Collar×Malice

登録日:2020/04/23 Thu 05:10:11
更新日:2023/11/09 Thu 18:56:31
所要時間:約 58 分で読めます




X-Dayをお知らせします

あざやかな理想、形のない正義 全ては、再生に繋がる


Collar×Malice」は2016年8月にオトメイトより発売されたPlayStation Vita乙女ゲーム。愛称はカラマリ。
警察組織と正義がテーマであり、テロ事件が起きた新宿を舞台に新人警官である主人公が事件を追う者と共に立ち向かっていく。

キャラデザはおなごを描くことが大好きなことに定評がある花邑まい。特にHANAは本人の趣味の塊とか言われている。
プロデューサーに「女の子しか描けない」と言われた『デザートキングダム』時代からよく成長したものである。

物語は乙女ゲームの醍醐味であるルート分岐を効果的に使っており、ルートごとに事件の様々な形の真実が見えてくる、というシステムになっている。
そして最後に明かされる真ルートでそれらの真実がひとつに絡み合い、事件の全貌が描かれていく。

サスペンスという媒体上、乙女ゲームにしては糖度が低め。と言ってもあるっちゃある。とりあえず薄桜鬼よりはマシ。

本作のテーマのひとつに『復讐』があるが、最近の作品にしては珍しく復讐には若干否定的なスタンスを取っている。と言ってもまあ別に頭ごなしに指定しているわけではない。
ディレクターのインタビューや本作の描写を見る限り『舞台が現代日本であり法治国家というルールがある以上、私刑は決して許されるものではない』というのが理由として一番大きい。
だが逆にテロ組織はその法治国家としての【正義】を否定しておりテロを起こしている。作中ではテロ組織側の言い分も結構しっかり描いている。
……宇野兄妹の話とかよくやったなぁとは思う。
登場人物全員が、何らかの形で正義を持っていることは間違いない。
このように【正義】について多角的に描いた作品。
そのためか注意書きには「また、特定の思想を推奨するものではありません」と珍しいことが書かれている。
まあ『カラマリ見てテロを企てました!』とか言われても困るしね。

2019年のオトメイトパーティーにてアニメ化が発表された。やったね!
さらに本編とファンディスクをまとめたSwitch版も発売される。
アニメは2023年に2部作の映画として公開されることが決定した。

【あらすじ】


新宿では連続凶悪事件、通称【X-Day事件】が起こり、新宿封鎖や銃刀法解除などが制定され危険な街になってしまった。

そんな中新米警察官の主人公・星野市香は自分のできる限りのことをしようと毎日尽力していた。

ある夜、彼女は何者かに襲われ、 毒が内蔵された首輪をはめられてしまう。

混乱する中市香の前に現れたのは【元警察】と名乗る素性の分からぬ男たち。
彼らは独自で事件について調査しているらしい。

市香は彼らを信用していいのかわからないまま、突如として事件の鍵を握る存在となってしまう。

首輪を外すため、悪意に包まれた新宿を解放するため、彼らと共に捜査を開始することになる。

【用語】


◆X-Day事件
20XX年4月1日から新宿区のみで起こっている凶悪殺人事件。
現場には共通して謎のローマ数字とコインが残されており、警察及び政府は複数犯または組織によるテロ行為と推察している。事件の前後には何らかの形で犯行予告と警察の不祥事に対する声明が動画として出されている。

◆アドニス
X-Day事件の主犯とされているテロ組織。【ゼロ】という人間を首領としているらしい。
現状、規模がどの程度であるかは不明。作中の描写から見ると末端まで含めるとかなりの人数であると考えられる。
動画で声明を出す際、自らのことを「アドニス」と名乗っており、「曖昧な法、形のない正義、理想ばかりが鮮やかで、中身がからっぽな哀しい哀しい世界。この汚れた日本を再生する」ということを目的としている。
2年前に起こった総理大臣殺害未遂事件の実行犯と同名であるため、その残党が集まったのではないかと噂されている。

◆執行者
X-Day事件の実行者たち。アドニスは基本的に鍛えられた工作員が所属しているが、ゼロの【普通】の人間が悪意に立ち向かわなければならないという思想から、一般人からスカウトされている。
殺人を犯してでも何かを成し遂げたい者たちがメンバーになっている。数字が1~9までつけられている。
全員一度は容疑者になっているのだが、その度に必ずアリバイが証明される。
実は動機を持つ執行者の殺人を、別の執行者が行うという交換殺人によってアリバイを確保している。
また全員が手術で脳にチップを埋め込まれており、アドニスの不利益となる行動をしたものは記憶を消される。

◆新宿隔離措置
最初の事件発生から5ヶ月の9月1日に、政府は新宿区を危険区域に指定した。
これ以上被害を広げないことを目的に、厚い壁や鉄線で区を封鎖。出入りが出来ないような措置をとった。リアルロックダウン。

◆銃刀法の解除
新宿隔離措置発令と時を同じくして、新宿区限定で銃刀法が解除された。
20歳以上限定という条件で区民に配られている。
区民に配られた拳銃は登録制でそれぞれにコードが記されており、使用に際して細かいルールが定められている。
自衛できるようになった反面、犯罪が増えることも見込まれるため、賛否両論


◆探偵事務所
柳愛時を始め、X-Day事件を独自に捜査している人物たちの集団。
探偵事務所と名乗っているが機能はしておらず、捜査も基本的に個々で行っている。

◆首輪
市香が実験のために【ゼロ】によって嵌められた首輪。外すことはできず、内部に致死量の毒物が内蔵されているため、彼女は常に死の恐怖に苛まれることとなる。そして首輪のことが探偵事務所の面々以外に知られた場合即座に殺すと脅されている。
マイクとスピーカーが内蔵されており、市香の捜査状況は常に首輪をつけた人物によって知られることとなる。逆にスピーカーによってあちら側から市香達にコンタクトを取ってくることもある。
そのせいで市香は生活音どころか惚気やエッチまでを全て聞かれるというクッソ災難な目に遭うこととなった。
この首輪は同時に犯人へと繋がる重要な鍵となるため、市香も愛時たちの捜査に加わる。


◆地域課・特殊地域防犯対策室
主人公である市香や彼女の先輩である望田が所属している部署。所謂「町のお巡りさん」であり、X-Day事件による不安から起こる苦情の電話や喧嘩沙汰を諌める役割を担っている。
……リアルタイムでテロが起こっている新宿においては限りなく窓際に近い部署。しかし市香や望田たちは「市民を守るため」と責任を持って取り組んでいるため、なんだかんだで地域に貢献している。というか新宿封鎖&銃刀法解除という一歩間違えれば世紀末へとなりえる新宿が、最低限平穏を保てているのは確実に彼女たちのおかげ
ちなみに地域の住民には優しく親身になってくれる市香のファンが多いとか。

【登場人物】


◇事件を追う者たち


この首輪をはめたのは、誰?
◆星野市香
CV.本渡楓(映画版のみ)
本作の主人公。新宿署の地域課・特殊地域防犯対策室通称『特防』に所属する新人警察官。21歳。キャリアはまだ半年弱。現在は新宿のアパートで弟の香月と二人暮らし。
12月のある日、『X-Day事件の犯人』を名乗る何者かに突如襲われ、毒が内蔵された首輪をはめられてしまう。死と隣り合わせという状況の中、自身が事件を解決する鍵になると考え、元警察関係者の面々と共に事件の謎を追うことになる。
若くして警官になるだけあり、芯が強く正義感の強い性格。まだ経験は浅いが警官として助けられる人は助けたいという信念を持つ。
周りからバカ扱いされるレベルのお人好しであり、作中ではよっぽどの相手でもない限りは同情しなんとか助けられないかと考えている。
芯は結構強い方であり、心に傷のある相手に真っすぐ向き合い、手を差し伸べようとする姿は優しいと通り越してかっこいい。ただその反面怒らせると怖い。特に白石ルートでキレて胸倉を掴んだ時は怒りのあまりヒロインがしてはいけない顔になっていた。
※ヒロインです。
しかし芯が強い分折れると非常に弱く、バッドエンドルートでは闇堕ちしたりヤンデレ化したりしていた。
特技は料理と射撃。
実家が新潟のペンションということもあり料理は親から仕込まれていた。食べた人からは大抵絶賛され、プロのものかと間違えられる。本人も休日は料理を嗜んでいる。
射撃は「撃つ覚悟」を持つ人間として警察学校時代から練習し続けていた。作中でもプレイヤーがわざとミスしない限りは百発百中の腕。
このようにある程度のスキルは持つが、自己肯定感がかなり低い。これは香月が天才肌で自分に比べて何でも出来るため、親に期待を持たれず劣等感を抱いてしまったことが原因。
警察官になったのも子供の時に落とし物を交番に届けたら落とし主に感謝され「こんな私でも誰かの役に立てる」と思ったことがきっかけだった。
そんなこともあり香月とはどこかぎくしゃくとした生活を送っている。
かっこかわいさから人気が高いのかガールズゲームアワード2016主人公部門では第2位を受賞した。1位のカルディアとは2票差であった。



ここから見える、新宿の街が好きなんだ
◆柳愛時
CV.森田成一
元警視庁捜査一課の刑事であった28歳。現在はとある理由から辞職し、独自にX-Day事件を追っている。煙草とコートの似合うイケメン。所謂真ルート枠であり、他4人を攻略するまでルートが解禁されない。あとルート開放演出がやたらとかっこいい。
常に冷静沈着でクールでさらに正義感が強いイケメン。さらに元捜査一課としての経験から頭の回転も速く、知識の豊富さと観察力から事件を推理していくという隙の無いイケメン。マジで欠点ないぞコイツ。
なにより包容力の高さに定評があり、癖と我が強い探偵事務所の面々を一人でまとめ上げ、そして彼らから信頼されている。その姿はまさに事務所のとーちゃん。特に悩む市香に助言をかけてやったり、黙って温かいミルクを注いでやったりする姿はいいオトンである。そんな彼に市香も信頼していた……というか、懐いていた
さらに料理もうまく、夜食として榎本にかつ丼をつくってやったり、クリスマスパーティーの際にはケーキをつくったりしていた。さらに味の方もプロ級の腕前を持つ市香が驚くほどに美味しいらしい。
クールで頭良くて包容力ある上に料理も上手いとかマジで完璧すぎるぞ。
どんな人間であったとしても殺されていい理由などひとつもない。法によって裁かれるべきである」という信条を掲げており僅かでも犠牲が出ることを嫌う。きれいごとだと理解しながらも救える全てを救おうと尽力している。彼の芯の部分とでも言うべきものであり、逆の考え方をする岡崎とはたまに対立している。岡崎とは警戒しあいながらも、なんだかんだ協力するときは協力する仲である。
戦闘能力は本作の登場人物としてはノーマルな方。と言っても岡崎が異常すぎるだけであり、ケンカは普通に強い。実際アドニスのアジトに乗りこんだ時には大立回りをしていた。元捜査一課であるため立てこもりや人質系の事件に強い。
28歳だが、市香との歳の差を気にするという可愛い面もある。迷子のロリに「おじさん」と言われちょっと傷つくというシーンも。
彼にとって一番大切なことは、普通の人が当たり前の日常を取り戻せることであり、そのためにX-Day事件に立ち向かっている。
プライベートに踏み込まれることを嫌っていたり、初対面のはずの市香を見て驚いたりとただのスパダリではなく、何か裏があるようだが……。



よかった。やっぱりキミは悪い人じゃないね
◆岡崎契
CV.梶裕貴
26歳の警備部警備課。要するにSP。現在はX-Day事件と同時に警察を辞めて集まるという怪しさ全開の柳たちを警護という名目で監視している。そして本作最強の戦闘能力を持つキャラでもある
やや幼さのあるおっとりとしたマイペースで柔和な雰囲気を持つ青年。つまりは天然野郎。フレンドリーな性格であり、出会った直後の市香とも仲良くなろうとしていた。道端でアイマスクを使って寝ていたり、「きゅうりチョコレート」をはじめとした珍味を好んだりと不思議ちゃんな面もある。あとメールでは顔文字を使いたがる\(^o^)/
その反面警察官としては有能であり頭の回転は非常に速い。事件への勘と嗅覚に優れており、序盤から柳たちと接触する市香を訝しみ調査していた。Not探偵事務所メンバーに首輪のことがバレたくない市香は戦々恐々していた。特に判断力に優れており、冷酷ともいえるレベルの合理的な判断を咄嗟に行える人物。
柳曰く「SPは例え知人が危機だったとしても守るべき要人を守らなければならない」ということであるため判断力が必要であるので、ある意味完成されたSPと言える。そのような仕事に就いているためか守るためには犠牲はやむなしという柳と正反対の考え方をしている。
このようにおっとりしたマイペースな顔警察としての冷酷な顔という激しい二面性を持つ男。ぶっちゃけ演技くさいがどこまでが演技かは本人しか知らない。
そしてSPだけあって戦闘能力は高い。本当に高い。人間を辞めているとしか思えない高い戦闘能力から繰り出される攻撃はまさに脅威。まっとうなタイマンであれば相手がアドニスの工作員だろうが喧嘩屋だろうがブチのめせる。また、器用にも走るターゲットの脚だけをかするようピンポイントで銃撃するという芸当もやってみせた。しかしSPというのは肉の盾であるため負傷率も高い。
「めんどくさいから」という理由で5階にある探偵事務所を壁伝いで窓から入ってきたりする。
また気配を消す能力にもたけており、いつも神出鬼没にどこからともなく現れる。忍者かお前は。柳はなんとなくいることが分かるらしく虚空に向かって岡崎を呼ぶ→本当にそこから岡崎が出てくるということをたまにやっている。
市香に好意を示し積極的に守ろうとするが、その姿勢にはどこか歪なものが見える……。



よく頑張ったな。もう大丈夫だ
◆榎本峰雄
CV.斉藤壮馬
23歳。元は新宿署・第二機動捜査隊にいた。
直情型で猪突猛進の裏表がない男。明るいムードメーカー役であり、事務所を賑やかせている。そしていじられキャラでもあり調子のいいことを言って笹塚辺りに辛辣なことを言われるのがお約束となっている。なお眼帯は元機動として負傷した……とかそういうのは一切なくて、伊達政宗に憧れているからやっているだけ。ちょっとアホの子入っている。笹塚とは犬猿の仲であり、よくいい争いになり、その度に柳がフォローする。流石事務所のオトン。
その反面人を見るということに長けており、人の機敏に非常に敏感。またそれを実行に移せるだけのコミュ力もある。特に自身のルートでは市香と香月の仲についてフォローしてやっていた。また柳ルートで踏み出し切れない彼の背中を押し出したのは榎本であった。本人が直情型なせいで分かりにくいが、実は精神的には事務所で最も成熟している。なんだかんだで大人
機動にいただけあって一刻を争うような事件についての対応に長けている。ついでに体力バカ。公式曰く岡崎には敵わないがそれなりにケンカは強いらしい。榎本ルート中盤で香月が人質となった時には的確かつ迅速な作戦で助け出すことに成功していた(まあ犠牲も出たが)。
そして童貞。正真正銘のチェリーボーイ。交際経験は生まれてこの方一度もないというさくらんぼ野郎。本人は気にしているようで『胸キュン☆恋愛百選』なる怪しげな恋愛指南書を読み込んでいる。曰く女性と世間話をするのはBランクの難しさであるとか。……ファンディスクの榎本アフターを終えて思わず「おめでとう」と言いたくなったプレイヤーはきっと多いだろう。多分。
何故か捜査は殆どおこなっておらず、市香を強く疑っているなど不審な動きを見せているが……。



うるせぇ、バカ猫
◆笹塚尊
CV.浪川大輔
元サイバー犯罪対策課のエリート。……と言っても半年で警察を辞めているが。24歳だが高校生に見えるレベルの童顔。
かなりひねくれており、無愛想な性格の青年。よっぽど信頼している人間でもない限りは心を開くことはなく、基本的に斜めに構え他人をバカにしたような言動をとる。特に榎本とは犬猿の仲であり、会えばとりあえず罵声を飛ばしている。市香のことも初期は「自身の置かれている状況にも気が付けないバカ」と考えており首輪の猫の模様から「バカ猫」と呼んでいた。……彼女が笹塚に本名で呼ばれるのはかなり後のことである。
しかし「ほめるところはほめる。けなすところはけなす」というタイプであるため相手が成果を上げたときはちゃんとほめる。実際市香の推理がいいところまで行っていた時は上機嫌になり、皮肉なしで褒めていた。また榎本に罵声を飛ばすのは過去のトラウマから燻っている彼に対し自分なりに発破をかけたいから。実際傍観を決め込む柳に対し「これでいいのか」と言い続けていた。また弟が事件に巻き込まれたかもしれないと泣きかける市香に対して、優しく抱きしめ厳しくも穏やかな言葉をかけたこともあった。要するにひねくれたツンデレ
ハッカーとしての腕は天才的であり、ハッキングコンテストに優勝したことで警察にスカウトされた。技術はアメリカ在住時代に学んだらしい。つまり帰国子女であり英語もペラペラ。
ちなみに好物はドーナツ。こだわりはかなりのものであり市香が彼の好みのものではないドーナツを買ったときにはあからさまに不機嫌になっていた。逆に好みのドーナツを差し入れると上機嫌になる。ドーナツ以外にも甘いものが好みであるらしく、市香と共に飲みに行った際には真っ先にカシスオレンジを頼んでいた。
銃のことを心から嫌っており「X-Day事件を解決するのは銃刀法復活のため」と公言しているほど。
件のガールズゲームアワードによるとカラマリ組では彼が一番人気らしい。



俺、君にすっごく興味があるんだよね
◆白石景之
CV.木村良平
科捜研に所属している29歳の青年。専門はプロファイラー。犯罪心理を分析する捜査方法のことを指す。X-Day事件により特別に設置された、機動捜査支援係を任されている。こんなんでも一応攻略キャラの中では最年長。
現職職員であり探偵事務所とのパイプ役を行っている。柳とは古くからの友人であるらしい。
非常にマイペースであり、自身の強い好奇心に対し忠実な男。何故かいつもミステリアスな笑顔を浮かべている。マイペースすぎるために人の嫌がる部分であってもズケズケと侵入してくる。さらにプロファイラーとして心理を見抜くことを得意とするため、相手が傷つくようなことであってもストレートに言ってくる。心に傷を負った参考人に対して傷をえぐるようなことを言ったこともあった。このような点から市香は最初こそ結構本気で彼に苦手意識を持っていた。
ネコ耳を付けていることから分かるように本人は猫が大好き。そのためよく野良猫にエサをやったり遊んだりしている。だが野良猫には愛着自体はあるようだが、「この方が効率的だから」と名前ではなく番号で呼ぶ奇妙な癖がある。名前を覚えること自体苦手らしく、市香の名前も中盤まで覚えていなかった。
だが柳くらいしか理解していないが、本質的には純真すぎるために好奇心が強くマイペースすぎる男である。決して悪い人間ではない。実際市香の実力行使によってある程度心を開いた後は、純真でちょっと子供っぽい姿を見せるようになる。市香を喜ばせようとするもどうすればいいかわからなかったり、不器用故に自分の接し方が正しいか悩んだり……。またいつもとは違う朗らかでかわいい笑顔も見せてくれる。まさか29のオッサンに萌える日が来るとは思わなかった。
市香の首輪に異常なほどの執着を見せているが……。


◇警察組織


◆望田政信
CV.野島裕史
市香と同じく特防に属する上司であり先輩。
優しく、常に主人公を励ましてくれる温和な性格。市香の指導係として、彼女とよく行動を共にしている。ただちょっとおっちょこちょいなのが玉に瑕。
警察官の信念はしっかりと持っており、特防として地域の人の助けになりたいと考えている。市香に警察官はどのようなものであるかを教えたのは間違いなく彼である。また市香が明らかに無理をしている時にはそれとなく休ませてやったり、場合によってはしかってやったりとかなり人間が出来ている人である。市香の先輩が彼であったことは、彼女にとって確実に幸運であっただろう。
愛妻家であり、子どもも小学校に入る歳だというのに、未だに新婚のように仲がいい。奥さんは料理もうまく特にビーフシチューが絶品らしい。署でも偶に惚気話をしている。特に聞かされるのは市香。


◆冴木弓弦
CV.小野友樹
地域課交番勤務の23歳。市香とは警察学校時代からの付き合いであり、仲の良い飲み仲間。
少々お調子者だが真面目で「警察官になったのは世界平和のため」と言い出すような純真で正義感の強い青年。他人の哀しみに機敏であり、市香が落ち込んでいると優しくフォローしてくれる。新宿署で最も市香を慰めるのが上手いのはコイツ。
互いに居酒屋に飲みに行き、最近あったことや愚痴を話しているなどまるで恋人のように仲がいい。こんな2人が付き合っていないというのは新宿署7不思議のひとつらしい。
望田の睨みによると、冴木はちょっと市香を意識しているらしい。実際クリスマスの時は奮発して高いレストランに連れていこうとした。しかしかわいそうなことに市香は完全に『仲の良い友人』としか見ていない。というか攻略対象じゃないしね!
ちなみに酒には弱く、よく酔っぱらって市香に介抱されている。最近は酔って警察署前のマスコット人形を家に持ち帰ってこっぴどく叱られたとか。
交番勤務として地域の声に親身になって耳を傾ける良い警察官であり、特に子どもたちにからかわれつつも懐かれているようだ。このように『理想のお巡りさん』とでも言うべき存在。


◆桜川寿
CV.福原綾香
新宿署の鑑識に所属している女性。柳たちと面識があり、彼らが独自に事件を追っていることを知っている。市香が事件を追うために資料を見せてもらう際に世話になることとなる。
性格はサバサバとした姐御肌。一見ぶっきらぼうであるが、なんだかんだ言いつつ市香の頼みをきいてやるなど面倒見がいい。
肉が大好きであり、食べるとテンションが上がる。市香の差し入れ弁当に肉が入っていた時には喜んでいた。有名な人らしく、別部署の冴木も『肉の桜川』として名前を憶えている。一応年頃の女性らしく結婚願望はあるようだが、上品な料理より居酒屋飯が似合うガサツな自分には厳しいと考えている。要するにたくましすぎる女性。この作品の女キャラはみんなこんな感じである。
そしてデカい。何がとは言わないが非常に大きい。


◆向井絵里子
CV.小松奈生子
新宿署の機動捜査支援係に所属する白石の部下。なぜか「ですわ」口調で話す。
白石とは犬猿の仲であり、隠そうともせず敵意をぶつけている。意見が衝突することから、白石の飄々とした態度まで全てを嫌っている。口論では勝てないので偶に実力行使にも出るが、結局勝てないでいるらしい。
桜川とは仲が良く、よく飲みに行っている。最近は市香も交えて3人で『白石撲滅の会』を結成した。白石への愚痴を肴に飲み会をする会合である。
しかし白石がアドニスのスパイと発覚した時には行き場のない怒りと哀しみを見せるなど奇妙な信頼関係を築いていることがうかがえる。
また白石もファンディスクで向井が襲われた際には少し慌てており、実は大切にしているようだ。


◆吉成秀明
CV.長瀬ユウ
岡崎の後輩にして相棒のSP。
ワンコのように明るく元気で人懐っこい性格。しかしお調子者でもあるため、よくドジを踏んで岡崎に制裁を食らうのがお約束となっている。岡崎曰く身体は頑丈な方らしい。
岡崎ルートでは頑張って市香と岡崎の仲を取り持とうとしていた。余計な事を言って岡崎に首を絞められることもあったが、2人が恋仲になったのは1割くらいは吉成のおかげと言っていい……ハズ。
実は自己評価がかなり低く、基本的に自分に非があるんじゃないかと考えがち。……明るい口調のまま言うため妙に闇が深い。しかし24歳でSPになれる程度には優秀な人物だったりする。
人気があったのか、ファンディスクでは攻略キャラに昇格した。おめでとう!


◆佐竹建造
CV.てらそままさき
新宿署の第二機動捜査隊に所属するベテラン刑事のおっちゃん。X-Day事件の初動捜査のほとんどを担当している人物でもある。警察在職時代の榎本の上司であり、親子のように仲の良い2人であった。
一見強面だが実際はお茶目で気さくな性格。市香のことを「お嬢ちゃん」と呼んでいる。


◆森丘創
CV.竹内良太
警視庁捜査一課の課長。勘が鋭さとハートの熱さを併せ持つ刑事らしい男。
X-Day事件の捜査本部では陣頭指揮を執っている。柳の元上司で、彼に刑事としての教えを叩きこんだ人物。元ヤンということもありどこか危なっかしい柳を、警察を辞めた今でも心配している。
一見口調が荒く怖い人間に見えるが、意外と合理的で思慮深く常に市民のことを考えている。とりあえず警視総監よりはかなりいい人。


◆峰岸誠司
CV.吉村和絋
警視庁捜査一課の管理官。森丘の部下兼相棒。X-Day事件の捜査本部では森丘の補佐として、共に指揮を執る。
森丘とは対照的に柔和な性格で、よく熱くなりやすい彼のフォローをしている。しかし意外と策士な面もあり、意味深な発言も多い。若干腹黒さが見れ隠れしている気がする。
彼も人気があったのかファンディスクで専用ストーリーがつくられた(番外編であり攻略キャラではない)。


◆鷹枝勇作
CV.沢木郁也
警視総監。ザ☆無能
警察の体面と経緯を第一に考えており、そのためなら事件解決を遅らせることもある。「犯人などでっちあげればいい」と言ったことも。それでいて権力は持っているのだから非常にたちが悪い。
一応柳ルートの終盤ではいいことを言うのだが市香にすら「今日の警視総監はいいことを言っているように思えた」と言われてしまう。


◇サブキャラクター


◆星野香月
CV.江口拓也
市香の弟である高校生。18歳。現在は新宿の高校に通うために市香と二人暮らしをしている。
よく見ると目元がちょっと市香に似ていたりする。
分かりやすい反抗期であり、市香に対してはぶっきらぼうで最低限しか会話をしようとしない。市香は頑張って香月のことを理解しようとするのだが、どう話せばいいかわからず、上手くいっていない。とは言っても本気で市香のことを嫌っているわけではなく、彼女が困っていればぶっきらぼうながらに助けようとする。本当に分かりやすい反抗期。学校では結構社交的らしい。
バンド活動を行っており、ギターの腕前はかなりのもの。現在はとある人気ボーカルと共にライブをやっている。ちなみに本編開始まで弟がバンドをかなりやっていることを市香は知らず、香月について知ってやれなかったことでかなりショックを受けていた。
親に見放されていた市香とは対照的に、親に期待をかけられすぎていたためプレッシャーを感じていた。そして音楽の道を進みたいにもかかわらず、小さいときから親の跡を継ぐことが決まっていたため、自分の道を自由に進める市香に嫉妬にも恨みにも似た感情を抱いていた。
どのルートでも基本的には市香と和解し、「姉ちゃん」と昔のように呼んでくれるようになる。比較的早く和解した榎本ルートでは市香と榎本に懐いておりかわいい。
同級生のあきととは親友であり、彼が作曲を担当している。


◆瀬良あきと
CV.花江夏樹
香月のクラスメイトであり親友。
温厚で優しい少年。感情的になりやすい香月のことをなだめているフォロー役。長い付き合いから市香とも仲が良く、彼女のことを「お姉さん」と呼んでいる。彼としては市香と香月の仲をなんとかしたいようだが、第三者ということもありなかなかうまくいっていないようだ。
彼もまた音楽に興味があり、作曲してよく香月に聴かせている。香月曰くその能力はなかなかのもの。同時にコンピューター関連のスキルもかなり高い。


◆菅原里香
CV.米澤円
新宿で暮らすOL。7月のストーカー男性傷害致死事件でストーカーされていた女性。
過去に何度もストーカー被害を受けており、引っ越ししても追われ、盗聴した内容のメッセージを毎日送りつけられ、酷いときには玄関に体液を擦り付けられていたというエグイ経歴を持つ人。
そのため最近は躁鬱気味。あと自分の受けた被害を「妄想」だの「思い込み」だの切り捨てた警察を嫌っている。
ちなみに最近恋をするようになったとか。初恋らしく恋バナについて話している時だけは少女のように無邪気。


◆三条圭介
CV.前野智昭
どう見てもヤクザか何かにしか見えない男。
11月の交通事故偽装事件の被害者である等々力の部下だった男。
現在は退職しており、歌舞伎町で明らかにヤクザっぽいことをしている。
警官時代の写真はなかなかの好青年だったが、現在はどう見てもヤクザにしか見えない。衝撃のビフォーアフター。
粗暴で近寄りがたいタイプの人間。だが嘘はつかない主義であるなど一本筋を通す性格であることがうかがえる。


◆一色康弘
CV.蒼井翔太
香月・あきとと共にバンドを行っている青年。担当はボーカル。外見がどこか中性的。
2年前にとある事件が誤認逮捕された経験がある。その頃は骸夢という鎧武ではないというデビュー寸前の超人気ロックバンドのボーカルであったが、その事件が原因で解散しプロデビューの夢もパァになってしまった。そのため警察のことを嫌っている。
性格はクールで口調も淡々としているが、夢に対しては熱い姿勢を持つ。
榎本曰く『すげぇ人』であり、誤認逮捕で警察を憎んでこそいるが、憎しみに囚われずもう一度立ち向かおうとしていた。
結構大人な一面もあり、香月が夜間練習をすることで市香ともめた際は、完全にキレた香月をなだめ市香には「自分が責任を持つ」とフォローするというかっこよさを見せた。
香月とあきとのことは本気で大切な仲間だと思っており、こまかな気配りを忘れずにいるいい人。
多分この物語で一番人間が出来ている。

◆HANA本名は小林花子
CV.山崎はるか
ウサ耳フードを愛用している少女。学生に見えるが立派な社会人らしい。一色のバンギャをやっている。一色のことは「ヒロくん」と呼んでいる。
性格は常に明るくハイテンション。初対面の市香とも(半ば強引にだが)打ち解けていた。
一色の大ファンで信仰っぷりはすさまじい。発売1分で売り切れるチケットを何故か数枚持っているほど。布教にも余念がなく、「多くの人に聞いてほしいから」と市香にはチケット1枚分の値段で気前よく4枚渡していた。


◆緒方智樹
CV.浜田賢二
元は平凡なサラリーマンだった男。しかし2年前ホームで一色に絡んでいる暴漢の仲裁に入ったところ、暴漢は電車に向かって飛び込み、周囲から「突き落とした」と言われ藤井に誤認逮捕されたという経緯を持つ。冤罪だと発覚したが、転職し妻とは離婚する羽目になってしまった。
7月のストーカー傷害致死事件の加害者であり現在は拘置所にいる。
偶然』もめている現場に現れ、『偶然』ナイフを奪い取り、『偶然』心臓を一刺ししたという不自然な状況であり、市香達に怪しまれている。さらに2年前に仲裁で誤認逮捕されたにもかかわらず、今回も何故か仲裁をしようとしている。


◆相田学
CV.岡本信彦
過去の事情で引きこもりになってしまった青年。アドニスの重要参考人として警察に拘束されている。
重度のネトゲオタでありそっちの世界では神とあがめられる程の腕前。
普段は聞き取りにくいぼそぼそとした喋り方をするが、ゲームを手にすると奇声を上げてプレイを始める


◆宇野鈴音
◆宇野詩音
CV.上田麗奈 CV.鈴木裕斗
白石ルートで出会う双子の兄妹。共に18歳。
鈴音はいつも手に日記帳を持っている大人しい少女。非常に人見知りが激しく、いつも兄である詩音の後ろに隠れている。声は名前通り鈴のように透き通ったか細い声。……しかし「兄弟」や「家族」などの言葉を聞くと、何故か唐突に言葉遣いが乱暴になる。
詩音は礼儀正しい兄。妹思いでいつも鈴音を守ろうとしている。非常に外面と要領がよく、世渡りが上手いタイプであるらしい。


◆御國れい
CV.鳥海浩輔
総理大臣・御国久幸の息子であり、若くして政界に進出している男。
革新的で才気のある政治家として有名であり、支持者は多いらしい。



◆ゼロ
CV.???
市香に首輪をつけた張本人であり、アドニスの首領。
ボイスレコーダー越しに首輪を介して市香に話しかけてくる。市香に事件を調べさせ、自分の理解者になり得るかを試しているようだが……。
テロリストの首領で正体不明でゼロだがあの人は関係ない。




【Collar×Malice Unlimited】


2018年7月に発売されたカラマリのファンディスク
キャッチコピーは「悪意を超えた先にある、未来の欠片
前作の反動か、砂糖吐く程甘いことで有名。

◆Interlude
前作の間にあった(かもしれない)番外編の物語。
ある日、探偵事務所に依頼人と名乗る男が現れる。一度は追い返そうとするも、彼がアドニスと関わっている可能性が関与して……

◆After Story
本作が甘いと言われている大体の原因。
一部除いてとにかくイチャラブし続けており、前作とは打って変わって平和な市香たちの様子を見ることが出来る。また彼らのプライベートについての掘り下げも。
あとファンディスクではよくあることだが、肌色率が高い。市香ちゃんの[[裸ワイシャツ]]が見れるよ!

◆Side Story
サブキャラたちの物語を描いた外伝。
内容は香月とあきとの出会いを描く「ONWORD」、峰岸の内面を描いた「Pride」、(一応)吉成攻略ルートである「Crossword」の三つになっている。

◆ADONIS












……哀しみを消し去ることは不可能だ。
どんなに辛くても、傷つけあうことになっても。人は哀しみを背負い続けていかなきゃいけないんだ。
……けどな。本来、人はひとりじゃない。哀しみに耐えられないときは、支えあうことが出来る
頼れる人間がいない、警察が話を聞いてくれなかった、身を守るためだった、いろんな事情はあるだろう
だが、【だから殺した】なんていうのはただの言い訳だ。どんな衝動に駆られても、人は己と戦わなきゃならない
自分自身で乗り越えなきゃいけないんだ







これから先、まだまだ哀しみは増え続けるだろう
でも、それと同じくらい――それ以上に、喜びや幸せも生み出せると思う
大丈夫
……そっと片手で(Collar)に触れた。今はもう、ここに悪意(Malice)は潜んでいない
でも――誰しも見えない首輪をつけている
裏切り、失望、挫折……いつ理不尽な悪意に襲われるかは、誰にもわからない
どれだけ自衛しても、哀しみはある日突然訪れる
だからこそ、信念を消してはならない。人は――強くあり続けなければならない
哀しみはゼロにできなくても……私も誰かに強さを与えられるように
たとえ正義の形が分からなくなっても、理想を失いそうになっても、
大好きな人が隣にいれば大丈夫
ぎゅっと、つないだ指に力を込めた










出典:Collar×Malice アイデアファクトリー オトメイト 2016年8月18日発売
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最終更新:2023年11月09日 18:56

*1 蛇の道は蛇ということでアドニスは非合法な手段で犯人を見つけていた

*2 このルートでは市香に射殺される

*3 笹塚はオペレーター役で警察本部に残ったため生き残った