おおぞらをとぶ(DQ)

登録日:2020/06/06(土) 03:09:29
更新日:2024/10/07 Mon 22:11:56
所要時間:約 3 分で読めます




『おおぞらをとぶ』とは、ゲーム『ドラゴンクエストシリーズ』で使われる楽曲。
英語版タイトルは『Heavenly Flight』。
作曲者はすぎやまこういち氏。


■概要

ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ…』、『ドラゴンクエストⅧ 空と海と大地と呪われし姫君』、『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』の3作に登場。
外伝作品では、『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』のフィールドBGMとしても登場している。

『ドラゴンクエスト』を代表する曲の一つとして、ゲーム内だけでなくNHK交響楽団やロンドン・フィルハーモニー管弦楽団などによって演奏されたこともある。
フルートとハープが主旋律を奏でる、雄大かつ神秘的な響きが美しい名曲。
ストリートファイターⅡ』や『キングダムハーツシリーズ』、『スーパーマリオRPG』などで作曲を担当した下村陽子女史に

こんな曲が自分に作れたならその瞬間に死んでもいい

とまで言わしめたのは有名。


■『ドラゴンクエストⅢ』

不死鳥ラーミアに乗っている時に流れる。

船を手に入れて世界を回ると、バラモスを討伐するには不死鳥ラーミアの力が必要だと判明。
そして不死鳥ラーミアを復活させるためには、6つのオーブを全て集めなければならない。
世界各地を旅して6つのオーブを集め、ラーミアの卵があると言うレイアムランドの祠に赴き、祭壇にオーブを捧げて卵を守る双子の巫女に話しかけると

*「わたしたち
*「わたしたち

*「このひを どんなに
*「このひを どんなに

*「まちのぞんでいたことでしょう。

*「さあ いのりましょう。
*「さあ いのりましょう。

*「ときは きたれり。

*「いまこそ めざめるとき。

*「おおぞらは おまえのもの。

*「まいあがれ そらたかく!



双子の巫女が二人で同じセリフを口にしている事を表す、同じ文の二重表示から始まる印象的な祈りの言葉の後、卵が割れて不死鳥ラーミアがこの世に生を受けるのだった。

FC版では音源の性能の関係で電子音の組み合わせの曲でしかなかったが、この時点で既に『DQ3』の中でも名曲として人気を誇っていた。
ラーミアに乗り放置すると1ループで丁度一昼夜が終わる長さになっている、というのも有名。

後のSFCリメイク版では音源の性能アップに伴い、さらに後のオーケストラリアル演奏版にかなり近いレベルの豪華な仕上がりになり、名曲としての評価を確固たるものにした。
さらにその後音源性能で劣るGBCに移植されたけど。



■『ドラゴンクエストⅧ』

そして時は流れて『DQ8』が発売。

ストーリー中盤に「神鳥レティス」という鳥が登場する。
紆余曲折あってレティスの産んだ卵を取り返すために戦うも、魔物の最後の悪あがきで卵を破壊されてしまい、レティスの子供はこの世に生を受ける前にこの世を去ってしまう……。
しかし、レティスの子は魂だけの存在となりながらも主人公達の力になることを選び、彼らと一体化し鳥の姿に変化して空を飛ぶ能力を与えてくれる。

こういう経緯でシリーズ恒例の「空飛ぶ乗り物」を手に入れるわけだが、そうして初飛行を迎えたプレイヤーは驚いたことだろう。
そう、そこで流れてきたのは昔から『DQ』をプレイしているファンなら一発でわかるこの曲だったのだ。
『DQ4』から『DQ7』まで『DQ3』とは全く異なる世界観が続き、『DQ8』もそれまで独立した世界観だったところへの嬉しいファンサービスではないか。

また、ラストバトルでは空中に浮かんでいるボスに挑むために神鳥レティスの背に乗って戦うが、この時に流れる曲は『おおぞらをとぶ』のアレンジBGMおおぞらに戦う
詳しくは個別項目をどうぞ。

そして、エンディングにて。
「いくつもの世界を旅する」と言われる神鳥レティスは「私はかつて生まれた世界ではラーミアと呼ばれていました」と言い残して旅立っていく。
『DQ3』で勇者を乗せたラーミアそのものなのか、記憶を受け継いでいる別個体なのか、までは明言されていない。
ともあれこれもまた、同作との繋がりを匂わせる古参ファンへのサービスと言える。



■『ドラゴンクエストⅪ』

そしてさらに時は流れて『DQ11』。

こちらは明確に「『ロトシリーズ』3部作のさらに前の時代の物語」とされている作品である。
しかしゲームを進めていくと「空飛ぶ乗り物」はラーミアではなく、羽の生えたクジラとでもいうべき姿の「ケトス」。
最初のうちはケトスに乗っても『空飛ぶ鯨』という、まんまな名前のBGMが流れるだけ。

しかし「過ぎ去りし時」を求めた後、忘れられた塔でケトスを覚醒させるイベントでは……!


「ときは 来たれり。
「ときは 来たれり。

「いまこそ 目覚めるとき。
「いまこそ 目覚めるとき。

「大空は おまえのもの。

「舞い上がれ 空たかく!



この祈りの言葉を捧げた後、ベロニカセーニャがそれぞれ手に持ったフルートとハープで「聖地ラムダに伝わる目覚めのしらべ」を奏でる。

その音色はまさに『おおぞらをとぶ』。

これ以降、ケトスに乗っている間のBGMは『おおぞらをとぶ』に変わる。
仲間キャラクターのベロニカとセーニャが双子で、それぞれがフルートとハープを持っているのは全てこのための伏線だったのだ。

なお祈りの言葉のうち、「ときは来たれり」「いまこそ目覚めるとき」はベロニカとセーニャ、「大空はおまえのもの」は時の番人、「舞い上がれ空たかく!」は3人で同時に発言している。



■『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』

最終ワールド「破壊天体シドー」のフィールドBGMとして採用されている。

主人公の相棒シドー大神官ハーゴンに攫われ、破壊神として覚醒。
シドーが自我を失い世界の全てを破壊し無に帰そうとする中、主人公はシドーを助けるために、魔物たちにとっての約束の地「破壊天体シドー」へと赴くことになる。

赤い空の下、シドーによって破壊されていく荒廃の地に降り立てば、流れてくるのはハープとフルートの音色が奏でる『おおぞらをとぶ』。
既に当BGMを聞きなれているファンであれば、「神聖な空を飛ぶ乗り物を象徴するBGMがなぜここで使われているのか?」と疑問に思うかもしれない。

実は、これこそが物語の伏線。
この地での主人公の目的はシドーを救出することだが、破壊天体シドーには取り残された多くの魔物たちがいる。
ビルダーは彼らと協力し、魔物たちをこの地から脱出させる「空を飛ぶ箱舟」を建築することになるのだ。
つまり、今作では、BGMのほうが伏線という逆パターンが敷かれているというわけ。

物語も佳境に入る最中に流れる切ないBGMはストーリーに良くマッチしており、フィールドに対する当BGMに違和感を覚えることはあまりないであろう。




*「ときは きたれり。

*「いまこそ ついきするとき。

*「こうもくは おまえのもの。

*「しゅうせいしろ そらたかく!



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最終更新:2024年10月07日 22:11