は221系の1mから5cm縮み、95cmとなった。
これはステンレスで1mの大型窓とした場合、車体剛性が確保できず側面からの衝突に弱くなるほか、耐用年数が短くなるなど、JR西日本にとっては死活問題ともいうべき事態になるからである。
配置は0番台では221系と同じとされたが、1000番台では座席配置の変更に伴って窓配置も変更され、車端部以外の戸袋窓が廃止された。
更に2000番台以降は、車端部も含めて戸袋窓が完全に廃止されている。
2000番台以降では、先頭車の先頭部構体と妻面部分がボルト留めとなっており、先頭車から中間車への改造やその逆が容易となるように配慮されている。
なお、中間車を先頭車に改造する場合には、125系のような先頭部構体を取り付けることになっている。あまり見たくないのだが
先頭部構体は普通鋼製で、車体色のシルバーは塗装されている。
これらの構体構造は、以降に登場したJR西日本の通勤・近郊形電車全形式に採用されている。
この他、最終グループである2008年度製造車は車体強度の向上のため、外板材質の変更、各部への補強の追加が行われている。
また、5500番台はワンマン運転時の運転士の見通しを確保するため、妻面に窓が設けられている。
接客設備
座席は基本的に転換クロスシートだが、5500番台は車端部の座席がロングシートとなっている。
扉間の列数は0番台では221系と同じ6列とされたが、1000番台以降では混雑時のスペース確保と閑散時の座席定員両立を図るため、扉間5列として扉脇の座席に補助席を設けている。
ただし、2500番台は元々の用途や0番台が非対応であることから補助席を持たない。
また、横の配列が用途に応じて大きく変化している。
阪和線用車両(0・2500番台)は空港連絡列車としての使用が念頭に置かれたため1列+2列の配置とされ、大型の荷物を持った空港利用者や
大阪環状線内でのスペース増大に対応している。その分、座席定員は少なくなっている。
このうち2500番台は前述したように扉間5列であるにも関わらず補助席を持たないため、座席定員数は223系シリーズ最小となっている。
トイレ付きのクハに至っては、椅子の数がかつて首都圏に存在した6ドア車と同じといえばその少なさがお分かりいただけるだろう?
JR神戸線・
JR京都線・琵琶湖線用1000・2000番台と、瀬戸大橋線用5000番台は着席需要に対応するため、221系と同じ2列+2列の配置とされた。
前述した通り扉間の座席配置は5列と、221系の6列から減少したが、補助席を設けたことで閑散時は221系を上回る座席定員を確保している。
なお、1000番台の補助席は背もたれが付けられたが、2000番台以降ではコストダウンのために省略された。
しかしそのせいで座面を収納している部分とそうでない部分に段差ができ、座る姿勢がおかしくなるため利用者からは不評である。
また、1000番台ではランプによって補助席が使用可能かどうかを知らせていたが、これまたコストダウンのために2000番台以降は「使用できない場合がある」と書かれたプレートが貼り付けられているだけである。
福知山近郊のローカル輸送に徹する5500番台では、扉間の座席配置は縦・横方向ともに1000・2000番台と同等とされたが、前述の通り車端部のみワンマン運転時の運転士の見通しを確保するため、ロングシートとなっている。
また、整理券の発券機が取り付けられている都合上、補助席は中央ドア部の8席のみとなっている。
また、2000番台以降では交通弱者対応として、床面高さを0・1000番台の1,150mmから1,130mmと低床化し、ホームとの段差縮小に努めている。
2000番台の一部車両は落成当初、側窓を熱線吸収ガラスとしてカーテンを廃止したが、乗客から苦情が来たためすぐにカーテンの取り付けが行われた。
もっとも、カーテンの取付部分を塞いでいただけだったので、状況に応じて取り付けできるようにしていただけなのだが。
走行機器
システムはその後のJR西日本のインバータ車の標準となるMT比1:2とされた。
ただし機器類を電動車に集約しているため、2両でユニットを組む事も可能で、5000・5500番代はこれを生かして2両編成となっている。
また1000・2000番台の8両編成にも2両ユニットが存在する。
制御装置は0番台がGTO-VVVFインバータ、1000番台以降がIGBT-VVVFインバータとなっているが、いずれも1個のインバータで1個の
モーターを駆動させる、所謂1C1M方式となっている。
モーターには小型・軽量で大出力を誇る三相誘導電動機を採用。出力は1000・2000・2500・5000番台が220kW、0・5500番台が230kWとなっている。
0番台は2008年頃に換装されており、それまでの出力は180kWだった。
パンタグラフは下枠交差式で、JR西日本の新製車両としては最後の下枠交差式パンタグラフ採用車となった。
基本的に電動車に1基搭載しているが、2000・5500番台の一部が前者は
JR東西線乗り入れのため、後者は架線の霜取り用として2基搭載している。
全車が221系と併結可能である。この点を生かし、2000番台の一部と5500番台が221系性能に固定されている。
これらの車両は前面貫通扉と乗務員室扉にオレンジ色のテープが2本貼られているほか、2000番台の221系性能固定車は番台が6000に変更されている。
また、運転台の至る所に221系性能であることを示すステッカーと、速度計の120km/hの位置にリミットを示す三角形のステッカーが貼られている。そこまでする必要あるのか
各番台解説
1994年に、空港連絡列車である関空快速用として68両が製造された。
2・6両編成、3・5両編成時代を経て、現在は4両編成に統一されている。223系では唯一丸型の前照灯が採用されている。
吹田総合車両所 日根野支所に所属する。
元々は1996年度に投入を開始する予定だった。
しかし1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災により、阪神間の鉄道路線が壊滅の憂き目に遭ってしまった。
そのため、最初に復旧したJR神戸線に阪神間の鉄道路線の利用者が集中した事で輸送力増強が必要となり、急遽前倒しで登場した。
130km/h運転対応で登場し、1999年5月10日のダイヤ改正から2000番台と共に新快速で130km/h運転を、2003年からは快速でも130km/h運転を開始した。
8両編成9本と4両編成5本の92両が存在し、網干総合車両所に所属。
新快速の223系統一や快速からの113系追い出しなど、様々な理由で一番多く製造された車両。
2000番台は1000番台同様に最高速度130km/hに対応。6000番台は221系に性能を合わせているので最高速度は120km/h。
8両編成30本、6両編成14本、4両編成82本の計648両が存在し、このうち4両編成26本前後が6000番台化されている。
網干総合車両所の本所に2000番台が、宮原支所に6000番台が所属する。特に、宮原支所の車両は全て6000番台である。
編成組み替えの際に先頭車が足りなかった0番台の補充用や予備車確保、阪和線~
大阪環状線の直通列車増発用に製造された。
2000番台をベースに、0番台に合わせた接客設備・機器類・外観の変更を行っている。
72両が製造され、一部の電動車は0番台に組み込まれたり、逆に0番台の付随車を組み込んだりしている。
上の画像がまさに0番台の付随車(サハ)を組み込んでいる編成で、前から3両目の側面の帯が太い車両が0番台である。
吹田総合車両所 日根野支所に所属。
塩害によって老朽化した快速マリンライナーの213系置き換え用として登場した。
1000・2000番台同様、最高速度130km/hで運転される。
一時期2000番台のサハを組み込み3両編成となっていたが、乗客の減少により2両編成に戻った。
2両編成7本の計14両が存在し、岡山電車区に所属。
福知山線・
山陰本線の輸送改善のために製造された。
実は御布施による製造ではなく、自社都合による製造である。
521系の後に出た為「521系の直流版」などと言われたりするが、実際には上記の5000番台をワンマン運転対応に変更した車両である。
構体は、521系にも使われた321系ベースのものではなく、223系用のものである。
台車も、521系では223系2500番台と同様の120km/h運転対応のものなのに対し、5500番台は5000番台と同様に130km/h運転対応の台車を装備している。
登場時は130km/h運転に対応した性能にされていたが、
◇運用区間の都合上130km/h運転を必要としない
◇
嵯峨野線で221系と併結する運用が存在する
といった理由から221系性能に固定されている。
2両編成16本の計32両が存在し、福知山電車区に所属。
ちなみみに台車検査・重要部検査・全般検査は吹田総合車両所が担当しており、現状唯一の130km/h運転対応の装備を持った223系でありながら、網干総合車両所が整備に関わっていない223系である。
四国版223系。5000番台と同じく、快速マリンライナー用の213系を置き換えるために製造された。
高松寄りの先頭車はJR東日本のE217系グリーン車をベースとしているが、それ以外は5000番台と同一である。せいぜいJRマークの色とスカートの厚さが違うくらい。
3両編成6本の計18両が存在する。
JR四国との分割保有になったのは、213系時代ではJR四国が一方的に車両使用料を支払うことになっていて、これを解消するためである。
1998年に川崎重工業が2000番台導入に先立ち製造した試作車で、1両のみ製造された。
しばらくは工場内に留置されていたが、2004年9月にJR西日本が購入して吹田工場で改造され、在来線用技術試験車「U@tech」となった。
その後、マリンライナー置き換えで余剰となった213系2両と共に3両編成を組み、様々な試験に使用された。
なお、213系との編成になっているが最高速度は130㎞/hとなっており、加減速の性能も223系2000番台と同等である。
2005年に鉄道総研向けに近畿車輛で製造された。
2000番代と同様の構体を持ち、足回りはJR東日本のE231系同等品となっている。
塗装は窓周りが223系標準の茶、窓下が紫の帯となっている。
クモヤR290-1とクヤR291-1の2両が存在する。クヤR291-1は燃料電池試験車となっており、単独走行も可能である。制御車ってなんだったっけ……。
ちなみに車籍がないので、鉄道総研内部の試験走行線の自走は出来るがそこから中央本線に出て本線走行したりというのは不可能。
余談
兄弟車に2000番台の構体とシステムを流用したローカル線向け単行車125系がいる。
ちなみに5000・5500番台と外観のそっくりな521系はどちらかと言うと、321系に683系の機器を載せて3ドア近郊形電車化したと呼んだほうがいい。
追記・修正は223系の全番台に乗ってからお願いします。
- そういや2500番台2本が京都移籍らしいけど、使いにくくないのだろうか -- 名無しさん (2022-05-07 23:39:14)
- 225系と同じく、項目名を「JR西日本223系電車」に変えることを提案いたします。提案から1週間経って反対意見が出なければ実行します。 -- 名無しさん (2025-04-07 11:26:59)
- 項目名を「223系近郊形直流電車」から「JR西日本223系電車」に変更いたしました。 -- 名無しさん (2025-04-14 12:19:57)
最終更新:2025年04月14日 13:18