野原ひろし 昼メシの流儀

登録日:2018/05/20 Sun 15:39:11
更新日:2024/03/20 Wed 12:05:15
所要時間:約 3 分で読めます




『野原ひろし 昼メシの流儀』とは月刊まんがタウン及び月刊アクションにて連載中の漫画。既刊8巻。
国民的父親野原ひろしが主人公の料理漫画である。

キャラクター原案:臼井儀人 漫画:塚原洋一

概要

主人公である野原ひろしが、外回りの最中に駆け込む昼食店での食事風景を描く漫画作品。

作風は完全に大人向けにシフトしており、今時のサラリーマンの昼食事情をリアルに描いたものになっている。
悪く言うなら、近年急速に増えた『孤独のグルメ』の二番煎じ漫画であり、画風*1が原作とあまり似ていないのもあってネタにされることも多い作品である。

ただ、『孤独のグルメ』の主人公・井之頭五郎は個人の輸入雑貨商かつ独身でしがらみが少なく、余裕がありそうな懐具合も合わせて基本的に自由に食事を楽しんでいるのに対し、
こちらは上司と部下に挟まれ、時間にも追われる中年サラリーマンのどこか哀愁漂う食事風景が描かれており、それが独特の味を醸し出している。


主な登場人物

野原ひろし

主人公。35歳、双葉商事に勤める係長。
原作では愛妻弁当派だが、本作の設定では外食派。
ただし、基本的には愛妻弁当で、たまの外食、という感じなのかもしれない。今作では外回りの仕事のエピソードが基本であり「喧嘩をして妻に弁当を作ってもらえなかった」とこぼすシーンもあることから、社内で仕事をしている時は原作通り愛妻弁当ともとれる。
原作ではほとんど触れられていない仕事内容について断片的にだが語られており、「外回りの多い営業マン」であることが明かされた。*2
珍しい秋田の大学時代のエピソードもある。

昼食には独特のこだわりがあり、それを乱されることを極端に嫌うが、その一方で後先考えずにその場の勢いで注文してしまい、想定外の料理が飛び出してきて頭を抱えて愕然とすることが多い。
ただし、どんなものだろうと出された料理に関しては残さず食うのが信条。
また、ゆっくりと食事を楽しもうとした時に限って予定を忘れていて掻っ込む羽目になったりと、昼食関連に関してはトラブルが多い。

女子の視線を引くために激辛カレーを注文したり、回転寿司でハンバーグ寿司を食べるのにためらいがあったりと「大人の男」らしい食事に非常にこだわる。
だが、実際のところはかなりの子供舌(そもそも、そういうどうでもいいことにこだわって本当に食いたいものを逃す辺りが中途半端に子供っぽいとも言えるが)であり後者に関しては悩んだ末に注文した結果、
他の変わり種寿司やサイドメニューなどと一緒に複数個頼んだりする様子を見せている。
食事にはこだわりがある反面、牛カツ*3やつけそば*4を知らないなど最新の料理に関しては疎い節がある。

一食千円台のランチに平然と手を出すなど、原作に比べるとかなり財布に余裕がある描写が見受けられるが、
一方でステーキ店のランチメニュー*5を予算オーバーとしつつも訪れたり、ホテルのランチバイキングのために節約したりするなどもしている。

川口

ひろしの部下。数少ない準レギュラー。川口のやつ

しょっちゅうスマホを弄っている今時の若者。
「ひろしのおごりだとわかっていながらひろしより高いものを頼む」など遠慮のない性格であり、
彼の登場エピソードでは、「川口と共に昼食に行ったひろしが彼の傍若無人な行動に苛立つ」という内容であることが多い。

だが、その一方で舌は確かであり彼の選ぶ店はひろしも唸らせる。
また、お好み焼き作りが非常に上手く*6、仕事を自分流のやり方で進めた結果失敗した彼を、ひろしは自分とは違うそのお好み焼きも交えて説教するつもりだった。
しかし、(ひろし視点では)まったく味が想像できないそのお好み焼きが気になってしまい、自分のものと交換して食べた結果、その美味さに感服。
そして、お好み焼きがそうだったように、仕事も「決められたやり方を守る」だけが全てではないと実感し、その考えに固執していた自分の視界の狭さを痛感したひろしは、
「決められたやり方を守れ」という説教をするのをやめ、「自分なりのやり方で頑張れ」と川口を励ますことになったのであった。

なお、本作の川口の顔はアニメ版に準じている*7

苗字は不明。あちらこちらの飲食店でバイトしている若い女性。
頻繁にアルバイト先を変えており、しかもそのことごとくがひろしの行く先と被っているため、何度も顔を合わせることになる、
なぜか妄想が大変激しく、ひろしには全くその気はないのだが、彼の意味深な行動に「ひろし=自分を付け狙う野獣」という妄想を抱いている。
一応、別の美人店員にいやらしい目線を送っていた回を始め、急いでいたため必死の形相で駆け込んだ店がたまたま彼女のアルバイト先だったりとひろしに原因がないわけでもない。

おにぎり回では主人公を務め、チャラい感じの店員を偏見の目で見ていたが、最終的に手際の良さや客一人一人の訪れた回数を覚えているほどの心意気などで彼を見直す様子を見せている。
その直後に訪れたひろしがこの店の常連だと分るといつもの様子を見せていたが。もはや運命である。

野原みさえしんのすけひまわり

直接登場したのは回転ずしのエピソードのみで、それも足だけで顔は描かれず。ひまわりに至っては「た」という吹き出しの存在でかろうじて同行していることがわかるのみ。
デフォルメされていないため、しんのすけの足が長くかなり違和感がある。画風の違いと言えばそれまでだが。

電話相手としては頻繁に登場しており、時々喧嘩をすることもあるものの、原作を考えれば当たり前だが関係性は良好であることがわかる。
家族を大切にしている「家族愛」については、本作でも健在である。


その他

喫茶店 サンフラワー

繁華街から外れた場所にある喫茶店。
色あせた食品サンプルや昔ながらのテーブル状のゲーム筐体が置いてあったりとひろしをして「時間が止まっている」と言わしめるレトロなお店。
店長は水を差し出す際もプルプルと震えていたり注文を聞き返したりとかなりの年配だが料理の腕は確か。
ひろしは数回訪れているが、レトロな雰囲気故か訪れるたびに学生時代の失恋など昔のビターな思い出を思い返している。
「ナポリタンにピラフ こりゃまた懐かしいな」と食品サンプルを前に呟くシーンは表情とCV: 藤原啓治氏の他の配役から食品がコードネームの二人を始末しに来た刺客などとネタにされていたり。

余談

主人公のいろんな意味での知名度の高さからか、2021年にはエースコックからコラボ商品として「もやしそば」の塩とみそが発売された。


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最終更新:2024年03月20日 12:05

*1 ちなみに、作者の塚原氏の画風は近代麻雀などで活動していた時期の頃は、今の画風とは似ても似つかないレベルの高い劇画風の路線だった。本作によって作者について知った読者からは、このかなりの作画の違いっぷりに驚きを見せる人は多い。こちらの画風での昼メシの流儀を見てみたかったという声もある。ある程度巻数が進んだあたりで要所でその頃の画風が見え隠れしている。

*2 ただし、原作とは一致しない描写もあることから作風の違いからめ本作のみの独自設定、パラレルとして扱われる向きも。

*3 牛肉をミディアムレアに揚げて薄めに切り分けた料理

*4 ラー油を使った辛めのつゆなどハイカラなつけだれにつけて食べる蕎麦

*5 千数百円ほど。モチーフはおそらくステーキチェーン「いきなりステーキ」のワイルドステーキ。

*6 コーン玉のラーメンスナックトッピングのマヨ多めと相性の良い組み合わせを選んでいる。さらに食感のために厚みをもたせつつ綺麗にまとめて片手で見事にひっくり返した上、火を通りやすくするために穴を空けるという調理面でも完璧な配慮&腕前を見せている。

*7 そもそも、川口はアニメオリジナルキャラクターであり、逆輸入の形で原作50巻に初登場を果たしているが、原作とアニメ版で顔が全く異なっている。