祟殺し編(ひぐらしのなく頃に)

登録日:2012/05/08(火) 02:47:57
更新日:2024/09/02 Mon 20:58:13
所要時間:約 5 分で読めます




惨劇を謳え



【概要】
祟殺し編は07th Expansionによる同人ゲーム、ひぐらしのく頃にの第三話(第三章)のタイトル。サブタイトルは「~最短のシナリオ~」。
2003年8月17日のコミックマーケット64にて100円で販売された。
現在は他の出題編と同様に暇潰し編に収録されている。

本編は異色の暇潰し編を除けば出題編としては最後のシナリオである。
初めて雛見沢の終焉が描かれる重要なシナリオでもある。

前2作と異なり、時報(綿流し祭の日)を待たず比較的序盤から重々しい展開になりはじめ、後半以降はクライマックスと言えるほどの惨劇が繰り広げられる。また、全体的に主人公含めた登場人物が過激かつ悪辣に描かれているのも特徴的で、陰鬱な気分になりたくない人は注意。
まあここまで読み進めてきた諸君なら既に覚悟は出来ているだろうが。
単に過激なだけでなく児童虐待の現状、それを取り巻く法整備、登場人物の思惑も絡まって一筋縄ではいかない保護の困難さ…についても深く追求している。


あらすじ
昭和58年6月。いつになく蒸し暑い下町のドブ川で、腐乱した女性の遺体が発見された。
耳と鼻を削ぎ落され、指の関節全てに五寸釘を打たれ、腹を割かれ内臓を引きずり出されているという、誰もが目を覆いたくなるような凄惨な状態であった…。

ところ変わって、雛見沢。
前原圭一は都会から寒村、雛見沢村に引っ越してきた少年。
雛見沢で仲良くなった仲間たちと賑やかに日々を過ごしていた。

ある日、学校での弁当談義の中、圭一は両親が数日出かける為その間自炊をしなければならない事を思い出し、料理が全く出来ない身ゆえ悲鳴を上げる。
殊勝にしていればよかったものを、そんな彼をからかう下級生の北条沙都子への意地で大口を叩き墓穴を掘ってしまう。
そしていざ夕食の野菜炒めを作ろうとするも、あろうことかフライパンから火柱を上げてしまいあわや火事になりかけてしまう。その時、圭一の様子を見に来た沙都子によって未然に阻止され、見かねた彼女に夕食を振舞ってもらう事に。

沙都子やその親友である古手梨花との楽しい夕食の中、圭一は梨花から沙都子の境遇を知らされる。
哀れに思った圭一は失踪して行方不明になっている沙都子の兄、悟史の代わりに自分が沙都子の兄…『にーにー』として振る舞うことを決意するのだった。
普段は生意気な姿につい言い返してしまうのでケンカばかりだが、本当の沙都子はとても健気で逞しい立派な兄想いの妹なのだ。
その後も沙都子との買い物や彼女自慢の野菜炒めをご馳走になったり、野球の試合でピンチヒッターとして彼女と抜群のコンビネーションを披露したり、時には彼女が誇るトラップの談義を受けながら、沙都子との絆を深めてゆく。沙都子もやがて圭一をもうひとりの『にーにー』と思っていくようになる。
そんな日々の中、圭一は顔も知らない悟史に向かって呟く。
―――何意地を張ってんのかは知らないけど、こんなに可愛い妹を置いてどこをほっつき歩いてんだ?早く帰って来いよ。さもないと、俺がぶっ飛ばしてやるからな。

しかしある日、沙都子の叔父である北条鉄平が雛見沢へ帰って来てしまう。
鉄平は地元でも有名な酷いゴロツキで、自分の身の回りの世話をさせるためだけに沙都子を北条家の実家に連れ戻し学校にも通わせず家事ばかりさせ、虐待同然の行為を繰り返した。
事態を知った圭一はまず仲間に相談するも何も案が出ず、児童相談所に頼っても沙都子が平常を装い保護を頑なに拒む為全く改善されず、自分たちの無力さを痛感させられる。そして日を追うごと徐々に壊れてゆく沙都子…
ついには些細な刺激でも狂ったように泣き叫ぶ沙都子を目の当たりにし、怒りの沸点を越えもうどうしようもないと悟った圭一は鉄平の殺害を企てる。

今こそ『にーにー』として、沙都子を救うんだ。そしてあの時のような平穏な日々を取り戻す…!
そう思って掴んだはずの選択によって、自ら凄惨な終焉への階段を登り始めていることにも気づかずに…


【主な登場人物】
またもや主人公。でも(原作では)これで最後の主人公役。料理が完全にできない主人公。
今回は彼の仲間想いな熱血さと行動力がどこまでも裏目に出てしまう。ウッディ!

トラップマスターな今回のヒロイン。
にーにーみたいに優しい圭一と仲を深めていくが…。

部活メンバーのひとり。メイドさんに憧れているらしい。
沙都子を救うための話し合いで、親友である魅音を散々罵った圭一にブチギレる。そしてその後はあまり出番に恵まれずに…

部活の部長でクラス最年長。かなりの料理の腕を誇る。
沙都子を救う手段を模索する話し合いでは過去の苦い経験から終始消極的だったり、(それまでの話を半ば無視した荒唐無稽なものとはいえ)圭一の提案に高圧的な態度でダメ出しばかりをし、圭一にキレられた。その後はあまり出番に恵まれずに…
実は物語の裏で圭一と沙都子を当面の不安事項から救っている。

魅音の双子の妹。
雛見沢ファイターズを観戦している圭一にちょっかいを出した。
成り行きで悟史の話題になり、圭一の何気ない返事に異様なまでの憤りを見せる。
今回は出番が少ない。

部活メンバーのひとり。今迄と同じくあまり目立たないが、圭一に沙都子の境遇などを教えた。み~~♪♪!!!
だが終盤で一足先に凄惨な最後を迎え、それを圭一と沙都子が目撃し…。

年に数回、雛見沢に訪れているフリーのカメラマン。道端で偶然出会った圭一に道案内を頼む。でもそのせいで鷹野とのデートが台無しになった。
そしていつの間にか死んでいた。時報。

富竹と交際している入江診療所の看護婦。道に迷った富竹を案内した圭一に村の暗部の情報を提供する。
鉄平を殺害した後の圭一と道で偶然出会い、圭一を家まで送ることになる。その際不穏な発言をし、圭一に殺意を抱かれる。
そしてその帰り道…

沙都子に付きまとっている刑事。勘で警戒心を抱いた圭一が不躾な態度をとったため、今回は圭一に対して一貫して悪辣な態度をとる。
殺人を犯した圭一に立ちはだかり折檻するも、その後日…………。

今回から出番の我らが監督。
雛見沢で入江診療所の所長を勤めており、雛見沢ファイターズという少年野球チームの監督でもある。
沙都子をめぐって圭一のよき理解者となるのだが…。

圭一たちが通う雛見沢分校の教師で、どっかで見たことある容姿をしている。カレー狂。
学校に来ない沙都子を心配し家庭訪問に行くが…

酷いゴロツキで人間のクズ。理不尽な暴力を振り撒く。
そんな彼も後のお疲れ様会では普通のいい人である。

  • 亀田幸一
県立大島高校の野球部のエースでマジモンの甲子園ピッチャー。日本球界からの期待も厚い。
雛見沢ファイターズと興宮タイタンズの草野球の試合で興宮タイタンズ側に助っ人として登板し、年端もいかぬ小中学生相手に俺TUEEEプレイを行う。
だが、口先の魔術師圭一こと「K」に目をつけられた事、彼が園崎一族が経営する焼肉店の常連だったのが運の尽きであった…。
名前だけなら鬼隠し編から出ていたりする。



【CS版】
祭では第肆章、絆でも第一巻に収録されている。
原作が過激すぎるが故の自主規制か、内容が色々とマイルドになりストーリーの流れも一部変わってそれにより矛盾まで生まれており、原作ファンからの顰蹙を買った。


【漫画版】
月刊Gファンタジーで連載されていた。全2巻で作画は鈴木次郎。
兎に角作画に気合が入っており、特に狂気的・猟奇的な場面はR-18G指定がついてもおかしくないレベルなので、そういうのが苦手な人は要注意。
でもアニメ版を見た後の最低限の知識補完には欠かせない。


【アニメ版】
第1期の9~13話で描かれている。やはり原作ファンからの評価は(ry
アニメ版の中でも端折り具合が顕著であり、エピローグの一幕に至っては完全にカット*1されている。そのためアニメ版だけではこの編の結末を知る事は出来ない。
ちなみにこの通称「ラーメン屋エンド」(ラーメン屋のテレビで雛見沢大災害が報道されるラストから)を書いた脚本家はひぐらしファンを自称してるとか…。
あまりにカットが多すぎた影響か、第2期である『解』のオリジナルエピソード「厄醒し編」にて補完も含めてか本作由来の描写が大幅に取り入れられている。
また、圭一が北条家で暴れ狂う際に「ウッディ!」という迷言が生まれた。

アニメ版では冒頭で発見された死体について全く触れられない為、綿流し編のラストの描写もあってアニメ勢からは 「あの死体は綿流し編の最後で殺された圭一説」 という、原作勢からしたら失笑モノの珍説が今現在でも挙がる事がある。

最後の舞台である吊り橋の手すりが非常に緻密なつくりになっており、進んで橋から飛び降りようとしなければ抜けられるようには見えない。しかし作中では突き飛ばされた拍子にあっさり落ちているのでファンからは吊り橋すり抜けバグなどと呼ばれているとかなんとか(体が手すりを抜ける流れは曖昧にされている)。


【ドラマCD】
前作と同じく4枚組。やっぱり1枚につき80分ギリギリを攻めた収録。今回は沙都子…もといかないみかの為の一品。ジャケ絵には登場しない悟史がいるが、これは沙都子の情景であるらしい。
こちらは今迄と同じく漫画版以上の再現度を誇るがシリアス~惨劇シーンも気合入りすぎというくらい凝ってるので、声オンリーのドラマCDだから油断していると夜中にトイレに行けなくなる事必至。

枚数と尺の都合上、原作での野球パートが完全に抜けているが、こちらは別口DLの音声TIPS…現在では「アペンドディスク2」にほぼ完全に収録されている。
ある意味この編の真の魅力&貴重な日常パートと言ってもいい部分なので、これらも織り交ぜて聴くことを激しく推奨。

冒頭のフレデリカの詩は例によってゲームとは違う内容の書き下ろしでガンガンパワードの付録で本編のダイジェストと一緒に音源化。隔月化した最初の号(2006年6月22日発売)

公式ホームページで配布された宣伝番組は「帰ってきたソウルブラザー」
なかなか好評で知恵先生みたいに危険なパロディをしなくて済むので安心と制作側にも評判だった
メイドの使者Dr.イリーが参戦し、暗黒四天王ついに集結。絵がないからやりたい放題の第七聖典カレー先生との頂上対決がついに始まる。






【小説版】
やはり講談社BOX、星海社文庫から上下巻で発売中。



【余談】

  • 終盤で沙都子が全裸になるシーンがあるのだが、キャラはデフォルメなのに局部のすじがしっかり描かれている(さすがに商業流通の漫画やCS移植版ではバスタオルを羽織っており、アニメ版に至っては着替えている)。
    はっきり言って鬱と絶望全開なシーンだし絵が絵だけに変な気持ちは微塵も興らないが(ウソじゃないですョ

  • 今回も本編をクリアするとお疲れ様会、スタッフルーム、ミニゲーム「DDD」がプレイ可能になる。
    DDDはエンジェルモートに侵略するデビロット一味率いるジャックフロストをブロック崩しぽいゲームで撃退するゲーム。例によって版権上の問題以下略。キャラ差し替えで移植する訳にはいかないのか…

  • 消えた鉄平の死体の行方、梨花が境内で殺された理由等一部の真相は皆殺し編より先に暇潰し編、目明し編罪滅し編で明かされているが他の出題編と違い事件の中で何が起こったかという真実は解答の対象では無い。重要なのは「どうすれば沙都子を救えたか?」。ネット・リアル関係無く問題人物に悩まされている人は必見。

  • 最初、ひぐらしはこの三話目で終わるはずだった。うみねこのなく頃にも当初のひぐらしの興行計画通り直接真相が明かされる事無く本編が終わったが漫画版で…。







あんたも気を付けろよ。
俺如キニ、追記修正サレルナ?

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最終更新:2024年09月02日 20:58

*1 圭一が橋から落とされてフェードアウトし、唐突に村が滅び圭一が搬送される場面がテレビ放映されてる流れに。