ティエレン

登録日:2009/06/01 (月) 12:22:08
更新日:2023/06/08 Thu 15:01:47
所要時間:約 10 分で読めます




機動戦士ガンダム00』に登場する機体。


形式番号:MSJ-06II
頭頂高:18.1m
本体重量:121.3t
装甲材質:Eカーボン
動力:バッテリー
所属:人類革新連盟

主な搭乗者:
セルゲイ・スミルノフ
ソーマ・ピーリス
ミン
人革連一般兵
カタロン一般兵
金田正太郎


【概要】

機動戦士ガンダム00』に登場する量産型MS(モビルスーツ)
「ティエレン」は「鉄人」の中国語読み。
なお、アクセントは「ティエレン」ではなく「ティレン」。

MSJ-04 ファントン後継機として、23世紀末頃から人類革新連盟(人革連)の主力MSとして運用されていた。
設計者は、人革連の主任設計士ケンズィー・テラオカノフ。遊んでるな寺岡さん。
作中の別陣営の機体が飛行能力を重視して細身の機体を開発しているのに対し、このティエレンはEカーボン製の重装甲に覆われた武骨な超重量機である。
鈍重な分、パワーと防御性能では極めて優れている。
ユニオンリアルドAEUヘリオン等と違い、バイザー(正確にはセンサー素子)が無く、横方向に可動域の広いモノアイカメラが露出している点も特徴と言える。


【機体解説】

あらゆる局地に対応出来るポテンシャルを持つ機体であるが故にバリエーションが凄まじく多いので、本項では地上型を中心に、全バリエーション機の共通項に触れる。


色々と面白い特徴がある機体だが、まずは扱う人間の視点から特異性に触れていくこととする。

まず、コクピットを人体が快適と思える温度に保つ、だのという生温い思想はこの機体には存在しない。
コクピット内はほぼ真空の無酸素状態にして、酸素チューブ付のヘッドディスプレイを装着し、網膜投影で情報を得る。
一昔前のSF物の四角い宇宙服着た宇宙人っぽさがある意匠。

しかも、直立姿勢でしか操縦出来ない。終始立ちっぱでものっそい揺れるMSを運転する訳である。
一応コクピットを換装することは出来るが、量産機でそんなことはいちいちやらない。
閉所恐怖症の人間なら余裕で発狂出来る、満員電車なぞ天国に思える空間である。

直立という時点で察しがつくだろうが、、上からパイロットを吊り下げるようにして搭乗させるので、大気圏内では自分独りでは緊急時には機体から離脱することすら困難。
エコノミー症候群とは無縁だよ!健康的だね!!

その過酷さもあってか、この機体での連続戦闘時間は30分。最大でも1時間程度と言われている。

……これだけを見ると、金のかかった拷問器具に見える。
作中では、ユニオンやAEUの兵士から「生きた棺桶」等と揶揄される始末。





が、あくまで負の側面を敢えて論じてみただけで、見方を変えれば物凄く合理的かつ優秀なMS。

別にパイロットに嫌がらせをする為に存在する無駄な機体という訳ではなく、汎用性と耐久性を重視した結果である。
―――BC防護がパイロットスーツのみなんてヤバい?……一体何言ってるのか理解出来ないな。


まず、ヘッドディスプレイは眼球と頭部で特定の動きをとることでコマンド入力が出来る。
加えて、局部センサーから得られる情報がダイレクトに網膜に写る分、確実に情報が脳に伝達され易い。
これは、未熟なパイロットにとっては特に、不意の情報の取りこぼしが少ないというメリットになる。

パイロットを常時直立させて居住性を無視することで、コクピットの容積を抑えつつ設計を単純化出来る。
その分だけシステム周りは堅固にし易く、予め真空にしてしまえば状態維持も楽。
宇宙空間では大惨事になるコクピットへの亀裂等による気圧変化の心配が無くなる。
例え宇宙空間でビームサーベルでコクピットハッチを切り裂かれ、鼻先数センチをビームが掠めようが、酸素も無いのでコクピット内部で爆発が生じ、それでパイロットが負傷したり、という心配も無い。
高度でデリケートな技術を多用しない分デバイスも堅固で、惨事にはなり難く生存率はそれなりに高い。


何より、
「そのまま未調整で放り込んでもあらゆる環境に簡単に対応させられるくらいに、適応力と整備性が高い点は他の陣営には無い絶大なメリット。
恐ろしく重い分自重に耐えられるだけの防御・耐久力があり、どんな無茶な超重量兵装だろうと後付でも搭載可能。

他陣営の機体より何年分も長く運用された結果としてノウハウも蓄積されており、単純明快かつ頑強な機構のお陰もあって
「故障率は他陣営に比べ40%も低く、整備に要する時間は1/5程度」
これは驚異的な数値である。

ジャングルや砂漠等の過酷な環境での戦局が長期化した場合、これらは勝敗の決定打として響いてくるので、本機が機動兵器として如何に優れモノかが分かるだろう。

なお、飛行能力も無い(バリエーション機も飛行能力は高くない)本機は、2304年頃にはユニオンフラッグの配備もされて最早完全に時代遅れで勝ち目の無い機体、と思われがちだが実はそうでもない。

リニアライフルでもフルチャージショットでなければティエレンの分厚い装甲を貫通して致命打を与えるのは難しく、プラズマソードでもティエレンの腕でさえ両断するのは困難。

特にパワーの面では、フラッグはガンダムエクシアが軽く振り払っただけで弾き飛ばされるのに対し、ティエレンは関節が壊れるくらいの最大出力で握撃をかませば、エクシアでも容易に振りほどけない程の馬鹿力を発揮する。
このように迂闊に接近戦を挑めばフラッグ等であっても返り討ちに遭い、遠距離戦に徹すれば基本的にはフラッグ等が有利なものの決定打を入れるのはなかなかの手間。決して油断が許される相手ではない。

プロレス染みたガチムチファイトを地で行く機体である。


2312年頃にはGN-Xが普及したが、この機体は適応力と整備性の高さ故に拠点防衛・警備用として広く愛用されている。
基本的な運用法は、まずこの機体が敵の襲撃を持ちこたえ、その間に緊急信号を受けた近場の迎撃部隊のGN-Xが駆けつけるまでの時間を稼ぐ、といったもの。

それ以外には、出力制限をかけて民間用の大型パワーローダーの代用品としても払い下げられた。

余談だが、スタッフの寺岡氏によれば、この機体を開発したケンズィー・テラオカノフ氏は、2314年頃には引退して、民間用重機開発等を手掛けつつ、悠々自適に過ごしているとのこと。

旧式モデルとして『MSJ-05ティエレン』という機体も存在するが、設定のみ。


ユニオンやAEUの機体には無い無骨さ、泥臭さが人気。




このティエレンの魅力は何を隠そう戦車でありロマン溢れるメカ、これに尽きる。

フラッグやイナクトのような、戦闘機を思わせる大空を飛び交うメカもいい。
だが、地上にドシーンドシーンと堪らん音を響かせズシーンズシーンと重っ苦しく歩くティエレンは、正に重量感を感じさせてくれるメカなのである。

例え動きが遅くても、ガンダムにフルボッコにされても、やたらやられ方がカッコ良くても、戦術と頭数で立ち向かい後一歩まで追い詰めた勇姿は「量産機最高!」なファンを大いに喜ばせた。

最新・オーバーテクノロジーの塊の主役側を追い詰める旧世代量産機……なんとも熱い、熱いではないか。


【武装】

他の陣営がビーム兵器の開発を進めて順次試作品を投入する中、この機体は実用性を重視して実弾のみを採用している。

  • 200mm×25口径長滑腔砲
主に右腕に装着する本機の主武装。
「200mm×25口径長」とは、砲の口径が200mm、砲身の長さが200mm×25=5mということを表している。
徹甲弾・超脱装弾筒付翼安定徹甲弾・榴弾・対空散弾・照明弾・ロケットアシスト弾(薬莢以外にロケットを搭載した飛距離延長重視の砲弾)と、現代に通ずるような非常に多岐に渡る弾薬を、この武装一つで扱えるメリットがある。
同軸に併設されている12.7mm機関砲は発射から約2000mの距離で主砲弾道と同期するようになっており、それぞれを同時発射して2発それぞれの着弾点から目標距離を算出する。

  • 30mm機銃
左胸に内蔵された6銃身の実弾機関砲。
口径が小さく主に対人制圧・対空・牽制用の武装。
他の陣営にも同様の武装はあるが、本機の場合は右胸の外部電源供給で稼働している。

大体の場合は両肩と脚部に一つ、計三つ装着されている分厚いEカーボンの盾。
他のMSより鈍重な上に移動手段が足のみの本機は、万一脚部の関節を破壊された際には、堅牢な戦闘兵器から正真正銘の棺桶へとジョブチェンジしてしまう。
そのため、特に脚部シールドはこの機体にとって火器以上に不可欠である。
流石に両足につけると邪魔だからか、左足(上記の200mm×25口径長滑腔砲を装着した腕とは逆の足)に装着する。
シールド上部には銃身を固定出来るくぼみが有り、片膝をつくことで盾で防御しつつ安定した狙撃を行える。

  • カーボンブレイド
超硬度Eカーボン製の格闘用兵装。
ジャマダハル(某ドラクエのドラゴンキラーを想像すると分かり易い)の刀身が横方向に伸びたような刃物。
これは切れ味よりは重さで叩き斬る類の武装。
洗練された刀とは違って武骨ではあるが、その分扱い易さや頑丈さはピカ一で現場での評価が高い。

・550mmミサイルランチャー
見た目は弾頭と装着したRPG-7にダブルカラムの10連装マガジンをつけたような代物。
(実際には発射原理が全く異なる代物だが)そうした事情から兵士達からは「バズーカ」の愛称で親しまれていた。
砲身後部をスライドすることで、弾頭や射程を調整出来る便利な火器。
だが、誘導兵器であったがためにレーダー妨害の所為で有効な兵器ではなく、劇中で活躍の場は無かった。


【劇中の活躍】

初登場は1stシーズン第2話(バリエーション機の宇宙型は第1話で登場済)。第3話や第11話等にも登場。
ガンダム相手には自慢の装甲も紙同然であり、あっさり蹴散らされることが多かった。
だがエクシアとの可動域や機動性等の性能の違いを独特の演出で描写する重要な役割を担ったり、性能は低いがそれだけに粗野な魅力を持つ量産機として魅力を発揮している。
因みに、実際に視聴した人間にとっては地上型の印象が強いが、宇宙型や高機動型等の方が出番自体は多かったりする。

2ndシーズンでは第一線を退いたが、基地の警備をしている派生機が確認出来た。
カタロン仕様の青いカラーリングの機体も登場しているが、アロウズGN-XⅢに対してはほぼ無力だった。
また、全領域対応型も登場。空気読まない馬鹿息子にやられたけど。

また、2ndシーズンに登場するアヘッドは言わばティエレンにガンダムの技術を組み込んで生まれた機体で、デザインや技術的な繋がりが見て取れる。
詳しくは項目にて。


【バリエーション】

  • MSJ-06II-A 地上型
  • MSJ-06II-LC 長距離射撃型
  • MSJ-06II-AC 対空型(ツーウェイ)
  • MSJ-06II-C 高機動型
  • MSJ-06II-C/B 高機動B型
  • MSJ-06II-C/BT 高機動B指揮官型
  • MSJ-06II-E 宇宙型
  • MSJ-06II-ET 宇宙指揮官型
  • MSJ-06II-ED 天柱防衛型(ジィーチュー)
  • MSJ-06II-SP 超兵型(タオツー)
  • MSJ-06YV-B 全領域対応試作型(チーツー)
  • MSJ-06V-A 全領域対応型
  • MSJ-28 市街地用無線操縦型

詳しくはティエレンのバリエーションの項目を参照されたし。


ガンプラ

このティエレンにおいて最も重要な要素といっても過言ではないのは、プラモデルだろう。

地上型、宇宙型、宇宙指揮官型、タオツー、全領域対応型がHG GUNDAM 00で発売。
このティエレンは配色は忠実であるが、可動域が広く原作通りがっちりしたデザインのため、模型化してもポージングをさせ易い。
そして何より、とても弄り易い。
装甲部の各パーツは大き目かつ直線的。(タオツーと全領域対応型を除いて)ABS樹脂パーツも使われていないため、塗装は勿論の事、他のプラモの利用も含めた改造の自由度も高い。
モビルスーツの中でも特にミリタリーチックなデザインのため、ダメージ加工やウェザリングも程よくマッチする。
モデラーにとって実に遊び甲斐のあるキットだろう。

そして、地上型のみ1/100サイズでも発売された。3000円と他の1/100シリーズに比べてやや高価だが、各部にシボ加工やディテール等が追加され、(新規設定である)バズーカも付属していて完成度は高い。
戦車のような現代兵器とMSの融合とでも言ったティエレンを、メカディテールと質感を高めるシボ加工によって再現し、二重構造による強い関節によってこのサイズでも様々なポージングに対応している。
アクションベース接続用パーツもあるが、浮かせなくても飾れる程の安定性がある。
同スケールのパイロットと歩兵のフィギュアも付属。しかもコクピットハッチが開閉(差し替え式)し、パイロットフィギュアを乗せることができる。
1/100というサイズも相俟って、もはや簡易MGと呼んでいいのではないか(ちょっと言い過ぎか?)と言える程に、重厚なこのMSの魅力を再現している。
ランナーを変えることで他のバリエーション機も発売出来そうだが、今のところその予定はない。

ティエレンのプラモデルはとても作り易いので、入門用としてもお勧め。機会があれば手に取ってみると良いだろう。

エクシアにアイアンクローかます等、見せ場はあったにも関わらず立体化されない高機動型涙目。



追記・修正は3時間ぶっ続けでティエレンを操縦した後にお願いします。

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最終更新:2023年06月08日 15:01