楔(BORUTO)

登録日:2021/07/10 Sat 17:44:13
更新日:2024/12/13 Fri 15:08:42
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そして自覚せよ…

()を倒した者はもはや(・・・・・・・・・)

只人ではおれぬのだ(・・・・・・・・・)という事をな…




(カーマ)とは、漫画BORUTO‐ボルト‐』に登場する術の一つ。



◆概要

本作の主人公であるうずまきボルトがモモシキとの激闘後に刻まれていた菱形の黒い刻印。
ボルトのライバルであるカワキのリーダーであるジゲンにも刻まれている。

大筒木一族に連なる者が刻む謎の刻印で、打ち込まれた対象は「器」と呼ばれている。
大筒木モモシキに楔を刻まれたボルトはモモシキの「器」である。

使用すると楔が独特の模様として全身に広がり、忍術の吸収など強力な能力を行使できるようになる。
ボルトの場合当初は単なる刻印だったが、話の要所要所で楔の模様が広がっていき徐々に開花していった。
なお、ボルト本人は能力の使用に際して何かが体に入り込んでくるかのような感覚を訴えているが…?


◆機能

  • 地力の増強
楔を解放する事で術者の身体能力が強化され、単純にパワーアップできる。
更には術の威力も上がる。
この他、楔を刻んだ大筒木の戦闘経験も獲得することができる。
悠久の時を生きる大筒木の膨大な経験を得ることでさらに実力を上げることができるが、普通に使っているだけでは戦闘経験を引き出すには至らないようで作中これを使ったのはコードのみ。

  • チャクラ吸収
楔のメインとなる能力。
掌の刻印からチャクラを吸収してしまう。
チャクラを利用した術であれば、たとえ螺旋丸であろうと天照であろうと問答無用で吸い上げる事が可能であり、また他者に触れてチャクラを奪い取る事も出来る。
ただし「チャクラを吸収する」という能力の性質上、吸う事が出来るのはあくまでチャクラによって作り上げられたエネルギー体であり、実際の物質は取り込めない*1
例として、水のない所で発動する水遁は吸えるが実際の水を利用した水遁は吸収できない。

  • 時空間忍術
黒い渦を発生させて空間の裂け目を作り出し、異空間へと移動できる。
しかし安定して使用できるのはジゲンのみであり、ボルトかカワキでは下述の「共鳴」を利用してようやく目当ての空間に繋げる事ができる程度。
単独では追い詰められた時あるいは感情を爆発させた時にしか接続できないなど、極めて不安定である。

  • 共鳴
異なる楔を持つ「器」同士が連携する事で楔の効果を引き上げる。
作中ではボルトとカワキが協力して目的の異空間に時空間忍術で接続した他、カワキがボルトに力を与えて螺旋丸の威力を増加させたりした(螺旋丸・連奏(つらね))。


◆実態

上述の機能はあくまで楔の一側面にしか過ぎず、その本質は大筒木一族のバックアップファイル
大筒木が自分自身をデータ化して複製し、小さく圧縮した刻印であった。

転生

圧縮ファイルは時間をかけて少しずつ「解凍」されていき、「器」の体を大筒木のものへと造り変えていく。
全てのデータが解け切った時、その体は大筒木によって上書きされ「器」の存在は完全に消滅する
そして大筒木は復活を遂げる…という、彼らの不死性を支えるシステムである。
より正確には復活というより、他人を自分の完全なコピーに変える術といえる…‥と思われていたが、実際にはイッシキの魂が消滅したことで楔による復活が不可能になったことから、コピーした自分の肉体に魂が宿る形での転生術だった模様。
肉体を自分と同じ肉体に上書きする点を除けば、転生のシステム自体は、大蛇丸の他人の身体を乗っ取る「不屍転生」に近いと思われる。

データが解凍し切らない内は「器」として利用する事ができず、解凍前に「器」が死亡した場合は転生も不可能となってしまう。
逆に解凍さえ済んでしまえば、例え黒焦げの焼死体であろうとも問題なく転生することができる。

更に作中では明言されていないものの、転生を行う事で寿命が更新されるという効果もある。
実際、楔によって大筒木化してから1000年近くが経過していたジゲンは「死期が迫った大筒木」として扱われていた一方、つい最近刻まれたばかりのボルトは「若く健康な大筒木」として触れられていた。
この点を利用し、ある大筒木は楔による転生を繰り返す事で不死を保っていた。

詳細なシステム

解凍が完了した「器」が存在する場合、刻んだ大筒木が死ぬと自動的に「器」への転生が始まるが、これは楔が含まれるシステムであるため、刻んだ本人も制御することは不可能とされる。

大筒木にとって「楔を刻む」とはそれなりに大事であり、瀕死の重傷を負うなどした場合には刻む事も出来なくなってしまう。

「器」を用いて転生した大筒木が転生前に複数の楔を刻んでいた場合、転生後には全ての楔が消滅する。
これは同一人格が重複するリスクを回避するための安全機能のようなものと推測されている。
転生後に再度転生を行う場合は、再び「器」を見つけて楔を刻む必要がある。

また、データの解凍が完全でない状態で楔が消滅した場合、元の大筒木に転生する恐れはなくなるが、それまでに解凍されたデータによる肉体の変質は不可逆的に残る。
このため、解凍が8割前後進んでいればその肉体は殆ど大筒木となってしまう。

あくまで生身の生体情報に干渉する機能であるためか、影分身には刻めないという性質(欠点?)も存在する。


◆カーマ進化

解凍が大幅に進行し、かつチャクラを枯渇して意識を失った「器」に見られる現象。
楔の模様が延長して額に角を形成し、楔に宿っている大筒木の意思が覚醒する
特にボルトの場合は大筒木一族であるカグヤの血を引いている事もあってか、モモシキが目覚めている間に限って右目に白眼を開眼している。

この状態では体術や忍術の威力が跳ね上がり、圧倒的な戦闘力を発揮する。
更には「器」の能力も使用でき、モモシキの場合は影分身や消える螺旋丸などボルトが会得した忍術をフル活用していた。

ただし解凍が完了する前の一時的な覚醒に過ぎず、チャクラを回復させると今度は「器」の意識が目覚めて乗っ取り返されてしまう。
また、額の角が折られると強制的に解除される。


◆使用例

本来の役割

大筒木一族の者は星を襲撃する際に十尾を伴って二人一組で行動しており、一人を生贄として生きたまま十尾に食わせる事で神樹を生やしている。
この時、生贄となる方が後で復活するために使用するのがである。
事前に楔を刻んで自分用の「器」を用意しておき、片割れが神樹の成長を見守る間に生け贄役は楔が解凍して復活する時を待つ…という具合である。

このように、本来は格下である親役が神樹を生やす際に利用するシステムなのだが、劇中では子役であるモモシキとイッシキが自身の復活のために活用している。

モモシキの楔

五影とサスケ達との決戦において、ボルトに「面白い運命」を見たモモシキが戦闘の最中に刻んだ楔。
右掌に刻まれており、力を解放すると楔が青く変色する
何十人もの子供を犠牲にしてようやく「器」を手に入れたイッシキの例を見るに、ぶっつけ本番の一発勝負で適合に成功したモモシキは相当に幸運(ボルトにとっては不運)だったと思われる。
ボルト自身が大筒木一族の血統である事と、カワキの楔との「共鳴」が相まって驚異的なスピードで解凍が進行している*2

イッシキの見立てによると、このまま解凍が進めばかなり強力な大筒木として覚醒するようである。
だが、後にコードとの戦いでボルトが暴走し、事前の打ち合わせ通りカワキに介錯された際、モモシキ自身によって消滅を防ぐため、解凍前のデータの残りをボルトの肉体に変換して治療が行われた。
この結果、この楔はモモシキの意識を宿したままではあるが、全てのデータを解凍してしまったためにボルトを乗っ取っての転生ができなくなってしまった。
ただし「大筒木のデータを得て変質した肉体」であることは変わらないため、現状のボルトは「うずまきボルトの外見・精神・能力を持った大筒木一族」というべき状態にある。

イッシキの楔

カグヤの裏切りによって半身を失い瀕死に追いやられたイッシキが、本来あるべき姿で復活するために刻んだ楔。
カワキは左掌、ジゲンは顎に刻まれており、力を解放すると楔が赤く変色する
ジゲンの身体は楔に適合しておらず、仮に転生したとしても三日と経たずに死を迎えてしまうため、正統な「器」としてカワキを用意している。
ジゲンの楔は悠久の時*3を経て既に解凍が完了しているが、カワキの方は幼少期から少年期に至るまで数年かけても解け切らず、ボルトと出会うまでなかなか解凍が進んでいなかった。

カワキに刻まれた楔はイッシキがジゲンの肉体で転生した際に消失したものの、この時点でカワキの肉体は大筒木が大分進行しており、それを利用したアマドによってカワキの右腕を修復する作業と並行して密かに楔の復元も行われ、コードとの戦いにてカワキ本人が渇望した事でついに復活。
ボルトと同様に角が伸びるカーマ進化状態への変身が可能になり、「少名毘古那」「大黒天」といったイッシキの能力を発現するようになった。


◇白き楔

殻の内陣であるコードに見られた特殊な事例。
楔の位置はカワキと同じ左掌で、展開時の模様も同じもの。
カワキと同じく適合実験の一環でイッシキに楔を刻まれたところ、「器」としては機能せず楔の武器としての側面のみが残るというバグのような反応を起こし、結果としてジゲンをも上回る脅威的な戦闘力を発現した。
ただあくまでもイレギュラーな形で誕生したためか、正規の楔に存在する吸収能力は有していない様子。

上書きの恐れもなく楔の力のみを享受できるというまさに良いこと尽くめの例なのだが、大筒木一族及びイッシキの信奉者であるコードは「器」になる事が出来ないこの楔を出来損ないと卑下しており、正統な「器」であるカワキに強い羨望と嫉妬心を抱いていた。
その圧倒的な戦闘能力も殻の実質的リーダーであるジゲンの支配力を揺るがさせないために進んでリミッターを掛けさせ、あえて弱体化している*4

リミッターが解除された際には容姿にも変化が起こり、頭髪が白く染まってまつ毛は伸び、瞳も赤くなる。
この変化はどうやら不可逆らしく、リミッター解除以降のコードは元の姿に戻っていない。

なお、「器」としての機能こそ無いものの紛れもない大筒木一族の力であるためか、本来なら大筒木を喰らう事で神樹へと進化する十尾にも影響を与えかねない危険性が示唆されている。
実際、コードに支配された十尾が長期間「白き楔」のチャクラと触れ続けた結果、思いもよらぬ脅威へと進化を遂げた。


◆関連忍術

  • 呪印
大蛇丸が開発した忍術。
重吾の体液から抽出した酵素を刻印として他者に注入する事で、重吾と同様の呪印状態…擬似的な仙人モードへと変身させる事が出来る。
強力な能力なだけに必ず適合するとは限らず、拒絶反応を起こして死亡してしまう事も。
実は分離させた大蛇丸自身の意思も仙術チャクラとして混ぜており、バックアップの役割も兼ねている。
これにより解邪法印による外部からの干渉ありきではあるが、楔と同様に後の復活を可能としている。
しかし楔のような重複防止機能はないため、サスケから復活した個体とアンコから復活した個体でオリジナルが併存してしまっている*5
もっとも、複数のバックアップを残せる点など部分的には楔より優れており*6、これにより大蛇丸の人外っぷり能力の高さが改めて証明された。

  • 不屍転生
これまた大蛇丸が開発した忍術。
他者の体に本体である大蛇を潜り込ませ、精神と肉体を乗っ取る事で生き長らえ、不老不死を実現させている。
楔というよりはイッシキがジゲンに取ったやり方に近いか。
一瞬で白ゼツ分身を乗っ取る点はある意味楔以上だが、乗っ取った肉体の強さにも左右される。
楔はその点、重複無しや肉体の強さの再現性に重きを置いている。
NARUTO‐ナルト‐』の時代でも屍骨脈写輪眼柱間細胞などの力を欲して意図せず不死身であったカグヤに迫っているので、楔に関しても「他者に刻印してバックアップ」「体の乗っ取り」など、不老不死を探究する上で実際の不死である大筒木一族と似通うのは必然だったのかもしれない。

  • 百豪の術/白豪の印
三年間もの間、額に一定量のチャクラを溜め続ける事で発現できる忍術。
術者の額には紫色の菱形のマークが浮かぶ。
千手柱間の妻であるうずまきミト、その孫にして五代目火影の綱手、そしてその弟子のうちはサクラが派生の白豪の印を会得している。
陰封印(いんふういん)(かい)によってチャクラを解放する事で額の菱形から楔解放時に浮かび上がる模様に似た模様が浮き上がり、柱間のように印を結ぶ事もなく自身の体を再生できるようになる。
楔と同じ菱形である事から、劇中でもサラダに関連性を指摘されている。
カワキは「よくある図形だからいちいち気にしても仕方ない」とあまり気にしなかったが、サクラから六道仙人の時代から存在する歴史ある術で、詳細不明な部分が多い」事も明かされており、何らかの関連性が示唆されている。



追記・修正は楔を刻まれてからお願いします。

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  • 解凍
  • 上書き
  • 神術
  • 大筒木シバイ
  • 呪印
  • 大蛇丸
最終更新:2024年12月13日 15:08

*1 輪廻眼や科学忍具など、他の吸収系能力も同様と思われる。

*2 アニメにおいてカワキの楔の解凍がボルトほど早くなかったのはアマドが白眼の力を抑える=楔の解凍を止める薬をジゲンにバレないようカワキに少しずつ投与していたからと説明された。

*3 カグヤの息子達であるハゴロモとハムラがかわした1000年の約束を鑑みるに、少なく見積もっても1000年以上

*4 それでもデルタ以上に強い。

*5 前者の大蛇丸は十拳剣によって今も幻術空間に封じられているのだが。

*6 実際サスケの呪印だけなら大蛇丸は復活できずに詰んでおり、逆にイッシキは楔を複数用意できないことが響いて敗北したといえる。