諸伏景光

登録日:2020/03/11 (水) 07:49:06
更新日:2024/08/07 Wed 21:09:06
所要時間:約 5 分で読めます




諸伏景光(もろふし ひろみつ)とは『名探偵コナン』の登場人物である。

CV:緑川光金元寿子(少年時代)



※警告※

この項目にはアニメ未放送の内容や『警察学校編』及び劇場版『ハロウィンの花嫁』のネタバレが含まれております。
原作及び『警察学校編』未読・アニメ版未視聴・劇場版未鑑賞の方は注意してください。


□概要

第85巻『緋色の真相』シリーズの会話中で存在が仄めかされ、第89巻『仲の悪いガールズバンド』の回想シーンで初めて容姿が描かれた。
だがフルネームが判明するのは、第95巻『キッドvs高明 狙われた唇』においてである。それまでの経緯については下部の余談の項を参照。

故人。警視庁公安部に所属していた男性捜査官。階級は不明。長野県出身。
クールな印象を与えるツリ目が特徴の青年だが、中身は穏やかな性格で正義感が厚い。また、薄く無精髭を生やしていた。

長野県警捜査一課の警部・諸伏高明*1の実弟で、警察庁警備局警備企画課の捜査官・降谷零(偽名安室透)の幼なじみにして親友でもあった。
また実家が群馬県との県境近辺に位置していた事から、後のヘッポコ警部山村ミサオとも幼なじみの関係性であった。*2
さらに降谷以外にも伊達航松田陣平萩原研二とは、警視庁警察学校鬼塚教場に在籍していた同期で同じ班かつ同い年ということから色々あったものの親しくなり、授業以外でもよく5人で行動していた。

両親は幼少期に殺人事件によって亡くしているが、実はその現場を目撃しており、事件後はショックでしばらく記憶喪失に陥り失声症にもなっていたほか、成人してからも件の光景の悪を見て飛び起きる夜もある。
ちなみに父は小学校の教師だったようだ。

一人称は、高校時代までは「僕」だったが、警察学校に入るころには「俺」を使うようになっていた。
二人称は、兄に対しては幼少期は「高明兄ちゃん」で、成長してからは「兄さん」。
降谷のことは苗字の呼び捨てまたは(ゼロ)、伊達のことは「班長」、松田に対しては苗字の呼び捨てで、萩原のことは「ハギ」、世良真純に対しては「君」と呼んでいた。
特に降谷からは(ヒロ)というあだ名で呼ばれ、彼も降谷のことは前述のように呼び合う親しい仲だった。

特技は今のところ明言されていないが、中学生だった頃の世良と偶然知り会った時には、そのとき行動を共にしていた赤井秀一が一旦離れて戻ってくるまでの間、彼女にベースの弾き方を教えていたことや、スピンオフ作品『名探偵コナン ゼロの日常』における降谷の回想でも、中高生と思しき頃の二人が合奏している様子の回想が描かれていることから、それなりに弾けるものと思われる。
また、料理も嗜んでおり、景光いわく元々降谷は「料理はからっきし」だったが、彼が後にアニメオリジナルエピソードの『安室に忍びよる影』では美味しいと評判を呼ぶほどのサンドイッチや、『ケーキが溶けた!』で拵えていたような手の込んだケーキが作れるまでになったのは景光の教えによるものだろう。
『警察学校編』では、店のお通しを美味しいと評した降谷に「これくらいなら俺でも作れるから今度作り方教えようか」と自信を覗かせているシーンもある。得意料理はビーフシチューだとのこと。

更に身体能力も高い。接近戦にも射撃にも長けていることに加え、反射神経が優れている描写も見られる。
実際、原作ではあの赤井の隙を突いて銃を奪い返している。劇場版では爆弾魔に回し蹴りをクリーンヒットさせ、相手がその弾みで手離した拳銃を咄嗟にキャッチして突き付けたり、向かいのビルの上階へ逃走した相手が一人で追ってきた降谷を殺そうとしたところへ階段を駆け上って駆け付けた上、その利き腕を撃ち抜くことに成功したりしている。


□来歴

両親を亡くした事件の後は東京都在住の親戚に引き取られたので、以降諸伏兄弟は離れて暮らすことになったが連絡は取り合っていた。
事実、東京で降谷と友達になったことを「アダ名がゼロっていうんだ!カッコイイでしょ?」と、電話で嬉しそうに報告しているシーンが高明の回想で描かれている。
兄が東都大学に在籍していた時には1度会っており、その際に「自分と同じく警察官を目指している」として降谷を紹介していた。

後に警察官になった時に高明に手紙を出しているが、公安部の所属となると「警察を辞めて別の仕事に就いた」と連絡しそれ以来消息を絶った。
だが、実際には降谷と共に黒の組織へと潜入し、スコッチというコードネームを与えられていたのだった。

4年前、スコッチとして組織に潜入していた時に、同じくFBIから組織に潜入していた赤井(ライ)と組むこととなる。
駅にいた時に世良に見つかり、赤井が彼女の分の切符を買いに行っている間、世良にベースの弾き方を(ドレミが弾けるようになる程度のわずかな時間だったが)教えていた。
なお、その時にはギターのソフトケースに何か硬いものを入れており、世良からこの話を聞いた江戸川コナンは、ライフルが入れられていたのではないかと推測している。
また、世良と一緒にいた時に降谷が現れ「スコッチ」と呼ばれるが、彼女はただのあだ名だと思い特に気にしていなかった。

だがさらにその後、『裏切りのステージ』の回想において、自分が公安から潜入しているNOCであることが組織に露見してしまい、「逃げ場はもうあの世しかないようだ」自殺を仄めかすメールを降谷に送信した後、とあるビルの屋上へ逃走。
赤井に追いつかれると、投げ飛ばされるフリをして彼の拳銃を抜き取り、胸ポケットに入れていたスマホに銃口を突き付けた。
スマホごと心臓を打ち抜いて自決することで、家族や仲間のデータが組織に漏えいするのを防ごうとしての行動だったが、赤井に拳銃を掴まれ自殺を阻止される。そして彼が自分はFBIからのスパイだと明かしたため、説得されるうちに落ち着きを取り戻しかけていた。

……しかし、赤井は自分のコネで景光を逃がすつもりだったが、その話をしていた時に非常階段から足音が聞こえてくる。
そしてその音を聞き更なる追手が来たと考えた景光は、それに気を取られた赤井がリボルバーから手を離した瞬間に引き金を引き、スマホごと心臓を打ち抜いて自決してしまった。

なお非常階段を駆け上がる足音は、景光を心配して駆けつけた降谷のもので、血塗れになって物言わなくなった景光を見た降谷は、その遺体にすがりつき必死で呼びかけた。
一方、組織の一員としてお互いの素性を知らなかった赤井は降谷に対して、咄嗟に自らの手で裏切り者の景光を射殺したように装った。

降谷は景光の遺体の状況等から、彼が射殺されたのではなく自決したと見抜いていたが、赤井が景光にそうするよう促したからだと考えており、「赤井程の男なら自決させない道を選ぶ事ができたはずだ」と憎悪を向けることとなる。
赤井の方もリボルバーを離しさえしなければ景光の自決を阻止できていたので、降谷と話をした際には「彼の事は今でも悪かったと思っている」と謝っていた。
降谷の足音が景光の自決の原因になった、と赤井が今なお打ち明けていないのは、彼の優しさと気遣いゆえで、そして言葉通り自分にも非があると思っているからだとも考えられるだろう。


□景光の死後の出来事

そのがきっかけで同じ目的を持つ赤井と降谷の2人が対立する事態となり、彼は一時期組織の一員「バーボン」として赤井への復讐の機会を窺っていた時期がある。

また、景光が持っていたスマホは何者か(恐らく降谷)によって封書で伊達に送られたが、彼が事故死してしまったうえ、封書のメモ書きの字が滲んで読めなくなっていた*3せいもあり、1年間もロッカーの中で眠っていた。
伊達の死の翌年にようやく佐藤美和子から高明に渡され、彼はスマホに付いていた黒い染み(血痕)、銃弾が貫通した跡、裏面に刻まれていた「H」の文字(景光のサイン)から、弟は公安に配属された後でどこかに潜入中に命を落としたと確信
同時に、封筒の「0」の字から、送り主はかつて景光から紹介された降谷だということも推測していた。


□『警察学校編』での活躍

公式スピンオフ漫画『警察学校編 Wild Police Story』では主要人物の1人として活躍。
景光たちの教場の担当である鬼塚教官評して曰く「降谷は正義感の強い優等生タイプゆえ他の学生とのイザコザが絶えない」ため、彼のことを景光は常に気にかけている。
また両親が殺害された事件は未解決のまま何年も経過しているが、景光は今でもその一件にトラウマを抱えていることを教官に看破されているほか、空き時間にはパソコンに向かい、両親の事件にまつわる警察の内部資料を食い入るように読んでいる様子を降谷たちに目撃されている。
その他、髭を生やすようになったきっかけも判る。

そうして警察官となるべく励む日々の中、やがて事件の真相に辿り着き、両親の命を奪った人物と対峙した景光が取った行動とは……。


□劇場版での活躍


下で、待ってるから……

第25作『ハロウィンの花嫁』にて、降谷の回想や彼が示した写真に登場する形で劇場版初登場を果たす。
この際、降谷に同期と写った写真を見せられながら紹介されて初めて、コナンは景光の存在、当時の顔、苗字を知ったものと思われる。
ただ、高明とは既に知り合いなのに、コナンが景光の少々珍しいと言える苗字や写真の面影から高明を想起しているような反応は全く無く、代わりに何故か萩原の方には既視感を覚えていたが。
また中盤の捜査会議中に景光の苗字が出た際、高木と佐藤はその苗字を呟きながら顔を見合わせていたが、彼らが高明と既に面識があるがゆえの反応かどうかは不明。

本作の3年前の11月6日。降谷、伊達、松田とともに萩原の墓参りをしたあと、景光は伊達と中目黒まで歩いていた*4ところだったが、別行動を取っていた降谷と松田が渋谷の廃ビルでの事件現場に行き会った際応援として呼ばれる。
先に突入して正体不明の爆弾魔と攻防を繰り広げていた前述の2人のもとへ駆け付け、概要で述べたように相手に蹴りを叩き込む。そして現場にあった爆弾解体を松田に任せ、伊達と降谷とともにチームワークを活かして追跡と確保に挑むことに。
だが、単独で追った降谷が相手が不意打ちで投げた手榴弾で負傷。あわや殺されかけるも、援護に向かっていた景光は間一髪のところで加勢に間に合い、相手の右肩を撃ち抜くことに成功。犯人を手負いにさせ撤退に追い込んだことや、降谷が負傷していたこともあり、応援に後を任せてその場から退避した。

そして、景光が撃ち込んだこの弾は数年の時を経て……結末は劇場版を参照。


□余談

  • 名前の由来
新機動戦記ガンダムW』の主人公ヒイロ・ユイと、彼の声を担当した緑川光とされている。
だが立ち位置は『機動戦士ガンダム』のララァ・スンに近く、ヒイロの要素は少ない*5

  • フルネームの判明までの経緯
景光のフルネームは、判明までにかなり特殊な経緯を辿っている。
まず「スコッチ」は組織のコードネームに過ぎず本名ではないことは明らかだったが、初登場以来しばらく名前のヒントになりそうな情報は明かされなかった。
しかしその後2018年、作者がちょっとした告知に使っていた『とびだせ どうぶつの森』にて、
「スコチ(※原文ママ。入力できる字数の関係上と思われる)の名前は〇〇〇〇ヒ〇〇〇」
「[ヒロ]はケシキの[ケイ]らしいわよ」
「[ミツ]はもちろん[ヒカリ]だよん!」
と発表したことで、下の名前が「景光」と書いて「ひろみつ」と読むことと、苗字の読みが4文字であることが判明。
さらに「ナマエのどれかのジがミョウジにはいってるよ~♪」というヒントが出た後、ようやく原作エピソード『キッドvs高明 狙われた唇』の解決編において、高明の弟であることと、前述のヒント通り「もふしひみつ」というフルネームであることが確定した。

  • 元々は別の人物がスコッチだった
漆黒の追跡者』に登場した組織の幹部であるアイリッシュは、当初「スコッチ」と名付けられる予定だった。
だが、同作の脚本担当で『太陽にほえろ!』の脚本家でもあった古内一成氏から「(『太陽にほえろ!』の登場人物である)スコッチ刑事への思い入れが強いので、できたら変えてほしい」との申し入れがあったとのことで、最終的に「アイリッシュ」となった。

  • 応援上映でのイメージカラー
2022年のハロウィンに行われた『ハロウィンの花嫁』応援上映においては、ペンライトの持ち込みが可能な回だったため公式が目安として各キャラのイメージカラーを発表していたが、景光のカラーはなんと降谷がNGとするだった。親友はどう思ったのだろう。

  • 命日
『ゼロの日常』最終巻の特典には降谷の運転免許証(を模したカード)が付いていたが、その免許証番号は彼の同期の命日となった日付をこの世を去った順で並べたもので、それによれば景光は12月7日に職務に殉じたのこと。


追記・修正は、安室の幼なじみにお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 名探偵コナン
  • 名探偵コナン登場人物項目
  • 名探偵コナン警察リンク
  • 諸伏景光
  • 緑川光
  • 警察
  • 警視庁
  • 公安部
  • 捜査官
  • 公安
  • NOC
  • ヒイロ・ユイ
  • 故人
  • ヒロ
  • スコッチ
  • 黒の組織
  • 長野県
  • 潜入
  • 潜入捜査官
  • モグラ
  • 金元寿子
  • 警察学校編
  • 回し蹴り
  • 幼なじみ
  • 無精髭
  • スパイ
  • ツリ目
  • 料理男子
  • 料理上手
  • 警察官
最終更新:2024年08月07日 21:09

*1 この項目では以下「高明」または「兄」と表記。

*2 ただし景光が東京都に引っ越してつながりが切れた山村と、引っ越してから親しくなった降谷との間につながりは無い。

*3 作者がエピソードにまつわる話などを明かすのに使っている『とびだせ どうぶつの森』メッセージによれば、字が滲んでいたのは「ダテのナミダ」(伊達の)が理由。

*4 ノベライズ版より。

*5 声以外では「ゼロ」という呼称を使っていたぐらい。『ガンダムW』における「ゼロ」とは、ヒイロの愛機ウイングガンダムゼロと、それに搭載されているインターフェイスを指す。