SCP-1133-JP

登録日:2019/11/29 Fri 23:37:00
更新日:2024/08/29 Thu 23:55:29
所要時間:約 11 分で読めます




SCP-1133-JPとは、SCP財団日本支部のサイトに出現するSCPオブジェクトである。
タイトルは「週刊少年ザイダン」
オブジェクトクラスはEuclid。

特別収容プロトコル

まずのっけから「サイトに出現する」と書いたが、この性質上SCP-1133-JPは完全な収容には至っていない。
そのため、大雑把に書けば「出現が予想される日の深夜に出現が確認されたサイトの購買部を封鎖し、
クリアランスレベル4以上の職員の手により購入手続きを行う」ことで、『正式に買い取る』という形で収容する。
収容したSCP-1133-JPは各号一冊ずつのみを収容し、残りは焼却処分する。

また、SCP-1133-JP-Cに対しては、発売(=収容)から24時間以内に担当職員により決定・通知されたとおりに記入を行い、
各サイトに設置されたポストに投函する。
投函という時点でハガキか、それに類するものと察することができるだろう。
なんで秘密組織たる財団が郵便物の投函などという存在バレてもおかしくないことをやるのか?と思う方もいるだろうが、
これはSCP-1133-JPを「制御」するための重要な操作なのだ(後述)。

説明

SCP-1133-JPは、毎週木曜日の午前0時に、一定のサイトの購買部に出現する漫画雑誌。タイトルは「週刊少年ザイダン」となっている。うわ、なにこれ読みたいぞ。
現時点では全国合計で数百ヶ所に及ぶサイトで出現が確認されており、しかもその数は未だ以て増加中。多すぎじゃね!?
出版社は「カーター出版」とあるが、同名の出版社はもちろんのこと、「週刊少年ザイダン」なる漫画雑誌自体も(サイトに出現するもの以外は)存在しないことが確認されている。
(このためカーター出版の要注意団体登録は保留となっている)
ちなみに、印刷された言語は出現地点の周辺に於いて最も一般的なものが使用されている。
…おい、サラッと日本国外の財団サイトにも出現していることが示唆されてんぞ。

SCP-1133-JPは購買部の搬入口より、謎の人物(SCP-1133-JP-Aと指定)により台車の上にSCP-1133-JPが入った段ボールが運ばれてくる、という形で出現する。
搬入口からという形で財団サイトに堂々と入ってくるとはなかなか剛毅だが、そんなところに財団職員が居合わせたらどうなるのか?
…SCP-1133-JP-A登場時に、現場に財団職員が居合わせると…
その職員はSCP-1133-JP-Aを「顔なじみの運送屋」として認識してしまう。
受け取り印を普通に押すどころか、会話すらしている。
但し、SCP-1133-JP-Aが搬入口から退出=消失すると、これらの影響は失われ、さらにこのときの記憶まで消されてしまう。
そのため、財団職員からすれば「週刊少年ザイダンの入った箱がいつの間にか目の前に現れていた!」としか認識できない。
監視カメラや職員の携帯する音声記録装置がなければどうなっていたことやら…。


財団職員あ、ありのまま 今起こったことを話すぜ!
『俺達は 購買部の近くにいたと思ったら いつの間にか週刊少年ザイダンことSCP-1133-JPの箱が目の前に置かれていた』
な…何を言ってるのかわからねーと思うが 俺たちにもわからねえ…
頭が変になりそうだった
記憶処理とかミーム汚染とかそんなチャチなもんじゃ 断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を 味わった気分だ…」

SCP-1133-JPに掲載される「作品」(SCP-1133-JP-Bと指定)は、現在財団が収容あるいは追跡している異常存在、または財団に関連する職員・施設に関するものである。ますます読みたい
しかも、過去に確認されている範囲において、"掲載作品"の内容はSCP-1133-JPの最初の出現から168時間以内に実際に起こる。

そして、特別収容プロトコルでも言及されていたSCP-1133-JP-Cは、お察しの通りSCP-1133-JPに付属したアンケートハガキである。
共通して氏名、年齢、電話番号、住所、『最も面白かった作品』の記入欄がある他、各号ごとに異なる質問とその記入欄がある。
この項目を全て埋めてポストに投函した場合、その時点でSCP-1133-JP-Cは消失する。
このアンケートハガキ、SCP-1133-JP-Cは記入された内容に応じてSCP-1133-JPの内容にある程度の変更を生じさせる。
特に顕著な傾向としては、『最も面白かった作品』の項目で投票数の少ないSCP-1133-JP-Bは終了し、次号で新たな『作品』が"連載開始"される。


…なんか、いきなりヤバ目の物が出てきたが…。

事件記録1133-JP-01

20██/10/14、『大人気御礼巻頭カラー大増52P! 波乱の急展開!?』と銘打って、SCP-1133-JP-Bつまり掲載作品の一つ「とかげの日常」のページ数が増加。
SCPでトカゲと言ったら…もう嫌な予感しかしないだろうが、その予感はもちろん大当たり。
「発売」から72時間後、いつものクソトカゲが作品の内容に沿う形で収容違反を発生させ、再収容までに死者数十名・負傷者数百名を出す大惨事となった。
調査の結果、SCP-1133-JP-Cの『最も面白かった作品』に「とかげの日常」を選んだ職員が全体の8割を超えたことが確認された。

この事件でSCP-1133-JP-Cの記入の偏りが、オブジェクトの収容に大きな影響を与える可能性が出てきたため、
これ以降『最も面白かった作品』は担当博士が決定し、各サイトの職員に伝達するという形となった。
…どう見ても組織票でしかないが、これはSCP-1133-JPを制御する最も有効な手段だから仕方がない。

現在連載中のSCP-1133-JP-B(作品) ※一部抜粋

作品名 活用手段
行け!ぼくらの機動部隊 機動部隊に発生するアクシデントの事前察知、並びに発生後の次善策の構築
とかげの日常 SCP-682の活動監視
大会覇王伝 黒馬 SCP-973-JPの活動監視
ドクターの不思議な冒険 要注意団体『博士』の活動監視
消耗品"D" Dクラス職員の補充スケジュールの確立
オブジェクト発見伝 収容プロトコルの事前確立
こわいこわい怪物の事件簿 SCP-2006の活動監視
ボブルは次の職を求めているようです SCP-993の活動監視。打ち切り予定

…なんか、どっかで聞いたことがあるようなタイトルも散見しているが、まあご愛嬌ということで。
じゃ、過去の連載作品の例も行ってみよう。

過去に連載されていたSCP-1133-JP-B(一部抜粋)

作品名 連載時の活用手段及び打ち切りの理由 翌号より連載開始した作品
見つめて!彫刻ちゃん SCP-173の活動監視。収容プロトコルの確立後打ち切り シャイなアイツはナイスガイ
エージェント・円谷の憂鬱 エージェント・円谷のプライバシー尊重を目的に打ち切り ブライト博士と賢者の石
JOKE×OBJECT 該当するオブジェクトが確認されず。手順を用いて打ち切り。ジョークオブジェクトなら見つからなくても仕方ないね オブジェクト発見伝
あいぽっど。 SCP-131の活動監視。SCP-131自体の脅威度の低さより打ち切り 手作りフレンズビルダーズ!
名探偵O5-6 最重要機密の漏洩防止を目的に、後述の緊急用手順を用いて打ち切り [編集済]
ブライト博士と賢者の石 ブライト博士の活動監視。存在を察知したブライト博士が「何か」を行い打ち切り 行け!ぼくらの機動部隊
ボブル漫画家になる SCP-993の活動監視。収容プロトコルの確立後に打ち切り。 ボブルは諦めない
[編集済] [編集済] [編集済]

…なんか最後が不穏過ぎる。

ちなみに、上に出てきた「緊急手段」であるが、
SCP-1133-JP-Cに不満点を併記し、「悪かった作品」として対象のSCP-1133-JP-Bを記入した状態で投函することで、
その作品すなわちSCP-1133-JP-Bを早期に打ち切らせることができる、というものである。
最短で2号で打ち切りができた模様。
現在は最重要機密の漏洩防止においてのみ許可される、最終手段となっている。

実験記録

一応実験記録もある。

実験記録1133-JP-1
SCP-1133-JP-Bの内容: Euclid級オブジェクト、SCP-███が収容違反を発生。

実施方法: SCP-███の収容状態を厳重なものに変更、収容違反を防止。

結果: 作中の描写通り、SCP-███は収容違反を発生。機動部隊の出動により鎮静・再収容。

実験記録1133-JP-3
SCP-1133-JP-Bの内容: D-46243(身体的特徴、作中での呼称より特定。以下同様)がSafe級オブジェクト、SCP-████の実験に参加している。

実施方法: D-46243を実験に参加する前に終了。その後収容ユニット内部に放置。

結果: 終了措置は効果を為さず、D-46243は収容ユニットより独力で脱走、その後他サイトで行われていたSCP-████の実験に乱入し、作中の描写通りの行動後に死亡した。解剖の結果、死因は終了措置の際に注入された毒物であることが判明。
何が何でも「作品」の通りに現実の展開を進めたいらしい。

実験記録1133-JP-5
SCP-1133-JP-Bの内容: D-58500がSafe級オブジェクト、SCP-████-JPの実験に参加している。

実施方法: Keter級オブジェクト・SCP-███に関連する実験へD-58500を投入。過去の被験者の死亡率は100%。

結果: D-58500は様々な偶発的な要因が重なることで生還、SCP-███に関連する複数の新たな事実が判明。その後、D-58500は予定通りSCP-████-JPの実験に参加。

分析: これ、上手く使えば凄い便利なんじゃないか?
SCP-1133-JPの異常性は、「秘密組織のはずの財団に関するものが漫画化されて連載される」ことに加え、「その漫画作品の内容が現実のものとなる」というものである。
逆に言えば、SCP-1133-JPの「連載作品」は一種の未来予知として機能する、とも言えるのだ。
これは考えようによっては使えそうだが…?

実験記録1133-JP-9
SCP-1133-JP-Bの内容: 財団本部がミサイルにより破壊され、収容機能が消失。
おいめちゃくちゃ物騒な内容だぞ。
実施方法: 新たに『██財団』を設立、外見を財団本部と酷似させた木製の張りぼてを作成し本部に設定、最低限の収容施設を建造し、直後にミサイルを投下。

結果: 何事もなく██財団の本部および収容施設は破壊された。以降、SCP-1133-JPが関連すると思われる被害は発生せず。
ハリボテで回避できるのか…。
分析: SCP-1133-JPによって齎される結末は不可避だが、ある程度のコントロールは可能なようだ。或いは、それもまた予定のうちなのか……どちらにせよ、それは題材となったオブジェクトにとっても同様であると予想される。活動監視の補助において、SCP-1133-JPは有用だ。しかし描かれた未来が、我々の予想通りに来るとは限らない。SCP-1133-JPに強く依存する監視プロトコルの構築は、永久的に凍結すべきだろう。
SCP-1133-JPによりもたらされる結末は変えることができないが、工夫次第である程度制御はきくこともわかった。
何よりその性質は、先程書いたとおり「未来予知」という受け取り方もできる。
つまり事前にある程度対策をすることができるのだ。
…あれ、このオブジェクト、あの共有ファイルと同じく下手したらThaumielワンチャンあるんじゃね?


補遺

2000年代某日、財団各サイトの購買部にSCP-1133-JP…いや、ここだけ敢えて「週刊少年ザイダン」と書かせてもらう、
とにかくその日、財団購買部にいつもの週刊少年ザイダン…ではなく、


週刊ヤングGOC


なる漫画雑誌が出現。
出現より5分後、内容の確認前に対象の雑誌は消滅し、通常の「週刊少年ザイダン」が再出現。
同時に『商品誤配送のお詫び』と銘打った謝罪文の書かれた紙が出現した。

誤配送…?
GOC…?

もしかしたら、もしかすると…
いつもの「週刊少年ザイダン」が最初に行った先は…?

この事案を受け、週刊少年ザイダンが外部への重大な機密漏洩を齎す危険性、さらにアンケートハガキにより週刊少年ザイダンが外部から「制御」されることにより大規模あるいは重大な収容違反を引き起こす危険性を鑑みて、
オブジェクトクラスをKeterに変更することが協議中の模様。
配達員たるSCP-1133-JP-Aといえども人型オブジェクトであり、人間と同じく間違えることもあるのかもしれない。
だが、今回の一件は洒落にならない。
何しろ機密漏洩どころか、「財団に関わるもの全部見せます」状態の漫画雑誌"週刊少年ザイダン"である。
それが一時的とはいえ、最も関わりが深く、尚且関係が良好とは言えない要注意団体たるGOCのところに行ってしまった可能性があるのだ。

財団がGOCの情報を喉から手が出る程欲しがっているのと同じように、GOCも財団の情報を死ぬほど欲しているはずだろう。

それを鑑みれば、SCP-1133-JPは単なる『未来予知装置』として安易に取り扱える代物ではないはずだ。


週刊少年ザイダン:
次号、新連載「私たちのいる場所で追記・修正を叫ぶ」が始まります!ご期待ください!


CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-1133-JP - 週刊少年ザイダン
by Qoochie
http://ja.scp-wiki.net/scp-1133-JP

この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • SCP財団
  • SCP財団日本支部
  • SCP Foundation
  • SCP-JP
  • SCPオブジェクト
  • 週刊少年ザイダン
  • 漫画雑誌
  • 漫画
  • Euclid
  • なにこれ読みたい
  • 言い値で定期購読しよう
  • カーター出版
  • SCP-1133-JP
最終更新:2024年08月29日 23:55