モウヤンのカレー(遊戯王OCG)

登録日:2020/03/11 Wed 12:30:29
更新日:2024/02/09 Fri 23:31:56
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モウヤンのカレー
通常魔法
ライフポイントを200ポイント回復する。

●目次

概要

モウヤンのカレーとは遊戯王OCGの1枚。
1999年のSTARTER BOXに収録されてから現在に至るまで1度も再録を経験していない。
ちなみに海外ではなぜかカード化がかなり遅く2010年にカード化がなされた。

……だがこのカード、現在に関してはもちろん、出た当時も「なんだこれ?」という反応になったであろうカードである。
まず「ライフ回復」はそれ単体では相手の盤面には何も影響を及ぼさない上に、自分のライフポイントも0にならない限り惜しみなく削って盤面展開を押し進めるのが、高速化した現在の環境においてのライフの運用方法。
そのため専用構築か、《活路への希望》などのライフポイントの数値や差分を参照するカードと併用でもしない限りはあまり積極的には採用されない。

しかも百歩譲ってライフ回復に主眼を置いたデッキを作ったとしても、このカードにお呼びがかかる可能性はかなり低い。200程度の回復では戦況に変化を及ぼすのは難しいからである。
せいぜい「あと少し足りなかったコスト分のライフをこのカードで補えた」程度だろう。
より回復できるカードはいくらでもあるのでそちらを採用するうちに枠がなくなってしまう。
他に可能性を見出すとすれば発動条件等が一切ないので、特定のカードに魔力カウンターを気軽に貯められるという点である。ライフ回復カードは全部が全部魔法というわけではないのでこの点でいくつかのカードとは差別化が可能なのだが、それでもライバルがいなくなるわけではない。
このカードをサーチできる特別なカードなどがあるわけでもないので、デッキ構築の面においてはこのカードは役には立てにくいだろう。

そんな微妙さ故か『GX』に登場した「カレー仮面」こと樺山先生のカレーデッキにも入れてもらえなかった。
まあそもそも実質上位互換の《マジックスパイス-キャラウェイ-》*1が入ってる上に、仮に入っててもあんま使い道無いし……。


特徴

そんな《モウヤンのカレー》だが、実はこのカードには特筆すべきいくつものポイントがある。

①:遊戯王OCGで「単発では最も低い回復値のカード」である

これに関してはあまりいい意味での特筆点ではない。
上述した通り《モウヤンのカレー》はライフ回復カードとしてはあまりに心許ない。

遊戯王のライフコストやバーンダメージの多くは500の倍数値が多い(もちろん例外も多々ある)ため、ライフ回復としてはどれだけ少なく見積もっても500、理屈抜きの現実的な回復量としては1000は欲しいところである。
200のライフ差がゲームに響くということは可能性としては0ではないがかなり低い。

もちろん《折れ竹光》の様にそれ単体では何の意味もないカードや単体ではデメリットのカードも遊戯王ではたくさんあるのでそれらと比べればこのカードでは単体ではちゃんとメリットなのでマシではある。え?メリットがないも同然だって?

②:特殊裁定を持っている

ここまでこのカードを「ライフ回復カード」としか言ってこなかったが、よく見るとこのカード、テキストには「ライフポイントを200ポイント回復する」としか書いておらず、「誰のライフを200回復させるのか」が具体的に明示されていない。
この点からこのカードには「発動時に自分・相手のどちらのライフポイントを回復させるかを指定し、指定した方のライフの回復ができる」という特殊裁定が下っている。
ちなみにこの効果は対象を取る効果ではないという裁定が下されている。
「相手のライフを回復させて何をするんだ?」と思う人もいるかもしれないが、自分よりもライフが上であってほしいときの調整、《シモッチによる副作用》でダメージに変換など、用途はある。
ただし相手を選んだ場合でも当然回復量は200である。見ようによっては「相手ライフを極度に増やさない」とポジティブにも見られるが。「なら増やさなきゃいいじゃん」とツッコんではいけない。
ちなみにこの効果を利用して初期の遊戯王デュエルリンクスにてCPU側のライフを回復させることで「ノーダメージ」「逆転勝利」のボーナス獲得に役立っている。回復量が少ないことも逆転に必要なカードを無駄に増やさないというメリットとみることもできた。

これについては回復先が明記されていなかった回復カードは実はこのカード以外にもあったのだが、それらは当時(《モウヤンのカレー》を含めて)自分のライフ回復にしか使えない裁定になっており、再録時に「自分のライフを回復する」とエラッタされ、効果の適用先が明記された。
だがこのカードは再録の機会がなく、テキストの改定がなされなかったことによりに特殊裁定が下り、現在に至っている*2
エラッタされなかったことで他の回復カードと差別化が可能になった珍しい例である。

ちなみにOCGに準拠していないゲームやエキスパートシリーズにおいては特殊裁定前の裁定に従ったものになっており、他の回復カードの下位互換になっていた。

③:作中において、特定の人間をリアルに回復させられる

5D's』のラスボス・Z-ONEの生命維持装置の中には《治療の神 ディアン・ケト》らと共にこのカードが入っている。
さらに『遊☆戯☆王タッグフォース』ではどういう訳かシナリオ内でこれを使ってリアルライフを回復させられるキャラがいる
他の回復カードじゃ駄目なのかと聞きたいところだが、相手を回復させられる点や、カレーは美味しいという点が大事なのだろうか。

④:融合素材である

一見「?」なのだが、多くの融合パターンが設定されているるネタゲー過去のゲーム作品・「封印されし記憶」では、《モウヤンのカレー》を使用した融合パターンが用意されていたのだ。

+《火の粉》=《体温の上昇》:スパイシーなカレーで身体も温まるのだろう。
+《ドラゴンの秘宝》=《ドラゴン族・封印の壺》:その美味しさにドラゴンまっしぐら。
+《秘術の書》=《ハンバーガーのレシピ》:ハンバーガー作成にも繋がるらしい。
+《モウヤンのカレー》=《シモッチによる副作用》:食べ過ぎに注意ってこと?ちなみにポケステの通信融合で全てこのカードだった場合にも出てくる。*3
+《マーダーサーカス》=《マーダーサーカス・ゾンビ》:食中毒でしたか……。
+《美しき魔物使い》(美女)=《地獄の魔物使い》(ヒゲのおっさん): おいちょっと待て *4だがこの組み合わせ、実は相互関係にある中の一つになっている。内容は以下の通り。
融合素材1 融合素材2 完成品
美しき魔物使い モウヤンのカレー 地獄の魔物使い
地獄の魔物使い サイバー・ボンテージ 美しき魔物使い
上記のどちらか 戦士抹殺 電撃鞭
……持ってるものがドロップアイテムになるのはともかくとして、あのヒゲのおっさんがオカマだったりボンテージに女体化する能力があるとでも言うのか!?



⑤:実在する

「カード名にある『モウヤン』って何だ?」と思う人もいるかもしれないが、実はこれ、東京都を中心に全国7店舗で経営されているカレー店「もうやんカレー」のことである。*5
つまりこのイラストのカレーも実際に存在するのだ。*6

というのもこのカード、店のほうがネタを提供したらしく、店の方でもこのカードをラミネート加工した上で飾っていた。*7
さらには店の公式ブログにもコメントを付随させてこのカードの写真が載せられるなど、店の側からも愛されるカードとなっている。
以前は通販でこのカードを販売したり、このカードを店に持ってきた客への割引サービスもしていた。ここまでの公式(?)プッシュから遊戯王ファンにとってはちょっとした名所の1つになっている。

ゲーム内ではイラストに描かれたカレーは「ビーフカレー」として紹介されているが、もうやんカレーでは当然それ以外のカレーもある。*8
興味がある人はカードを見に、そしてカレーで英気を養いに行くのもいいかもしれない。
レトルトもあるぞ!

実在の店の名前を使ってる割に効果が小さすぎるんじゃ?と言う意見もあるが、これ以上の回復カードのラインナップが
という人間には手に入れにくいものだったり倫理的、気分的にアレなものだったりする。
というわけで一般人に比較的安価に提供できるカレーで生命力を補えるのは世界観的に破格の効果なのかも知れない。



追記・修正はおいしくカレーを食べた後に支払いを自分と相手のどちらがするかを決めた上でお願いします。

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最終更新:2024年02月09日 23:31

*1 回復と同値のバーン効果に加え、《ミックススパイス-ガラムマサラ-》でサーチ可能であり、更には使用後も墓地で《カレー魔人-ルー-》の攻撃力上昇に貢献できる。

*2 ちなみに海外版テキストはカード化が遅かったこともあり、特殊裁定を踏まえたテキストになっている

*3 ちなみに融合時は伏せ出しができず、罠カードは無意味になるため事実上手札を捨て名鑑を埋めるためだけの無意味な融合パターンである

*4 恐らくはカレー→インド→ターバン(地獄の魔物使いはターバンを巻いている)という連想ゲーム。

*5 ちなみにカレー店の方の「もうやん」は社長のアダ名が由来だそうな。

*6 なおさすがにイラストと丸々同じというわけではなく、皿は普通の皿である。

*7 現在はオリジナルに代わって、拡大印刷版が店内に飾られている。

*8 イラストでは野菜らしきものも描かれているが、もうやんカレーの特徴は大量の野菜と果物を数日かけて煮詰めたカレーソースであり、肉以外の具は完全に溶けこんでいるため存在しない。低カロリーかつフルーティーだがかなり酸味が強く、他店のカレーを「良くない油で作った油丼」と中傷する創業者の言動も相まって、万人受けするというよりは好き嫌いがはっきりと分かれる味である