登録日:2017/05/10 Wed 14:52:54
更新日:2025/07/10 Thu 09:19:29
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解説
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。あなたはそのコピーの新たな対象を選んでもよい。 )
そのターン中に唱えた呪文の回数だけ、この能力を持つ呪文をコピーするという能力。
この能力はこの呪文を唱えた直後に誘発する、誘発型能力に分類される。
つまりそのターン起こしたアクションの数だけ呪文の効力が増加して襲ってくる訳である。
呪文さえ唱えれば何でもいいので、クリーチャーを出して即座にバウンスするといった「一見すると意味のない行動」でも良い。
唱えた呪文の回数は「ストームカウント」と呼ばれ、ストーム呪文のために呪文を唱え続ける事を「ストームを稼ぐ」と言う。ちなみに同ターン内なら相手が唱えたカードもカウントする。
こうしてストームを稼いでストーム呪文を唱えるとコピーも含めて一度に同じ能力を持つ呪文を複数スタックに乗せる事になる。
ストームを稼いだ分だけ効果が大きくなるのは当然ながら、「コピーをたくさん作る」という性質が多くの打ち消し呪文では対処出来ない。(本体を打ち消してもコピーがスタックに残るため。)
もし打ち消したければ誘発型能力を打ち消してコピーを出させないか、大量のコピーをまとめて処理できるかなり尖ったカードを使わないといけない。
未来予知では未来に実装される可能性のあるギミックとして「墓地ストーム」が登場した。
これは「唱えた呪文の回数」ではなく「墓地に置かれたパーマネントの数」を参照し、この能力を持つ呪文をコピーする。
じゃあ、そいつらを全部ドローなどで持ってこれたらどうなるか。
MtGには少ないマナでドロー出来たり置いておくだけでドロー出来るカードがある。
そして、肝心のストーム持ちのカードにこんな奴もいた。
精神の願望 / Mind's Desire (4)(青)(青)
ソーサリー
あなたのライブラリーを切り直す。あなたのライブラリーの一番上のカードを追放する。ターン終了時まで、あなたはそのカードをそのマナ・コストを支払うことなくプレイしてもよい。(それがそのマナ・コストの中にXを含む場合、Xは0である。)
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。)
要約すると
呪文を唱えた回数だけドロー出来て、この効果で引いたカードは全部無料で唱えられる
ということである。何だこのぶっ壊れ。
特にこのカードが凶悪なのは他のストーム呪文との相性の良さ。このカードで土地以外がめくれればそれらもこのターンに唱えた呪文=追加のストームになるためその後に唱えられるストーム呪文が更に強力になるのだ。
つまり、ある程度ストームを稼いだらこれを打ち、能力で更にストームを稼ぎつつ手札とマナを増やしていく。そして最後はストーム持ちのフィニッシャーに繋げる。
もし《精神の願望》で追加の《精神の願望》がめくれたりしたらもう悶絶モノ。先に他のめくれたカードを唱えてからもう1枚の《精神の願望》を唱えれば膨れ上がったストームでライブラリーを全部めくることも可能だろう。
こうして主にエクステンデッドにおいて最初のストームデッキ【デザイア】が完成した。派生系の【ぐるぐるデザイア】とかいう気の抜けた凶悪デッキも居ましたね。
さて、ここまで書くと《精神の願望》「だけが」ぶっ壊れなだけのように思えるが、別にそんなことはなく他の面子も大概である。
単純にストームを稼ぐ行為と、ストーム持ちの疑似ドローである《精神の願望》が相性が良すぎるだけで、
マナ加速やドローを連打できるのならば他のストーム持ちもフィニッシャーになり得る。そしてその専用構築でも勝つ事は十分できる。
そして、スタンダードよりもカードプールの広いエクステンデッド、モダン、エターナル環境では、それにおあつらえ向きのカードがいくつも存在した。
結果として、《精神の願望》を始めとするストーム系デッキはそれらの環境における定番の即死系デッキに名を連ねる事になる。
あの1キル率6割の【
ロング・デック】も、ストームデッキの一種である。
ストームデッキは基本的に一人回しソリティア系デッキになるが、まわすのは奥深く「レガシーでずっと【ANT】を使っている」といった愛好家も多い。
当然だが、他TCGプレイヤーが「マナー問題の注意喚起」という形で使うなよと釘を刺すことの多い「ソリティア」に該当するデッキになる。
使用する際は遅いプレイの指摘、使用される際は相手のイカサマなど、ソリティア特有の問題点が非常に多いため、しっかり練習してから使用すること。
特に多くのストームを稼ぐデッキでは自分がいくつ呪文を数えたか、今マナがいくつあるのか忘れがち。紙やカウンターなどでしっかり記録しておくこと。
ちなみに
マナの数え間違いは世界大会でも起こったミスである。
MtGの生中継とかでストーム系デッキが回り出すと、対抗策が無くて見てるだけになってしまった対戦相手がストーム数やマナ計算を手伝っていることもある。ある意味ドラムバッグ一杯の漫画に変わる
暇つぶし手段かもしれない。
幸い練習はとても簡単。フィニッシュムーブまでの動きに関しては対戦相手がいなくても全然成り立つ、単なる落ち物パズルみたいなデッキなので。
だったら壁とでも遊んでろよ
忘れられがちだが相手の呪文でもストームはカウントされる。これは《狼狽の嵐》《嵐の乗り切り》など、ストームを持つストーム対処カードが登場したことで周知されるようになった。
…のだが、それでもやっぱり忘れてしまうことは多い。相手が唱えてきた《選択》あたりはちゃんとカウントしておこう。
また、呪文のコピーは「唱えて」いないのでストームはカウントされない。つまりストームが乗ったストーム呪文を唱えても、直後に唱えたストーム呪文は1つしかストームは1しか増えない。精神壊しの罠を使う時は注意。
モノがモノなのでまとまって収録されたことは「スカージ」以降は「時のらせん」「モダンホライゾン2」ぐらい。そのたびにどっかの環境ぶっ壊してるんですがそれは……
それ以外では統率者デッキなどでたまーに新カードが登場しているほか、スタンダードでも「ブルームバロウ」や「タルキール:龍嵐録」でもゲスト的に収録されており、スカージ時代に本来想定されていたであろうソリティアになり過ぎないストームを使うことができる。
インスタントやソーサリーを用いる代表的なキーワード能力ということもあり、再録は案外多い。
たとえばストリクスヘイヴンのミスティカルアーカイブでは63枚のうち4枚がストーム持ちである。
主なカード
精神の願望 / Mind's Desire (4)(青)(青)
ソーサリー
あなたのライブラリーを切り直す。あなたのライブラリーの一番上のカードを追放する。ターン終了時まで、あなたはそのカードをそのマナ・コストを支払うことなくプレイしてもよい。(それがそのマナ・コストの中にXを含む場合、Xは0である。)
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。)
詳しい話は上述および項目参照。
ものすごくわかりやすく言えば「相手は死ぬ」と書いてある。当然だが特化したデッキで使えばアホみたいに強い。
特にエクステンデッド環境で大暴れし、エターナル環境ではトーナメントリーガルになる日に即日規制されるという伝説を成し遂げたカード。
ちなみにこの手の解説ではよく大問題のシンボルのように扱われるが、当時エターナルを遊んでいたプレイヤーには歓迎されていた。
オーコやルールスやオムナスが大暴れした環境などを思い出して考えてほしいが、あの人口激減さえもたらした暗黒期を未然に防いでくれたからだ。
使用できる環境が実質ヴィンテージしかなかったことから、これだけ無法なカードでありながら、TCGのカード価格がインフレするまでは非常に安く買えたのもポイント。なにせ持ってても使えないのだから。
現在でも、通常版でもっとも高額な「ミスティカルアーカイブ(日本語版)」も500~600円。まぁこの環境でストームで遊ぶ奴なんて絶対に資産自慢したがるからFoil版やジャッジギフト版使うんだけど
強力とはいえフィニッシュ手段が別にいるのは事実で、その点もあってか過剰な性能を抑えられるために制限指定されている無法のコンボ&シナジー環境のヴィンテージであっても見ることは意外と少ない(たとえばフィニッシュ中にマナ加速用のMoxが5枚めくれた、なんて展開になっても全然嬉しくない)が、
それでも、ウィッシュボードとしてサイドに仕込まれていることがあり、6マナ貯まってこれに繋がればほぼゲームセットになる。
《逆説的な結果》を用いる逆説ストームなどでは割と唱えやすい。通すとだいたい死ぬ。
レガシーでついに禁止解除され、ストームの在り方を大きく塗り替えた。だけどレガシーの人口がもう……
ストームを取り除いたリメイクカードはいくつか登場しており、特に《予想外の結果》はカルト的な人気を博した。
SCZの製作者伊藤敦をして「平たく言ってマジックへの冒涜以外の何物でもなかった」「対戦相手を不快にさせることにかけては超一流」「対戦相手に不快な負け方を経験させることに全力を注ぐ」と、
誉め言葉のような体裁でけちょんけちょんに言われている。……これもうカードのコンセプト自体が破綻してんじゃないかなぁ……。
苦悶の触手 / Tendrils of Agony (2)(黒)(黒)
ソーサリー
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは2点のライフを失い、あなたは2点のライフを得る。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。あなたはそのコピーの新たな対象を選んでもよい。)
エターナルにおける各種ストームデッキの代表的なフィニッシャーで、相手が初期ライフの状態なら9回呪文を唱えてこれを撃てば勝利。
致死までのストームカウントが一番少ないため、特化すれば先攻1ターン目でも達成できる量である。
触手プレイ
これに特化したデッキが【TEPS】や【ANT】と呼ばれ、特に【ANT】は一時期のレガシーにおいて「レガシーのサイドボードは7枚しかない」というジョークを言われるほどに対策必須の相手だった。
《精神壊しの罠》など様々な専用対策カードが印刷されたが、いずれも猛威を止められるほどではなく、《減衰球》《夏の帳》の登場でようやく一般的なデッキ程度に落ち着いた。
思考停止 / Brain Freeze (1)(青)
インスタント
プレイヤー1人を対象とし、そのプレイヤーは自分のライブラリーのカードを上から3枚、自分の墓地に置く。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。あなたはそのコピーの新たな対象を選んでもよい。)
フィニッシャーその2。
相手のライブラリー枚数が初期のままなら17回呪文を唱えてこれを撃てば
ライブラリーアウトする。
《苦悶の触手》より必要ストームは多いが無限ライフ相手の時にはこっちが便利。
ストーム稼ぎのメインギミックを担う色が青ということもあって、かつてはこちらを好んで使うプレイヤーも多かったが、踏み倒し先として優秀かつライブラリーを修復する能力を持つ《引き裂かれし永劫、エムラクール》登場後はめっきり見なくなった。
近年ではあえて自分に撃って大量墓地肥やしするデッキも誕生している。
ぶどう弾 / Grapeshot (1)(赤)
ソーサリー
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。ぶどう弾はそれに1点のダメージを与える。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。あなたはそのコピーの新たな対象を選んでもよい。)
フィニッシャーその3。
《苦悶の触手》と比べて与えるダメージが半分になり、必要ストームが倍以上になった一種の調整版。しかもダメージになった、赤になったので多少は対処もしやすくなった。
モダンで使えるというより、正確には「モダンでは触手が使えない」ため仕方なくモダンのストームデッキに使われていた。
しかしモダンだとフェッチランドやショックランドの関係でもっと少ないストームで行けることも多いことや、
赤特有の「《炎の儀式》《発熱の儀式》などのマナ加速」「呪文をコピーする、ダメージを増やす《紅蓮術士の刈り痕》などを使うなどの手段によってダメージを水増しできる」こと、
《巣穴からの総出》という同色で対策軸が異なるサブプランを用意しやすいこと、当時打ち消しとしてよく使われていた《差し戻し》で本体を戻して唱え直すことでストームの回数を実質半分にできること、
何より2マナと軽いので複数枚打つことが簡単なことなどから、むしろデッキの柔軟性が増した。
さらにストームが赤の役割と定義されるようになったことや「衝動的ドロー」という疑似ドローの存在、触手が使える環境よりもぶどう弾環境の方がプレイヤー人口が多いことなどが絡み合い、
「ストーム呪文のド定番」の座を射止めるに至っていた。しかもコモン。Pauperで【赤系ストーム】が暴れてた時の死因は大抵これだった。
モダンやPauperでの複数のカードの禁止に関わっているという、結構やんちゃなカードである。
Pauper環境では現在は禁止。コモンのみのPauperではあまりにも対処手段が少なすぎた。
他環境でも最近はインフレが極まってきたことからすっかり姿を見せなくなってしまった。
巣穴からの総出 / Empty the Warrens (3)(赤)
ソーサリー
赤の1/1のゴブリン(Goblin)・クリーチャー・トークンを2体生成する。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。)
多くのストームデッキがプランBとして入れているカード。
ストームデッキのフィニッシュ呪文の対策は基本的に「プレイヤーに呪禁を持たせる」「ライフを急激に回復する」「そのターンのみ死なずに乗り切る」などになるため、
これで出てくる
トークンの物量に対処出来ないのである。代わりにクリーチャー除去に非常に弱いが、フィニッシュ呪文として有名なカードはいずれもクリーチャー除去がまったく効かない。
つまり「対策の軸をずらせる」ため第二のフィニッシュ手段として好んで用いられる他、ドラゴンストンピィやベルチャーといったストームと関係のないデッキで用いられることもある強力な呪文。
ただしトークンはしっかり召喚酔いを起こすため、返しのターンで《紅蓮地獄》のようなカードを打たれたら投了待ったなし。一般的なストーム対策はかいくぐれる代わりに、それらにはない弱点が目立つ。
対策には出したそのターン中に決着できる手段を用意するパターンと、どうせ相手は返してこないだろうと高を括るパターンの2つがある。
これもコモン。
Pauperの【赤系ストーム】の死因その2。《ゴブリンの奇襲隊》で速攻付けて殴りかかってくることもあった。
が、《ぶどう弾》と同時にPauper禁止を喰らう。クリーチャーなのでぶどう弾よりは対処しやすいが、対策カードを引かなければ即敗北なのはやはりまずかった模様そもそも総出対策はぶどう弾対策にならず、逆もまた然り。
今の遊戯王の金言「手札に○○を握ってない方が悪い」のような状況でじゃんけんが発生してしまうという点も強かった。
大地の裂け目 / Ground Rift (赤)
ソーサリー
飛行を持たないクリーチャー1体を対象とする。このターン、それではブロックできない。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。あなたはそのコピーの新たな対象を選んでもよい。)
単なるブロック制限。ストームにしてもほぼ意味がない。単品では絶対に勝てないし、バウンスや除去やドローなどと異なり勝利につながる要素もない。
だというのに《ぶどう弾》の影で時折こっそりと活躍する不思議なストーム呪文。
このカードは「1マナと非常に軽い」「ストームを持つ=1枚で同じクリーチャーを複数回対象に取ることができる」「ストームを持つ=スタック上に大量の呪文・コピーを並べることができる」「対象にほとんど何も影響を与えない」という唯一無二の特徴を持っている。
これらの点から《ニヴメイガスの精霊》《ウィザーブルームの初学者》《敬慕される腐敗僧》や「英雄的」系のカードと激烈な好相性を誇り、時折これらのデッキをフィニッシャーにしたローグデッキで活躍するという非常に渋いオタクカードの1枚。
優れた相方ありきのカードなので、コモンだがPauperでの活躍は皆無。
ドラゴンの嵐 / Dragonstorm (8)(赤)
ソーサリー
あなたのライブラリーからドラゴン(Dragon)・パーマネント・カードを1枚探し、それを戦場に出す。その後あなたのライブラリーを切り直す。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。)
【
ドラゴンストーム】のキーカード。
登場当初は重すぎてネタカードだったが時のらせんでの再録時は状況が一変。
色の合った強力なマナ加速の数々や有用なドラゴンが増えたため【ドラゴンストーム】が一躍強力デッキになると同時にこれの価値も急上昇した。
ただし最近では「優れたドラゴンは多くなったが、他のカードはもっと優れている」「そもそも手札にドラゴンが来て事故を起こしやすい」という点から赤単ストームからも抜けてしまうことが増えてしまった。
一応素出しができるので一概に弱点とは言えないのだが、コンボデッキに求められるのはプランBの太さではなくプランAの通しやすさである。
時間の亀裂 / Temporal Fissure (4)(青)
ソーサリー
パーマネント1つを対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。あなたはそのコピーの新たな対象を選んでもよい。)
ストーム持ちバウンス。
ストームが5くらい溜まった上で撃てば事実上
ゲームが終わるが、このカード自体がエンドカードになる訳ではない。
ミラディン発売当初は、軽く唱えることができるのでストームをためやすい【親和】と組み合わせてこのカードで対戦相手の土地と脅威をバウンスするデッキが考案されたが、
ほどなく「ストームはストームだけで、親和は親和だけで組んだ方が強い」という流れになり消えていった。
なおこれも
コモン。
《ぶどう弾》《巣穴からの総出》禁止後のPauperの【8Post/青系ストーム】で使われていたがあえなく禁止に。
フリースペルでストームを稼いだ後にこのカードを打たれれば戦場はまっさら、このカード自体も《記憶の壁》で回収するのでその後も土地すら伸びないのはあまりにも強すぎた模様。
墓の刈り取り / Reaping the Graves (2)(黒)
インスタント
あなたの墓地にあるクリーチャー・カード1枚を対象とし、それをあなたの手札に戻す。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。あなたはそのコピーの新たな対象を選んでもよい。)
ストーム持ち墓地回収。
大量に墓地回収したところで普通は持て余すだけであるためそこまで強くはないが、度々登場するクリーチャーを大量に生け贄にして動くコンボデッキだと息切れ防止手段として優秀。かの《
頭蓋骨絞め》を有効に使ったヴィンテージのデッキ【コボルドクランプ】が代表的な採用例。
こちらも
コモンだが、上述の3種と異なりパウパーでは規制されていない。
パウパーでは【サイクリングストーム】と呼ばれる、サイクリングクリーチャーをサイクリングして、それを墓地から一気に回収する(ここで《墓の刈り取り》が必要)ことを繰り返すデッキで用いられる。
- サイクリングでの引きが悪いと途中で止まってしまう
- ストームとマナを稼ぐのに必要なマナ加速呪文(《忌むべき者の歌》など)にはカウンターが有効
- 墓地対策に弱い
などの弱点から、強すぎて禁止されることもなく生き残っている。
狼狽の嵐 / Flusterstorm (青)
インスタント
インスタント呪文1つかソーサリー呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(1)を支払わないかぎり、それを打ち消す。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。あなたはそのコピーの新たな対象を選んでもよい。)
ストーム持ちカウンター。ストーム呪文でありながらストーム対策になる。「相手の唱えた呪文もカウントする」というストームの特徴を活かしたデザイン。
軽いコストでストーム呪文をコピーも含めて纏めて打ち消せるのでエターナルでの定番サイドボードカードになっている。通常の呪文に対しても軽量打ち消しとして機能するためメインデッキに入っていることも多い。
しかし統率者デッキ(構築済)にしか収録されていないことや、当時がストーム華やかなりし頃だったこと、何よりこのカード自体が青だったこともあって値段が大高騰してしまう。
モダンホライゾンのボックストッパーとして収録された頃には「モダンでもついに使えるようになる!そして値下がりも!」と期待されたが、
実際にはモダン環境ではさほど強いカードではなかったことや、ストームブームの終焉によって値段は急落した。《真の名の宿敵》《議会の採決》ともども、初期の統率者用のカードが様々な問題を起こした一例。
妨害の接触 / Hindering Touch (3)(青)
インスタント
呪文1つを対象とし、それのコントローラーが(2)を支払わないかぎり、それを打ち消す。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。あなたはそのコピーの新たな対象を選んでもよい。)
ストーム持ちカウンターその2。《狼狽の嵐》の上位種。(登場はこっちの方が先だが)
流石に4マナは重すぎるのであまり使われなかったが、Pauper環境ではストームに対する数少ない対策カードとしてサイドボードに4枚積まれることも珍しくなかった。
嵐の乗り切り / Weather the Storm (1)(緑)
インスタント
あなたは3点のライフを得る。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにこれより前に唱えた呪文1つにつきこれを1回コピーする。あなたはそれらのコピーの新しい対象を選んでもよい。)
モダンホライゾンで久々に登場したストームカード。大量のライフを得ることで間接的にストーム呪文による即死対策ができる。
「ライフを回復する」というのは非常に軽んじられやすいが、ストームは対戦相手が唱えた呪文の数も数える。
つまりこのカードは対戦相手がせこせこソリティアをして「《ぶどう弾》、ストーム28。何かありますか?」してきたところに「じゃあ《嵐の乗り切り》、ストーム29です」して回答し、文字通り「ストームを乗り切る」という、対戦相手の動きを利用した非常にエコなカード。
得られるライフは3点なので《苦悶の触手》《ぶどう弾》を打たれようが死なないどころか打たれる前よりライフが増える。ストームデッキの定番のフィニッシャーと言えばこれらのカードなので、文字通り乗り切れるというナイスデザイン。
ただし「《思考停止》によるライブラリーアウト、《ラッドストーム》《大地の裂け目》による毒殺などには無力」「トークンを並べる《巣穴からの総出》《騒鳴の嵐》相手には根本的な解決にならない」など、このカードがあまり効かないパターンもあるので油断は禁物。
カード名もストーム対策を意識しており、登場当時は「エコなストーム対策」として大いに話題になった。
なお
こちらもコモンであり、パウパーではトロンやターボフォグからおもむろに唱えられて対戦相手を悶絶させている。
他にもライフ回復は能動的に生かしにくいイメージがあるが、《ボーラスの城塞》によるチェイン・コンボでは「(これまで唱えてきたカードの枚数+1)×3点のライフを確保し、チェイン・コンボを継続させる」という重要な役目を果たす。
ストーム対策のはずがすっかりギミックに利用されてしまうように。どれもこれもストームが万能すぎるのが悪いんや……。
前駆軟泥、エーヴ / Aeve, Progenitor Ooze (2)(緑)(緑)(緑)
伝説のクリーチャー — ウーズ(Ooze)
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、これを、このターンにこれより前に唱えられた呪文の数と同じ回数コピーする。あなたはそれらのコピーの新しい対象を選んでもよい。)
前駆軟泥、エーヴがトークンであるなら、これは伝説ではない。
前駆軟泥、エーヴは、これ以外であなたがコントロールしているウーズの数に等しい数の+1/+1カウンターが置かれた状態で戦場に出る。
2/2
ストーム持ちが多数登場した「モダンホライゾン2」の一枚。
「パーマネントのコピーはトークンとなる」というルールが制定されたことで生まれた、初の「ストームを持つパーマネント」。
トークンは出てくる度に+1/+1ずつ強化されていくので即死を取るためのストームはわずか4。ただしこれ自体が少し重めであり、なおかつ召喚酔いの影響を受けるのが弱点。
《巣穴からの総出》や下記の《嵐の精体》辺りと競合することになるが、緑であることを活かせば差別化は容易だろう。
騒鳴の嵐 / Chatterstorm (1)(緑)
ソーサリー
緑の1/1のリス(Squirrel)・クリーチャー・トークンを1体生成する。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、これを、このターンにこれより前に唱えられた呪文の数と同じ回数コピーする。あなたはそれらのコピーの新しい対象を選んでもよい。)
《巣穴からの総出》の下位種。色が緑になり、マナ総量と出てくるトークンが半分になった。
緑はこれまで、ストーム持ちのカードを環境で見かけることがほとんどない色だった(白は当時のスタンダードや00年代のレガシーで《翼の破片》が使われていた)。《嵐の乗り切り》は対策カードだし、他のカードに至っては名前を聞いてもピンとこないものがほとんどだ。
さらに緑はストーム稼ぎの際にもさほどデッキに入ることはなく、せいぜい《ほくちの壁》というカードが稀にストームを稼いでいる程度だった。そういった歴史的な経緯から、
「確かに《カラスの嵐雲》はジョークカードにしなきゃいけなくなるくらい強かったが、それは色が青だからだ。緑ならいけるだろうし、緑に強力なストーム持ちが出れば緑軸のストームという前代未聞のものが出てくるだろう」
という推察が成り立ち、緑で印刷された。
コモンで。
「何かまた悪い予感がしてきたのう…」
パウパー環境では当時唯一の直接勝ちに繋がるストームカードだったこともあり、登場直後から専用デッキ【リスストーム】が誕生。
ストリクスヘイヴンで出てくるトークンを強化しつつ速攻を付与する《授業初日》が登場したため、以前と大差ない程度まで必要なストーム数を減らすことが可能。
そして全体除去がほぼ存在しない環境ゆえにとれる対策がほぼなく、環境は親和とリスに支配されつくされ、パウパー環境では「はよ禁止にしてくれ」という意図を込めた談合行為による抗議が行われて問題となる。
結果パウパーで禁止となり、パウパー環境の専門家を集めた評議会が発足して禁止改訂などを精力的かつ誠実に行うようになり、他環境での禁止スタンスもこれを見習えとまで言われるようになったという、MTGの歴史に一石を投じた1枚。
ちなみに他環境の場合は《巣穴からの総出》が現役ということもあり、さっぱり使われない。せいぜい統率者戦でリスデッキを作る際くらいのもの。
拡散する暴動 / Spreading Insurrection (4)(赤)
ソーサリー
あなたがコントロールしていないクリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それのコントロールを得る。そのクリーチャーをアンタップする。ターン終了時まで、それは速攻を得る。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、これを、このターンにこれより前に唱えられた呪文の数と同じ回数コピーする。あなたはそれらのコピーの新しい対象を選んでもよい。)
ストーム持ち一時的コントロール奪取。
相手依存だが、完璧に決まるとがら空きの敵陣を相手のクリーチャーで突っ走らせることができる。
1対1で使うには少し過剰だが、多人数戦で使うと混沌を演出できるのはこの手のカードのお約束。
拡散する波動ではない。
電位式リレー / Galvanic Relay (2)(赤)
ソーサリー
あなたのライブラリーの一番上のカードを追放する。次のあなたのターンの間、あなたはそのカードをプレイしてもよい。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、これを、このターンにこれより前に唱えられた呪文の数と同じ回数コピーする。あなたはそれらのコピーの新しい対象を選んでもよい。)
《精神の願望》のリメイク。なぜかこれもコモン。
コストは踏み倒せなくなり、唱えられるタイミングが次のターンに変更された。つまり単独で勝つことはできなくなった。
しかしハンデスの利かない手札を大量に抱えるのと同然であるため、次のターンに別のストーム呪文でトドメを刺す準備としては十分。つまりこのカード、「フィニッシュブローを次のターンに持ち越す」ためのセーブポイントみたいなカードなのだ。
パウパーでは【リスストーム】に入って暴れていたが、《騒鳴の嵐》が禁止された際はいったん許された。
しかしながら《ケッシグの炎吹き》(非クリーチャー呪文を唱えるたび対戦相手に1点火力)と組み合わせた【赤黒ストーム】が《実験統合機》の登場によって強化され、MOリーグでの勝率(ミラー除く)が60%を超えたためあえなく禁止となった。
ラッドストーム / Radstorm (3)(青)
インスタント
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、これを、このターンにこれより前に唱えられた呪文の数と同じ回数コピーする。)
増殖を行う。(望む数のパーマネントやプレイヤーを選び、その後、すでにそこにあるカウンター1種類につき、そのカウンターをもう1個与える。)
「Fallout」とのコラボで登場したカード。原作では「放射能を含んだ嵐」であり、同セットのみだと「RADカウンター」という放射能を示したカウンターを増やすことであれやこれやをするためのカード。
最近では珍しくなくなったが、「キーワード能力とキーワード処理しか書かれていない」というカードで、上手く使うとカウンターがたくさん増える。
毒殺デッキに投入して急に毒カウンターを増やして即死、プレインズウォーカーの忠誠カウンターを増やして爆速で奥義に到達、蓄積カウンターを増やして通常ならあり得ない角度からコンボ開始、+1/+1カウンターを増やしてトリスケリオンから
釘パンチ連打して撲殺…などなど悪用方法が山程考えられる。
使用できる環境はレガシー以下と統率者戦。
自然の化身、ストーム/Storm, Force of Nature (1)(緑)(青)(赤)
伝説のクリーチャー — ミュータント(Mutant) 英雄(Hero)
飛行、警戒
Ceaseless Tempest — 自然の化身、ストームがプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、このターン、あなたが次に唱えるインスタントやソーサリーである呪文はストームを持つ。
3/4
X-MENのスーパーヒロイン、本名オロロ・マンローの彼女もMTGの世界に登場。戦闘ダメージを与えると、次のインスタントやソーサリーが文字通り「ストーム」を持つようになるカード。
《稲妻》《胸躍る可能性》《ギタクシア派の調査》《神秘の教示者》のような素朴なカードが強いのはもちろん、《煮えたぎる歌》《大勝ち》あたりがストームを持つだけで「うーんこのストーム最高や!ボーラス(《力の頂点》)なんていらんかったんや!」となること間違いなし。
フラッシュバック系やピッチスペルなどにもしっかりストームが乗るし、X火力ならそのXを保持したままコピーできる。
《時間のねじれ》《連続突撃》などをコピーしたら「少なくともストーム(ヒロイン)の攻撃は通る」という状況なので祭が始まる。しかもあつらえたかのように青(悪いことをする色)と赤(悪いことをする色)と緑(青と組むととっても悪いことをする色)という無法極まりないキャラ。
緑の理由はX-MENに詳しい人に筆を譲るが、これのせいで統率者戦ではストーム(キーワード)のズッ友こと《魔力変》をデッキに入れることができるようになる。ストーム稼ぎとの相性がいいのはもちろん、そもそもこんなもん自体がストームを持ったらもはやゲームではない。
あくまでも「戦闘ダメージを与えるたび」なので、追加ターンはもちろん追加戦闘持ちのカードでさえ無法なことを始めるという合図になる。
最初からストームを持っているカードも追加でストームを持つため、たとえばストーム3の《ぶどう弾》なら本体1+ストーム3×2で合計7点のダメージをばらまけるようになる。
統率者戦では自分をブロックできない相手や、不利を是正したい相手と結託して上位をいじめる手段として使うことになるのだが、実をいうとそこまで強いカードというわけではない。
というのも、「攻撃を通す」必要があるため。ストームを稼ぐデッキはその性質上「なにやらガチャガチャやってマナを増やす」という工程が入るが、「攻撃を通した際、次に唱える呪文」がストームを自動的に持ってしまうので、
「攻撃を通した後にストームギミックで動く」ということをすると初動の呪文でストームモードを消費してしまい無意味なため。ステップやフェイズをまたぐと稼いだマナは消えてしまう。つまり一般的なストームギミックとの相性がさほど良くないのだ。
さらにこのカードが公開領域に出ている時点で「私はこれから悪いことをします」と宣言しているようなものなのでヘイト値は高まってしまう。
ハイランダー形式だと「狙った呪文を十分なストームを稼いだ状態で唱える」ということも骨である。そのためトドメの大嵐を放つのではなく「無料でコピーがついてくる」程度のこまごまとした扱いをする必要も出てくるってこと。
統率者戦においても上述の通りだが、2人対戦においてはさらに「ストームを稼げるギミック」と「ギミック以外に関係するカード(ストーム(ヒロイン)自身を含む)」を入れなければならないため非常にチグハグな動きになる。そして上述の弱点がのしかかる。
「じゃあストーム(女性)抜いて触手プレイ一本に絞って妄想プレイするね!」となるのは致し方ないことだろう。というか《千年嵐》でいいじゃん。
つまりこの時点でもかなりバランスがとれている。今の「クリーチャーの強さに対して呪文の強さが控えめ」というスタンダードに行ってもせいぜいTier2以下程度だろう。
日本では知名度は低いがアメリカでは「歴史的な意義を持つキャラクター」とまで言われており、MTGでもケイヤのキャラ像や、燃え立つチャンドラをはじめとした「本気モードで白目になる」キャラのご先祖様ともいえる。
もちろんそんなキャラを弱くするわけにもいかないが、強くしすぎると買い占められてしまう。初見のインパクトやハマった時の強さと実際のバランスはちょうどいい塩梅ではないだろうか。
嵐鱗の末裔 / Stormscale Scion (4)(赤)(赤)
クリーチャー — ドラゴン(Dragon)
飛行
あなたがコントロールしていてこれでないすべてのドラゴン(Dragon)は+1/+1の修整を受ける。
ストーム
4/4
タルキール:龍嵐録で登場したストーム持ちのドラゴンのロード。
英語名を見れば分かる通り、ストーム値/The Storm Scaleにひっかけた名前のカード。命名は二転三転したらしい。
タルキールでは「龍の嵐」と呼ばれるエネルギー場から龍が誕生するが、その背景設定を体現したカードである。
公開当初は実用性の薄いロマンカードと見做されていたが、モダンの
ベルチャーのサイドプランとして見出される。ストーム3を稼げていればロードの相互強化でワンショットが可能なため、《苦々しい再会》と合わせて使用されている。
墓地ストーム
当時のMTGにおける未来のギミック博覧会セット「未来予知」で登場した、ストームの新しい形。
本家と異なりフェッチランドを切ることや、トークンをサクること、全体除去の巻き添えになった対戦相手のクリーチャーなども墓地ストームカウントに含まれる。
「ストームより壊れてるんだったら本家ストームでよくない?」そうだね。というわけで開発者曰く「ある意味ではあれ(本家ストーム)以上に壊れているとも言えるかもしれない」と言われ、実際とても不評だった。そもそも未来予知における「未来に存在するギミックの顔見世・プレビュー」扱いだったが、どんな理由があっても不評かつ開発がとても難しいことに変わりはない。
そのため2枚目が出ることはない、つまり「実現しない未来からのカード」扱いだろうといわれていたのだが、長年を経て新規カードが登場して大きく話題となった。
苦々しい試練 / Bitter Ordeal (2)(黒)
ソーサリー
プレイヤー1人を対象とし、そのプレイヤーのライブラリーからカードを1枚探し、そのカードを追放する。その後そのプレイヤーは自分のライブラリーを切り直す。
墓地ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に墓地に置かれたパーマネント1つにつきそれを1回コピーする。あなたはそのコピーの新たな対象を選んでもよい。)
墓地ストームを持つ唯一のカード。
デッキから好きなカードを根こそぎ引っこ抜ける。
本家ストームに比べると、対戦相手に能動的に呪文を唱えさせることは難しいが、対戦相手のパーマネントを墓地に送ることは簡単なので特別なギミックを仕込まなくてもストームを稼ぐことが出来る。
よって相手のライブラリーから土地を全追放したり自分に対抗できるカードを全追放したりが簡単にできる。
一見難しそうに見えるのだが、真面目に取り組むと「センスのあるジョニーには結構簡単」という見掛け倒し系の難問。そのアプローチは人によって結構異なるので、デッキレシピを色々見てみよう。
遺体の追跡 / Follow the Bodies (2)(青)
ソーサリー
墓地ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンに戦場から墓地に置かれたパーマネント1つにつきこれを1回コピーする。)
調査を行う。(手掛かり(Clue)トークン1つを生成する。それは、「(2),このアーティファクトを生け贄に捧げる:カード1枚を引く。」を持つアーティファクトである。)
まさか出るとは思われなかった墓地ストーム持ちカードの2枚目。
何かと便利なアーティファクト・トークンがたくさん出てくる。一応ドロー加速にもなるが1枚につき2マナ要求が重いので「大量のアーティファクトが出せる」「手掛かりのカードタイプを持つ」ことを利用したコンボに使いたいところ。
即死コンボに使えないように徹底的に毒抜きしてあるが、それでも何かに使えるかもしれないという妄想の余地を残した1枚。
ちなみにこのカードもキーワード能力とキーワード処理しか書かれていない。
関連カード
キーワード能力としてのストームは持たないがストームに近い挙動をするカードが存在する。
嵐の精体 / Storm Entity (1)(赤)
クリーチャー — エレメンタル(Elemental)
速攻
嵐の精体はその上に、このターンに唱えられた他の呪文1つにつき+1/+1カウンターが1個置かれた状態で戦場に出る。
1/1
ストームによりパワーアップする速攻持ちクリーチャー。「パーマネントのコピーはトークンになる」というルールがなかった当時、「ストーム持ちのクリーチャーを作る」という設計思想から生まれたカード。
《ぶどう弾》がクリーチャーになったようなものであり、ストーム19で出して走らせれば即死が取れる。
といっても基本的にはクリーチャーなので、複数ターンに渡って殴って倒すことを前提に採用することになる。クリーチャー対策が甘くなることを前提に追加の勝ち手段として《巣穴からの総出》との選択で採用されている。
霊気貯蔵器/Aetherflux Reservoir (4)
アーティファクト
あなたが呪文を1つ唱えるたび、このターンにあなたが唱えた呪文1つにつき1点のライフを得る。
50点のライフを支払う:クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。霊気貯蔵器はそれに50点のダメージを与える。
自分の呪文しかカウントしないが、ストーム亜種と言えるカード。
1つ目の効果で回復できるとはいえ普通にチマチマやったら50ライフなんて回収出来ないので、これを出してからストームを稼ぐことに特化した専用デッキで使われる。
スタンダードでは「《
逆説的な結果》で0マナアーティファクトを戻して大量ドロー→その0マナアーティファクトを出してストームを稼ぐ→50点キャノンで相手を粉砕」という【逆説ストーム】が成立していた。
スタンダード発祥、しかも
ストームと書かれているカードは(当然)1枚も搭載されていないデッキなのに、ストームという名前が付いた辺り、ストームの影響性が強いことがうかがえる。
ネタのように思えるがマジック25周年プロツアーのスタンダード部門ではロマンに惹かれてか使用率4位に食い込んでいたりする。
それ以前にGP静岡17で「ライブマッチに採用されて、しかも当時のトップメタである【霊気池の驚異】デッキ相手に2本とも50点キャノン決めて2-0勝利」という笑撃のデビューを飾った方が記憶に残っているかも。
屈指のアーティファクト環境であるヴィンテージでは早速取り入れられており、ギミックはスタンダードと同じだがMox他軽量アーティファクトだらけで凄まじいパワーになっている【逆説ストーム】の他、《修繕》から持ってこれることを利用して他のストームやメンター系デッキにも取り入れられている。
千年嵐 / Thousand-Year Storm (4)(青)(赤)
エンチャント
あなたがインスタントかソーサリーである呪文を唱えるたび、このターンにあなたがそれより前に唱えたインスタントかソーサリーである呪文1つにつき1つ、それをコピーする。あなたはそれらのコピーの新しい対象を選んでもよい。
すべてのインスタントとソーサリーにストーム亜種能力を付与するカード。
イゼットらしく自分のインスタントとソーサリーでしかカウントを増やせないが、これまではただのストーム稼ぎに過ぎなかったカードまでストームを持つようになるのは驚異。
勿論相応に重いのだが、設置して起点になるカードを唱えられる状態にさえなっていればスタンダードのカードプールでも一瞬で即死に持っていけるその性能に惹かれた者は多く、時折地雷デッキとして姿を見かける。
自身の誇示 / Show of Confidence (1)(白)
インスタント
あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにあなたが唱えた、これ以外でインスタントやソーサリーである呪文の数に等しい回数これをコピーする。あなたはそれらのコピーの新しい対象を選んでもよい。
クリーチャー1体を対象とする。それの上に+1/+1カウンター1個を置く。ターン終了時まで、それは警戒を得る。
インスタント・ソーサリー限定のストームを持つ強化呪文。日本語名は変換ミスを疑われている。
コピーに反応して誘発する魔技や、自身を対象にした呪文で能力が誘発するクリーチャーとのコンボで爆発的な威力を発揮する。
嵐の目 / Eye of the Storm (5)(青)(青)
エンチャント
プレイヤー1人がインスタント・カードかソーサリー・カードを唱えるたび、それを追放する。その後、そのプレイヤーは嵐の目によって追放された各インスタント・カードと各ソーサリー・カードをコピーする。各コピーについて、そのプレイヤーはそのコピーを、そのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。
「ラヴニカ:ギルドの都」で登場した超変則ストーム。
1回目に《稲妻》を唱えると、まず一度追放してから改めて追放領域から《稲妻》のコピーを唱えてもよい。
2回目に《手練》を唱えると、これも追放してから《稲妻》《手練》のコピーを唱えてもよい。つまり《手練》に《稲妻》がついてくる。
3回目に《強迫》を唱えたら、《強迫》に《手練》と《稲妻》がついてくる……というように、唱えれば唱えるほどにオマケがついてくる。
これがターンをまたいで継続するという無法なカードなのだが、たいていの場合動き始めたら初回で追放した《稲妻》《不可思の一瞥》あたりのカードが軽量呪文のオマケとして4,5回唱えられて相手は死ぬ。
このカード自体がストームに近しい性質を持つが、同時にストーム持ちとの相性は激烈によく、たとえば1枚目に《ぶどう弾》を唱えると「唱える→追放→改めてコピーを唱える」という動きでストームが2回誘発する。通常のストームに比べてとんでもない勢いで呪文が膨れ上がっていく。
魔よけのようなモード持ちの呪文を追放して柔軟性を持たせることもできるし、マナ加速の《煮えたぎる歌》やら、墓地の呪文を唱える《過去の罪》なんて追放しちゃった日には祭が始まる。
この奇天烈な動きをフィニッシャーに据えつつ、打ち消しやハンデスやパーマネント破壊を織り交ぜて対戦相手の動きを縛るコントロールデッキが当時真面目に考えられていた。
ただしこのカードには非常に大きな弱点がある。「プレイヤー1人」、つまり対戦相手もこのギミックに参加することができるという点だ。
フィニッシュ寸前に何気なくインスタントを唱えられて、これまで嵐の目に刻印してきた呪文が全部襲い掛かってきて逆転死したり、そうでなくとも予想外の呪文を唱えられて制御ができなくなったりという致命的な弱点がある。まさに《予想外の結果/Unexpected Results》
そもそも設置が7マナと重いことも手伝って、単なる面白系のカードで終わってしまった。
ちなみに多人数戦では一見盛り上がるように見えるが、管理がアホみたいに面倒くさいというある意味別の問題がある。
経験者として「あんまり使わないでおいた方がいいよ」とだけ申し添えておく。マジで死ぬほどグダるんで。
カラスの嵐雲 / Crow Storm (2)(青)
ソーサリー
《嵐雲のカラス/Storm Crow》という名前で飛行を持つ青の1/2の鳥(Bird)・クリーチャー・トークンを1体生成する。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにこれより前に唱えられた呪文1つにつきこれを1回コピーする。)
実在のクリーチャー《嵐雲のカラス》がたくさん出てくる、
ジョークエキスパンション「Unstable」に現れたストームカード。
効果自体はジョークエキスパンションにしては普通であり、《巣穴からの総出》を若干弱くした感じ…と思いきやトークンが飛行持ちなので止めにくいわ、タフネス2なのでタフ1狙いカードはほぼ刺さらないわ、結構強くなっていて侮れない。そもそも青いので2枚目以降を《意志の力》のコストにできるし、特に青はストーム系ギミックと相性抜群である。
ではなぜこれがジョークエキスパンション産なのかというとまずは名前ネタ。《嵐雲のカラス》は海外では
甲鱗様や
さまようもののようなアイドルカードであり、「嵐雲のカラスを生成するストーム呪文」という冗談も存在したため、それを忠実に再現したものとなっている。
その上で「このカードを黒枠で収録できるか」と開発部内で議論した結果、「黒枠にするならプレイヤーが見て最悪だと思うくらい弱くしないといけない」という結論に達したため銀枠での収録となった。
そりゃ確かに、満を持して登場だ!と言われてクソみたいに弱いカード出されるよりはねぇ…。ちなみに出てくるトークンは雷に打たれているカラス。
フレイバーテキストが詩的。
Friarball (Playtest) (3)(白)
ソーサリー
白の2/2のモンク(Monk)・クリーチャー・トークン1体を生成する。
コストストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターン、あなたがプレイしたこれでない呪文や土地に含まれるマナ総量の種類数に等しい回数この呪文をコピーする。)
[テストカード - 構築では使用できない。]
「Mystery Booster 2」に収録されたR&Dプレイテストカード。構築では使用できないが、ドラフトでは使用できる。
ストームの調整能力案「コストストーム」を持ち、ストームを利用するコンボデッキが軽量カードの大量採用により大量のストームを稼ぐことを防止している。
名前は「Friar(僧侶)」と「火の玉/Fireball」をかけた駄洒落。
影響
この明らかにぶっ壊れた能力、そして現実となった各種カードの大暴れ等を受けた結果、ストーム持ちカードは規制され…
代わりに何が規制されたかと言うと「マナ加速カード」「ライブラリー操作カード」「サーチカード」の3種類である。
マナ加速カードは《煮えたぎる歌》《炎の儀式》(モダン禁止)《ライオンの瞳のダイアモンド》《金属モックス》(ヴィンテージ制限)。(金属モックスはモダンでもフォーマット制定当初から禁止されている。)
ライブラリー操作カードではモダンで《思案》と《定業》が、レガシーでは強力サーチカードの《神秘の教示者》が禁止を食らった。ヴィンテージで規制された《燃え立つ願い》もサイドボードからカードを持ってくるという意味でサーチカードである(ただし願いはその後解禁された。)。
ストームを稼ぐと言っても闇雲に呪文を連打していればすぐにマナか手札、もしくは両方が尽きてしまう。そこでマナ加速カードである。これらを使えばストームが増えると同時にマナはどんどん増えていくのだ。
そして減ってしまう手札を補うのは主にドローカードだが、ただ漫然とドローしているだけでは土地や不要牌を引いて止まりやすい。
そこでライブラリー操作カードの出番である。これによって不要牌を弾いたり必要なカードをより確実に持ってくればよりコンボが繋がりやすくなるのだ。
さらにマナ加速や軽量ドロー・サーチは、ストーム以外のソリティアデッキ(青赤昇天など)や「ストンピィ」と呼ばれるフィニッシャーの高速召喚を狙ったデッキにも用いられてしまう。
虫で言えば、一種類の害虫を殺す薬を撒くよりも、虫がはびこる環境そのものを舗装すればいい、という考えに近い。
ただ禁止理由はストームにだけに限らず、単純に汎用性が高すぎてコンボやコントロールデッキを強化しすぎてしまうというのも兼ねているようだが。
ただしどんなに立派な考えを持っていても、ストームが環境に対してすさまじい圧を与えるという事実は変わらない。
というのも、ストームは妨害手段が極めて限られるため。そもそもストーム呪文自体を対処できる呪文は極めて少なく、オンスロート・ブロック当時は《もみ消し》くらいしかなかった。つまり青以外はソリティアを見ているだけで、それを未然に防ぐことが肝心と考えられていたのだ。
ハンデスを擁する黒や、事前妨害に長けた白ならまだいいが、それすらない色の場合はどうかというと、
ストーム側からすれば「隣の卓は青か、たぶんこいつが勝つから次は厄介だな」と思いながら、壁とやってるのと大差ないワンマンショーを機械的に繰り返すだけのボーナスステージ、
ストームを相手にしている側は「今日の晩飯何食おうかなぁ」とか「帰りに西友で歯ブラシ買おう」と考えながら不正に目を光らせることしかできないのである。
現在は色ごとの相性差も劇的に改善し、「ストームが始まる前に相手を殺す」ということもできるようになったが、そういうことがなかった頃は赤や緑に対して「特定のデッキ相手に手も足も出ないザコ」という評価を下すプレイヤーも非常に多かった。
しかもそれが公式記事になって、それがジョークとして許されちゃう時代。そんな時代もあったのだ。
特に2010年代前半までの【ANT】は「レガシーのサイドボードは7枚しかない」と言われるほど猛威を振るっており、ウィザーズ側もこのことに頭を痛めていた(当時はまだ「モダンホライゾン」「統率者セット」などの形でエターナル用のカードを直接印刷する文化がなかった)。
なんとかみんなが笑顔になるようなコンボデッキへの回答、特に【ANT】を相手に赤単や白単が回答できるようにしてあげたい……その気持ちで印刷されたのが《精神的つまづき》である。結果はお察しください。(印刷後5ヶ月でレガシー禁止、モダン制定当初禁止、ヴィンテージでも制限)
「虫がはびこる環境そのものを舗装すればいい」と思って環境を整備したところ、他の生物が死に絶えてその虫だけはギリギリ生き残り、舗装材に適応できた他の害虫が跳梁跋扈してしまったという、生物農薬の失敗談みたいな5ヶ月を楽しめた。
ちなみに《ギタクシア派の調査》はストームデッキが直接の禁止の理由ではないのだが、マナを使わずに唱えられる・ドロー加速・ストーム稼ぎ・墓地が増える・相手の対抗策を見れるetcとストームデッキにおいても強力無比なカードであった。こちらも一緒に弱体化する目的があったかもしれない。
Pauperでストームカードが直接禁止されたのは環境柄対策カードが少なすぎる…と言うかほぼ無いから、原因を消すしかなかったためだろう。
まあこちらもサポートの立場にあったフリースペルがその後禁止されているが。
対策
青なら《狼狽の嵐》でいい。ストームで増えた分すべてに1マナ要求が当たるため、実質ストームを完璧に打ち消すことができる。最近は相対的に少なくなったが他の当てどころもあるし、《意志の力》のコストにもできる。
そうでなくともストームを稼いでいるところに《意志の力》《呪文貫き》《白鳥の歌》などを当ててやればたぶん死ぬ。その当てどころの駆け引きが重要になる。
それ以外の色ならなんといっても《嵐の乗り切り》……と言いたいところだが、これは《ぶどう弾》《苦悶の触手》という二大フィニッシャーに非常に有効と言うだけで、ストーム全般の対策にはならない。
この2枚に対策できるだけ全然いいとはいえ、《ラッドストーム》《騒鳴の嵐》のような新しいストーム持ちが追加され、《精神の願望》が禁止解除された今では乗り切れる嵐は案外少なくなっている。
呪文のコストを増加させる《アメジストのとげ》や《スレイベンの守護者、サリア》は天敵。マナ加速がマナ加速にならないからである。
特にサリア登場後のとげは意外と有効。たいていのデッキではダメージを稼いでいけるサリアが優先されるため「クリーチャー除去でサリアをどかす」「白が入ってないということはサリアも入っていないので対策は不要」という対策を取る人が多く、
そういう相手に対して「クリーチャー除去では絶対に対処できない上に白以外からおもむろに登場し、しかも重ね張りも可能」というとげは完全に慮外の一撃だから。カタログスペックだけが相性の明暗を決めるわけではないのだ。今はもう《減衰球》があるからあんまり有効ではなくなった。
《虚空の杯》《三なる宝球》のように問答無用で低コストの呪文を打ち消す・重くする置物も苦手。
《エーテル宣誓会の法学者》《法の定め》のように1ターンに1度しか呪文を唱えられないようにする手もある。
また、何かしらの手段で墓地のカードを再利用(フラッシュバック付与)できるようにしてストームを稼いだり、墓地のカードを参照してコンボを繋ぐことも多いため、墓地対策がけっこう刺さる。
打ち消しを使うならフィニッシュ呪文ではなく重要なギミックを担うカードを打ち消そう。ストームは唱えたときの誘発型能力なので本体を打ち消してもまったく意味がない。逆に誘発したストーム能力を《もみ消し》等で打ち消すと本体呪文のみになるので有効である。
ストーム対策特化ならば《精神壊しの罠》が有効。ストームデッキならストームを稼ぐ過程で1ターンに何度も呪文を唱えるためノーコストで唱える条件を自動的に満たし、その効果でストームのコピーごとスタック上の呪文をすべて追放することができる。
あと必然的にドローが増えるので《迷宮の霊魂》《トレストの使者、レオヴォルド》なんかが出ていても動きが大幅に鈍る。レオヴォルドはストーム呪文に対しても効く。
赤単でも対策は可能で呪文を唱えるごとにダメージを与える《大歓楽の幻霊》《紅蓮光電の柱》が有名か。
そして最近登場した《減衰球》は、ストーム対策の集大成ともいえるカードである。ついでに死んだハイブリッドランドって土地もあるが。
ストーム稼ぎを含めたメカニズム自体を対策するのではなく、ストーム持ちのカードそのものを対策するという方法もある。
たとえば《苦悶の触手》は黒かつ対象を取るため《夏の帳》であっさり対策可能だし、《ぶどう弾》ならプレイヤーを対象に取るため《神聖の力線》がよく刺さる。
ただしストーム側もそんなことは織り込み済みで、そういったフィニッシャー妨害に強い《巣穴からの総出》などを用いるのでこれもなかなか難しい。
裏を返せばこの辺の駆け引きがストーム戦の醍醐味であり、対策ができるデッキにとってはなかなかの好敵手である。昔はできないデッキの方が多かったから問題視されてたんだけどね
知名度ゆえに対策は豊富なのでストームを使用するならメイン戦は必ず取りたいところ。
特に「見切り発車」と呼ばれる、不十分な状態でコンボに向かわなければならない点、相手のデッキに入っているであろう妨害手段などをきちんと把握・想定していないとならない。
上手く回ればもちろんいいが、前述の見切り発車のような場合にはアドリブ力も要求されるためデッキ習熟度は勝率に直結する。慣れていないと遅いプレイによる罰則を取られることもあるので手早く回す練習は必須だろう。
逆にストーム対策もストーム使いのプレイヤーとやりあっていないと、実際はどこが弱いのかということが分かりづらい。
ちゃんと練習しなければならないが、練習に付き合ってくれる相手がいるかというと…
こういった観点から、カジュアルに遊ぶプレイヤーと大会志向のプレイヤーの間で極めて大きな評価の隔たりがある。
ストーム値
ストームはその余りに壊れた性能から、公式からもかつては「スタンダードではまず間違いなく再登場しない」メカニズムとして認知されていた。
ある日マローに来た質問に「スタンダードでストームが再登場する可能性は?」というのがあり、それに対してマローは「再録される可能性の高い順に1〜10とするなら、ストームは10だ」と答えた。
これ以降、「じゃあこのメカニズムはいくつになる?」という質問が多く来るようになり、この指標についての話はたちまち定番ネタになった。そしてこの「スタンダードリーガルのセットで再録される可能性を示す値」の事を「ストーム値」と呼んでいる。
英語だと「The Storm Scale」、本来はハリケーンの規模を表すための言葉である。
現在では公式コラムでセットが完結する度にストーム値の発表がされ、プレイヤーを楽しませている。
選定基準は
- 人気/Popularity - 文字通りの意味。
- デザイン空間/Design Space - そのメカニズムを搭載したカードの枚数にどれくらい余裕があるか。
- 多用途性/Versatility - 汎用性や他のメカニズムとの相性。
- デベロップ/Development - バランスの調整。
- プレイアビリティ/Playability - メカニズムをプレイヤーが正しく理解できたか。使う上で物理的な問題はなかったか。
から総合的に判断される。勿論ストームは最高の10である。ネタも含むとバンドの11とか他のPWとのバンドの12とかがあるが
フリースペル(土地をアンタップするタイプ)や親和(アーティファクト)、発掘、相棒と並んでWotCにおける失敗メカニズムの代表例になっているから仕方ないが。
ただし、これはあくまでマローの独自見解であり、メカニズム自体が不評でなければ、ストーム値がいくつでも再録されることはありうる。
この例として、ストーム値8の「マッドネス」がそれが発表された直後の「イニストラードを覆う影」に再登場したことがある。
ストーム値がいくつであろうと、それを活かす環境やテーマがあれば登場させるという事である。
その後のコラムでは「マッドネス」は結局8のままだった。それを活かす環境を作らなければならず、それがあまり良いものではなかった…とのこと。
最近はフェイジング(ストーム値9)の派生であるフェイズ・アウトが登場し、「オーラやカウンターなどをリセットしない一時的な除去・避難」として使われるようになった。
他にもストーム自体(ストーム値10)やアーティファクト土地(ストーム値10)など、ストーム値が極めて高い能力のスタンダードでのゲスト的な再登場が相次いでいる。
これはセットのメインメカニズムとして据えたものではなく、あくまでもゲスト的なものなので環境のバランスを崩すには至っていない。そもそも十分な量の類似メカニズムとそれを手伝う相方がいなければ悪さができるようなものでもないし。
さらにあくまでもスタンダードでの再録可能性の話なのでストーム自体はモダンホライゾン1と2で再登場している。特に2ではリミテッド用テーマとして複数の新規カードが登場しており、「メカニズム自体は人気だが、調整が難しいためカードパワーの許容ラインが高い下環境用セットで扱う」というスタンスであることがうかがえる。
このようにあんまりあてになるものではないというか、少し不満を言ったり揶揄をすれば後出しじゃんけん的に反論が返ってくるレスバトルの定番材料でもあるため、ちゃんと遊んでいるプレイヤーからはストーム値はまったく参考にされていない。
「ストーム再登場したの?ふーん、ダリチュやフリスペないストームなんて問題ないでしょ、今インフレしてるし」
「でもストームだぜ!使ってみたいじゃん!」
ただし読み物としてはかなり面白く、開発の裏側の片鱗を垣間見える。特にストーム値の高いメカニズムは、ちゃんと遊んでいれば「ネタ切れ感がすごいな」「もう少しやりようがあったんじゃないか」と思う能力が実際にネタ切れであっぷあっぷしていた裏話などを知れて、ゲームの体験がより面白くなる。
「あっ、暗号ってやっぱネタ切れだったんだ……」
「なんだっけそれ?」
ちなみに特殊セットを含めてまったく再登場を果たせていないメカニズムには「増幅」「解鎖」「貢納」「盟友」などがある。特に貢納は「メカニズム自体が不評」の代表例。
この辺のメカニズムはストーム値コラムでもあまり積極的に話されていない。
余談
MtG特有の能力だが、
遊戯王の
魔導書の神判は割りと似た効果を発揮する。
ただしマナというブレーキ概念がない上に手札補充手段の少ないあちらでは本家ストーム以上のぶっ壊れとなり、当時最速で禁止カードに指定された。
他にはshadowverseのウィッチのギミックが比較的近い。こちらは比較的良好なバランスになっている。
「友よ、時間をもてあます者よ、カードゲーム以外にろくな趣味のない戦士たちよ!今夜はヨタ話以上のものを追記・修正することになる!」
――深きwikiに籠る者、アニヲタ
- 下の環境だとぶっ壊れだがスタンダードだとストームを稼ぎにくいと極端なキーワード -- 名無しさん (2017-05-10 15:09:46)
- 追記修正しました。禁止のところはもう少し変えられるかな… -- 名無しさん (2017-05-10 16:56:48)
- あ、《時間の亀裂/Temporal Fissure》書いてねえ。誰か頼みます。Pauper禁止です -- 名無しさん (2017-05-10 16:57:27)
- 強すぎるメカニズムとしては発掘と並ぶが親和(アーティファクト)やフリースペルのようなどうしようもないぶっ壊れメカニズムと比較すると一枚劣る印象 -- 名無しさん (2017-05-10 20:02:20)
- シャドバのリノセウスをさらにタチ悪くしたような効果かてんあ -- 名無しさん (2017-05-10 21:28:28)
- いちいち遊戯王に噛みつかなくてもいいんじゃないかな? -- 名無しさん (2017-05-11 07:14:51)
- 大幅に追記修正。 -- 名無しさん (2017-05-11 11:02:12)
- ↑↑↑リノセウスが唱えた呪文の数と同じ数だけ湧き出てくるようなもん -- 名無しさん (2017-05-11 12:02:10)
- 強いは強いが恐ろしく面倒な能力でもある。計算間違いしやすさは他の強いキーワード能力の比ではない。 -- 名無しさん (2017-05-13 16:03:25)
- いきなりストームカウントし始めると動くとバレるし、かと言って毎ターンやってると遅延になるしねえ -- 名無しさん (2017-05-15 10:50:54)
- アンステーブルにて新規カード、カラスの嵐雲が登場 -- 名無しさん (2018-08-05 13:11:09)
最終更新:2025年07月10日 09:19