ドリームギラス

登録日:2012/09/25 Tue 00:21:53
更新日:2024/01/06 Sat 20:01:13
所要時間:約 8 分で読めます





「ぼくはおねしょをしない! しない!しない!! よ~~し! 今夜は絶対だっ!!」





布団に潜りこんで左手にエースのバッジを持ちながらおまじないをする雪夫くん


それはバッジの中のエースに夢の中でも力を貸してもらうための祈りか・・・


それとも


暗闇の布団で繰り広げられる超獣誕生という生命のドラマを演じる主役による開始の言葉か・・・








別名 夢幻超獣
身長 60m
体重 4万t
出生地 浅倉雪夫少年の寝室  
初出現地 一本杉のある湖


『ドリームギラス』とはウルトラマンA第35話「ゾフィーからの贈りもの」に登場する超獣。


部屋中(ベッドの傍でだけではなく、自分の学習机にも)にウルトラ怪獣のビニール人形があり、そのポスターが貼ってある程に怪獣好きだが、気が弱くて夜尿症に悩む9歳の少年である浅倉雪夫から生まれた超獣である。



【シュールかつ劇的で強烈な誕生過程】

9歳の誕生日を過ぎた頃に雪夫は、一本杉がある湖に超獣が出る夢を見始めてはおねしょをするようになってしまい、遂には超獣の形をしたおねしょの地図を放尿する事に至ってしまう(35話の冒頭の部分)。

「うーん...もう少しいいじゃない...   あ"ッ!」

おねしょは雪夫のおねしょのトラウマが夢の中の超獣になって雪夫に水流を浴びせ、水流を浴びた雪夫が放尿するもので、物語以前のおねしょは云わば超獣の産徴だったと言える。余談だが、母親に起こされておねしょに気付いた時の「ポワ~~~ン」のSEとそれと共に流れるbgmはユーモラスでいい感じである。また、本編開始から00:24に布団から起きる雪夫から生肌の右肩が見えるのだが、初めて(おねしょとして)超獣を産んだ直後もあってか、妙に色っぽくて母性を感じさせるものがある!?

クラスメイトからサッカーの仲間に加える事を条件に、雪夫はTACに嘘の情報をしてしまい、北斗から注意された雪夫はその日の夜、ベッドで眠りに就く直前におまじないをしたのも空しく、その日も超獣の夢を見てはその超獣の形をしたおねしょの地図を放尿してしまう。

次の日の午後の下校時に友人である梅津ダンに夢の事を相談すると、その湖を知っていると話を聞いた雪夫は小田急ロマンスカーに乗った後、息継ぎして走りながら夢に出てくる湖を見つけた。その瞬間、雪夫はデジャブ状態に陥ってしまい、夢に出てきた超獣を思い出して恐怖心を発してしまう。

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・!」

その瞬間、雪夫の自宅の庭で干されていた寝小便の地図付きの布団から、雪夫の恐怖心を感じ取った寝小便の地図が、間抜けでユーモラスな実像化音を発しながら生を受けてドリームギラスとして実像化し、それと同時に瞬間移動してしまう。

ピュ~~~~~~ッ!

夢の湖の湖底に瞬間移動を完了して急速に巨大化した直後、波しぶきを立てながら奇妙な鳴き声と共に姿を現して、遂に超獣ドリームギラスが誕生した。



【身体的特徴・武器】

魚の様な体格や頭部をしており、背中に長いヒレがある。
頭上の円形の突起物はレーダーで、耳は水中ソナーの役割を果たしており、長い尻尾を相手に絡みつく攻撃が得意であり、相手を得意の水中戦に引き込む役割を持つ。
また、全身のイボは相手の攻撃を軽減する役割を持っており、パンチキックの威力を増幅させる役割もある。

主な武器は、口から吐く白色高圧性水流と爆発性赤色水流であり、白色高圧性水流は誕生直後に湖に飛来してきた戦闘機と旅客機にそれぞれ浴びせかけては撃墜させてしまう。
またこの水流には強烈な臭いがあるらしく、エースとの戦闘時には水流を浴びせられたエースが鼻をつまむ珍妙なカットがあるが、これはドリームギラスが雪夫の寝小便の化身で、その水流はその寝小便の尿が成分らしい。

赤色爆発性水流は口の下にあるドリル状の突起物から貯蔵されたもので、2度目の実像化時にTACアローとTACファルコンにそれぞれ浴びせては撃墜させた。
その直後にあろう事か、逃げ回る産みの親である雪夫に対して浴びせかけようとした。(後述の親である雪夫くんを惑わしてショゲさせた事といい、せっかくクラスメイトに馬鹿にされる等の苦労をして産んでくれた恩を仇で返すなんて、とんでもない親不孝者だッ!)

また、設定では腹の部分は触手になっており、近づいた相手に奇襲を加えるという攻撃方法があるとされている。

雪夫の遺伝を受け継いでいる影響で頭が良く、TACのレーダーにも反応しない身体を利用し、自らの頭部レーダーで相手の襲来を感知したら、奇妙な鳴き声と共に湖底に潜った後、急速に奇妙なテレポート音を発しながら縮小しながら、雪夫が自分を産んだ分娩台といえる(?)布団に瞬く間にもとの寝小便の地図に戻って相手を撹乱する戦法をも得意である。

ビョョョ~~~~~ン!



【見かけによらない超獣】

その奇妙な容姿・誕生方法、また、「キュピキュピキュピ!」「キョッキョッキョッ!」といった鳴き声に加えて、雪夫が湖を見つけて流れ始める不安げなBGMの雰囲気に反して、その直後の超獣誕生シーンでおねしょの地図から発する間抜けかつキュートに発する実像化音(大量の汗を流しながら苦しそうに息継ぎをする雪夫の顔アップの直後に誕生シーンに切り替わるので、超獣の産みの親である雪夫の顔アップは出産時の妊婦の顔を連想させる!?)、そして、戦闘機と旅客機を撃墜した後、湖に潜って布団に戻る時に発するユーモラスなテレポート音といった奇妙な萌え属性溢れる(?)超獣だが、以下の理由でなかなか実力者であり、超獣は見かけに寄らない事を絵に描いた超獣でもある。

  • 頭脳的かつ心理的打撃方法
前述の通り、ドリームギラスはレーダーに映らない身体と自らの頭上レーダーによる高い感知能力に加えて、
ずば抜けた瞬間移動能力によってTACを惑わし、超獣が戦闘機と旅客機を撃墜した様子を見た雪夫の通報で、北斗がTACアローで湖に駆けつけた時は
すでにドリームギラスはおねしょの地図の姿に戻っており、水中爆弾を投下しても効果がなかったのである。
ドリームギラス初出現の前日に、雪夫のイタズラ電話で嘘の超獣出現情報で騙された北斗は(前述の通り、雪夫本人の意思ではないが)、
「昨日約束したのにまた嘘をついた」と雪夫を激しく叱り付け、口が聞けない程にショゲてしまう羽目に陥ってしまう。
皮肉にも雪夫は自らが産み出した超獣によって人間としての信用・信頼を失墜される結果になってしまう(TACでは超獣による撃墜を証拠無しと見て、事故として取り扱った)。エースではよくある事だ

  • 優れた水中戦能力
その日の夜にゾフィーから少年の信頼を傷つけたと叱咤された宇宙警備隊はヒマなのか…?北斗は、
次の日に湖で佇んでいる雪夫に謝罪すると共に、湖底にコントロール式爆弾を仕掛け爆発させて、そのショックで再びおねしょから実像化させた。
エースが登場してドリームギラスと戦い、エースが得意の格闘戦で攻勢になるが、超獣の白色水流を浴びたエースがその威力と臭い(!?)で形勢が逆転し、
その直後の超獣の尻尾による絡みつき攻撃によって水中戦に引き込まれてしまい、水中戦が苦手なエースは大苦戦する羽目になってしまう。

「何者にも負けないウルトラマンエースだったが、水中では苦しい戦いを続けた。それは、彼が水中での戦いは最も苦手とするからだ。」

それを様子を見ていたゾフィーは天空からウルトラマジックレイ(ウルトラコンバーター)を湖に落下させて湖の水を蒸発させた。
その結果たちまち形勢が逆転し、エースの格闘攻撃(攻撃をよく見てみると急所叩きも!)を受けたドリームギラスは
メタリウム光線を浴び倒れ、爆発と共にバラバラに砕け散った。

そのバラバラに砕け散った肉の色は、ドリームギラスが雪夫の寝小便だった影響で白色だった・・・ 超獣が倒されると同時に雪夫の布団では、超獣の寝小便の地図が現れた途端、上から蒸発するようにスーーッと地図が消えていった・・・

  • その後の影響
「人間は誰でも過ちを犯すものだ。それ故に過ちを改めるこそ大切なのだ。北斗は相手が少年でも、信じ合う事が大切である事を身をもって体験したのである。」

この事は最終回である「明日のエースは君だ!」のテーマである嘘をつかれたり、傷つき合っても他人を信じる大切さの重要性に繋がる事になる。
北斗がサイモン人の子供(残党ヤプール人の変装)を虐待する子供たちに対して「ウルトラ兄弟は弱いものいじめをしない!」と忠告したばかりに、
ヤプール人の「エースを皮切りに地球人同士の信頼を失くしていく」いう復讐を見抜いてサイモン人を射殺してしまった北斗は
子供たちから嘘つきよばりにされてしまう・・・ 
そして北斗は信頼を取り戻すために子供たちの目の前でエースとして最後の戦いに挑んでいく・・・

「優しさを失わないでくれ。弱い者を労り互いに助け合い、どこの国の人とも友達になろうとする気持ちを失わないでくれ。たとえその気持ちが何百回裏切られようとも。それが私の最後の願いだ・・・」

最終回では雪夫とは反対の状況下で北斗が嘘つきよばりされる話で、おそらくドリームギラスとの戦いを通じて信頼の大切さを知った北斗は、
苦悩の末に子供たちの目の前でエースとして最後の戦いに挑む事によって、
ドリームギラスの時とは反対に地球人に信頼の大切さを訴える事になり(夕子と別れた直後の直情的な北斗ならば考えられない)、
地球に留まる事が出来なくなってしまったエースは、たとえそれが理想的であってもいつかは実現できるものという事を信じて地球を去っていく・・・ 
だとすればドリームギラスはエース(北斗)の人間的成長ばかりでなく、その後もエースの運命をも変えてしまう程の影響を与えた超獣とも言える。たぶん



【ドリームギラスの正体】

CSのファミリー劇場で放送されていた「ウルトラ情報局」の2007年1月放送分では、
『A』第35話の脚本を担当した久保田圭司の話によれば、ドリームギラスは子供の心の弱さのシンボルである寝小便の地図から生まれた事から、
おねしょのトラウマという子供の心の弱さが夢の超獣になって、おねしょとして産み出したとされている。
後年登場する『ウルトラマン80』あたりに出て着そうな設定である。
また、水中戦が得意で、武器が水に関係するのは本性であるおねしょの尿である影響であり、準備稿では魚(オニテング)みたいな容姿ではなく、水鳥の様な容姿であった。

雪夫は超獣の産みの親兼新生(再生)装置的存在であり、超獣の出生に大きく関係している。
おねしょとして生み出されたドリームギラスは普段はそのままおねしょの地図のままであり、雪夫が夢の中の湖を見て恐怖心を発して、
それが合図となって魂と融合して初めて実像化する事になる。
最初の実像化は初めて超獣のおねしょをした翌日であり(その為に前日には実像化しなかった)、
二度目は湖底に仕掛けられた爆弾爆発のショックで雪夫が最初の超獣実像化時を連想して発した恐怖心によって実像化した。
実像化時の瞬間移動能力は雪夫が夢を見ている時に超獣に与えた能力であり、雪夫の心に反応してテレポートし、後述の超獣新生時にも利用される。

普段のおねしょの地図は事実上の仮死状態で昼間は乾かないが(魂は存在し、上述の通り雪夫の恐怖心との融合によって生を受ける)、
日の入りが合図となってそれが条件反射となりスーーッと消えていき、それと共に闇に溶けていくかのように魂は消えていく。
一方、記憶及び精神は雪夫の心にテレポートした後同化して、雪夫が眠りに就くと同時に心の中で雪夫のおねしょに対するトラウマが夢の超獣として現われ、
その恐怖をエネルギーにして魂等が再生され、超獣として新生されるのである。
つまり、超獣本体を叩かない限りは雪夫は超獣出生を繰り返す事になる。
超獣出生を防止するためには眠らせない事や就眠前に水を飲ませない事があるが根本的解決にはならない。また、ドリームギラスが倒されてその様子を見ていた雪夫はジャンプして飛びあがて「やったーっ! エースは強いや!!」と雪夫は大喜びしたのだが、自分が最後まで超獣を産んだ事は知る事が無かったのであるが、この様にユーモラスな生態や強烈な印象を残す誕生シーンを見せたウルトラ怪獣(超獣)は他にいないので、たとえ産みの親を惑わしたとはいえ複雑な思いがする(笑)

このように子供が関係して誕生する怪獣(カネゴンのように子供が変身する怪獣を除いて)はガヴァドンヒドラキングストロン等がいるが、
ドリームギラスは子供が直接肉体から産みだした超獣(怪獣)であり(他にも硫酸怪獣ホー)、その誕生劇によって強烈な印象を与えるものになっている。



【余談】

脚本の久保田氏は信頼の大切さの重要性として、イソップ童話の「嘘をつく子供」(狼少年)をベースに脚色したとされる。

雪夫のベッドの枕元に貼ってあり、超獣の夢のイメージ形成に一役買った(?)ポスターは、
前番組の『帰ってきたウルトラマン』の放送時に発売された怪獣ジャンボスコープに付いていたポスターであり、
高さ40cm・長さ2mのポスターにはウルトラマンセブン・ジャック(新マン)の他に100大ウルトラ怪獣が描かれており、
裏側には怪獣の解説が書かれていた。
新条アカネあたりなら大枚はたいてでも欲しがりそうである。
その他にも100大怪獣の足跡のシールや、モロボシ・ダンこと森次浩司氏の解説で怪獣の鳴き声が聞けるソノシートが付いていた。

雪夫を演じた西脇政敏くんはこの35話初放送(12月1日)の同じ週である12月27日に、同じ円谷プロ制作の『緊急指令10-4・10-10』22話である「少女と花と天国」において川村昇少年役としてゲスト出演している。この時の西脇くんの服装はスケジュールの都合上同時撮影された影響からか、昇の服装は雪夫と同じであった。


追記、修正はオネショしないようによろしくお願いします。

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最終更新:2024年01月06日 20:01