魔法少女リリカルなのは Detonation

登録日:2018/10/27 (土) 20:36:17
更新日:2024/04/03 Wed 16:40:05
所要時間:約 10 分で読めます






※注意※



この項目では前編『魔法少女リリカルなのは Reflection』の重大ネタバレおよび公開されているPVよりも踏み込んだ情報が含まれます。




孤独じゃない。心をつないだ絆があるから。

救うと決めた。二つの世界の〈明日〉のために。

目指したこの道の果て。何が待っていても。




『魔法少女リリカルなのは Detonation』は2018年10月19日に公開されたアニメ映画。
魔法少女リリカルなのはシリーズの劇場版4作目。前作であるReflectionとは前後編の関係にあり、本作が後編となる。
タイトルにある『Detonation』とは、英語で「爆発」や「爆轟(急激な熱膨張により衝撃波を伴う燃焼現象)」といった意味となる。
魔法少女アニメで爆発なんて言葉がいったいどんな意味を持つのか……え、 大体想像できるって?


主題歌「NEVER SURRENDER」歌:水樹奈々
挿入歌「GET BACK」歌:水樹奈々
   「Daylight on Brave」歌:キリエ・フローリアン(CV:佐藤聡美)
   「暁の祈り」歌:ディアーチェ(CV:植田佳奈)
   「守りたい世界」歌:高町なのは(CV:田村ゆかり)
ED「小さな魔法~Lyrical Flower~」歌:高町なのは(CV:田村ゆかり)

概要

劇場版3作目『魔法少女リリカルなのは Reflection』の公開に合わせてタイトルが発表された直接の続編。
佳境だった前編ラスト場面から直接物語が続いていく。
前編の大まかな流れは『GOD』を下敷きに新設定を加えて再構成したものであったが、今作ではほぼオリジナル展開で進み、前編で仄めかしていた謎も含めて物語が一気に収束する。*1
一応は前編のあらすじが冒頭に流れるものの、やはり一度前編を視聴した上で観るのをお勧め。
幸い本作に合わせて複数の動画配信サービスで『Reflection』を含めたシリーズのアニメタイトルが全て配信されている。
主要なスタッフは共通なため、その辺りの詳細は前編の項目を参照。

直接の続編ということもあってキャラクター数の変動はあまりなく、主要キャラ以外は変身後の防護服デザインにも大きな変更はない。
ただし前編のラストにお披露目となったなのはの新形態「フォーミュラモード」が本格的に動くのは今作からである他、武装の細かい改修など追加要素も多い。
前編ラストの続きなので、戦闘は最初からクライマックス状態で全編通して東京全土を舞台にしたバトル一辺倒。のっけから激しい空中戦が展開される。
戦闘密度も前編に劣らず高く、声優陣の熱演やシリーズ最多の挿入歌数も相まって熱量の高いシーンが揃っている。

『GOD』から大胆にアレンジされた設定もあり、前編やその設定画などに目を通していると気付けるような小ネタもある。また一部設定において『The MOVIE 1stコミック版』『StrikerS サウンドステージX』『魔法戦記リリカルなのはForce』などからの引用・参考にしたと思しき部分も見られ、なのはシリーズの総決算・集大成的な側面も見られる。

また、実はシリーズ劇場版で初のPG12指定の作品となっている(これまではG(全年齢)指定)。
原作が深夜枠の作品な上に、さかのぼると元々エ○ゲーではあるが……まぁタイトルに魔法少女があるからしかたないね。

『魔法戦記リリカルなのはForce』と同等レベルの、劇場版過去3作に比して血生臭い演出や痛々しいシーンがあることは間違いないので、大きなお友達でも心構えはしていた方が良いだろう。
スタッフロールの後には前編同様に週替わりでおまけのウイークリームービーが流れるので、スタッフロール中に席を立つ派の人も一応覚えておこう。

登場人物

前編に出ていたメインキャラはそのまま出演。基本的な設定は前編の項目も参照。
ある人物の回想シーンでは新キャラクターが何人か登場する。

主要人物

CV:田村ゆかり
ごくごく普通の小学5年生。
前編での激闘から続き、アミタから譲り受けた「フォーミュラ」の力で管理局側の特殊戦力して活躍する。
誰が見ても無理をしており、周囲から心配されまくっている。
相棒のレイジングハートが平常運転で支えているのもあってなおさら……そして相変わらずの不屈の心で戦い続ける。

前編や漫画版で示唆されていた、どこか狂気じみた『救うという信念』がピックアップされており、シリーズで久しぶりに「高町なのは」の心情が描かれることになる。
そういう意味では3(4)作目にしてようやく『ヒーロー』ではなく『主人公』になったともいえる。

CV:水樹奈々
なのはの親友。前編で相棒バルディッシュが新しい形態を得たと思ったら、今作でも新形態を披露。
なのはと共に戦うため、アミタにフォーミュラの力を分けて貰おうとするも、使えるナノマシンが残り少なく出力は期待できないとのことで却下されてしまう。
ある意味で妹のような存在と分かり合うことができたためか、戦闘中にもかかわらず感極まって抱き付くなど相変わらずどこか天然。
一方で、なのはの危機に閃光のように駆けつける凛々しさも健在。

CV:植田佳奈
同じくなのはの親友。前編で夜天の書が借りパク状態になったため、汎用の魔導書型ストレージ『グリモワール』で代用。フォートレスの防御兵装も併せて使用する。
夜天の書が相手の手にあるため内心気が気でないはずだが、落ち着いて事態に当たる心の強さを見せる。前々作では大切なものを奪われてるからね……
前編では単独戦闘の都合で足を止めて撃つ超火力魔法を発揮できなかったが、本作では夜天の書の主本来の戦い方である『守護騎士が露払いを行い、管制融合騎が計測・照準、しかる後に夜天の盟主が範囲殲滅』という戦い方を見せる。

フローリアン姉妹

CV:戸松遥
キリエの姉。妹を止めるため地球にやってきた後、なのはたちの協力者となった。
妹のことや、緊急時とはいえフォーミュラの力をなのはに与えてしまったことに重い責任を感じており、結果なのはに劣らないほどに無理を通すイケメンお姉ちゃん。前編から引き続きバイクアクションを見せる。
作業機械ギアーズではなく人間ではあるが、過酷な環境に適応している上にフォーミュラによる強化まで施されているためかなり頑丈。そのためかやたらとバイオレンスな負傷に見舞われる頻度が高い。その点については劇場挨拶や本編終了後のウィークリームービーでも指摘されている。

CV:佐藤聡美
アミタの妹。前編の中心人物であり、父と母星を救うために親友と共に地球へやってきたが……
前編での出来事で心が打ちのめされてしまうも、自らが起こしてしまった事の重大さを改めて実感し、また一時的に正気に戻ったユーリの援助で母エレノアとも連絡が可能になったことで『重大な事実』が発覚。友達を救うため、自分にできることをすると決意を新たに戦場に赴く。

王とその従者

CV:植田佳奈
八神はやてのデータを使って復活した、夜天の書に封じてあった「王の魂」。
前編では従者共々なのはたちと敵対したが、復活したユーリの存在に何やら思うところがありなのはたちに協力する。
『GOD』からの設定変更によるものか、デバイスは『エルシニアクロイツ』のみで『紫天の書』は持たず、協力に際してはやてからグリモワールの一冊を譲り受ける。

呼び起される前の記憶はイリスによって封印されており、緑の草原、大きな木の下でシュテルやレヴィと共にいたこと、その場にはユーリがいたこと程度の断片的なものしか思い出せない。
自分たちの『無限に湧き上がるほどの大いなる力』を欲する渇望の根源がユーリと関わると推測し、記憶を取り戻してからはユーリのために奮戦する。
「我これ主人公じゃね?」

CV:田村ゆかり
高町なのはのデータを使って復活した、夜天の書に封じてあった「魂」。
前編ではなのはと戦闘し、敗北するも互いに通じ合うものがあったらしい。
ディアーチェを王として付き従っており、その忠誠心は己が身を犠牲にするほどに高い。
今作ではディアーチェ、レヴィと共に因縁のあるユーリに立ち向かう。

彼女の戦力は炎熱変換資質など謎が多く、特に左手の籠手『ブラストクロウ』は、ベースとなったなのはの魔導データには構想レベルでも存在しない。
あと靴下が猫。

CV:水樹奈々
フェイトのデータを使って復活した、夜天の書に封じてあった「魂」。
シュテルを「シュテるん」と、ディアーチェを「王様」と呼んで慕っている。
子供っぽい性格ではあるがディアーチェへの忠誠心はちゃんとあり、シュテルと共に何の疑いもなく彼女の前に跪き、ご飯は王様の命が無ければ食べない。
はやての発案でユーリから託された紙片の再生作業を行うなど、こちらでも普段の性格に反した細やかさや地頭の良さは健在。

シュテルとは対照的にレヴィの戦力はフェイトとほぼ同質だが、「自身に雷を落として充電する」という無茶苦茶な戦法は彼女のオリジナル。この方法でフェイトがこの時点では未完成だった『トライデントスマッシャー』を『絶・天覇雷神墜』として完成させた。

ヴォルケンリッター

CV:清水香里
ヴォルケンリッターの烈火の将。
敵の中で唯一ノリが合う者と戦えた幸運。

CV:真田アサミ
ヴォルケンリッターの鉄槌の騎士。
デカブツとの戦闘はやはり本業なのか、敵機を無双ゲーの如く落としまくる。

CV:柚木涼香
ヴォルケンリッターの湖の騎士。
巨大兵器相手にまたもパワー系な活躍を見せ、もはや殴りメディック状態。

CV:一条和矢
ヴォルケンリッターの盾の守護獣。
シャマルがやたら殴りにいくため、ザッフィーも負けじと殴りにいく。

CV:ゆかな
リィンフォース・アインスの後継機。
はやての融合騎としてサポートに徹する。

時空管理局

CV:久川綾
時空管理局の局員。クロノの母で、フェイトの義母。前編でフェイトと親子としての関係が進展した。
母親していた前編とは一変して本格的に事件に参加。結界維持のために関東上空で指揮を執る。

CV:高橋美佳子
時空管理局・東京臨時支部の支局長。久々のスーパークロノタイム(裏方)。
負傷した前編からの反省か、本腰を入れてデュランダルの使用も解禁。
ぶっちゃけ今作でもあまり目立たないのだが、前線に出た途端にこの活躍。事実上の最強、バランスブレイカーの呼び名は伊達じゃないのである。

  • レティ・ロウラン
CV:大原さやか
管理局本局本部長。今回作戦の指揮官。
ちなみに既に管理局入りしてる八神家組は呼び捨てだがこの時点では嘱託魔導師のなのはとフェイトにはちゃん付けという細かい違いがある。

CV:水橋かおり
無限書庫の司書で、なのはの魔法の師。
結界魔導師班の要として結界の維持に注力するだけでなく、なのはのフォローにも入る。

  • マリエル・アテンザ、シャリオ・フィニーノ
CV:阪田佳代、伊藤静
管理局技術部の技師たち。次々と変わる状況に応じて武装に対策を施す隠れた功労者。
シャーリーも新人ながらエルトリア技術の解析作業で活躍し、後半に必要だったある情報を得る助けになったとされる。


惑星エルトリア

  • グランツ・フローリアン
CV:なし
フローリアン姉妹の父親。病魔に侵され既に余命幾許もないと宣告されている。
幼い頃は両親が惑星再生委員会の職員であり、エレノアとはその頃からの付き合い。イリスやユーリとも顔見知り。

  • エレノア・フローリアン
CV:伊藤かな恵
フローリアン姉妹の母親でグランツの妻。年齢はおそらく40半ばから後半。
こちらも、子供の頃は両親が務めていた惑星再生委員会の庇護下におり、グランツとは幼馴染。イリスやユーリ、マクスウェル所長とも面識があるのも同様。
夫ほどではないが同じ病に感染している。が、そのことはアミタ(とイリス)しか知らない。
40年前の最後の惑星再生委員会・地上研究所で起きた事故を覚えており、その真実をキリエに伝える。

CV:日笠陽子
キリエを騙し、ディアーチェらを目覚めさせ、ユーリを覚醒させ操る謎の少女。
その正体は惑星再生委員会が作成した生体テラフォーミングユニット。型式番号『IR-S07』でイリスはマスコットネーム。
『GOD』におけるフローリアン姉妹よろしく、機械でありながら人間同様に成長・学習する。委員会の面々からも娘や妹のように愛情を注がれており、彼女もまた惑星エルトリアの再生に努力していた。
しかし、40年前の事故により委員会はエレノア達などごく少数を残して全滅。その事故の原因がユーリであるとして戦うも敗れ、家族の仇として復讐を誓い、廃教会に思念データのみの姿で残留していた。

フォーミュラシステムによる環境適応能力や無機物の操作だけでなく、テラフォーミングユニットとして潤沢な素材とエネルギーさえあれば自身の分身を生み出す能力を披露し、関東を覆う結界を排除するために分身を生み出して時空管理局に牙を剥く。
このシステムは委員会時代は封印されており、ごく一部の者にしか存在も知らされていなかった。また、群体の一部はイリスの意思とは外れた行動を取り始め――?

  • フィル・マクスウェル
CV:山寺宏一
惑星再生委員会・地上研究所の最後の所長。
出自は平凡ながらも並外れた技術力を有する研究者で、イリスも彼の作品。そんな彼でも既に最後の一ヶ所となるまで衰退した委員会を維持するのが精一杯で、予算の具申などお上とのやり取りに常に苦悩していた。
「最後に笑っていればいい」というのが信条。

イリスには実質的な父親として惜しみない愛情を注いでおり、他の職員やユーリとの仲も良好。だが政府に伝えていない資金運用など、疑わしき人物として委員会の解散後は査問が予定されていた。
40年前の事故の際、ユーリによって殺害された様子。

不明

CV:阿澄佳奈
前作終わりでイリスに操られていた少女。引き続き望まぬ戦いを強いられている。
ベルカ語での会話をして八神家を驚かせた。通常言語での会話ももちろん可能。

彼女とイリスの出会いは、イリスがエルトリアの危険地帯の探索をしていた時。
『GOD』とはだいぶ設定が変わっており、その正体は古代遺物保守管理システムの生体端末。
既に『闇の書』と呼ばれるようになっていた夜天の魔導書を安全に管理・運用するために、ベルカで開発された存在。
彼女が保守管理を務めていた間、夜天の書は主候補不在の世界に転移・滞在する事例がたびたび発生しており、エルトリアを訪れたのもそのためと見られている。

エルトリアには存在しない魔導の力を持ち、その中にプロジェクトの中核として超希少な『生命操作』の魔力素養を有していたことから、エルトリアの再生を為し得る力として、そしてイリスの友人として委員会に迎え入れられた。
闇の書が死と破壊の力に飲まれ危険な存在と化してしまったことを愁いていたが、エルトリアで自分や夜天の魔導が役に立つことを喜んでいた矢先、件の事故によって委員会は壊滅。
マクスウェル所長や委員会メンバーを殺され激高したイリスに襲い掛かられるも戦闘不能に追い込み、自身も力を使い果たしたことで緊急避難として自身を闇の書に蒐集させ、いつか戻ってくることを誓いながら闇の書の転移とともにエルトリアを去った。

その後のことは我々視聴者もよく知るところである。
シャマルは夜天の魔導書から闇の書の闇を切り離した際にユーリの頁も本体から切り離され、東京湾で結晶化していたところをオールストン・シーの開発中に発見されたのではと推測している。

戦闘においては『GOD』では無形のエネルギーだった魄翼は無機質な盾状のフォルムに再設定され、追加武装として巨大な腕型の攻撃武装『鎧装』が与えられた。
鎧装は第二形態に移行することで主駆体が起動し、ユーリと夜天の書の主を守る対戦艦級の「個人要塞」として設計されている。

なお、今作のユーリは戦闘の意志がなく外部から操作されていたこともあり、最後まで真の戦闘力は発揮していない。
(設計理念上当然といえば当然だが)本来のスペックでは闇の書の暴走にも耐えうる。

イリス群体

CV:日笠陽子
  • 「量産型」
イリス群体の大部分を占める個体。ピンクの短髪に銀のバイザーという外見で統一。一応役目に応じて多少の差異はあるらしい。
フォーミュラによって作られた人形であり、戦闘用はヴァリアントシステムも内蔵し数だけでなく単体でも並みの武装局員以上の戦闘力を持つ。が、流石にエース級相手では十把一絡げのモブキャラ。
最低限の判断能力は持つものの基本的に命令に従うだけの人形……というわりに地下鉄の運転手は制服だったり、生産担当は作業着だったり場のノリに合わせる程度にはお茶目。
『判断力に乏しい人型増殖兵器』ということで、『サウンドステージX』のマリアージュを思い出させる。

  • 「固有型」
「量産型」や機動外殻への指揮権を与えられた上級個体。外見も個々で異なる。
より高度な判断能力や会話能力、明確な自我を得ているがあくまで『イリス』の群体に過ぎず、大本であるオリジナルイリスの判断に従うことが大原則。
製造の際に人格にも個性が生まれており、武人気質だったり荒くれ者だったりと千差万別。最終的に破壊はされず全員捕縛されたがその後のことは不明。
『指揮官クラスの個性持ち』ということからモチーフはおそらく『StrikerS』のナンバーズ

  • エクスカベータ
「掘削」の名を持つ機動外殻。前編に登場した『海塵のトゥルケーゼ』の改良型。
侵攻だけでなくイリス群体を生産するための素材を効率的に採掘・収集するための機能が充実している。
やっちゃえエクスカベータ!

  • ヘクトール
機動外殻。前編に登場した『城塞のグラナート』の改良型。
主な用途は拠点制圧で、内部にイリス群体や資材を多数格納できる移動要塞。

他に『黒影のアメティスタ』改良型と思われる飛行タイプの機動外殻も登場しているが、どれも多少苦戦した前編と異なりヴォルケンズやなのはたちに複数丸ごとあっさり撃墜されている。


その他

CV:釘宮理恵清水愛
なのはたちの親友。今回の事件の影響でオールストン・シーでの宿泊が中止になったため、月村邸で成り行きを案じている。

用語


  • フォーミュラ
アミタ、キリエ、イリス、そして今作ではなのはも使う、エルトリアで開発されたエネルギー干渉技術。
体内に循環させたナノマシンを使ってエネルギーを運用する、エルトリア版の魔法のような存在。
無機物の形状を自在に変化させるヴァリアントシステムと合わせて使われる。
アミタたちの防護服フォーミュラスーツや、イリスが使用するウィルスコードもフォーミュラ技術に入る。
前作終盤で登場した「フォーミュラモード」は制御はかなり危ういバランスで成り立っている上に、活動限界時間も非常に短い状態だったが、再改修でなのは向けにチューンされてだいぶまともに扱えるようになった。

  • 惑星再生委員会
死蝕に侵され荒廃した惑星エルトリアを人の住める星に再生するために動いていたエルトリアの公的組織。
グランツとエレノアの親の世代が所属しており、規模は小さいながらも職員たちの熱意は高く、
死蝕の中でも機能する独自のテラフォーミングユニットを開発し運用するなど優秀な技師がいたことがうかがえる。
しかし、上では宇宙への移住計画が軌道に乗っていたため中々予算が下りず、
惑星再生の希望は僅かに見えていながらも、最後には実質的な解散を上より命じられることになる。
その後、何らかの事故が起きて所長を含めた多くの職員が亡くなったと言われている。
組織としてはもう無くなってしまっているが、ここで研究された技術は残っており、漫画版でも少し触れられている。
実質的にこの委員会の目的はグランツたちが受け継いだ形となる。











※以下には本作における重大な設定が書かれています※
※ネタバレ注意※













































  • ウィルスコード
イリスおよび黒幕が任意の人物を操るために使用していたもの。これもフォーミュラによる力。
発動時は目に赤いコードのようなものが映り込み、目から目へ送受信される。
操る対象ごとに合わせた繊細な調整が必要で、完全に制御に置くことは実際困難を極める技術だが、逆に本人の意識をある程度残したまま操れるということでもありかなりえげつない。

  • ディアーチェたちの真実
ユーリとの二度目の戦闘の際、その手に触れた瞬間ディアーチェらは封印されたすべての記憶を思い出した。

彼女たち三人、否三匹は、かつて弱っていたところをユーリとイリスに保護された、エルトリアでは絶滅危惧種の山猫の子供だった。
記憶に残る大きな木は遊び場のキャットツリー、緑の草原はカーペットのことだったのだ。

自分たちに温かい寝床と食事を、命を与えてくれたユーリ。恩人のために何もできない手ではなく、喋ることのできない口ではなく、遊び道具にしかならない尻尾ではない、彼女を守るための力が欲しい。それこそが『大いなる力』を求めた起源だった。
そしてまさに望んでいたそれを手に入れた三人は、恩人を縛るウィルスコードに負荷をかけ戒めを解くために、主人を傷つける辛さに耐えて一度はユーリを撃破する。

しかし、そこに現れた黒幕によって致命傷を負い、またしてもユーリを連れ去られてしまう。
もはや三人に戦う力は残されていなかったが、シュテルとレヴィは自分らの魔力とリンカーコアをディアーチェに託す事を提案。

二人の意思を尊重し、力を託されたディアーチェ。猫の姿に戻った二人を抱くその姿は黒い翼に朱と空色が加わり、かつての夜天の融合騎を彷彿とさせる長髪に変化していた。ちなみにわかりにくいが身長も伸びている。

三位一体の姿――『トリニティブラッド』となったディアーチェは三度操られるユーリを今度こそ助け出すために再臨した。
バルニフィカスとブラストクロウ、受け取った二つの武装で鎧装の腕を破壊し、ユーリを拘束する。
そして愛する恩人のために、涙ながらの感謝の言葉と共に、三人分の魔力を真実全力で放つ『エクスカリバー・トリニティ』によって、ユーリはついに呪縛から解き放たれた。
魔力を全て失い猫の姿に戻り、倒れたディアーチェ。そんな彼女にユーリは駆け寄り、涙ながらに抱きしめた。

  • 侵攻武装「マクスウェル」
CV:山寺宏一
キリエを騙したイリスを真に操っていた、今回の事件の本当の黒幕。
その正体は、イリス群体として甦ったフィル・マクスウェル。

そもそもことの始まりはエルトリア惑星再生委員会フィル・マクスウェル所長が『IR-S07』――イリスを開発した時にまでさかのぼる。

無機物や金属を自在に操り、増殖機能を持つテラフォーミングユニットというのは表向きの話。その実態はどんな環境にも適応し、無尽蔵に個体を増やして敵地を制圧する増殖兵器。
その事実を知る者はほとんどおらず、またマクスウェルがイリスに向ける愛情は(『愛情が燃料になる』という歪んだ哲学があったとはいえ)本物であったし、委員会が破綻せずにいれば有能な所長としてそのまま誰にも知られず終わる可能性もあった。
しかし現実には政府は資金提供の打ち切りを決定。それを受けてマクスウェルは「下らない閑職に回されるのが可哀想だ」という理由で部下たちをイリス群体を使い抹殺。
さらにイリス、そしてその友人で魔導という力を持つユーリと共に新天地――軍需企業へ行こうとユーリに提案するも拒絶され、ウィルスコードによって強制的に支配しようとする。
しかし、以前からイリスの真実やマクスウェルの不審さに気付いて隙を見せなかったユーリへの洗脳は不完全で、そこに猫のディアーチェらが介入したことで洗脳が途切れ、ユーリによってマクスウェルは殺害された。
これが40年前の事故の真実だったが、当時既に仕込まれていたウィルスコードによって「ユーリが全ての仇であり、疑う余地はない」と思考誘導されたイリスは、ユーリと決定的な仲違いをしてしまう。

さらに、マクスウェルは「最後に笑う」ため、イリスに入念な仕込みを施していた。
それはイリスの思念データが一欠片でも残っていれば再生するという強力な再生能力と、その中に自身の記憶と人格の複写データを隠しておくというもの。
結果、キリエの協力でイリスが復活すると同時に「固有型」百数十体分のエネルギーを用いてマクスウェルもまたイリス群体として復活を果たした。
その際に髪型が変化しており、ジェイル・スカリエッティに似ているかもしれない。

そのスペックは破格の一言。ヴァリアントシステムによる戦闘能力に加え、『アクセラレイター・オルタ』をフルスペックで使用することができる。イリスやキリエが使うものはプロトタイプ。
さらに完全に覚醒したマクスウェルはオリジナルイリスとの主従関係を逆転させ、イリス群体の全てとユーリを自在に操ることさえ可能にしてみせ、オリジナルイリスもウィルスコードで操ってしまった。
「(エルトリアも地球も)等しく私の実験場」「(魔導とフォーミュラを融合させたなのはに対し)君も私の子供にしてあげよう」と傲岸不遜に言ってのけるだけの実力の持ち主。

なお、ここまででお気付きかもしれないが
  • プレシアとは別ベクトルながら「子供」への歪んだ愛情を抱き、
  • 闇の書やナハトヴァールを思わせる不滅性、
  • スカリエッティのような人型兵器の開発技術、
  • イリスはマリアージュと類似した増殖兵器でもあり、
  • ハーディス並みの余裕と狂気を隠している。
と、なのはシリーズの歴代ラスボス(一部暫定)の特徴を見出すこともできる。こんな集大成は嫌だ。
なお都築氏はインタビューで「悲劇の悪役でも、救済対象でも、理想と信念の悪でも、ド外道でもない、『心の大事な部分が致命的に欠如している人』にした(メガミマガジン2018年12月号・長いため要約)」と答えている。

しかし、規格外すぎるなのはの底力を計測しきれなかったのが運の尽き。
限界を超えて戦うなのはに徐々に押され、反撃に転じるも駆けつけたフェイトに妨害され、
最後はお約束前々作からさらに強化された『ブラストカラミティXF』の直撃を受け、両腕と下半身、さらに目元が吹き飛び内部機関が露わになった見るも無残な姿で地に倒れた。



しかし――


  • イリス固有型「衛星砲護衛機」
最後に残されたイリス群体。イリスとキリエが地球に飛来した際、マクスウェルがこちらの人工衛星に細工を仕込んでいた。
フォーミュラで衛星砲に改造した人工衛星を守る独立個体で、「固有型」の一種ながらその性質上自我や会話能力はなく接近する敵性存在の殲滅のみを使命とする。彼女自身の砲撃も衛星軌道上から海面まで届く威力を誇る。
なお、Twitter上で行われた「#群体イリスグランプリ」投票で1位に輝いた。ぶい。


関東一帯を衛星砲の射程に入れて「自分とイリス、ユーリの離脱を認めるならこの街を見逃そう」と取引を持ちかけるが、なのはとアミタにはあっさりフェイクと見抜かれる。
そもそも封絶結界で遮断されている以上護衛機と連絡が取れるはずもなく、オールストン・シーのジェットコースターを改造したロケットに自身のバックアップデータを積んでいると判断した二人はロケットと衛星砲の破壊に向かう。

ロケットはアミタが狙撃により破壊したものの、護衛機の攻撃により腹部に大穴の開く重症を負い戦線を離脱。
残されたなのはは自身の武装と借り受けたヴァリアントザッパーの全てを使いきり、最後は掌からのディバインバスターで衛星砲もろとも護衛機を吹き飛ばした。
しかし、護衛機を完全には破壊しきれておらず、組みついてきた護衛機の自爆によりバリアジャケットはインナーを残し全損、レイジングハートも半壊、さらには自分も右腕が千切れ飛ぶなど全身に重傷を負う。
10歳の小学5年生が負う怪我じゃねぇ。

ぼろぼろで朦朧とする意識の中、「満足」と目を閉じたなのはは夢の中で小さな自分と対峙する。
「誰かの役に立てない自分が好きになれない」という苦悩が、魔法という力と出会い悲しませたくない大切な仲間を得たことで少しだけ良い方向に変われたことに気付いたその時。
フォーミュラ融合型バリアジャケット『ブレイズ・ネクサス』を起動したフェイトと、災害救助を想定した騎士甲冑『フォルセティ』を展開したはやて。二人の親友の救助が間一髪のところで間に合い、三人は無事地球へ帰還したのだった。

  • 事件解決後
主犯格であるフィル・マクスウェルは時空管理局に逮捕され、最低限人型の姿に再生されたうえで拘束された。
誘導されてのこととはいえ実行犯であるイリスも拘束されており、素直に取り調べに協力している様子。

取り調べ中にマクスウェルと面会する機会のあったイリスだが、かつては惜しみない愛情を注いでくれていた生みの親の目に、もはや自分への興味はなくなったのだということを悟った。

フローリアン姉妹は時空間の無断渡航に対する厳重注意のみで比較的早く解放された。
ディアーチェ、シュテル、レヴィの三人はなんとか人型に戻れたものの、リンカーコアに至るダメージと魔力不足から縮んでしまっていた。ユーリやフローリアン姉妹とともに故郷のエルトリアに戻って復興に携わるという。

なのはの右腕はミッドチルダとベルカ、エルトリアの技術を結集することで(見た目は)ほぼ完全に回復しているが、しばらくは生活にもフェイトの助けを借りる必要があったほどの重症だったため、貴重な夏休みのうちの数週間は病院生活となってしまった。
結局、年内は訓練も含め一切の戦闘が禁止されたという。

  • エピローグ
そして1年といくらかの月日が経ち、なのはたちは小学校を卒業。

一方、エルトリアのフローリアン農場では収穫の時期を迎えていた。
元猫の三人は元通りもはやどっちが元なのかの姿に戻ったばかりか、シュテルとディアーチェは髪を伸ばし始めるなど少し成長。
イリスも既に帰還を果たし、皆に迎えられていた。
ユーリの治療の甲斐もあって、エレノアの病状は早い段階で進行をストップ。
グランツ博士も、宣告されていた余命よりずいぶん長い間元気でおり、惑星再生の希望が復活したことを喜びながら最期は安らかに息を引き取った。

小高い丘の上に作られた墓標の前で、アミタはキリエとともに景色を眺めながらなのは達のことを話す。
いつか遊びに来てもらえたらいいね、と。




私達の星は、とても綺麗な星ですから――




追記・修正の果て。何が待っていても。



この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 魔法少女リリカルなのは
  • リリカルなのは
  • 劇場版
  • 量産型日笠
  • 完全燃焼
  • GOD
  • 恩返し
  • 機動外殻
  • Force
  • 黒銀
  • Reflection
  • 高町なのは
  • 後編
  • デトネーション
  • PG12
  • Detonation
  • 日笠劇場
  • 集大成
  • パワーインフレ
  • シリーズ最終作?
  • 賛否両論
  • 都築真紀
  • 浜名孝行
  • 映画
  • アニメ
  • 松竹
  • アニメ映画

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月03日 16:40

*1 メガミマガジン等で公開されたボツ設定画などを見る限り、本作は製作途中で大幅にストーリー変更が行われた可能性が高く、前編から続けて見ると回収しきれなかった伏線らしきものがそこそこある。一例として、永遠結晶の正体など。