犬の大将(犬夜叉)

登録日:2020/11/05 (木) 00:11:33
更新日:2025/04/06 Sun 02:37:39
所要時間:約 5 分で読めます







覇道……か。

殺生丸、お前に守る者はあるか?





出典:半妖の夜叉姫、22話「奪われた封印」、読売テレビ、小学館、サンライズ、
2020年10月3日~2021年3月20日まで放送、©高橋留美子/小学館・読売テレビ・サンライズ 2020


概要

『犬の大将』とは、『犬夜叉』の登場人物。


本編の戦国時代よりも昔、西国を支配していた犬の大妖怪。
妻に同種と思われる犬の妖怪(殺生丸の母)がおり、愛人に人間で元貴族の十六夜がいる。
殺生丸犬夜叉の実の父親であり、日暮とわせつなもろはの祖父にあたる。


作中では殺生丸からは単に「父上」、犬夜叉からは「親父」、冥加ら家臣からは「お屋形様」と呼ばれているため、本名は長年にわたり不明。
「『天下覇道の剣』の予告で『闘牙王』で表記されていた事もあった」とされることもあるが、実際には疑わしく、海外ファンの二次創作が初出ともいわれている。
『犬の大将』という名称は作中で大将の関係者が言う他、原作者・アニメスタッフから呼ばれる名前である。本項目は公式スタッフの名称で統一している。
『天下覇道の剣』のクレジット等では「犬夜叉の父親」とそのまんまな名前で表記されている。

長い時間を生きた妖犬であり、殺生丸や妻とそっくりな巨大な犬の姿と、変化を解いた人の体に犬の顔をした山ほどの巨大な姿を持つ。
設定上、人間に完全に変化した姿を持っておりこの姿は原作には未登場。
(アニメでは『天下覇道の剣』に登場し、殺生丸とそっくりな姿だが髪をポニーテール状にまとめている、もこもこが二つに分かれている等の違いがある)。
鉄砕牙(天生牙)は大将の牙から作られた刀であり、鉄砕牙は相手の妖力を吸い取り自分の物にする力を持つ。どんな牙をしていたんだろう……。
(なお天生牙は鉄砕牙から切り離して作ったため、使った牙は一本のみ)


西国の妖怪達を支配していた大名或いは侠客的な立ち位置で、東国の支配者である麒麟丸とは東西の妖怪のパワーバランスを保つ間柄だったという。
また豹猫族のお館様と戦うために東国の妖怪を率いて戦った事もある。
さらに東国の支配者だった竜骨精の噂を聞き、力試しをするために東国に行った事もあった。
……ここまで書いたように同時期に東国の支配者が麒麟丸・竜骨精の二体いたことになるが、実際誰が支配者だったのかは不明(大将が東国を率いたのは一時的に協力しただけだろうが)。
元締めクラスが東国には二人いて、相争っていたということだろうか。
まあ、そうでなくても麒麟丸自身の人望が怪しい上、500年も実質職務放棄してたことが判明したため、その間竜骨精がとりあえずまとめあげてた(麒麟丸→竜骨精→麒麟丸)と解釈できなくもない。
アニメでは、更に大陸から攻めてきた異国の妖怪等の様々な勢力を撃退する為に奔走し、方々で討伐や封印を繰り返している。


本編の200年前に竜骨精の強さの噂を聞き力試しに出向いた大将だったが、竜骨精は予想以上に強くて返り討ちにあってしまう。
瀕死になりながらも、なんとか封印する事で事なきを得た大将だったが、死期を悟り遺産整理を始める。
刀を渡すために冥加などに説明をした後、愛人の十六夜が息子を産みそうになっていたため、瀕死にもかかわらず駆け付ける。
そこで横恋慕していた刹那猛丸と戦い、息子に『犬夜叉』と名付けながら相打ちでこの世を去った。

……と、ここまでが『天下覇道の剣』による竜骨精との戦い後の話だが、200年前なのはあくまでアニメ時空のみ。原作時空では結構違う。
実はかつて原作者による一問一答によれば、実は大将と竜骨精が戦ったのは犬夜叉が封印されるほんの10年前の出来事だという。つまり本編の60年前。
楓が大将の噂話を知っていたのも、大昔の妖怪ではなく最近まで生きていた妖怪だという設定のためらしい。アニメスタッフちゃんと打ち合わせしろ。
ちなみに犬夜叉の母もこの頃までは生きていたようだ。

もっとも、殺生丸が人間換算で19歳:実年齢で数百歳なので、原作でも人間換算15歳の犬夜叉は、桔梗に出会った時点で100歳を優に超えているのは確実である。
父の死後に父の墓に繋がる黒真珠は母によって犬夜叉の瞳に隠されたので、上記設定だと人間である母の寿命や、犬夜叉を産んだ時の年齢が物凄いことになってしまう。
半妖は14歳頃から肉体の加齢スピードが緩やかになり肉体年齢と実年齢がほぼ同じという可能性もあるが、
その場合は犬夜叉を深く愛していた両親は、息子が荒野を独り彷徨おうが封印されようが構わずに50年以上も放置し続けたことになるので、別の矛盾が生じる。
アニメの設定はその辺りの整合性を優先した結果だと言える。


また大将はけっこうな言葉足らずな妖怪であり、大将の言う事だから間違いないだろうと家臣団も信用はしているが、同時に悩みの種でもあった様子。
形見分けにおいても、殺生丸には人を慈しむ心を育てさせるために天生牙を与え、
半妖である犬夜叉は弱く妖怪の血に飲まれるから、制御のために鉄砕牙を与えた。というのが序盤の頃の説明だった。

しかし終盤になって、殺生丸に天生牙を与えたのは『冥道残月破』を殺生丸に完成させ、それを犬夜叉に与えるためだったと判明する。
つまり実質、大将は殺生丸に何も遺産を残さなかった事を意味していた。この真実には殺生丸も動揺し犬夜叉も兄を心配したほど。
実際には「殺生丸には遺産なんか必要ないくらい強いから、弱い犬夜叉に全てを与えた」
「父の遺産に頼り未練を断ち切れない心境を抱える限り、殺生丸が己が秘めた力を発揮出来ないままになるから、敢えて突き放した」
というのが大将の考えだった事が明かされる。
しかし、それらを一切説明しなかったことで犬夜叉兄弟の仲が終盤まで拗れる事となった。
説明さえしていれば最初から諸々を納得して長年鉄砕牙に執着するなどなかっただろうに(逆にそんな扱いの天生牙など捨てていた可能性も高いが)。

…道理は通るのだが、結局犬夜叉には激アマなのに対して殺生丸には無頓着にしか見えないので、どうかしてるとつっこまれても少し仕方ない

仁義を重んじるタイプだったのか家臣達からはかなり慕われていた様子で、死に際して冥加は涙を流しており、『紅蓮の蓬莱島』では、大将が果たせなかった蓬莱島の開放を試みる者達もいた。
また、十六夜を恋人とするなど大妖怪という地位にありながら人間を愛する心を持っており、この点は妻や家臣達も理解を示しつつも珍しがっていた。
この性分は紆余曲折を経ながらも息子達へと受け継がれている。
『天下覇道の剣』ラストで幻影ながら家臣や息子、その仲間達の前に現れた際は、かごめから「優しそうな人」という印象を受けている。


戦闘

凄く強い大妖怪であり、腕力・妖力・眼力・知力・瞬発力・生命力、この全てが五段階評価で五とカンストしている強者。息子の殺生丸ですら生命力と知力は四である。
これ以上のステータスを持つ妖怪は、作中では四魂の玉を取り込んだ最終奈落くらいである。

……と、ステータス自体は終盤の妖怪にも勝るほどなのだが、実際の戦闘力がイマイチ曖昧なお方である。
というのも、大将と過去に戦った「死神鬼」「竜骨精」が本編に登場した際の強さ描写が、設定上のそれと一致しないためである。

死神鬼は過去に大将と戦った際完敗しており、ついでに相手を強制的に冥界送りにするチート技『冥道残月破』を鉄砕牙でコピーされた*1という。
しかし本編では終盤に登場、あの殺生丸・犬夜叉コンビが苦戦している。作中描写を見る限りではどう見ても竜骨精より強い

一方の竜骨精は大将を討ち取った妖怪であり、ステータスも大将に引けを取らないほど高く設定されている。
しかし本編では中盤少し手前くらいに登場、まだそんな強くなかった頃の犬夜叉に殺されてしまう
ふたつの話を総合すると、犬の大将は(未完成とはいえ)冥道残月破というチート技を持ちながらなお竜骨精ごときに負けたという事に……。

この辺は作中でも多少触れられており、竜骨精戦を終えた当初は「ついに犬夜叉も父に劣らぬ力量を得た」と思われていた。
しかし後に連載が長引きインフレしたことで、犬夜叉以上の力量を持つ殺生丸が爆砕牙を得てようやく最強の大妖怪たる父を超えた、という設定に上書きされた。

まとめると、
  • 設定上の強さ: 終盤の殺生丸>大将≧竜骨精>>死神鬼
  • 描写上の強さ: 終盤の殺生丸・犬夜叉コンビ≧死神鬼>>>中盤の犬夜叉>竜骨精≧大将(笑)
といった具合に描写と設定がだいぶ乖離してしまっている。

もっとも、風の傷ですら掠り傷一つつけられない竜骨精の鋼鉄に勝る皮膚をただの自身の爪による一撃で心臓ごと貫いている辺り、
原作中盤時点でも強大な妖怪であったことは事実であろう。


アニメではさらにはややこしい事に。
映画『天下覇道の剣』では鉄砕牙らの他に『叢雲牙(そううんが)』という三本目の刀を持っていたという。
アニメにおける続編『半妖の夜叉姫』においても叢雲牙を背負った犬の大将の人間形態が描かれているので、映画に限らずアニメにおいては叢雲牙を所有している設定になっている様子。
そしてこの叢雲牙、刀と鞘の両方に自らの意思を持っているが、
刀には太古の悪霊の魂が宿っており犬の大将以外が持つと刀が持ち主と同化し、敵味方問わず斬り殺してしまう恐ろしい魔剣でもある。
しかもこの刀は『獄龍破』という技を繰り出すが、なんと爆流破や蒼龍破を遥かに超える威力を持つ

つまりアニメの大将は、
  • 相手の妖力をコピーする『鉄砕牙』
  • 未完成ながら相手を冥界に送る冥道残月破が使える『天生牙』
  • 爆流破以上の獄龍破が使える『叢雲牙』
三本を使いながら竜骨精に勝てず、止む無く真の姿となって封印したという事になってしまった。
アニメの竜骨精は強すぎる……。
(まあ腕は二本しかないわけで、多刀流でも修めていない限り、名刀の所有数が強さに反映されるわけではないが)


竜骨精に負けた理由は力試しだった為、最初から真の姿で敢えて武器を使わずに戦った
等のフォローが読者、視聴者によってされているが、長期連載の弊害真相は闇の中である。



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最終更新:2025年04月06日 02:37

*1 もっとも冥道残月破は未完成で、鉄砕牙から死神鬼の妖力を切り離したのが天生牙となった