ヒスタリオ(冒険王ビィト)

登録日:2019/11/01 Fri 02:19:19
更新日:2024/12/16 Mon 00:52:30
所要時間:約 6 分で読めます






…あんたの動きはこの間見切らせてもらった

さあ…選手交代だ…!!


ヒスタリオとは、冒険王ビィトに登場する敵「魔人(ヴァンデル)」の1人。

●目次

【概要】

魔人の中でも伝説級の存在とされる七ツ星魔人の1人。二つ名凶刃(きょうじん)

ビジュアルは薄紫色の肌のゾンビや骸骨のようなひょろっとした細身の姿で、赤い目や愛用のリュートを肩にかけ何かしら曲を奏でている姿が印象的。
ちなみに演奏は巧いらしく「陰気なメロディ」が魔賓館のスタッフであるシャギーガール達に「聞いてるだけで心が凍る」と好評だったが、本人は「魔人の嫌われ者」と自嘲している。

不死身の再生能力を持つ極めて強力な魔人であり、ビィト争奪戦ではガロニュートバロンに続いて3番手を担当。
劇中では、油断も遊びもなく、最初からビィト戦士団を全力で殺しに襲いかかる初の七ツ星魔人としてビィト達の前に立ち塞がる。


【人物】

一人称は(オレ)
気性は短気で喧嘩っ早い好戦的な人物。
物事を時には気長に待つ事が多く気高いバロンのことを「気取っている」と嫌っており、劇中ではバロンを抹殺してから自分の手番を得ようと画策し実行する事すらあった。

ただし短気といっても根はさっぱりした性格。
たとえ殺し合った相手であっても一度殺し合いが終われば禍根を綺麗に水に流して酒を呑み交わすこともある、ドライな魔人でもある。




ブッ殺すってのはよ 俺の愛なんだ

殺して…初めてそいつは俺の友達になる


その本質は「友達が欲しい」という渇望を持って生まれた魔人の中でも屈指の変わり種。
価値観も歪んでおり、他人を殺すことを「愛」と嘯き、ゾンビに変えた人間や魔人を「友」「相棒」と呼ぶ。
総じてグリニデのように人間に価値を見出し、友好的かつフレンドリーな態度を取る異端の存在。

劇中では人間を侮り見下すどころか、「人間の方が魔人より精神が強いのかもしれない」とすら語っている。
後述のライオに対しては「一番の相棒」と称し、「(魔賓館でライオが酒を飲む事に)文句を言う奴は斬り殺す」「いまだにこいつより気の合う相手は魔人(ヴァンデル)にも魔物(モンスター)にもいねぇ」と断言するほどに思い入れが深い。

ただしこの友好的な態度は、一度人間を殺して「友達」にする事が大前提。おまけに肝心の人間への興味もあくまで自分の琴線に触れた人間だけであり、それ以外の人間はもっぱらゴミクズ扱いな上にゾンビに変えても弾除け扱いで使い捨てる。
そのためヒスタリオと戦い、彼の言動を聞き続けたビィトは、自分の欲しか口に出さず相手の心を思いやらないヒスタリオを「ただのクズ魔人」「最悪の敵」と吐き捨てている。








…覇気のねえゾンビの仲間には飽きた

使い捨ての手駒にゃ十分だが
(オレ)の孤独感はちっとも埋まらねぇ…

「凶刃」と謳われた短気な性格も、自分の欲しか口に出さない渇望も、不死身ゆえに命を懸けて頑張った経験もなく共に生きてくれる仲間もいない虚無感と孤独感に由来するもの。
何をしても死なない者にとって、星集めもバスターとの戦いというデスゲームも「退屈で空虚」にすぎなかった。
彼の陰気なメロディとはその心情を反映したもの。

ライオを気に入ったのも、死がない自分にはない「死の直前での一生懸命生き抜こうとする命の輝き」を彼に見たため。このことにヒスタリオ自身が気が付いたのはビィトとの戦いのさなかだった。
それゆえ洗脳という形であるが、仲間となったライオのことは大切にしていたのは本心であり、ライオの洗脳が解除された時には「星なんかもうどうでもいい」というほどビィト達に対して激昂。
洗脳が解除されたライオも、命を救われたことへの感謝・共に過ごした日々への思いも込め決別の際にはヒスタリオを「相棒(ヒスタリオ)」と呼んだ。


典型的な好戦的な魔人と思われていたヒスタリオの裏の性格を知ったノアは評価を改め、ヒスタリオを「相当のはぐれ者」と評価。
ヒスタリオの性格を唾棄したビィトも、狡猾な策こそ用いたが全ての能力を用いて戦い抜いたヒスタリオについて、戦いを終えた後には「あいつは最後まで自分自身の全力で戦った」と評価もしている。


【戦闘能力】

戦闘スタイルはリュートのような楽器に仕込んだ仕込み刀で戦う剣士然としたもの。
仕込み刀の刀身は自身の骨から生み出されたもので、更に任意で体内の骨を刃に変えて四肢から刃を伸ばせる。
リュートの楽器側も骨でできているようで、楽器部分から刃を生やしてメイスのように振り回し武器として使用可能なほか、仕込み刀もリュートも砕けても再生可能。
近くにある手元から離れた武器を冥力で引き寄せる小技も扱う。

単純な戦闘力という点でザンガが操るバロンにボコボコにされたこともあり、「戦闘力はバロンより劣る」と小悪魔ロディーナら他の七つ星の魔人から見られている。
実際ビィトの新才牙「エクセリオンbeブレード」の一閃であっさり腕が切断されるなど肉体強度は非常に低く、ガレルからは「紙屑と戦っているよう」と揶揄されたほど。
それでもバロンの動きを一度見ただけで見切り、いとも容易くバロンに攻撃を命中させているため攻撃力は十二分に高い。

ヒスタリオは短気とはいうがあくまで物事に対するスタンスという趣であり、単に粗暴でキレやすい好戦的な魔人とは一線を画し、慎重に策を巡らせ実行に移し、不測の事態にすら冷徹かつ臨機応変に対応できる知恵者としての顔も持つのが厄介たらしめる。
話術やゾンビ化させた人間を効果的に利用して敵対したバスター達から冷静さを奪い不意を突く悪辣な戦術を駆使し、確実に敵を殺さんとするその戦い方は極めて狡猾。
ミルファから「こいつは自分の長所も短所も知り尽くしている相手だわ。今までの強さ一辺倒の七ッ星とはまるで違う!」と評された。
そしてなにより特異極まりない固有能力も合わせて、シャギー館長から「『対人間』においてヒスタリオ様以上に恐ろしく厄介な魔人はいないのでは?」「正直今回ばかりはあなた(ビィト)が敗れると思った」とまで言わしめ、後に「対人間においては最強・最悪の存在」「人間の天敵」と総括された。


またガロニュート以来の魔物を多用するタイプの七つ星でもあり、使用する魔物は基本的にアンデット系やゾンビ化させた魔物を用いる。
その他、原作では明確な移動拠点を活用する初の魔人*1
不死身ゆえに自分の命を顧みなくてもいいこともあって、戦術として“捨て身”の奇襲や乱入を得意とする。

だが臨機応変に攻め続けることで相手にペースを握らせないことを好む点をビィトには見抜かれ、「逆に奇襲された経験は少なく、後手に回ると弱い」と推論を立てられいた。
実際に後手に回った結果初戦のような自分有利な戦況に持ち込むことはできなかった。


固有能力

ヒスタリオ最大の特徴。大地の冥力を基に、全身が微細な塵になるほど粉々にされても時間をかけば左腕の「星」も含めて完全再生される不死身の肉体
ビィト世界の大地に満ちる冥力が尽きない限り再生が無尽蔵に行われる為、作中では完全不死と明言
全身を粉末レベルまで砕けば門や結界のセキュリティすら完全に素通り可能と、その不死性はグリニデ配下だったフラウスキー完全上位互換
あまりに脆い肉体耐久力も、この不死性のお陰で何の不利にもならない。
不死性を利用して切り落とされた部位の遠隔操作も可能であり、切り落とされた部位を自身に引き寄せ復元を進めたり、遠隔操作で操り奇襲に用いる。
そのため、脆いからと迂闊に彼の身体を切断するばするほど奇襲のリスクが高まり却って不利になる。

損傷が大きいほど再生まで時間がかかる…と思いきや、ほぼ全ての冥力を肉体再生に注ぎ込めば半身が消し飛ぶようなダメージを受けても瞬時に完全再生してしまう
それでも粉末レベルまで砕かれると再生するまで流石に動けないので、粉々になったヒスタリオを輸送するための協力者が必要。
また完全不死と言っても痛覚自体は普通にある模様。

欠点は「自身の肉体が破壊されること」が再生のトリガーとなるため、全身を凍結させられるなど破壊を伴わない行動封じ系の攻撃を受けてしまうと再生能力を発揮できない点。
ビィトから「斬り飛ばした四肢から奇襲を受けた」ことを聞かされた翼の騎士は、肉体を分断させないよう彼に攻撃する時だけ峰打ち(打撃)にすることで対処している。
ただし本人もこの欠点を熟知しているのか、体を動かせない事態になった場合、敢えて配下の魔物に自身の身体を攻撃させて肉体を損傷させる形で拘束を解き苦境を回避する戦術も見せる。
だが流石に体がボロボロの状態でビィトのボルティックアックスの暴走に巻き込まれて生命力を吸い取られ続けた際は危機感を見せた。


自身が殺した生物を魔人、魔物、人間問わずゾンビ化させて支配下に置く、完全不死と並ぶヒスタリオの大きな特性。
こちらも不死の肉体と同じく最初から保有していた固有能力
原理としてはヒスタリオの体内の毒が傷口を介して侵入、他の生物を侵食する形でゾンビ化を引き起こすようで、強い天力や毒への耐性を持つ者はゾンビになるまで時間がかかる。

ゾンビ化した例外なく生物は身体の表面に腐ったかのような黒色と灰色の縞模様が浮かび上がって自我も理性もない文字通りの動く死体と化す。
魔人の場合はゾンビ化した時点で星は朽ち果て消滅する。しかもゾンビ化して時間がたつほどに人格は崩壊していき、会話は出来ないどころかヒスタリオの命令さえろくに聞かなくなっていく。魔人博士ノアはその理由を「魔人は戦い勝ち進む事が精神に刻まれているから死ぬということは心が折れる瞬間なのかもしれない」と推測している。ゆえにヒスタリオは役に立たなくなった魔人のゾンビは不定期に処分している。
だがドクター・ギリリの人体改造手術を用いれば、生前の自我や記憶、天撃を含めた技能・技量を完全に保ったまま擬似ゾンビ化させることも可能。

ゾンビ化した生物は身体能力の向上のみならず非常に高い物理攻撃耐性を獲得。
明らかな致命傷を負った場合でも問題無く戦闘や行動を行え、骨折程度のダメージなら簡単に復元する上に動きも戦闘力も全く鈍らない。
明確な弱点と言えるのは火属性の天撃などで犠牲者の肉体を焼き尽くす事。
完全不死の肉体と合わせ、自分は何度でも殺されても蘇り、相手の手の内は見放題、そして戦場の死体が増えていく程戦力が増す理不尽な戦術は、ヒスタリオ自身「ワンサイドもいいところだ」と嘯く。
この能力の性質上魔賓館に依存する必要性が薄い魔人であり、シャギーは魔札を余り使ってくれない事について愚痴っていた。

ちなみにゾンビ化能力自体はヒスタリオの専用ではなく、『翼の騎士』曰く「魔人や魔物にゾンビ化させられた人間と今まで数多く戦ってきた。同時に、ゾンビ化されて天力を使える者とは会ったことがない」とのこと。
56話のスレッドによるとゾンビ系の魔人がいるらしい。


魔奥義『牙流転生(がりゅうてんせい)

一刀として同じ攻撃は無く、従って誰にも見切れない…
それが魔奥義・牙流転生…!!


ヒスタリオの魔奥義。
リュートに納刀した刀を状況や相手に応じて瞬時に刀身の形状や性質を自由自在に変化させておき、抜刀に応じて変則極まりない攻撃が敵を襲う居合術
抜刀の度に刀身がヒスタリオの思い通りに形を変えるため、他人に魔奥義がバレても問題ないという現状唯一無二の利点がある。
ビィトのエクセリオンbeブレード同様、使用者の臨機応変さが肝となる魔奥義。

劇中ではバロン相手には刃が飛んで命中した箇所を凍らせる効果を披露。
次には無数の刃の弾幕を飛ばす、刃を長くうねる帯状の薄刃に変化させる、大鉈のような肉厚で大きな刀身を構築し破壊力のある斬撃を繰り出すなど、刀身変化の幅は無制限と思われる。
また切り落とされた身体の部位を遠隔操作できたように、抜刀した刀自体もたとえ身体から離れた位置にあってもある程度は遠隔で動かすことができる様子。

ただし形状変化は納刀しなければ発動できないので、抜刀後変化した形状を確認した上でヒスタリオの攻撃を超える速さで防御・迎撃すれば理論上は対処可能。
実際にビィトはこの方法で牙流転生を迎撃したが、これはエクセリオンbeブレードを手に入れたことと以前に牙流転生を見ていたことで性質を把握していたからこそ出来た芸当と考えられる。
ただしそれも
  • ヒスタリオの変幻自在の薄刃をシールド形態で受け止める
  • ランス形態でそれを絡めとる
  • ブレード形態にしてヒスタリオの腕ごと断ち切る
という超精密かつ瞬時に3形態を使い分けてようやく成し遂げており、並の人間・才牙では事前に知っていても到底出来る事ではない。

なお、バロンは初撃はまともに受けて腹を貫かれたが、次に放たれた無数の刃の弾幕はその負傷を抱えたままの体で(かつ、ザンガの制御に切り替わった状態で)簡単に回避してヒスタリオの背後を取り、反撃を食らわせている。


  • 肉体強化(仮称)
ま もうどうでもいい

おまえらさえ皆殺しにできるなら
何もかもどうだっていいぜ……

牙流転生に用いる刀(自分の骨)の刃を脳天に突き刺し、自分自身の体に“自分の骨の形や質を自在に変えられる”牙流転生を発動させることで発揮される最後の手段。
肉体は黒く変色し、今まで脆かった肉体が全身を冥力の防護膜で覆うことで異常強化。
掴まれたスレッドが脱出できないほどとパワーもかなり高まっているが、何より
  • 強化改造されたスレッドのサイレントグレイブの斬撃
  • 破壊力抜群のミルファのライボルトグラスパーとポアラのブレイズガンアームの連続攻撃
  • ブレイズガンアームの超腕力で鈍器として叩きこまれたライボルトグラスパーの直撃
を悉くノーガードで受けても傷一つ付かず、逆にライボルトグラスパーの方がひび割れ損傷するなど劇中最強ともいえる防御力を発揮するのが最大の特色。

グリニデの冥力を筋力強化に注いだ単純な肉体強化とも違い、皮膚が冥力の防護膜で覆われたことで天撃に対しても大幅に耐性が上がっており、通常の天撃をノーガードで弾いてしまう。
これまでは弱点だったキッスの上位天撃天青の氷結波ですら、陽動用に少し弱めにしていたとはいえ刺さらないどころかいとも簡単に弾き返してしまっている

この状態では仕込み刀を失う代わりに指先を刃物のように鋭利に伸ばし剣のように変化させることができ、刃となった手の指による斬撃を駆使している。
ただし防御能力にリソースを全て注ぎ込んだ結果これまでの変幻自在性はほぼ失われており、戦法は徒手空拳の打撃・指の斬撃のみ。
攻撃力や攻撃範囲自体はグリニデやバロンらほど優れてはいない様子。

無論これほどの防御力がノーリスクなわけではなく、本人曰く「やったら星までダメになっちまいそうだった」とのことなので、これまで一切使ったことはなかった。

そしてこの形態になっても、不死性はそのままなので、仮に体を砕けたとしても振り出しに戻るだけである。



万能船デストリューン号

(むくろ)の幽霊船」の異名を持つヒスタリオが所有する巨大な帆船型移動母艦。
『船長』役のゾンビ化した魔人が舵輪を操って操縦し、水中潜航のみならず空中飛行も可能と『万能』の名に相応しい性能を持つ。
ヒスタリオの拠点も兼ねていて、普段は湖底などに隠しておき有事には遠方からの支援砲撃を行う。
ただし支援攻撃の判断やコントロールは船長役の魔人の采配次第なので、ゾンビの思考力低下に比例して攻撃が雑になり、状況判断も碌にせず見境なく砲撃を乱射しだすのがネック。
なので効果的に運用したい場合適宜船長役を切り捨てて新しい船長に交換する必要がある。

ヒスタリオにとっては珍しい超高額商品であり、購入したことについてシャギーはホクホク顔だった。

この手の空中戦艦ものの宿命からは逃れられず、ポアラにメインマストを燃やされ折られ、ヒスタリオの操舵で上空に飛び出すも最終的に墜落しバラバラとなった。


【配下の魔物

  • 腐肉の人
ヒスタリオが操るゾンビの魔物。外見は3m近い背丈の醜悪な巨人。
「腐肉の種子」という物質を墓場に植えることで種子が人骨にまとわりつき、腐肉が増殖することで誕生する巨大な不死兵士。
強い冥力の持ち主なら種子を墓場に植えるだけで生み出せる手軽さが売り。
不死兵士なだけあって高い物理耐久力を持ち、口からは毒液を吐いて攻撃する。
弱点は炎で、炎の天撃を用いれば毒を無効化しつつ物理耐久力も無視して排除できる。


  • ドクター・ギリリ
ああもう!なんなんだこの振動は!イライラするぅ!

デストリューン号と一緒に大金を払って購入した船医の魔物であり、ヒスタリオにとって付き合いの長い片腕。
「拷問ネジ」と呼ばれる種族で、人間サイズのネジに顔と人間の手がくっついて白衣を羽織ったインパクトある風貌が特徴。
頭には魔法使いめいた三角コーン風の帽子を被っている。
指先を麻酔の入った注射器やドリル、メスなどの医療器具に自在に変形させることが出来、変化させた指を用いて手術や人体改造を行うことが出来る。体内にはヒスタリオの身体を調整するための薬品が詰まっている。
元々はヒスタリオの肉体を強化改造するための要員であり、ヒスタリオはギリリの改造によって子供のような体格から大人並みに大きくなった。

一人称は「ワシ」
「魔賓館最高の医療モンスター」を自負するが、デストリューン号付近で行われる戦闘の騒ぎにイラついていた非常に神経質な性格。
ヒスタリオに忠誠を誓う一方で人間はとことん見下す魔物らしい魔物であり、当初はライオの強化人間化にはあまり気乗りはしていなかったが、ヒスタリオの意思に根負けし、人間を生きたまま強化改造して味方にするということへの個人的な興味も兼ねて承諾した。

劇中ではライオが致命傷を与えたスレッドを捕らえて、ライオと同じくヒスタリオの部下にしようと人体改造手術を施したが、最後に義眼を埋め込む前の仕上げ段階でスレッドが覚醒。
何も手出しできないと慢心し、スレッドにゾンビの真実をベラベラ喋り倒したところ、肉体が強化された上に暗殺系武術を会得した特殊な育ちゆえ麻酔から完全に解放されていたスレッドが拘束から脱出。体を細切れにされて呆気なく死亡した。


ゾンビ

  • ゾンビライオ
…安心しろやビィト また昔のオレたちに戻れる
立場は…魔人(ヴァンデル)の側だがな!

ヒスタリオの能力でゾンビ化してしまった元ゼノン戦士団の一番槍。
ゾンビ化の影響で血と左顔面がどす黒く変色し、左目が真っ赤に変色してしまったのが外見的特徴。
ヒスタリオを親友のように思い魔人側の協力者になっている以外は記憶も性格も槍の技量も生前そのまま。
自ら「オレの守る相手はもうゼノンじゃねえ…」と嘯き、ヒスタリオ自身も「俺の一番槍」「一番の相棒」と語るほど信頼を置く事実上の副官ポジション。
自分は人間であるという意識から魔賓館での飲酒を遠慮して外で待機する気配りも見せていた。
生前の記憶も完璧に残っているので強くなったポアラやビィトを感慨深く思う素振りも見せるが、「命令は命令…誰が邪魔しようがやることは変わらねぇがな……」とそれはそれこれはこれの考え方で容赦なく攻め立てる悪い意味での割り切りの良さを発揮する。

才牙こそ使えないが天撃は使えるので手持ちの槍に炎を纏わせバーニングランスを擬似再現し戦いに用いる。
おまけにゾンビ化に伴う不死化によって物理耐久力が飛躍的に向上しておりパワーも強化。首に無数の剣が突き刺さるような致命傷を負っても物ともしないなど白兵戦では極めて脅威な存在と化してしまった。
生前の冷静沈着な判断力も健在なので、百戦錬磨の経験を生かしてビィト戦士団に不足気味な老獪な駆け引きまでこなし、ヒスタリオとは阿吽の呼吸の連携を見せつける。

その正体はドクター・ギリリの手で限りなく不死身に近い生命力を与えられ延命させられた改造人間。
ヒスタリオの細胞を培養して作った特殊な義眼を埋め込むことで記憶を操作して支配下に置いており、実際は人間を殺しても魔物や魔人と同じ思考のないゾンビと化してしまう。
ライオに興味とシンパシーを感じたことは事実だが、やってることは洗脳と肉体改造による強制的な隷属である。

だが上記の通り退屈と孤独感に苛まれていたヒスタリオにとっての転機と呼べる存在であり、ゾンビ化を解除された際は「唯一の心の癒しを奪いやがって」と一方的な嘆きと怒りを露わにした。


  • バスター
ライオ同様ゾンビ化させられヒスタリオの配下に成り果てたバスター達。
メンバーは3人だが全員厚手の服装で素顔や肌を隠している。
ライオ同様自由意思を持ち、ヒスタリオのグランシスタ潜入に寄与した。
天撃は使用できるが才牙を見せることはなく、実力自体も低かったのかカルロッサ達に見つかった際は呆気なく敗北し肉体を焼き尽くされて消滅した。
不可抗力とはいえ同胞のバスターを直接手に掛ける羽目になってしまい、歴戦のBB(ブロードバスター)達といえども非常に後味の悪い表情を浮かべていた。


  • ビルディック
デストリューン号の船底にて縛られて保管していた六ツ星魔人のゾンビ
ポアラの胴体を手でつかんでしまえるほどの巨躯が特徴。胸部分にある顔のような胴体や尻尾・足の爪などは恐竜を思わせる。
胴体部分の顔が口を開くと、BB(ブロードバスター)達でさえ圧倒されるほどの衝撃波を放つ。
ゾンビ化の影響もあるのか不明だが、BB(ブロードバスター)達の才牙による猛攻をものともしない防御力の持ち主。六ツ星だったのは伊達ではないということだろう。

ヒスタリオの手駒のゾンビ魔人の中では最強の札だが、一度解放するとヒスタリオすら制御不能で暴れ回るのが欠点。
ヒスタリオ曰く「使い道がなかった」らしく、ヒスタリオは名前を完全に忘れ去っていた。
理性こそ無いが巨体によるパワーファイトで圧倒したが、ポアラの才牙ブレイズガンアームで腕をあっさり消し飛ばされ、更にバーストエンドの直撃を体内から受け腰から上が消滅する形で敗れた。


【劇中での活躍】

◆過去

「お前は魔人として生まれたのだから戦いに生きるのだ」初めて目が覚めた時から頭の中の何かにそう命じられていたにも関わらず、生まれた時から闘いを好まない気質故に、「百歩譲って人間を倒すことは良いとして魔人は仲間だから戦うのはおかしい」という異端の思想から、さっそく魔人の友達を作ろうと行動を始める。
しかし基本魔人という種族は好戦的な個人主義者ばかりな上貧弱そうな外見から他の魔人に殴り飛ばされ頭と片腕が千切られる散々なファーストコンタクトの結果に。

だがそれによって自分が死なない体であることを知り、更にリベンジで自分を殺した相手を殺害したあとはその相手をゾンビとして操ることができることを自覚。
その後は戦った相手をゾンビ化させ、無理矢理「友人」に仕立て上げる凶行に走るようになった。
短気な性格は元々の気質に加えてそんな生活を送る中で育まれたのだと思われる。

…が、その一方で当初は魔人や魔物を友達に変えていたが、次第に殺した魔人が生前のような気概を失った物言わなぬゾンビとなり果てる事に不満を抱えており、
加えて不死の肉体と死者のゾンビ化による一方的な勝利を重ねた結果、やがて勝利そのものにむなしさを覚え始めるジレンマを抱え始める。
やがて魔人を『友達』にすることに見切りを付けたヒスタリオがその狂気の愛の矛先を向けたのは、魔人にとっての最大の敵である人間だった。

なお友達は欲しいが恨みは忘れないタイプなので自分を虐めた魔人達はゾンビに変えてから早々と全員使い潰した。

完全体で生まれる魔人には珍しく、生まれた時には今と違い小柄だったが、ドクター・ギリリによる肉体の強化改造を経て現在の姿となった。

約3年前、孤独感にあえいでいた頃、ベルトーゼとの戦いの途中で何者かによって各地に飛ばされていたゼノン戦士団のライオと遭遇。
才牙もなく満身創痍のライオに勝利するも最期まで「かかってこいよ…七つ星っ」と啖呵を切って見せたライオを気に入り、「こいつはなにかが違う」という直感から彼を殺さず改造・洗脳をして己の相棒にした。

自分の予感通りライオとの相性はよく、ヒスタリオの孤独と虚無感は彼と過ごす間だけ癒されることとなった。

◆ヘカトルテ〜サンクミール編

グリニデ死亡に伴う、ビィトの討伐を条件とした八輝星争いのため、ロディーナに呼び出されて他の七ツ星と共にベカトルテのマニヨン島に現れる。
ガロニュートの「カードでビィトと戦う順番を決める」提案にも特に反対せず、3番手となった。

本格的な活動は11巻から。

ガロニュート死亡後、ビィト争奪戦二番手のバロンの悠長な性格に業を煮やし、バロンを抹殺して自分の順番を得ようと考え一度バロンの拠点を襲撃するが、突如現れた魔人博士ノアに静止され撤退。

次は邪魔されないようノアの元に多数の魔物たちを送り込んだ上で、バロンを殺害しようとサンクミールでビィトと交戦中のバロンのもとに現れ、魔奥義で攻撃。
しかし、ザンガの覚醒に伴いボコボコにされた上に、ボルティックアックスの暴走に巻き込まれて致命傷を負いかけて、現れた魔人博士ノアに助けられて離脱するが、頭と胸のみの体を地面から離れた木の枝に吊り下げられる形で博士に腹いせをされた。

…前言は撤回だ…
…いい性格してるぜ 博士…


◆グランシスタ編


そう そのまさかさ

ライオは俺の一番槍 …そして

…一番の…相棒だ!

そしてバロンが星を捨て七ツ星を辞めたことにより順番が回り活動を開始。
手始めにサンクミールに向かっていたスレッドに、配下のアンデット系魔物をけしかけて強襲。
新たな人間の「相棒」として、すでにゼノン戦士団のライオをゾンビ化させており、ライオとの再会で油断させたスレッドに不意打ちを喰らわせ勝利。

その後魔賓館でノアと和解を兼ねた酒の席での語らいを終えると、ヴァンデルバスターの総本山グランシスタに向かったビィトの抹殺及びグランシスタの攻略の為出陣。
ライオを除いた4人のゾンビ化したヴァンデルバスターを従え、肉体をあえて粉微塵にする事でグランシスタのセキュリティを突破し、
まんまとグランシスタ内部に潜り込んだヒスタリオは遂に活動を開始する。

そのゾンビ兵たちと不死性、ヒスタリオの右腕となったライオの存在でビィト達を翻弄し追い詰める。
しかし、ライオが翼の騎士やビィト達の尽力で敗れてしまう。更に自分に忠実な兵士としての改造が失敗に終わり脱出したスレッドによってライオの洗脳も解除されてしまう。

……てめぇらは 絶対許さねぇ

地獄の船旅にご招待してやるよ!!

唯一の親友であり癒しだったライオを奪い返されたことに激高したヒスタリオはビィト達を乗せたまま万能船デストリューン号ではるか上空に飛び出してビィト達の逃げ場を奪い、奥の手の自己強化を用いて絶対的な防御力を得てビィト達を皆殺しにしようとする。

ヒスタリオに傷一つつけられなくなったビィト戦士団は、ヒスタリオを殺すのではなくブルーザムのボルティックアックスの生命力と生物を異空間に吸い込む魔技でヒスタリオを異空間に叩き込もうとする。
ビィトのエクセリオンbeアックスによってボルティックアックスの異空間のゲートに叩きつけられ、二つの斧が有する生命力を奪う力でヒスタリオの無敵の肉体も砕け始める。
それでもヒスタリオはビィトを殺害して脱出しようと試みる。ビィトを含めた人類の足掻きを「簡単にすぐ死ぬゴミのくせに」と称して見下し憐れみながらも嘲笑うが、そんなヒスタリオにビィトは

……哀れなのはおまえだヒスタリオ
こんだけ人間と戦ってきて
まだそんなこともわかってねーんだからなあ…
『なんで』?決まってんだろ

簡単にすぐ死ぬから『必死』なんだよ!おれたちは!

と返し、そんなビィトの目と言葉を前にしてヒスタリオは自分が不死故に得られない『必死』に満ちた眼こそが自分がライオに惹かれた理由に気づいた。

…だが足りねぇ 足りねえよもう一押し
いくら『必死』になろうが 結局全部…

無駄だったってことだッ!!

ビィトを認めたうえで改めて殺そうとするが、洗脳から解放されて意識を取り戻したライオがエクセリオンbeアックスを押し込み、ヒスタリオの肉体を両断する。

……お…まえっ…

今…目ェ覚めた…

悪いが正気に戻った以上オレは弟分を守る
だが…おまえとの今日までを
忘れちまったわけじゃねえ…

…たとえ魔人(ヴァンデル)でもおまえが
オレの命の恩人であることに変わりはない……
奇妙な縁だったが…


……あばよ 相棒(ヒスタリオ)


(……嗚呼…!ライオ!)

決別宣言をしたライオに手を伸ばすも届かず、バラバラになったヒスタリオはボルティックアックスの異空間に吸い込まれ封印された。
誰も手出しできない時空のはざまともいうべき異空間には『無』しかなく、大地がない以上冥力もないため再生もできず、しかしエネルギーの補給ができなくても餓死すらできないヒスタリオはバラバラでも意識を保ったまま永遠にさまよい続けることとなった。
彼に残された唯一できることは嘆くことのみである。
ヒスタリオはノアに自分の殺し方を調べてもらうのだったと後悔するのだった。


…しくじったなァ

もっと早く…博士に酒を奢って調べておいてもらうべきだったぜ…

この俺自身の…

殺し方を よ……


戦いを見届けたシャギー館長「完全不死である故に封印され『孤独』のみが手に入ってしまうのは、仲間を欲しがり続けたヒスタリオが一番嫌う結末。悲劇です!」と評している。

ヒスタリオとのグランシスタでの戦いは、人間と魔人(ヴァンデル)の戦いの最終局面の火蓋を切った戦いとして、のちに『凶刃事変』と呼ばれた。




誘っておいて悪いが知ってのとおり俺は気が短くてな

とっとと追記修正してくるぜ


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最終更新:2024年12月16日 00:52

*1 アニメ版35~37話ではオリジナルの魔人ガネールが軍艦トータスを改造した陸上移動要塞を活用しており、ビィト達がそれを攻略する話がある