ムルロア(ウルトラ怪獣)

登録日:2017/02/01 Wed 21:41:00
更新日:2023/01/13 Fri 13:54:30
所要時間:約 6 分で読めます






地球人の宇宙空間での核実験で、しっぺ返しのなかった事は無い。

放射能の恐怖。宇宙人の報復攻撃。
そして、故郷を破壊された怪獣たちの、
悲しい復讐…!!

それでも、兵器開発を止めようとしない地球から、
核ミサイルが一発飛んで行った。
トロン爆弾という名のそいつは、
大宇宙の彼方のムルロア星を木っ端微塵に吹き飛ばした。

その死の灰の中から、
またしても恐ろしい復讐の鬼が誕生してしまった…!!



ナレーション:青野武
〜『ウルトラ怪獣大百科』第126話より〜


ムルロアとは『ウルトラマンタロウ』の第24話『これがウルトラの国だ!』、第25話『燃えろ!ウルトラ6兄弟』に登場した怪獣。
鎧武者の甲冑のような頭部と首の長い蛾のような姿をしているのが特徴でウルトラシリーズで初めて地球を闇に包み込んだ存在であるが
後述する通り人類の身勝手によって故郷を失った被害者である。


…もう一度言う、被害者である。 ※大事な事なので二回言いました。


元々は大人しい生物だった(と思われる)が、
故郷のムルロア星を爆破する際に使用されたトロン爆弾の影響か光のある場所では目が見えない体質となった上に性格も凶暴化し、
この事から光を嫌い、光を憎む様になってしまった。

別名:宇宙大怪獣
身長:62m
体重:3万9000t
能力:アトミック・フォッグ(体の側面から放つ黒煙)、ホワイダースプレー(口から吐きだす強酸性の液体)


概要【※ネタバレを含みます】

ヨーロッパの某国が人類終末兵器と言われるトロン爆弾を製造。
地球上での実験は威力、放射性物質による影響の両方が危険と判断し、
地球より2億キロメートルの距離(意外と近い)に存在する暗黒の惑星であるムルロア星(恐らく生命が存在しないと判断したと思われる)を実験場に選び、爆破した。

が、ムルロア星には生命は存在しており、地球人の身勝手な行いで故郷を破壊されたムルロアは怒り狂い仲間であるスペースモスを引き連れ、
故郷を破壊した地球(特に爆弾を作った地球人)へ復讐する為地球を目指して宇宙を飛ぶ。
地球人はギエロン星獣一件から全く懲りてない様である…


地球へ飛来したムルロアは手始めに、白鳥健一の友人の岩森六兄弟の両親も乗っている旅客機にスペースモスを纏わりつかせ、
コントロールを失わせた所でホワイダースプレーを吐きかけて撃墜。
夜の日本に上陸すると工場地帯を襲撃、破壊の限りを尽くす。

ZATも夜明けと共に迎撃に向かうが、ホワイダースプレーで次々に撃墜されてしまい、
東光太郎は止むを得ずタロウに変身、ムルロアと戦う事に。

先述した様に光のある環境では目が見えない体質の為、
序盤はZATの援護もあってタロウに押されあと一歩で止めを刺されそうになるが、
ムルロアはアトミック・フォッグという黒煙を体の側面にある管から放射。
周りが暗くなって一時的に見えるようになったのか逆にタロウを圧倒し、遂にはホワイダースプレーを吐きかけてタロウに重傷を負わせ、退散させてしまう。

タロウを退けたムルロアは、先程とは比べ物にならない程の凄まじい量のアトミック・フォッグを放射し、
日本、外国…いや地球全土をも闇に包み込む。

暗黒に包まれ、タロウがいなくなった日本はムルロアとスペースモスの独擅場と化し、
自動車や灯台、果ては工場等光を放つあらゆる物を次々に襲撃、犠牲が増えていく一方であった。

その頃、重傷を負わされながらも光の国に帰還したタロウはペットであるウルトラ・ラビドッグとも再開、
ムルロアに負わされた傷もウルトラの母の手で治療され、全快すると地球を闇から解放するにはウルトラベルを使うしかないと悟り、
ちょうどいいタイミングでゾフィーからウルトラタワーで待っているとウルトラサインが出る。

だがウルトラベルのある場所へ行くには6兄弟が一つになるしかない。
そこでウルトラベルを取る役割をウルトラ兄弟によってタロウが指名され、
文字通りタロウと他のウルトラ兄弟が一つになりウルトラベルを持ち出す。

一方地球ではZATの警告を無視して明かりをつけていたコンビナートが襲撃され、とうとう人間が溶かされてしまう
地球はムルロアに滅ぼされてしまうのか…と思われたその時、遂にウルトラベルを持ったタロウ達ウルトラ兄弟が地球に到着する。
ZATもムルロア撃破の為製造していたAZ1974爆弾を取り付ける為、上野隊員がムルロアの頭部に降下し、直接セットする。

宇宙でタロウがウルトラベルを鳴らすとベルの音と共に闇が晴れていき、地球に再び太陽の光が射す。

だが太陽に晒されたムルロアは苦しんで暴れ出し、パラシュートで脱出しようとした上野はムルロアに引っかかってしまう。
このままでは巻き添えになってしまう…そんな時タロウがすんでの所で地球に戻り、すれ違い様に上野をキャッチ、遠くへ投げる。

上野はAZ1974がもうじきタイムリミットを迎える事を大声で叫ぶとタロウは承知し、ムルロアを追い詰めていく。
ムルロアは地球を包む程のアトミック・フォッグを放射した疲労からか太陽の光に晒されたからか、
最初の時とは逆に劣勢であり、グロッキー状態になったところでタロウに空高く投げ飛ばされた後、
AZ1974がタイムリミットを迎えて起爆、ムルロアは木っ端微塵になる。

地球の爆弾で生まれたムルロアは、地球の爆弾で最期を迎えたのだった。


余談

上述した様にウルトラシリーズで初めて地球を闇に包み込んだ怪獣である。

また地球全体を暗黒に閉ざし滅亡寸前に陥れた怪獣であるが、
元はと言えば人類の身勝手によって故郷を破壊された被害者であり、起こした行動こそ凶悪だがこの事情を見る限り、一向に悪とは言えない怪獣でもある。

名前の由来はフランス領ポリネシアに存在し、核の実験場であったムルロア環礁から。

トロン爆弾を製造、爆破したヨーロッパの某国は劇中では明らかになってないがどう見ても現実における当時のフランスを揶揄しており、
しかも劇中において同国は実験に反対だったという何とも皮肉めいたセリフも出てくる。

人類の身勝手で故郷を破壊され、その星の生物が復讐にやってくるという展開は『ウルトラセブン』のギエロン星獣にも準じるものがあり、
続編の『ウルトラマンレオ』でもクリーン星をCS137ロケット弾で爆破した為に報復としてサタンビートルが地球を襲撃、更にその続編の『80』でも
放っておけば地球と衝突し、人類滅亡の危機があったとはいえ、はぐれ惑星レッドローズを核ミサイルのレッド5で爆破した結果あまりの威力にレッドローズだけでなく
ガウス星含む周りにあった4つの惑星まで巻き添えを喰らって跡形もなく消し飛び、ガウスが復讐の為に地球に飛来する等歴史は繰り返す事を表す話が作られており、
ムルロアの登場する話もそうした話の一つとして作られたと思われる。

放射性物質を含む兵器で誕生・光に過剰に反応し暴れるというというムルロアの性質やその登場回である24話と25話は
直接的ではないとはいえ現実世界における核兵器開発への警鐘を鳴らすような描写もある事から初代ゴジラのオマージュではないかという説もある。


その他の登場作品

内山まもるの漫画版『ウルトラマンタロウ』にも「小学二年生」連載分に登場しているが、
バードン同様に登場エピソードが連載一回分に短縮されており、ムルロアが故郷を破壊された被害者という設定は全カット
ゲストの少年・太一の父親を殺害した単なる凶悪怪獣という扱いにされている。
ストーリー上でも太一少年にとっての仇と言う面が強調されて描かれており、太一少年にも酸を浴びせて失明させるなど所業は悪辣。
最終的に太一少年はタロウにより光の国の「ウルトラの泉」の水で洗われた事で治療され、地球で暴れるムルロアもタロウ怒りのウルトラダイナマイトを受けて粉砕された。

石川賢の漫画版『ウルトラマンタロウ』では「小学一年生」連載第7話に登場。
こちらでもムルロアの被害者という背景はカットされ、突如として東京を襲撃した普通の怪獣扱い。
街を暗闇で覆いタロウをも苦しめたが、駆け付けたウルトラ兄弟とタロウが合体した事で放たれた閃光に目を焼かれ、最期はタロウの手刀の一撃で首を刎ねられた。


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最終更新:2023年01月13日 13:54