夏忌(ケンガンオメガ)

登録日:2021/05/16 (日曜日) 14:53:49
更新日:2024/01/08 Mon 23:36:50
所要時間:約 6 分で読めます






全ては、「繋がる者」の為に。



(シァ) (ジー)とは『ケンガンオメガ』の登場人物。


●目次


【プロフィール】

肩書:「」極東本部長
身長:199cm
体重:87㎏
年齢:不明
誕生日:不明
好きなこと:絶対に勝てる勝負
特技:危険察知


【概要】

古代中国から存在し続ける秘密結社「」の極東本部長
タトゥーの位置は右手の甲。
長い白髪に肩と上腕だけ布がない奇妙な中華服を着た長髪の男。山下健蔵からは便宜上「猩々」と呼ばれていた。
立つ時は、上半身を前に傾けて両腕をぶら下げるといった奇妙な癖を持っている。

組織内では幹部と同等の権力を持ち、本部長ながらエドワード・呉とは同格。
彼には一目置いており、ちょっと凄まれて縮み上がるなど結構小物かわいいところがある。
「蟲」の頭領・厭の兄だが彼からは軽く扱われている。


【人物像】

軽いノリの言動が目立つが、本性は目的のためには手段を選ばない冷酷な人物。
プライドと権力に凝り固まった悪い意味で俗物的な男で、自分に従わない他者を等しく疎んでいる。

組織に忠実ながらも根はかなりの野心家であり、自身を「いずれ蟲の頭領になる男」とまで豪語し、過去には部下を使って実の父親である先代頭領を暗殺している
また多くの弟子を抱えており、弟子からは「師父」と呼ばれ敬われている。
選民思想も強く、「もう一人の十鬼蛇二虎」が率いる二虎一派の存在を外様扱いして毛嫌いする一方で「替えのきく兵隊がやればいい」などと建前を駆使して二虎が主導する蠱毒房に参加しないなど根は俗物的かつ小心。
その経緯から蠱毒房の生き残りである呂天からは「蟲に不要な屑」と侮蔑混じりに見下され、かつて自分達の側に就くよう強要した際にはブチ切れた呂に連れていた配下4人を全員蹴散らされて自身も半殺しにされている。
その為呂には内心恨み半分怯え半分の恐怖感情を抱いており、「危険人物」と評している。
なお夏を完全に見下し切っていた呂自身も夏が勝つためなら手段を選ばない人物だと分かるや「少しお前を見直した」「嫌いではない」とそれなりに評価を上げていた。

一方で短気かつ精神的にかなり未熟な面があり、自分の思い通りに事が進まずストレスが溜まると辺りに怒鳴り散らすように怒り狂う事が多々ある。
そして極端に苦難に追い込まれ続けるとメンタルが限界を迎えて半ば発狂。
些細なことでも怯えきって泣き叫び、現実逃避気味に周囲や敵へ身勝手に喚き散らす情けなさの極地みたいな豆腐メンタルになる。

しかし、その情けなさ過ぎる自身の性格自体はちゃんと自覚しており、その性格ゆえにエドワードたちの様に強くなれないことに大きな劣等感を抱き、自身を「脇役」とこき下ろしている自虐的な一面がある。ひとえにクズ過ぎる性格をしているのは、強くなりたくてもなれない、情けない自身に対する開き直りなのかもしれない。


【戦闘スタイル】

武術家ではなく、毒や袖に仕込んだナイフや長針状の暗器の扱いに長けた暗殺者。
言動こそ非常に小物臭いが、呉雷庵の手加減なしの攻撃をモロに受けても生き延びただけでなく、十鬼蛇王馬、雷庵、烈堂片原の3人を相手に気配を悟られることなく逃げ果せるなど能力は本物。
王馬から「そこまで強え奴には思わなかった」と評されそこまで一個のファイターとしての実力はそこまで強くはないものの、実戦における殺し合いに持ち込めば底知れない危険性を持つ。

その本質は「鼠に生まれるはずだった龍」と評される類稀な天才拳士。
実力的には厭やエドワード、飛王芳よりも大きく劣るものの、武術センスは厭を上回っており、身体スペックも厭と同等とかなりのもの。戦闘スタイルは天賦の才能による完全なゴリ押しだが、
  • 持ち前の格闘の天賦の才能
  • 超人体質
が合わさり人類最高峰の反射神経を持つ阿古谷を(不調だったとはいえ)正面から圧倒し、阿古谷も仮に体調が万全だったとしても容易くは勝てるか分からないと即断した戦闘力を発揮した。
忌を知る頭領直属兵の天神は、普段の暗器術や超人体質の存在を「おまけ」扱いしており、「放置するには力を持ちすぎている」「勿体ないことに忌の拳才は本物なんだなァ……」と評した。

ただしこの本領と天賦の才能は忌本人の心身が極限まで追い込まれないと発揮されないため戦力としては凄まじく不安定。
暗器や部下に頼りっぱなしで自分の手を汚そうとしない怠けっぷりがムラに拍車をかけている。
この怠け癖が弟の厭が扱いを面倒がる要因となっており、忌のポテンシャルを認めた上で「能力に胡座をかいて鍛錬を怠った怠惰でヘタレ」「せめて性格がまともだったらなぁ」とボロカスに酷評している。
しかも自身の実力に自覚がないため、相手との実力差を客観的に分析出来ず、勝つために痛みやダメージを覚悟して戦い抜くと言う発想が持てない→自分の優勢がわからないので、相手の反撃を受けると自分の劣勢だと誤解して撤退か暗器の利用に思考が切り替わってしまう欠点に繋がっている。勿体ない。


超人体質

若槻と同じく生まれながらに備える常人を超える筋繊維密度を持つ特異体質。
ただしその筋密度は常人の2倍と(達人目線では)そこまで特筆すべき脅威となる能力やアドバンテージではないのがネック。
天神曰く「ハズレ激レア」

それでも劇中数多の強者にボコられても五体満足で生存する高いタフネスに加えて、腕に巻き付いた因幡の黒髪を筋力だけで引き千切り、ビルの壁面を腕と指の筋力だけで垂直に駆け上るなど人間離れした筋力を得るなど、その恩恵は本物である。

  • 重鞭
全身を連動させて全体重を指先に集中、腕を鞭のように高速で振るって指先で標的を斬り裂く技。
いわゆる鞭打。命中すれば皮膚や排水管を簡単に抉り裂くほどの威力がある。指先にまで注がれる力の流れは桐生刹那の羅刹掌と一緒なので、至近距離では使用できないと思われる。


【劇中での活躍】

ケンガンアシュラ

最終話で初登場。
秘かに願流島に侵入し護衛者の監視を掻い潜って拘束されていた守護者の蘭城を暗殺した。
その後は香港にてエドワードと「二虎流の継承者」とされる謎の男と密会しているところで物語は幕を閉じている。

この頃はまだ得体のしれない人物という印象だった。

ケンガンオメガ

弟子達に拳願会所属企業の社員や闘技者の顔に整形手術を施した「成りすまし」を送り込ませて暗躍。

弟子達を拳願会に潜入させ臥王龍鬼をマークさせていたが、元「煉獄」闘士の幽崎無門に成り代わらせた弟子が龍鬼に殺されたことで龍鬼に成りすましの存在に気付かれ、立て続けに弟子を殺されるが、もっと深い所(・・・・・・)に「楔」を打ち込んでいる」と豪語し、末端の損耗については全く気にせず平気で捨て駒のように扱う。
加えて秘密に近付き過ぎた山下一夫と成島光我襲撃作戦に失敗した際の口封じも兼ねて遅効性の猛毒を部下に仕込んだ上で刺客として差し向ける狡猾さと冷酷さを見せた。

拳願会と煉獄の対抗戦でもVIP客の1人として会場入りしエドワードと一緒に観戦しているが、煉獄陣営に潜伏していた蟲のメンバーが正体を明らかにする度に「俺上からそんな話聞いてねえぞ!(要約)」と混乱する羽目になり、執拗な情報漏洩防止のせいでロクに連携が取れてないことをネタにエドワードに揶揄われた挙げ句、アラン・呉が雷庵に惨殺された際に「アイツなら勝てるんじゃなかったのかよ!!?」と文句を言った途端に「そう熱くなるな。」と顔面にパンチを食らって恫喝され、「ヒィッッ!!?殴らないで!!!」と狼狽えるなど中間管理職の悲哀を感じさせるようになった。

しかし実態は、既に用済みの人材だったから情報伝達が疎かになっていただけだったよう。
ナイダン・ムンフバト、呂天に続き飛王芳までもが夏忌に一切連絡もせず蟲としての正体を露にし、更には「もう一人の二虎」までもが勝手に対抗戦への介入を実行したことで彼の護衛役でもあったエドワードは「夏忌は蟲に見限られた」と独自に考察している。

対抗戦終了後はエドワードが雷庵の相手をしたため一人逃走しようとしていたが、光我を襲ったことへの報復に現れた暮石光世と成島丈二(一応本人たちは「ゴアイサツ」と言っていたが向かう際の顔が完全にブチギレている人間のそれ、現れた際は暮石は完全に『ケンガンオメガ』で一切見せた事の無かった『怪人』の顔であった*1
一方的にボコボコにされ、王馬確保用に連れてきていた腹心達も初見泉御雷零にあっさりと倒されてしまうなど初登場時の強キャラ感が嘘のように散々な目に遭っている。
しかしボコボコにされてもなお暮石と成島に気付かれることなく逃げおおせるなど高い危機回避能力を見せつけている。

しかしエドワードが死亡したことで色々と苦労したらしく、対抗戦から2年後はホームレス生活を送るほどに落ちぶれていた
そして拳願会が対蟲連合を結成するのとほぼ時を同じくして厭と『繋がる者』申武龍の前に突き出され、厭から会員か闘技者を何人か殺して拳願会をかき回してくるよう強要されるが、彼らからは「無理だろう」とほとんど当てにされていない。

そして山下一夫を暗殺しようとしたところを氷室涼の妨害を受け彼と交戦、そして増援に駆けつけた因幡良に拘束されるが薬剤で強化された因幡の髪を強引に引きちぎると建物の壁をよじ登って更に逃走した。
その後は阿古谷と龍鬼との交戦を経て天狼隊と蕪木に追跡される中で王馬に捕まりとある倉庫に連れて行かれる。
そこで待ち構えていた光我と交戦するも、2年間で覚醒した光我の前になす術なく完敗した
結局のところ組織からも見放されたため、今後はとどめを刺されることなく拳願会監視の下で生きていくこととなる。


【余談】

  • 小物化
初登場時こそ得体のしれない強キャラ感を出していたが、プロフィール解説によればこの小物化路線はケンガンアシュラで顔見せした段階で既定路線だった模様。この事から、一部では忌とは別ベクトルでクソな性格をしているヒカルくんと似たような読者人気がある。

  • 打ち込んだ「楔」
「拳願会のもっと深い所に「楔」を打ち込んでいる」とのことだが、これが拳願会上層部に成りすましを潜り込ませているのか拳願会関係者を取り込んでいるのかは定かではない。
ただし後者は『ケンガンアシュラ』において「蟲」と通じていた速水勝正の背後に潜む者達とのコネクションを得ようとしていた栃木ディスティニーランド社長の夢野国博や「蟲」のメンバーだった龍の接触を受けたのを最後に続編に至るまで一度も登場していない十王通信社長の高田清助など、「蟲」との繋がりを仄めかす拳願会会員も存在する。

  • 性格
夏忌の性格に関しては最早いうまでも無いが一つだけ疑問が残る。
それは「なぜこうも『才能』と『性格』が極端にかみ合っていないのか?」
拳才があっても強くなれる保証はないにせよ、忌のはもう一つの天からの供物である(ハズレ激レアとはいえ)『超人体質』という先天的なフィジカルギフテットが与えられている。ここまで恵まれているのならば、それなりに強く育ちそうな気もするがご存知の通り小物に育っているので、矛盾とまではいかなくても、やや疑問に残る。
その疑問を解消させるために、忌の過去を洗い出すと、自身の親は蟲の頭領であり部下が沢山いて欲しいものはなんでも手に入れてきた、という人生を送ってきた事が判明した。この事から考察するに、忌は子供の頃から甘やかされて育ったのかもしれない。
だとすれば、せっかくの才能を腐らせているのも合点がいく。





追記・修正はもっと深い所まで「楔」を打ち込んでからお願いします。

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最終更新:2024年01月08日 23:36

*1 暮石は初出の『求道の拳』では人の骨バキバキにしてそれに性的興奮を感じる変態嗜好持ちとして描かれている。