風見裕也

登録日:2018/10/28 Sun 10:26:49
更新日:2025/04/26 Sat 06:26:33NEW!
所要時間:約 7 分で読めます




風見裕也とは、漫画『名探偵コナン』の登場人物。



□概要

警視庁公安部に所属する捜査官で階級は警部補。年齢は30歳。
黒の短髪と薄く太い眉毛が特徴の男性。鋭いツリ目で眼鏡をかけている。着ているスーツは緑基調である場面が多い。

名前の由来は『機動戦士Ζガンダム』の主人公「カミーユ・ビダン」からで、声優も同じ飛田展男氏になっている。
彼のネーミングはアニメのスタッフが決めたらしく、最初はカミーユと同じクシャクシャの髪型だった。
だが原作者の青山先生が『Ζガンダム』をあまり見ていなかった事でカミーユがモデルだと理解してもらえず、「それは公安っぽくない」という理由で性格悪そうにデザインし直した結果、現在の容姿となった*1
また状況に応じて「飛田男六(ひだだんろく)」という中の人ネタ偽名を用いることもある。*2
なお偽名の時は、安室の探偵助手という設定になっている。


□活躍と人物像

一人称は基本的には「私」*3
冷静かつ冷徹な性格。感情を露わにする様子はあまり見られず、淡々とした口調(特に職務中は慇懃無礼気味な敬語)で話す。
二人称は、安室(降谷)には苗字に「さん」付け、それ以外の大体の相手には「君」付けしており、その他の同じ警察官相手には苗字に階級を付けて呼ぶこともある。

公安警察としてのプライドは高く、同じ部署の部下だけではなく他の部署に所属する捜査官らに対しても高圧的な態度で指図したり迫ったりする事もあり、そのせいで周りの反感を買う事も多い。
初登場時には、黒の組織の記憶喪失になっていた女性構成員に手錠をかけ、銃口を向けながら「記憶が戻ったら思う存分痛めつけて組織の事を洗いざらい吐いてもらう」と悪役にしか思えないサディスティックな台詞を言う一面が見られた。

また、黒の組織に潜入している警察庁の公安警察官・降谷零(安室透)の直属の部下にして、彼からの電話連絡を直接受けられる立場にいる*4
このように安室の右腕ともいえる存在で、彼とは短い電話で意思疎通をし、時にはすれ違い様に接触し情報交換を行う。安室の命令には常に忠実に従い、立場上大っぴらには公安警察として動きづらい上司に代わって、様々な表向きの作戦の実働要員及び現場における指揮命令者として動く。
更に捜査会議でも強い発言力を持っており、時には強権を発動して強引な捜査を行ったり、爆発事件に巻き込まれ怪我を負っても、休む事無く捜査会議に出席したりする等仕事熱心な面も見られる。
年下の上司である安室の事は素直に尊敬している……が、恐ろしいほど冴えた頭脳で二手三手先を呼んで行動する彼の事を、時折怖いと感じる事もあるようで、実際に本人を目の前にして零したことも。

江戸川コナンの事は、ある出来事がきっかけで普通の子供ではない事に薄々感づいており、子供に聞かせるような話ではないと解っていながら、安室が過去にした(そして事件の核心に迫る事柄でもある)「あること」を打ち明けたあと、「君にはなぜかこんな話もできてしまう……変わった子だ」と呟いていた。
また、安室が「僕には僕以上に怖い人間が2人いる。そのうちの1人はまだ子供だがな」と言った時には、ついコナンの顔を思い浮かべてもいた。

事件をきっかけに知った沖野ヨーコのファンとなり、休日には彼女のライブに出向くように。
ただし、風見自身はヨーコの出番直前に安室に呼び出されるなど相変わらず振り回されぶりが目立つが……。
なお、スピンオフ漫画『犯人の犯沢さん』では、ヨーコとワンちゃん友達という設定。
更に『ゼロの日常』でも、安室の飼い犬・ハロの世話をすることになったエピソードでは結構楽しそうだったあたり、明言されていないが犬派なのだろうか。


□劇場版における主な活躍

安室が登場した4作品には風見も全て出演している。
特に櫻井武晴氏が脚本を担当した『純黒の悪夢』で初登場以降、櫻井脚本の劇場版作品には4作品中3作品と登場頻度が高い*5

○『純黒の悪夢
初登場。
冒頭で組織の一員・キュラソーを取り逃がした後、警察病院に記憶喪失の女性が搬送されたという情報が入り、その女性はキュラソーだと断定して捜査一課の刑事達に引渡しを要求する。
その後は安室の指示でキュラソーを東都水族館へと連れて行き、彼女と2人で観覧車に乗り込んだ。
そして安室の推測どおりキュラソーの記憶が戻るものの、その直後に彼女に倒され逃走されてしまう。

その後、黒の組織の襲撃で命を落としかけるもコナン達の活躍で何とか助かり、事件解決後は客の避難誘導に尽力した目暮十三達捜査一課の刑事達と和解を果たしたはずだが(出番が短い上に刑事部の面々と接するシーン自体が無い『黒鉄の魚影』はともかく)それ以外の後述の2作でも仲が改善されているようには正直あまり見えない……

○『ゼロの執行人
東京サミットの会場となる国際会議場の警備の下見を公安部が行っていた時、爆発事件に巻き込まれる。この爆発で公安の仲間を喪い*6、自らも怪我を負う。
捜査会議の席では、爆発現場から毛利小五郎の指紋が検出されたと報告。容疑を否認する彼を公務執行妨害を理由に逮捕したが、この逮捕は全て安室の指示によるものであった。
過去に安室が取調べで容疑者を自殺に追い込んだ事があるため、彼の事を人殺し同然のように思ってもいた。
だが今回の事件でその真相を知る事となり、安室に恐ろしさを感じつつも、彼の指示で公安の「協力者」を解放するための行動を開始した。

○『ハロウィンの花嫁
冒頭で『揺れる警視庁 1200万人の人質』に登場した犯人が脱獄・逃走したことを受け降谷と張り込み中だったところ、件の相手が現れるもその首に仕掛けられていた爆弾が作動。
爆風を至近距離で受けた風見は気絶し、危うくそのまま頭から転落しかけていた状況を降谷に救われたが、その間に降谷が首輪型爆弾を嵌められてしまう。
こうして動けなくなった降谷に代わり、実働部隊として権力を振りかざす表向きの作業を担うこととなり……。

表向きの作業も、加えて後半部分のある作業のことも踏まえると本当にお疲れさまでした、という感想を抱く人は少なくないのでは。終盤に安室が風見を指して「僕の優秀な部下」と言っただけはある(残念ながら本人は離れた場所にいたのでそれを聞いてはいないが)。

○『黒鉄の魚影
終盤にファンサのためにワンシーンのみ姿を見せる。本作の事件には関わっていない模様で、コナンとは対面せずに終わる。
どこかの埠頭で安室と別件の張り込みでもしていたのか、彼がコナンにパシフィック・ブイから避難するよう連絡を入れていた折、「あと数分で容疑者が来る」といったことを報告に来ていた。

ちなみに、劇場版に2年連続で登場するのも、また(これまでの作品では毎度負傷していたが)出番の少なさと引き換えに怪我無く退場できたのも初めて。


□原作における主な活躍

安室の部下という立場から、後に原作にも登場するのではないかと噂されていたが、第94巻収録の『心のこもったストラップ』でチョイ役ながらも原作に初登場*7
灰原哀が電車で落としたストラップをコナン達が探していた際、丁度神奈川県方面にいたので、安室の指示で指定された電車に乗る。
目的を明かされないまま困惑しながらも安室の指示に従ったが、一方的に電話を切られたので風見は結局何の捜査だったのか分からないままとなった*8

その後、第99巻収録の『牧場に墜ちた火種』で再登場。ちなみに、原作ではこのエピソードで初めてコナンと対面しているが、彼は風見が公安の人間である事を既に知っていた。
トンネルの工事現場で掘削用の爆弾が盗まれたとの通報を受けテロの可能性を疑い、作業員の1人をとある牧場まで追っていた。
だが、現地に着いたところで何者かに殴られ気絶したばかりか、遺体と一緒に地下室に監禁されてしまい、安室に助けを求めることになる。

101巻の『キッドvs安室 王妃の前髪』では非番でアイドルフェスにいたところ、キッドの行動に触発された負けず嫌いな上司に呼びだされる羽目に*9
なんだかんだ仕事はまっとうし、安室からは労いとしてグッズが贈られたものの、ライブにいたかった当人としてはコレジャナイ感が強かった模様。
推しの登場直前に安室の私情で呼び出された際の風見の表情は一部読者から「上司に殺意を抱いた瞬間」と同情混じりに揶揄されたりした。

第104巻収録『執事になった理由』では、大岡紅葉の執事で元公安警察官の伊織無我とは警察学校時代の同期である事が判明した。


□『ゼロの日常』における活躍

主要人物の1人として活躍。本作では一人称として「自分(ぼく)」を使う場面も多い。

何より本作ではコメディリリーフ的なポジションとされており、冷静沈着に振る舞う印象の強い他の媒体とはまた違った風見の一面が楽しめる。
また、仕事が忙しすぎるあまり普段の生活が疎かになりがちだったり、考えの読めない安室に振り回されたり等、苦労人キャラとして描かれてもいる。
日頃から安室の無茶な要求に応えているためそれなりに不満もあるようで、酒で酔った時には「自分だって頑張ってついて行こうと努力してるんだ」等と愚痴をこぼしていた。
それでも安室に対して敬意を払う事は忘れず、彼の足を引っ張らないように懸命に補佐をしている。務まってるぞ風見。安室に代わって服を買いに行ったり、彼の飼い犬の世話を任されたりとパシリ扱いされているような気がしないでもない。

またソーシャルゲームにはまっており、プレイしている時は普段からは想像がつかないような幸せそうな笑みを浮かべる。
だが、ゲームで知り合った「REI」という女性プレイヤーとゲーム内イベントに参加していた折、ふとした事で「REI=降谷零(安室)」ではないかと思うようになり、どのように接すればいいのか困惑。
そしてREIに幾つか質問をした事で疑惑が確信へと変わり、後日安室と会った時には「自分はゲームなんてやってません!」と必要以上に否定していた。
ちなみにREIの正体は、喫茶ポアロの常連である鶴山子というおばあちゃまである。

なお、『ゼロの日常』はパラレルワールドだと明言されている為、『名探偵コナン』原作本編で此等の出来事が実際におきていたかは不明。


追記・修正は、安室の右腕的存在にお願いします。

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最終更新:2025年04月26日 06:26

*1 出典:『シネママガジン2018』より。

*2 なお、中の人の苗字は「ひだ」ではなく「とびた」と読む。

*3 「自分」や「俺」を用いることもある。

*4 連絡を直接受けられるのが風見のみというだけであって、降谷(安室)の存在を知っていて彼の顔と名前も一致する捜査員たちは他にもいる。

*5 登場しなかったのは『緋色の弾丸』のみである。

*6 劇場版では、どんなに大規模な爆発があっても事件関係者以外の死者はいなかった為、非常に珍しい展開となっている。

*7 劇場版からの逆輸入真田貴大以来。

*8 なお、この話の風見視点の裏話は『ゼロの日常』第4巻収録のエピソード『頼んだぞ』で描かれている。

*9 非番は一日勤務の翌日に設けられた休息期間=厳密には休日ではない為、緊急事態などで招集がかかった場合は出動しなければならない。