小田急ロマンスカー

登録日:2012/03/16 Fri 15:41:30
更新日:2025/04/17 Thu 11:38:53
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きょう、ロマンスカーで。


小田急(おだきゅう)ロマンスカーとは、小田急電鉄の特急列車およびその使用車両の名称である。


概要

小田急電鉄の看板列車であり、東武鉄道日光鬼怒川線特急、近畿・中部圏をネットワークする近鉄特急と並んで有料の私鉄特急列車としては屈指の知名度と人気を誇る。

私鉄特急の中でも流線型をいち早く導入したり、連接台車*1を採用したり、日本国有鉄道(国鉄)へ貸し出されて狭軌における世界最高速度を記録し新幹線の開発に多大な影響を与えたり、地下鉄に乗り入れたりと、常に時代の最先端の技術を導入しており、観光からビジネスまで幅広い運用が設定されている。
1967年(御殿場線直通列車は1985年)以降は定期券でも乗車できるようになっており、通勤・通学での利用者も多い。

技術面での評価も高く、グッドデザイン商品などのさまざまな賞を受賞している。
特に「鉄道友の会」が毎年優れた車両に送る「ブルーリボン賞」はEXEを除く歴代の全形式が受賞しており、受賞回数8回は近畿日本鉄道の9回に次いで2位の記録を持つ。
このブルーリボン賞が創設されるきっかけになったのも小田急ロマンスカーである。

そもそも「ロマンスカー」は本来、2人がけの座席である「ロマンスシート」を備えた車両であり*2、「2人客がある程度でもプライベートな時間を過ごせる」ロマンスシートは画期的なものだった。当初は各鉄道会社が「我が社のロマンスカー」とアピールしてきたが、1950年代以降は各社が独自のネーミングを用いるようになっていった。
しかし、小田急だけは唯一「ロマンスカー」という名前を使い続けたため、一般にも広く定着するようになり、最終的には他社におけるロマンスカー名の使用が完全になくなった1990年代後半に商標登録(第3321840号)するまでに至った。

歴代形式は一部を除き運転席を2階に上げることで車両の最前列に座席を設置する「展望席」を設けており、最高の眺望性を楽しむことができる。事前予約なしでは座席の確保が難しいほどで、ロマンスカーといえば展望車はもはや代名詞でもある。


種別

2024年現在は小田原線(箱根登山線)・江ノ島線系統のほか、東京メトロ千代田線、JR御殿場線への直通列車も運行される。かつては多摩線系統、東京メトロ有楽町線直通列車も運行されていた。

列車番号については、下りは奇数・上りは偶数の番号になっている。併結運転を行う「(メトロ)はこね」と「さがみ」「(メトロ)えのしま」については、原則として併結先の種別と番号を共有している(一部例外あり)。
ただし、2012年3月17日のダイヤ改正まで併結していた「ホームウェイ」では個別の番号だった。


小田急線内種別

  • はこね
1950年から登場した伝統ある種別で、新宿~箱根湯本間を走る主力列車。停車駅はおおむねパターン化されている。かつては途中駅発着の列車が存在したが、現在は全列車が新宿~箱根湯本間を通して運行している。
一部列車は新宿~相模大野間で「えのしま」と併結する列車がある。

  • スーパーはこね
1996年3月23日から登場。上記の「はこね」のうち、小田原線内を無停車で走行する最速の種別。かつては上り列車も存在したが現在は下りのみの設定で、土休日9:00・10:00発の2本のみ運行。
2018年3月17日のダイヤ改正からは、土休日の5号~9号は小田原線内を59分で走破しており、SE開発当時の悲願だった「新宿~小田原間60分以内」という小田急の60年越しの夢が実現した
2020年3月14日のダイヤ改正以降、土休日の5号は10両編成のEXEに変更され、久しぶりにEXE10による「スーパーはこね」が復活したが、代わりにVSEの小田原線内59分走破が消滅した。
2022年3月12日のダイヤ改正からは土休日2本の運行に削減され、平日は全て廃止になった。

  • さがみ
「はこね」を補う特急で、小田原線内完結の列車。停車駅は「はこね」より比較的多い傾向にあるが、小田原線内完結であれば全てこの名称が与えられるため、上りの途中駅始発や下りの途中駅止まりなど、区間運転を行う列車も多い。
10両編成のEXE・MSEで運行される「はこね」は、新宿方の後ろ4両は小田原止まりになっている。

元々は1948年に運行を開始し、1963年から現在の名称が登場した古参の種別(第二次世界大戦による企業そのものの中断・再分離をカウントしなければ最古参の特急系統)ではあるが、1999年7月17日のダイヤ改正から2004年12月11日のダイヤ改正までは廃止されており、代わりに「サポート」という種別があった。
「はこね」と同じく、一部列車は新宿~相模大野間で「えのしま」と併結する。

  • えのしま
相模大野駅を経由し、江ノ島線に直通する特急。新宿に到着したロマンスカーの車両を利用した「納涼ビール電車」という臨時列車が起源。
1964年3月21日より土休日のみの種別として初登場し、翌年3月1日から毎日運転されるようになる。
本数は少なく、平日は下り1本・上り3本のみの運転。一方で土休日は観光需要により大幅に本数が増加し、2時間に1本ペースで運転される。
2018年3月17日のダイヤ改正で「はこね」「さがみ」との併結列車は一部を除いてほとんどが廃止されたが、2022年3月12日のダイヤ改正以降は再び増加している。

  • ホームウェイ
1997年7月17日から登場。17時以降に新宿駅を発車する下り列車は、行き先に関係なく全て「ホームウェイ」という名称になる。
愛称は公募によって決定。ちなみに第1位は「ホームタウン」だったが、JR東日本がすでにその名称を使用していたことから「ホームウェイ」になった経緯がある。

小田原線系統と江ノ島線系統の列車が存在し、かつては多摩線に乗り入れる列車もあったが、2016年3月26日のダイヤ改正で廃止された。また、平日の最終列車は61号相模大野行きになっていたが*3、2020年3月14日のダイヤ改正で廃止された。
ちなみに、以前は日中時間帯の「はこね・えのしま」などと同じように、相模大野まで小田原線系統と「えのしま」系統を併結する列車が存在していたが、2012年3月17日のダイヤ改正で廃止された。

  • モーニングウェイ
2018年3月17日のダイヤ改正より運行開始。「ホームウェイ」の上り版で、午前9時30分までに新宿に到着する上りの全列車がこの名前を名乗る。
こちらもホームウェイと同様に公募が行われ、応募名称数が第1位だったことから選定された。


他社線直通列車

全列車がMSEによる運行である。

  • ふじさん
新松田付近の連絡線を経て松田駅に入り、御殿場線に直通して御殿場駅まで走る。1~6号の3往復が運行されており、2022年3月12日のダイヤ改正までは土休日のみ4往復+不定期運行の臨時列車1往復(駿河小山通過)の計5往復が設定されていた。
ロマンスカーの中では唯一、全列車がMSEによる6両編成で運転される。「あさぎり」時代は土休日のみ新宿~相模大野間で「えのしま」と併結する列車があったが、「ふじさん」に変更してからは全て単独運転である。
片乗り入れという形ではあるが、関東の大手私鉄がJR東海の路線に乗り入れる唯一の事例。


●メトロ特急
2008年3月15日のダイヤ改正より登場した、日本初となる地下鉄乗り入れ特急である。
代々木上原から東京メトロ千代田線に直通して北千住まで向かう列車で、いずれも「メトロ○○」という名前で案内されており、行先や運行時間帯は小田急線内の同名の種別に準ずる。
千代田線内ではホームドアの関係上、1・4・5・7・8・9号車のみドアが開く。
北千住到着後すぐに列車がない場合は、北綾瀬駅を経由して綾瀬検車区に入庫、あるいは綾瀬駅の留置線で待機するか折り返し喜多見検車区まで回送する。

  • メトロはこね
運行区間は北千住~箱根湯本。平日1往復、土休日3往復が設定されている。EXEによる「はこね」と同じく、箱根登山線には前6両のみが直通する。
土休日の1.5往復(90号・91号・93号)は北千住~相模大野間を「メトロえのしま」と併結して運行しており、こちらは相模大野に停車する代わりに町田と本厚木は通過する。

  • メトロえのしま
2018年3月17日のダイヤ改正より登場。土休日のみの運転で、下り2本・上り1本運行される。運行区間は北千住~片瀬江ノ島。「えのしま」と違って成城学園前にも停車するが、新百合ヶ丘と大和*4は通過する。
全列車が相模大野以東を「メトロはこね」と併結して運行。江ノ島線内は4両編成で運転する。

  • メトロホームウェイ
「ホームウェイ」と同じく17時以降に北千住・大手町を発車する下りロマンスカーは、全て「メトロホームウェイ」になる。運行区間は北千住・大手町(平日のみ)→本厚木。列車番号は41号~49号。
平日5本・土休日2本運転され、平日の4本のみ大手町駅を始発としており、千代田線の配線の関係で湯島駅の留置線で折り返してから戻ってくる。
「えのしま」系統の「ホームウェイ」と同じく、平日のみ新百合ヶ丘には3番ホームに到着し、各駅停車唐木田行きと接続する。

  • メトロモーニングウェイ
2018年3月17日のダイヤ改正より運行開始。午前9時30分までに大手町に到着する上り全列車がこの名前を名乗る。運行区間は本厚木→北千住。列車番号は平日が40号・42号、土休日が30号。
「メトロさがみ」から改称しつつ、停車駅に海老名を追加して平日に1本増発する形で登場し、全列車が本厚木始発北千住行きである。
平日2本・土休日1本運転され、土休日のみ新百合ヶ丘と成城学園前にも停車する。


臨時種別

  • 初詣号→ニューイヤーエクスプレス
通称「ニューイヤー号」「NYE」(New Year Express)。
大みそかの12月31日深夜から、年が変わった元日の早朝にかけて運行される臨時列車。1969年深夜に新宿~新原町田(現:町田)間で臨時特急「初詣号」が1往復運行されたのが始まりで(途中停車駅は参宮橋・向ヶ丘遊園)、以降も毎年運行されるようになる。
2001年1月1日には新宿→町田・伊勢原・片瀬江ノ島間で運行されており、途中停車駅は参宮橋(一部)・代々木上原・向ヶ丘遊園・町田・大和・藤沢だった。
また、1990年度からは「初詣&初日の出号」も設定されており、1000形を使用して千代田線と直通していたが、2008年度をもって運行を終了した*5
その後、2001年12月31日からは現在の名称に変更された。
2009年度以降は北千住→片瀬江ノ島間の下りのみ、千代田線直通の「メトロニューイヤー」も運転されている。途中停車駅は大手町→霞ケ関→表参道→成城学園前→新百合ヶ丘→町田→大和→藤沢で、メトロ特急と同じく千代田線内では降車できない。

近年では12月31日に運行されるのは上りのみで、大半は1月1日の深夜から早朝に運行されている。
大半が新宿・北千住→片瀬江ノ島間の運行で、小田原行きは1本のみである。

下り列車については、片瀬江ノ島行きの途中停車駅は2003年1月1日以降、新百合ヶ丘・町田・大和・藤沢になっており、通常の「えのしま」とは違って町田に停車し相模大野を通過するのが特徴。2002年1月1日の運行では向ヶ丘遊園に停車する列車もあった。
また、登場時は唐木田発片瀬江ノ島行きという、新百合ヶ丘でスイッチバックを行って多摩線から江ノ島線に向かう珍しい列車が設定されていた。
小田原行きの途中停車駅は2005年1月1日以降、新百合ヶ丘・町田・伊勢原・秦野になっており、2008年までは伊勢原が終点だった。その後、成城学園前・相模大野・海老名・本厚木が順次追加されていったが、町田は現在通過になっている。

上り列車については、かつては12月31日の深夜に運転される列車と、1月1日の早朝に運転される列車で運行系統が異なっていた。
前者は、明治神宮最寄り駅である参宮橋に臨時停車する列車が運行されていた。運行区間は実施年により異なっており、小田原・本厚木・町田のいずれかを始発とし、参宮橋に臨時停車をして新宿へ向かう形になっていた。2002年1月1日には元日に本厚木発で運転されたが、翌年より設定がない。
2018年12月31日の運行からは新宿23:29~31着の「はこね72号」が参宮橋に臨時停車する形になっている。
後者は片瀬江ノ島を始発とし、途中藤沢・大和・町田に停車する列車である。現在の途中停車駅は「えのしま」と同じく、藤沢・大和・相模大野・新百合ヶ丘になっている。

車内販売は深夜ということもあって基本的に実施されないが、唯一の例外として1987年度の運転においてはデビューしたばかりのHiSEで「走る喫茶室」のサービスが実施されていた。

2020年度は世界情勢を考慮してか、当初はNYEも「メトロニューイヤー」も下り1本ずつの運行になる予定だったが、予想以上の感染者数急増により、12月18日に急きょ運休になってしまった。
翌2021年度には2年ぶりにNYEのみ復活し、引退の決まったVSEが使用された。


過去の主な種別

  • あしがら
1950年から登場。1966年に一度は消滅したものの、翌1967年10月1日より復活し、新原町田(現:町田)に停車しつつ朝と夜の時間帯に運行され、定期券での乗車も可能になった。
登場以来長年に渡って親しまれてきたものの、1999年7月17日に廃止。
その後、2018年5月3日~5日の3日間限定で臨時列車「あしがら61号」が設定され19年ぶりに復活。車両は登場したばかりのGSEが使用された。

  • 準特急
1953年4月1日のダイヤ改正より、料金不要ながら座席定員列車である「サービス急行」を格上げする形で登場。当時は特急用車両が不足していたため、文字通り特急ロマンスカーを補完する目的で土休日に運用された。
1959年4月21日の改正で「準特急」に改められ、100円の座席定員制の指定券を発行するようになった。
当時の特急ロマンスカーと同様に新宿~小田原間は無停車だった。車両は2扉のセミクロスシート車両(2300形・2320形)が使用され、準特急の運行がない平日には一般列車にも充当されていた。
1963年にNSEが登場し、特急列車の増発が可能になったことで廃止された。

  • サポート
1999年7月17日より、廃止された「あしがら」と「さがみ」に代わる種別として登場。2004年12月11日のダイヤ改正をもって廃止された。

  • ベイリゾート
東京ディズニーリゾートへの利用者をターゲットとして、2008年3月15日のダイヤ改正で登場。千代田線を経由して有楽町線に直通し、新木場駅まで運行されていた列車で、年間30日程度設定されていた臨時特急。豊洲駅にも停車し、臨海副都心エリアへの利用者にも配慮されていた。
運行の性質上、本厚木発着として朝上りと夜下りの1往復が設定されており、運行日は当該時間帯の「メトロさがみ」と「メトロホームウェイ」がそれぞれ運休になっていた。
霞ケ関駅と有楽町線の桜田門駅の間にある連絡線を利用し、スイッチバックもあるなど趣味的に面白い列車だった。
しかし、臨時列車で宣伝も消極的だったことから利用者数は今ひとつで、2011年10月をもって運行を休止し*6、2012年3月17日のダイヤ改正を最後に設定が消滅した。
表向きの理由としては有楽町線にホームドアが設置されたことになっているが、新木場駅で京葉線りんかい線に乗り換えなければならなかったことから中途半端に不便で、スイッチバックの兼ね合いもあって所要時間も長く運行面でも煩雑な存在だった。
ホームドアは現在千代田線・小田急両線でも稼働していることから技術的な問題はないが、上述の問題から今後復活する可能性は極めて低いだろう。

  • ホームウェイ・メトロホームウェイ(多摩線)
「ホームウェイ」は、2000年12月2日のダイヤ改正より登場。毎日1本、新宿発の「ホームウェイ」が新百合ヶ丘から多摩線に乗り入れており、2002年3月23日のダイヤ改正で1日2本、2003年3月29日のダイヤ改正で平日は3本に増発された。
「メトロホームウェイ」は、2008年3月15日より平日のみ、新宿発の1本を北千住駅発に置き換える形で登場した。
しかし、2012年3月17日のダイヤ改正からは平日のみの運行になり、2016年3月26日のダイヤ改正をもって運行終了。
現在は新百合ヶ丘に停車する平日の「(メトロ)ホームウェイ」は多摩線の3番ホーム発着になっており、各駅停車唐木田行きと対面乗り換えが可能である。

  • メトロさがみ
2008年3月15日のダイヤ改正より登場。毎日朝方の上り1本のみ設定され、本厚木→北千住間を運行。2018年3月17日のダイヤ改正より「メトロモーニングウェイ」に改称される形で廃止。
「メトロモーニングウェイ」と停車駅のパターンは同じだったが、こちらは海老名には停車しなかった。

  • あさぎり
「ふじさん」の前身。
1955年10月1日のダイヤ改正で運行が始まった気動車による特別準急「銀嶺」「芙蓉」を起源としており、1968年7月1日の御殿場線電化によるSSE導入とともに名称が「あさぎり」に変わり、同年10月1日のダイヤ改正からは国鉄の準急が急行に統合される形で廃止になったため、小田急線内でも「連絡急行」に名称が変わった。
1964年以降は沼津駅までの延伸要望もあったが、当時の御殿場線には御殿場~裾野間の約15㎞に渡って列車交換設備がなく、財政問題もあって国鉄時代には進展しなかった。

国鉄分割民営化後の1988年には小田急がJR東海に対してSSEの置き換えについて申し入れた。さらに、1989年10月には御殿場線の利用者が増加したことで富士岡駅と岩波駅に列車交換設備が新設されたこと、沿線からも運転区間延長の要望が強くなっていたことから運行を抜本的に見直す協議が開始され、その後1991年3月16日のダイヤ改正から小田急とJR東海による相互直通運転になり、区間も沼津まで延長された。

当時のバブル景気を背景に利用者数は好調で、沿線からは静岡駅までの延伸要望もあったが、JRは「新幹線よりも時間がかかりすぎる」ということで否定的だった。

その後、バブル崩壊による景気の低迷とともに駿東地域でのリゾート開発が頓挫したことや観光地としての西伊豆自体の知名度も上がらず、御殿場~沼津間の利用が低調になっていった。
そのため、2012年3月17日のダイヤ改正をもって相互直通運転は終了し、RSEと371系が引退。運行区間も連絡急行時代と同じく御殿場までに短縮され、車両もMSEに変わり再び片乗り入れの形になった。さらに定期列車は3往復になり、土休日には臨時列車1往復が設定され、停車駅と運行時間帯も変更された。

2018年3月17日のダイヤ改正をもって「ふじさん」に改称されて消滅。
その後、MSE運行開始10周年を記念して同年12月2日に団体臨時列車「メトロあさぎり」号が運行され、1日限りの復活を果たした。
この列車は綾瀬始発で、千代田線・小田急線・御殿場線の3路線をまたいで運行された。

ちなみに、今でこそ松田で乗務員交代を行っているものの、乗り入れ当初は小田急の乗務員の中でも国鉄の考査に合格した人が御殿場まで乗務するという、今では考えられないことをやっていた。これは、当時の御殿場線の列車は全て蒸気機関車牽引の客車で、御殿場線に気動車の乗務員はいなかったためである。


多層建て列車

一部の「(メトロ)はこね」「さがみ」と「(メトロ)えのしま」は、車両によって異なる行先になっている多層建て列車である。いずれも、「(メトロ)はこね」「さがみ」が小田原方6両、「(メトロ)えのしま」が新宿方4両になっており、相模大野で分割・併合を行う。
4両側はEXE・MSEの「はこね」「ホームウェイ」においても同様で、分割案内板Aを境に、小田原から前6両は「はこね」号箱根湯本行き、後ろ4両は小田原止まりであるとの放送が入る。
2020年3月14日のダイヤ改正以降は運用の都合上か、他種別同士の併結ではないのに相模大野で分割・併合(事実上の増解結)を行う「はこね」「えのしま」が登場しており、後ろ4両は同駅発着になる。

2018年3月17日のダイヤ改正以前は「あさぎり」と「えのしま」の併結列車も存在しており、「はこね」「さがみ」と同様に「あさぎり」が6両側を、「えのしま」が4両側を担当していた。


車両

色はあくまでもイメージである。

現行車両

●30000形「EXEEXEα」(Excellent Express)

●60000形「MSE」(Multi Super Express)

●70000形 「GSE」(Graceful Super Express)

●新形式車両
2024年9月に、VSEの後継とEXEの置き換えを兼ねた新型車両が2029年にデビューすることが報道された。デザインは「檸檬ホテル」や「熊本益城町テクノ仮設団地みんなの家」などを手掛けたCOA一級建築士事務所が担当する。
その登場経緯から、世間では「展望席と分割・併合を兼ね備えた車両になるのでは?」という意見が多く見られたが果たして……


過去の車両

本項ではSE登場以前に特急に使用されていた車両についても解説する。

●1600形
特急ロマンスカーの前身である「週末温泉特急」に1948年に導入された。
有料・座席指定であったが3扉ロングシートの通勤車である。
廃車後は全国の地方私鉄に譲渡されており、関東鉄道に譲渡された車両は後述するキハ5000形とコンビを組んで運用された。


●1910形→2000形(初代)
1949年から「特急ロマンスカー」の名を冠して走り始めた最初の専用車両で、ロマンスカーの代名詞のひとつ、「走る喫茶室」のサービスを開始したのもこの形式が最初。
ロマンスカー以外の運用も念頭に置いていたため、2扉セミクロスシートだった。1952年に通勤車両に改造され、1976年に引退。
こちらも全国の地方私鉄に譲渡された。


●1700形
1951年に登場。初の2扉オールクロスシートの特急専用車両。
第1・2編成は財政面を加味し戦災国電の機器類を流用して製造された。
先頭車は17m、中間車は20mという独特の車体構造で、車幅は2850mmと当時としてはかなり広く取られた。
第1・2編成は貫通扉を装備していたが、第3編成は正面非貫通になり、中心部に細いピラーを置いた2枚窓という独特の前面形状が特徴。屋根も張り上げ式にしてよりスマートな風貌に。
ロマンスカーで初めて「ヤマユリ」のシンボルマークを取りつけた車両である。その後、通勤車両に改造された際に外されたが、1980年にはLSEの自動ドアに貼りつけられる形で復活し、後輩のHiSE・RSEにも受け継がれた。
SEの導入に伴い3ドアロングシートの通勤車に改造*9され、1974年に引退。
当時の小田急通勤車としては珍しく地方私鉄への譲渡が行われなかったが、前述した車幅の広さが適さなかったのが理由とされる。


●2300形
SE開発と並行し、導入までのつなぎとして1955年に登場した車両。小田急の特急車としては初のカルダン駆動式で、車内は小田急初のリクライニングシートを備えている。
1959年に2扉セミクロスシートの準特急用車両に改造された。
準特急の廃止後は3ドアロングシートの通勤車両に改造され、1982年に引退。その後は富士急行に譲渡され、同社5700形として1997年2月まで使用された。


●2320形
特急ロマンスカーを補完する準特急用車両として1958年に登場。準特急用に格下げされた2300形と同じく両開きの客用扉を2か所に持つセミクロスシート車。
土休日の準特急を中心に、平日には一般列車としても使用されていた
1963年のNSE増備によって準特急が廃止になったことで通勤車両へと改造され、制御方式が同じ2200形・2220形・2300形と共通で運用され、1983年の引退後はまとめて富士急行に譲渡された。


●キハ5000形・5100形
1955年に登場した御殿場線直通用の気動車。
基本設計は当時御殿場線で使用されていた国鉄キハ50形に準じているが、車体形状は通勤車の2100形に近い。
1956年にはシートピッチを拡大した5100形が登場し、後に5000形も同様の改造を実施した。
塗装は当初他の小田急車と同じ青と黄色のツートンだったが、1959年にクリーム色に朱色帯という当時の国鉄気動車準急色に近いものに変更された。
御殿場線の電化に伴い直通車両がSSEに交代することになり、1968年6月30日をもって運行を終了。
全車両が関東鉄道に売却され、ロングシート・3扉化などの改造を経て同年12月より常総線で運行を開始し、1988年9月まで使用された。廃車後も常総線新塗装の検討モデルとして使用された。
なお、関東鉄道では前述したクハ1650形と併結して運用されるという小田急時代には決して見られなかった編成で使用された。


●3000形(初代)「SE」・「SSE

●3100形「NSE」(New Super Express)

●7000形「LSE」(Luxury Super Express)

●10000形「HiSE」(High Super Express)

●20000形「RSE」(Resort Super Express)

●JR東海371系

●50000形「VSE」(Vault SuperExpress)


他社に移籍したロマンスカー

ロマンスカーの中には小田急で役目を終えた後も、他社に譲渡された車両がこれまでに371系含めて4形式存在する。
譲渡先の社名はいずれも当時のもの。

●大井川鉄道3000系電車(初代)

●長野電鉄1000系

●富士急行8000系

●富士急行8500系


座席

車両によっては以下のような特別席が設けられている場合もある。
  • 展望席
運転席を2階に上げることで、車両の最前面まで座席が配置されており、最高の眺望性を楽しむことができる。
歴代車種ではNSE・LSE・HiSE・VSE・GSEに設けられている。
料金は一般席と同額。
  • サルーン
VSEの3号車に4人がけで3区画、計12人分設けられていたセミコンパートメント席。利用には運賃に加えて、人数に関係なく特急料金の4倍のサルーン料金が必要になる。座席番号はS1~S3で、切符に「サルーン」のマークが入る。
パーテーションガラスで仕切られており、RSEとは違って1区画ごとの販売になっていて、見知らぬ人と相席になることはない。
背もたれはほぼ完全に壁と接しているため、くつろぐことにはあまり期待できず、どちらかと言うと複数人で楽しむことに適していると言える。中央には展開式のテーブルが、座席上には荷物置き場があり、テーブル下にはコンセントが2つずつ設置されている。
箱根登山線(小田原~箱根湯本間)のみの利用は不可能だった。
  • スーパーシート(グリーン席)
RSEと371系の2階席に設置されていた特別席。RSEのみ名称が異なり、小田急線内ではスーパーシート、「あさぎり」ではグリーン席と呼称されていた。
利用には通常の特急券に加えてスーパーシート(グリーン)料金が必要で、2011年3月11日までは「走る喫茶室」と同様のシートサービスも行われていた。
  • セミコンパートメント
RSEの4号車1階席に設けられていたセミコンパートメント席。4人がけで3区画、計12人分設けられていた。
VSEのサルーンとは違い、1人分の特急料金で利用できるが、1席ごとの販売になっているので見知らぬ人と相席になることがあった。
  • 子育て応援車
2025年4月15日から導入。
11:00~16:59に新宿発車、11:00~17:59に新宿に到着するロマンスカーの3号車に設定。
車内には小田急のキャラクターである「もころん」のヘッドレストカバーとステッカーが掲示される。
  • 自由席
相互直通運転時代の「あさぎり」は、御殿場~沼津間のみ6号車が自由席になっていた。当初は全区間指定席だった。

予約システム

特急券は1か月先までの予約・購入が可能である。インターネットでの予約には、大きく分けて「e-Romancecar」と「ロマンスカー@クラブ」の2種類がある。
前者は会員登録なしで利用可能で、後者は会員登録が必要になっている。
千代田線内のみの利用だけは不可能で、箱根登山線(小田原~箱根湯本間)については、2005年10月1日より当日座席に余裕がある場合に限って両駅のホームで「座席券」が発売される(満席および満席が想定される場合は発売されない)。
現在は正式に特急券になっているが座席は指定されず、この区間のみの予約・購入もできない。

なお、特急券を購入しないで乗車した場合、車内で特急料金+310円を加算した料金を徴収される。座席の指定は行われない。千代田線に連絡する区間を乗車した場合、さらに100円が加算される。
かつてはホーム上で検札を行っていたが、1999年7月17日のダイヤ改正以降は車掌が持っている携帯端末で特急券の発売状況を確認できるシステムが導入された。
ロマンスカーは事前に特急券を購入してから乗車しましょう。

ホームの特急券券売機で購入する場合、座席の指定はできないので注意。


車内サービス

いわゆる「走る喫茶室」と呼ばれるサービスが始まったのは1949年8月20日からで、SEからは喫茶室が設けられるようになる。やがてロマンスカーのイメージとして定着するようになり、HiSEでは日本の列車としてはじめてオーダーエントリーシステムが導入された。
御殿場線直通列車でも特別準急時代から行われており、全区間で小田急サービスビューロー(1957年からは小田急商事)の車内販売員が1~2名乗務していた。SSEに変更後は、森永エンゼルによって小田急線内列車と同様の「走る喫茶室」のシートサービスが行われた。
基本的に臨時列車では非営業とされていたが、先述のNYE*17など稀に営業を行ったことがある記録が残っている。
ただし、いずれもグリーン車のみの営業で、普通車ではワゴンによる車内販売サービスだった。「あさぎり」では2011年3月11日をもって双方ともに終了した。

ロマンスカーで通勤通学や買い物利用など観光以外の用途も増えてきたため、「走る喫茶室」のサービスは1995年3月を最後に終了しており、以降はワゴンサービスのみになった。
VSEでは同形式限定でシートサービスが復活し、2016年3月26日のダイヤ改正まで続けられた。

また、EXEとMSEでは売店による販売も行われているほか、VSEを除く全列車に自動販売機が設置されている。
ただし、車内サービスの提供は基本的に「スーパーはこね」全列車と一部を除く「はこね」「メトロはこね」のみになっており、それ以外の列車では繁忙期を除き非営業だった。
併結列車については、「はこね」部分(6両)も含めて行われないこともあれば、同列車でのみ営業する場合もあった。

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2020年4月8日から当面の間全列車で車内販売が中止されており、さらに5月中の土休日は全ロマンスカーが運休する事態にもなったが、6月よりメニューと対象列車を縮小しつつもようやく再開された。
しかし、2021年3月12日の17時00分をもって車内販売は正式に終了し*18、長年続いてきた小田急の車内サービスはついにその幕を閉じた。


ロマンスカー停車駅

特定の種別は、停車駅がワンパターンのみか特定の駅に停車するか否かの違いしかなく覚えやすいが、それ以外は多くのパターンが存在しており、停車駅が一定していない。

小田急線内の種別

「スーパーはこね」「えのしま」は停車駅がほぼ固定されているが、「はこね」「さがみ」および「ホームウェイ」「モーニングウェイ」の停車駅は一定していない。

●はこね・さがみ
ロマンスカーの中でも最も停車駅のパターンが多く、さまざまな種類がある。さらに「さがみ」は途中駅発着も存在するため、全てを数えるのは難しい。
しかしながらある程度の傾向はあり、日中時間帯の小田原線内の途中駅は

1.町田・海老名
2.町田・本厚木
3.新百合ヶ丘・相模大野・本厚木・秦野*19

のいずれかがメインになっており、各1本ずつ運行される傾向にある。よって、町田と本厚木は毎時2本、それ以外は毎時1本の停車になる。
すなわち、町田と相模大野、海老名と本厚木は互換関係にあり、原則両方停車することはない(一部例外あり)。海老名はほとんど「はこね」である。
3.の場合は全列車が秦野に停車するほか、海老名・本厚木の選択は存在せず、全列車が本厚木に停車し海老名は通過する。そのため、相模大野・海老名の停車パターンは1つも存在しない。

この他、伊勢原に停車する場合、

1.町田・海老名・伊勢原
2.新百合ヶ丘・町田・海老名・伊勢原・秦野
3.新百合ヶ丘・町田・本厚木・伊勢原・秦野

の3種類のパターンがあり、新百合ヶ丘・町田といった急行と同じ停車の仕方をすることもある。
2018年3月17日のダイヤ改正以降は向ヶ丘遊園と新松田は全列車が通過になり、特急関連の設備も後に撤去された。

●ホームウェイ
小田原線系統のパターンは以下の通り。ポイントとしては、町田・海老名・本厚木には全ての列車が停車し、それ以東止まりでない限り秦野・小田原にも必ず停車する点。箱根湯本は17:00~18:00台の一部列車が停車。
一方で、「はこね」「さがみ」系統の2.にあたる列車は存在せず、小田原線系統は全列車が新百合ヶ丘を通過する。

1.新宿→町田→海老名→本厚木→秦野→小田原→箱根湯本
2.新宿→町田→海老名→本厚木→秦野→小田原
3.新宿→町田→海老名→本厚木→秦野
4.新宿→町田→海老名→本厚木


「えのしま」系統のパターンは以下の通り。片瀬江ノ島まで乗り入れるか、藤沢止まりかの違いのみ。平日のみ新百合ヶ丘には多摩線の3番ホームに到着し、各駅停車唐木田行きと接続する。
2018年3月17日のダイヤ改正までは同駅を通過する列車があった。

1.新宿→新百合ヶ丘→相模大野→大和→藤沢→片瀬江ノ島
2.新宿→新百合ヶ丘→相模大野→大和→藤沢

●モーニングウェイ
「さがみ」系統は以下の通り。「ホームウェイ」よりパターンが多い。平日では相模大野は始発のみで、小田原・秦野・本厚木・海老名はそれ以東発でない限り必ず停車していたが、土休日では平日のような傾向は見られない。

平日
1.相模大野→町田→新百合ヶ丘→新宿
2.本厚木→海老名→町田→新宿
3.秦野→本厚木→海老名→新宿
4.小田原→秦野→本厚木→海老名→新宿
5.秦野→本厚木→海老名→町田→新宿

土休日
1.相模大野→町田→新百合ヶ丘→新宿
2.本厚木→相模大野→新百合ヶ丘→新宿
3.本厚木→海老名→町田→新宿
4.小田原→秦野→本厚木→相模大野→新百合ヶ丘→新宿
5.小田原→秦野→本厚木→町田→新宿


「えのしま」系統は以下の通り。片瀬江ノ島か藤沢始発で分かれ、さらに後者は新百合ヶ丘に停車するか否かでも分かれる。

1.藤沢→大和→相模大野→新宿
2.片瀬江ノ島→藤沢→大和→相模大野→新百合ヶ丘→新宿
3.藤沢→大和→相模大野→新百合ヶ丘→新宿


●スーパーはこね
停車駅は以下のパターンに固定。ロマンスカーでは最も停車駅が少なく、「小田原までノンストップ」と案内されることもある。

新宿→小田原→箱根湯本

●えのしま
停車駅は以下のパターンに固定。一部列車は新宿~相模大野間で「はこね」「さがみ」と併結して運行される。

新宿・新百合ヶ丘・相模大野・大和・藤沢・片瀬江ノ島

他路線直通種別

「メトロえのしま」のみ停車駅は固定。それ以外は2パターン以上が設定されている。

●ふじさん
パターンは以下の通り。違いは駿河小山に停車するか否かのみ。2012年3月17日のダイヤ改正より停車駅から町田・裾野・沼津が消え、代わって新百合ヶ丘・相模大野・秦野が加わった。

1.新宿・新百合ヶ丘・相模大野・本厚木・秦野・松田・駿河小山・御殿場
2.新宿・新百合ヶ丘・相模大野・本厚木・秦野・松田・御殿場

●メトロはこね
パターンは以下の通り。成城学園前~小田原間の停車駅は「メトロえのしま」と併結するか否かで異なり、単独運転の場合は町田・本厚木に、併結する場合は相模大野に停車する。それ以外は変わらない。

1.北千住・大手町・霞ケ関・表参道・成城学園前・町田・本厚木・小田原・箱根湯本
2.北千住・大手町・霞ケ関・表参道・成城学園前・相模大野・小田原・箱根湯本

●メトロえのしま
メトロ特急では唯一停車駅が固定されている。「えのしま」との違いは、成城学園前に停車し新百合ヶ丘と大和を通過する点。

北千住・大手町・霞ケ関・表参道・成城学園前・相模大野・藤沢・片瀬江ノ島

●メトロホームウェイ
パターンは以下の通り。不確定なのは北千住で、同駅か大手町始発かで分かれる。それ以外の停車駅は共通。
「えのしま」系統の「ホームウェイ」と同じく、平日のみ新百合ヶ丘には3番ホームに停車する。

1.北千住→大手町→霞ケ関→表参道→成城学園前→新百合ヶ丘→町田→海老名→本厚木
2.大手町→霞ケ関→表参道→成城学園前→新百合ヶ丘→町田→海老名→本厚木

●メトロモーニングウェイ
パターンは以下の通り。平日と土休日で異なり、新百合ヶ丘・成城学園前に停車するか否かで分かれる。それ以外の停車駅は共通。

1.本厚木→海老名→ 町田→表参道→霞ケ関→大手町→北千住
2.本厚木→海老名→ 町田→新百合ヶ丘→成城学園前→表参道→霞ケ関→大手町→北千住

なお、「(メトロ)えのしま」と併結する「(メトロ)はこね」「さがみ」は分割・併合の関係上必ず相模大野停車になり、町田は通過する。

臨時の種別

●ニューイヤーエクスプレス・メトロニューイヤー
2018年度の停車駅を表記する。

  • ニューイヤーエクスプレス
パターンは以下の通り。ほとんどが下りかつ「えのしま」系統で、小田原発着および上り列車はそれぞれ1本ずつのみ。メトロ特急でないにもかかわらず成城学園前に停車したり、「えのしま」系統なのに町田に停車したりと、通常ではなかなか見られない列車が多い。
2.は町田を除く現行のロマンスカー停車駅全てに停車する。

1.新宿→新百合ヶ丘→町田→大和→藤沢→片瀬江ノ島
2.新宿→成城学園前→新百合ヶ丘→相模大野→海老名→本厚木→伊勢原→秦野→小田原
3.片瀬江ノ島→藤沢→大和→相模大野→新百合ヶ丘→新宿

  • メトロニューイヤー
停車駅は以下のパターンで固定。「メトロえのしま」に似ているが、新百合ヶ丘・町田・大和に停車し、相模大野を通過する点で異なる。

北千住→大手町→霞ケ関→表参道→成城学園前→新百合ヶ丘→町田→大和→藤沢→片瀬江ノ島


停車駅一覧

凡例
S…スーパー
M…メトロ
HW…ホームウェイ
MW…モーニングウェイ

●…停車
○…一部停車
▼…下りのみ停車
▲…上りのみ停車
▽…下りのみ一部停車
△…上りのみ一部停車
緑色…下りは乗車、上りは降車のみの取り扱い(逆は不可)
|…通過
↓…下りのみ通過(上り列車の設定はない)
↑…上りのみ通過(下り列車の設定はない)
※…運転停車(乗客の乗り降り不可)
空欄…運行なし

◇小田原線系統
駅番号 駅名 S






H
W
M
W
接続路線 備考
OH 01 新宿 新宿駅のページを参照。
OH 23 新百合ヶ丘 多摩線(小田急多摩センター・唐木田方面)
OH 27 町田 JR横浜線
OH 28 相模大野 江ノ島線(大和・藤沢・片瀬江ノ島方面)
OH 32 海老名 相鉄本線、JR相模線
OH 34 本厚木
OH 36 伊勢原
OH 39 秦野
OH 47 小田原 東海道新幹線、JR東海道線上野東京ライン湘南新宿ライン
伊豆箱根鉄道大雄山線
OH 51 箱根湯本 箱根登山線(強羅方面)


◇江ノ島線系統
駅番号 駅名


H
W
M
W
接続路線 備考
OH 01 新宿 新宿駅のページを参照。
OH 23 新百合ヶ丘 多摩線(小田急多摩センター・唐木田方面) 平日の「HW」は多摩線ホーム(3番ホーム)到着。
平日の「MW50号」のみ通過。
OH 28 相模大野 小田原線(小田原・箱根湯本方面) 一部の「えのしま」は当駅で「はこね」「さがみ」と分割・併合を行う。
OE 05 大和 相鉄本線
OE 13 藤沢 JR東海道線(上野東京ライン・湘南新宿ライン)、江ノ島電鉄線
OE 16 片瀬江ノ島


御殿場線直通
駅番号 駅名


接続路線
OH 01 新宿 新宿駅のページを参照。
OH 23 新百合ヶ丘 多摩線(小田急多摩センター・唐木田方面)
OH 28 相模大野 江ノ島線(大和・藤沢・片瀬江ノ島方面)
OH 34 本厚木
OH 39 秦野
松田駅(新松田駅)付近の連絡線経由で御殿場線へ。
CB04 松田 御殿場線(国府津方面)
CB08 駿河小山
CB10 御殿場 御殿場線(沼津方面)


◇千代田線直通
全列車とも千代田線内のみの乗車はできず、下りは乗車・上りは降車のみ取り扱う(逆は不可)。いずれも1・4・5・7・8・9号車のみドアが開く。
また、代々木上原駅で乗務員交代のため運転停車する(乗客の乗り降り不可)。
駅番号 駅名 M


M
H
W
M
M
W
接続路線 備考
C 18 北千住 千代田線・常磐緩行線(綾瀬・北綾瀬・取手方面)、JR常磐線快速
東京メトロ日比谷線東武スカイツリーラインつくばエクスプレス
下りは乗車、上りは降車のみ可。
C 11 大手町 丸ノ内線・東西線半蔵門線
都営三田線
C 08 霞ケ関 丸ノ内線・日比谷線
C 04 表参道 銀座線・半蔵門線
C 01
OH 05
代々木上原 乗務員交代のための運転停車(乗客の乗降不可)。
OH 14 成城学園前 「MMW」は土休日(30号)のみ停車。
OH 23 新百合ヶ丘 多摩線(小田急多摩センター・唐木田方面) 平日の「MHW」は多摩線ホーム(3番ホーム)到着。
「MMW」は土休日(30号)のみ停車。
OH 27 町田 JR横浜線 「Mえのしま」併結の「Mはこね」は通過。
OH 28 相模大野 江ノ島線(大和・藤沢・片瀬江ノ島方面) 「Mえのしま」併結の「Mはこね」のみ停車。当駅で分割・併合を行う。
OH 32 海老名 相鉄本線、JR相模線
OH 34 本厚木 「Mえのしま」併結の「Mはこね」は通過。
OH 47 小田原 東海道新幹線、JR東海道線(上野東京ライン・湘南新宿ライン)
伊豆箱根鉄道大雄山線
OH 51 箱根湯本 箱根登山線(強羅方面)

駅番号 駅名 M



接続路線 備考
C 18 北千住 千代田線・常磐緩行線(綾瀬・北綾瀬・取手方面)、JR常磐線快速
日比谷線、東武スカイツリーライン、つくばエクスプレス
下りは乗車、上りは降車のみ可。
C 11 大手町 丸ノ内線・東西線・半蔵門線
都営三田線
C 08 霞ケ関 丸ノ内線・日比谷線
C 04 表参道 銀座線・半蔵門線
C 01
OH 05
代々木上原 乗務員交代のための運転停車。
OH 14 成城学園前
OH 28 相模大野 小田原線(小田原・箱根湯本方面) 当駅で「Mはこね」との分割・併合を行う。
OE 13 藤沢 JR東海道線(上野東京ライン・湘南新宿ライン)、江ノ島電鉄線
OE 16 片瀬江ノ島


ロマンスカー関連施設

  • ロマンスカーミュージアム
2021年4月19日に開業。
車両ではSE~RSEまでの歴代ロマンスカーと開業当初の電車であるデハ1形、小田急沿線のジオラマ・電車運転シミュレーターなどといった設備が展示されている。
  • ロマンスカーカフェ
VSEで営業していたものと同名のカフェテリアが新宿駅の西口地上改札側に存在。2006年3月31日から小田急レストランシステムによって運営されていたが、新宿駅西口の再開発に伴い2023年2月25日をもって閉店した。
  • ロマンスカーシートボックス
かつては海老名駅に隣接している「ビナウォーク」のフードコートにHiSEとRSEで実際に使われていた運転席と普通席・スーパーシートが置かれており、座って食事を楽しむことができた。運転席は1席ずつ2人がけで、それ以外はセミコンパートメントのように2席ずつ4人がけで向い合せに設置されていた。
2020年8月までに撤去された。

ロマンスカーが登場する作品

楽曲

  • 「小田急ピポーの電車」
1961年に発表された作品。歌唱はボニー・ジャックスとザ・ピーナッツが担当。
SEの警笛をイメージした作品でかなり中毒性があり、「モヤモヤさまぁ〜ず2」(テレビ東京)で小田急沿線もしくは箱根を訪れた際は必ずこの楽曲が登場する。

  • 「Myself ~風になりたい~」
1989年に発表された作品。
徳永英明の8枚目のシングルでもあり、CMソングに抜擢されていた。
彼にとっては男女の恋愛をテーマとしない初めての曲である。
CMは当時イメージリーダーだったHiSEが登場している。

  • 「ロマンスカー」
1992年に発表された作品。
村下孝蔵のシングルで、同時発売のアルバム「名もない星」にも収録されている。
失恋を切なく歌ったフォークソングであり、氏が最も好きだった曲だという。彼の葬儀の出棺時もこの曲が流れた。

  • 「ロマンスをもう一度」
2002年に発表された作品。
現在のロマンスカーのイメージソングで、CMで見たことがある人も多いだろう。
当初は作曲の葛谷葉子がボーカルを務めるバージョンが使用されたが、その後はさまざまなボーカルのバージョンが使用されている。
また、VSE・GSEでは車内放送前後のチャイムでも流れる。


映像作品

  • 『あけてくれ!』
特撮テレビドラマ『ウルトラQ』第28話に登場した「異次元列車」はNSEがモチーフになっており、両先頭車と中間車2両の4両という短編成になっている。
この話は第20話として放送予定だったが、諸事情で本放送が見送られ再放送で日の目を見たという特殊な作品で、2004年には小田急の承認を得て本列車を模したプラレールが限定発売されている。
当時は小田急線沿線に円谷プロの本社があったためか、初期のウルトラシリーズでは小田急へロケや取材を行ったエピソードが他にも散見され、ロマンスカー関係だとウルトラセブン第2話ではNSEの車内ロケが行われている。
現在の祖師ヶ谷大蔵駅や駅周辺にウルトラシリーズコラボが多い(例えば接近チャイムは『ウルトラマンの歌』『ウルトラセブンの歌』を使用している)のも当時はここに本社があったからである。ロマンスカーは通り過ぎるけどね。

  • 『想い出づくり。』
1981年に放送されたTBSテレビのドラマ作品。
主人公の一人である古手川祐子がロマンスカーの乗務員・吉川久美子を演じており、1980年代当時の新宿駅やロマンスカーの映像が登場する貴重な作品になっている。
こちらはCSや配信サービスで視聴可能。

  • 『ロマンス』
2015年に公開された日本映画。
主演は元AKB48大島優子で、グループ卒業後初の主演作になった。ロマンスカーのアテンダントとして働く主人公・北條鉢子を演じている。


その他

  • 石田あいこ
  • 渋沢あさぎ
トミーテックの鉄道制服キャラクターコンテンツ『鉄道むすめ』には、ロマンスカー関係者として2名登場している。
石田は車掌→運転士を経て2018年からロマンスカー主任車掌を担当。名前の由来は愛甲石田駅。
渋沢はVSEやGSEでロマンスカーアテンダントを担当し、2018年からは上級職の「グランドパーサー」に昇格した。名前の由来は渋沢駅と「あさぎり」から。
なお、上述の通りロマンスカーアテンダントは廃止され、石田の着用するロマンスカー用の白い制服も2023年3月限りで使用を終了しており、現在は両名とも事実上の引退状態にある。
小田急のキャラクター展開は次述の「もころん」へシフトしたことや公式通販サイトでもグッズが処分品扱いで販売されていること、萌えキャラを取り巻く情勢の変化もあり、今後リニューアルして再登場があるかは不明瞭。

  • もころん
2023年に登場した小田急の子育て応援キャラクター。
名前の「ろん」はロマンスカーが由来で、手足や尻尾のオレンジ色はロマンスカーをイメージしたもの。
GSEをモチーフとしたポシェットを常時肩から掛けている。
2025年3月からはMSEの車内チャイムでもころんのテーマソング「今日はどこにでかけよう」の使用を開始しており、同月末にはMSE全編成にもころんのヘッドマークが取り付けられた。


余談

乗車位置

ロマンスカー停車駅のホームには足元にドアの位置を示す表示があり、車両ごとに色分けされている。EXEとMSEについては共用で、編成数ごとに色分けされている。青色はホーム中央に停車するように配置されており、茶色とはドアの位置が異なる場合がある。
基本的に「(メトロ)はこね」「さがみ」と併結する「(メトロ)えのしま」を除いて4両編成単独の運転はないため、小田原線内で灰色乗車位置が案内されることはないが、2019年1月12日~14日の「スーパーはこね9号」「はこね52号」「さがみ71号」はEXEαによる初の4両編成で運行されたため灰色で案内された。

2018年3月17日のダイヤ改正以降、マークが一新され、これまでの車両の正面を写していたものから側面を写したものになった。共用マークについては2つまとめて描かれるようなっている。


通勤車両による代走

ロマンスカーは検査や故障で他形式が代走することが多いが、さまざまな事情から代走車が捻出できず、やむなく通勤車を使用した例がある。

1度目は1965年前後の数年間、特急需要のピーク時や検査時などで特急車両が不足していたため、NHE車の2400形が一部の「えのしま」を担当。特急料金は不要だったものの座席定員制であり、「サービス特急」と呼ばれた。

2度目は1987年1月に、NSEとLSEが1編成ずつ検査中だった時期に踏切事故でSEが1編成使用不能になったため、同形式が運用される「さがみ」の一部列車を8000形が代走した。

3度目は2016年12月に本来運用予定だったEXEの故障により、1000形の6+4両編成が「えのしま74号」を代走。事前予約していた人のみ乗車でき、当日券は発売されなかった。


4両編成

前述の通り、EXEとMSEは6両編成+4両編成の構造になっており、10両編成以外にも6両編成単独による運転も多く見られる一方で、「(メトロ)はこね」と併結する「(メトロ)えのしま」を除いて基本的に全区間4両編成での運行はなく、MSEの4両編成側には千代田線・御殿場線の保安装置も備えられていない。
下りの「はこね」では小田原で切り離されるため、4両側で「箱根湯本」の表示が見られることはなく、箱根登山線に入線することもない。
なお、EXE4連による運行は連休やトラブル時による代走が生じた際に適宜行われている。



追記・修正は展望席の最前列の切符を手に入れた人がお願いします。

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最終更新:2025年04月17日 11:38

*1 連結器ではなく1つの台車で2つの車両を支えるもの。路面電車での採用例が多い。

*2 当時の長距離列車はボックスシート、今の近郊形車両で見られる4人で一区画の相席大前提のものが多かった。

*3 当初は終点まで無停車の25号町田行きだったが、2018年3月17日のダイヤ改正で相模大野に延長された。

*4 2020年9月5日・6日に市内で開催された女子スポーツ試合開催に合わせ、下り列車が初めて臨時停車した。

*5 上りは2007年度以降、「初詣号」という名称で唐木田→綾瀬間において運転された。途中停車駅は多摩急行と同じ。

*6 実際には東日本大震災以降は運用がなかった。

*7 当初は588席だったが、リニューアルの関係で座席はEXEαに合わせて10席減少した。

*8 実際には1997年の選考で最多の得票数を得たものの、「該当なし」票がそれを上回ったため。なお、現在は「該当なし」をトップにしない方針に改められたという。

*9 中間車は全長を17mに短縮して使用。

*10 構想自体は1700形の段階ですでにあったものの、なかなか採用には至らなかったという。

*11 登場間もない1964年2月から3月には、6両編成に改造されて運行した記録がある。

*12 普段は藤沢行きだが、この日に限って片瀬江ノ島まで延長運転された。

*13 「あさぎり」運用では371系と同じくグリーン席と呼称された。

*14 当初は10度の予定だったが、かえって落ち着かなかったとのこと。

*15 通称「ロマンスカーカフェ」。なお、新宿駅構内に同名のカフェテリアが実在する。詳細は後述。

*16 この他、一部では「ホームドアへの対応が困難なため」という噂も流れたが小田急は否定しており、乗降口の位置は他形式とそこまで変わらないため、ホームドア設置後のEXE・MSEのように一部号車をドアカットすれば事足りる。

*17 1987年大みそか~88年のお正月の運転のみ、新車デビューの宣伝施策としてHiSEが充当された列車限定で営業。

*18 実際には2021年1月8日から中止していた。

*19 時間帯によっては、「ふじさん」および「さがみ」で運行される。土休日は「えのしま」の場合もあり。