悪魔ブエル(ゲゲゲの鬼太郎)

登録日:2012/05/27 Sun 02:24:42
更新日:2025/06/08 Sun 13:58:16NEW!
所要時間:約 4 分で読めます





「悪魔ブエル」とは、漫画「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する悪魔

伝承通り、獅子の頭に5本のヤギの足が生えた姿をしており、五十個軍団を指揮する力を持った大物悪魔である。
(普段は眼の焦点が合わないイカレた中年のオッサンの様な姿に変装している)

尚、「鬼太郎 対 悪魔くん」でも、「悪魔くん」の部下である「魔物軍団」の一人として登場している。
但し、こちらは固有の役付けがされておらず、セリフもない。

オチの付け方は、本作が『週刊少年サンデー』連載版「ゲゲゲの鬼太郎」の最終回だったからと思われる。

【各シリーズの活動】

原作

ラーメン屋で働く青年は、仕事で失敗ばかりだった。
事故で左腕を失い、古寺に住む親切なオッサンに左腕を借りたのだが、その左腕が勝手に悪さを働き、ついには仕事もクビになってしまった。
その話に興味を持ったねずみ男は、その古寺に行った。

古寺に行くと、怪しげなオッサンがノコギリを持って出て来た。

『お前さんも借りたいのかね?
ここへ来たからには手を借りてもらわなくっちゃ。
ついてるなら切り落として取り替えかなきゃあ……』

ビビったねずみ男は、オッサンを『先生』と呼び、胡麻擂りを始める。
オッサンは「悪魔ブエル」と名乗り、それに恐れをなしたねずみ男はそのオッサンの召し使いになった。

一方、鬼太郎はねずみ男を捜していた。

『ねずみ男の奴、人の財布を持ってどこに行きやがったんだろ?』(カランコロン)

すると、自分で左腕を切り落とそうとしている青年に出くわす。
左腕から発せられるただならぬ妖気に気付いた鬼太郎は、青年から話を聞き、古寺に向かう。

『あっ、鬼太公だ!』

鬼太郎が来た事に気付いたねずみ男は鬼太郎に忠告する。

『鬼太郎。今度の相手はブエル様って偉いお方だ。帰った方が身の為だぜ』
『うるせえ、ねずみ男!』

反抗する鬼太郎。

『ばかに騒々しいね』

そこにブエルがのっそりと現れた。

すかさずねずみ男は、
『先生どうです。日本の下等な妖怪の為に実力をお示しなさっては……』とブエルに囁く。

『うむ……』

バッ

ブエルは本体を現すと大空にむかって叫んだ!!

ヒューン
『我が軍団よ 来たれーっ!』

ゴロゴロゴロ…

強風が吹き、空にドス黒い雲が立ち、激しい雷が鳴る。

雲の隙間から、大量の悪魔達が洪水の様に流れてきた。

ゴロゴロゴロ…キャーッ

『うわーっ!!』

必死で逃げ出す鬼太郎とねずみ男。

『ねずみ男、お前まで逃げることないだろ!!』
『逃げるなって、こんな恐ろしい事、そうざらにないぜ!!』

あっという間に悪魔達に取り囲まれる鬼太郎達。

『鬼太郎、ヤカンズルを出すしかない!!』

目玉おやじがそうアドバイスをした。
鬼太郎とねずみ男は必死に囲みを解いて、「天の岩戸」から禁断の妖怪であるヤカンズルを出した。
ヤカンズルは別世界に胃袋を持った食欲旺盛な妖怪で、食べ始めると止まらない。

あっという間に全ての悪魔を吸い込み、ブエルですらもヤカンズルに吸い込まれた。

ブエルは倒したがヤカンズルの食欲は収まらない。
町の人間や建物すらもところてんのように吸い込み始める。

ヤカンズルを鎮めるには、ヤカンズルの封印を解いた者が生贄にならなければならない。

『いけにえになるのですか』
涙を流す鬼太郎。

『鬼太郎、出したからには責任を取らにゃいかん』
そう諭す親父。

覚悟を決めた鬼太郎親子は、ヤカンズルに吸い込まれる。 
鬼太郎親子を食べたヤカンズルは「天の岩戸」に帰っていった。


鬼太郎達が生き返るには、ヤカンズルと内部で戦い、倒さなければ出られない。
運が良くても7年は掛かるだろう。


町に平和が戻った。
悪魔の左腕に悩まされた青年は、左腕が自由に動かせる様になり、鬼太郎に感謝するが、彼がどうなったかは知らない。
夕日は何事もなかったかのように暮れていった……。

【アニメ版】

第2期

声:森山周一郎
第33話「悪魔ブエル」に登場。
擬態状態では奇妙な関西弁を喋る。
悪魔形態はマントを羽織った人型の悪魔になっている。原点通りの姿は悪魔軍団の手下の中にいる。
ストーリーの展開は原作に準ずるが、アジトには天井から切り落とした大量の腕がぶら下がり、もぞもぞと動いているという不気味なシーンがある。
ねずみ男も右腕を切り落とされて悪魔の手に交換させられた*1
またヤカンズル解放時には一度撤収し、ヤカンズルを倒す方法を本で探し回る、という描写がある。そして、子泣きじじいがねこ娘に差し代わっている。
ねずみ男の入れ知恵でヤカンズルの詳細を知り、人間界に解放してヤカンズルの矛先を悪魔から逸らそうと考えたが、シーソーを使って大ジャンプをした鬼太郎に抱きつかれ、もろともに呑み込まれてしまった。
なお、砂かけばばあが「人間などと言う愚かな動物は~」と人類への罵倒を延々と並べ立てたのはこの回。

第3期

声:槐柳二
第63話「悪魔ブエルとヤカンズル」に登場。
正体が原点通りになり、2000人手下を増やすために日本に来た、という理由以外内容はほぼ同じ。
外にいる砂かけばばあ達がヤカンズルに風船を飲み込ませて浮かせ、そのまま封印の祠へ引っ張っていった後、
ブエルを倒した鬼太郎が吸い込まれた人々と共にヤカンズルの体内から脱出、ヤカンズルは封印される。
今作では、ヤカンズルは「本来は悪魔を吸い込む妖怪だが、物が溢れた現代社会では、悪魔とそうではない物の区別がつかないために見境なく吸い込む」という設定になっている。

第4期

声:島田敏
第69話「悪魔ブエルとヤカンズル」に登場。
ぬらりひょんに招聘されて登場。手を交換するのではなく、手を握ることで相手を自由に操る能力となった。
さらに操られた相手にも「手を握ることで相手を自由に操る能力」を付与し、操れる人間をねずみ算式に増やしていける。この描写は逆柱のニセ下駄に近い。
目玉おやじ曰く「この能力で何度も戦争を起こさせてきた残忍極まりない悪魔」。
また両腕を猫仙人のように伸ばして操ることもできる。

ぬらりひょんに「鬼太郎が日本妖怪を指揮して悪魔を滅ぼそうと企んでいる」と吹き込まれて攻めてきた……
と思われたが、実はそのぬらりひょんにも手を操る妖術を密かに掛けており、鬼太郎が逃げると共に本性を現わし、ぬらりひょんを墓地に叩き付ける。

ゲゲゲの鬼太郎における「悪魔ブエル」の一番の見せ場は、洪水の様に襲い掛かってくる「悪魔軍団」にあるのだが、こちらでは作画の手間を省く為か悪魔軍団が一つの大きな雷雲のように見える、という演出になっている。
もっともねこ娘の口から「一匹の生き物なんかじゃないわ!」としっかり説明されている。
が、終盤のヤカンズルの胃の中での鬼太郎との戦いにおいて、鬼太郎の手を操ってちゃんちゃんこを奪おうとするも胃液で力を失い、無念の叫びを上げながらドロドロに溶けて消化されるシーンは、演者の熱演もあってトラウマもののグロさであるので、一見の価値あり。

第6期

声:龍田直樹
第33話「狐の嫁入りと白山坊」に登場。
悪魔軍団や悪魔の手は使わず、人体解剖が趣味のバックベアード軍団の構成員の一人となっている。
戦闘では原点通りの姿になり、5本の足を高速回転させて大量のメスを召喚し、短剣代わりに直接手に持って切りつけたり、無数に飛ばしたりして相手を切り刻むという残忍な戦い方を好む。
魔女アデルの命令でアルカナの指輪が体内に出現した娘・葛見やよいを殺して指輪を奪う事を邪魔した白山坊を上記の戦闘スタイルで痛め付けるも、加勢に来た鬼太郎の霊毛ちゃんちゃんこを纏ったパンチを顔面に受けて叩き落とされ、時間切れで指輪がやよいの体内から消滅した事で撤退命令を出された。
「いつか貴様も解剖してやる。」と捨て台詞を残し逃げ去って行ったが、その後再登場する事は無かった。
設定が大きく変わったせいか、ヤカンズルは登場していない。

ゲーム

大妖怪ギーガによって召喚され、べリアルと悪魔コンビを組んで、西洋妖怪軍団に協力する形で、やはり悪魔軍団を召喚しようとする。
鬼太郎ファミリーからは、ベリアル共々「悪魔というからどんな恐ろしい姿なのかと思ったら、ダサいオジサンでがっかりした」と酷評されてショックを受ける。
最終的にはベリアル共々、やはりヤカンズルに吸い込まれるが、西洋妖怪と南方妖怪の混成部隊に救出され、最終決戦のルート分岐次第ではねこ娘を生贄に再度悪魔召喚の儀式を行おうとして鬼太郎たちと再戦する事になる。




追記・修正は怪しいオッサンに腕を付け替えてもらってからお願いします。
ただし、腕が勝手に悪い事をしても責任は持てません。

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最終更新:2025年06月08日 13:58

*1 残酷なため、音のみの表現だが、ヤカンズルの中に入った鬼太郎同様、翌話で元の生身の手に戻っている可能性が高い。最も第1期で戦死した仲間達もその後の話で復活しているため、元の生身の手に戻っていても不思議ではないが。