ダーク(人造人間キカイダー)

登録日:2015/11/22(日) 19:42:44
更新日:2018/01/22 Mon 21:51:45
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ダークに生まれし者は…
ダークに還れぇぇぇ…!!



ダークとは、石ノ森章太郎原作『人造人間キカイダー』に登場する悪の組織のことである。

概要

プロフェッサー・ギルにより作り上げられた組織であり、数多くの殺人アンドロイドの他、人間の科学者を多く有している。
一応漫画版の設定を見る限りは、ハカイダー四人衆のベースになった三科学者は幹部級の待遇を得ていたようだが、
それ以外はほぼ全員がギルの指示待ち人間であり、事実上ギルによるワンマン経営であった。
そのため最下層であるアンドロイドマンの待遇はマジで悲惨の一言で、武器の実験台にされるのも当たり前、
失敗すれば即プレス機でスクラップという散々な有様だった。

「悪の組織では複数人の大幹部がいっつも喧嘩している」という認識は、次回作『キカイダー01』まで持越しとなる。

ダークは同じ石ノ森作品『サイボーグ009』のブラックゴースト(黒い幽霊団)と同じく、巨大な軍需複合組織である。
アンドロイド(無人兵器)や大量破壊兵器を各国に売りさばき、軍事紛争を更に過激化させることで暴利を貪っていた。
例えば第4話ではブルーバッファローを公開の場でオークションにかけ、50万ドル(1億8000万円。意外と安いような)で販売していた。
…しかし、ブルーバッファローはキカイダー破壊のために差し向けられてしまい、あっさり壊されてしまった。何やってんだか。

技術力の高さにおいては本当に舌を巻くばかりで、確かに実現すればどこの国も大枚を叩きかねない高性能兵器を多数開発している。
例を挙げると
  • ほんの数リットルで灯台を崩落させるオレンジアントの蟻酸銃
  • 一瞬で人体を灰化させるイエロージャガーの火炎放射装置
  • 挟んだ相手を分子レベルで分解してしまうブラックホースの巨大蹄鉄
  • 人間を瞬時に蒸発させるサソリブラウンの殺人光熱エネルギー砲
  • 照射した物を爆弾に変える死神光線銃
  • 7万人を同時に操ったダイダイカタツムリの催眠音波発生装置
  • 高層ビルや水族館を凍らせるミドリマンモスの冷凍ガス
  • あらゆる物体を爆砕するキメンガニレッドの殺人音波鋏やキリギリスグレイの爆音発生装置
  • 5000℃の火炎を放射するアカ地雷ガマの火炎放射器
などがあり、こんなもんを作れるくらいならロボットに載せずに直接大量生産に踏み切った方が早い気もする。

首領が頭オカシイだけあって、アンドロイドたちは馬鹿ばかりだが作戦は冷酷無残その物。
デモンストレーションのために民間人を殺傷するのは日常茶飯事で、村一つ滅ぼしたこともある。
科学者の拉致や化学兵器の奪取などの古典的な作戦も行っており(幼稚園バスジャックは流石にやっていないが)
終盤では余程金に困ったのかクワガタブルー(眼しか青くない)に銀行破りを行わせ、5000億円もの損害を出している。
(※放映当時の1972年、タクシーの初乗り運賃は180円、かけそばは120円だった)

が、余りに派手にデモンストレーションをやらかしていたせいで、第7話でいきなり警察からマークされている
その後は地方の小学生や政治家でもダークについて知っている始末であり、ここまで大っぴらな悪の組織も特撮ではあまりない。
超ワンマン体制なだけあって、「高名な科学者の婚約者を殺して来い(何で本人を殺すなり捕まえるなりしないのだろうか)lとか、
「せっかく作ったアンドロイドが未完成だから、女子大生を4人ばかし攫って脳を分捕ってこい」などといった
理不尽な命令が出ることもしばしばあった。


さて、ダークについて語った際、欠かせないのは光明寺博士に関してである。
キカイダーの生みの親である光明寺博士は、どの媒体でも元来ダークに所属していたからだ。
ロボット工学の権威である光明寺信彦博士は、自然保護(漫画版)や持続可能な開発(特撮版)のために
無人ロボットを生み出し、ギルはスポンサーを装い接近していた。
…が、上記のようなダークの実情を知った光明寺博士は自らが悪の片棒を担がされていたことを知って愕然とし、
亡き息子・光明寺タロウを模した人造人間、キカイダーを作り上げた(キカイダー01も試作機として作った)。
しかし完成間際にダークに露見し、光明寺博士は01を封印。
キカイダーは良心回路が未完成のまま世に出ることとなり、怒ったギルは光明寺を表の世界で生きていけなくするために
権謀術数を張り巡らせることとなる。

で、いろいろあって光明寺博士をダークは発見することが出来るのだが、その度にキカイダーの邪魔が入って光明寺は逃走。
しかし悪魔の笛の音を聞いて暴走したジローが運よく光明寺博士を捕まえてくれたため、
その隙を突いてダークはついに光明寺の捕獲に成功した。
ギルは悪魔戦士ハカイダーを作り上げると、その頭部に光明寺博士の脳髄を移植
これによりただでさえ強い上に、常時人質を取っているも同然のハカイダーにキカイダーは大苦戦。
かくしてダークはキカイダー相手に万全の状態で立ち向かえるようになり、勝負は決したかに思えた。

が、ここでもギルは詰めが甘かった。
ハカイダーに組み込まれた「悪魔回路」はギルの命令にも自分の「意思」で背けるようになっており、
「キカイダーを何が何でも破壊する」という行動理念に従って動き回るハカイダーはギルの命令を無視して勝手に行動。
更にはダークロボット・アカ地雷ガマがキカイダーを完全破壊してしまったことを知り、ハカイダーは激怒。
アカ地雷ガマを破壊するとダーク基地内部に侵入して暴れ回り、
自分の存在理由を失ってしまったことにブチ切れて基地を壊しまくり、上司であるはずのギルにまで牙を剥く。
最早怒りの余り自分が光明寺と同一人物であることすら忘れてしまったハカイダーは光明寺博士を殺しに向かうが、
ギルの差し向けた最強のダークロボット・白骨ムササビによりハカイダーはついに破壊されてしまうのだった…。

で、この壮絶な内部抗争を行っている間に、壊されたキカイダーは光明寺姉弟の手によりかろうじて蘇生。
そしてハカイダーの残骸から脳を取り出したミツコにより光明寺博士は生き返り、キカイダーの変身回路も元通りに。
生き返ったキカイダーは白骨ムササビを倒し、(既にハカイダーが粗方破壊していたので)あっという間に本部は壊滅。
ハカイダーさえ作らなければここまでズタボロにやられることは無かっただろうに、後悔先に立たず。
かくして栄耀栄華を誇ったダークは、内ゲバとうっかりミスの連発によりあえなく崩壊。
ギルが自爆装置を起動させたことで本部は爆発し、遂に野望は潰えたのである…。


ダークロボット


ダークが製造・販売している殺人アンドロイド。名前は全て「色+動物名」(もしくはその逆)で統一されている。
基本的にギルの命令をただ遂行するだけの脳筋集団であるが、不完全な良心回路に苦しむゴールドウルフ
組織を抜けようと葛藤し続けるバイオレットサザエ、親子愛と任務の間に揺れ動くブラックハリモグラ親子
兄弟に対する情を最後の最後で取り戻したキメンガニレッドなど、感情豊かなメンバーも中にはいる。

上記のように戦闘力は高く、警察や自衛隊の銃火器にもびくともしない堅牢な装甲を有する。
(初期に開発されたブルーバッファローでも500tの鉄球に押しつぶされても傷一つ付いていない)

元々は光明寺の作ったアンドロイドだったが、13話以降はギルが独自に開発している(洗脳した光明寺博士に作らせたダイダイカタツムリを除く。)。
動物の姿をしているのは、失われゆく自然に対する光明寺博士の愛が現れているから…とのこと。

人間に擬態する能力を有する機体もあるが、影は怪獣そのまんまなため、恐らくは単に人間っぽい立体映像を流しているだけと思われる。
この設定は後に『人造人間キカイダーThe Novel』や『キカイダー REBOOT』におけるキカイダーの設定にも繋がっていく…のかもしれない。


派生作品での扱い

◇漫画版
漫画版においては、TVに登場したダークロボットの他、恐竜ロボットや巨人ロボットなど数多くのロボットが登場している。
この辺はどっちかというと『キカイダー01』におけるシャドウに近いかもしれない。
こちらではマスコミに正体を知られることなく、文字通り闇の様に暗躍している。軍事産業に関しての言及は無い。
また、ハカイダーも特撮版とは異なる設定のため、暴走することも無い。*1
ハカイダーに命令してキカイダーを連れ帰った…はいいものの、ハカイダーの頭に組み込んだ光明寺の脳がまだハカイダーに指示を下していると
知った*2ギルは、ハカイダーを解体することを決意。
しかし破壊寸前にハカイダー…否、「光明寺」によりキカイダーは再帰動。
よりにもよって自分たちの住処の中に案内してしまったことになり、キカイダーの大暴れによりダークはあっけなく壊滅してしまった。

アニメ版においては、シャドウはダークの後継組織ということになっている。


◇小説版
人造人間キカイダーThe Novel』では、ネロス帝国と同じく、表向きは上場企業として活動している。
正式名称は「ダーク・マジェスティック・エンジニアリング」。
こちらでも軍事産業に携わり、ダークロボットの他にも戦闘ヘリなども数多く開発していた。
ジローの強襲を受けて本部ビルは壊滅し、ギルが失脚したことで経営破たんした。
また、マリと名乗るアンドロイドもダークの幹部として登場しているが、彼女もシャドウと名乗る謎の組織からの勧誘を受け、失踪した。


キカイダー REBOOT
登場しない。代わりに国策として「ARKプロジェクト」なる計画が立ちあがっており、これがダークに該当する。
最も、冒頭の台詞は登場する。
どういうことなの? と思うかもしれないが、ここでいう「ダーク」とはいわば「悪」「死の世界」であり、
「お前は所詮悪から生まれた存在なんだから俺達の所に帰ってこい」という意味で取れる。


スーパーヒーロー作戦
ほぼ原作通り…なのだが、ダイナマイトを工事現場から盗もうとするなど困窮っぷりは特撮版以上。
中盤で原作通りの末路をたどるが、ハカイダー四人衆はネロス帝国にヘッドハンティングされることとなり、
ダークの築いた技術畑はネロスを更に成長させる結果を招いてしまった。


スーパー特撮大戦2001
こっちもほぼ原作通りだが、完全な良心回路を有する01がいるにも拘らず、ギルが「キカイダーが完全な良心回路を手にしたら終わりだ」と
発言するなど、中途半端に01のシナリオを早くに取り込んでしまったせいでよくわからないことになっている。
ハカイダーは撃破不可能(無理矢理倒すと光明寺博士が死んじゃってゲームオーバーになる)なためすごくウザいユニット。
ちなみに、これも無理矢理01のシナリオを取り込んだ弊害によりギルはサイボーグになることなく死を迎えている。
したがってハカイダー四人衆は未登場。





ギル「追記・修正を…追記・修正をするのだぁぁぁぁ!!!」


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