大筒木イッシキ

登録日:2021/07/17 (土) 03:16:18
更新日:2025/04/21 Mon 19:27:04
所要時間:約 21 分で読めます




※本記事は『BORUTO‐ボルト‐』に関する重大なネタバレが含まれています。
















それでもこの「大筒木イッシキ」の器か……

出来損ないめ……



大筒木イッシキとは、漫画アニメBORUTO‐ボルト‐』の登場人物。

CV:津田健次郎ジゲンから続投*1



◆概要

大筒木一族の系譜に連なる者で、カグヤモモシキ・キンシキウラシキに続いて登場した第五の大筒木*2
「モモシキとキンシキが二人組で地球に来襲したように、カグヤもまた別の大筒木と共にこの星へやって来たのではないか」というサスケの推測、異空間の石碑にて立体映像で表示されたのリーダー・ジゲンと同じ形状の角を持つ謎の大筒木、そしてジゲンの口から零れ出た大筒木イッシキという名よりその存在が仄めかされていた。
示唆されてからしばらくは謎の存在だったが、ジゲンを裏切り木ノ葉へと亡命した殻の中枢メンバー・三途アマドから語られる真相により、と共にその正体が明かされた。


◆来歴

大筒木イッシキとは、遥か昔に神樹を植えるため大筒木カグヤと共に地球へやってきた二人組の片割れであった。
主従関係としてはイッシキの方が格上であり、本来はカグヤが十尾の生贄*3となる予定だった。
ところが突然カグヤが敵対し、不意を突かれたイッシキは右腕と下半身を丸ごと失う致命傷を受けてしまう。

死ぬ寸前まで追い込まれ、イッシキは「楔」を刻む余裕もなく、やむを得ずたまたま近くにいた修行僧・ジゲンの体内に秘術「少名毘古那」で自身の体を縮小して侵入。
寄生虫の如くジゲンから養分を吸収しながら生き延び、やがて脳を支配して肉体を完全に掌握した。

後日改めて「楔」を刻んだものの、ジゲンの体はイッシキの膨大なチャクラに耐え切れず、転生しても数日のうちに死んでしまう。
このため、イッシキはジゲンを「器」とした転生は見送り、以後ジゲンの身体で活動していく事に。

そして『BORUTO』の時代、チャクラの実を得るという共通の目的の元に「殻」を結成する。
各地から大金で子供達を買い取っては「楔」を刻み、イッシキの転生に耐え得る「器」を選定する適合実験「洗礼」を実行。
この実験を生き延び、イッシキの正統な「器」として適合したのがカワキだった。
そのカワキを運ぶための飛行船が事故を起こして木ノ葉近辺に墜落、失われた「器」を回収するためにボルト達と関わっていく。


◆人物

大筒木一族共通の角は左の額から後頭部を巻くようにして右巻きに備わっている。
左目に白眼、右目には固有瞳術を宿していて、大筒木一族としては珍しいオッドアイ
また、眉毛は一族特有の殿上眉ではなく独特の形状をした右眉になっており、あごには菱形の顎髭が生えている。
ダボダボの黒いズボンを履き、直に羽織っているコートは非常に大きくデザインされた襟が特徴的。
ま、たカグヤの着物と共通の意匠が取り込まれていて、勾玉模様が大量に刺繍されている。

転生した事でイッシキとしての本性が露わになり、ジゲンの時には「私」だった一人称が「俺」に変化し、口調も物腰柔らかだったジゲンから一転してやや粗暴なものとなった。
うずまきボルトら地球人を下等種と蔑むなど、大筒木一族の傲慢さも露呈している。
一方で、現地人と結託して「殻」という組織を結成し、従属の関係ではあるが目的のために行動を共にするという大筒木一族としては珍しい柔軟性と協調性を見せている。
また、(ジゲンの時期であるが)作法に則って食事を楽しみアニメ182話ではアマドに頼んでコーヒーを嗜んだり、リビングに土足で立ち入った際には素直に詫びたりするなど、永い刻を過ごしただけあって地球の文化は一通りわきまえている様子。
忍者や忍術についても「下らん」と切り捨てながらも天照須佐能乎などを把握していた他、伝説の三忍である自来也についてもその運命や最期まで含めて知っていた。
最期には地球人である部下の一人に自身と一族の大望を託す事までしている。

相方であったカグヤがナルトに「心がないみたい」とまで評されるほど人間性に欠如していたのとは対照的に、大筒木一族としては(比較的)人間味のある性格となっている。
カグヤも、アニメ疾風伝などでは「カグヤも昔は慈悲深かった」「地球の豪族の王と契りを交わして子を成した」描写もあるため、大筒木一族と地球人は実際のところそれなりに近しい様子。


◆能力

ジゲンの時には抑え込むので精一杯だった火焔山の真火を一瞬で縮小しており、その力は飛躍的に増している。
転生が完了し「楔」が消失したために術の吸収はできなくなったが、後述の通り「少名毘古那」で忍術含め生物以外のあらゆる物質を瞬時に縮小出来るため、問題にはなっていない。

完成体須佐能乎を軽々と砕いた体術も更にパワーアップしており、仙人モードとなった果心居士を相手に体術の応酬で競り勝ち、大筒木と化しつつあるボルトの身体をいとも容易く骨ごと砕くほど。
しかしその一方で、生身のサスケに対して計9発もの攻撃*4を食らわせても仕留めきれないなど、ジゲンの時ほど圧倒的な印象はなくなっている。

転生前はジゲンの身体が楔に適合せずイッシキの力に追い付けなかった事、ジゲンの脳内にいるイッシキ自身が常に縮小している(=常時術を発動させている)事もあってか、戯れ程度の戦闘でもチャクラ切れを起こすほど燃費が悪かった。
しかし本来の姿を取り戻した事でそのような負担は消失し、ジゲンの時のようなチャクラ切れを起こす事は終始なかった。


◆使用術

大筒木一族共通の瞳術。
イッシキの場合は左目のみに宿っている。

  • 黒眼(こくがん)
右目に宿した固有瞳術。
黒い瞳に車輪のような黄色い模様が浮かんでおり、白眼・写輪眼輪廻眼のいずれにも該当しない見た目となっている。
瞳術を発動する際には眼球の中心に黄色い球が浮かび上がり、さながら太陽の如き模様となる。
その他、自身の寿命を可視化して視認する場合にも使用した。
登場から長らく名称不明の状況が続いていたが、NARUTOのオフィシャルサイトでようやく明らかになった。

  • 少名毘古那(スクナヒコナ)
右目に宿る固有瞳術。
転生前は弱体化もあってか自身と杭の縮小に留まっていたが、元の力を取り戻してからはチャクラ・自然・物質由来に関係なく生物以外のあらゆる攻撃を瞬時に縮小して無力化できる
視界に入ってしまえば、手裏剣から螺旋丸に至るまで生物を除くあらゆる物体が縮小されてしまう。
しかし瞳術である事には変わりはないため対象を視認する必要があり、視界を遮られるとその向こうの物体に使えなくなる欠点は変わっていない。

ジゲンの姿では縮小した黒棒を瞬時に元の大きさへと戻して致命傷を負わせる*5攻撃としての使い方がメインだったのに対して、イッシキに戻ってからは下述の「大黒天」もあってかそちらの攻撃は殆ど行わず*6、自身に向かってくる攻撃を縮小する防御としての手段に切り替えている。

  • 大黒天(だいこくてん)
右目に宿る固有瞳術。
「少名毘古那」にて縮小した物体を「時間の止まったどこかの異空間」から元のサイズで取り出せる、という四次元ポケットのような能力
術の奇襲性に優れ、大質量の物体をノーモーションで降り注がせることが可能であり、縮小した物体を手元に出現させる事で敵の武器を没収しつつ自身の武具として利用できる。
加えて「少名毘古那」のような視界の発動制限がないため、死角にも配置できる。

劇中ではあまり描かれなかったが、生物以外なら「いつでも」「自由に」取り出せるため、日常生活においても絶大な汎用性を発揮する能力である。
同じく時空間に物体を収納できる「神威」と比較すると生物や人間の出し入れは出来ないが、こちらの異空間は「時間が止まっている」ためナマモノも腐敗の心配なく保存する事が出来る。
実際にイッシキはグラスワインや料理一式を異空間に保管しており、適宜取り出しては食事を楽しんでいた。
本人曰く「便利だろ?」

ジゲンの時に見せた「何もない空中から料理やワインボトルを瞬時に取り出す」能力の正体はこの術と思われる。
一応使用できたにもかかわらず戦闘で使わなかったのは、「少名毘古那」と同じく術の効力が劣化し戦闘で使えるような精度でなかったか、あるいはチャクラの消費が激しく実質イッシキの姿でしか使えないためであろうか?

  • 立方体(キューブ)
イッシキが所有する巨大な立方体。
「殻」の初登場シーンで見られた幻術空間の意匠に酷似したデザインをしている。
六道仙人モードのナルトをも押し潰す「脅威的な重量」「感知能力を阻害する性質」を備えている。
これを「大黒天」で使用することにより、武器として落とす以外に敵のチャクラ感知を乱すことも出来る。
確認できるだけでも数十個は保有しており、劇中では七つほど同時に降らせていた。

アニメではイッシキの登場に先駆け、OPの映像にてジゲンがボルトとカワキに対して放っている。

  • 黒棒
ジゲンの時にも使っていた武器。
漫画版では上述の通りイッシキとして転生してからは殆ど使わなかったが、アニメでは引き続き常用し、体術と並行して対象に突き刺しダメージを蓄積させていった。
また、同じくアニメでは大量に生成した黒棒を辺り一帯へ雨霰のように射出する芸当も見せている。

  • 火球
アニメのみで使用。
自身に向かってくるバリオンモードのナルトに対して放ったが強引に破られた上、二発目も螺旋丸でかき消されてしまった。
印を結ぶ様子もなく右眼の力で発動したような描写から、恐らくは果心居士との戦闘で時空間に縮小・保管していた「火遁・大炎弾」辺りを「大黒天」で解放して放ったものと思われる。

  • 時空間忍術
ジゲンの姿でも使っていた、空間の裂け目を作り出して異空間を移動する大筒木特有の術。
殻のアジトから木ノ葉へと移動する際に使用した他、本人の口ぶりから詳細不明の異空間に飛ばされても元の世界に戻れるようである。
また、他の術と同様に効力が上がっているのか異空間越しに感知したターゲットを自分の元へ引きずり出すという荒技を見せた。

大筒木一族のバックアップシステム。
転生したためにチャクラ吸収を始めとした武器としての機能は使えなくなったが、「器」とした対象に刻むことは依然として可能。


◆作中の活躍

「チャクラの実」を手に入れる計画の下でジゲンとして長らく暗躍していたが、殻を裏切った三途アマド果心居士によって事態は急変。
アマドの策略によりナルト&サスケという忍界最強のコンビをぶつけられ、結果的にジゲンが勝利したものの大きく消耗してしまい、更には回復途中であった所を果心居士に襲撃される。
「チャクラ体のエネルギーでなければ吸収できない」楔の性質を巧みに突かれた事とまだ回復が完了していなかった事も相まって追い詰められ、火焔山の真火によって体内のイッシキごとジゲンが燃やし尽くされ死亡してしまう

しかし、のシステムによって解凍が完了していたジゲンの焼死体を「器」とした転生が始まり、1000以上もの歳月*7を経て大筒木イッシキとして復活する。
だが、楔のシステム*8故に自分の理想の「器」だったカワキの楔が消滅してバックアップを失い、更にはイッシキの「器」として不十分なジゲンで転生したために数日も生きられない身体となってしまう。

「死ねばそこで終わり」の状態に持っていった事で果心居士はこのまま決着を付けようとするが、イッシキは「お前にオレは倒せない 決して」と断言。
仙人モードとなった果心居士の猛攻を物ともせず、仙方・五火神焔扇で辺り一帯を炎で覆い尽くした上で背後から超大玉螺旋丸を放ち、「引き裂かれるか、焼かれるか」の二択*9を迫るという「少名毘古那」の弱点を突いた二段構えの攻撃すらも、秘術・大黒天によって石柱を果心居士に突き刺して退け、勝利する。
アマドに騙された者同士、そして元同胞のよしみとして倒れる果心居士にアマドへの伝言を尋ねるが、

「…聞こえんな……何だ」

「…口寄せの術……」

不意打ちの逆口寄せにより逃走を許してしまう。
だが、刻一刻と寿命が迫り、カワキに楔を刻んで再びの転生を可能としなければならないイッシキにとって手負いの果心居士は最早どうでもよく、カワキがいる木ノ葉へと時空間忍術で直行する。

里に降り立つと、民間人への被害を脅しとして木ノ葉の忍にカワキの居場所を尋ね、知らなければ詳細を知っている人物の居場所を吐かせてカワキへとたどり着こうとする。
そこへ「新生第七班」の活躍により封印から解放されたナルトが駆け付け、再び対峙することに。
イッシキにとってボロの撃破は予想外だったがやることは変わらず、周辺の建築物を一部縮小する事で倒壊させ、今度はナルトから直にカワキの居場所を聞き出そうと仕掛ける。
向かってくるナルトを里ごと破壊しながら圧倒するが、そこに今度はサスケが参戦。
「以前あれだけコテンパンにやられたのを忘れたのか?」と呆れ混じりに挑発し、サスケの放つ手裏剣を全て縮小していく。
最後に投げられた刀を縮小しようとするも、何故か縮小できない…が、それは変化の術で刀に化けたボルトであった。

ボルトが不意を突き放った「楔」の黒い渦にもろとも飲まれ、里から遠く離れた見知らぬ異世界へと転送されてしまい、ボルトのチャクラを追って直後にナルトとサスケも駆け付ける。
ボルトにとってはイッシキの攻撃から里を守るため、イッシキとしてはナルトとサスケを殺して里の民達の心を折るため、異空間で決着をつけることに。

「下等種共め…すぐに後悔させてやる」

ジゲンより更に強くなっている事もあって歴戦の強者であるナルトとサスケを前回以上に圧倒する。
途中、ボロ戦を通して殻の計画*10を薄々悟っていたボルトの身を挺した妨害に遭うが、あくまで十尾の生け贄として確保できれば構わないイッシキはボルトの身体を死なない程度に破壊して無力化してしまう。
頼みの綱でもあったボルトが撃破され、もはや万事休す…と思われたが、死を覚悟したナルトが究極の奥の手重粒子(バリオン)モード」を発動。
ナルトと九喇嘛のチャクラを「原料」として消費しながら作り出される、核融合に匹敵するエネルギーでもってイッシキすらも圧倒するが、消耗が激しいためにしばらくして膝を付いてしまう。
この急激なパワーアップが命を賭したものであり、かつ長続きしない事をイッシキは見抜き、再び勝ち誇るが直後に吐血し、イッシキ自身も膝を折ってしまう
そこまで致命的なダメージは負っていないにもかかわらず吐血までした事を不可解に思い、右眼で寿命を確認*11すると…

(…何て事だ……!!クソッ……)
(間違いない……!!…オレの……)

(オレの「寿命」が……急激に減っている……ッ!!!)

少なく見積もっても20時間以上は残っていた寿命が30分を切っていた。
実は重粒子モードの真の狙いは圧倒的な戦闘力による撃破ではなく、「命を削る」デメリットを「繋ぐ力」であるチャクラで利用し、徒手空拳によりチャクラを介して残り少ないイッシキの生命力を削り取る事にあった。
組み付かんとするナルトと格闘して何とか抑え込む事に成功するが、残り寿命は更に削られおよそ5分まで減ってしまう。
余命わずかにもかかわらず「器」が見つからない苛立ちからナルトの首を絞めるが、ふと何か感付いた様子で中空に手をかざす。
すると、木ノ葉の地下施設に隠れていたカワキの元に時空間忍術の黒い渦が展開され、イッシキ達のいる異世界に引きずり出されてしまった

感知できた要因はナルトのチャクラで動いている右腕の義手
カワキのためにナルトが用意した「繋がり」が、皮肉にもカワキを窮地へと追いやってしまった。

ナルトから時間稼ぎとして逃げるよう促されたカワキはその場を走って逃れるが、イッシキは瞬時に目の前へと回り込み、楔を刻もうとする。
しかし、サスケの機転により天手力でカワキと引き離された上に、透視能力を阻害する特殊な煙玉のせいで白眼による捜索もままならなくなり、再びカワキを見失ってしまう。



「カァ゛────ワキィ───!!!!!」



もう数分で死んでしまう焦りから絶叫するが、当然カワキは出てこない。
このままでは埒が明かないと判断したイッシキはナルトを人質とし、「20秒以内に出て来なければ火影の腹を蹴り破って殺す」と宣言。
残り1秒で岩陰からカワキが姿を現すと高速で接近し、カワキの放つ火遁を縮小しながらついに捕縛に成功した。
「七代目が忍術や色々な事を教えてくれた」「からっぽだったオレに生きる意味をくれた…!」と語るカワキを嘲り、ついに楔を刻んでしまう。

ようやく「器」を用意できた悦びから高笑いするも、直後に寿命が尽き、肉体が崩壊し始める。*12
しかし「器」がある今ならば死も一時の休眠に過ぎず、時を置いて復活できる。
下等種でありながら自分をここまで追い詰めたナルト達を賞賛しながら崩れていくが、ふとカワキの腕の楔が一部剥がれていく事に気付く。
剥がれた楔は範囲を広げながら蒸発していき…ついには楔が完全に消滅してしまった

「貴様ァ!!!! どういう事だッこれはァ!!!!」

慌ててカワキに掴み掛かるが、逆に触れた自身の腕が崩れてしまい倒れるイッシキ。
刻んだはずの楔が何故消えたのか…ひたすら困惑していると、上方に何者かの気配を感じる。
見上げると、そこにはもう一人のカワキが立っていた。

イッシキが捕まえたのはカワキの影分身
生命体でなければ「楔」は刻めない。
うずまき家に保護されて後、ボルトとともに修業を積んで身に着けた「忍術」が最後の決め手だった。

「…あ……が……」

「…何か言いたそうだな…どうでもいいけどよ……」
「単なる「器」にまんまと出し抜かれて死んでいく…」
「何と言おうが……これがお前の現実なんだからよ…」

「…お………の……………れ……」

直後、崩壊するイッシキの肉体はカワキによって踏みつぶされ、その命運はここに尽きることになった。
















コード…我が忠実なる愛しき僕よ…

「大筒木…………イッシキ………!」
「なぜここに……!?」


全ての「器」を失い、イッシキの魂もそのまま消滅するはずだったが、殻の内陣・コード*13に刻んでいた白き楔は「器」として機能しなかったために消えることなく残っており、最期に彼の元へとたどり着いた。
イッシキは自身の信奉者であるコードに全幅の信頼を置いており、志半ばで折れた計画の全てをコードに託した。*14
大筒木と化しているボルトかカワキを十尾に捧げて神樹を生やす事、神樹より実るチャクラの実を喰らってコード自身が新たな大筒木一族となる事を命じ、そして一族の理念である「大筒木の意志」をコードに語る。


喰らい尽くせ
この宇宙に浮かぶ数多の星々の命を

絶えず進化を続けろ
比類なき唯一無二の存在

「神」となるその時まで


計画のあらましを理解したコードは、イッシキの命を奪った不届き者達を神樹に全てを吸わせるより前にこの手で始末するため、その名をイッシキより聞き出す。

イッシキの昇天後、「大筒木の意志」を受け継いだコードは空を見上げながら仇の名前を呟いていた。

「カワキ……」
「裏切り者アマド…」
「うちはサスケ……」
「"火影"うずまきナルト…」

「…そして……」

「モモシキの『器』……うずまきボルト……」

死後

イッシキの魂も楔も消え去ったものの、カワキに刻まれた大筒木のデータはそのまま残っており、これが新たな騒動の引き金となってしまう。

また、アマドが製造したジゲンを超える力を持つ人造人間の一人・エイダには能力の「千里眼」を通してイッシキが死ぬまでの一部始終を見られており、けっこう無様で笑えたわよとその死に様を盛大に嘲られている。それも能力でエイダに手出しできないイッシキの信者であるコードの目の前で。
イッシキも大筒木一族である以上は能力の魅了が通じないエイダの恋愛対象の一人なのだが、自身を始末しようとした存在だからか全く眼中にないようだ…。

また、本編前の動向もある程度語られた。
愛娘のアケビを失って絶望していたアマドの前に突然現れ、アケビの蘇生と引き換えで「殻」に協力するよう勧誘していたようである。

更に第二部では、イッシキのもたらした十尾と楔がコードの爪痕を通して結び付き、新たな脅威の人神樹へと進化を果たしており、死亡済みでありながら拭えぬ傷痕を遺している。


◆おもな人間関係

イッシキの「器」にして代わりの手足でもあった修行僧。
ジゲンが楔に適合しなかったために転生を取り止め彼の体内に寄生し続けるはめになったのだが、見方を変えればジゲンがたまたま近くを通ったために寄生して生存できたとも言え、イッシキにとっては命の恩人に等しい存在。
しかし、当のイッシキは「情けないやつ」「出来損ない」と散々な評価を下しており、ジゲンを労るような事は終ぞしなかった。

イッシキの正統な「器」。
父親に虐待されていたところを大金で買い取ったが、「器」として適合してからは楔の解凍を早めるために前親以上の苛烈な虐待とも言えるレベルの無理な修行を強いていた。
カワキをからっぽと評してその人格は一切見ておらず、本人に向けても「このイッシキの器として消えて無くなるだけの存在」と言い放っていた。
カワキ自身を真摯に見つめて育てたナルトの方針とは尽くが真逆であり、最後はカワキがナルトの元で学んだ忍術がイッシキ打倒の決定打となった。

殻の内陣にして大筒木一族とイッシキの崇拝者。
イッシキの遺産である白き楔を宿した少年で、その戦闘力は本来ならジゲンをも上回るほど。
自分からイッシキを奪ったナルト達を憎悪しており、イッシキの計画を受け継ぐと同時に復讐に燃えている。

殻の内陣にして離反者。
アマドに利用される哀れな捨て駒と蔑んでいたが、同時にアマドに出し抜かれた点は同じだと自嘲もしていた。
「ジゲンからイッシキ自身を引きずり出す」というイッシキの死因としてはかなりの割合を占めている男なのだが、手負いでいずれ死ぬと思っていたのかあるいは何か思うところがあったのか、「自身を滅ぼした者達」の中でイッシキが居士の名を挙げることはなかった。

殻の技術部門主任にして離反者。
改造人間を製作して殻の戦力を担う男であり、転生前はジゲンのメンテナンスを担当してもらっていた。
同じ裏切り者でも果心居士とは打って変わって「あの狸野郎はいずれ必ず殺してやる」と深い憎悪を露わにし、コードにも「自身を滅ぼした者達」としてその名を伝えている。
イッシキにしてみれば、娘との再会を約束したはずが恩を仇で返された形であり、しかもカグヤに続いて二度も仲間だったはずの人物から裏切られた事になるため、特に憎しみを向けるも無理からぬ話である。

NARUTO‐ナルト‐』のラスボスにしてイッシキの元パートナー。
彼女の裏切りがそもそもの発端であり、イッシキにとっては全ての元凶。
劇中では一切言及しなかったためカグヤに対してどのような感情を抱いていたかは不明だが、その胸中は恐怖か、憎悪か、トラウマか…?

カグヤと同じく大筒木の同族。
イッシキもカグヤと同じくモモシキとキンシキの到来を予見していたのか、異空間の石碑にはカグヤと共に彼らの姿形が記録されていた。
モモシキが残した「器」であるボルトを十尾の生贄にしようと企んでいたがそれはモモシキも同様であり、ボルトを介して大筒木化しているカワキとイッシキの所有する十尾を利用するつもりだった。


◆同族との力関係

ナルトやカワキらの連携の前に敗れ去ったイッシキだが、敗因としてはジゲンを「器」にした不完全な転生による寿命の短さが大きい。
重粒子モードに圧倒されたがそれさえも「威力自体は問題ではない」としており、残り寿命が二日程度だったからこそ寿命削りの特性が通じたものの、万全の状態ならば九喇嘛の言っていた通り「重粒子モード」の反動でナルト側が先にくたばっていたのは間違いない。
そして重粒子モードのナルトとカグヤ以外では誰も有効打を与える事が出来ておらず、アマドが「完全な形で転生したらこの世の終わり」と危惧していたのも何ら誇張でないと思われる。

同族の大筒木と比較しても、キンシキを取り込んだモモシキにも一進一退の攻防を繰り広げてあと一歩の所まで追い詰めたナルト&サスケという忍界最強コンビを、五影の補助の有無こそあるがイッシキは不完全な「器」であるジゲンの状態で圧倒して完勝するなど、その力は頭一つ抜けている。
カグヤに関しては、恐らくチャクラの実も神樹の力も吸収する前だろう彼女に万全の状態で致命傷を負わされており、いくら不意打ちとはいえ「重粒子モード」の攻撃さえも問題ないとしていたイッシキが下半身を丸ごと消し飛ばされるという尋常じゃないダメージを受けている事から、カグヤの方が強いのではという見方もある。
一方でイッシキより弱いだろうモモシキから格下として見られていたりもするので、具体的な力関係は不明。

ただ、両者とも「不死身なので六道・地爆天星で封印する」「強すぎるので残り少ない寿命を削って殺す」という正攻法では勝てなかった点で共通している。
また、相対した相手についても片や両眼神威カカシ、もう片や重粒子モードのナルトとこれまた最強クラスの戦力と戦っているので甲乙付けがたい。
いずれにせよ、二人とも作中最上位の実力者である事は確かだろう。


◆余談

  • 「イッ」シキというネーミングや「小さくする」能力などから、モチーフは一寸法師と思われる。
    術名にもなっている少名毘古那(スクナビコナ)は日本神話に登場する体の小さな神で、一寸法師のモデルともされている。
    また、大黒天は言わずと知れた打ち出の小槌の持ち主である。

  • 作中時間にして1000年以上もの時間を掛けてジゲンより転生したイッシキであるが、復活後は単行本にして約2巻*15という短い出番での退場となってしまった。
    同じく1000年かけて復活しながら約1巻*16で退場した元部下のカグヤよりは長いが…。
    ちなみにアニメでは6話・リアル時間で約1ヶ月程の退場となったが、こちらに関しては途中でアニオリが挟まっている事もあってカグヤの方が長い。

  • ジゲンに楔を刻んでから『BORUTO』の時代に暗躍を始めるまでの1000年以上もの間、イッシキが一体何をしていたのかは2025年時点では不明となっている。
    流石に千年もの歳月があれば「器」を見つけ出す事は容易だと思われるが、現代まで活動できない何かしらの事情や制約がジゲンもといイッシキにあったのだろうか?




追記、修正は修行僧の脳に寄生してからお願いします。

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最終更新:2025年04月21日 19:27

*1 紳士的だが冷酷なジゲンに対して、イッシキは粗暴でぶっきらぼうな喋り方をして演じ分けている

*2 ハゴロモやハムラなどを除いた直系の大筒木一族としての数

*3 十尾は生きたままの大筒木一族を食らう事で神樹に変貌する

*4 蹴りとパンチ4発、黒棒での殴打2発、首への不意討ちの蹴り1発、立方体を利用した打撃2発

*5 パートナーで有るカグヤの『共殺の灰骨』とは相性が抜群、但しカグヤが屍骨脈の能力を得たのはチャクラの実を喰らった後で有る可能性が高く、凶悪コンボは見られなかっただろうが…(元から使えるならイッシキに対して使用しているハズで有り、その場合イッシキは上半身も残らず、ジゲンに寄生出来ない。)

*6 バリオンモードとなったナルトへの一撃のみ

*7 カグヤの息子達であるハゴロモとハムラが当時1000年の約定を交わしてナルトの世代でその時が訪れているため、彼らより前の世代であるイッシキの一件は1000年以上遡る事になる。

*8 同一人格の重複を防ぐための安全機能

*9 炎を縮小し続ければ背後から迫る螺旋丸により「引き裂かれ」、螺旋丸を縮小しようと振り向けば周囲の炎で「焼かれる」

*10 モモシキの「楔」の解凍が大きく進んでいるボルトは「大筒木」に限りなく近い=十尾に食わせ、神樹の生贄にする必要があるためイッシキは殺すことができない

*11 右眼で見ると地面に投影されたイッシキ自身の影が炎のように燃えさかっており、その燃焼具合で判断している

*12 字面で見るとグロく感じるが、実際には穢土転生のような塵状の崩れ方である

*13 殻の一員。アジトの異空間で十尾の監視をしていた少年

*14 アニメでは計画のあらましを伝える前に消えてしまっている。

*15 12巻のラスト10ページで復活し、14巻で退場したので厳密には2巻+1話である

*16 こちらも70巻の収録最終話で復活し、71巻で再封印されたので厳密には1巻+1話