登録日:2018/05/23 (水) 15:52:40
更新日:2024/10/03 Thu 22:16:05
所要時間:約 10 分で読めます
成田エクスプレス(Narita Express)とは。
JR東日本が運行する
成田空港アクセス特急列車。略称
N'EX。
京成電鉄が運行する
スカイライナーと競合関係にある。
本項では、成田空港へ直通運転を行っていた
JR東日本の臨時特急列車についても述べる。
列車概要
1991年の
成田線空港支線開業と同時に運行開始。
運行開始当初から全車座席指定となっており、当時としては異例の扱いだった。
JRグループでは初となる空港アクセス列車であり、斬新なデザインの車両や複数の始発駅を設定し、途中駅で併結し空港に向かうという従来とは大きく異なる運行体制が大きな話題を呼び、折からのバブル景気に伴う海外旅行ブームもあって、利用客が急増することとなった。
成田空港と
横浜、大船、
新宿を結ぶ。一部の列車は
東京駅で横浜方面の列車と新宿方面の列車の増解結作業を行うため、東京-成田空港間は
多層建て列車となる。
週末や大型連休などの利用者が多数見込める時期には、定期列車の延長運転扱いで
横須賀線横須賀、富士急行線河口湖発着の列車が設定されたこともある。
かつては池袋、八王子、高尾、
大宮発着列車もあったが、利用者数減少のため、2024年3月16日改正で全て廃止され、北は全て新宿発着となった。また、大船発着列車も運行開始当初よりも減少傾向にある。
これは、2010年の
羽田空港の国際化に伴い、上述したエリアの利用者が羽田に流れてしまったことが大きい。
一方運行開始当初は
千葉県の県庁所在地である千葉駅を通過することに対して、千葉駅周辺の住民などから批判が上がった。
なお、運行開始当初は
東京駅で搭乗手続きができるチェックインサービスの導入が検討されており、253系の設計に際しては荷物室の設置も検討されたが最終的には見送られている。
車両
老朽化の進んだ253系の置き換えおよび成田空港の発着回数増強による利用者増加、京成スカイライナーの最高速度160km/h運転開始による利用者逸失を見越し、2009年に登場。6両で1編成を組み、2編成連結することで12両編成を組む。
成田空港向きの先頭車になる6・12号車がグリーン車の他は全て普通車で、座席は両方共通路を挟んで4列の回転リクライニングシート。車内ではWiMAXを利用したWi-Fiサービスが提供されている。
ラゲージスペースは大きく取られており、乗客が操作するダイヤル錠がグリーン車で24個、普通車は1両あたり32個設置されている。
運転台は貫通式となっており、2編成連結時には車内から通り抜けが可能となっている。連結時に使用する貫通幌は自動で動く。
制御装置はIGBT素子を利用したVVVF制御。また、揺れを抑えるため、連結部には油圧で揺れを減衰する車間ダンパが装備された。パンタグラフはシングルアーム式を1編成に3台装備するが、通常時は2台のみ使用する。
一時は臨時特急「マリンエクスプレス踊り子」として東京~伊豆急下田間で運行されていたこともある。
2023年から車体塗装をリニューアルすることが発表され、同年5月から第一陣が登場した。
基本デザインは変わらないが、前面のダークグレー部分がシルバーに変わり、側面にもシルバーが入る253系に近いものとなった。
このリニューアルでは公式発表で『「ご利用いただく様々な場面」や「移り変わる沿線地域の風景」を映し込むデザイン」』とされ、他列車での運用もあるのでは?と噂されていたが、2024年3月改正からは255系に代わって特急「しおさい」に導入された。これに伴い全編成からN'EXのロゴが撤去されている。
2010年鉄道友の会ブルーリボン賞受賞。
1991年登場。
登場時は全21編成が3両編成で、1992年から4年かけて12編成に中間車を3両増結して6両化。2002年に増備された2編成のみ最初から6両編成で登場した。
これに伴い最長12両での運用が可能となった。
「北極圏の白」「成層圏の灰色の空」「地平線に輝く赤い太陽」「果て無き黒い宇宙」をイメージした赤・白・グレーのカラーリングが特徴で、後継のE259系にも引き継がれた。
先頭部は貫通式とし、複数編成を連結した時には幌を接続して通路を構成できたが、通常は乗務員専用通路とされ、乗客が通行できたのは非常時に限られた。
走行装置は、251系で実績のある界磁添加励磁制御に高速性能を強化したMT61の組み合わせ。台車は揺れを軽減するオイルダンパを装備したボルスタレス台車。
2002年に登場した増備車である200番台も界磁添加励磁制御としているが、部品は
武蔵野線転用に際してVVVF化で余剰となった205系からの発生品を装着した。
最高速度は130km/h。…と、カタログスペック上ではなっているが、実際のところは編成中の電動車の比率が2:1と比較的高いため出力にかなり余裕があり、160km/h走行も十分可能な性能を有しているとされている。実際、
埼京線において新型ブレーキ装置のテストのために160km/h走行を行ったこともあるようだ。
車内は時期によってかなりばらつきがある。
まず普通車は登場時は4人がけのボックスシートだった。座席は
リクライニングしない。これは空港利用客が大荷物になるため、座席と座席の間や座席下の空間に荷物を収容できるよう配慮したためだが、これで割高な特急料金を取っていたあたりぼったくりと言われても仕方ない気がする。ただ外国の長距離優等列車でもこういったボックスシートや非リクライニングシートは当たり前らしく、外国人にはそこまで悪評が立つものではなかったらしい。
平成に入ってから登場した特急車でボックスシートは色々問題があったのか、後に
TGVなどにも採用されている2人がけの集団見合い式シートに変更されたが、相変わらずリクライニングはしなかった。
グリーン車は登場時は4人用のコンパートメントを用意し、これに組み合わせる形で1人がけの回転リクライニングシートを通路を挟んで2列に展開するタイプと、2人がけと1人がけを通路を挟んで展開する物の2種類を用意した。シートピッチは1人+1人タイプがグリーン車の標準に比べてやや狭かった。
2002年に登場した2編成については、普通車が2人+2人がけの回転リクライニングシートとなり、グリーン車は2人+1人がけの回転リクライニングシートとした。ただし、グリーン車のシートピッチはやや狭かった。
2003年から従来の車両を対象にリニューアル工事を行い、3両編成のグリーン車は個室のみグリーン席とし、開放席は2002年増備の編成と同じ回転リクライニングシートに交換された。
2009年より後継のE259系へ置き換えを開始。まず、3両編成が全車運用を離脱して廃車。残った6両編成も、2010年6月をもって成田エクスプレスの運用から外れた。
登場して10年も経っていなかった200番台については、国鉄型の485系・189系を使用していた東武線直通特急へ転用されることとなり、グリーン車の普通車化・貫通扉の閉鎖・東武用の保安装置搭載・普通車のシートピッチ拡大・VVVF制御への更新などの改造を実施している。
廃車後、2編成は
長野電鉄に譲渡され、同社の特急「スノーモンキー」として運行されている。
1992年鉄道友の会ローレル賞受賞。
鉄道模型
Nゲージでも、トミックスが実車登場直後の1991年に253系を発売。初めてのハイグレードモデルとしてリリースされ、先頭車のヘッド・テールランプのON/OFFスイッチ装備、連結間隔が狭くなるTNカプラーの装着、車端部の
トイレタンクも再現されるという力の入れっぷりで、後発のKATO製品がリリースされた後もトミックス製を買う人が多く、かなりの売れ行きを記録したものの、利益は微々たるものだったという。だが、253系の開発で得たノウハウは後年多数リリースされるハイグレードシリーズの開発に大きく活かされることとなった。
2004年3月のダイヤ改正で、特急列車「ウイングエクスプレス」が成田エクスプレスに統合された時、ダイヤ改正実施直後の数日間だけ使用された。
停車駅一覧
●:全列車停車
※:一部停車
共通停車駅
新宿方面
品川 |
● |
武蔵小杉 |
● |
横浜 |
● |
戸塚 |
● |
大船 |
● |
料金
比較的近距離を運行する列車ではあるものの、特急料金はA特急料金が適用される。
グリーン料金に至っては一律2,800円と短距離利用だとかなり割高になるが、2024年3月改正からは他線区と同一になり値下げされる。
更に2021年まではラッシュ時に運行される一部列車を除き、定期券と特急券を組み合わせた乗車も出来なかった。
現在はえきねっと商品でチケットレス割引が多数発売されているほか、外国人専用の紙の割引切符や法人向けの回数券も発売されている。
JRの成田空港アクセス臨時特急
中央本線の特急あずさのうち、千葉駅発着の列車を臨時扱いで成田空港まで延伸。延長運転区間は臨時列車のため、定期列車に道を譲りながらの運行となり、佐倉駅で成田エクスプレスに追い越された。使用車両は183・189系。
上野と青森を
東北本線経由で結んだ寝台特急で、ウイングはくつるは上野へ行かずに成田空港発着で運転された。大宮から現在湘南新宿ライン・上野東京ラインが通過している東北貨物線・山手貨物線に入って新宿に向かい、新宿からは
中央快速線へ入り、御茶ノ水の手前で中央快速線から
中央・総武緩行線へ転線。錦糸町で総武快速線に転線して成田空港に向かった。青森行はこの逆の経路で運行された。使用車両は583系。
東京・新宿・八王子・大宮と成田空港を結んだ特急列車。中央線・大宮発着の成田エクスプレスのパイロット版といえる列車で、2002年のFIFAワールドカップ開催時には新潟発の列車まで設定された。
2004年3月の改正で成田エクスプレスに統合され、以後2008年まで臨時列車として運行された。
特急型車両を使用する快速列車で、上野と成田空港を常磐線・
成田線経由で結んだ。上野行は全車自由席、空港行は全車指定席で、指定料金以外の特別料金の徴収はなかった。
2007年の年末に運行を開始し、2008年年始、ゴールデンウィーク、
夏休みの一部の日に運行され、利用動向が良ければ定期列車化も検討していた。しかし利用率が思ったほど延びなかったのか、2008年を最後に運転されなくなった。
追記・修正は35%割引となるチケットレス特急券を予約してからお願いします。
- 特急料金は新幹線並みに高額だけど、その代わり簡単に座席に着席できるから、ホームライナーの代わりに乗る人も少なくないらしい。意外な使い道。 -- 名無しさん (2020-09-07 13:53:36)
- コロナ禍の影響で誕生してしまった成田に行かない成田エクスプレス -- 名無しさん (2021-07-24 01:47:33)
- 大宮または池袋発着のN'EXは廃止されました。 -- 名無しさん (2022-03-12 16:49:06)
最終更新:2024年10月03日 22:16