バック・トゥ・ザ・フューチャー

登録日:2012/07/31 Tue 11:05:59
更新日:2025/06/23 Mon 12:54:09
所要時間:約 10 分で読めます




1985年10月25日金曜日




バック・トゥ・ザ・フューチャーは1985年に公開されたアメリカ映画。
監督はロバート・ゼメキス。製作総指揮はスティーブン・スピルバーグが担当している。

概要

タイムマシンによる時間旅行という古典的な題材を扱いながらも「自動車を改造したタイムマシン」や「タイムトラベルの科学的な設定」、
さらに「変わり者の科学者と普通の高校生が時間旅行をする」という斬新なアイデアはその後のタイムトラベルを題材にしたSF作品に大きな影響を与えた。

まだCGなどは一切使われていない30年以上前の作品だが、続編2作も含めた3作で見事一つになる作品にして、今見ても色あせないSFアドベンチャー映画の金字塔である。

2020年よりイギリス・マンチェスターでミュージカル版が上演。
コロナ禍も乗り越えて翌年にはロンドン最大の演劇都市・ウェストエンドで、さらにその2年後には「ミュージカルの聖地」であるNY・ブロードウェイで開幕し、高い話題を呼んだ。
そして公開から40周年目となる2025年4月6日に四季劇場[秋]にて、劇団四季による日本での公演が開幕した。


[あらすじ]

1985年のカリフォルニア州ヒルバレーに住むごく普通の高校生マーティ・マクフライは、
親友のエメット・ブラウン博士(ドク)と共に、「2本松モール」の駐車場にて、彼が発明したタイムマシン「デロリアン」の実験に立ち会う事になる。

しかし、ドクはデロリアン(次元転移装置)の燃料であるプルトニウムを入手するために関わり、恨みを買ったリビアの過激派に銃殺されてしまい、
ドクと一緒にいたために命を狙われたマーティは、咄嗟にデロリアンに乗って過激派の乗る車から逃走。
なんとか逃げ切ることが出来たが、その時起こった次元転移装置の誤作動により、マーティはデロリアンと共に30年前の1955年にタイムスリップしてしまう。

事態を把握したマーティはなんとか1985年に戻ろうとするが、次元転移装置の燃料であるプルトニウムは直前のタイムスリップで全て消費されており、
今のままでは1985年に戻ることができないという最悪の事態に直面する。
困り果てたマーティが頼ったのは、1955年の頃のドクだった。
彼になんとか、自分が未来から来た人間で、デロリアンが未来のドク自身が造り上げたタイムマシンだと信じてもらえたマーティは、
彼と協力してデロリアンを改造し、数日後にヒルバレーの時計台に落ちる予定のの力で未来に戻る計画を立てる。

しかし、マーティにはデロリアンの改造以外にもう一つ問題が発生した。
偶然、この時代に起こった父親・ジョージと母親・ロレインの出会いに関わってしまったことで、
ジョージと結婚どころか知り合ってすらいなかった頃のロレインが、なんと未来の自分の息子であるマーティに恋してしまったのだ!

このままでは父と母が結婚することもなくなり、ひいては二人が結ばれた結果生まれたマーティも存在自体が消滅してしまう。
そのことをドクから聞かされたマーティは、自分が存在し続けるためにも、二人の恋路の応援を余儀なくされる。

果たしてマーティは、自分に夢中なロレインの目をジョージに向けさせることは出来るのか?
そして、自分が本来いるべき1985年に戻る事が出来るのであろうか!?


●登場人物●


●[1985年の登場人物]●

マーティ・マクフライ
演:マイケル・J・フォックス
主人公。
ペプシコーラとロック・ミュージックが大好きな、ロックンローラーに憧れるハイスクールの青年。兄と姉が一人ずついる。
ストリックランド曰く「落ちこぼれ」だが、実際にはイケメンかつ(音が大き過ぎるらしいが)ギターが弾けて、
ジェニファーという美人で優しい彼女がいて、卓越したスケボーの才能の持ち主で、機転も利いて……と中々にハイスペックなリア充。
おまけに家族や友人想いな心優しい性格であり、本作の彼はわりと完璧超人気味。そんな彼の唯一の欠点は、次回作以降に明かされる。
負け犬揃いのマクフライ家がなぜこんな逸材を輩出できたのか……本作最大のミステリーである。ドクが養子を疑うのもむべなるかな。

オーディションに応募しても歯牙にもかけられない、デートに使う予定の車をビフに潰される……と、映画の冒頭ではそのスペックに似合わない不遇に甘んじていた。
だがひょんなトラブルから人類初のタイムトラベラーになったことが、彼の運命をも大きく変えてゆく。

●エメット・ブラウン博士(ドク)
演:クリストファー・ロイド
もう一人の主人公。
街で「ブラウン科学サービス」を営んでいる発明家。人間味のある科学者で、マーティの親友。化学繊維アレルギーがある。
座右の銘の「成せばなる」は、マーティとジェニファーの二人にも受け継がれている。
かつてはブラウン屋敷と呼ばれる豪邸に住んでいたが、発明のために家財を売り払った現在では、倉庫同然の住居兼職場に住まう変わり者扱いに甘んじている。
ストリックランドなどは「危険人物」扱いする始末で、マーティに面と向かって彼と関わるなと注意している。
だが発明家としての情熱は若い頃からまったく衰えておらず、苦節30年の末についに起死回生の大発明=タイムマシンの開発を成し遂げた。
そして遂にマーティを助手に「2本松モール」で人類初のタイムトラベルを行おうとする。
しかし、タイムマシン=デロリアンの燃料であるプルトニウムを貰うべく、リビアの過激派テロリストと関わったことが災いし、
プルトニウムを提供する代わりにドクに作らせた核爆弾がインチキだと知って激怒したテロリストが、自身の居場所を突き止めて襲撃に現れる。
無関係のマーティを助けるためにも、小さな銃(弾切れ)で応戦し、テロリストを引き付けるドクだったが、当然敵わず、命を落としてしまう…。

●アインシュタイン
ドクの愛犬にして世界初のタイムトラベラー。
飼い主に似て頭が良く、テロリストの襲撃の際にはいち早くドクへ警告を発していた。

ビフ・タネン
演:トーマス・F・ウィルソン
ジョージのハイスクールからの知り合いで会社での上司。
人の車を勝手に乗り回して事故を起こすわ(しかも飲酒運転)、その弁償はしないわ、報告書は押し付けるわ、勝手に人の家の冷蔵庫は漁るわと実に最低な男。
口癖は拳で相手の頭を叩きながら「もしもし、誰もいないんですか~?」

●ジョージ・マクフライ
演:クリスピン・グローヴァー
マーティの父親。眼鏡をかけたうだつの上がらない中年のサラリーマン。
ハイスクール時代からの知り合いで、今の会社の上司でもあるビフに良いように使われている。
一応、彼を小馬鹿にしているビフでさえ「それなりにいいお家」と認めるほどの持ち家を有し、かつ曲がりなりにも妻と子供三人を養っているので、
現在の感覚で見ればダメ人間・親父どころか、十分に成功者と言える*1のだが、
そうした社会的な実績を帳消しにしてなお、あまりあるダメオーラを纏っているのがジョージという男なのである。

ちなみに、演じた中の人(クリスピン・グローヴァー)はマイケル・J・フォックス(と、ついでにリー・トンプソン)より3歳も年下であった。

●ロレイン・ベインズ・マクフライ
演:リー・トンプソン
マーティの母親。
酒飲みで中年太りでかなりの堅物であり、マーティとジェニファーの関係を「不純異性交遊」として嫌がっている。
事あるごとに「母さんの若い頃は……」と自身の経験を引き合いに出し、子供たちにうんざりされている彼女だが、実際は……?
ジョージとの関係は冷めきっており、気苦労のためか年齢以上に老けている。
ジョーイという収監中の弟がいる。

●ジェニファー・パーカー
演:クローディア・ウェルズ
マーティの彼女。なかなかの美人さんで性格も良い。
週末にマーティと湖にハイキングに行く約束をしている。

●ジェラルド・ストリックランド
演:ジェームズ・トールカン
マーティたちのハイスクールの教頭で、通称「ハゲタカ」。
あだ名の通りハゲている。
卒業生のジョージや、バンドのオーディションを受けようとしているマーティを馬鹿にしたり、
「マクフライ家の人間は代々落ちこぼれ」と罵ったりと、現代の価値観で見るとかなりのクズ教師である。

他にも、未公開シーンおよび小説版ではマーティの電話を盗聴する、彼に大事なオーディションがあることを知りながら罰則を課す等、
ビフとは別ベクトルに悪辣な性格であることが強調されている。

●ディヴィッド
演:マーク・マクルーア
●リンダ
演:ウェンディ・ジョー・スパーバー
それぞれ、マーティの兄と姉。
ディヴィッドは遅刻常習犯のハンバーガーショップ店員、姉のリンダはだらしない体形にケバい化粧と、両親に負けず劣らず冴えない子供たちである。

●ゴールディ・ウィルソン
演:ドナルド・フュリラブ
黒人のヒル・バレー市長。この時点ではマーティたちと直接の絡みはない。
町の時計台の撤去を推進しており、市民団体から反発を受けている。この市民団体が配っていたビラが、中盤に思いがけないヒントをマーティ等にもたらす。



1985年10月26日午前1時35分


1955年11月5日午前6時15分

■[1955年の登場人物] ■

■エメット・ブラウン博士(ドク)
親の遺産で日がな一日趣味の発明品作りを行っている、今風に言うならニート。良く言えば高等遊民か。
この時点ではまだ屋敷を処分しておらず、巡回中の警官からも敬意をもって話しかけられており、まだ地元の名士として扱われていた模様。
保有していた車は1948年式パッカード・カスタムエイト・ヴィクトリア。れっきとした最高級車である。

トイレにて頭をぶつけた拍子に次元転移装置のアイデアを思いついており、そのアイデアをメモとして書き留めた直後にマーティが到来。
当初、未来から来たと主張する彼を信じていなかったが、自分しか知り得ないはずの頭の怪我の経緯を言い当てられ、
かつ自分が未来にて発明するタイムマシンを見せられた事で納得。以降彼の未来への帰還に協力する。

■ビフ・タネン
ジョージのハイスクールの同級生。
弱い者いじめをするクソガキで3人の子分がいる。おつむが弱い。ロレインに好意を寄せており、積極的にセクハラをする。
シリーズ通してのヴィラン(3を除く)で、マーティやドクを苦しめる。
マーティのせいで先祖代々非常に奇妙な縁が出来てしまう。

■ジョージ・マクフライ
マーティの父親となる(予定)の青年。
冴えない性格でのぞき見趣味持ちのナードだが、温厚で優しい心の持ち主。ビフに度々いじめられている。
SF小説を書くのが趣味だが、それを表に出す勇気がなく、誰にも見せられないでいる。
ロレインに対し密かに好意を寄せていたが、彼女はマーティに夢中で、本人も半ば諦めムードになっている。
物語後半での彼のとあるシーンはシリーズ屈指の名シーンとの呼び声も高い。

ドクの座右の銘「成せばなる」は、この時代にマーティから彼へと伝えられた。

■ロレイン・ベインズ・マクフライ
マーティの母親となる(予定)の女性。スレンダーな体型の学園のマドンナで、ジョージとビフから好意を寄せられている。二人の弟と一人の妹がいる。
未来では息子たちに「母さんの若い頃と比べてアンタたちは…」と生活態度を注意し、説教している彼女だが、
実際の学生時代では性格自体は悪くないが、カンニングはするわ、タバコは吸うわ、酒は飲むわと、中々の不良生徒だった。
また、未来ではマーティの彼女であるジェニファーについて「積極的な女の子はちょっと…」と古風な観点から批判的に見ているが、
未来の息子だと知らず恋したマーティに対しては、引き気味のマーティに対してぐいぐい行くばかりか、
車内でマーティを押し倒し、キスをするなど、異性関係についてもかなり積極的であり、マーティを二重の意味で困惑させた。

■スキンヘッド
演:J・J・コーエン
■3-D
演:ケイシー・シーマツコ
■マッチ
演:ビリー・ゼイン
いずれもビフの手下的な不良少年たち。親分同様に揃いも揃って素行が悪く、そしておつむも弱い。名前はそれぞれ見た目から取られている。
マッチを演じたビリー・ゼインは、後に『タイタニック』で敵役キャルを演じた。

■ジェラルド・ストリックランド
ジョージとロレインの学校の教頭。30年前からすでにハゲている。

■オーティス・ピーポディ
ピーポディ農場の農場主にして本作最大の被害者。家族は妻のエルシーと長女マーサ、そして長男のシャーマン。
1955年にタイムスリップしたデロリアンによって納屋を破壊された挙句、デロリアンを宇宙船、防護服姿のマーティを宇宙人と誤認し家族もろともパニックに陥る。
おまけにその後、大事に育てていた二本の松の木のうちの一本を轢き倒されるという憂き目にあう。
もっともこの顛末は、問答無用でマーティに銃をぶっ放した彼にも落ち度があったのだが。
小説版ではその後、宇宙人に納屋を壊されたと主張した末に、精神病院に入れられてしまったことが明かされている。

ピーポディ農場は後に売却され、ショッピングモールとなったのだが……?

■ゴールディ・ウィルソン
演:ドナルド・フュリラブ
野心あふれるカフェのアルバイト店員。
ビフにいびられっぱなしの気弱なジョージを説教し、
「今に見てろ、俺だってこんな店でいつまでも燻っちゃいないぜ! 夜学に通って、ひとかどの人物になってみせる!」
と気炎を吐いた。
その際にマーティから言われた「将来は市長になる」という言葉にすっかりその気になり、実際に未来ではその座に就いている。

■マーヴィン・ベリー
演:ハリー・ウォーターズ・Jr
黒人のギタリストで「魅惑の深海パーティ」で演奏したバンドのリーダー的存在。
パーティの終盤、手を怪我した自身に代わりマーティをギタリストとして登板させる。チャックという名のいとこがいるそうだが、その正体は……?(後述)

ダース・ヴェイダー
バルカン惑星からやってきた宇宙人。
ジョージの枕元に現れ「ばぁんへいれん」なる殺人音波でジョージを拷問にかける。
週末の土曜に行われる学園パーティーでロレインを誘わなければ脳みそを溶かすとジョージを脅すが、その真意は……。




1955年11月12日午後10時04分


1985年10月26日午前1時24分

ドク「マーティ、ここに来るまでに誰かと会ってはおらんだろうな?」

マーティ「いや、実は僕の両親と会っちゃって」

ドク「こりゃいかん、項目を見てみろ!」

マーティ「変わってる、追記・修正されたみたいに……」

ドク「歴史が変わったんだ……」


○[新1985年の登場人物]○

○エメット・ブラウン博士
街で「ブラウン科学サービス」を営んでいる変わり者だが、人間味のある科学者で、マーティの親友。
タイムマシン「デロリアン」を完成させ、マーティを助手に「1本松モール」で世界初のタイムトラベルを行おうとしたところ、
デロリアンの燃料であるプルトニウムを盗んだリビアの過激派の報復に遭い死亡……と思われたがマーティからの情報によって防弾チョッキを着用しており難を逃れる。
その後、予定通り30年後の未来へと出発したが……?

○ビフ・タネン
ジョージのハイスクールからの知り合いで「ビフ自動車部品会社」を経営している。
ハイスクール時代からの知り合いで上客であるジョージや彼の家族には頭が上がらない。
表向きはすっかり丸くなってしまっているが、実際には……?

○ジョージ・マクフライ
マーティの優しい父親。
夢を実現させ、著名なSF作家として大成したイカした中年作家。
ハイスクール時代からの知り合いであるビフには、車を綺麗にしてもらっている。

1955年にマーティから与えられた「成せばなる」の格言は、巡り巡って彼の口から息子に授けられた。

○ロレイン・ベインズ・マクフライ
マーティの優しい母親。
かなり開放的な性格であり、ジェニファーを「とてもいい娘」として好感を持って関係を見守っている。
ジョージとの関係は今も良好を通り越してアツアツであり、体型も昔のスリムな体型を維持しており、そのためか年齢以上に若々しく見える。

○ディヴィッド
○リンダ
マーティの兄と姉。
兄はスーツを着こなす立派な勤め人、姉はアパレルショップで働きBFがたくさんいる素敵な美女。
物語の展開上、両親は長男にこそ「マーティ」の名を与えそうな気がするが……まぁいいか。


[日本語吹き替え版]

本作は日本語吹替版も人気であるが、このPART1はなんと5パターンもある。
PART3が一部キャスト変更版こそあるが、ほぼ完全に違う配役で5パターン作られているのは本作だけ。
そのため世代や見た媒体によってどれがいいかと言う好みが非常によく分かれる。

  • ソフト版:山寺宏一(マーティ)&青野武(ドク)
    • ソフト収録の際に必ず付いてくる吹替版。元々は1980年代末期に機内上映用に制作されたもの*2で、その後1990年8月1日発売のVHSに初収録。
      若き日の山寺の初々しさ満点のマーティと、ドクを演じるロイドの吹き替えとして有名な青野武のコンビとなっている。
    • 今は無きBTTFライドの声もこの布陣であり、事実上の公式版といえる。テレ朝版が一時期視聴困難だったこともあり、こちらも人気や知名度は高い方。
    • 一方で、本来は最も有名なはずなのだが、ソフト限定でテレビ放送される機会が少ないこともあり「知名度はあるが聞いたことはない」という人も多い。そのため山寺はこの扱いに疑問を抱いている。
    • 2020年6月12日放送の「金曜ロードSHOW!」ではこのバージョンが使われ、実に30年ぶりに日の目を浴びた。
  • テレビ朝日・日曜洋画劇場版:三ツ矢雄二(マーティ)&穂積隆信(ドク)
    • 初回放送は1989年2月5日とソフト版より一年前。数回テレビで放送されたこともあり、最も有名かつ人気のあるキャスティング。
    • 少しなよっとしながらもやる時はやるマーティを表現した三ツ矢と、とぼけた発明家であるドクをコメディ感満点で演じた穂積の絶妙なコンビが特徴的。
      梶裕貴もこの吹き替えのファンだそうだが、何故かドク役を青野武と勘違いしている。
    • 一時期は幻となりかけていたが、ファンの後押しもあってソフトでの収録機会が増加。しかも収録前より売上が上がったらしい。後に製作されたCR版でもこのキャストが用いられ再収録された。
  • フジテレビ・ゴールデン洋画劇場版:織田裕二(マーティ)&三宅裕司(ドク)
    • 真の幻の吹き替え。初回放送は1990年4月7日。タレント吹き替え流行期に製作されたもので、主役の吹き替えが俳優となっている異色のバージョン。ただし評価は低く、PART1のみしか製作されていない。
    • フジテレビにおけるキャッチコピーは「Wユウジ」であり、そのふざけたキャスティング理由もあって批判が多いが、意外と最後まで見ると翻訳の妙もあって味わい深い。
    • 下記のBSジャパン版すらソフト収録されたのにもかかわらず、こちらは現在視聴可能な公式媒体が一つとして存在しない。どうでもいいがテレ朝の三ツ矢雄二を含めればトリプルユウジである。
  • BSジャパン版:宮川一朗太(マーティ)&山寺宏一(ドク)
    • 2014年に製作され、その後宮川の自己申告により4年後の18年に一部撮り直しが敢行。2020年には初めてソフトにも収録され、その後の特別番組でもドクの声を山寺が担当した。
    • マーティ演じるマイケルの声を長年担当してきた宮川が唯一未参加だったのがBTTFで、「これをやらずには死ぬに死ねない」と長年切望してきた。
      担当するのが遅すぎてやや渋めの声と言われることもあるが概ね好評。
    • 山寺は先の通りソフト版のマーティであるが、逝去する直前の中村秀利を当てるという計画もあった様子。その後急逝したこともあって担当は悔やんだ部分もあったとか。
  • 日本テレビ版:宮野真守(マーティ)&山寺宏一(ドク)
    • 現在最新となるバージョン。2025年に製作され、「金曜ロードショー」にて初お目見えとなった。なお、山寺がドクを担当するのは2度目、そしてこの作品への参加自体も3回目である。
    • ちなみに放送から2ヶ月後に開幕した劇団四季版でマーティ役オリジナルキャストの1人・笠松哲朗はミュージカル版「バケモノの子」にて、映画では宮野が声を担当した一郎彦を演じており、
      またドク役の1人・阿久津陽一郎は「アラジン」で山寺が吹替声優だったジーニー役を務めた経験があるため、二通りの中の人ネタが成立することとなる。



デロリアンについて


ドクが発明した人類最初のタイムマシン。
実在の自動車である「DMC-12(デロリアン)」をベースに開発された。
若き日のドクが洗面台から落ちて頭を打った時に閃いた「次元転移装置」を搭載しており、
この装置によって1.21ジゴワットの電力と時速140キロ以上に加速することで時間旅行が可能になった。
1.21JWという膨大なエネルギーをまかなうために燃料としてプルトニウムを使用している核自動車でもある。
エンジンはデロリアン純正のものをそのまま使用しているため、ただ単に車として使うぶんにはガソリンさえ入れれば動く。
元々はドクが自家用車として愛用していたものを改造したもので、「ステンレス製のボディがタイムマシンとして使うには好都合」、
「どうせタイムマシン作るならカッコいい方がいいだろ?」という理由で選ばれた本車だが、実際には近未来的な見た目に反して肝心な場面でエンストを繰り返す困りもの。

実車のDMC-12は映画公開当時、メーカーの倒産に伴い製造中止となっていたカルトカーの扱いだったが、
本作での起用で大人気となり別会社による再生産が実施され、2022年には電気自動車となった新型モデルまで発表された。

劇用車は外装に様々な機械が取り付けられたゴテゴテした見た目のためノーマルとは印象が異なるほか、フロントの車高をかなり下げてある。

撮影に際してパート1段階では、
  • 内外装を完璧に作り込んだ車
  • 内装のクオリティは二の次にした走行シーン用の車
  • 車内の撮影用にボディをカットした走行不可の車
合計3台のデロリアンが制作された。
撮影時にはとにかくデロリアンの故障が頻発し、顕著なものだと「開けっぱなしにしたいガルウィングドアが勝手に下がってきてしまう」「エンジンの不調で出したい速度が出ない」というものがあった。

続編で使用した劇用車にはVWビートルの空冷エンジンを豪快に換装しているところを見るに、走行シーンでの不調で迷惑したスタッフの「業を煮やした」感が伝わってくる。
主演のマイケル・J・フォックスをして撮影当時を回想した際に「あの車が大嫌いだった」と言い放ったあたり、
撮影する側からすればドクの「どうせ作るならカッコいいほうがいい」というセリフは共感できたもんじゃなかっただろう。


余談


製作当初タイムマシンは冷蔵庫にする予定だったが、「映画を見た子供達が真似をして入ったら事故につながる」という理由で乗用車に変更された。
ちなみに本作のオマージュ要素が強い日本映画「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」ではこれを意識したのか、日立製作所*3のドラム式洗濯機がタイムマシンとして使われている。


タイムスリップに必要な電力を示す「ジゴワット(jigowatt)」という言葉だが、これは脚本家のミスから生まれた造語。
正しくは「ギガワット(gigawatt)」だが、日本語吹き替え版でもそのままジゴワットとして訳されている。


冒頭のオーディションのシーンでマーティ等が演奏したのはヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの『パワー・オブ・ラヴ』だが、審査員役を務めたのはヒューイ・ルイスその人である。


マーティに助けを求められた車の老夫婦が慌てふためいて逃げ出すシーンは、製作総指揮を務めたS.スピルバーグの出世作『激突!』のオマージュ。
後にスピルバーグも、自身が監督を務めた『ジュラシック・パーク』にて、今作の冒頭のシーン*4にオマージュを捧げている。


下記のシーンについて

ドク「では訊くがね未来少年君、1985年の大統領は誰だい?」

マーティ「ロナルド・レーガンだよ」

ドク「レーガンだって? ハッ! じゃあ副大統領はジェリー・ルイスか? 大統領夫人はジェーン・ワイマンかね? 財務長官はジャック・ベニーだろうな!」

このシーンで名前が挙げられた人物は、いずれも実在するアメリカの俳優。
つまりドクは「B級映画の俳優が国の最高権力者になるなんて、低レベルなジョークとしか思えない」という、ごく常識的な判断をもとに皮肉を言っているわけである。
現代の日本で喩えるなら、「30年後の内閣総理大臣は大泉洋だよ」と告げられたようなものだろうか。
しかし実際のレーガンは、1981年から1989年まで第40代大統領として任期を務めた。まさに事実は小説よりも奇なりといったところだろうか。
なお、レーガン本人はこのシーンが大のお気に入りで、本作を絡めた一般教書演説を実施したほど。


ダンスパーティの終盤、マーティがアンコールに応えて披露したのは、ロックミュージック創始者の一人であるチャック・ベリーの代表曲『ジョニー・B.グッド』。
映画ではこの演奏に感銘を受けたマービンが電話越しにいとこに聞かせているが、そのいとこの名はチャック。そう、チャック・ベリーその人である。
つまりこのシーンは、ロック誕生の契機となったのは、当の自分自身が作曲した曲だった……という、タイム・パラドックスをネタにしたジョークなのである。


作曲家アラン・シルヴェストリが手がけたテーマ曲も人気が高い。
日本のバラエティー番組でもしばしば引用されている他、元東京ヤクルトスワローズ所属・青木宣親の応援歌(のファンファーレ部分)としても有名。
青木は日米通算2,700安打を記録した大打者であり、対戦相手にとっては実に脅威であった。そのため本作のテーマ曲を聞くと、苦い記憶がフラッシュバックするというプロ野球ファンは少なくないだろう。


新潮社からノベライズ版も刊行されている。
こちらは「マーティのオーディションを妨害するストリックランド」、「ロレインがカンニングをする場面を目撃してショックを受けるマーティ」、
「将来の夢を語るも、父親にダメ出しされて落ち込むジョージ」等、映画ではカットされてしまったシーンが数多く盛り込まれている。
各登場人物の心理も深く掘り下げられており、資料としてはもちろん、SF青春小説としても読み応えのある一作である。
残念ながら復刊はなされていないので、古書店や図書館等を根気よくあたって、ぜひ一読してみてほしい。







ドク「マーティ!一緒に来てくれ!」

マーティ「どこへ?」

ドク「もちろん関連項目へだ!」

マーティ「待ってよドク、どういうことさ?僕の項目に何かあったのかい?最低の荒らしにでも遭ってた?」

ドク「いやいやいや、君の項目は問題ない。パート2の項目だ、何とかせにゃならんのは」

マーティ「ドク、ブラウザバックしないとパート2の項目には行けないよ」

ドク「ブラウザバックか。アニヲタwikiにブラウザバックなど必要ない、見てろ」



TO BE CONTINUED


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最終更新:2025年06月23日 12:54

*1 ちなみに日テレ版だと中の人が同じである(二代目)

*2 当時、洋画の日本公開は原語であることが殆どで、その後のVHS発売やテレビ放送で初めて日本語が吹き替えられることが多かった。そのため、話題の映画がいち早く飛行機内で見られるという宣伝で機内用の吹き替えが作られた。

*3 これは監督の馬場康夫がかつて日立製作所に勤務していた縁による。

*4 呆然とカメラのこちら側を凝視しながら、ゆっくりとサングラスを外す主人公