予言/預言

登録日:2018/04/12 Thu 14:24:30
更新日:2025/08/01 Fri 23:15:24
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とは、間違えやすい日本語である。
混同している人が非常に多いので、この機会に解説しておきたい。


概要

読み方が同じで字も似ているが、この二つが表しているものは異なる。
しかし、同じく間違えやすい同音異義語である「確率」と「確立」などと違い、微妙に被っている面もあるのでややこしい。
「預言である予言」「予言である預言」がどちらも存在しうるので、余計に間違えやすいところがある。

英語では予言が「prediction」、預言が「prophecy」と明確に区別されている。

予言

「予め言う」。物事が起きる前にそれに関する予測を述べること。
一般的に「ヨゲン」と言ったらこれのことと思って大体間違いはないだろう。

科学的根拠に基づき、未来を推し量ることも「予言」と言えなくもないが、そういうのは大抵「予測」と区別される。
「予言」の場合は超自然的な力に基づくものであることが多い。
ただし、仮説段階の理論に基づいて未知の存在や現象の観測を推定する場合など、科学分野でも「予言」という語を使うことはありうる。*1

世間一般には様々な予言が満ち溢れているが、特に影響が大きいのが終末予言だろう。
世界が終わる」というアレである。

新興宗教が信者を集めるために広めることが多く、この場合は大抵「世界が滅びても自分の宗教を信じれば救われる」というのとセットになる。
「○年○月○日に世界が終わる!」という予言が今まで数限りなく出されてきたが、 今のところ的中した例は一つもない 。当たり前だが。
往生際悪く「実は当たっていた」「終末予言は延期された」と言い張る予言者も少なくないが

一方で2025年にたつき諒氏の「私が見た未来 完全版」が発売された際に氏が夢で見た「2025年7月に日本を大災難が襲う」*2という予言が海外で真に受けられてしまい海外からの旅行者が日本旅行を大量にキャンセルし経済的に少なくない影響を及ぼしたほかネットでは「2025年7月5日に*3日本滅亡」など本の内容が拡大誇張されるなど混乱を及ぼした。
実際は6月から相次いでいたトカラ列島の群発地震や7月末にカムチャツカ半島でM8.7の大地震が発生し日本ほぼ全域の太平洋側沿岸に0.3~1.5m級の津波が到達する事態もあったものの早急な住民の避難によって人的、物的被害は最小限に留まっている。確かに津波自体はあったがフィリピン沖じゃないので予言の内容自体は外れたと言えよう。
とはいえ日頃からの災害に対する備えは重要であり滅茶苦茶に誇張された情報に対しても真に受けず専門家の意見に従うべきである。

ちなみに、一般人の感覚からすると、実際に終末の日が訪れたのに世界が終わっていないとなれば、信者はその宗教から離れる……と予測するだろう。
だが、確かに元々熱心でない信者は予言が外れると一気に熱が冷めるのだが、
逆に幹部に近い信者程 予言が外れた後も熱心に活動する という現象が確認されている。
これは、「世界が終わる」と信じて今まで活動していたものが一気に無駄になることを恐れる心理が働いているのではないか…と言われている。

どのような根拠で予言しているかは様々である。
神様から受けていれば「預言」になるし、宇宙の全ての出来事が記録されているという「アカシックレコード」というのも一昔前に流行った。

なお、的中率に関してだが、 基本的には当たらない と思った方がいい。
とある調査では有名な予言者の予言全てを調べたところ、的中率 4% という結果が出たことがある。
予言者というのは大量にメッセージを出す上に、人々の記憶に残りやすいのは当たった予言だけなので、パッと見ではよく当たっているように見えてしまうのだ。

ちなみに(自称含む)未来人が未来のことについて語るのも「予言」とされがち(かつ未来人ということを否定するために使われがち)だが、
あくまで彼らにとっての事実・歴史を語っているだけのため、実際の予言とは若干ずれる(予言者として語った場合はまた別だが)。
例えば有名なジョン・タイターの未来の内容は当たっているものもあれば外れているものもあるが、
彼の語った理論をもとにすれば外れたのは世界線が違うためであり、予言が外れたことと彼が本物の未来人であるかどうかに関係性はないと言える。

フィクションにおける予言

大抵は外れない。 超自然的なものが当たり前の世界観だし
とりあえず、RPGなどで困ったら予言に従えば道は開けるんじゃないかな、たぶん。

主人公たちにとって悪い予言なら「運命は自分の力で切り開くものだ!」的な勢いで跳ねのけるのが定番になる。

また、予言された出来事を防ごうと行動した結果、予言通りの出来事が発生してしまうといったこともあったりする。
《例》


予言をテーマにした作品



預言

「言葉を預かる」。何かしら人間を超越したものからメッセージを受け取れば預言である。
例えば、神様からメッセージを受け取った場合『神託』などと言われることもある。
「誰から」メッセージを受け取っているかが重要なので、「天変地異が起きるだろう」も預言だし、「隣の奥さん、今日の下着赤らしいぜ」も預言である。
そんな下卑たことを教えてくる超越者もいないだろうが

聖書には「預言者」がたくさん出てくる。有名なところでは、旧約聖書に登場するノアやモーセは預言者である。
また、ノアは「将来大洪水が起きる」というメッセージを受け取っているので予言者でもある。
というか聖書自体が「預言書」である。

因みに神様がその口から直接メッセージを伝えることは預言とは呼ばれない。
あくまで誰かが受け取りそのものが語ってこそ預言である。
無論神様が誰からか伝えられたことを言っているならば神様が預言したということにはなるが、ややこしい話である。
なお、神様が自身で直接メッセージを伝えるには人にのりうつってその口を借りる場合が多く、これは「託宣」と呼ばれる。

イスラム教ではイエス・キリストは「預言者」であるとは認めているが、「神の子」とは認めていない。
この辺りはとてもややこしいので、アニヲタWikiでは詳しくは突っ込まない。勉強したい人は大学にでも行ってください。

間違えられやすいが、ノストラダムスは「預言者」ではない。あの人は「神から予言を受け取った」などとは明言していないからである。
あくまでノストラダムスは「予言者」と見るべきだろう。『MMR マガジンミステリー調査班』では預言者だった?いや、あれはギャグマンガだし

こっちの信ぴょう性は……「信じたい人は信じればいい」じゃないかな。
本当に神様からメッセージを受け取っているかどうかなんて検証不能だし。

預言者とされる人物


フィクションでの預言

あまりこちらの預言がメインテーマとして使われることはない。 ややこしいし
だが、「神様」が出てくるストーリーなら、彼らの言葉は全て預言であると解釈することもできる。
そのため「預言」よりもその一種である「神託」「お告げ」などの用語で登場することが多い。

フィクションで預言を受けた人物



最後に予言と預言をわかりやすくまとめるとこういうことになる。

知性の神その他「お前はキン肉星の王子の可能性がある!」←神のことば
運命の5王子「俺たちは王子候補らしい!」←預言
真弓「・・・ということが、このご先祖様の残した本に書いてあった」←予言(の書)
キ○ヤシ「・・・つまり、人類は滅亡する!」Ω ΩΩ「な・・・なんだってー!」←MMR
東原亜希「という話です」←デスブログ(アカシックレコード)



余談

なお、本来「予言」と「預言」の使い分けは 誤用 である。
これは中国語本来の「預」に「あずかる」という意味はないためである。
だが、「prediction」と「prohecy」の訳し分けとしては都合がいいし、辞書にも載っているので専門家でもこの使い方を是認する人は多い。

SF作家の星新一は『予言者は、実現までは信用されず、実現したら無価値になる。』という皮肉めいた言葉を残している。



まもなく追記・修正がなされるであろう。

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最終更新:2025年08月01日 23:15

*1 元素の周期性を見出し、それを基に未発見元素の性質を「予言」したメンデレーエフなど。

*2 簡単に言うと「フィリピン沖で海底が隆起し香港と台湾、フィリピンが地続きに、更に太平洋周辺国を大きな津波が襲うが夢のおかげで避難が迅速に進み被害は少なく済んだ」的なもの。ただ前者に対しては流石に無理がある

*3 氏がこの夢を見た2021年7月5日を2025年7月5日と勘違いした可能性が高い