小田急ロマンスカー

登録日:2012/03/16 Fri 15:41:30
更新日:2025/09/17 Wed 20:49:20
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きょう、ロマンスカーで。


小田急(おだきゅう)ロマンスカーは、小田急電鉄の特急列車およびその特急車両の名称である。


概要

小田急電鉄の看板列車であり、東武特急や近鉄特急と並んで有料の私鉄特急列車としては屈指の人気と知名度を誇る。

私鉄特急の中でも流線型や連接台車*1をいち早く導入し、国鉄へ貸し出されて当時の狭軌における世界最高速度を樹立。新幹線の開発に多大な影響を与え、日本で初めて地下鉄に乗り入れる特急にもなるなど、常に時代の最先端の技術を導入している点が特徴。
1967年(御殿場線直通列車は1985年)以降は定期券でも乗車できるようになっており、観光のみならず通勤・通学での需要も高い。
ちなみに、私鉄の定期特急列車で最長となる10両編成で運行されている唯一の列車でもある*2

技術面での評価も高く、グッドデザイン商品などのさまざまな賞を受賞している。
特に「鉄道友の会」が毎年優れた車両に送る「ブルーリボン賞」はEXEを除いた歴代の全形式が受賞しており、受賞回数8回は近鉄の9回に次いで2位の記録を持つ。
このブルーリボン賞が創設されたのも小田急ロマンスカーがきっかけである。

そもそも「ロマンスカー」は本来、2人がけの座席である「ロマンスシート」を備えた車両であり、当時の長距離列車は4人で1区画の向かい合わせ固定式(ボックスシート)が多かった中、2人客がある程度でもプライベートな時間を過ごせるロマンスシートは画期的なものだった。当初は各鉄道会社が「我が社のロマンスカー」とアピールしてきたが、1950年代以降は各社が独自のネーミングを用いるようになっていった。
しかし、小田急だけは唯一特急列車の愛称として「ロマンスカー」という名前を使い続けたため、一般にも広く定着するようになり、最終的には1990年代後半に商標登録(第3321840号)するまでに至った。

歴代形式は一部を除き、運転席を2階に上げることで車両の最前列に座席を設置する「展望席」を設けており、最高の眺望性を楽しむことができる。事前予約なしでは座席の確保が難しいほどで、ロマンスカーの代名詞にもなっている。


種別

2025年現在は小田原線・箱根登山線系統および江ノ島線系統のほか、東京メトロ千代田線、JR御殿場線への直通列車も運行される。かつては多摩線系統、東京メトロ有楽町線直通列車も運行されていた。

列車番号は下りが奇数・上りが偶数の番号を使用し、併結運転を行う「(メトロ)はこね」と「(メトロ)えのしま」は番号を共有する。
ただし、2012年3月17日のダイヤ改正まで併結していた「ホームウェイ」では系統ごとに個別の番号を使用していた。


小田急線内種別

  • はこね
1950年から存在する伝統ある種別で、新宿~箱根湯本間を走る主力列車。停車駅は概ねパターン化されている。
土休日には新宿~相模大野間で「えのしま」と併結する列車がある。

  • スーパーはこね
1996年3月23日から登場。上記の「はこね」のうち、小田原線内を無停車で走行する最速の種別。「はこね」の大半が町田駅に停車するようになったため、同駅を通過する列車を分離する形で設定された。
かつては上り列車や平日の運用も存在したが、現在は土休日9:00・10:00発の下り2本のみ運行。
2018年3月17日のダイヤ改正では土休日の一部列車のみ小田原線内を59分で走破する列車が設定され、SE開発当時の悲願だった「新宿~小田原間60分以内」という小田急の60年越しの夢が実現した(2025年現在は消滅)。

  • さがみ
「はこね」を補う特急で、小田原線内完結の列車。停車駅は「はこね」よりも比較的多い傾向にあるが、上りの途中駅始発や下りの途中駅止まりといった区間運転を行う列車も多い。
元々は1948年に運行を開始し、1963年から現在の名称が登場した古参の種別ではあるが、1999年~2004年の間は一時的に廃止されていた。

  • えのしま
相模大野駅を経由し、江ノ島線に直通する特急。新宿駅に到着したロマンスカーの車両を利用した「納涼ビール電車」という臨時列車が起源である。
1964年3月21日より土休日のみの種別として初登場し、翌年3月1日から毎日運転されるようになる。
平日は下り1本・上り3本のみの運用だが、土休日では観光需要により大幅に本数が増加し、2時間に1本ペースで運転される。
2018年3月17日のダイヤ改正で「はこね」「さがみ」との併結列車は一部を除いてほとんどが廃止されたが、2022年3月12日のダイヤ改正からは再び増加している。

  • ホームウェイ
1997年7月17日から登場。JRの「ホームライナー」と同様に通勤・通学客をターゲットとし、午後18時以降に新宿駅を発車する下り列車は行き先に関係なく全てこの名称が用いられる。
愛称は公募によって決定。ちなみに第1位は「ホームタウン」だったが、JR東日本が既にその名称を使用していたことから「ホームウェイ」の名前が採用された。

基本的に毎時小田原線系統2本・江ノ島線系統1本のペースで運行され、かつては多摩線系統の列車も存在したが、2016年3月26日のダイヤ改正で廃止された。
以前は日中時間帯の「はこね・えのしま」などと同じように、相模大野まで小田原線系統と江ノ島線系統を併結する列車が存在していたが、2012年3月17日のダイヤ改正で完全に系統分離された。
2022年3月12日のダイヤ改正からは1時間前倒しされ、午後17時より運行を開始している。

  • モーニングウェイ
2018年3月17日のダイヤ改正より運行開始。「ホームウェイ」の上り版で、午前9時30分までに新宿駅に到着する上り列車は系統に関係なく全てこの名称が用いられる。
こちらもホームウェイと同様に公募が行われ、応募名称数が第1位だったことから選定された。


他社線直通列車

全列車がMSEによる運行である。

  • ふじさん
新松田駅付近の連絡線を経て松田駅に入り、御殿場線に直通して御殿場駅まで運行する列車。1日3往復が運転されている。
ロマンスカーの中では唯一、全列車が6両編成で運転される。「あさぎり」時代は土休日のみ新宿~相模大野間で「えのしま」と併結する列車があったが、「ふじさん」に変更してからは全て単独運転。
片乗り入れという形ではあるが、関東の大手私鉄がJR東海の路線に乗り入れる唯一の事例。


●メトロ特急
2008年3月15日のダイヤ改正より登場した、日本初となる地下鉄乗り入れ特急。
代々木上原駅から東京メトロ千代田線に直通して北千住駅まで向かう列車で、いずれも「メトロ○○」という名前で案内されており、行先や運行時間帯は小田急線内の同名の種別に準ずる。
千代田線内のみの乗車は不可能で、下りは乗車・上りは降車のみ取り扱う。加えて待避設備がないことから一般列車に挟まれての走行になり、時間調整のために各駅2分程度の停車時間が設けられている。
千代田線内ではホームドアの関係上、1・4・5・7・8・9号車のみドアが開く。

  • メトロはこね
北千住~箱根湯本間を運行する主力列車。平日1往復、土休日3往復が設定されている。
土休日の1.5往復は北千住~相模大野間を「メトロえのしま」と併結して運行しており、こちらは相模大野に停車する代わりに町田と本厚木は通過する。
2025年3月15日のダイヤ改正からは全列車が伊勢原に停車し、平日の20号のみ経堂~代々木上原間は緩行線を走行する。

  • メトロえのしま
2018年3月17日のダイヤ改正で登場。土休日のみの運転で、下り2本・上り1本が運行される。「えのしま」と違って成城学園前にも停車するが、新百合ヶ丘と大和は通過する。
全列車が北千住~相模大野間を「メトロはこね」と併結して運行。江ノ島線内では4両編成で運転する。

  • メトロホームウェイ
「ホームウェイ」と同じく、午後18時以降に北千住(一部は大手町)駅を発車する下り列車にこの名称が用いられる。全列車が本厚木行きで、小田原・片瀬江ノ島方面には乗り入れない。
平日5本・土休日2本運転され、平日の4本のみ大手町駅を始発としており、千代田線の配線の関係で湯島駅の留置線で折り返してから戻ってくる。
「ホームウェイ」ともども2022年3月12日のダイヤ改正からは午後17時より運行。現在は平日のみ代々木上原→経堂間で緩行線を走行し、新百合ヶ丘には3番ホームに発着する。

  • メトロモーニングウェイ
2018年3月17日のダイヤ改正より運行開始。「モーニングウェイ」と同じく、午前9時30分までに北千住駅に到着する上り列車にこの名称が用いられる。
「メトロさがみ」から改称しつつ、停車駅に海老名を追加して平日に1本増発する形で登場し、全列車が本厚木→北千住間で運行される。
平日2本・土休日1本が運転。平日は経堂→代々木上原間を緩行線で走行し、土休日は新百合ヶ丘と成城学園前にも停車する。


臨時種別

  • 初詣号→ニューイヤーエクスプレス
通称「ニューイヤー号」「NYE」(New Year Express)。
大みそかの12月31日深夜から年が変わった元日の早朝にかけて運行される臨時初詣特急。1969年度に新宿~新原町田間で「初詣号」が1往復運行されたのが始まりで、2001年度からは「ニューイヤーエクスプレス」の名称で運転されている。
かつては新宿→片瀬江ノ島間で5~8本、新宿→小田原(2008年まで伊勢原)間で1本(2018年まで2本)が運行されていたが、2020年度はコロナ禍もあって全列車が運休。2021年度は新宿→片瀬江ノ島間の1本で引退の決まったVSEが使用され、2022年度以降はEXE・EXEαを使用して1月1日早朝に新宿~片瀬江ノ島間で1往復のみが運行されている。

車内販売は深夜ということもあって基本的に実施されないが、唯一の例外として1987年度の運転においては新型車両の宣伝施策として、デビューしたばかりのHiSEで「走る喫茶室」のサービスが実施されていた。


過去の主な種別

1950年に箱根湯本駅へ乗り入れを開始して以降は列車ごとに異なる愛称が設定されており、1963年にNSEが登場する直前の時点では最大16種類まで存在したことがある。
ここでは準特急を除き、現行の運行体制が成立した1966年6月1日以降に運行された主な列車について解説する。

  • サービス特急→準特急
1953年4月1日のダイヤ改正より、料金不要ながら座席定員列車である「サービス急行」を格上げする形で登場。当時は特急用車両が不足していたため、文字通り特急ロマンスカーを補完する目的で土休日に運用された。
1959年4月21日のダイヤ改正で「準特急」に改められ、100円の座席定員制の指定券を発行するようになった。
車両は2扉のセミクロスシート構造である2300形・2320形が使用され、準特急の運行がない平日には一般列車にも充当されていた。
1963年にNSEが登場し、特急列車の増発が可能になったことで廃止された。

  • あしがら
1950年の箱根湯本への乗り入れ開始に伴い。「箱根特急の特定1便を識別するための列車名」として登場。1966年に一度は消滅したものの、翌年より系統名称の形で新原町田に停車しつつ朝と夜の時間帯に運行する列車として復活し、定期券での乗車も可能になった。通勤・通学需要を想定した列車という点では小田原・箱根湯本線系統の「ホームウェイ」「モーニングウェイ」の始祖と言える。
登場以来長年に渡って親しまれてきたものの、1999年7月17日のダイヤ改正で廃止された。
その後、2018年5月3日~5日の3日間限定で臨時列車「あしがら61号」が設定され、19年ぶりに復活。車両は登場したばかりのGSEが使用された。

  • サポート
1999年7月17日のダイヤ改正より、「あしがら」「さがみ」を統合した種別として登場。「途中駅に多く停車することで沿線利用者の生活をサポートする」という目的で設定され、名称は社内公募によって決定された。
2004年12月11日のダイヤ改正にて列車愛称が行き先別になったことで廃止され、「さがみ」が復活した。

  • ベイリゾート
東京ディズニーリゾートへの利用者をターゲットとして、2008年3月15日のダイヤ改正で登場。千代田線を経由して有楽町線に直通し、新木場駅まで運行されていた臨時特急。土曜日を中心に年間30日程度設定されていた。
運行の性質上、本厚木発着として朝上りと夜下りの1往復が設定されており、運行日は当該時間帯の「メトロさがみ」と「メトロホームウェイ」がそれぞれ運休になっていた。
霞ケ関駅と桜田門駅の間にある連絡線を利用し、スイッチバックもあるなど趣味的にも面白い列車だった。
しかし、臨時列車で宣伝も消極的だったことから利用者数は振るわず、2011年9月25日を最後に運行がなくなり*3、2012年3月17日のダイヤ改正を最後に設定が消滅した。
表向きの理由としては有楽町線にホームドアが設置されたことになっているが、新木場駅で京葉線りんかい線に乗り換えなければならなかったことから中途半端に不便で、スイッチバックの兼ね合いもあって所要時間も長く、運行面でも煩雑な存在だった。
現在は大開口形やロープ式ホームドアが運用されているので技術的な問題は解消されているが、上述の問題から今後復活する可能性は極めて低いだろう。
途中停車駅は町田・新百合ヶ丘・成城学園前・表参道・豊洲で、これに加えて代々木上原と霞ケ関に運転停車していた。

  • ホームウェイ・メトロホームウェイ(多摩線)
「ホームウェイ」は2000年12月2日のダイヤ改正より登場。毎日1本、新百合ヶ丘を経由して新宿→唐木田間で運行されており、2002年3月23日のダイヤ改正で1日2本、2003年3月29日のダイヤ改正で平日3本に増発された。
「メトロホームウェイ」は2008年3月15日のダイヤ改正で平日のみ、新宿発の1本を北千住発に置き換える形で登場した。
しかし、2012年3月17日のダイヤ改正からは平日のみの運行になり、2016年3月26日のダイヤ改正をもって廃止された。
現在は平日のみ「ホームウェイ」83号・85号・87号と「メトロホームウェイ」が新百合ヶ丘に3番ホーム発着しており、多摩線への乗り継ぎに配慮されている。
途中停車駅は(大手町→霞ケ関→表参道→成城学園前→)新百合ヶ丘→小田急永山→小田急多摩センター。定期列車で栗平駅を通過した最後の種別でもある。

  • メトロさがみ
2008年3月15日のダイヤ改正より登場。毎日朝に上り1本が設定され、本厚木→北千住間を運行。
2018年3月17日のダイヤ改正で「メトロモーニングウェイ」に改称される形で廃止された。

  • あさぎり
「ふじさん」の前身。元々は戦争中に東海道線が爆撃を受けた際に迂回路線として活用するという構想が由来である。
1955年10月1日のダイヤ改正で運行が始まった気動車による特別準急を起源としており、当初の途中停車駅は松田のみだったが、1959年7月2日のダイヤ改正からは一部列車が山北・駿河小山にも停車するようになった。
1964年以降は沼津駅までの延伸要望もあったが、当時の御殿場線には御殿場~裾野間の約15㎞に渡って列車交換設備がなく、財政問題もあって国鉄時代には進展しなかった。

1968年7月1日の御殿場線電化後はSSE導入とともに名称が「あさぎり」で統一され、同年10月1日のダイヤ改正からは国鉄の準急が急行に統合される形で廃止になったため、小田急線内でも連絡急行扱いになる。
途中停車駅は引き続き松田・山北・駿河小山の3駅だったが、1971年10月1日からは新原町田にも停車するようになり、1984年2月1日からは本厚木も追加された他、1・6号のみ谷峨にも停車していた。
しかし、SSEは元々耐用年数10年で設計された車両だったために1987年で車齢30年になるなどかなり老朽化が進んでいたが、国鉄側の現場の反応などを考慮し、車体修理を行った上で継続使用していた。

国鉄分割民営化後の1988年7月には小田急がJR東海に対してSSEの置き換えについて申し入れ、さらに1989年10月には利用者数の増加によって富士岡駅と岩波駅に列車交換設備が新設されたこと、御殿場線沿線からも運転区間延長の要望が強くなっていたことから、老朽化したSSEを置き換える抜本的な構想が本格的に進められることになった。
その結果、1991年3月16日のダイヤ改正から小田急とJR東海による相互直通運転が開始され、特急に昇格させた上でRSEと371系がデビュー。
運行区間も沼津まで延長され、途中停車駅も町田・本厚木・松田・駿河小山・御殿場・駿河小山(一部)・裾野に変更された。

これに合わせて路線バスによる二次交通も整備され、東海バスでは中伊豆・西伊豆方面に直通する特急バス「スーパーロマンス号」の運行が始まり、このために開発された車両は正面から見て右側をRSE・左側を371系の塗装で塗り分けるというユニークなデザインだった。
当時のバブル景気を背景に利用者数は好調で、御殿場線沿線に点在するゴルフ場利用の乗客で満席になることも多かった。東海道線に直通して静岡駅までの延伸要望もあったものの、JR東海は3時間以上の所要時間ということで新幹線との差が大きすぎると否定的だった。

しかし、バブル崩壊による景気の低迷とともに駿東地域でのリゾート開発が頓挫したことや観光地としての西伊豆自体の知名度も上がらず、御殿場~沼津間の利用が低調になっていった。
そのため、2012年3月17日のダイヤ改正をもって相互直通運転は終了し、RSEと371系が引退。運行区間もSSE時代と同じく御殿場までに短縮され、車両もMSEによる片乗り入れの形になった。
そして、2018年3月17日のダイヤ改正をもって「ふじさん」に改称される形で消滅した。

その後、MSE運行開始10周年を記念して同年12月2日に団体臨時列車「メトロあさぎり」が運行され、1日限りの復活を果たした。
この列車は綾瀬駅を始発とし、千代田線・小田急線・御殿場線の3路線をまたいで運行された。

ちなみに、SSE時代までは小田急の乗務員の中でも国鉄の考査に合格した人が御殿場まで全区間乗務するという、今では考えられないことをやっていた。これは当時の御殿場線の列車は全て蒸気機関車牽引の客車で、気動車の乗務員がいなかったためである。


多層建て列車

一部の「(メトロ)はこね」と「(メトロ)えのしま」は、車両によって異なる行先になっている多層建て列車である。いずれも「(メトロ)はこね」が小田原方6両、「(メトロ)えのしま」が新宿方4両になっており、相模大野で分割・併合を行う。
途中駅では分割案内板Aを境に、相模大野から前6両は箱根湯本行き、後ろ4両は片瀬江ノ島行きであるとの放送が入る。
これとは別に、箱根登山線内のホーム有効長は20m級7両編成までであるため、EXE・MSE10による「はこね」「ホームウェイ」においても小田原駅で分割・併合を行い、途中駅でも同様の放送がある。

過去には「さがみ」「あさぎり」と「えのしま」、「ホームウェイ」の併結列車も存在しており、「はこね」と同様に「さがみ」「あさぎり」「小田原線系統ホームウェイ」が6両側を、「えのしま」「江ノ島線系統ホームウェイ」が4両側を担当していた。


ドアカット

1999年7月まではロマンスカーに乗車する際には乗車口を限定し、ホーム上で特急券を確認する乗車改札を行っていたため、LSEからEXEまでの車両では半自動扱いも可能な回路になっていた。

千代田線においては上記のように、2008年3月15日のメトロ特急運行開始以来2・3・6・10号車がドアカットされている。

小田急は2032年度までに新宿~本厚木間の全駅と中央林間・大和・藤沢の合計37駅へのホームドア整備完了を目指しているが、本厚木駅では2022年にロマンスカーに対応した「大開口ホームドア」が初めて設置された。
開口部分を最大限に広げることで通勤車両と特急車両の扉位置の違いという課題が解消されるが、それでも一部乗降口に干渉してしまうため、2022年11月15日よりEXE・MSEの4・7号車が小田急線・御殿場線の全停車駅でドアカットされている。
その後は町田・相模大野・海老名にも設置されている。


車両

現行車両

●30000形「EXEEXEα」(Excellent Express)

●60000形「MSE」(Multi Super Express)

●70000形 「GSE」(Graceful Super Express)

●新形式車両
2024年9月、VSEの後継とEXEの置き換えを兼ねた新型車両が2029年にデビューすることが発表された。デザインは「檸檬ホテル」や「熊本益城町テクノ仮設団地みんなの家」などを手がけたCOA一級建築士事務所が担当する。


過去の車両

本項ではSE登場以前に特急に使用されていた車両についても解説する。

●1600形
戦後復興のために復活した、特急ロマンスカーの前身である「週末温泉特急」に1948年から導入された車両。
有料ながら3扉ロングシートの通勤車両で、座席に白いカバーをかけた上でスタンド式灰皿を並べただけだったが、戦後の復興途上だったこの時期においては精いっぱいのサービスであった。
廃車後は全国の地方私鉄に譲渡されており、特に関東鉄道に譲渡された車両は下記のキハ5000形とコンビを組んで運用された。

●1910形→2000形(初代)
1949年に小田急が分離独立して初めて発注した車両にして、「特急ロマンスカー」の名を冠して走り始めた最初の専用車両。ロマンスカーの代名詞のひとつ、「走る喫茶室」のサービスを開始したのもこの形式が初である。
基本的な性能は通勤用の1900形と同様の2扉セミクロスシート構造。1950年からは2000形に改番され、1952年を最後に特急の運用を終了。
その後は通勤車両として改造され、1976年の引退後はこちらも全国の地方私鉄に譲渡された。

●1700形
1951年に登場。高まるロマンスカー人気に対応すべく開発された、初の2扉オールクロスシートの特急専用車両。ロマンスカーの地位を不動のものにした車両しても名高い。
第1・2編成は当時の世相や財政面を加味し、戦災した国鉄車両の機器類を流用して製造された。
先頭車両17m・中間車両20mという独特の車体構造で、車幅は2850mmと当時としてはかなり広く取られた。
第1・2編成は貫通扉を装備していたが、第3編成は非貫通構造になり、中心部に細いピラーを置いた2枚窓という独特の前面形状が特徴。屋根も張り上げ式にしてよりスマートな風貌になっている。初めて「ヤマユリ」のシンボルマークを取りつけた車両でもある*6
SEの導入に伴い、中間車両を増備した上で3ドアロングシートの通勤車両に改造され、「ヤマユリ」のマークも消滅。1974年もって引退した。
当時の小田急の通勤車両とは違って他社に譲渡されることなく全車両が解体されたが、これは上記のように車幅が地方鉄道の2744mmを上回るサイズだったことや、一部は国電の台枠を流用した車両だったことが理由とされる。

●2300形
SEの開発と並行し、当初から「新型車両導入までのつなぎ役」として1955年に登場した車両。小田急の特急車両としては初のカルダン駆動式で、当時最新の2200形をベースに開発された。
小田急初のリクライニングシートを採用し、通常18度の角度である背もたれがボタン操作によってさらに6度リクライニングする構造だったが、角度の固定に難があり、背もたれの高さが不揃いになることが多かったこともあって評価は芳しくなかったという。
SEが出揃った1959年をもってその役割を全うし、2扉セミクロスシートの準特急用車両に改造されて引き続きSEを補完する立場に。
1963年のNSE増備によって準特急が廃止になったことで3ドアロングシートの通勤車両に改造され、1982年に引退。その後は富士急行に譲渡され、同社5700形として1997年2月まで使用された。

●2320形
特急ロマンスカーを補完する準特急用車両として1958年に登場。準特急用に格下げされた上記の2300形と同じく、両開きの客用扉を2か所に持つセミクロスシート構造になっている。
土休日の準特急を中心に、平日には一般列車としても使用されていた
NSEの増備によって準特急が廃止されてからは通勤車両に改造され、制御方式が同じ2200形・2220形・2300形と共通運用が行われた。1983年の引退後は3形式揃って富士急行に譲渡された。

●キハ5000形・5100形
1955年に登場した御殿場線直通用の気動車。
基本設計は当時御殿場線で使用されていた国鉄キハ50形に準じているが、車体形状は通勤車両の2100形に近い。
1956年からはシートピッチを拡大した5100形が登場し、後に5000形にも同様の改造を実施した。
塗装は当初他の小田急車両と同じく青と黄色のツートンだったが、1959年にクリーム色に朱色帯という当時の国鉄気動車準急色に近いものに変更された。
御殿場線の電化によって使用車両はSEの転用に決まったため、1968年6月30日をもって運行を終了。
全車両が関東鉄道に売却され、3扉ロングシート化などの改造を経て同年12月より同社キハ751形・753形として運行を開始し、1988年9月まで使用。廃車後も常総線新塗装の検討モデルとして使用された。
なお、関東鉄道では前述した1600形と併結して運用されるという、小田急時代には決して見られなかった編成で使用されたこともあった。

●3000形(初代)「SE」・「SSE

●3100形「NSE」(New Super Express)

●7000形「LSE」(Luxury Super Express)

●10000形「HiSE」(High Super Express)

●20000形「RSE」(Resort Super Express)

●JR東海371系

●50000形「VSE」(Vault SuperExpress)


他社に移籍したロマンスカー

ロマンスカーの中には小田急で役目を終えた後も、他社に譲渡された車両がこれまでに371系を含めて4形式存在する。
譲渡先の社名はいずれも当時のもの。

●大井川鉄道3000系電車(元SE)

●長野電鉄1000系(元HiSE)

●富士急行8000系(元RSE)

●富士急行8500系(元371系)


座席

車両によっては以下のような特別席が設けられている場合もある。

  • 展望席
運転席を2階に上げることで、車両の最前面まで座席が配置されており、最高の眺望性を楽しむことができる。
歴代車両ではNSE・LSE・HiSE・VSE・GSEに設けられている。
料金は一般席と同額だが非常に人気は高い。2023年6月以降は事前予約不可能になった*10

  • スーパーシート(グリーン席)
RSEと371系の2階席に設置されていた特別席。RSEのみ小田急線内ではスーパーシート、「あさぎり」ではグリーン席と呼称されていた。
利用には通常の特急券に加えてスーパーシート(グリーン)料金が必要で、2011年3月11日までは「走る喫茶室」と同様のシートサービスも行われていた。

  • セミコンパートメント
RSEの4号車1階席に設けられていたセミコンパートメント席。4人がけで3区画、計12人分設けられていた。

  • サルーン
VSEの3号車に4人がけで3区画、計12人分設けられていたセミコンパートメント席。箱根登山線のみの利用は不可能だった。
RSEとは違って1区画ごとの販売で、人数に関係なく4倍のサルーン料金が必要。

  • 子育て応援車
2025年4月15日から導入。
11:00~16:59に新宿発着、11:00~17:59に新宿駅に到着するロマンスカーの3号車に設定。
車内には小田急の子育て応援キャラクターである「もころん」のヘッドレストカバーとステッカーが掲示される。

  • 自由席
相互直通運転時代の「あさぎり」は、御殿場~沼津間のみ6号車が自由席になっていた。当初は全区間指定席だった。


予約システム

特急券は1か月先までの予約・購入が可能である。
e-Romancecar」は会員登録なしで手軽に利用でき、購入はもちろん予約だけの使い方も可能。
ロマンスカー@クラブ」は会員登録が必要だが、利用実績に応じてポイントが付与されるという特典があり、発券することなくチケットレスで乗車できる。
EMotロマンスカーパスポート」はいわゆるサブスクリプションで、チケットレス料金の約10倍で購入することで平日の日中(9:00~17:59発)のロマンスカーに1日2回まで乗り放題になる。

千代田線内のみの利用は不可能で、箱根登山線については2005年10月1日より当日座席に余裕がある場合に限って両駅のホームで「座席券」が発売される。満席および満席が想定される場合は発売されない。
現在は正式に特急券になっているが座席は指定されず、この区間のみの予約・購入もできない。

ロマンスカーは例外なく全列車特急扱いかつ全区間指定席であり、特急券を購入しないで乗車した場合は車内で特急料金に310円を加算した料金を徴収され、千代田線に連絡する区間を乗車した場合はさらに100円が加算される。
かつてはホーム上で検札を行っていたが、1999年からは車掌が持っている携帯端末で特急券の発売状況を確認できるシステムが導入された。
ロマンスカーは事前に特急券を購入してから乗車しましょう


車内サービス

いわゆる「走る喫茶室」と呼ばれるシートサービスが始まったのは1949年の1910形運行開始時からである。乗客へのサービスとして「お茶でも出せないか」という発想から検討されたものだったが、当時は特急券を購入した乗客に物品を提供するのは規則上禁止されていたため、飲料の販売を行うことに決定したものである。
編成も乗車時間も短いことから車内にカウンターを設けた上でシートサービスを行うことが決まり、日東紅茶が採算を度外視して紅茶の普及宣伝として担当することになった。
その後NSEが増備されたことで日東紅茶だけでは対応できなくなり、1963年から森永の宣伝を兼ねて森永エンゼルが加入。下記のようにテレビドラマの舞台にもなったことでロマンスカーのイメージとして定着するようになり、HiSEでは日本の列車としてはじめてオーダーエントリーシステムが導入された。
基本的に臨時列車では非営業だったが、上記の「ニューイヤーエクスプレス」など稀に営業を行ったことがある記録が残っている。
御殿場線系統でも特別準急時代から行われており、全区間で小田急サービスビューロー(1957年からは小田急商事)の車内販売員が1~2人乗務していた。SSEの転用後は森永エンゼルによって小田急線内列車と同様のシートサービスが行われた。
1991年からは相互直通運転が始まったことでRSEによる1・4・5・8号で小田急レストランシステム、371系による2・3・6・7号でジェイダイナー東海によるシートサービスがそれぞれ行われた。座席にスチュワーデスコールボタンが設置されていた。
メニューは2社によって異なり、後者では果物を車内でカットして盛り付けを行なっていた他、朝上りを走る2号のみ和風・洋風のモーニングセットの販売が行なわれた。
小田急レストランシステムは1列車6人、ジェイダイナー東海では1列車5人が乗務していた。いずれもグリーン車のみの営業で、普通車ではワゴンサービスを行っており、双方ともに2011年3月11日までサービスが提供された。

しかし、時代の変遷によって通勤・通学や日常利用といった観光以外の用途が増加し、注文を受けて各座席へ品物を届けるサービスが提供しづらくなったこともあり、当初から担当していた日東紅茶が1993年に撤退し、森永エンゼルも撤退した1995年3月をもって「走る喫茶室」のサービスはいったん終了した。

その後は1995年3月から小田急レストランシステムのアテンダントによるワゴンサービスが継続されていたが、2005年に登場したVSEは10年ぶりにシートサービスが復活。注文の迅速化のために無線LANを使用したオーダーエントリーシステムを導入し、飲料は専用グラスで提供された。
以来10年に渡って親しまれたが、2016年3月26日のダイヤ改正で運転間隔が変更されたために再びシートサービスは終了した。

サービス提供時は弁当・軽食・おつまみ・飲み物・ロマンスカーグッズに季節限定メニューなど、質の高いラインナップで好評を博した。
ただし、基本的に「スーパーはこね」と一部を除いた「(メトロ)はこね」といった箱根特急のみの営業で、それ以外の列車では繁忙期を除いて非営業だった。
併結列車についてはまちまちで、「はこね」部分でのみ営業することもあれば全車両で非営業のケースもあった。

コロナ禍のために2020年4月8日から当面の間中止され、さらに5月の土休日にはロマンスカー全列車が運休する事態にもなったが、6月よりメニューと対象列車を縮小した上で再開された。
そして、2021年3月12日の午後17時をもって車内販売は正式に終了し*11、長年続いてきた小田急の車内サービスはついにその幕を閉じた。

なお、EXE以降はVSE以外の各車両に自動販売機が設置されており、飲み物の購入は可能。


停車駅一覧

小田急線内列車

  • 小田原線系統
新宿 新百合ヶ丘 町田 相模大野 海老名 本厚木 伊勢原 秦野 小田原 箱根湯本
スーパーはこね
はこね
さがみ
ホームウェイ
モーニングウェイ

●スーパーはこね
小田原線内の全駅を通過する最速種別。2016年3月26日のダイヤ改正までは上り列車、2022年3月12日のダイヤ改正までは平日の運用も存在した。

●はこね、さがみ
長らく「(向ヶ丘遊園・)町田・本厚木(・新松田)」「新百合ヶ丘・相模大野・本厚木・秦野」のパターンが主流で、近隣の駅とは千鳥停車の関係にあったが、近年はパターン・駅数ともに年々増加傾向にあり、現在では新百合ヶ丘・町田や海老名・本厚木、本厚木・伊勢原といった急行と同一停車や間に1駅しか挟んでいない短距離通過も多く存在する。
それでも相模大野に関しては現在でも「新百合ヶ丘・本厚木(・伊勢原)・秦野」パターンのみが停車しており、隣接する町田・海老名との互換関係が継続している。
最も停車駅が多いのは「新百合ヶ丘・町田・海老名・本厚木・伊勢原・秦野」のパターンで、相模大野を除いた全ての駅に停車している。

「さがみ」も基本的に同様だが、その性質上途中駅発着の列車も存在し、本厚木行きと海老名始発の列車がある。過去には秦野行きや本厚木始発の列車も存在した。

かつては向ヶ丘遊園と新松田に停車する列車も存在したものの、2018年3月17日のダイヤ改正をもって全列車が通過になり、特急関連の設備も後に撤去された。

●ホームウェイ
定期列車は全て町田・海老名・本厚木に停車し、時間帯に応じて秦野・小田原・箱根湯本まで乗り入れる運用になっている。
登場以来長らく町田・本厚木・秦野の3駅が基本だったが、2016年3月26日のダイヤ改正からは海老名が停車駅に追加され、千鳥停車の形で本厚木を通過する列車が登場。後に再び全停車に戻ったことで海老名は一部停車の扱いになり、2022年3月12日のダイヤ改正で全停車駅になった。
かつては江ノ島線系統との併結列車のみ町田の代わりに相模大野に停車していたが、2012年3月17日のダイヤ改正で系統分離されてからは設定がなくなった。

過去には平日のみ町田行きの25号が設定されていたが、2018年3月17日のダイヤ改正で運行区間が相模大野まで延長されるとともに、番号も61号と独自の数字になったが、2020年3月14日のダイヤ改正で廃止された。
現在は本厚木行きとして平日のみ25号が復活しており、さらに27号も新設されている。

●モーニングウェイ
小田原線系統は「ホームウェイ」と同様に本厚木・海老名・町田を停車駅とし、時間帯に応じて秦野・小田原まで運行区間が延長されるのが基本的な運用だが、唯一の例外として平日の秦野・小田原始発の2本(80号台)のみ町田を通過し、海老名~新宿間をノンストップで運行する列車がある。その他、早朝には相模大野→新宿間で2本(90号台)が運行され、町田と新百合ヶ丘に停車する。
かつては土休日のみ停車駅が異なり、「本厚木・相模大野・新百合ヶ丘」といったパターンが存在したが、現在は曜日を問わず「ホームウェイ」とほぼ同様のパターンに統一されている。
設定前の「さがみ」時代には海老名も通過し、本厚木~新宿間をノンストップで運行する列車も存在した。

  • 江ノ島線系統
原則として停車駅は新百合ヶ丘・相模大野・大和・藤沢で共通。
新宿 新百合ヶ丘 相模大野 大和 藤沢 片瀬江ノ島 備考
えのしま
ホームウェイ 平日2本・土休日4本
平日3本・土休日1本
モーニングウェイ
平日50号
●ホームウェイ
早い時間帯には片瀬江ノ島まで乗り入れる列車が存在し、平日2本・土休日4本が設定されている。
小田原線系統との併結時代は新百合ヶ丘を通過しており、系統分離後も引き続き平日のみ通過する列車が存在したが、2018年3月17日のダイヤ改正で全列車が停車するようになった。

●モーニングウェイ
全列車が藤沢始発で、平日2本・土休日1本が運行。平日の50号のみ新百合ヶ丘を通過する。かつては片瀬江ノ島始発の列車も存在した。


他社線直通列車

  • ふじさん
駿河小山駅のみ通過列車が存在する。2012年3月17日のダイヤ改正で停車駅から町田・裾野・沼津が消え、代わって新百合ヶ丘・相模大野・秦野が加わった。
新宿 新百合ヶ丘 相模大野 本厚木 秦野 松田 駿河小山 御殿場 備考
ふじさん 1・3・6号
2・4・5号

  • メトロはこね、メトロホームウェイ、メトロモーニングウェイ
北千住 大手町 霞ケ関 表参道 成城学園前 新百合ヶ丘 町田 相模大野 海老名 本厚木 伊勢原 小田原 箱根湯本 備考
メトロはこね 平日の20号のみ経堂~代々木上原間は緩行線
土休日の「メトロえのしま」併結列車
メトロホームウェイ 平日43号および土休日
平日41・45・47・49号
メトロモーニングウェイ 平日、経堂~代々木上原間は緩行線を走行
土休日
●メトロはこね
単独運転の場合は町田・本厚木に、「メトロえのしま」と併結する場合は相模大野に停車する。いずれも2025年3月26日のダイヤ改正からは伊勢原が停車駅に追加。

●メトロホームウェイ
平日のみ大手町始発の列車が存在。かつては成城学園前・新百合ヶ丘・海老名を通過する列車があったものの、現在はいずれも全停車駅になっていることから通過駅の差はなくなった。

●メトロモーニングウェイ
土休日のみ新百合ヶ丘と成城学園にも停車する。

  • メトロえのしま
メトロ特急では唯一停車駅が固定されている。
北千住 大手町 霞ケ関 表参道 成城学園前 相模大野 藤沢 片瀬江ノ島
メトロえのしま


停車駅簡易表

凡例
S スーパー
M メトロ
HW ホームウェイ
MW モーニングウェイ
停車
一部停車
下りのみ停車
上りのみ停車
下りのみ一部停車
上りのみ一部停車
緑色 下りは乗車、上りは降車のみ取り扱い
通過
下りのみ通過
上りのみ通過
運転停車
運行なし

◇小田原線系統
駅番号 駅名 S






H
W
M
W
接続路線
OH 01 新宿 新宿駅のページを参照。
OH 23 新百合ヶ丘 多摩線(小田急多摩センター・唐木田方面)
OH 27 町田 JR横浜線
OH 28 相模大野 江ノ島線(大和・藤沢・片瀬江ノ島方面)
OH 32 海老名 相鉄本線、JR相模線
OH 34 本厚木
OH 36 伊勢原
OH 39 秦野
OH 47 小田原 東海道新幹線、JR東海道線上野東京ライン湘南新宿ライン
伊豆箱根鉄道大雄山線
OH 51 箱根湯本 箱根登山線(強羅方面)

◇江ノ島線系統
駅番号 駅名


H
W
M
W
接続路線
OH 01 新宿 新宿駅のページを参照。
OH 23 新百合ヶ丘 多摩線(小田急多摩センター・唐木田方面)
OH 28 相模大野 小田原線(小田原・箱根湯本方面)
OE 05 大和 相鉄本線
OE 13 藤沢 JR東海道線(上野東京ライン・湘南新宿ライン)、江ノ島電鉄線
OE 16 片瀬江ノ島

◇御殿場線直通
駅番号 駅名


接続路線
OH 01 新宿 新宿駅のページを参照。
OH 23 新百合ヶ丘 多摩線(小田急多摩センター・唐木田方面)
OH 28 相模大野 江ノ島線(大和・藤沢・片瀬江ノ島方面)
OH 34 本厚木
OH 39 秦野
松田駅(新松田駅)付近の連絡線経由で御殿場線
CB04 松田 御殿場線(国府津方面)
CB08 駿河小山
CB10 御殿場 御殿場線(沼津方面)

◇千代田線直通
全列車とも千代田線内のみの乗車はできず、下りは乗車・上りは降車のみ取り扱う。いずれも1・4・5・7・8・9号車のみドアが開く。
また、代々木上原で乗務員交代のため運転停車する。
駅番号 駅名 M


M
H
W
M
M
W
接続路線 備考
C 18 北千住 千代田線・常磐緩行線(綾瀬・北綾瀬・取手方面)、JR常磐線快速
東京メトロ日比谷線東武スカイツリーラインつくばエクスプレス
下りは乗車、上りは降車のみ可。
C 11 大手町 丸ノ内線・東西線半蔵門線
都営三田線
C 08 霞ケ関 丸ノ内線・日比谷線
C 04 表参道 銀座線・半蔵門線
C 01
OH 05
代々木上原 乗務員交代のための運転停車
OH 14 成城学園前
OH 23 新百合ヶ丘 多摩線(小田急多摩センター・唐木田方面)
OH 27 町田 JR横浜線
OH 28 相模大野 江ノ島線(大和・藤沢・片瀬江ノ島方面)
OH 32 海老名 相鉄本線、JR相模線
OH 34 本厚木
OH 36 伊勢原
OH 47 小田原 東海道新幹線、JR東海道線(上野東京ライン・湘南新宿ライン)
伊豆箱根鉄道大雄山線
OH 51 箱根湯本 箱根登山線(強羅方面)

駅番号 駅名 M



接続路線 備考
C 18 北千住 千代田線・常磐緩行線(綾瀬・北綾瀬・取手方面)、JR常磐線快速
日比谷線、東武スカイツリーライン、つくばエクスプレス
下りは乗車、上りは降車のみ可。
C 11 大手町 丸ノ内線・東西線・半蔵門線
都営三田線
C 08 霞ケ関 丸ノ内線・日比谷線
C 04 表参道 銀座線・半蔵門線
C 01
OH 05
代々木上原 乗務員交代のための運転停車
OH 14 成城学園前
OH 28 相模大野 小田原線(小田原・箱根湯本方面)
OE 13 藤沢 JR東海道線(上野東京ライン・湘南新宿ライン)、江ノ島電鉄線
OE 16 片瀬江ノ島


ロマンスカー関連施設

  • ロマンスカーミュージアム
2021年4月19日に海老名駅付近に開業。
SEからRSEまでの歴代ロマンスカーと開業当初の車両であるデハ1形、小田急沿線のジオラマに運転シミュレーター、子ども向けのキッズルームなどが展示されている。2階には小田急のオフィシャルグッズショップである「TRAINS」があり、屋上は海老名駅や海老名検車区を一望できる展望台になっている。
その他、駅につながるペデストリアンデッキにカフェテリア「ビナキッチン」が併設されており、こちらは誰でも利用可能。

  • ロマンスカーカフェ
VSEで営業していたものと同名のカフェテリアが新宿駅の西口地上改札側に存在し、2006年3月31日から小田急レストランシステムによって運営されていたが、新宿駅西口の再開発によって2023年2月25日に閉店した。

  • ロマンスカーシートボックス
かつては海老名駅に隣接している「ビナウォーク」のフードコートにHiSEとRSEで実際に使われていた運転席と普通席・スーパーシートが置かれており、座って食事を楽しむことができた。運転席は1席ずつ2人がけで、それ以外はセミコンパートメントのように2席ずつ4人がけで向かい合せに設置されていた。
2020年8月までに撤去され、現存しない。


ロマンスカーが登場する作品

楽曲

  • 「小田急ピポーの電車」
1961年に発表された作品。歌唱はボニー・ジャックスとザ・ピーナッツが担当。
SEの警笛をイメージした作品でかなり中毒性があり、『モヤモヤさまぁ〜ず2』(テレビ東京)で小田急沿線や箱根を訪れた際は必ずこの曲が使用されていた。

  • 「Myself ~風になりたい~」
1989年9月21日に発表された徳永英明の8枚目のシングル作品。
当時のロマンスカーのCMソングとして起用され、当時イメージリーダーだったHiSEが登場していた。
徳永氏にとっては男女の恋愛をテーマとしない初めての曲でもあった。

  • 「ロマンスカー」
1992年に発表された村下孝蔵のシングルで、同時発売のアルバム「名もない星」にも収録されている。
失恋を切なく歌ったフォークソングで、完成時には「やっと納得する作品ができた」と語った渾身の作品でもあり、出棺時に流れされたほど最も好きだった曲だという。

  • 「ロマンスをもう一度」
2002年に発表された作品。
現在のロマンスカーのイメージソングで、しばしばCMでも起用されている。
作曲の葛谷葉子を皮切りにさまざまなボーカルのバージョンが使用されている。
VSEやGSEでは車内チャイムとしても使用されており、芦ノ湖の箱根海賊船では桟橋到着前に船内放送でオルゴールアレンジが流れている。


映像作品

本編に登場した「異次元列車」はNSEがモチーフになっており、1・11号車と中間2両(パンタグラフからして5・7号車)の4両という短編成になっている。
この話は第20話として放送予定だったが、諸事情で本放送が見送られて再放送で日の目を見たという特殊な作品で、2004年には小田急の承認を得て本列車を模したプラレールが限定発売されている。
当時は小田急線沿線に円谷プロの本社があったためか、初期の『ウルトラマンシリーズ』では小田急へロケや取材を行ったエピソードが他にも散見され、ロマンスカー関係だとウルトラセブン第2話ではNSEの車内ロケが行われている。
現在の祖師ヶ谷大蔵駅や駅周辺にウルトラマンコラボが多いのも当時はここに本社があったからである。ロマンスカーは通り過ぎるけどね。

  • 『想い出づくり。』
1981年に放送されたTBSテレビのドラマ作品。
主人公の1人である古手川祐子がロマンスカーの乗務員・吉川久美子を演じており、小田急が撮影に協力し、実際のロマンスカー車内でロケを行ったシーンが登場。1980年代当時の新宿駅やロマンスカーの映像が登場する貴重な作品になっている。
こちらはCSや配信サービスで視聴可能。

  • 『ロマンス』
2015年に公開された日本映画。
主演は元AKB48大島優子で、グループ卒業後初の主演作になった。ロマンスカーのアテンダントとして働く主人公・北條鉢子を演じる。


その他

  • 行楽特急(ロマンスカー)殺人事件
西村京太郎『十津川警部シリーズ』の一編。
ロマンスカー独自の車両構造を生かした消失トリックが登場。何となく勘のいい人はどんなトリックかこれでわかるだろう。
後にテレビ朝日でドラマ化されたものの、列車は上越新幹線に変わっていた。

  • 石田あいこ・渋沢あさぎ
トミーテックの鉄道制服キャラクターコンテンツ『鉄道むすめ』には、ロマンスカー関係者として2人が登場している。
石田あいこは車掌→運転士を経て2018年からロマンスカー主任車掌を担当。名前の由来は愛甲石田駅。
渋沢あさぎはVSEやGSEでロマンスカーアテンダントを担当し、2018年からは上級職の「グランドパーサー」に昇格した。名前の由来は渋沢駅と「あさぎり」から。
なお、上述の通りロマンスカーアテンダントは廃止され、石田あいこの着用するロマンスカー用の白い制服も2023年3月をもって使用を終了した。
グッズ自体は現在も在庫処分価格で発売されているが、小田急のキャラクタービジネスは下記の「もころん」へシフトしたことや萌えキャラを取り巻く情勢の変化もあってかリニューアルは見送られており、両名とも事実上の引退状態にある。

スマートフォン向け位置情報ゲーム『駅メモ!』に登場するキャラクター。ほこねがVSE、うららがMSEの擬人化キャラクターである。
2014年から登場しており、着せ替えスキンなどの類も多い。
ほこねに関しては実車の引退に合わせてバージョンアップ(いわゆる限界突破)も実装されている。
一方でうららは割と良識派にもかかわらず、ほこねが婉曲的に言えばそのうららにほぼ常に引かれるほどかなりぶっ飛んだ性格の人というのが最大の特徴でもある。

  • もころん
2023年8月に登場した小田急の子育て応援キャラクター。デザイン担当はイラストレーターのやまむらともよ。
ウサギがモデルになっており、名前は「もこもこな容姿」「小田急・お子さま・応援の“O”」「ロマンスカーとの語呂合わせ」から決定。小田急のブランドカラーである青を主体に、手足や尻尾はロマンスカーをイメージしたオレンジで配している。GSEをモチーフとしたお気に入りのポシェットを肩からかけている。
デビュー直後にVSEの引退ツアーに登場するなど大規模なアピールを実施した結果ブレイクを果たし、各種グッズ展開はもちろん車両への装飾も実施されるなど、今や小田急を支える屋台骨の1つになったといっても過言ではない。
2025年3月3日からはMSEの車内チャイムでもころんのテーマソング「今日はどこにでかけよう」の使用を開始しており、同月末にはMSE全編成にもころんのヘッドマークも取り付けられた。


余談

  • 乗車位置
ロマンスカー停車駅のホームには足元にドアの位置を示す表示があり、車両ごとに色分けされている。EXEとMSEについては共用で、編成ごとに茶色(10両)・青色(6両)・灰色(4両)と色分けされている。
基本的に「(メトロ)はこね」と併結する「(メトロ)えのしま」を除いて4両編成単独の運転はないため、小田原線内で灰色乗車位置が案内されることはないが、2019年1月12日~14日の「スーパーはこね9号」「はこね52号」「さがみ71号」は史上初めてEXEαによる4両編成で運行されたため、灰色で案内された。

  • 通勤車両による代走
ロマンスカーは検査や故障の際には他形式で代走することが多いが、さまざまな事情から車両が捻出できず、やむなく通勤車を使用した例がある。

1度目は1965年前後の数年間、特急需要のピーク時や検査時などで特急車両が不足していたため、HE車の2400形が一部の「えのしま」を担当。特急料金は不要だったものの座席定員制であり、車内に号車番号札と座席番号表示を装備した車両が運用されて「サービス特急」と呼ばれた。

2度目は1987年1月に、NSEとLSEが1編成ずつ検査中だった時期に踏切事故でSEが1編成使用不能になったため、「さがみ」の一部列車を8000形が代走した。
種別幕は「臨時」と表示し、特急料金不要で運行された。

3度目は2016年12月に本来運用予定だったEXEの故障により、1000形の6+4両編成が「えのしま74号」を代走。事前予約していた人のみ乗車でき、当日券は発売されなかった。

  • 4両編成
前述の通り、EXEとMSEは6+4両編成の構造になっており、10両編成以外にも6両編成単独による運転も多く見られる一方で、「(メトロ)はこね」と併結する「(メトロ)えのしま」を除いて基本的に全区間4両編成での運行はなく、MSEの4両編成側には千代田線・御殿場線の保安装置も備えられていない。
下りの「はこね」では小田原で切り離されるため、4両側で「箱根湯本」の表示や箱根登山線への入線もない。
なお、EXE4による運行は連休やトラブル時による代走が生じた際に適宜行われている。



追記・修正は展望席の最前列の切符を手に入れた人がお願いします。

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最終更新:2025年09月17日 20:49

*1 連結器ではなく1つの台車で2つの車体を支えるもの。路面電車での採用例が多い。

*2 過去には近鉄奈良線の特急で10両編成が存在したが、2025年2月22日のダイヤ変更で廃止された(繁忙期には増結例がある)。

*3 実際には東日本大震災以降は運用がなかった。

*4 登場当初は588席だったが、リニューアルの関係で座席はEXEαに合わせて10席減少した。

*5 2014年以降は特段の事情がない限り必ず受賞を行う方針に改められたという。

*6 神奈川県の県花であり、相模の山野を走るロマンスカーにはふさわしい花とみられていた。

*7 この時解体された9号車は車体側面にヤマユリのシンボルマークを付けた最後の1両でもあった。

*8 当初は10度の予定だったが、かえって落ち着かなかったとのこと。

*9 この他、一部では「ホームドアへの対応が困難なため」という噂も流れたが小田急は否定しており、ホームドア設置後のEXE・MSEのように一部号車をドアカットすれば事足りる。

*10 2021年3月から11月にかけてロマンスカーの虚偽の空予約を約9300回以上も繰り返し、2022年7月に偽計業務妨害罪で書類送検される事件が発生した。

*11 実際には2021年1月8日から中止しており、その前日の1月7日が実質的な最終日になった。