ラミエル(新世紀エヴァンゲリオン)

登録日:2021/03/07 Sun 16:25:28
更新日:2025/04/19 Sat 16:59:35
所要時間:約 8 分で読めます





ホー…ホー…


ラミエル(RAMIEL)とは『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する謎の生命体「使徒」の一体。
同様の形状と能力を持つ『新劇場版』に登場する「第6の使徒」についても記載する。

+ 目次

基礎データ

呼称:第五使徒
天使名:ラミエル
全高:不明
体重:不明
象徴:雷
能力:加粒子砲、シールドマシン(掘削シールド)


概要

青く半透明な正八面体の形状をしている使徒。
使徒の中では珍しく、生物というより無機物のようなヴィジュアルが特徴で、内部中心にコアを収蔵している。
一定間隔で記事冒頭の「ホー…ホー…」というような女性の声の様な音を発しながら浮遊し移動する。

ラミエル」の由来はキリスト教ユダヤ教における「雷」を司る天使・復活を待つ魂の管理者・幻視を司る天使とされる「ラミエル」から。

特撮作品『帰ってきたウルトラマン』に登場する怪獣「プリズ魔」がモチーフとされており、
  • 自意思があるのか感じ取れない、結晶体でできた見た目
  • 見た目は美術品のように美しいが、やる事がえげつない
  • ラミエルの鳴き声はプリズ魔の鳴き声を流用している
などなど、共通点が非常に多い。

アニメ作品『未来警察ウラシマン』第47話に登場するネクライムの秘密兵器「スーパーX」も色違いキャラレベルで共通点が多いと指摘されることもあるが、公式の発表はない。

主な能力

他の使徒と同様に強力なA.T.フィールドを展開し、一定距離内に侵入した脅威目標を察知し、瞬時に自身の体の頂点部分から放つ強力かつ高精度な荷粒子砲で迎撃するという攻防共に隙が殆どないパーペキな要塞

加粒子砲

自身の体を加速器と化し、強力かつ高精度な陽電子ビームを発射して長距離攻撃を行う。
初戦ではビルを七枚貫通した挙句にエヴァ初号機出撃直後に中破させ、その圧倒的な威力と狙撃精度を見せつけた。
しかしこれですら最大出力ではなく、最大出力となると山を半分吹き飛ばすほどの威力がある。さらに、こんな強力なビームを何発でも撃てる。

シールドマシン(掘削シールド)

下部から直径17.5mの巨大ドリル・ブレードのような掘削シールドを伸ばす。
速度は遅いが特殊装甲も貫く*1

A.T.フィールド

使徒の共通能力。ラミエルが持つものは肉眼で確認できる程に非常に強固であり、使徒全体を見ても特に頑強。
MAGIが試算したところ、N2爆雷で突破しようとするとNERV本部ごと破壊する分量が必要になるという*2


劇中での活躍

TVアニメ版

第伍話・第六話に登場。
その空中要塞のような性質と圧倒的な火力によって登場早々に出撃直後のエヴァ初号機を中破させた。これにより「エヴァンゲリオンが白兵戦を挑み、A.T.フィールドを中和しつつコアの破壊を試みる」という従来の戦術をあっさりと完封してしまう。

その後は身体下部から伸ばしたシールドマシンによって特務機関NERV本部へ侵入しようとしたが、作戦部長の葛城ミサトは、『ヤシマ作戦』(下記)を実行した。

ラミエルは作戦を察知し、加粒子砲で初号機の第一射を妨害したものの、追撃は零号機の構えた耐熱光波防御盾によって阻まれてしまい、その直後に初号機が再度発射したポジトロンスナイパーライフルでコアを撃ち抜かれたことで致命傷を負い、撃破された。

その残骸はしばらく第3新東京市中心に残り、次の使徒襲来時にも解体作業が続いていた*3

ヤシマ作戦

攻防共に隙のないラミエルに対して葛城ミサトが提案した、遠距離からの狙撃作戦。

内容としては戦略自衛隊が開発していた陽電子砲と日本全国の電力を徴用し、初号機に改造陽電子砲(ポジトロンスナイパーライフル)を携行させ、ラミエルの感知射程外から超長距離狙撃するというもの。
しかし、MAGIの計算によるこの作戦の成功確率は8.7%と低い上に作戦に使用する陽電子砲には大量の電力が必要となるため、全日本国民の協力の下、日本中の電気の供給をストップし、すべての電力を陽電子砲に集めることとなった
作戦は日本全国の電力を芦ノ湖の対岸である箱根下二子山の要塞に全て徴発して実施されたが、第1射はラミエルの放ったビームとの干渉によって外れ、エネルギー再充填の時間を稼ぐために盾となった零号機は、ラミエルの放ったビームの直撃により大破、第2射の命中によってラミエルは漸く撃破された。

作戦名の由来は、平安時代に起きた「屋島の戦い」から。弓の名手である那須与一が、敵陣の遠くにある扇の的を射た話が、今回の状況と重なっているということである。

これは当然ながら架空の作戦なのだが、東北地方太平洋沖地震において、東京電力福島第一原子力発電所被害の影響を受け、関東圏内での電力供給能力が著しく低下していた事態を乗り切るため、アニメファンを中心にこれを本作になぞらえ「ヤシマ作戦」と呼称して電力消費のピークとされる18:00~20:00に節電を呼びかける運動がTwitterやmixiによって行われ、エヴァンゲリオン公式ブログでもこの活動をキャッチし、賛同を表明している。


第6の使徒

新劇場版:序』に登場する使徒。通称「スーパーラミエル」

姿形や能力はTV版のラミエルとほぼ同じであり、基本はラミエルと同じ。
しかし最大の特徴は、ずっと同じ形状を保っていたTV版とは違い、よく形が変わることにある。攻撃・防御形態時には「四次元立体を三次元空間に投影した」というコンセプトに基づき、非常に不規則に変形するロマン溢れる仕様に。
「ラミエルと言えば、青い正八面体のまま動かない」というイメージの強かったTV版視聴者からは、
劇場で初めてこの変形を見た時に大いに驚かされた、一瞬劇場がどよめいたとの報告が多く上がっている。
なお変形時には毎回ガチィン!!と重い金属音が出る。
コアの位置はTV版では外から視認できなかったが*4、こちらは攻撃形態になると一時的に剥き出しになる事が確認できる。
但し、初登場時の第二射ではコアの様に見える部分が4つに分裂しているように見えるがこれが何を意味するかは不明。


劇中での活躍

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

  • TV版の第一射に相当する通常発射形態
  • 通常発射形態の攻撃を防いだ装甲板をも破壊する実測値で1分10秒に渡って発射し続けた威力強化形態
  • 全周を薙ぎ払う範囲攻撃形態
  • 板状になる防御形態
  • 四角いジェネシスの様になる一転集中形態
  • 逆五芒星の様な最大威力形態
を披露した。また、シールドは体の下部が捻れて伸びる形になっている。

登場時に加粒子砲を2回撃っており、その影響でカタパルトが溶けてTV版の様にすぐに初号機を地下に戻せなくなってしまい、爆砕ボルトで街の区画ごと地下に沈降させる羽目になる
また、陽電子砲の充電パートが延長されたため、その時間稼ぎを請け負った二子山周辺のVLS群や砲台のほとんどに砲撃を食らわせ破壊するなど、TV版よりかなりアクティブかつ驚異的になっていた。

TV版とほぼ同様の経緯で陽電子砲による攻撃を受けた*5際には、大きなトゲを無数にもつウニのような形(完全二十面体)となり、人の叫び声のような奇声を発するようになる。

殲滅された後はジオフロントまで到達したドリル部も形象崩壊し、NERV本部に血の雨を降らせた。


他作品での活躍

新世紀エヴァンゲリオン2

大体のゲーム作品だとイベントボス扱いが多い中この作品では通常の敵として戦闘を行う事になる珍しい姿を見る事ができる。
他の使徒とは一線を画する圧倒的長射程の攻撃範囲を持つため大体原作通りポジトロンスナイパーライフルで攻撃するのが無難だし一番楽。
こちらのA.T.が80以上ならほぼ一撃で沈められるし外す心配もない。
……だが、この作品では全ての攻撃にクールタイムが設けられており、ラミエルの攻撃後のクールタイムは長めなためアンビリカルケーブルを切断するなりしてこちらの移動速度を上げるとクールタイム中に強引に懐に潜り込んで蹴り殺す事も可能。
攻防パーペキな要塞とはなんだったのか。
因みに初号機の暴走での撃破、及び捕食も可能になっているが火力が高過ぎるためシンジが重傷を負いやすく、病院送りにされる事が多いのであまりオススメされない。

スーパーロボット大戦シリーズ

基本的にヤシマ作戦のイベントで処理される使徒。その分、性能面はブッ飛んでる事が多い。
加粒子砲が射程10マス超、攻撃力も高く『α』では表示カンストの攻撃力9999(内部的に改造されてるので実質は10749)を誇る。
第3次Z時獄編』では最大射程14もある。これに迫る射程を持つザクⅠ・スナイパータイプとは一体…
他の作品でも「当たると大ダメージ、下手すれば一撃で撃墜」「しかも当ててくる」傾向にある。
イベントを利用せずに力押しで倒すのはやりこみ要素の領域に入ることが多い。
しかし、『L』では貴重且つ強力なスキルパーツ「気力限界突破」を入手でき、『第3次Z時獄編』では自力で撃墜することがifルートフラグの一つとなっている等、自力で倒した場合は大きな見返りが用意されていることもある。
ちなみにこの時点でアスカと弐号機が既に登場していることもあるが、整備の都合で出撃できない、イベント戦闘で被弾して撤退している等で最初から大々的に関わらない(関われない)作品もあったりする。

そのイベントも、初号機が使う陽電子砲へのエネルギー供給手段や味方達の支援など、クロスオーバー作品らしさが特に表れている。
+ その代表例
  • F完結編
    ゴラオンのオーラコンバーターで賄った。おーらのちからってすげー!
    余談だがラミエルは登場時に暗黒大将軍を加粒子砲で撤退に追い込んでいる。むしろ生きてるのがすげーよ*6
  • α
    光子力エンジンゲッター炉を、触媒としてトロニウムと組み合わせて使用。零号機用の盾には南原コネクションにより表面に超電磁コーティングが施される。
  • MX
    電童のハイパーデンドーデンチを使用。これ一本で日本が1日に使用する量と同じ電力を持つため、日本中から電力を集める必要がなくなったが電童の分がなくなったため、民間人の協力を得る電童とのクロスオーバーがある。
  • 『第3次Z時獄編』
    作戦の立案は原作とは違い、ミサトではなくゼロ(ルルーシュ)になっている。さらに原作とは異なり2射目も外してしまうが、3射目の分のエネルギーは、ゼロが用意したアダプターを介して自軍の各機体からエネルギーを供給した。
  • V
    ヤマトの波動エンジンからエネルギーが供給される(波動砲では周囲の被害が大きくなり過ぎるため却下されている)。陽電子砲はこの時点では普段敵対しているGハウンド所属のヤザン・ゲーブルが運んできている。
  • DD
    初号機の護衛を兼ねて待機していたマジンカイザー真ゲッターロボコン・バトラーVボルテスⅤのエネルギーを二射目に使用。ウイングガンダムゼロブラックサレナが上空で囮となって引き付け、クルツがアドバイザーとなってシンジをサポートした。

ユニットとしての高い性能と、それを倒すまでの熱い展開があるため、スパロボにおける使徒の中ではトップクラスに印象が強い。
一方で再生使徒として出てきた時さほど強くないパターンも多い。
F完結編のバッドエンドルートではイベント補正が切れた結果、自慢の加粒子砲を撃ちまくったら燃費が悪すぎてガス欠するなんて情けないオチを迎える事も。
一方で、『DD』の共闘戦イベントでシミュレーターの敵として登場した際は、「特殊な対処法が必要な敵の代表格」「性能を落としたデータを使用している」と言われており、数ある大ボスの中でも別格扱いされている。

新劇場版設定で登場した『L』では、原作における第6の使徒の不規則な変形パターンをニンテンドーDSのドット絵アニメーションで見事なまでに再現しきっており、原作ファンなら一見の価値あり。

『X-Ω』には登場しないが、ユニット強化素材のビジュアルが八面体(しかも低レアリティだと青い)だったため、多くのプレイヤーから通称「ラミエル」と呼ばれた。

パチンコ・パチスロシリーズ

ストーリーリーチという通常のエヴァリーチよりも期待度の高い「ヤシマ作戦リーチ」で相手を務め、新劇版を含めて様々なシリーズで登場している。
初号機が相手をすることが多いが、オリジナルリーチとして零号機や弐号機がライフルを撃つパターンがある。

原作通り陽電子砲(ライフル)を撃って撃ち貫けば大当たり(ボーナス)となのだが、本シリーズでは一発で仕留めるようになっている。
ハズレの場合はATフィールドでカキーンと弾かれてしまい(新劇版ではこちらが撃つ前に加粒子砲が飛んでくる)、撃たれた加粒子砲が直撃して大爆発!して、遠くにあがった火柱を見るラミエルが映って終わり。◆<やったぜ 
ハズレだと上記の通りだが、加粒子砲が直撃したと見せかけて零号機(零号機が撃つパターンだと弐号機)が盾になる原作通りの演出が入れば復活当たりとなる。ちなみに零号機(弐号機)がライフルを撃つリーチの場合は、別地点に待機していた初号機が代わりにライフルを撃つという展開になっている。*7

また新劇版では渚カヲル(四号機)が代わりに戦うというオリジナルリーチが実装されており、出てくれば問答無用で確変大当たり確定。
エヴァがいない状態でのヤシマ作戦の開始直後に突如襲来といった感じで、彼らの登場にはNERVの面々も驚愕、戦慄していた。
第6の使徒の撃つ加粒子砲を「悲しい歌だね」と呟きながらATフィールドで軽くいなし、四号機の持つロンギヌスの槍で刺し貫く様は圧巻。
ただし、このオリジナルリーチの出現率は数万分の1という超々低確率なので(高確率ならば若干見やすいが)見ることが出来れば非常にラッキーなものだった。

月が綺麗だね
そう思わないかい?碇シンジくん!

余談

ラミエル出現からヤシマ作戦決行に至る展開は序盤の山場でもあり、本作を代表する名シーンのひとつとして知られている。

任天堂のゲーム作品『星のカービィ64』には、ラミエルをモチーフにしたとおぼしき敵キャラ「ラミ」が登場する。正八面体の青い外殻、電撃弾による遠距離攻撃、「神の雷」の名を持つ天使が元だけあってかスパークをコピーできるなど、見た目や性質が似ている。ラミは攻撃時に変形し、本体中央から大きな一つ目が出て来る。新劇場に先駆けた仕様と言える。ちなみに、同シリーズの『星のカービィ3』にはマトリエルがモデルと思われる敵「マリエル」が登場する。こいつも『64』に出てくる。

あまりにも単純な形状だからか、ニコニコ動画などでラミエルの模型を自作して空中に浮かせる試みがなされた動画が公開されている。



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最終更新:2025年04月19日 16:59

*1 後に登場した第14使徒ゼルエルはこの装甲を瞬時に溶解させている。

*2 あくまでATフィールド突破だけで必要な量である。参考までに、サキエルやイスラフェルは(一発とは言っていないが少なくともジオフロントごと破壊する量ではない)N2爆弾で使徒本体にまで大きなダメージを受けている。

*3 これにもかなり金がかかっているらしく、エヴァ本体の膨大な維持費に始まるネルフの予算がカツカツになる要因の一つのようだ。

*4 実際に新劇場ではブリーフィングでシンジが「狙撃と言われてもコアの位置が分からない」と言及している。

*5 陽電子砲と同時にラミエルが撃った加粒子砲と干渉して狙いが逸れたTV版に対して、こちらは単純にコアを外した。

*6 ちなみに、内部データ上は自軍で戦う時と性能が異なっており、この時は射程無限となっている

*7 3作目の「奇跡の価値は」では、初号機が撃つが弾かれて零号機が盾になった後、弐号機が登場してライフルを撃つ展開になっている。実は初号機だと今作ではプレミア扱いであり、通常は弐号機が撃つ役。