処刑人-マキュラ(遊戯王OCG)

登録日:2015/05/19 Tue 01:54:44
更新日:2025/04/30 Wed 15:48:52
所要時間:約 7 分で読めます





『処刑人-マキュラ』とは、遊戯王OCGに登場するモンスターである。
2002年のVジャンプ2月号の付録カードとして初登場した。

●目次

【概要】



そいつはまさに処刑者……。

奴が墓場に落ちたのが確認された時、敵は絶望する。


公開処刑の始まりだ、と――


星4/闇属性/戦士族/攻1600/守1200

下級モンスターとしてのステータスはまあまあといった所であり、
闇属性の戦士族でもあるのでサポートカードでの強化も容易である。
だが、こいつの真価は戦闘で発揮されるものではない。

では、その効果を見てみるとしよう。

OCGでのテキスト
このカードが墓地へ送られたターン、
このカードの持ち主は手札から罠カードを発動する事ができる。


……うん。この一文はおかしい。だが、もう一度記そう……。




そう。このカードは遊戯王における根本的なルールである罠カードは一度セットし、ターンを跨がなければ発動できない
というものを完全に無視することができるのだ。(一応、自身の効果で手札から発動、もしくは伏せたターンに発動できるという罠カードも何枚かあるが)
つまりは罠カードが実質、相手ターンにも手札から発動できる速攻魔法と化してしまうのである。
しかも発動枚数には一切制限がない。

そして遊戯王の罠はそのリスクの大きさから、魔法カードより強力になる傾向が強い。
この二つが組み合わさるとどうなるか?

「無謀な欲張り」を代表とするデメリットがきつい筈のの強力な効果の罠カードを連打しまくって
エクゾディアパーツを揃えたり、現世と冥界の逆転とのコンボで一瞬にして相手をデッキ切れに追い込むといった凶悪な使い方がされた。

一度墓地に送らなければ効果は発動しないものの、遊戯王OCGではカードをデッキからであろうが手札であろうが
墓地へ送る手段が豊富であり、闇属性・戦士族というこの上なく恵まれたスペックのこのカードは、サーチも墓地送りもしやすいため全く問題にはならなかった。

おまけにこいつの効果は発動でも誘発でも何でもなくルール効果であるため、
カウンター罠でチェーンすることはおろか、永続無効化系で対処することすら不可能。

つまりマキュラを墓地に落とされたら最後、止める手段が存在しない。

当然ながらタイミングも逃さず落ちた瞬間に手札から罠カードが発動可能になる。
例えばライトニング・ボルテックスの手札コストにて墓地へ送った場合はその時点で効果が適用され、
そのライトニング・ボルテックスにチェーンして手札から罠カードを発動することだってできる。
墓地に落ちたが最後、もう罠カードの連打は止められない。

しかも相手から妨害された場合は「神の宣告」等万能カウンター罠を使用することで一切の抵抗を許さなかった。
さらに先攻で効果を発動してしまえばそれこそ相手は成す術がなく、相手プレイヤーのソリティアを見ているだけでしかない。
まさに公開処刑。

しかも相手ターンでもトラップを連発できる仕様上、マキュラさえ墓地に落ちればやろうと思えば相手ターンの内に勝利することも不可能ではなく、そのため条件さえ揃えば0ターンキルすらも可能

実際現役時代の現世と冥界の逆転軸マキュラ同士の戦いが起こると、先攻1ターンにカオスポッド等で後攻のマキュラが墓地に落ちてしまう→結果として先攻の止め札の手札抹殺等にチェーンする形で後攻の現世と冥界の逆転を仕返しされて負ける(0ターンキルされる)意味不明な展開が日常茶判事だった。

このカードのおかげで遊戯王が単なるジャンケンゲームと化したというのは有名な話である。
しかも現役時代の現世と冥界軸に至ってはプレイヤーが介入できる要素はほとんど皆無なためジャンケンに勝とうが負けようが勝敗は完全に運次第。もはやコインの裏表を当てるだけのゲームとなんら変わらない。

かつてのプレイヤー達はこのカードが相手の墓地に送られたのを確認した途端、「もう駄目だ。処刑される」と絶望したとか。


そんな極悪なカードの存在をその極悪カードOCG化した存在であるKONAMIが見過ごしているわけもなく、
登場してから禁止プールがない当時としてはもっとも重い規制の制限カードに即座になるが、それでも大暴れを続けていき、最終的には禁止カードとなってしまった。
ただ実は、コイツが現役だった当時は相性最悪のハンデス三種の神器が全て健在だったうえ、その後に待っていたのは混沌帝龍が猛威を振るうカオス】全盛期であり、凶悪な性能に反してさっぱり結果を残せなかったのが現実。

相手が後攻の場合このカードを墓地へ送るカードを止めたり、マクロコスモスなどのカードで墓地へ送らせない事で対策ができる。
先攻を取られてかつヴェーラーで止められない魔法カードで墓地へ送られてしまった場合ほぼ止める方法はないが、
マキュラを墓地へ送った後は大抵ドローソースの連打に入る事が多いためドロール&ロックバードを発動し止まってくれることを祈るしかない。

上記の通りの超ぶっ壊れのゲームブレイカーだが、
海外のみ発売のシールド・デッキ形式で遊ぶためのパック「Battle Pack:Epic Dawn」に収録されており、このパックを使ったルールでは使用可能。
だが収録カードが基本的にビートダウン向けのカードプールなので墓地へ送る手段も乏しく、手札から発動して旨みのある罠が少なく使いにくい。
マキュラはただ単に入れても機能せず専用デッキを組んでこそ輝くカードなのである。


同じく罠カードを1ターンの内にすぐ発動できる相互互換の王家の神殿はエラッタすることによって復帰したため、
もしかしたらこのカードも 「1ターンに1度」とエラッタされて帰ってくるかも? という声がよく見かけられるが、
このカードは永続魔法故にサーチし辛い上にフィールドで発動していなければ意味がない王家の神殿と違ってモンスターカードであり、
しかも闇属性であるため墓地肥やしがとても簡単なのだ。

デッキからならばおろかな埋葬終末の騎士、ダーク・グレファー……。
手札であればコストとして利用したり各種ハンデスカードで相手を巻き添えにする……。

etc……etc……

このように永続魔法である王家の神殿よりも汎用性は格段に上であり、
単純に1ターンに1度とエラッタされただけでは王家の神殿の併用などもあり、悪用される危険があるのだ。

原作では「倒された時」に「発動する罠カード以外を全て捨てる事」で効果が発動するようになっていたため、

●一度フィールドに出してから墓地に送られる
●相手によって墓地へ送られる(自爆特攻以外では手札やデッキから自分のカード効果で墓地送りにしても意味なし)
●発動する罠カード以外の手札を全て墓地へ送る(マキュラは手札から罠カードを発動できるようにする効果なのでそのターンにセットした罠カードには対応していない)

といったような何かしらの発動条件をさらに追加でもしなければマキュラが我々の前に再び現れることはないだろう*1
だが、エラッタされて復帰したとしても、もう二度とあのような公開処刑だけは味わいたくないのはデュエリストの誰もが望むことであった……。



【月日は流れ、ついに……】


星4/闇属性/戦士族/攻1600/守1200
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがモンスターゾーンから墓地へ送られた場合に発動できる。
このターンに1度だけ、自分は罠カードを手札から発動できる。

本当にエラッタされて帰ってきた。

2020年4月のリミットレギュレーションにて王家の神殿に続き制限カードとして復帰したのである。

墓地送りはモンスターゾーンから、手札からの発動も1度だけ、と妥当な弱体化を受けて更生して来た。
手札やデッキからコストに使っていきなり即発動、といった奇襲はできなくなり、エクシーズ素材から捨てても適用されなくなった*2

ただこれでもハンデスのリスクがない分原作より強化されているのだが(《命の綱》を発動すればマリクごっこは可能)。
地味な変更点として、永続効果から発動する誘発効果に変わっているので、各種カウンターに引っかかって止められる可能性が出た。
そのためか「デュエル中1度」ではなく「1ターンに1度」になったので、毎ターン蘇生させて奇襲し続ける、ということも一応可能になった。

当然だが以前のように罠カードを無限に連打したりする無法なプレイは不可能になったため使い処を考える余地が生まれるようになり、
王家の神殿と併用して最大2枚の罠カードを即発動できるようにして難しいコンボを完成させたり、フィールドに維持させたまま牽制や囮に使ったりと
様々な運用方法が見られるようになった。
コナミは本来、こういった駆け引きで使うのを想定していたのだろう

その後、7月・10月のレギュレーションで準制限→無制限へと緩和され、ようやく思う存分にその恐るべき効果を振るえるようになった。
今後の活躍に期待したいところである。もちろん、大暴れしない範囲で


【類似したカード】

王家の神殿
こちらは一度フィールドにセットした罠カードをそのターンに発動可能にするという効果を持つ永続魔法である。
このカードもかつては罠カード発動の回数に制限がないというぶっ壊れであったためにマキュラの相互互換として扱われており、
禁止カードの仲間入りになっていたのだが、現在では1ターンに1度と効果がエラッタされているため復帰し、今では無制限にまで緩和されている。

バブルイリュージョン
E・HERO バブルマンがフィールドにいる時に発動できる速攻魔法であり、
発動ターンは1枚だけ手札から好きな罠カードを発動できるようになる。

●アトラの蟲惑魔
フィールドにいる限りは落とし穴関係の罠カード限定ではあるが何枚でも発動可能となる効果を持っているモンスター。
こいつがフィールドに出ていたら手札からの奈落の落とし穴などには警戒していなければならない。

●ジェット・ロイド
相手に攻撃されそうになった時のみだが何枚でも手札から罠カードを発動できるモンスター。
ただし、相手からの攻撃一回分しか対応できないので自分の罠カード発動にチェーンする必要がある。
そもそもこいつ自体が攻撃される前に除去されたり、こいつ以外のモンスターが攻撃されるのがほとんどなので使いづらい。

●失楽の聖女
こちらは罠カードではなく、速攻魔法を相手ターンでも手札から発動できるようになる効果を持つモンスター。
ただし、同名カードを含めてデュエル中に一度しか使えないため発動後は単なる壁役にしかなれなくなる。

【原作において】


バトルシティ編において闇マリクが使用しており、対孔雀舞戦で登場した。

この時のデュエルは闇のゲームで行われており、モンスターが戦闘破壊されるとプレイヤーにもその苦痛が及ぶというものであった。
例えばマキュラの首が落とされれば闇マリクの首が落ちるという……あまりにもグロイ光景となってしまうのである。

ちなみにこの時の効果は「マキュラが倒された時」であり、
戦闘破壊を介するか一度召喚されている状況でなければ効果は発動しなかった模様。
しかも手札を全て捨てるというデメリットを持っていた。原作出身カードはほぼ弱体化するのが珍しくない当時としては異例の待遇。その優遇をよりによってなぜぶっ壊れに与えてしまったのか
このデメリットがあれば禁止にまではいかなかったことだろう。(伏せた罠カードはマキュラの効果の適用外のため。あくまで手札からの発動を可能にするだけで1度伏せると1ターン待たなければ発動できない制約を無視するものではない。)

なおOCGにおいてこのデメリットはこの時にマキュラの効果で発動された《命の綱》へと受け渡された。仮にデメリットがなくても弱いと言えてしまうカードであるにもかかわらずである。なんでこっちにしたし



追記・修正はマキュラをモンスターゾーンから墓地送りにしてからお願いします。

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最終更新:2025年04月30日 15:48

*1 ただ例えば上記の3つ目の例では「裁きの天秤」というむしろ相性の良いカードとかも出ているので、これらのようにエラッタされても新規の罠カードによって再び猛威を振るう可能性も皆無ではないが

*2 エクシーズ素材が存在するのはフィールド上(カウンター同様にカードとしては扱わないが)であり、モンスターゾーンではないため