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更新日:2025/04/17 Thu 11:38:53
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小田急ロマンスカーとは、小田急電鉄の
特急列車およびその使用車両の名称である。
概要
小田急電鉄の看板列車であり、
東武鉄道の
日光・
鬼怒川線特急、近畿・中部圏をネットワークする近鉄特急と並んで有料の私鉄特急列車としては屈指の知名度と人気を誇る。
私鉄特急の中でも流線型をいち早く導入したり、連接台車を採用したり、日本国有鉄道(国鉄)へ貸し出されて狭軌における世界最高速度を記録し新幹線の開発に多大な影響を与えたり、地下鉄に乗り入れたりと、常に時代の最先端の技術を導入しており、観光からビジネスまで幅広い運用が設定されている。
1967年(
御殿場線直通列車は1985年)以降は定期券でも乗車できるようになっており、通勤・通学での利用者も多い。
技術面での評価も高く、グッドデザイン商品などのさまざまな賞を受賞している。
特に「鉄道友の会」が毎年優れた車両に送る「ブルーリボン賞」はEXEを除く歴代の全形式が受賞しており、受賞回数8回は近畿日本鉄道の9回に次いで2位の記録を持つ。
このブルーリボン賞が創設されるきっかけになったのも小田急ロマンスカーである。
そもそも「ロマンスカー」は本来、2人がけの座席である「ロマンスシート」を備えた車両であり、「2人客がある程度でもプライベートな時間を過ごせる」ロマンスシートは画期的なものだった。当初は各鉄道会社が「我が社のロマンスカー」とアピールしてきたが、1950年代以降は各社が独自のネーミングを用いるようになっていった。
しかし、小田急だけは唯一「ロマンスカー」という名前を使い続けたため、一般にも広く定着するようになり、最終的には他社におけるロマンスカー名の使用が完全になくなった1990年代後半に商標登録(第3321840号)するまでに至った。
歴代形式は一部を除き運転席を2階に上げることで車両の最前列に座席を設置する「展望席」を設けており、最高の眺望性を楽しむことができる。事前予約なしでは座席の確保が難しいほどで、ロマンスカーといえば展望車はもはや代名詞でもある。
種別
列車番号については、下りは奇数・上りは偶数の番号になっている。併結運転を行う「(メトロ)はこね」と「さがみ」「(メトロ)えのしま」については、原則として併結先の種別と番号を共有している(一部例外あり)。
ただし、2012年3月17日のダイヤ改正まで併結していた「ホームウェイ」では個別の番号だった。
小田急線内種別
1950年から登場した伝統ある種別で、新宿~箱根湯本間を走る主力列車。停車駅はおおむねパターン化されている。かつては途中駅発着の列車が存在したが、現在は全列車が新宿~箱根湯本間を通して運行している。
一部列車は新宿~相模大野間で「えのしま」と併結する列車がある。
1996年3月23日から登場。上記の「はこね」のうち、小田原線内を無停車で走行する最速の種別。かつては上り列車も存在したが現在は下りのみの設定で、土休日9:00・10:00発の2本のみ運行。
2018年3月17日のダイヤ改正からは、土休日の5号~9号は小田原線内を59分で走破しており、SE開発当時の悲願だった「新宿~小田原間60分以内」という小田急の60年越しの夢が実現した。
2020年3月14日のダイヤ改正以降、土休日の5号は10両編成のEXEに変更され、久しぶりにEXE10による「スーパーはこね」が復活したが、代わりにVSEの小田原線内59分走破が消滅した。
2022年3月12日のダイヤ改正からは土休日2本の運行に削減され、平日は全て廃止になった。
「はこね」を補う特急で、小田原線内完結の列車。停車駅は「はこね」より比較的多い傾向にあるが、小田原線内完結であれば全てこの名称が与えられるため、上りの途中駅始発や下りの途中駅止まりなど、区間運転を行う列車も多い。
10両編成のEXE・MSEで運行される「はこね」は、新宿方の後ろ4両は小田原止まりになっている。
元々は1948年に運行を開始し、1963年から現在の名称が登場した古参の種別(第二次世界大戦による企業そのものの中断・再分離をカウントしなければ最古参の特急系統)ではあるが、1999年7月17日のダイヤ改正から2004年12月11日のダイヤ改正までは廃止されており、代わりに「サポート」という種別があった。
「はこね」と同じく、一部列車は新宿~相模大野間で「えのしま」と併結する。
相模大野駅を経由し、江ノ島線に直通する特急。新宿に到着したロマンスカーの車両を利用した「納涼ビール電車」という臨時列車が起源。
1964年3月21日より土休日のみの種別として初登場し、翌年3月1日から毎日運転されるようになる。
本数は少なく、平日は下り1本・上り3本のみの運転。一方で土休日は観光需要により大幅に本数が増加し、2時間に1本ペースで運転される。
2018年3月17日のダイヤ改正で「はこね」「さがみ」との併結列車は一部を除いてほとんどが廃止されたが、2022年3月12日のダイヤ改正以降は再び増加している。
1997年7月17日から登場。17時以降に新宿駅を発車する下り列車は、行き先に関係なく全て「ホームウェイ」という名称になる。
愛称は公募によって決定。ちなみに第1位は「ホームタウン」だったが、
JR東日本がすでにその名称を使用していたことから「ホームウェイ」になった経緯がある。
小田原線系統と江ノ島線系統の列車が存在し、かつては多摩線に乗り入れる列車もあったが、2016年3月26日のダイヤ改正で廃止された。また、平日の最終列車は61号相模大野行きになっていたが、2020年3月14日のダイヤ改正で廃止された。
ちなみに、以前は日中時間帯の「はこね・えのしま」などと同じように、相模大野まで小田原線系統と「えのしま」系統を併結する列車が存在していたが、2012年3月17日のダイヤ改正で廃止された。
2018年3月17日のダイヤ改正より運行開始。「ホームウェイ」の上り版で、午前9時30分までに新宿に到着する上りの全列車がこの名前を名乗る。
こちらもホームウェイと同様に公募が行われ、応募名称数が第1位だったことから選定された。
他社線直通列車
全列車がMSEによる運行である。
新松田付近の連絡線を経て松田駅に入り、
御殿場線に直通して御殿場駅まで走る。1~6号の3往復が運行されており、2022年3月12日のダイヤ改正までは土休日のみ4往復+不定期運行の臨時列車1往復(駿河小山通過)の計5往復が設定されていた。
ロマンスカーの中では唯一、全列車がMSEによる6両編成で運転される。「あさぎり」時代は土休日のみ新宿~相模大野間で「えのしま」と併結する列車があったが、「ふじさん」に変更してからは全て単独運転である。
片乗り入れという形ではあるが、関東の大手私鉄が
JR東海の路線に乗り入れる唯一の事例。
●メトロ特急
2008年3月15日のダイヤ改正より登場した、日本初となる地下鉄乗り入れ特急である。
代々木上原から
東京メトロ千代田線に直通して北千住まで向かう列車で、いずれも「メトロ○○」という名前で案内されており、行先や運行時間帯は小田急線内の同名の種別に準ずる。
千代田線内ではホームドアの関係上、1・4・5・7・8・9号車のみドアが開く。
北千住到着後すぐに列車がない場合は、北綾瀬駅を経由して綾瀬検車区に入庫、あるいは綾瀬駅の留置線で待機するか折り返し喜多見検車区まで回送する。
運行区間は北千住~箱根湯本。平日1往復、土休日3往復が設定されている。EXEによる「はこね」と同じく、箱根登山線には前6両のみが直通する。
土休日の1.5往復(90号・91号・93号)は北千住~相模大野間を「メトロえのしま」と併結して運行しており、こちらは相模大野に停車する代わりに町田と本厚木は通過する。
2018年3月17日のダイヤ改正より登場。土休日のみの運転で、下り2本・上り1本運行される。運行区間は北千住~片瀬江ノ島。「えのしま」と違って成城学園前にも停車するが、新百合ヶ丘と大和は通過する。
全列車が相模大野以東を「メトロはこね」と併結して運行。江ノ島線内は4両編成で運転する。
「ホームウェイ」と同じく17時以降に北千住・大手町を発車する下りロマンスカーは、全て「メトロホームウェイ」になる。運行区間は北千住・大手町(平日のみ)→本厚木。列車番号は41号~49号。
平日5本・土休日2本運転され、平日の4本のみ大手町駅を始発としており、千代田線の配線の関係で湯島駅の留置線で折り返してから戻ってくる。
「えのしま」系統の「ホームウェイ」と同じく、平日のみ新百合ヶ丘には3番ホームに到着し、各駅停車唐木田行きと接続する。
2018年3月17日のダイヤ改正より運行開始。午前9時30分までに大手町に到着する上り全列車がこの名前を名乗る。運行区間は本厚木→北千住。列車番号は平日が40号・42号、土休日が30号。
「メトロさがみ」から改称しつつ、停車駅に海老名を追加して平日に1本増発する形で登場し、全列車が本厚木始発北千住行きである。
平日2本・土休日1本運転され、土休日のみ新百合ヶ丘と成城学園前にも停車する。
臨時種別
通称「ニューイヤー号」「NYE」(New Year Express)。
大みそかの12月31日深夜から、年が変わった元日の早朝にかけて運行される臨時列車。1969年深夜に新宿~新原町田(現:町田)間で臨時特急「初詣号」が1往復運行されたのが始まりで(途中停車駅は参宮橋・向ヶ丘遊園)、以降も毎年運行されるようになる。
2001年1月1日には新宿→町田・伊勢原・片瀬江ノ島間で運行されており、途中停車駅は参宮橋(一部)・代々木上原・向ヶ丘遊園・町田・大和・藤沢だった。
また、1990年度からは「初詣&初日の出号」も設定されており、1000形を使用して千代田線と直通していたが、2008年度をもって運行を終了した。
その後、2001年12月31日からは現在の名称に変更された。
2009年度以降は北千住→片瀬江ノ島間の下りのみ、千代田線直通の「メトロニューイヤー」も運転されている。途中停車駅は大手町→霞ケ関→表参道→成城学園前→新百合ヶ丘→町田→大和→藤沢で、メトロ特急と同じく千代田線内では降車できない。
近年では12月31日に運行されるのは上りのみで、大半は1月1日の深夜から早朝に運行されている。
大半が新宿・北千住→片瀬江ノ島間の運行で、小田原行きは1本のみである。
下り列車については、片瀬江ノ島行きの途中停車駅は2003年1月1日以降、新百合ヶ丘・町田・大和・藤沢になっており、通常の「えのしま」とは違って町田に停車し相模大野を通過するのが特徴。2002年1月1日の運行では向ヶ丘遊園に停車する列車もあった。
また、登場時は唐木田発片瀬江ノ島行きという、新百合ヶ丘でスイッチバックを行って多摩線から江ノ島線に向かう珍しい列車が設定されていた。
小田原行きの途中停車駅は2005年1月1日以降、新百合ヶ丘・町田・伊勢原・秦野になっており、2008年までは伊勢原が終点だった。その後、成城学園前・相模大野・海老名・本厚木が順次追加されていったが、町田は現在通過になっている。
上り列車については、かつては12月31日の深夜に運転される列車と、1月1日の早朝に運転される列車で運行系統が異なっていた。
前者は、明治神宮最寄り駅である参宮橋に臨時停車する列車が運行されていた。運行区間は実施年により異なっており、小田原・本厚木・町田のいずれかを始発とし、参宮橋に臨時停車をして新宿へ向かう形になっていた。2002年1月1日には元日に本厚木発で運転されたが、翌年より設定がない。
2018年12月31日の運行からは新宿23:29~31着の「はこね72号」が参宮橋に臨時停車する形になっている。
後者は片瀬江ノ島を始発とし、途中藤沢・大和・町田に停車する列車である。現在の途中停車駅は「えのしま」と同じく、藤沢・大和・相模大野・新百合ヶ丘になっている。
車内販売は深夜ということもあって基本的に実施されないが、唯一の例外として1987年度の運転においてはデビューしたばかりのHiSEで「走る喫茶室」のサービスが実施されていた。
2020年度は世界情勢を考慮してか、当初はNYEも「メトロニューイヤー」も下り1本ずつの運行になる予定だったが、予想以上の感染者数急増により、12月18日に急きょ運休になってしまった。
翌2021年度には2年ぶりにNYEのみ復活し、引退の決まったVSEが使用された。
過去の主な種別
1950年から登場。1966年に一度は消滅したものの、翌1967年10月1日より復活し、新原町田(現:町田)に停車しつつ朝と夜の時間帯に運行され、定期券での乗車も可能になった。
登場以来長年に渡って親しまれてきたものの、1999年7月17日に廃止。
その後、2018年5月3日~5日の3日間限定で臨時列車「あしがら61号」が設定され19年ぶりに復活。車両は登場したばかりのGSEが使用された。
1953年4月1日のダイヤ改正より、料金不要ながら座席定員列車である「サービス急行」を格上げする形で登場。当時は特急用車両が不足していたため、文字通り特急ロマンスカーを補完する目的で土休日に運用された。
1959年4月21日の改正で「準特急」に改められ、100円の座席定員制の指定券を発行するようになった。
当時の特急ロマンスカーと同様に新宿~小田原間は無停車だった。車両は2扉のセミクロスシート車両(2300形・2320形)が使用され、準特急の運行がない平日には一般列車にも充当されていた。
1963年にNSEが登場し、特急列車の増発が可能になったことで廃止された。
1999年7月17日より、廃止された「あしがら」と「さがみ」に代わる種別として登場。2004年12月11日のダイヤ改正をもって廃止された。
東京ディズニーリゾートへの利用者をターゲットとして、2008年3月15日のダイヤ改正で登場。千代田線を経由して有楽町線に直通し、新木場駅まで運行されていた列車で、年間30日程度設定されていた臨時特急。豊洲駅にも停車し、臨海副都心エリアへの利用者にも配慮されていた。
運行の性質上、本厚木発着として朝上りと夜下りの1往復が設定されており、運行日は当該時間帯の「メトロさがみ」と「メトロホームウェイ」がそれぞれ運休になっていた。
霞ケ関駅と有楽町線の桜田門駅の間にある連絡線を利用し、スイッチバックもあるなど趣味的に面白い列車だった。
しかし、臨時列車で宣伝も消極的だったことから利用者数は今ひとつで、2011年10月をもって運行を休止し、2012年3月17日のダイヤ改正を最後に設定が消滅した。
表向きの理由としては有楽町線にホームドアが設置されたことになっているが、新木場駅で
京葉線や
りんかい線に乗り換えなければならなかったことから中途半端に不便で、スイッチバックの兼ね合いもあって所要時間も長く運行面でも煩雑な存在だった。
ホームドアは現在千代田線・小田急両線でも稼働していることから技術的な問題はないが、上述の問題から今後復活する可能性は極めて低いだろう。
「ホームウェイ」は、2000年12月2日のダイヤ改正より登場。毎日1本、新宿発の「ホームウェイ」が新百合ヶ丘から多摩線に乗り入れており、2002年3月23日のダイヤ改正で1日2本、2003年3月29日のダイヤ改正で平日は3本に増発された。
「メトロホームウェイ」は、2008年3月15日より平日のみ、新宿発の1本を
北千住駅発に置き換える形で登場した。
しかし、2012年3月17日のダイヤ改正からは平日のみの運行になり、2016年3月26日のダイヤ改正をもって運行終了。
現在は新百合ヶ丘に停車する平日の「(メトロ)ホームウェイ」は多摩線の3番ホーム発着になっており、各駅停車唐木田行きと対面乗り換えが可能である。
2008年3月15日のダイヤ改正より登場。毎日朝方の上り1本のみ設定され、本厚木→北千住間を運行。2018年3月17日のダイヤ改正より「メトロモーニングウェイ」に改称される形で廃止。
「メトロモーニングウェイ」と停車駅のパターンは同じだったが、こちらは海老名には停車しなかった。
「ふじさん」の前身。
1955年10月1日のダイヤ改正で運行が始まった気動車による特別準急「銀嶺」「芙蓉」を起源としており、1968年7月1日の
御殿場線電化によるSSE導入とともに名称が「
あさぎり」に変わり、同年10月1日のダイヤ改正からは国鉄の準急が急行に統合される形で廃止になったため、小田急線内でも「連絡急行」に名称が変わった。
1964年以降は沼津駅までの延伸要望もあったが、当時の御殿場線には御殿場~裾野間の約15㎞に渡って列車交換設備がなく、財政問題もあって国鉄時代には進展しなかった。
国鉄分割民営化後の1988年には小田急が
JR東海に対してSSEの置き換えについて申し入れた。さらに、1989年10月には御殿場線の利用者が増加したことで富士岡駅と岩波駅に列車交換設備が新設されたこと、沿線からも運転区間延長の要望が強くなっていたことから運行を抜本的に見直す協議が開始され、その後1991年3月16日のダイヤ改正から小田急とJR東海による相互直通運転になり、区間も沼津まで延長された。
当時のバブル景気を背景に利用者数は好調で、沿線からは
静岡駅までの延伸要望もあったが、JRは「新幹線よりも時間がかかりすぎる」ということで否定的だった。
その後、バブル崩壊による景気の低迷とともに駿東地域でのリゾート開発が頓挫したことや観光地としての西伊豆自体の知名度も上がらず、御殿場~沼津間の利用が低調になっていった。
そのため、2012年3月17日のダイヤ改正をもって相互直通運転は終了し、RSEと371系が引退。運行区間も連絡急行時代と同じく御殿場までに短縮され、車両もMSEに変わり再び片乗り入れの形になった。さらに定期列車は3往復になり、土休日には臨時列車1往復が設定され、停車駅と運行時間帯も変更された。
2018年3月17日のダイヤ改正をもって「ふじさん」に改称されて消滅。
その後、MSE運行開始10周年を記念して同年12月2日に団体臨時列車「メトロあさぎり」号が運行され、1日限りの復活を果たした。
この列車は綾瀬始発で、千代田線・小田急線・御殿場線の3路線をまたいで運行された。
ちなみに、今でこそ松田で乗務員交代を行っているものの、乗り入れ当初は小田急の乗務員の中でも国鉄の考査に合格した人が御殿場まで乗務するという、今では考えられないことをやっていた。これは、当時の御殿場線の列車は全て蒸気機関車牽引の客車で、御殿場線に気動車の乗務員はいなかったためである。
多層建て列車
一部の「(メトロ)はこね」「さがみ」と「(メトロ)えのしま」は、車両によって異なる行先になっている
多層建て列車である。いずれも、「(メトロ)はこね」「さがみ」が小田原方6両、「(メトロ)えのしま」が新宿方4両になっており、相模大野で分割・併合を行う。
4両側はEXE・MSEの「はこね」「ホームウェイ」においても同様で、分割案内板Aを境に、小田原から前6両は「はこね」号箱根湯本行き、後ろ4両は小田原止まりであるとの放送が入る。
2020年3月14日のダイヤ改正以降は運用の都合上か、他種別同士の併結ではないのに相模大野で分割・併合(事実上の増解結)を行う「はこね」「えのしま」が登場しており、後ろ4両は同駅発着になる。
2018年3月17日のダイヤ改正以前は「あさぎり」と「えのしま」の併結列車も存在しており、「はこね」「さがみ」と同様に「あさぎり」が6両側を、「えのしま」が4両側を担当していた。
車両
色はあくまでもイメージである。
現行車両
●30000形「EXE・EXEα」(Excellent Express)
概要
1996年3月23日に運行開始。1996年グッドデザイン商品選定車両。
ビジネス・日常利用者増への対応および輸送力増強と老朽化したNSEを置き換えるために登場したロマンスカーで、現行車両では最古参。
この時点ではまだ複々線化工事がそれほど進展しておらず、これ以上の増発やスピードアップが困難だったため、新型車両は「量より質」ということで定員数を増やす方針にシフトしていった。
定員数の増加や柔軟な運用を行うべく、20m級ボギー車の6両編成+4両編成で登場。10編成だけでなく6両編成・4両編成単独での運転も可能で、6号車と7号車は自動ほろ装置を備えた貫通型になっており、通り抜けが可能。
これまでの観光向けから一転、ビジネス向けの車両になっている。
製造数は70両とNSEに次ぐ多さで、座席数は578名とMSEと並んでロマンスカーNo.1を誇る。
パンタグラフがシングルアームになった初のロマンスカーでもある。
塗装・機能
オレンジや赤をベースに白・グレーなどで塗り分けられたデザインがメインだったこれまでの車両とは違い、ロマンスカーでは初めて1色だけの塗装になっており、全体をハーモニックパールブロンズ■で彩った以外はアッパーレッド■のワンポイントが入っているのみである。
また、SEからRSEまで続いてきた補助警報音が廃止されており、そもそも名前に唯一「SE」(Super Express)を名乗らないなど、文字通り歴代車両とはかなり異彩を放つ存在である。LSEからRSEまでの3代に渡って使われてきたヤマユリのロゴマークもなくなったが、代わりに初めて愛称のロゴマークが描かれた車両になり、VSE以降も受け継がれている。
ロマンスカーでは初めて側面の行先表示器に列車番号を表示しており、3色LEDで表示される。ドアも今までの折戸式から引戸式になっている。
なお、ハーモニックパールブロンズは金と銀の中間のような色合いの金属光沢でかなり派手なように見えるが、いざ使用してみると特に曇り空の日には風景に溶け込んでしまうなど、むしろ地味な色だったと判明した。
内装・車内設備
シートピッチは1000mm。各シートのひじ掛けにはリクライニングのボタンと収納式のテーブルが備えられており、シートを向かい合わせにした時も各自使用できるようになっている。当初は6両編成側と4両編成側でモケットが異なり、それぞれ緑色と青色だったが、1999年の増備車ではグレーと茶色のものに統一され、既存車も同様に変更されたが、1・2次車にあったアームレストは設置されておらず、リクライニングの角度も浅くなっている。ヘッドカバーには小さいながらもロゴマークが入っている。窓枠は2席に1枚ずつ割り当てられている。
座席の座り心地は良好で、座面・背もたれともに柔らかく、重厚感あるデザインになっている。
照明は間接照明を採用し、さらに荷物棚下には蛍光灯の直接照明が設置されている。
客室とデッキの仕切りドアの幅は700mmで、「EXE」のロゴマークが描かれている。5号車と8号車はバリアフリー対応車両で、車いす対応座席が設けられているが、この近くのドアは両開き・幅900mmになっており、ロゴマークは描かれていない。
トイレ・洗面台は2・5・8号車に設置。2・8号車は男女共用和式トイレと男子小用トイレ・ベビーベッドつき女子トイレ、5号車は男女共用和式トイレとベビーベッドつき車いす対応トイレになっている。
3・9号車には売店とロマンスカー初の
自動販売機を設置。ただし車内放送では自動販売機に関する言及はなく、リニューアル後も変わっていない。6・7号車のデッキにはAEDが設けられている。
かつては3・4・9号車に公衆電話が設置されていたが、現在は撤去されている。
唯一のブルーリボン賞を逃した車両
1996年3月23日に2編成が運用を開始して以降、他形式よりも定員数が多いEXEは輸送力増強に貢献しており、検査時はHiSEで代走する「スーパーはこね」にも運用され、初日は箱根湯本駅で到着式も行なわれた。
1999年までに残り5編成も増備され、これによってNSEは定期列車から全て引退した。
ビジネス向けとしては申し分ない本形式だったが、これまでの伝統だった展望席が廃止されていたり、分割・併合を前提とした車両なのに途中駅無停車でそれらを行わない「スーパーはこね」に一時期使われたりするなどその外観や矛盾した運用からファンからの評価は今ひとつで、ロマンスカーで唯一ブルーリボン賞を逃してしまっているほか、当形式を見た子どもから「こんなのロマンスカーじゃない」と言われたという逸話もあるほどである。
しかしながら運用的に扱いやすく、座席数も多いため現在のロマンスカーの主力になっており、内装についての評価は高く、VSEやMSEを差し置いてロマンスカーの中で最もいいという声もちらほら。
実際に1996年には「グッドデザイン商品」、2007年には日本デザイン振興会より「ロングライフデザイン賞」に選ばれている。
(出典:Wikipedia)
リニューアル
2017年からは、塗装・内装を一新したリニューアル車「EXEα」が登場。
デザインは近年の小田急グループ車両と同じく岡部氏が担当し、同年3月1日の新宿16:30発「はこね41号」より運行を開始した。
その後も第2編成・第4編成・第6編成の順にリニューアルされている。
車体色をムーンライトシルバー■とディープグレイメタリック■のツートンとし、側面にロマンスカーの伝統であるバーミリオンオレンジ■とVSEと同色のシルキーホワイト□のラインを添え、愛称のロゴマークも一新されており、VSEなどと同様に形式名も描かれている。
なお、車体前面に設置されていた行先表示器は撤去されており、側面のものについてはMSEと同じくフルカラーLEDで種別・列車番号と行先が交互に表示される。
内装についても大きく改良され、明るいものになった。
座席背面にはフックと網ポケット脇に傘入れが設置されており、座席肩部には点字表示も兼ねた握り手が新設された。
観光客への対応として、2号車・5号車・9号車の一部座席が大型の荷物置き場に改造されたほか、3・9号車のデッキにも同様のスペースが設けられている。
客室とデッキの仕切りドアは白を基調としており、変わらず車いす対応の5・8号車は両開き・それ以外は片開きになっているが、いずれもロゴマークは描かれていない。また、ドアチャイムとドアランプも新設された。
5・8号車は男女共用トイレがVSE・MSEと同様の「ゆったりトイレ」になっており、車いすでも入ることが可能である。2号車については、ベビーベッド・ベビーチェアを完備した女子トイレと男女共用トイレの構成になっている。
売店は撤去されて車販準備室になっており、3・9号車デッキの荷物置き場隣には多目的室が設けられている。自動販売機は荷物置き場の隣に移動した。
AEDの配置号車も変更され、6・7号車から3・9号車になったほか、客室とデッキには防犯カメラの設置も行われており、第2編成以降は窓側の全座席にコンセントも備えつけられている。
運用上はEXEと共通になっており、どちらになるかは乗ってみるまで分からない。
本厚木駅のホームドア設置の関係で、2022年11月15日以降は全ての停車駅で4・7号車がドアカットされる。
当初は全編成をリニューアルする予定だったがコロナ禍の影響で第5編成と第7編成の更新は見送られ、情勢が落ち着いたことでVSEの後継車両導入のめどが立ったことから、リニューアルされることなく2029年に登場予定の新型車両に置き換えられる予定である。
●60000形「MSE」(Multi Super Express)
(出典:Wikipedia)
概要
2008年3月15日に登場。小田急が東京メトロの協力を得て開発した「青いロマンスカー」。
EXEと同様に20m級のボギー車両かつ6+4両編成のため、さまざまな運用に就くことができる。
RSEの引退後は御殿場線直通列車の運用にも就き、他社路線に乗り入れる唯一の車両になっており、文字通りマルチな活躍を見せている。
前述の通り、千代田線内での乗降口は1・4・5・7・8・9号車のみである。
6両編成5本と4両編成3本、計42両が在籍している。
塗装・機能
地下鉄内でも明るく見えるようにフェルメールブルー■の塗装が施されており、ロマンスカーの伝統色であるバーミリオンオレンジ■とホワイト□の帯も健在。VSEに引き続き愛称と形式名のロゴも添えられており、ミュージックホーンも搭載されているが、御殿場線内では使用されない。
事前広報には他のロマンスカーより力が入れられ、デビュー直前に第1編成をイベント公開したり、大手町駅にモックアップを搬入してここをイベントスペースとして使ったりするなどさまざまな催しが行われた。
ロマンスカー伝統の流線型を残しつつ、非常時のための貫通扉を設置している。同じく地下鉄に乗り入れる4000形とは共通点も多い。
側面の行先表示器はフルカラーLEDで種別・列車番号と行先が交互に表示されるようになっているが、御殿場線直通運用時には「特急」の文字も表示される。ロマンスカーでは初めて愛称・行先の文字を自由に設定できる機能が追加された。
内装・車内設備
シートピッチは983mm。EXEの1000mmよりは狭くなっているものの、背もたれが薄いので足元は逆に広くなっている。
2.3mの天井は丸型で、照明・カーペット・ヘッドカバーなどを見てもVSEを彷彿とさせるデザインに仕上がっているが、モケットはEXEのような茶色になっている。窓枠はEXEと同じく2席に1枚ずつ。
テーブルはEXEと同じようにひじ掛けに収納されており、シートを向かい合わせにした時も各自使用でき、出したまま回転することも可能。
車端部には1枚板のテーブルが設けられ、ひじ掛けのテーブルとセットで使える。
座席背面には傘立てとフックを設置。肩部には「MSE」のロゴが入った握り手が備えられている。
仕切り扉の上にはフルカラーLEDで表示される車内案内表示器がある。
車内設備の配置は基本的にEXEに準拠しており、トイレ・洗面台は2・5・8号車、カウンターブース・自動販売機・AEDは3・9号車、車いす対応座席は5・8号車に設置(この近くのドアは両開きで幅が850mm)。
トイレは共通して男子小用トイレとベビーベッド・ベビーチェアを完備した女子トイレを備えており、大用は全て洋式トイレである。
5号車・8号車の男女共用トイレは、VSEと同様にベビーベッドとオストメイトに対応した「ゆったりトイレ」になっており、車いすにも対応している。
客室とデッキの仕切り扉は車体色と同じくフェルメールブルーになっており、2009年の増備車ではデッキに防犯カメラも設置された。
運用
2007年9月に第1編成が入線。同年10月には「ファミリー鉄道展」で歴代ロマンスカーと並んでお披露目され大きな話題を呼んだ。
2008年3月15日より運行を開始。この時点では6両編成が2本と4両編成が1本のみで平日では予備の車両がなかったことから、「メトロさがみ70号」で北千住駅に到着後は綾瀬駅で折り返し、喜多見検車区まで回送していた。土休日は6両編成と4両編成を各1編成ずつ使用。
2008年には第10回ブルネル賞「車両部門・奨励賞」に輝き、さらにVSEに続いて「グッドデザイン賞」も受賞。
そして2009年9月13日には、前述した車両運用・デザイン・居住性など多くの点が評価され、有効投票総数2668票中797票を得る形で第52回ブルーリボン賞を受賞。新宿駅で記念式典が行われた後、RSEの「はこね」運用を一部代走する形で記念列車が運転され、初の「はこね」運用および10両編成の新宿乗り入れを果たした。
当初の予定では、土休日に新宿~箱根湯本間の「はこね」運用に就くに使用する予定だったものの、実際には臨時列車や他形式の代走を除いて以外新宿発着の運用はなかったが、2012年3月17日のダイヤ改正より「あさぎり」全列車をはじめとする新宿発着列車の定期運用に加わった。
2009年には6両編成が1本、2011年と2015年11月には6両編成・4両編成がそれぞれ1本ずつ増備されている。
●70000形 「GSE」(Graceful Super Express)
(出典:Wikipedia)
概要
LSEの置き換えのため、2018年3月17日のダイヤ改正より登場。
VSE以来約10年ぶりの展望席付き車両である。第62回ブルーリボン賞受賞車両。
「箱根につづく時間を優雅に走るロマンスカー」をコンセプトに、観光向けの「非日常性」と、ビジネス向けの「日常性」を兼ね備えた車両になっている。2編成14両が在籍。
デザインはVSE・MSE・EXEαに引き続き、岡部憲明が担当。
塗装・機能
バラを思わせるローズバーミリオン■の塗装が特徴で、屋根はルージュボルドー■、床下台枠覆部はEXEαと同じくムーンライトシルバー■で彩られている。ロマンスカーおなじみのバーミリオンオレンジ■の帯も描かれており、VSE・MSEと同様に愛称と形式名のロゴも描かれ、ミュージックホーンも搭載されている。
VSEと同様に展望席を備えているが20m級ボギー車7両編成になっており、展望席とボギー構造というロマンスカーでは史上初の組み合わせになった。
ボギー台車になったことと、サルーンやカフェカウンターといった設備を廃止したことで定員数の増加が図られており、VSEよりも42席多い400席になった。
内装・車内設備
座席は展望席1列目を除き475mmの幅になっており、これはロマンスカー最大の大きさである。前面窓には大型の1枚ガラスを、車体側面には高さ1mの連続窓を採用しており、歴代の展望付き車両よりも窓が大きいため眺望性が高い。窓枠はEXEやMSEと同じく2席に1枚ずつ。
なお、VSEとは違って展望席は回転することができない。
シートピッチはMSEと同じく983mmだが、座席下と前席の間には大型の荷物を置ける十分な広さが設けられており、4号車を除くデッキ付近にも荷物置き場が設置されている。そのため、展望車には荷棚が設置されておらず、他の車両以上に眺望性が高いのが特徴。
モケットはモザイク調になっており、座席背面にはドリンクホルダー・マガジンラックを備えたボードと、傘立て・3つのフックが設けられている。ヘッドカバーには「GSE」の文字が入っており、肩部の手すりにも工夫がなされている。
テーブルは従来通りひじ掛けに収納されており、MSEの反省を生かしてか十分な大きさを有している。そロマンスカーでは初めて全座席のひじ掛け下にコンセントが設置された。
また、窓側には小さなテーブルも設置されている。
トイレを除く車内設備は4号車に集約されており、車いす対応座席・AED・自動販売機などが設けられている。多目的室が設けられているほか、デッキには防犯カメラも設置されている。
トイレと洗面台は2・6号車にも設置している。共通して男子小用トイレとベビーベッド・ベビーチェアを備えた女子トイレを有し、4号車の男女共用トイレはVSEやMSEと同じく「ゆったりトイレ」になっている。
VSEと同じく「ロマンスをもう一度」のチャイムが流れるが、あちらよりも若干音が高い。また、これとは別に、始発駅発車前や終着駅到着前には「tea for two」と「moon light serenade」のBGMが流れる。
GSEでは車内限定無料サービスとして「Romancecar Link」があり、これに接続すると中間車両からでも現在走行中の前面・後面展望の映像をスマホから見ることができる。
運用
第1編成は2018年3月17日のダイヤ改正より運行開始。初運行の「スーパーはこね5号」はわずか2秒で特急券が売り切れた。
5月3日から5日には、19年ぶりに復活した臨時列車「あしがら61号」として新宿→箱根湯本間を運行した。LSEが引退した7月11日以降は第2編成も戦列に加わっている。
10月3日には「グッドデザイン・ベスト100」、10月31日には「グッドデザイン金賞(経済産業大臣賞)」を受賞。
そして2019年5月23日には、有効得票数の62.8%をマークする形で第62回ブルーリボン賞を受賞。26日・27日の「小田急ファミリー鉄道展」ではSEと並べて展示された。
現在は「展望付き車両」として専用運用になっているが、2019年3月16日のダイヤ改正の時刻表では、土休日のみ車型に「展G」と表記され、固定運用の扱いになっていた。
ちなみに、2019年1月3日の
箱根駅伝では1位の選手が箱根湯本駅を通過する時にちょうど駅にいたが、これはダイヤ担当者の粋な計らいで、選手の通過時間に近い列車にGSEが充当されたためである。
●新形式車両
2024年9月に、VSEの後継とEXEの置き換えを兼ねた新型車両が2029年にデビューすることが報道された。デザインは「檸檬ホテル」や「熊本益城町テクノ仮設団地みんなの家」などを手掛けたCOA一級建築士事務所が担当する。
その登場経緯から、世間では「展望席と分割・併合を兼ね備えた車両になるのでは?」という意見が多く見られたが果たして……
過去の車両
本項ではSE登場以前に特急に使用されていた車両についても解説する。
●1600形
特急ロマンスカーの前身である「
週末温泉特急」に1948年に導入された。
有料・座席指定であったが3扉ロングシートの通勤車である。
廃車後は全国の地方私鉄に譲渡されており、
関東鉄道に譲渡された車両は後述するキハ5000形とコンビを組んで運用された。
●1910形→2000形(初代)
1949年から「特急ロマンスカー」の名を冠して走り始めた最初の専用車両で、ロマンスカーの代名詞のひとつ、「走る喫茶室」のサービスを開始したのもこの形式が最初。
ロマンスカー以外の運用も念頭に置いていたため、2扉セミクロスシートだった。1952年に通勤車両に改造され、1976年に引退。
こちらも全国の地方私鉄に譲渡された。
●1700形
1951年に登場。初の2扉オールクロスシートの特急専用車両。
第1・2編成は財政面を加味し戦災国電の機器類を流用して製造された。
先頭車は17m、中間車は20mという独特の車体構造で、車幅は2850mmと当時としてはかなり広く取られた。
第1・2編成は貫通扉を装備していたが、第3編成は正面非貫通になり、中心部に細いピラーを置いた2枚窓という独特の前面形状が特徴。屋根も張り上げ式にしてよりスマートな風貌に。
ロマンスカーで初めて「ヤマユリ」のシンボルマークを取りつけた車両である。その後、通勤車両に改造された際に外されたが、1980年にはLSEの自動ドアに貼りつけられる形で復活し、後輩のHiSE・RSEにも受け継がれた。
SEの導入に伴い3ドアロングシートの通勤車に改造され、1974年に引退。
当時の小田急通勤車としては珍しく地方私鉄への譲渡が行われなかったが、前述した車幅の広さが適さなかったのが理由とされる。
●2300形
SE開発と並行し、導入までのつなぎとして1955年に登場した車両。小田急の特急車としては初のカルダン駆動式で、車内は小田急初のリクライニングシートを備えている。
1959年に2扉セミクロスシートの準特急用車両に改造された。
準特急の廃止後は3ドアロングシートの通勤車両に改造され、1982年に引退。その後は富士急行に譲渡され、同社5700形として1997年2月まで使用された。
●2320形
特急ロマンスカーを補完する準特急用車両として1958年に登場。準特急用に格下げされた2300形と同じく両開きの客用扉を2か所に持つセミクロスシート車。
土休日の準特急を中心に、平日には一般列車としても使用されていた
1963年のNSE増備によって準特急が廃止になったことで通勤車両へと改造され、制御方式が同じ2200形・2220形・2300形と共通で運用され、1983年の引退後はまとめて富士急行に譲渡された。
●キハ5000形・5100形
1955年に登場した
御殿場線直通用の気動車。
基本設計は当時御殿場線で使用されていた国鉄キハ50形に準じているが、車体形状は通勤車の2100形に近い。
1956年にはシートピッチを拡大した5100形が登場し、後に5000形も同様の改造を実施した。
塗装は当初他の小田急車と同じ青と黄色のツートンだったが、1959年にクリーム色に朱色帯という当時の国鉄気動車準急色に近いものに変更された。
御殿場線の電化に伴い直通車両がSSEに交代することになり、1968年6月30日をもって運行を終了。
全車両が関東鉄道に売却され、ロングシート・3扉化などの改造を経て同年12月より常総線で運行を開始し、1988年9月まで使用された。廃車後も常総線新塗装の検討モデルとして使用された。
なお、関東鉄道では前述したクハ1650形と併結して運用されるという小田急時代には決して見られなかった編成で使用された。
●3000形(初代)「SE」・「SSE」
(出典:Wikipedia)
概要
1957年7月6日より運行開始。ロマンスカーの元祖車両であり、連接台車・流線型を取り入れた初の列車である。
また、格下げを考慮せず特急専用で設計された初の車両である。
学生時代にスペインの
タルゴの存在を知って以来連接車に関心を抱いていた山本利三郎主導のもと、戦争で疲弊した輸送施設の復旧と改善のために「新宿と小田原を60分で結ぶ」ことを目標に、国鉄との共同開発の末、「画期的な軽量高性能新特急車」として誕生した。
「
Super
Express」(略して”SE”)という愛称が設定され、以降ロマンスカーはEXEを除いてそれぞれの特徴を表した言葉の頭文字を先頭につけた「○SE」という名称で呼ばれることが恒例になる。
8両編成4本、計32両が導入された。
「電車といえば四角い箱」という認識が当たり前だった当時においては非常に画期的な車両であり、多くの人々の注目を集めた。初代ブルーリボン賞受賞車両……というより、ブルーリボン賞は元々当形式を表彰するために始まったといっても差し支えない。
国鉄へ貸し出されて当時の狭軌世界最高速度145km/hを記録し、新幹線の開発に多大な影響を与えたため、「新幹線の親」ともいわれる、鉄道史に残る名車。
現物をご覧になった方はお気づきかと思われるが、上記の通り軽量・高速化を前提に設計されたため、一般的な鉄道車両に比べて車高が低く極めて小さいのが特徴。おまけに軽量化故デビュー当初は冷房も設置されていなかった。
当初こそ画期的な形状や性能を誇っていたが、次第に国鉄や私鉄各社も負けじとさまざまな特急列車をデビューさせていったこともあり、小田急としては軽量化に徹しすぎたSEではやや物足りなく感じていったという。
ちなみに、映画『
007』の原作者であるイアン・フレミング氏も来日した際に本形式に乗車した経験があり、「
まるで火星上を走る列車を思わせた」と大絶賛している。
塗装・機能
塗装はバーミリオンオレンジ■をベースに、グレー■とホワイト□の帯で塗り分けられたものになっており、テントウムシのような明るい警戒色である。このデザインは続くNSE・LSEにも引き継がれたほか、特にバーミリオンオレンジは「ロマンスカーの伝統カラー」としてVSE以降の全形式で側面の帯に使用されている。
ちなみに、ロマンスカーの補助警報音もこれが最初で、「小田急ピポーの電車」というCMソングも作られるほど、ロマンスカーのイメージとして定着した。
EXEでいったん途絶えたものの、VSEからは同じメロディのミュージックホーン(警笛と兼用)を搭載するようになり、続くMSE・GSEでも実装されている。
内装・車内設備
座席は回転式クロスシートで(車端部はスペースの都合上回転不可能)、リクライニング機能はない。シートピッチは1000mm。モケットは青色で、一時期1編成が茶色のチェック模様になっていたが後に戻され、1984年の車体修理以降はLSEに準じたオレンジとイエローのツートンになっている。窓側には折りたたみ式のテーブルが設置される。
特急車であるがデッキは設置されておらず、客室に直接ドアが備えられている。
3・6号車には喫茶カウンター、2・7号車には男女共用和式トイレと洗面台が設けられており、いずれも通路を挟んだ反対側は座席が置かれている。
前述の通り当初は非冷房だったが、1962年以降は床下に冷房を設置。これに伴い各号車とも定員が4名ずつ減少した。
運用開始と国鉄試験
1957年5月20日に第1編成、6月上旬に第3編成が入線。試運転では最高速度127km/hを記録したものの、曲線の多い小田急線ではこれが限界だったため、小田急と開発にも携わった鉄道技術研究所は当初より国鉄での高速試験を希望していた。
同年7月6日に運行を開始して以降、連日満席になる好成績をおさめた。
当時、後の新幹線になる高速電車の開発を練っていた国鉄は、山本氏から試験で収集されたデータを小田急と国鉄の双方で利用する条件でSEの国鉄線上での高速試験を打診され、「絶対に145km/h以上出さない」ことを条件に受諾した。
こうして、私鉄の車両が国鉄線上で高速試験を行うという日本の鉄道史上初の事例になった。
試験には8月8日に入線し、すぐには営業運転されていなかった第2編成が充当された。9月19日に小田原から自力で東海道線に入り、翌日より試験を開始。初日は日中時間帯に藤沢~平塚間、9月21日以降は深夜に大船~平塚間を走行した。
最初は95km/hで走行し、5km/hずつ速くしていった。9月24日深夜には小田急線での記録を上回る130km/hをマークし、9月26日午前3時34分30秒、当時の狭軌鉄道世界最高速度である143km/hを打ち立て、「東京と大阪を結ぶ特急電車計画の見通しがついた」と新聞各紙で報道された。
その後、SEの設計上の最高速度である145km/hを出すべく9月27日からは函南~沼津間で日中時間帯に試験を開始。午前11時ごろから2往復してウォーミングアップを行い、午後に函南駅を発車。三島駅を100km/hで通過した後も加速を続け、午後1時57分に145km/hに到達。この瞬間、狭軌鉄道世界最高速度が達成された。
なお、150km/hまで速度を上げることも想定されていたが、実現することなく終わっている。
この波及はすさまじく、国鉄では新幹線開発が本格化し、小田急でもロマンスカーの利用者数が急増した。
また、鉄道友の会はこれを契機に「ブルーリボン賞」を創設し、SEに対して無投票で第1回ブルーリボン賞を授与した。
9月28日に速度試験は終了し、SEは小田急線に戻ったため、1700形は一般車に改造された。1959年2月12日には第4編成が入線し、2月28日から運行を開始。これにより、ロマンスカーは全てSEでの運用が可能になったため、2300形は準特急に格下げされた。
(出典:Wikipedia)
SSEへ
御殿場線の電化に伴い直通列車は電車に交代することになり、新型車両を製造する案やNSEで置き換える案もあったものの、当時の国鉄では組合闘争が激しく、「NSEが乗り入れてくれば反対する」という噂もあったため、SEを転用して対応することになった。
しかし、そのままでは「えのしま」「さがみ」に加えて御殿場線直通列車まで使用するのは輸送力不足なことから、1編成あたりの両数を減らしてその分編成数を増やす方法が採られた。
その結果、8両編成から5両編成に短縮改造され、1968年7月1日から特別準急(後に連絡急行)「あさぎり」として乗り入れを開始。5両編成になった当形式を「SSE」(Short Super Express)と呼ぶこともある。多客時や団体輸送時は2編成を連結した「重連運転」も行われたが、連結時は1号車から5号車が2両ずつ存在してしまうため、「A号車」「B号車」として区別した。
改造は先頭形状の変更や連結器の設置、冷房装置の床下→屋根上への移設などが行われ、塗装もNSEに準じたものに変わった。トイレ・洗面台は2号車、喫茶カウンターは3号車に変更された。
既存の4編成は旧1・2・3・7・8号車からなる5両編成に短縮、新規の2編成は既存の5・5・6・4・4号車で組成し、中間車両を先頭車両に改造して対応した。
余った旧第1編成・旧第3編成3号車の2両の車体は廃棄された。
しかし、元々耐用年数10年で設計されており、1987年で車齢30年になるなどかなり老朽化が進んでいた。LSE登場後はこれに置き換える案もあったものの、当時の国鉄側の情勢や現場の反応などを考慮し、車体修理工事を実施して運用していた。
NSEの検査中はSSEが代走することもあったが、後継車両のLSEが登場したことでそれはなくなり、もっぱら「あさぎり」専属の車両になった。
1983年に第1編成が廃車され大井川鉄道へ譲渡され、1987年からの車体修理工事に含まれなかった第2編成(旧第2編成の1・2・3・7・8号車)は、運用に入らず経堂検車区で留置され、1987年3月27日をもって廃車された。
この編成は国鉄を走行して世界最高速度を記録した車両だったため、廃車後もしばらく海老名検車区で保存されていたが、車両増備による留置線不足などを理由に、1989年5月に大野工場で解体されてしまった。
運用終了・保存
後継車両であるRSE・371系の登場が決定したことでようやく引退の目途が立ち、1991年3月15日の定期運用終了が発表された。1991年に入ってからは「さよなら運転」のロゴが入った愛称板も用意された。
最終日の「あさぎり8号」は重連運用になり、これをもってSSEは全ての運用を終了した。
その後もしばらくは波動用として残されていたものの、翌年3月8日の「さよなら3000形走行会」にて最初で最後となる唐木田駅へ入線。これをもって全車両が廃車された。
その日は奇しくも「のぞみ」初代車両である
300系新幹線の試乗会が開始された日であり、新旧の節目と報じられた。
生みの親である山本氏は「特急車は10年もすれば陳腐化する」「丈夫に長く使える車両と考えるから鉄道車両の進歩が遅れる」という理由から耐用年数10年で設計していたが、実際には彼の意志に反して約35年にも渡って使われたのである。
当初は保存の計画はなかったが、日本鉄道史および産業考古学上重要な存在ということもあり、役員会で1編成の永久保存が決定。第3編成(旧第3編成の1・2・3・7・8号車)が選ばれ、新宿方2両を登場当時のデザインに復元した上で海老名検車区の専用格納庫に収蔵された。内装はSSE時代のままになっており、モケットはNSEとほぼ同様のデザインである。
通常は非公開だが、毎年行われるファミリー鉄道展で展示されることがあり、2007年10月開催時には保存以来初となる屋外展示が行われた。
また、1992年11月10日には大野工場の構内にSEのモニュメントも設置された。
しかし、2018年4月27日にスペース確保の観点で中間車両2両(2・3号車)の解体が告知されてしまう。そして、最後の5両での屋外展示になった翌年5月26日・27日のファミリー鉄道展ではブルーリボン賞を受賞したばかりのGSEと夢の共演を果たし、終了後は大野総合車両所へ回送され、8月に解体された。
残った3両(1・7・8号車)はロマンスカーミュージアムに展示されており、ドア付近しか入れないもののそこから座席や連接部を見学することが可能。
また、2023年8月には一般社団法人日本機械学会の「機械遺産」に認定されている。
●3100形「NSE」(New Super Express)
(出典:Wikipedia)
概要
SEをフル稼働してもなお不足する観光需要と、迫る東京オリンピックに対する輸送力増強のため、1963年3月16日に登場した2代目ロマンスカーで、初めて展望席を設けた車両である。第7回ブルーリボン賞受賞車両。
「安全」「経済」「デラックス」「魅力」「快適」「高速」という6つのコンセプトがあり、当初はこれらの項目の頭文字(Safety, Economy, Deluxe, Attractive, Comfortable, Speed)から「SEDACS Car」という愛称にする案もあったとのこと。
最大の特徴は何と言っても展望席で、運転席を2階に上げることで車両の先端まで座席を置くことが可能になり、乗客に眺望性を楽しんでもらえるようになっている。
同じく運転席を2階に移動することで展望席を確保した、展望付き車両の先輩である名鉄の「パノラマカー」とよく比較されているが、あちらの方が先に登場したため少なからず参考にした部分も多いと思われる。
徹底的に軽量化を追求したSEで問題視されていた全体の貧弱さも解消され、車幅は2900ミリに拡大、鋼板もやや分厚いものが使用されている。
ロマンスカーでは初の11両編成で、以後HiSEまで受け継がれている。しかし、1両あたりの長さが短いため、編成長は144.47mと通勤型車両換算で7両ちょいの長さしかない。
導入数7編成77両は歴代ロマンスカーで最多を誇る。
当初は10両編成で開発する計画だったが、軸重軽減のため11両編成に変更された経緯がある。
活躍範囲が首都圏であったことや近未来を思わせるスタイリッシュな外見であったことなどから各種メディアに登場することも多く、年配の方はロマンスカーといえば当形式をイメージする人が多いだろう。
塗装・機能
塗装はSEと同じく、バーミリオンオレンジ■をベースにグレー■とホワイト□の帯で塗り分けられたものだが、デザインは若干異なる。補助警報音もSEと同様だが、当形式以降はエンドレステープからトランジスタ発振器に変更された。
種別幕は正面に設置され、列車ごとに五角形のアクリル板を交換する仕組みだった。
冷房装置は当初床下にヒートポンプ式のものが設置された。
内装・車内設備
座席はSEと同様にリクライニング機能のない回転式クロスシートで、シートピッチは970mmになっている。窓側には折りたたみ式のテーブルが備えつけられている。
室内の配色については、編成長の増加による単調さを避けるため、4~8号車とそれ以外の号車で天井やカーテンなどが異なるようになっている。
モケットは、1・2・3号車は金茶色、9・10・11号車は赤紫色、それ以外の車両は灰青色である。
展望席は10席で、南側に4席・北側に6席が配置されている。
3・9号車には喫茶カウンターが設置され、SEよりも面積が拡大している。トイレ・洗面台は4・8号車にあり、男女共用和式トイレ・男子小用トイレになっている。
SEと同じく客用ドアは手動になっており、やはりデッキがなく客室に直接備えつけられているが、あちらと違いトイレの両側にのみ仕切り扉が設置されている。
1977年から1980年にかけて改造が実施され、号車によって異なっていた車内のデザインが編成全体で統一されるようになり、モケットはワインレッド1色になり、天井やカーテンの色も統一された。また、通路にカーペットも敷かれている。同時期には屋根上に冷房装置の増設も実施された。
LSEの登場により運用に余裕ができたことから、1984年~1988年にかけて日本車輛製造で更新工事が行われた。この工事では種別幕が電動字幕式になり前面に変化が生じたほか、喫茶カウンターの面積拡大により3・9号車の定員数が4名ずつ減って456人になった。また、モケットもLSEと同様のオレンジとイエローのデザインになったが、1987年以降はダークレッドになっている。
運用
1963年1月から2月にかけて2編成が入線。運転開始2日前の3月14日には、試運転ながら130km/hの速度を記録し、当時の最高速度を記録した。
1963年にはさらに2編成が戦列に加わり、SEともども4編成体制になった。そのため、11月のダイヤ改正からは30分間隔での運行が可能になり、同時に新宿~小田原間の所要時間は62分にまでスピードアップした。
1964年には、総票数1485票中684票をマークする形で第7回ブルーリボン賞を受賞。
その後、1966年から1967年3月までさらに3編成が増備され、箱根特急は検査時以外を除いてNSEだけでの運用が可能になった。
ちなみに、当時目標として設定されていた「新宿~小田原間60分」が実現した場合を想定し、1編成が折り返し時間を含めて1往復するのに180分かかり、30分間隔で運行した場合は6編成あれば足りることから、車両点検時の予備車を考慮して7編成が製造された経緯がある。
ただし、通勤輸送の需要予測の誤りや新宿駅改良工事などの影響で、以降は最速でも69分にスピードダウンしてしまうことになった。
運用終了・保存
その後、1996年にEXEが登場したことで廃車が開始。
1999年7月17日のダイヤ改正をもって引退することが発表されると、この頃にはすっかり使われなくなっていた補助警報音が再び鳴らされるようになったほか、車体には「
The last running Odakyu RomanceCar 3100形」というロゴも表記され、メモリアルロマンスカードをはじめとして、形式名にちなんで3100個限定の腕時計や
プラレールなどが発売された。
運用終了直前の7月11日には、事前招待制の「さよなら走行会」が相模大野~唐木田間で運転された。
そして迎えた定期運用最終日、最後の運行になる「あしがら80号」は特別に箱根湯本発に変更され、出発式では箱根町長から感謝状を贈呈された。この運行をもってNSEは36年の歴史に幕を閉じ、翌日付で第5編成・第7編成も廃車された。
その後、6両に短縮された第7編成が喜多見検車区で保存されていたが、複々線完成に際して通勤時間帯に増発する列車の収容や緊急時における車両の収容場所の確保のために中間車両が一部解体されて3両になり、ロマンスカーミュージアムに展示されている(SEと同じくドア付近のみ立ち入り可能)。
また、開成駅前には第5編成の11号車が保存されており、「ロンちゃん」という愛称を持つ。毎月第2・第4日曜日には車内の公開も行われており、夏季シーズンには土日やお盆でも公開される。
(出典:Wikipedia)
1997年からは小田急開業70周年を記念して、話題性と新しいサービスの提供を狙うべく、第4編成を団体列車用に改造した「ゆめ70」が登場。ロマンスカーでは初となる青色を含めた、ホワイトをベースにダークブルーとレッドのトリコロールになっており、ダークブルーとレッドについては、編成の中心である6号車を境にデザインが逆になっている。また、車体全体に大量の棒人間が描かれている。
内装は宇宙空間をコンセプトとし、室内の腰板と幕板はダークブルーのメタリックとし、座席のモケットはダークブルーに黄と青を散りばめたデザインとした。また、両先頭車両は展望席以外を撤去してラウンジスペースになっており、波打つようにソファーが設置され、展望席についても出入台寄りの座席を1脚撤去して荷物置き場を設置した。
主に団体・臨時列車を中心に運用されたほか、1999年7月までは定期運用にも就いており、時刻表にも「ゆめ70」使用のマークが記載された。
元々定期検査終了までの期間限定仕様だったため、検査期限が近付いた2000年4月23日に新宿~小田原間を1往復した「さよなら運転」をもって引退し、その後廃車・解体された。
廃車後、冷房装置が
高松琴平電気鉄道へ、座席が一畑電車へそれぞれ譲渡され両社の車両に搭載されている。
また、東京都新宿区の新宿歴史博物館には、座席・扉・運転席が保存されている。
●7000形「LSE」(Luxury Super Express)
(出典:Wikipedia)
概要
老朽化するSEの後継車両として、1980年12月27日に登場した3代目ロマンスカー。NSEから展望席と連接台車を継承しつつ、さまざまな面で改良がなされ、より洗練されたデザインになった。
第24回ブルーリボン賞受賞車両。
展望席を設けた車両としてはNSE以来2代目、連接台車を採用した車両としてはSE以来3代目である。
NSEに引き続き11両編成で、4編成44両が導入された。
塗装・機能
先頭車両の形状がNSEよりもシャープになっており、ライトや種別幕を車体に埋め込む構造になっている。種別幕は当初から電動字幕式で、正面に設置される。
塗装も先の2形式にならって、バーミリオンオレンジ■をベースにホワイト□とグレー■で、多少の違いこそあれど大きく変わる部分は少ない。
補助警報音も健在。
計画の段階ではSEの後継車両という位置づけで、NSEを6両編成にしてそれまで同形式で使用されていた列車に新型を投入する案や、20m級のボギー車4両編成にするという案、展望席をサロンルームにする案や座席を外に向けたりする案など、実に多様な意見が飛び交ったという。実際に将来の御殿場線入線にも同一機器で対応できる設計になっており、「あさぎり」への転用も示唆されていたが、結局最後までSSEが使われたため御殿場線入線は幻に終わった。
内装・車内設備
2300形以来久しぶりにリクライニングシートが設置され、NSEと同じくシートピッチ970mmで配置。モケットはオレンジとベージュのツートンカラー。
引き続き窓側には折りたたみテーブルを備える。
折り返しの車内整備を簡素化するため、鉄道車両では初めてにスイッチ操作による回転式リクライニングシートの自動転換機構を装備した。
展望席はNSEの10名から4名増えて14人になっており、南側に8席・北側に6席設けられている。
ロマンスカーでは初めて自動ドアが採用され、デッキも設置されたほか、1・2号車と10・11号車の間を除いた全ての車両間に仕切り扉も設置された。1700形の特急時代に描かれていた「ヤマユリ」のブランドマークが復活し、扉に貼りつけられている。
3・9号車には喫茶カウンター、4・9号車にはトイレ・洗面台が設けられ、NSEと同じく男女共用和式トイレと男子小用トイレである。1985年以降は9号車に公衆電話も設置されている。
運転開始
第1編成は1980年12月27日より営業運転を開始。その2日前には新宿駅で完成記念式典が行われ、ひと足早く臨時列車が運行されている。
1981年9月13日には、総票数9822票中2233票をマークして第24回ブルーリボン賞を受賞。新宿駅の地下ホームで記念式典が行われ、受賞記念列車が運行された。
同年度中に第2編成も運用を開始し、1982年11月には第3編成、1983年12月に第4編成が入線し増備は完了した。
1982年の11月から12月には国鉄からの依頼で貸し出され、東海道線で試験走行が行われた。
これは、新型特急用車両の計画を進めていた国鉄は開発にあたり、ボギー車と連接車の比較を行おうとしていたが、当時の国鉄には試験に使用できそうな連接車がなかったためである。
LSEが選ばれた理由については、ボギー車側の183系と重心の高さや輪重などの数値が似通っていたからだという。
貸し出された第2編成は各種調整を行った後、1982年12月10日から15日にかけて大船~熱海間で最高速度130km/hでの走行試験が行われた。
SE以来の「国鉄の線路で試験を行った私鉄の車両」であり、沿線には多くの鉄道ファンが訪れた。
この試験により連接車の特性が定量的に把握されたが、結論としては「ボギー車と連接車で乗り心地の差は見られず、同程度の性能」ということになった。ただし、「台車構造の差が測定結果に強く認められたため、十分に違いを把握したとはいえない」とも述べており、曲線の通過性能については「今後さらに検討を要する」とした。車両ごとの振動の差が少ない点には「連接構造による車両間の拘束が強いため」と認めている。
そのため、国鉄は連接車両の導入を見送り、JR化後も少数が製造されるにとどまっている。
(出典:Wikipedia)
リニューアル
1996年から1998年までにリニューアル工事が実施され、塗装がバーミリオンオレンジ基調から、HiSEと同様の濃淡ワインレッド■■とパールホワイト□で塗り分けられたものに変更され、前述のヤマユリのマークも車体側面に追加された。
また、座席モケットの変更や車いす対応座席の設置なども行われている。
その後、2007年7月6日からは小田急開業80周年およびSE登場50周年を記念し、第4編成が登場当時の塗装に復元された。翌年3月31日までの期間限定だったものの、好評によりそれ以降も継続されている。
ただし、先頭部分の窓枠がリニューアル時の黒色のままで残されていたり、パンタグラフがシングルアーム式になったり、側面に小田急のブランドマークが掲出(2008年3月以降)されたりしている点に違いが見受けられる。また、両先頭車両の座席が1席ずつ撤去され、定員が2名減っている。
その後、2012年2月に第3編成が旧塗装に復元されることが決定し、これと同時に7004Fの窓枠は原型と同じ銀色に戻された。HiSEカラーで残された第1編成は2012年2月19日をもって運行を終了した。
運用終了・保存
後輩のHiSE・RSEが引退してからもなお活躍し続けたLSEだったが、GSEの登場により引退が決定。6月までに第3編成も引退し、6月23日からは3・4・8・9号車の各側面に「ラストラン記念ロゴマーク」が掲出され、5月29日には定期運用終了日が発表された。
迎えた最終日の7月10日、LSEで使用される各列車に乗車した人全員に記念乗車証明書がプレゼントされた。そして、新宿駅15:40発「はこね41号」と箱根湯本駅17:25発「はこね34号」の出発時には出発式が行われ、新宿19:15発の「ホームウェイ83号」をもって、LSEは定期運用を終了した。
その後は臨時列車の運行に就き、2018年10月13日の「特急ロマンスカー・LSE(7000形)さよならツアー」を最後に引退した。
運行期間はSEをも上回る38年間で、これはロマンスカー最長の記録である。
ラストランの終了後、最後まで走り続けた第4編成は全車両が解体された。残った第3編成は両先頭車両が保存されていたが、このうち1号車が2019年2月に解体され、残った11号車はロマンスカーミュージアムに展示されている。
また、解体された第3編成1号車の運転席がシミュレーターとして活用されている。
●10000形「HiSE」(High Super Express)
(出典:Wikipedia)
概要
小田急開業60周年を記念して、1987年12月23日に登場した4代目ロマンスカー。第31回ブルーリボン賞受賞車両。
NSE・LSEから続く展望席と連接構造を受け継ぐとともに、この時期はレジャーの多様化から新しい要素が求められており、当時JR・私鉄各社で登場しつつあった高床構造(ハイデッカー)をロマンスカーで初めて取り入れ、展望席以外の乗客にも高所からの眺望性を楽しんでもらえるようにした車両である。形式名は10000形で、ロマンスカーでは初めて5桁の番号になった。
11両編成で4編成44両が導入された。
愛称先頭の“Hi”は「ハイデッカー」「ハイグレード」などから連想される上級という意味の「High」という言葉を表したもので、ロマンスカーとしては珍しく特定の単語の頭文字からとられたわけではない。
塗装・機能
NSEやLSEとは違い、運転席を前面に移動させて展望席との傾斜が一体化するようになっており、角度も上がってさらにシャープな感じになっている。
種別幕は展望席の出入口上部脇に設置され、LSEと同様に電動字幕式である。
そして最大の特徴は何と言ってもハイデッキ構造で、乗車口に階段を設けることで他の車両よりも座席を高い位置に配置することができ、見事な眺望性を誇る。展望席の部分はこれまで通り平屋構造である。
バーミリオンオレンジをベースにホワイトとグレーで塗り分けられたカラーリングだった先代たちとは違い、パールホワイト□と濃淡のワインレッド■■2色を基調としたロマンスカー初のツートンカラーになっており、リニューアル工事後はLSEで復活したヤマユリのマークが側面にデザインされた。
内装・車内設備
シートピッチはLSEと同様の970mmだが、座席は単なる回転式クロスシートなのでリクライニングできない。ただし、角度自体はLSEをリクライニングさせた時と同じで、背もたれ高さが50cm高くなっている。足元にはフットレストバーが設置される。
例によって窓側席には折りたたみテーブルが設置されており、その下にはなぜか栓抜きも備えられている。1989年の増備車以降は座席背面にもテーブルが設置された。
座席モケットは江の島・芦ノ湖をイメージした青系と、太陽をイメージした赤系になっているが、両端の6両(1・2・3・9・10・11号車)と中間5両(4・5・6・7・8号車)で異なっている。
この配色は編成によって異なっており、日本車輛製造製の第1・第3編成は両端6両が赤系・中間5両が青系で、川崎重工業製の第2・第4編成は両端6両が青系・中間5両が赤系と反転している。
展望席はLSEに引き続き14名でシアター状に段差がつけられている。モケットは赤系と青系が1席ずつ交互に配置されており、前述の通り編成によって組み合わせが反転している。
ちなみに、2・3列目は回転することが可能。
LSEと同様に、1・2号車と10・11号車の間を除いた全ての車両間に仕切り扉も設置されており、ヤマユリのブランドマークが描かれている。
3・9号車には喫茶カウンターが設置されている。日本の鉄道車両としては初めてオーダーエントリーシステムが導入されており、注文から提供までの迅速化が図られている。また、コーヒーマシンが設置された初の車両になった。
また、4・8号車にはLSEと同様に男女共用和式トイレ・男子小用トイレと洗面台が設けられた。
運用
第1編成は1987年12月23日の「はこね7号」よりデビュー。
1988年1月14日には第2編成も運用を開始し、登場後しばらくの間は「はこね」でのみ運用された。1989年にはさらに2編成も増備され、「あさぎり」を除く全列車が11両連接車で運行されるようになった。
9月11日には、総票数5352票中1570票を獲得して第31回ブルーリボン賞を受賞。新宿→小田急多摩センター間で記念列車が運行された。
2001年4月からは1年間、「日本におけるイタリア2001」を記念して、1編成が各車両にイタリアの国旗のカラーである緑・白・赤のストライプ帯を追加した「イタリアンエクスプレス」として運用された。
登場してしばらくはロマンスカーのイメージリーダーを飾っていたが、後輩のRSE・EXEの登場後はそちらに座を譲った。しかし、いずれもロマンスカーの代名詞でもある展望席を持たなかったことで利用者数が伸び悩んだため、登場から15年目になる2002年に再びイメージリーダーに返り咲いた。
ところが、交通バリアフリー法の施行により鉄道車両のバリアフリーが義務化され、本形式はハイデッカー構造が仇になってしまう。これに伴い2005年に置き換えのためにVSEが登場した、第2・第4編成が廃車になった。
また、当時建設が進められていた複々線では地下線化も同時に進められていたが、274tという重量を持つ当形式では地下の急勾配の走行に支障が出るという問題も生じるようになった。
そして2011年6月16日をもって第3編成が引退し、残った第1編成も2012年3月17日のダイヤ改正をもって引退することが発表された。その後、同時に引退する初代5000形やRSEとともに運行終了記念特設サイトが開設され、2012年2月1日から車体にラストランステッカーも掲出された。
そして迎えた定期運用最終日、最後の下り列車である「はこね35号」の出発式が新宿駅で行われ、箱根湯本で折り返して戻ってきた「はこね36号」の到着時に到着式が行われた。これをもって、HiSEは引退した。
当初は第1編成の両先頭車両と中間車両1両(9号車)が保存されていたが、2017年7月頃に複々線完成を見越した車庫の収容スペースの確保を理由に1号車と9号車が解体され、残った11号車1両がロマンスカーミュージアムに保存されており、車内全体の見学が可能。
●20000形「RSE」(Resort Super Express)
(出典:Wikipedia)
概要
老朽化したSEの置き換えおよび「あさぎり」相互直通運転計画の一環として、1991年3月16日に登場したロマンスカー。第35回ブルーリボン賞受賞車両。
JR東海が開発した371系とは姉妹車にあたり、同形式とは編成・定員・構造などでほぼ共通設計になったため、それまでの伝統だった展望席や連接構造は廃止され、2300形以来のボギー車両になったほか、代わって2階建て車両やグリーン席が設置されるなど、今までの車両とは全く異なる構造が話題になった。
2編成14両が導入された。
塗装・機能
ロマンスカー初の7両編成。3号車と4号車はこちらも初となる2階建て車両になっており、さらに2階席はこれまた初となるグリーン車になっている。グリーン席は小田急線内(箱根登山線含む)運用では「スーパーシート」と呼称されており、特急券だけでなくグリーン券も必要になっており、ロマンスカーでは初めて普通席とグリーン席の2クラス制料金になっていた。
それ以外の号車には、HiSEで好評を博したハイデッカー構造が引き続き搭載されている。
ドアの上にはLED式行先表示器が設置され、基本的に種別のみ表示されるが、「あさぎり」運用時のみ行先も表示される。
最後の折戸式ドアの車両で、EXE以降は引戸式になった。
カラーリングは、スーペリアホワイト□とオーシャンブルー■のツートンをベースに、側面にはオーキッドレッド■の帯が添えられている。LSE・HiSEと同じく、自動ドアと車体側面(1996年以降)にはヤマユリのマークも描かれている。
内装・車内設備
車両によって内装のコンセプトが決められており、1・2号車と3号車1階席は「海」、3号車2階席と4号車は「山・樹木」、5~7号車は「都会」がそれぞれテーマになっている。
全車両に共通して、ダブルデッカー1階以外は間接照明を採用している。座席背面にはテーブルが備えられ、車端部にはLED式の車内案内表示器と折りたたみテーブル(普通車のみ)が設けられている。また、モケットはいずれもグレー基調だが、車両ごとに若干デザインが異なり、床にはカーペットが敷かれる。リクライニングはボタン式で、足元にはフットレストがあり、HiSEのようなパイプ式から四角形で幅のあるサイズになっている。
1・2号車と3号車1階席は「海」がテーマで、ブルーを基調としている。カーペットは波をデザインしたものになっている。
シートピッチはSE以来の1000mm。
3号車の1階席については2+1配置になっており、眺望性が悪い分シートピッチはスーパーシートと同様に1100mmで配置される。
3号車2階席と4号車のテーマは「山・樹木」で、カーペットはローズを基調としている。
371系にはない特徴として、4号車1階席は4人がけのセミコンパートメントが3区画設置されている。富士山麓を思わせるグリーン系のモケットが特徴。切符には「セミコン」のマークが入っていた。
5・6・7号車は「都会」がテーマになっており、暖色系のカーペットが敷かれている。座席については1・2号車と同様。
車内設備については、2・6号車にトイレ・洗面台、3・4号車の平屋部分に車販基地を兼ねた喫茶コーナーを設置している。
トイレは2号車は身体障害者対応の洋式、6号車は男女共用和式になっている。3・4号車のデッキには公衆電話ルームがある。
また、車内専用の車いすが喫茶コーナーに常備されている。
スーパーシート・セミコンパートメントと一部の普通席のデッキにはラゲージスペースが設置される。
スーパーシート(グリーン席)
小田急初のグリーン席は「山・樹木」と「小田急のファーストクラス」がテーマになっており、「走る喫茶室」と同様のサービスも行われていた。
シートピッチはロマンスカー最高クラスの1100mm。座席は3列になっており、1人がけは660mm・2人がけは1300mmの幅になっている大型シートである。2人がけの間にはロマンスカーとしては珍しくひじ掛けが設置されており、2つあるのでそれぞれが利用できる。
座席のひじ掛けにはテーブルが収納されており、背面にも備えられているので1人で2つも利用できる。
かつては液晶テレビも設置されていたが、後に撤去された。オーディオパネルやコールボタンも後年機能停止になった。
天井には読書灯があり、間接照明が採用されている。
なお、ダブルデッカーは2階部分でのみつながる構造になっている(371系も同様)。
運用
第1編成は1990年12月24日、第2編成は1991年1月26日に竣功し、3月16日の「あさぎり1号」より運行を開始。基本運用は「あさぎり1号」→「あさぎり4号」→「あさぎり5号」→「あさぎり8号」で、検査時以外は予備運用として「はこね」や「あしがら」にも充当されていた。
1992年1月1日には「初詣号」にも充当され、営業運転では初めて江ノ島線に乗り入れた。
8月29日には、有効投票数7320中1894票を獲得して第35回ブルーリボン賞を受賞。新宿→唐木田間で記念列車が運行された。
10月25日には団体臨時列車「カントリーハートインアサギリ」号として、沼津から
東海道線を経由して
身延線の富士宮まで運行。小田急電鉄が富士宮で営業を行っていたゴルフ場のイベントのために設定されており、営業列車では唯一の沼津以西への入線になった。
2002年3月23日のダイヤ改正からは多摩線の「ホームウェイ」が増発されたため、「あさぎり8号」の折り返しで唐木田行きの「ホームウェイ71号」に使用されるようになり、「あさぎり」以外では初の定期運用で、営業運転では初の多摩線乗り入れを果たした。
やがて予備運用は土休日のみになり、平日は「あさぎり」専属で運用された。また、371系は1編成しか製造されていないため、検査時は当形式が「あさぎり」全列車を担当していた。
御殿場線直通列車の見直しとHiSEと同様のハイデッカー構造、複々線の地下急勾配の対応への難しさから、2012年3月17日のダイヤ改正をもって引退することが発表され、2012年2月1日からは車体にラストランステッカーも掲出された。
定期運用最終日、最後の下り列車である「あさぎり5号」の出発式が新宿駅で行われ、沼津で折り返して戻ってきた「あさぎり8号」の到着時には到着式が行われた。その後に引退記念イベントを行った後8月に第1編成が、翌年11月11日に第2編成も引退。
その後、第1編成の先頭車両2両とダブルデッカー1両が保存されていたが、2018年11月に複々線完成による車両スペースの確保を理由に1号車が解体され、残った7号車とダブルデッカーはロマンスカーミュージアムに展示されている。
HiSEと同様に車内全体(グリーン車はデッキのみ立ち入り可能)を見学可能。
展示にあたって整備された際、ドア横にあったグリーン車のマークが消されている。
●JR東海371系
(出典:Wikipedia)
概要
JR東海から参戦。同社が初めて開発した特急用車両であり、ロマンスカーでは史上初の乗り入れ車両でもある。1991年3月16日より登場。
当時のJR東海では優等列車の車両を置き換えるというイメージチェンジに合わせ、イベントや観光開発の推進によって路線の改善を図ることを行っており、「ソフトで洗練されたデザイン」をコンセプトに開発された。
1編成7両のみが製造されており、JRの特急用車両では東日本のE655系(1編成6両)に次いで少ない。
1991年グッドデザイン商品選定車両。
塗装・機能
姉妹車であるRSEと同様に編成・定員・構造などでほぼ共通設計になったため、7両編成で3・4号車をダブルデッカーとし、2階にはグリーン席を設けた点は同じ。
ただし異なる点もあり、ドアが引戸式かつプラグドアになっているほか、ハイデッカー構造ではないため2号車はバリアフリー対応になっている。
また、小田急線との連絡線にあるデッドセクション(無電区間)に備えてインバータ付直流蛍光灯を採用しており、RSEとは違ってセクション内を通過中でも車内灯は消えない。
行先表示器はいずれも列車名と座席種別が案内されているが、1・5・7号車は横に、2・3・4・6号車では縦に並べて表示されている。
カラーリングは同じく自社製の
100系新幹線を思わせる、白3号
■をベースに窓周りが青20号
■で縁取られたデザインになっている。
内装・車内設備
全車両に共通して、全ての座席に間接照明を採用している。座席背面にはテーブルが備えられ、車端部にはLED式の車内案内表示器が設けられている。リクライニングはボタン式で、足元にはフットレストがある。
窓は1650mm×1020mmと非常に大きく、底辺はひじ掛けよりも下にあるほど。
普通席はグレーがベースで、ひじ掛けはレザー張りになっていて、落ち着いた雰囲気になっている。座席の縦列でモケットが若干異なる。シートピッチは1000mm。
車端部には1枚板のテーブルが設けられる。
RSEとは違ってセミコンパートメント席は設けられておらず、1階席は3・4号車とも2+1配置である。シートピッチはグリーン席と同じく1100mmで1段の段差がつけられており、窓側には細長いテーブルが設置され、床との間にスペースがあるのでバッグなどを置くこともできる。
車いす座席対応座席は当初設置されていなかったが、2006年までに2号車に設置された。これにより、定員数が2名減少した。
デッキとグリーン席をつなぐ階段は横幅1m以上というビッグなサイズになっており、脇には公衆電話が設置されている。
両先頭車両以外のデッキ寄り(グリーン車は貫通路寄りも含めた2か所)には荷物置き場も設置されていた。
車内設備については、こちらもRSEと同様2・6号車にトイレ・洗面台、3・4号車の平屋部分に車販基地を兼ねた喫茶コーナーを設置している。
トイレについては、2号車は身体障害者でも使える洋式トイレ、6号車は男女共用和式トイレになっている。
また、車内専用の車いすが2号車に常備されている。
グリーン席
グリーン席はRSEと同様に3列になっており、1人がけは660mm・2人がけは1250mmの幅になっている。シートピッチが1100nmmで、2人がけの間にひじ掛けが設置されているのも同様。
モケットはオレンジがベースになっている。
座席のひじ掛けにはテーブルが収納されており、背面にも備えられているので1人で2つも利用できる。車端部には折り畳み式テーブルがある。
落成当初は液晶テレビやオーディオパネル、乗務員コールボタンも設置されていたが、後に撤去された。
天井には読書灯とスポット式空調吹き出し口がある。
運用
1991年3月16日のダイヤ改正より運行開始。
371系は静岡駅から「ホームライナー沼津2号」で沼津まで向かい、沼津~新宿間を「あさぎり2号」→「あさぎり3号」→「あさぎり6号」→「あさぎり7号」の順で2往復した後、いったん三島駅に回送されてから「ホームライナー浜松5号」で浜松まで向かい、折り返し「ホームライナー静岡8号」で静岡に戻るというサイクル運用で、東は新宿から西は浜松まで、1日約700km以上もの長距離を走行していた。
登場以来ほとんど変更はなかったが、2009年3月14日のダイヤ改正からは「浜松5号」が沼津発になったため、回送とはいえ三島駅への乗り入れが消滅した。
なお、「ホームライナー」ではグリーン席は締め切り扱いになっており、乗車はできなかったが通り抜けは可能だった。
1編成しか存在しないため、車両検査の際ははRSEが「あさぎり」全列車を担当。「ホームライナー」では臨時快速として165系や313系などといった一般車両が代走を担当した。
検査は名古屋工場で行われていたため、冒頭で記した近鉄特急と顔を合わせる機会もあった。
また、 故障やダイヤ乱れ時は一部区間を運休し、小田急線内のみを他のロマンスカー車両で代走していた。
2003年4月6日に小田急の座席予約システムが更新された際、それまで連番方式だった座席番号の表示が変更され、窓側をA席・D席、通路側をB席・C席としたため、車内の座席番号表示も変更された。
2006年までにパンタグラフが菱形からシングルアーム式に交換され、2号車の15番座席が車いす対応の1人がけ座席に変更されたため、定員が2名減少した。
その後、御殿場線直通列車の見直しに伴いRSEともども運用終了が決定。
2012年3月16日の定期運用最終日、「あさぎり7号」の新宿出発時には出発式が行われ、松田・沼津到着時、および最後の定期列車である「ホームライナー静岡8号」の静岡到着時には乗務員によるさよなら放送も行われた。
これをもって、371系は21年間の運用に幕を下ろした。
その後は団体・臨時列車として東海管内で2014年11月まで使用され、富士急行に譲渡されている。
●50000形「VSE」(Vault SuperExpress)
(出典:Wikipedia)
概要
低迷するロマンスカーブランドの復権をかけて、「ロマンスカーの中のロマンスカー」をコンセプトに、10000形「HiSE」以来久々に観光向けに作られた展望席付きロマンスカー。交通バリアフリー法の施行で存続できなくなった同形式を置き換える目的も兼ねて導入された。第49回ブルーリボン賞受賞車両。
2005年3月19日に登場し、長らくロマンスカーのイメージリーダーを飾っていたが、GSEの登場後は同形式にその座を譲ることになった。
ロマンスカーでは初めて外部のデザイナーにデザインを依頼し、ポンピドゥーセンターや関西国際空港の設計などで知られる岡部憲明が担当。以降岡部はロマンスカーに加え、小田急グループの車両や施設デザインを担当するようになった。
製作費用は2編成で35億円。
真っ白な車体とドーム型の天井が特徴で、展望席の他にロマンスカーでは唯一「サルーン」を設けている。
1号車と10号車のドアは非常用になっており、通常は使用されない。
乗務員も専任の運転士や車掌が担当しており、社内で実施される筆記試験と面接試験を突破し専門教育を受けた人だけが乗務していた。アテンダントも含めて制服も専用のものが用意され、後者のスカーフは季節に応じて5種類の色がある。
塗装・機能
シルキーホワイト□をメインに、側面にはロマンスカーのイメージカラーとして位置づけられているバーミリオンオレンジ■の帯が描かれている。また、小さいながらもグレー■の細帯が添えられており、「バーミリオンストリーム」という呼び名がある。EXEと同様に愛称のロゴも描かれているが、当形式からは「ODAKYU―SUPER EXPRESS 50000 ROMANCECAR VSE」というような表記に変わり、MSE以降の車両にも受け継がれている。
客用扉は371系と同じくプラグドアになっている。
歴代の展望付き車両と同じく連接台車を採用。編成は岡部氏の「左右対称のほうが安定感が増す」という理由で偶数の10両編成になったため、LSEやHiSEに比べて1両当たりの長さは長くなっている。
これを実現すべく、軸重の制約条件をクリアしつつ車体長を延長する必要があったため、車体は全てアルミニウム合金製になっており、展望席部分のみシングルスキン構造、それ以外の部分は台枠も含めてダブルスキン構造になっている。
また、3・8号車では屋根上にパンタグラフや列車無線アンテナを装備しているが、それ以外の機器は全て床下に設けられたため、他の号車では天井裏には空調装置のダクトと車内放送のスピーカーしかない。行先表示器は縦に設置されている。
10両編成の連接車の構想はNSEの時からあったものの、軸重の関係でなかなか導入できておらず、車体の軽量化によって晴れて実現した。
乗り心地の向上を図るため、空気ばねによる車体傾斜制御や台車操舵制御が採用されている。
この技術は1960年代から1970年代にかけて、3回に渡って車体傾斜制御の試験を行なっていたが、当時の技術不足や輸送力増強への集中を理由に実用化は見送られており、時代が進んで技術が発達したこともあり導入に至った。
また、SEからRSEまでに使われていた補助警報音と同じメロディのミュージックホーンが初めて搭載されており、以降MSE・GSEでも使われている。当形式ならではの機能として、車内放送の前後には「ロマンスをもう一度」のチャイムが流れる。
内装
「Vault」の名の通りドーム状の天井が特徴で、天井の高さはHiSEよりも45cm高い2.55mになり、あたたかみのある間接照明が用いられている。床にはカーペットが敷かれている。シートピッチは1050mm。
岡部の提案により、座席は全て窓側に5度向いた状態で配置されている。一見5度だけではほとんど変わらないように思われるかもしれないが、実際に見てみると思った以上に窓を向いているのがわかる。窓枠は4席に1枚ずつ。
鉄道車両としては初の「アンクルチルトリクライニング機構」を導入。リクライニングすると座面が沈み込む設計になっている。座面は柔らかいものの、背もたれはやや硬い。モケットはオレンジ色で、ヘッドカバーには金色で「VSE」の刺繍が入る。
テーブルは観光バスのように座席の背面に設置されている。やはり座席と座席の間にひじ掛けはない。
また、窓側にはハードメイプル製の折りたたみ式テーブルが設けられているが、座席を向かい合わせにした時しか使用できない。
展望席は2席増えて16席になった。ただし、HiSEのように段差があるわけではないので、3・4列目ではほとんど展望は望めない。構造上、景色は窓側よりも通路側の方が見えやすい。
ここでは全て正面を向いており、一般席のように5度曲がっているわけではない。一般席とは形状が微妙に異なっており、背もたれの上半分が少しだけ狭まっている。
1列目は足元がやや狭いものの、最高の眺めを望めるのでそれほど問題ではない。テーブルは窓側席のみにテーブルがあったHiSEとは違い、前方のカウンターに収められており、通路側も利用できる。
2列目以降は1150mmのシートピッチを有しており、テーブルは一般席と同じく座席背面と窓側に備えられているが、後者については配置の関係上、回転しなくても利用することができる。
ちなみに、4列目の座席以外は回転することが可能で、さらにグループ利用も配慮してか、通路側を向いたまま固定することもできる。
デッキとの仕切り扉の上には液晶ディスプレイが設置されており、停車駅や接続路線といった各種情報のほかにも「多摩川を通過」などの案内も表示される。
車内設備
トイレや洗面台・カウンターブース・AEDといった各車内設備は3・8号車に集約されて設置されており、これらの号車には座席がほとんどない。そのため、車体にはロゴが描かれている。
サルーンとカフェカウンターについては後述する。
トイレ・洗面台は3号車の新宿方と8号車の下り方に設置。共通して男子小用トイレとベビーベッド・ベビーチェアを完備した女子トイレを備え、大用は全て洋式トイレである。
男女共用トイレについてはロマンスカー初の「ゆったりトイレ」になっており、ベビーベッドとオストメイトを備え、車いすでも十分入れる大きさを有する最新型になっている。
3号車のサルーンS3前と8号車のカウンターブース前には当初喫煙ルームが設置されていたが、2007年3月18日のダイヤ改正からはロマンスカーは全面禁煙になったたことから使用を終了し、以降はAEDとパンフレットが置かれたスペースになっている。
デッキには情報端末ディスプレイが設置され、箱根の天気や観光情報・ロマンスカー紹介・全面展望映像などを閲覧することができる。
ちなみに、EXE以降のロマンスカーでは唯一自動販売機が設置されていない。当初は「スーパーはこね」「はこね」の運用が大半で、車内販売も行われていたことからそれほど問題はなかったが、2018年3月17日のダイヤ改正以降は車内販売がない「さがみ」や「ホームウェイ」などでの運用も増加し、さらには頼みの車内販売すら終了してしまったため、これが引退の遠因になったという見方もある。
サルーン
3号車に4人がけで3区画(南側に2区画、北側に1区画)、計12人分設けられているセミコンパートメント席。利用には運賃に加えて、人数に関係なく特急料金の4倍のサルーン料金が必要である。座席番号はS1~S3になっている。
パーテーションガラスで仕切られており、RSEとは違って1区画ごとの販売であることから、見知らぬ人と相席になることはない。
背もたれはほぼ完全に壁と接しており、くつろぐと言うよりは複数人で集まってワイワイ楽しむことに適していると言える。座席については一般席とほぼ同様で、座面がやや柔らかく、背もたれがやや硬い。中央には展開式のテーブルが、座席上には荷物置き場があり、テーブル下にはコンセントが2つずつ設置されている。
ロマンスカーカフェ
VSEは他の車両とは異なり、かつての「走る喫茶室」と同様のシートサービスを復活させた。コーヒーマシン・電子レンジ・ビールサーバーなどを備えた3・8号車のカフェカウンターを拠点とし、HiSEと同じくオーダーエントリーシステムを用いて営業していた。飲み物はVSEオリジナルのグラスで提供されており、購入することもできた。
もちろん、カフェカウンターで商品を購入することも可能である。
しかし、2016年3月26日のダイヤ改正をもってカフェカウンターの営業も廃止され、以後は2021年3月の車内販売終了まで車販基地として使用された。
運用
第1編成は2004年11月23日に入線。この時まだ車体全体が保護シールで覆われた状態で、11月29日に行われた大野総合車両所の「お披露目式」で初めて一般公開された。
2005年3月19日より運行を開始。1番列車の「スーパーはこね9号」は新宿駅で出発式・小田原と箱根湯本では到着式が執り行われ、車内では乗車証明書・箱根寄木細工・オリジナル鉛筆が配布された。
そして、2006年9月10日には有効得票総数3420票中1005票をマークする形で鉄道友の会が贈る第49回ブルーリボン賞に輝き、「スーパーはこね13号」の一部を会員が貸し切る形で記念列車を運行した。
また、2005年には照明学会の「照明普及賞優秀施設賞」と日本産業デザイン振興会の「グッドデザイン賞」、2006年には香港デザインセンターの「アジアデザイン大賞」、2007年にはドイツ・ハノーファー工業デザイン協会の 「iFデザイン賞」をそれぞれ受賞している。
当初は「箱根専用特急」という差別化から、原則「(スーパー)はこね」のみで運用されており、充当列車もほとんど固定されていた。そのため、臨時列車や他形式の代走などを除いて他の種別では使用されなかった。
しかし、2016年3月26日のダイヤ改正からは平日のみ「ホームウェイ85号」に1本充当されて江ノ島線での定期運用が始まり、GSEの登場以後は「展望付き車両」として共通運用化され、「さがみ」「えのしま」および「ホームウェイ」「モーニングウェイ」でも運行されるなど幅広い活躍を見せた。
ラグビーワールドカップの日本開催に合わせ、2019年9月10日から11月3日まで第1編成が「ワラビーズ号」として運転されることになり、9月10日の「さがみ70号」より運転を開始した。これは小田原でキャンプを行うオーストラリア代表チーム「ワラビーズ」の応援企画の一環で、車体にロゴステッカーが掲載されるほか、運行初日とワラビーズの試合日(9月21・29日、10月5日・11日)には座席ヘッドカバーが特別仕様となっていた。
2020年1月10日から、箱根が舞台になっている
新世紀エヴァンゲリオンとの大々的なコラボレーションイベントが行われており、その一環として1・3・8・10号車の側面に特別仕様デザインステッカーを掲出し「
Romancecar VSE feat. EVA」として運行された。
また、車内販売でドリンクを購入すると、ロマンスカーとコラボしたオリジナルデザインのコースターがプレゼントされる。種類は乗車した車両によって異なっており、2回に分けて行われるため、計8種類がある。
1期は1月10日から3月31日までで、GSEでは
2号機、VSEでは
零号機、MSEでは
初号機、EXEでは
Mark.06である。
2期は4月1日からで、GSEでは
惣流・アスカ・ラングレー、VSEでは
綾波レイ、MSEでは
碇シンジ、EXEでは
渚カヲルである。
当初の予定では6月30日までだったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で9月30日まで延長された。
引退
長らくロマンスカーの顔として多くの人々に親しまれてきたVSEだったが、2021年12月17日、車両の経年劣化や主要機器の更新が困難であることなどの理由から、2022年3月12日のダイヤ改正をもって定期運用を終了し、イベント列車での使用後に2023年秋を目途に引退することが発表された。
小田急によれば、リニューアルや更新計画については以前から検討されていたものの、アルミ合金押出形材のダブルスキン構造という特異かつ高価な材質ゆえ、修理には高度な技術や経験が必要で手間がかかってしまうことや、連接構造や車体傾斜制御といった他の車両にはない特殊な構造を多く採用していることから経年劣化に伴う主要機器の更新も難しく、性能を維持できないことからリニューアルを断念し、EXEとは違ってそのまま引退させることになったという。
元々はHiSEに代わって登場したこの形式だったが、17年での引退は歴代ロマンスカーでも最短で、皮肉にも置き換えた当のHiSEより短命に終わる結果になってしまった。
人気に反して短命に終わった理由としては上記の他に、車内販売の終了によってカウンターブースがデッドスペースになった上に自動販売機も未設置だったことなどの原因が挙げられる。
2編成でのべ600万km以上を走行し、この間に約2000万人の乗客が利用したという。
定期運用離脱に際し、2022年1月29日からは両先頭車両と3・8号車側面に記念装飾を車体へ掲出、3月11日までは一部駅にて「小田急ロマンスカー・VSE(50000形)定期運行終了記念乗車券」が販売された。
そして、2022年3月11日の「ホームウェイ87号」をもって定期運用を終了した。
その後はイベント列車として使用され、第2編成は2023年9月24日の「ありがとう50002編成 ~VSE2編成最後のランデブーミステリーツアー~」、第1編成も12月10日の「ロマンスカー・VSE ラストラン ~おもいでは永遠に~」をもって完全引退した。
2024年3月現在は2編成とも休車扱いで喜多見検車区構内に留置されている。
他社に移籍したロマンスカー
ロマンスカーの中には小田急で役目を終えた後も、他社に譲渡された車両がこれまでに371系含めて4形式存在する。
譲渡先の社名はいずれも当時のもの。
●大井川鉄道3000系電車(初代)
元SE。
1983年3月に引退した第1編成が譲渡され、同年4月15日付で竣工。
動態保存車両という見地から外観はほとんど変わっておらず、改造は客室・運転室内のカーテン交換や保安装置関連、電動車の記号が「デハ」から「モハ」に改められるなど小規模なものに留まった。
何気に大鉄の車両では初めての冷房車である。
同社の固定編成車両では最長となる5両編成で、当初は3両に短縮する案があったが、技術的な問題があったことや小田急が先頭車両に乗客用扉を設置することに了承せず、結局5両のまま譲渡された経緯がある。
同年8月よりロマンス急行「おおいがわ」として運行を開始。しかしSL急行ほどの人気は得られず、ワンマン化改造も不可能だったことから1987年7月のダイヤ改正以降は運用がなくなり休車扱いになった。
その後は千頭駅構内に留置された後、1992年4月に新金谷駅構外の側線に移動し解体された。
同社は後年、トップナンバーだったことから残せるように努力したものの老朽化や軽量・連接車体という整備の難しさなどを考慮し、やむなく廃車にしたと述べている。
後に3000系という形式は京阪電車からやってきた同形式に引き継がれた。
●長野電鉄1000系
(出典:Wikipedia)
元HiSE。小田急からの他社への車両譲渡は20年ぶり。
VSEに置き換えられた川崎重工業製の第2・第4編成が無償で譲渡され、日本車輛豊川製作所で改造工事が行われた。
甲種輸送の際は車高の関係で篠ノ井線を通ることができなかったため、東海道線~
武蔵野線~
高崎線~
上越線~
信越本線~
しなの鉄道線という大回りルートで回送された。
譲渡にあたり4両(旧1・2・10・11号車)へと短縮され、塗装も2色のワインレッドから長野電鉄のシンボルカラーである長電レッド■(りんごの赤色に近い)に統一されたが、塗り分けはそのままなので外見に大きな変化は見られない。旧6号車に設置されていた補助電源装置は2号車に移動しているほか、信州中野~湯田中間の急勾配に対応するための抑速ブレーキの強化や、寒冷地の長野でも走れるように耐雪・暖房装置が設置されている。
車内は基本的にHiSE時代の面影を残しているが、一般席のモケットは全て青系のものに統一されている。展望席のモケットはそのままになっており、引き続き赤系と青系が交互に配色される。
ここのみ平屋構造であるため、介助者用のジャンプシートも設置されたことでバリアフリー関連法規に対応し運行が実現した。
ドア脇にはマガジンラックが置かれている。
2015年9月以降は車内放送も行われるようになり、これに合わせてLED車内案内表示器も新設された。
ブルーリボン賞のプレートも健在だが、一部は車内案内表示器の設置に伴って掲載場所の移動が行われている。
公募により「ゆけむり」の愛称が与えられ、2007年12月9日より長野線で営業運転を開始した。
登場当初はA特急専任になっていたが、2011年2月13日のダイヤ改正よりB特急でも運用されるようになり、現在は「A特急」「B特急」「特急ゆけむり~のんびり号~」(S特急)として運行される。
●富士急行8000系
(出典:Wikipedia)
元RSE。
2013年11月に「フジサン特急」2000形(元JR東日本165系「パノラマエクスプレスアルプス」)の後継車両として、先頭車2両と平屋の中間車1両(第2編成の旧1・6・7号車)が譲渡された。
2014年7月12日から2代目「フジサン特急」での運用が始まった。
塗装は初代「フジサン特急」を踏襲し、白をベースに公募によって選ばれた大量の「フジサンクン」が描かれている。
運行上は1号車のみ座席指定の展望車両になっており、それ以外の2両は自由席である。
車内にも先代同様大量のフジサンクンが描かれており、1号車のみ座席指定の展望車両になっている。
1号車の運転席後方の座席はソファーが並ぶラウンジになっており、最前列部分には子ども向けの運転台も設置されている。
座席は基本的に2+1配置で、1列部分はRSE時代の3号車の1階にあった1人がけの座席を流用している。
2号車寄りにはセミコンパートメント区画があり、2区画計8席と中央にテーブルが備えつけられているが、向きは固定されており、パーテーションがあるためリクライニングはできない。また、その後ろには2~3人が座れるロングシートもある。
普通車は共通で2+2配置になっている。2号車は、約3分の1のスペースが床面を下げたノーマルデッキになってバリアフリーに対応できるようになり、デッキやトイレも車いすでも利用できるように改装され、ドアも引戸式に変更された。
●富士急行8500系
(出典:Wikipedia)
元371系。こちらもRSEと同様の理由で2014年12月に3両(旧1・2・7号車)が譲渡。
長野にあるJR東日本テクノロジーで第1次の改造工事が行われ、長野~パリ大月~富士山経由で納入された。その後富士急の車両技術センターで最終改造を実施し、2016年4月23日より新設された「富士山ビュー特急」で営業運転を開始。
前述の通り、RSEも富士急行に引き取られて運行を開始したため、小田急とJR双方の元「あさぎり」の車両が再び同じ線路上で走る姿が見られることになった。
デザインは水戸岡鋭治が担当し、塗装は同社1000系「富士登山電車」に似たさび朱色になっており、ロゴなども金色で書かれている。
フジサン特急と同じく3両編成で、こちらも1号車は特別車両になっており、それ以外は自由席になっている。
普通車は2・3号車でそれぞれ赤と青のモケットが使われており、2列ごとにデザインが異なる仕様になっている。
座席
車両によっては以下のような特別席が設けられている場合もある。
運転席を2階に上げることで、車両の最前面まで座席が配置されており、最高の眺望性を楽しむことができる。
歴代車種ではNSE・LSE・HiSE・VSE・GSEに設けられている。
料金は一般席と同額。
VSEの3号車に4人がけで3区画、計12人分設けられていたセミコンパートメント席。利用には運賃に加えて、人数に関係なく特急料金の4倍のサルーン料金が必要になる。座席番号はS1~S3で、切符に「サルーン」のマークが入る。
パーテーションガラスで仕切られており、RSEとは違って1区画ごとの販売になっていて、見知らぬ人と相席になることはない。
背もたれはほぼ完全に壁と接しているため、くつろぐことにはあまり期待できず、どちらかと言うと複数人で楽しむことに適していると言える。中央には展開式のテーブルが、座席上には荷物置き場があり、テーブル下にはコンセントが2つずつ設置されている。
箱根登山線(小田原~箱根湯本間)のみの利用は不可能だった。
RSEと371系の2階席に設置されていた特別席。RSEのみ名称が異なり、小田急線内ではスーパーシート、「あさぎり」ではグリーン席と呼称されていた。
利用には通常の特急券に加えてスーパーシート(グリーン)料金が必要で、2011年3月11日までは「走る喫茶室」と同様のシートサービスも行われていた。
RSEの4号車1階席に設けられていたセミコンパートメント席。4人がけで3区画、計12人分設けられていた。
VSEのサルーンとは違い、1人分の特急料金で利用できるが、1席ごとの販売になっているので見知らぬ人と相席になることがあった。
2025年4月15日から導入。
11:00~16:59に新宿発車、11:00~17:59に新宿に到着するロマンスカーの3号車に設定。
車内には小田急のキャラクターである「もころん」のヘッドレストカバーとステッカーが掲示される。
相互直通運転時代の「あさぎり」は、御殿場~沼津間のみ6号車が自由席になっていた。当初は全区間指定席だった。
予約システム
特急券は1か月先までの予約・購入が可能である。インターネットでの予約には、大きく分けて「e-Romancecar」と「ロマンスカー@クラブ」の2種類がある。
前者は会員登録なしで利用可能で、後者は会員登録が必要になっている。
千代田線内のみの利用だけは不可能で、箱根登山線(小田原~箱根湯本間)については、2005年10月1日より当日座席に余裕がある場合に限って両駅のホームで「座席券」が発売される(満席および満席が想定される場合は発売されない)。
現在は正式に特急券になっているが座席は指定されず、この区間のみの予約・購入もできない。
なお、特急券を購入しないで乗車した場合、車内で特急料金+310円を加算した料金を徴収される。座席の指定は行われない。千代田線に連絡する区間を乗車した場合、さらに100円が加算される。
かつてはホーム上で検札を行っていたが、1999年7月17日のダイヤ改正以降は車掌が持っている携帯端末で特急券の発売状況を確認できるシステムが導入された。
ロマンスカーは事前に特急券を購入してから乗車しましょう。
ホームの特急券券売機で購入する場合、座席の指定はできないので注意。
車内サービス
いわゆる「走る喫茶室」と呼ばれるサービスが始まったのは1949年8月20日からで、SEからは喫茶室が設けられるようになる。やがてロマンスカーのイメージとして定着するようになり、HiSEでは日本の列車としてはじめてオーダーエントリーシステムが導入された。
御殿場線直通列車でも特別準急時代から行われており、全区間で小田急サービスビューロー(1957年からは小田急商事)の車内販売員が1~2名乗務していた。SSEに変更後は、森永エンゼルによって小田急線内列車と同様の「走る喫茶室」のシートサービスが行われた。
基本的に臨時列車では非営業とされていたが、先述のNYEなど稀に営業を行ったことがある記録が残っている。
ただし、いずれもグリーン車のみの営業で、普通車ではワゴンによる車内販売サービスだった。「あさぎり」では2011年3月11日をもって双方ともに終了した。
ロマンスカーで通勤通学や買い物利用など観光以外の用途も増えてきたため、「走る喫茶室」のサービスは1995年3月を最後に終了しており、以降はワゴンサービスのみになった。
VSEでは同形式限定でシートサービスが復活し、2016年3月26日のダイヤ改正まで続けられた。
また、EXEとMSEでは売店による販売も行われているほか、VSEを除く全列車に
自動販売機が設置されている。
ただし、車内サービスの提供は基本的に「スーパーはこね」全列車と一部を除く「はこね」「メトロはこね」のみになっており、それ以外の列車では繁忙期を除き非営業だった。
併結列車については、「はこね」部分(6両)も含めて行われないこともあれば、同列車でのみ営業する場合もあった。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2020年4月8日から当面の間全列車で車内販売が中止されており、さらに5月中の土休日は全ロマンスカーが運休する事態にもなったが、6月よりメニューと対象列車を縮小しつつもようやく再開された。
しかし、2021年3月12日の17時00分をもって車内販売は正式に終了し、長年続いてきた小田急の車内サービスはついにその幕を閉じた。
ロマンスカー停車駅
特定の種別は、停車駅がワンパターンのみか特定の駅に停車するか否かの違いしかなく覚えやすいが、それ以外は多くのパターンが存在しており、停車駅が一定していない。
小田急線内の種別
「スーパーはこね」「えのしま」は停車駅がほぼ固定されているが、「はこね」「さがみ」および「ホームウェイ」「モーニングウェイ」の停車駅は一定していない。
●はこね・さがみ
ロマンスカーの中でも最も停車駅のパターンが多く、さまざまな種類がある。さらに「さがみ」は途中駅発着も存在するため、全てを数えるのは難しい。
しかしながらある程度の傾向はあり、日中時間帯の小田原線内の途中駅は
1.町田・海老名
2.町田・本厚木
3.新百合ヶ丘・相模大野・本厚木・秦野
のいずれかがメインになっており、各1本ずつ運行される傾向にある。よって、町田と本厚木は毎時2本、それ以外は毎時1本の停車になる。
すなわち、町田と相模大野、海老名と本厚木は互換関係にあり、原則両方停車することはない(一部例外あり)。海老名はほとんど「はこね」である。
3.の場合は全列車が秦野に停車するほか、海老名・本厚木の選択は存在せず、全列車が本厚木に停車し海老名は通過する。そのため、相模大野・海老名の停車パターンは1つも存在しない。
この他、伊勢原に停車する場合、
1.町田・海老名・伊勢原
2.新百合ヶ丘・町田・海老名・伊勢原・秦野
3.新百合ヶ丘・町田・本厚木・伊勢原・秦野
の3種類のパターンがあり、新百合ヶ丘・町田といった急行と同じ停車の仕方をすることもある。
2018年3月17日のダイヤ改正以降は向ヶ丘遊園と新松田は全列車が通過になり、特急関連の設備も後に撤去された。
●ホームウェイ
小田原線系統のパターンは以下の通り。ポイントとしては、町田・海老名・本厚木には全ての列車が停車し、それ以東止まりでない限り秦野・小田原にも必ず停車する点。箱根湯本は17:00~18:00台の一部列車が停車。
一方で、「はこね」「さがみ」系統の2.にあたる列車は存在せず、小田原線系統は全列車が新百合ヶ丘を通過する。
1.新宿→町田→海老名→本厚木→秦野→小田原→箱根湯本
2.新宿→町田→海老名→本厚木→秦野→小田原
3.新宿→町田→海老名→本厚木→秦野
4.新宿→町田→海老名→本厚木
「えのしま」系統のパターンは以下の通り。片瀬江ノ島まで乗り入れるか、藤沢止まりかの違いのみ。平日のみ新百合ヶ丘には多摩線の3番ホームに到着し、各駅停車唐木田行きと接続する。
2018年3月17日のダイヤ改正までは同駅を通過する列車があった。
1.新宿→新百合ヶ丘→相模大野→大和→藤沢→片瀬江ノ島
2.新宿→新百合ヶ丘→相模大野→大和→藤沢
●モーニングウェイ
「さがみ」系統は以下の通り。「ホームウェイ」よりパターンが多い。平日では相模大野は始発のみで、小田原・秦野・本厚木・海老名はそれ以東発でない限り必ず停車していたが、土休日では平日のような傾向は見られない。
平日
1.相模大野→町田→新百合ヶ丘→新宿
2.本厚木→海老名→町田→新宿
3.秦野→本厚木→海老名→新宿
4.小田原→秦野→本厚木→海老名→新宿
5.秦野→本厚木→海老名→町田→新宿
土休日
1.相模大野→町田→新百合ヶ丘→新宿
2.本厚木→相模大野→新百合ヶ丘→新宿
3.本厚木→海老名→町田→新宿
4.小田原→秦野→本厚木→相模大野→新百合ヶ丘→新宿
5.小田原→秦野→本厚木→町田→新宿
「えのしま」系統は以下の通り。片瀬江ノ島か藤沢始発で分かれ、さらに後者は新百合ヶ丘に停車するか否かでも分かれる。
1.藤沢→大和→相模大野→新宿
2.片瀬江ノ島→藤沢→大和→相模大野→新百合ヶ丘→新宿
3.藤沢→大和→相模大野→新百合ヶ丘→新宿
●スーパーはこね
停車駅は以下のパターンに固定。ロマンスカーでは最も停車駅が少なく、「小田原までノンストップ」と案内されることもある。
新宿→小田原→箱根湯本
●えのしま
停車駅は以下のパターンに固定。一部列車は新宿~相模大野間で「はこね」「さがみ」と併結して運行される。
新宿・新百合ヶ丘・相模大野・大和・藤沢・片瀬江ノ島
他路線直通種別
「メトロえのしま」のみ停車駅は固定。それ以外は2パターン以上が設定されている。
●ふじさん
パターンは以下の通り。違いは駿河小山に停車するか否かのみ。2012年3月17日のダイヤ改正より停車駅から町田・裾野・沼津が消え、代わって新百合ヶ丘・相模大野・秦野が加わった。
1.新宿・新百合ヶ丘・相模大野・本厚木・秦野・松田・駿河小山・御殿場
2.新宿・新百合ヶ丘・相模大野・本厚木・秦野・松田・御殿場
●メトロはこね
パターンは以下の通り。成城学園前~小田原間の停車駅は「メトロえのしま」と併結するか否かで異なり、単独運転の場合は町田・本厚木に、併結する場合は相模大野に停車する。それ以外は変わらない。
1.北千住・大手町・霞ケ関・表参道・成城学園前・町田・本厚木・小田原・箱根湯本
2.北千住・大手町・霞ケ関・表参道・成城学園前・相模大野・小田原・箱根湯本
●メトロえのしま
メトロ特急では唯一停車駅が固定されている。「えのしま」との違いは、成城学園前に停車し新百合ヶ丘と大和を通過する点。
北千住・大手町・霞ケ関・表参道・成城学園前・相模大野・藤沢・片瀬江ノ島
●メトロホームウェイ
パターンは以下の通り。不確定なのは北千住で、同駅か大手町始発かで分かれる。それ以外の停車駅は共通。
「えのしま」系統の「ホームウェイ」と同じく、平日のみ新百合ヶ丘には3番ホームに停車する。
1.北千住→大手町→霞ケ関→表参道→成城学園前→新百合ヶ丘→町田→海老名→本厚木
2.大手町→霞ケ関→表参道→成城学園前→新百合ヶ丘→町田→海老名→本厚木
●メトロモーニングウェイ
パターンは以下の通り。平日と土休日で異なり、新百合ヶ丘・成城学園前に停車するか否かで分かれる。それ以外の停車駅は共通。
1.本厚木→海老名→ 町田→表参道→霞ケ関→大手町→北千住
2.本厚木→海老名→ 町田→新百合ヶ丘→成城学園前→表参道→霞ケ関→大手町→北千住
なお、「(メトロ)えのしま」と併結する「(メトロ)はこね」「さがみ」は分割・併合の関係上必ず相模大野停車になり、町田は通過する。
臨時の種別
●ニューイヤーエクスプレス・メトロニューイヤー
2018年度の停車駅を表記する。
パターンは以下の通り。ほとんどが下りかつ「えのしま」系統で、小田原発着および上り列車はそれぞれ1本ずつのみ。メトロ特急でないにもかかわらず成城学園前に停車したり、「えのしま」系統なのに町田に停車したりと、通常ではなかなか見られない列車が多い。
2.は町田を除く現行のロマンスカー停車駅全てに停車する。
1.新宿→新百合ヶ丘→町田→大和→藤沢→片瀬江ノ島
2.新宿→成城学園前→新百合ヶ丘→相模大野→海老名→本厚木→伊勢原→秦野→小田原
3.片瀬江ノ島→藤沢→大和→相模大野→新百合ヶ丘→新宿
停車駅は以下のパターンで固定。「メトロえのしま」に似ているが、新百合ヶ丘・町田・大和に停車し、相模大野を通過する点で異なる。
北千住→大手町→霞ケ関→表参道→成城学園前→新百合ヶ丘→町田→大和→藤沢→片瀬江ノ島
停車駅一覧
凡例
S…スーパー
M…メトロ
HW…ホームウェイ
MW…モーニングウェイ
●…停車
○…一部停車
▼…下りのみ停車
▲…上りのみ停車
▽…下りのみ一部停車
△…上りのみ一部停車
緑色…下りは乗車、上りは降車のみの取り扱い(逆は不可)
|…通過
↓…下りのみ通過(上り列車の設定はない)
↑…上りのみ通過(下り列車の設定はない)
※…運転停車(乗客の乗り降り不可)
空欄…運行なし
◇小田原線系統
駅番号 |
駅名 |
S は こ ね |
は こ ね |
さ が み |
H W |
M W |
接続路線 |
備考 |
OH 01 |
新宿 |
▼ |
● |
● |
▼ |
▲ |
新宿駅のページを参照。 |
|
OH 23 |
新百合ヶ丘 |
↓ |
○ |
○ |
↓ |
△ |
多摩線(小田急多摩センター・唐木田方面) |
|
OH 27 |
町田 |
↓ |
○ |
○ |
▼ |
△ |
JR横浜線 |
|
OH 28 |
相模大野 |
↓ |
○ |
○ |
↓ |
△ |
江ノ島線(大和・藤沢・片瀬江ノ島方面) |
|
OH 32 |
海老名 |
↓ |
○ |
△ |
▼ |
△ |
相鉄本線、JR相模線 |
|
OH 34 |
本厚木 |
↓ |
○ |
○ |
▼ |
▲ |
|
|
OH 36 |
伊勢原 |
↓ |
○ |
○ |
↓ |
↑ |
|
|
OH 39 |
秦野 |
↓ |
○ |
○ |
▼ |
▲ |
|
|
OH 47 |
小田原 |
▼ |
● |
● |
▼ |
▲ |
東海道新幹線、JR東海道線(上野東京ライン・湘南新宿ライン) 伊豆箱根鉄道大雄山線 |
|
OH 51 |
箱根湯本 |
▼ |
● |
|
▽ |
|
箱根登山線(強羅方面) |
|
◇江ノ島線系統
駅番号 |
駅名 |
え の し ま |
H W |
M W |
接続路線 |
備考 |
OH 01 |
新宿 |
● |
▼ |
▲ |
新宿駅のページを参照。 |
|
OH 23 |
新百合ヶ丘 |
● |
▼ |
△ |
多摩線(小田急多摩センター・唐木田方面) |
平日の「HW」は多摩線ホーム(3番ホーム)到着。 平日の「MW50号」のみ通過。 |
OH 28 |
相模大野 |
● |
▼ |
▲ |
小田原線(小田原・箱根湯本方面) |
一部の「えのしま」は当駅で「はこね」「さがみ」と分割・併合を行う。 |
OE 05 |
大和 |
● |
▼ |
▲ |
相鉄本線 |
|
OE 13 |
藤沢 |
● |
▼ |
▲ |
JR東海道線(上野東京ライン・湘南新宿ライン)、江ノ島電鉄線 |
|
OE 16 |
片瀬江ノ島 |
● |
▽ |
△ |
|
|
駅番号 |
駅名 |
ふ じ さ ん |
接続路線 |
OH 01 |
新宿 |
● |
新宿駅のページを参照。 |
OH 23 |
新百合ヶ丘 |
● |
多摩線(小田急多摩センター・唐木田方面) |
OH 28 |
相模大野 |
● |
江ノ島線(大和・藤沢・片瀬江ノ島方面) |
OH 34 |
本厚木 |
● |
|
OH 39 |
秦野 |
● |
|
松田駅(新松田駅)付近の連絡線経由で御殿場線へ。 |
CB04 |
松田 |
● |
御殿場線(国府津方面)
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CB08 |
駿河小山 |
○ |
|
CB10 |
御殿場 |
● |
御殿場線(沼津方面) |
◇千代田線直通
全列車とも千代田線内のみの乗車はできず、下りは乗車・上りは降車のみ取り扱う(逆は不可)。いずれも1・4・5・7・8・9号車のみドアが開く。
また、代々木上原駅で乗務員交代のため運転停車する(乗客の乗り降り不可)。
駅番号 |
駅名 |
M は こ ね |
M H W |
M M W |
接続路線 |
備考 |
C 18 |
北千住 |
● |
▽ |
▲ |
千代田線・常磐緩行線(綾瀬・北綾瀬・取手方面)、JR常磐線快速 東京メトロ日比谷線、東武スカイツリーライン、つくばエクスプレス |
下りは乗車、上りは降車のみ可。 |
C 11 |
大手町 |
● |
▼ |
▲ |
丸ノ内線・東西線・半蔵門線 都営三田線 |
C 08 |
霞ケ関 |
● |
▼ |
▲ |
丸ノ内線・日比谷線 |
C 04 |
表参道 |
● |
▼ |
▲ |
銀座線・半蔵門線 |
C 01 OH 05 |
代々木上原 |
※ |
※ |
※ |
乗務員交代のための運転停車(乗客の乗降不可)。 |
OH 14 |
成城学園前 |
● |
▼ |
△ |
|
「MMW」は土休日(30号)のみ停車。 |
OH 23 |
新百合ヶ丘 |
| |
▼ |
△ |
多摩線(小田急多摩センター・唐木田方面) |
平日の「MHW」は多摩線ホーム(3番ホーム)到着。 「MMW」は土休日(30号)のみ停車。 |
OH 27 |
町田 |
○ |
▼ |
▲ |
JR横浜線 |
「Mえのしま」併結の「Mはこね」は通過。 |
OH 28 |
相模大野 |
○ |
↓ |
↑ |
江ノ島線(大和・藤沢・片瀬江ノ島方面) |
「Mえのしま」併結の「Mはこね」のみ停車。当駅で分割・併合を行う。 |
OH 32 |
海老名 |
| |
▼ |
▲ |
相鉄本線、JR相模線 |
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OH 34 |
本厚木 |
○ |
▼ |
▲ |
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「Mえのしま」併結の「Mはこね」は通過。 |
OH 47 |
小田原 |
● |
|
|
東海道新幹線、JR東海道線(上野東京ライン・湘南新宿ライン) 伊豆箱根鉄道大雄山線 |
|
OH 51 |
箱根湯本 |
● |
|
|
箱根登山線(強羅方面) |
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駅番号 |
駅名 |
M え の し ま |
接続路線 |
備考 |
C 18 |
北千住 |
● |
千代田線・常磐緩行線(綾瀬・北綾瀬・取手方面)、JR常磐線快速 日比谷線、東武スカイツリーライン、つくばエクスプレス |
下りは乗車、上りは降車のみ可。 |
C 11 |
大手町 |
● |
丸ノ内線・東西線・半蔵門線 都営三田線 |
C 08 |
霞ケ関 |
● |
丸ノ内線・日比谷線 |
C 04 |
表参道 |
● |
銀座線・半蔵門線 |
C 01 OH 05 |
代々木上原 |
※ |
乗務員交代のための運転停車。 |
OH 14 |
成城学園前 |
● |
|
|
OH 28 |
相模大野 |
● |
小田原線(小田原・箱根湯本方面) |
当駅で「Mはこね」との分割・併合を行う。 |
OE 13 |
藤沢 |
● |
JR東海道線(上野東京ライン・湘南新宿ライン)、江ノ島電鉄線 |
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OE 16 |
片瀬江ノ島 |
● |
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ロマンスカー関連施設
2021年4月19日に開業。
車両ではSE~RSEまでの歴代ロマンスカーと開業当初の電車であるデハ1形、小田急沿線のジオラマ・電車運転シミュレーターなどといった設備が展示されている。
VSEで営業していたものと同名のカフェテリアが
新宿駅の西口地上改札側に存在。2006年3月31日から小田急レストランシステムによって運営されていたが、新宿駅西口の再開発に伴い2023年2月25日をもって閉店した。
かつては海老名駅に隣接している「ビナウォーク」のフードコートにHiSEとRSEで実際に使われていた運転席と普通席・スーパーシートが置かれており、座って食事を楽しむことができた。運転席は1席ずつ2人がけで、それ以外はセミコンパートメントのように2席ずつ4人がけで向い合せに設置されていた。
2020年8月までに撤去された。
ロマンスカーが登場する作品
楽曲
1961年に発表された作品。歌唱はボニー・ジャックスとザ・ピーナッツが担当。
SEの警笛をイメージした作品でかなり中毒性があり、「
モヤモヤさまぁ〜ず2」(
テレビ東京)で小田急沿線もしくは箱根を訪れた際は必ずこの楽曲が登場する。
1989年に発表された作品。
徳永英明の8枚目のシングルでもあり、CMソングに抜擢されていた。
彼にとっては男女の恋愛をテーマとしない初めての曲である。
CMは当時イメージリーダーだったHiSEが登場している。
1992年に発表された作品。
村下孝蔵のシングルで、同時発売のアルバム「名もない星」にも収録されている。
失恋を切なく歌ったフォークソングであり、氏が最も好きだった曲だという。彼の葬儀の出棺時もこの曲が流れた。
2002年に発表された作品。
現在のロマンスカーのイメージソングで、CMで見たことがある人も多いだろう。
当初は作曲の葛谷葉子がボーカルを務めるバージョンが使用されたが、その後はさまざまなボーカルのバージョンが使用されている。
また、VSE・GSEでは
車内放送前後のチャイムでも流れる。
映像作品
特撮テレビドラマ『
ウルトラQ』第28話に登場した「異次元列車」はNSEがモチーフになっており、両先頭車と中間車2両の4両という短編成になっている。
この話は第20話として放送予定だったが、諸事情で本放送が見送られ再放送で日の目を見たという特殊な作品で、2004年には小田急の承認を得て本列車を模した
プラレールが限定発売されている。
当時は小田急線沿線に円谷プロの本社があったためか、初期のウルトラシリーズでは小田急へロケや取材を行ったエピソードが他にも散見され、ロマンスカー関係だと
ウルトラセブン第2話ではNSEの車内ロケが行われている。
現在の祖師ヶ谷大蔵駅や駅周辺にウルトラシリーズコラボが多い(例えば接近チャイムは『ウルトラマンの歌』『ウルトラセブンの歌』を使用している)のも当時はここに本社があったからである。
ロマンスカーは通り過ぎるけどね。
1981年に放送されたTBSテレビのドラマ作品。
主人公の一人である古手川祐子がロマンスカーの乗務員・吉川久美子を演じており、1980年代当時の
新宿駅やロマンスカーの映像が登場する貴重な作品になっている。
こちらはCSや配信サービスで視聴可能。
2015年に公開された日本映画。
主演は元
AKB48の
大島優子で、グループ卒業後初の主演作になった。ロマンスカーのアテンダントとして働く主人公・北條鉢子を演じている。
その他
トミーテックの鉄道制服キャラクターコンテンツ『鉄道むすめ』には、ロマンスカー関係者として2名登場している。
石田は車掌→運転士を経て2018年からロマンスカー主任車掌を担当。名前の由来は愛甲石田駅。
渋沢はVSEやGSEでロマンスカーアテンダントを担当し、2018年からは上級職の「グランドパーサー」に昇格した。名前の由来は渋沢駅と「あさぎり」から。
なお、上述の通りロマンスカーアテンダントは廃止され、石田の着用するロマンスカー用の白い制服も2023年3月限りで使用を終了しており、現在は両名とも事実上の引退状態にある。
小田急のキャラクター展開は次述の「もころん」へシフトしたことや公式通販サイトでもグッズが処分品扱いで販売されていること、萌えキャラを取り巻く情勢の変化もあり、今後リニューアルして再登場があるかは不明瞭。
2023年に登場した小田急の子育て応援キャラクター。
名前の「ろん」はロマンスカーが由来で、手足や尻尾のオレンジ色はロマンスカーをイメージしたもの。
GSEをモチーフとしたポシェットを常時肩から掛けている。
2025年3月からはMSEの車内チャイムでもころんのテーマソング「今日はどこにでかけよう」の使用を開始しており、同月末にはMSE全編成にもころんのヘッドマークが取り付けられた。
余談
乗車位置
ロマンスカー停車駅のホームには足元にドアの位置を示す表示があり、車両ごとに色分けされている。EXEとMSEについては共用で、編成数ごとに色分けされている。青色はホーム中央に停車するように配置されており、茶色とはドアの位置が異なる場合がある。
基本的に「(メトロ)はこね」「さがみ」と併結する「(メトロ)えのしま」を除いて4両編成単独の運転はないため、小田原線内で灰色乗車位置が案内されることはないが、2019年1月12日~14日の「スーパーはこね9号」「はこね52号」「さがみ71号」はEXEαによる初の4両編成で運行されたため灰色で案内された。
2018年3月17日のダイヤ改正以降、マークが一新され、これまでの車両の正面を写していたものから側面を写したものになった。共用マークについては2つまとめて描かれるようなっている。
通勤車両による代走
ロマンスカーは検査や故障で他形式が代走することが多いが、さまざまな事情から代走車が捻出できず、やむなく通勤車を使用した例がある。
1度目は1965年前後の数年間、特急需要のピーク時や検査時などで特急車両が不足していたため、NHE車の2400形が一部の「えのしま」を担当。特急料金は不要だったものの座席定員制であり、「サービス特急」と呼ばれた。
2度目は1987年1月に、NSEとLSEが1編成ずつ検査中だった時期に踏切事故でSEが1編成使用不能になったため、同形式が運用される「さがみ」の一部列車を8000形が代走した。
3度目は2016年12月に本来運用予定だったEXEの故障により、1000形の6+4両編成が「えのしま74号」を代走。事前予約していた人のみ乗車でき、当日券は発売されなかった。
4両編成
前述の通り、EXEとMSEは6両編成+4両編成の構造になっており、10両編成以外にも6両編成単独による運転も多く見られる一方で、「(メトロ)はこね」と併結する「(メトロ)えのしま」を除いて基本的に全区間4両編成での運行はなく、MSEの4両編成側には千代田線・
御殿場線の保安装置も備えられていない。
下りの「はこね」では小田原で切り離されるため、4両側で「箱根湯本」の表示が見られることはなく、箱根登山線に入線することもない。
なお、EXE4連による運行は連休やトラブル時による代走が生じた際に適宜行われている。
追記・修正は展望席の最前列の切符を手に入れた人がお願いします。
- 3100形はウルトラセブンの「緑の恐怖」にも石黒隊員に化けたワイアール成人が正体を現した電車ですな。 -- 名無しさん (2014-05-16 11:01:22)
- グリーンに一度乗ったらガラガラで、アテンダントさんがやたら世話焼きに来るのが嬉しいやら恥ずかしいやら。 -- 名無しさん (2014-09-11 09:03:37)
- 来年3月から海老名と伊勢原にも停車するはこねが登場。 -- 名無しさん (2015-12-22 18:48:59)
最終更新:2025年04月17日 11:38