ギエロン星獣

登録日:2019/01/08 Tue 22:28:47
更新日:2024/04/21 Sun 03:21:45
所要時間:約 9 分で読めます





ギエロン星獣とは、円谷プロのウルトラシリーズに登場する怪獣。初出は『ウルトラセブン』。

データ

別名:再生怪獣
身長:50m
体重:3万5千t
出身地:ギエロン星

概要

元々の出自は、灼熱の惑星であるシャール星座の第7惑星ギエロン星に棲む生物だったが、
地球防衛軍の惑星破壊兵器「R1号」によって故郷が破壊され、その際に放射線の影響によって巨大怪獣へと変貌した存在。
猛禽類を怪獣にしたような容貌をしており、実際作中で翼がもぎ取られた際には羽毛が飛んでいる。

「○○星人」という名前はウルトラ怪獣には数多いが、「○○星獣」の名を冠するのは2019年現在、このギエロン星獣と『ウルトラマンレオ』のギロ星獣のみである。


能力

武器は口から吐く黄色いガスと、両掌を合わせた間から放つリング状の光線「ビームコイル」。
口から吐くガスの設定は登場作品によって異なり、『ウルトラセブン』ではR1号によって生じた死の灰
『ウルトラマンジード』ではギエロアッシュというギエロン星獣が元々持っている猛毒という事になっている。
また頭や翼状の腕も強固で、宇宙空間の巨大な隕石に衝突しても全く無傷な他、ウルトラセブンアイスラッガーすらもいとも簡単に弾き返した。
翼で太陽光を反射させることで敵の目を眩ませるという技も持つ。

そしてギエロン星獣最大の特徴とも言えるのが、肩書通りの再生能力
例え新型ミサイルの一撃で身体を粉々に粉砕されようとも、肉片や体液の状態から僅か一晩で再生することが可能。
『セブン』では黄色いアメーバ状の体液がそのまま散らばっていたが、『ジード』では青い結晶という状態を経て、そこから気化する事で再生している。


ウルトラセブン

第26話「超兵器R1号」に登場。
詳しい活躍はエピソード項目も参照。

R1号の実験によりギエロン星が爆破された後、復讐心を胸に滾らせてすぐさま地球に直行。
隕石の衝突やウルトラホーク1号の迎撃すらもものともせず地球に飛来し、山奥の廃墟に降り立つ。
その時はウルトラホーク3号の新型ミサイルによって粉砕されるが、アメーバ状の肉片を集結させて夜が明ける間もなく再生。

その後、花々が咲き乱れる山奥に出現、ウルトラホークの攻撃に晒されながらもものともせず、
放射能の灰を吐いて暴れまわり、ウルトラホークをも撃墜して東京目指して進撃するも、現れたウルトラセブンと相対。
アイスラッガーすら弾き返す堅牢さを見せ、セブンの片腕にビームコイルを浴びせてダメージを与えるも、
太陽エネルギーで力を取り戻したセブンの逆襲を受け、右翼をもぎ取られてしまい弱体化。
崩れ落ちて仰向けになったところを、セブンに手持ち状態のアイスラッガーで頸動脈を断ち切られ、傷口から黄色い体液を大量出血。
そのまま眠るように瞼を閉じ、絶命した。

何故、身体を粉々にされても再生する様な怪獣が、首を掻っ切られただけで死亡したのかは設定があまり定まっておらず、
各種資料や視聴者間では「頸動脈に再生能力を司る器官があった」「怪獣みたいなのはガワだけで実態はアメーバ状の生物」など様々な説が考察されている。
『怪獣VOW』では喉が弱点だったんだろうという身も蓋もない考察をされていたが。


桑田次郎の漫画版『ウルトラセブン』

概ねTVシリーズと同じ扱いだが、こちらでは再生怪獣としての描写はなく、
地球に帰還したウルトラホーク1号に付着したアメーバ状の物質からギエロン星獣に変貌する、
セブンに倒された後はその肉体がドロドロに崩れ落ちるなど、明確にアメーバが怪獣の姿を取ったものとして描かれており、
恐らくは前述のギエロン星獣=アメーバ本体説もこの漫画版の描写が基になったものと推測される。


ウルトラマンジード

第20話「午前10時の怪鳥」に登場。『セブン』以来、映像作品には実に半世紀ぶりの再登板となった。
作中では曖昧にしか描写されてないが、伏井出ケイが怪獣カプセルを用いて召喚した個体のようである。

ある日を境に、星山市に5日連続で出現するようになり、ウルトラマンジードウルトラマンゼロに何度倒されても
翌日の午前10時には何とも無かったかのように復活して出現する事から、
当初はその存在に恐れ戦いた人々からも、次第に鳩時計の如く午前10時を表す指標みたいな扱いをされるようになっていった。

あまりにも戦いが長引いた事でリクも疲弊してしまうも、AIBの調査によって、
ギエロン星獣は倒された後、その破片が青い結晶の状態を経て気化する事で再び再生するプロセスが判明。
更に、破片が融解する段階までなら冷凍することで再生活動を完全にストップさせられることを突き止める。

最終的に、出現6日目の戦いでジードに粉砕された後、その破片である青い結晶を市民に呼び掛けて全て回収、
AIBにより宇宙の各地に分散して永久に冷凍保存するという形で決着を付ける事となった。

『ウルトラセブン』と異なり頸動脈が弱点という描写はなかったが、果たしてこの個体も首を掻っ切れば再生を抑えられたかは不明。
まぁ今時土曜の朝っぱらから怪獣相手に必殺仕事人の真似をしろというのも、放送コード的に無茶な話ではある。


『ウルトラマンレグロス ファーストミッション』

惑星マイジーでレイバトスの肉体に憑依したレイブラッド星人が蘇らせた亡霊怪獣の1体として登場。
他の亡霊怪獣達と共にウルトラマンレグロスを襲う。
だがそこへ海外ウルトラマン勢が駆け付け、ギエロン星獣はそのうちのウルトラマンチャックとウルトラウーマンベスと戦う。
そして故郷を破壊された上に死後も魂まで利用された事を同情されつつ、ウルトラマンスコットと戦っていたガンダーと背中合わせに激突させられ、
3人のグラニウム光線で2体同時に倒された。


関連キャラ

怪獣戦艦 ギエロニア

身長:1313m
翼長:1423m
体重:820万t

『アンドロメロス』に登場した怪獣戦艦。グア三兄弟の長女ギナの座乗艦である。
ギエロン星獣がモチーフだが、巨大宇宙人が乗る戦艦なので、凄まじい巨大さ。
両眼がコクピットになっており、3人乗り。口に装備した陽電子流撃砲から光弾を発射する。だがこれがフロルのフロルバリヤーで跳ね返された事で、ザビデンとメカバルタンの死を招いてしまっている。
グア星編から最終決戦編にかけて登場。
凄まじい戦闘能力でアンドロ超戦士達を多いに苦しめたが、グア星での決戦でグランテクターを纏ったメロスのグレートスパークレイを4発受けて倒された。

雑誌展開では1号機、2号機、3号機が存在し、それぞれ色や形状が大きく異なる。
1号機はてれびくん1982年5月号にイラストで登場。ボディは緑色、耳と嘴と両手が金色で、2号機と3号機が怪獣モチーフの戦艦というよりはロボットに近いのに対し、これのみ怪獣モチーフの戦艦と呼ぶにふさわしいデザインだった。
ジュダが搭乗してエープ星を襲撃、大量のギエラ兵を送り込むも、メロス、ウルフ、マルスの活躍によってギエラ兵は全滅、ギエロニアもメロスら3人のスピン体当り技であるコスモスピンで破壊され、ジュダは脱出カプセルで逃走した。
小学一年生1982年5月号では、メロス達が操縦する最高速度マッハ60の2人乗り小型戦闘機・アンドロファイターとの戦闘の末に倒されたとされている(てれびくん版ではアンドロファイターは登場していない)。
2号機は8月号に登場。原型のギエロン星獣同様の2足歩行タイプであり、鋼鉄を思わせる黒っぽい配色をしている。口ではなく胸に陽電子流撃砲を装備している。
ギナの命令で自律活動して(怪獣戦艦にはパイロットが搭乗しなくても自律活動できる設定がある)地球を襲撃し、メロスに送り込まれたウルフ、マルスと交戦。
巨大化したマルスとの格闘戦の末、反重力ネットで動きを封じられ、反重力切りで倒された。
3号機は10月号でベムズン2号機と共に登場。デザイン的には2号機に近いが、銅を思わせる茶色っぽい配色をしている。口にブラックホール砲を装備している。テレビ版に登場した着ぐるみはこれが使用されている。
ベムズンと共にブラックホール砲でウルフとマルスを襲うも、超巨大化したマルスのマルスオーラーで2体まとめて倒された。
その後修理されたのか、11月~1983年1月号にもベムズンやキングジョーグと共に登場。
メロスが光の国にいる間に、南極でウルフとマルスに3体で襲いかかる。
超巨大化したマルスをエネルギー切れで元の大きさに戻るまで追い込むも、フロルの妨害で取り逃がす。
そしてフロルの力で再度超巨大化したマルスと再戦、再びエネルギー切れに持ち込んだが、そこへメロス、ウルトラマンゾフィー、セブンがアンドロ艇で合流、フロルを除く6人による合体光線で3体まとめて倒された。

居村眞二氏の漫画版では、当初は1号機のデザインであり、口にブラックホール砲を装備している。
ジュダによってエープ星への爆撃に使用され、エープ星でメロス達がアンドロ艇を入手した事で、宇宙でアンドロ艇との戦闘になり、頭部と嘴を損傷する。
脳改造したエープ星人エルパを乗せた有人ミサイルで反撃するも、マルスのボルディスクによってエルパの記憶が戻り、逆にエルパに特攻されて側面部に被弾、亜空間移動で撤退する。
前線基地カーツ星で新造ギエロニアに改修された後はギナに引き継がれ、その際に胸に陽電子流撃砲が追加され、さらにベムズンの可変機能が流用されて2号機のデザインの姿にアーマーチェンジ(変形)できるようになった。
地球成層圏でジュダのベムズンと共にウルフとマルスを相手に戦い、ウルフのコスモテクターに亀裂を生じさせるも、乱入してきたフロルのバリアーに妨害されて取り逃がす。
その後モルドのキングジョーグと合流、南極で3体でウルフ、マルス、フロルを追い詰めるも、駆けつけたアンドロ艇の重電子砲で破壊された。

『ウルトラ銀河伝説外伝』の『戦え!ウルトラ戦士 出撃!宇宙けいび隊』にも登場。
ベムズンによる地球攻撃から目を逸らす陽動として、キングジョーグと共にキュラソ星を攻撃するも、ゾフィーとセブンを除いたウルトラ兄弟とメロス(アンドロメロスではなくジャッカル軍団と戦ったメロス)、アウラら多数のウルトラマンの光線一斉発射を受けて倒された。


ギエロン鳥

漫画ウルトラ怪獣擬人化計画feat.POP Comic code』で登場した、ギエロン星獣の変異前と思われる生物。
見た目はギエロン星獣とまったく同じで、ビームコイルを発射する能力も有している。
シャール星座第8惑星クワトロに墜落したジャミラケムールの前にその巨体を現す。
ケムールいわく、ギエロン星が爆発した際に宇宙に脱出した個体らしく、何十匹もが生息していた。
こちらから手を出さない限り襲ってはこない大人しい性質だが、うっかり卵を踏みつぶしてしまった二人を怒って執拗に追いかけた。
しかし体長数十メートルもの生物が多数生息していたのにギエロン星を生物のいない星だと自信満々に判断した地球防衛軍の探査能力って……


その他

小説『ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント』では過去に出現した怪獣として名前のみ言及。
トミヤマ補佐官トリヤマ補佐官が地球防衛軍の新兵時代、対ギエロン星獣の地上攻撃に参加したとされており、
今でも当時の同僚が放射能障害の後遺症に苦しんでいる事をトリヤマ補佐官が吐露している。

アーケードゲーム『ウルトラ警備隊』では3面・帰マンステージの中ボスとして登場する。

Marvel Comic社のアメコミ『ザ・トライアルズ・オブ・ウルトラマン』では、人類勢力が造り出した怪獣を模したロボット兵器としてジラース共々登場。

ウルトラ怪獣モンスターファーム』では育成怪獣に特徴をプラスできるクッキーのひとつとして登場。
内容は、体力が尽きた時に一度だけ残量1で踏みとどまれるという、ポケモンで言う「こんじょう」に類似する優秀なもの。
特に被弾即敗北な回避系の紙装甲怪獣には必須級。そのためギエロン星獣のクッキー目当てのブリーダーたちが今日も窯を回している。
悲劇性とかどこ吹く風である

余談

デザインは成田亨。「金属の羽を持った怪獣」というコンセプトとのこと。

ギエロン星獣と向かい合って格闘するセブンがアイスラッガーを手に持って相手の喉元に刃先を突きつけるという写真が知られているが、これはスチールショットとして撮影されたもので、本編にこのようなシーンはない。


追記・修正は、ギエロン星獣が再生する前にお願いします。

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最終更新:2024年04月21日 03:21