ポケットモンスター ブラック・ホワイト

登録日:2010/10/20(水) 20:42:12
更新日:2024/08/29 Thu 01:43:06
所要時間:約 6 分で読めます




初めて訪れる街。



季節ごとに表情を変える大地。



この地に眠る伝説のポケモンの秘密とは!?



ポケットモンスターブラック

ポケットモンスターホワイト


ポケットモンスター ブラック・ホワイト』は2010年9月18日に発売された『ポケットモンスター』シリーズの第5世代の作品。


◇概要


ハードはニンテンドーDS
世代と共に変わって来たハードだが、今回は前作『HGSS』からDSが続投している。

パッケージのポケモンは
ブラック…レシラム
ホワイト…ゼクロム
と背景色とポケモンの色が反対なのでちょっと紛らわしい。

メインシリーズでは初となる海外はニューヨークをベースとしたイッシュ地方を舞台に、153(+α)匹のポケモンが追加された。
バージョンの違いは今まで通り一部の種類ポケモンの有無と出現確率の違い。
またブラックではブラックシティ、ホワイトではホワイトフォレストという街に行ける。

これまでのポケモンシリーズをベースにしながらも、全体的にシックな雰囲気が漂う。
開発側の意図としても「これまでのポケモンの常識を破壊する」「ポケモンから卒業してほしくない」というものがあり、全編を通してこれまでのポケモンより大人っぽく作られている。
また、これまではひらがなとカタカナ(と英数字とアンノーンと点字)のみだったゲーム内文字も、今作から漢字が解禁された。
ちなみに漢字モードはただ文章を漢字化しているだけではなく、セリフの中にある言い回しも大人向けの難しいものに変わっていたりする手の込んだ仕様。


同世代のアニポケは『ポケットモンスター ベストウイッシュ』。

2012年2月26日、2年後のイッシュ地方を舞台とする続編が発表された。
→『ポケットモンスター ブラック2・ホワイト2



◇ストーリー


ある日、主人公は幼なじみのチェレンとベルと共に、アララギ博士にポケモン図鑑の完成を頼まれる。
そしてポケモンたちを集めながらポケモンリーグを目指す事に。

主人公の前に度々現れる謎の青年と、ポケモンの解放を訴えるプラズマ団
彼らの真の目的とは……?


ポケモンシリーズお決まりのストーリーなのだが、前述の通り本作はこれまでのシリーズに比べて対象年齢の上限が引き上げられており、キャラクターの関係性やバックボーンなどは大人でもうなる程綿密に設定されている。
終盤のストーリー展開はBGMなどの演出と相俟って、まるで劇場版のような盛り上がりを見せる。
良くも悪くも今までのポケモンとは全く方向性が違うストーリーなので意見が分かれやすいが、その分刺さる人にはとことん刺さるものになっている。

悪役であるプラズマ団も、これまでの悪の組織以上に胡散臭い集団となっており、その真相の受け止め方も人によって意見が分かれるだろう。


御三家


くさ
ツタージャ(→ジャノビー→ジャローダ)

ほのお
ポカブ(→チャオブー→エンブオー)

みず
ミジュマル(→フタチマル→ダイケンキ)


それぞれ〈〉〈〉〈〉をイメージしたデザイン。



◇第五世代の変更点


新規ユーザーの為か、システムが一新されている。


◇BGM


本作はBGMの評価が非常に高く、次作『BW2』と並んでポケモンサウンドの到達点と言われている。

『DPt』におけるピアノのような代表と言える楽器こそないものの、多種多様な楽器がBGMに取り入れられているのが特徴的。
ポケモンらしい序盤曲にはフルート、戦闘曲のドラムとベース、盛り上がりどころのトランペット、マイナーな所では二胡なんてものまで使われていたりする。さらにはポケモンメインシリーズでは初となるボーカル入りのBGMも。
終盤では壮大なストーリーに合わせてシリアスな曲も増え、そんな中で次々と新たな名曲が現れては次の名曲に切り替わる非常に贅沢な作りに。
戦闘中にBGMが切り替わる演出も本作が初出であり、しかも最初にして最適解を出してしまったと言われるほどの完璧な演出となっている。ただしピンチ[[BGM]]は勘弁。

パッケージポケモンであるレシラムとゼクロムのBGMは、基本的には同じ曲なのだがそれぞれの特徴を現した効果音が微妙に含まれているためそれぞれで別曲扱いとなっており、さらに三匹目のドラゴンの曲もレシゼクと基本は同じだがそれぞれの効果音がない代わりに若干のアレンジが加わっているなど、細かいながらも丁寧な仕事が光るものとなっている。

道路曲は全体的に初代リスペクトの手堅いものが並ぶ中、『10番道路』はポケモンの道路曲史上でも屈指の名曲として知られており、ストーリーともマッチした素晴らしい出来となっている。
また第5世代のみの仕様である季節システムに合わせて、道路や町のBGMには季節ごとに切り替わるものが存在しているのもこだわりポイントだろう。

一部の街ではNPCに話しかけることでBGMにパートが追加され曲が完成したり、楽器を弾いている人の近くに行くと音が足される凝ったギミックがあったりと、やはりサウンド面に対するこだわりを感じさせる。

なお、BGMではないが戦闘中のカーソルを動かしたり何かを決定した時の効果音もそれまでのポケモンシリーズとは異なるものに変わっており、その小気味良さから密かに人気が高かったり。


◇対戦環境


新しい技と特性、道具の追加で更に戦略性が拡がった。
なにより隠れ特性の追加で従来のポケモンにも更なる可能性が。
複合タイプも新しい物が登場した。

今回は全体的に種族値に無駄の無いポケモンが多め。
更に攻撃・特攻に尖ったポケモンも多く、火力インフレは更に加速した。
一方で前作の反省か、能力に無駄は無くとも技が乏しいポケモンも多い。

そして何よりも本作初出のポケモンは進化が全体的に遅い
序盤ポケモンはともかく中盤以降のポケモンだと1進化ですら平気でLv30台後半~40台を要求され、終盤になろうものなら1進化にLv50台がザラ。
本作の経験値が相手よりレベルが高くなるほど減る仕様も相まって、ウルガモスサザンドラの進化の遅さは最早伝説である。
やはり批判を浴びた為か、この後の世代のポケモンの進化はそこまで遅くならないように設定されている。
もっとも、レベル差による減算が復活したSMでは序盤にワシボンやらバルチャイやらが出てきたり、剣盾のドラメシヤ系統はと言われると説明しにくくなるが

また、「からをやぶる」「ちょうのまい」などの強力な積み技も追加、対戦環境が大きく変化した。

今までバトルレボリューションでしか出来なかったランダムバトルがWi-Fi通信でより気軽に出来るようになった。

しかし敷居が下がった分、マナーの悪いプレイヤーも頻発。
負けそうになると回線を切る、いわゆる切断厨も問題視されている。

一方で、アイテムの互換切りと隠れ特性周りの悪辣すぎる仕様や配布方法、爺前固定の廃止によるタマゴ個体厳選難易度の悪化、ソフト単独では努力値を下げるきのみすら一切手に入らない事などにより、レベルの高い対戦に挑むための敷居はむしろ非常に高くなってしまった。
結果として改造プレイヤーを増やしてしまうことに。


また最初のエンディング後までは過去のポケモンが一切登場せず、完全に新しいポケモンしか登場しない。
過去作から送り込めるのはクリア後の為、シナリオは必然的に新ポケモンオンリーの編成でクリアすることになる。

そのおかげで古参組も比較的新鮮な気分でプレイ出来る一方、従来までのポケモンと大きく異なるため人を選ぶ作品。
「ポケモンと言うゲームで『何を』一番重要視しているか」がブラックホワイトを受け付けるかどうかに直結するレベル。


◇登場人物


主人公
カノコタウンからチェレン・ベルと共に旅立つ。実は母親も昔トレーナーをしていた。
選ばなかった性別の主人公は、バトルサブウェイのマルチトレインにてタッグパートナーとして登場する。

チェレン
主人公の選んだタイプに対して有利なタイプの御三家を選ぶライバル。メガネをかけた物知りな少年。
旅を進めるにつれ様々な悩みにぶつかることになり…。

ベル
シリーズ初の主人公の選んだタイプに対して不利なタイプの御三家を選ぶライバル。作中では勝負こそすれど友達としての面が強い。
ちょっと天然な少女。パパが過保護気味。

アララギ博士
ゲームシリーズ初の女性のポケモン博士

N
主人公の行く手に現れる謎のトレーナー。だのに!

アデク
今作のチャンピオン
冒険途中の主人公達にアドバイスをしてくれる。
Nやチェレンとポケモンに対する"考え方"が違うようだが…。












ここから先は1周目の終わりや2周目のネタバレです。



シロナ
前作のチャンピオン。
殿堂入り後、サザナミシティの看板のない民家に不意打ちのごとくまさかの登場。まるでしっこくハウス
何も知らず入ってきたプレイヤーにおんみょーんのトラウマを植え付けた。
(一応、勝負するかしないかは選べる)
相変わらずのガチ構成だが、トゲキッスだけは自重した模様。

カトレア
前作でフロンティアブレーン(のコクランの主人兼バトルキャッスルのオーナー)として登場したお嬢様。
今作では自らポケモン勝負ができるようになり、四天王として参戦。
エスパー単騎だが、やたら耐久のあるポケモンを揃えており今回の四天王で一番キツいのは彼女のランクルスと評判。
クリア後はメタグロスドータクンまで投入する始末。プレイヤーをガチで追い詰める。

ゲーチス
本作のラスボス
「ポケモンの解放」の真意とは…






◇評価


これまで書いてきたように本作は「新たなポケモン」を目指して作られたこともあり、これまでのポケモンとはかなり毛色の異なる作品となっている。
このため、いわゆる「ポケモンらしさ」にこだわるユーザーからは当然反発を受け、逆に「新鮮な体験」を求めるユーザーからは評価されるという形になった。
そしてこのゲームが発売された当時のネット界隈は前作『HGSS』の成功もあって懐古主義が幅を利かせていたこともあり、長らく評価が低迷していたと言わざるを得ない。
これは国内に限らず国外でもかなりのバッシングがあったようで、後年になって懐古主義が廃れ始めてからようやく再評価された作品と言えよう。
一応補足しておくと、そういったネットの煮凝りのようなコミュニティの外では普通に新たなポケモンとして受け入れられていた。

本作はポケモン史上でも類を見ない重厚なストーリーが描かれたため、その弊害として子供時代には十分に理解しきれなかったという声は少なくない。
だが後年になってから理解できたという話や、その奥深さに驚かされたという声も少なくない。
キャラクター面ではシロナに続く人気キャラクターの輩出に(それも複数人)成功し、一時期はその手の界隈で非常に盛り上がっていたことも記憶にあるだろう。
ストーリーとキャラクターの結びつきが強くなったため、これまでの作品だと出番の少なかったジムリーダー達もストーリー上でその姿をよく見せるようになり、濃いキャラ付けも相まって人気へと繋がった。

Wifiサービスとの連動が前提の要素も少なくないため、そのサービスが終了してしまった2024年現在ではその魅力が十分発揮されているかは怪しく、
また発売当時のPDWを中心とした大混乱っぷりは当時遊んでいたユーザーにとって苦い思い出になっているだろう。PDWについてはゆめしまの項目を参照されよ。

とはいえ、オフラインで遊べる部分だけでも従来のポケモンに劣らないボリュームは十分あるので、今から遊んでみるのも良いだろう。




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最終更新:2024年08月29日 01:43