個性(僕のヒーローアカデミア)

登録日:2021/09/03 Fri 12:15:08
更新日:2025/04/12 Sat 10:06:09
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"個性"が無くてもヒーローは出来ますか!?



個性()とは『僕のヒーローアカデミア』に登場する特殊能力の総称。


●目次


【概要】

作中世界で多く見られる先天性の超常能力。
平たく言えば人それぞれが持つ特殊能力のことで、今では世界人口の約8割が個性を持っているという。
これにより人類は様々な姿と体質を得て人体という規格を失い、その対応のため個性発見以前からある科学技術の発展は遅くなった。
その超常を力として奮い、「敵(ヴィラン)」となる者もあれば、それに対抗して超常を奮うヒーローも現れた。

なお、一般的な意味での「個性」という言葉との混同を避けるため、原作では超常能力としての“個性”を指す場合は「“”」で囲んだ「“個性”」と表記されている。
英語では「Quirk」と翻訳された。
奇癖」「奇行」「予想外なるもの」という意味である。


【歴史】

始まりは中国で光る赤ん坊が産まれたこととされ、それを契機に人類に広がり続けている。

この異常現象が起き始めた当時、"個性"は「異能」と呼ばれていた。
本編現代とは異なりまだ"個性"を持たない所謂「普通の人間」の方が圧倒的に多かった時代なので「異能」呼ばわりは言葉として間違ってはいない。

多種多様な能力や外見を持つ新世代の登場と増加に対して、社会はインフラや法制度の整備はまるで追いつかず、見る見るうちに世界中で社会機能は麻痺して長期に渡って文明が停滞し、人口が大幅に減ってしまうほどに治安は崩壊した。
異能を勝手気ままに振るって暴れたい犯罪者以外は、他人からの迫害を怖れて家に引き籠るのみ。
荒廃した社会で、ヴィジランテ(自警団)が異能を駆使して暴力的自警という犯罪行為でもって犯罪者を捻じ伏せる、まさしく世も末
これは後に、「超常黎明期」と呼ばれる混乱の時代だった。

そんな中、後に異能解放軍指導者となるデストロの母親が、異能を持つが故に罵倒され石を投げられる息子を庇いながら訴えた。

「これはこの子の"個性"です。この子が自由に生きられる世の中を!」

当時は、この訴えは嘲笑と共に一蹴され、その母親は異能排斥派に殺害されて終わった。
だが後々になって政府は、「異能はただの"個性"の範疇」と言う、人間の多様性を訴える分かり易くて穏当な標語になると着目した。
そして、改革のキーワードとして"異能"を禁句として「"個性"」と呼ぶように徹底周知し、児童向けの絵本に至るまであらゆる媒体で、
互いの"個性"を受け入れることを謳い、「"個性"の母」を聖人のように讃えて、義務教育の教材として扱うようになった。
ちなみにこれは日本国内での話だが、世界各国で同じような葛藤があったはずで、それについては詳しい描写はない。


【特徴】

個性は主に血縁によって受け継がれるようで、もれなく4歳までに以下のパターンで発現する
  • 両親の個性のどちらか
  • 両親の"個性"が複合した個性

どんな個性が発現するかは人それぞれだが、誰しもがオンリーワンの個性を持つということではなく、完全に同じとはいかなくとも、個性の方向性などがある程度被ることはある。
ただし、あくまで似ているだけで発現の原理が違ったり、原理は同じでも体質による耐性の違いがあることから、同じ系統であっても体系化して教育指導するのは難しい。

個性が似通うケースは血縁関係が近い者同士ではよく見られるが、まったく関係がない者同士でも稀に見られる。
なお、年々減っては来ているが、両親が個性を持っていても個性が目覚めない者もいる。

どのような能力が発現するかはまさしく千差万別であり、「爆発や植物を操る者」もいれば、「モノを少し引き寄せる程度の者」もいるし、「能力だけでなく外見まで特定の動物に近付く者」もいれば、「尻尾や角といった普通の『ヒト』にはない器官が身体にある者」もいる。

特異な能力を持つことによるデメリットもまた人によってそれぞれで、過剰に能力を使ったりしない限りはさほどデメリットがない者もいれば、一方で、通形ミリオの「透過」のように、使い方を誤れば他人どころか自分の命を危険に晒してしまいかねないデメリットを抱えた者もいる。

なお、あくまで身体能力の1つであるため、鍛えればその個性の性能は伸びるし、使わなければ衰えていく。
身体と個性が合わないという例もあり、その場合は日常生活でも何らかの制約がかかることがある。

ちなみに、"個性"の保有者は"個性"因子を持っており、これを測定することで"個性"の有無や何がしかの影響で"個性"因子が損傷しているか等の状態が分かる。
とは言え"個性"因子の測定にはかなり大掛かりな設備が必要になるので、もっと簡便な判別方法として「足の小指の関節の数」を見るようである。
これは、"個性”を持って生まれた人間は厳密には生物学上のヒトではなくいわゆる「進化した人類」にあたり、それらの"亜人種”は使用しない関節=足の小指の関節が退化しているため、関節が退化していない=普通のヒト=無個性となるという。
「学説」の域を出てはいないようだが、描写された病院ではこの判別法が採用されており、デクもこの診断をもとに「無個性」と判定されている。


【分類】

一口に“個性”と言っても、基本的に「発動型」「変形型」「異形型」の3種類に大別される。

  • 発動型
任意で特殊能力を発動する。
数多くある“個性”の中で一番スタンダードな系統。
多種多様で自身の意思で能力を発動させる。
またその種類の多さから、発動する“個性”によって身体能力を増幅させる「増強系」や相手を拘束することに特化した「拘束系」などに細分化されている。

  • 変形型
通常の人間の体から、自身の意思で肉体を変化・強化させる系統。
一見「異形型」に見える“個性”でも普通の人間の状態から変化する場合はこちらに分類される*1

  • 異形型
生まれた時から常時“個性”が発現している系統。
その姿も千差万別であり、普通の人間の身体に尻尾が生えているだけの場合もあれば完全に獣人のような姿の者までいる。
「異形」という言い方は日常的に使われるが、本来はあまり好ましくない表現であり、
人間離れしたその容姿から差別の対象となることもあるらしく「異形型」を差別する団体も存在し、一部の田舎などでは「異形型」への差別意識が残っていることもある。

なおどの辺りからが「異形」なのかは特に明言はされていないが、体に比べ手が大きいパワーローダーのように「("個性"の関係で)他人より少し体型のバランスが違う」とか、腕にテープの生成・射出器官を備えた瀬呂のように「人型を大きく逸脱しない範疇で"個性"由来の器官が生えている」程度の場合は恐らく対象外と思われる。

  • 複合型
上記の3系統の特徴を2つ以上併せ持つ系統。

  • 無個性
“個性”を持たない者の総称。
“個性”を持たない以外は他の人間と変わらないため、多少バカにされることはあっても差別や迫害などは特に見られていない、ただし虐めなどの要因にはなりうる。
作中世界では総人口の2割が無個性であり、もはやこちらの方が少数派。
また、あくまで「総人口の」2割であるため、年代が若くなるとその比率はさらに下がる。

  • 突然変異(ミューテーション)
両親のどちらの家系にも全く類似しない“個性”が発現する現象。
事例はほとんど存在しない模様だが、ごく稀にこの現象が起こることがあるという。
原初の“個性”は全てこれであったはずである。


【作中での扱い】

"個性"登録

"個性"が発現した時点で個性の内容を市役所に届け出て登録する。
しかし成長するにつれて、実は思っていた個性とは少し違うことが判明したり*2、無個性と思っていたが実際には個性を持っており、後に発現した、あるいはずっと発現していたが気付いていなかった時といった事例が考えられる。
特に後者は間々ある事態なので、市役所にその旨の届け出を出せば情報が更新される*3

使用規制

"個性"は便利な反面危険な個性も多いため、公共の場における個性の無断使用はヒーローの監督下などを除いて禁じられている。
現実で例えれば、僅かなスピード違反程度に相当するちょっとした個性の使用なら注意喚起で済むが、露骨に個性を使用して他人に迷惑をかければ犯罪行為と認定される。
また私有地内であれば特に使用制限はなく、ヒーロー(“個性”使用に関する免許の所有者)以外の職業でも申請すれば使用が可能となる。
なお、常時"個性"が発現している異形型に使用規制はどの程度適用されるのかは現状作中では触れられていない。

"個性"婚

主に"個性"発現から第二〜第三世代間で問題となった自身の“個性”をより強化して継がせるためだけに配偶者を選び結婚すること。
当然倫理観の欠如した行いであり、なおかつ両親が強力な"個性"持ちの場合、生まれてきた子供に"個性"の弊害が生じてしまうこともある。

例としてエンデヴァーは「使用し続けることで体内に熱が籠もり、身体機能が低下してしまう」という自身の欠点を、体温調整によって克服出来る氷の個性を持つ女性に金とコネを利用して婚姻を迫り、2人の『個性』を完全に受け継ぐ子が産まれるまで4人もの子供を産ませるという形で、自分から受け継いだ“個性”の欠点を、配偶者から受け継いだ“個性”によって打ち消せる、自らを超え得る後継者を得ようと考えた。
その成功作とされた末子の轟焦凍以外の子供たちは母親の個性を受け継ぎ、長子はエンデヴァーを上回る火力の炎を放出する"個性"が発現した。
しかし長子は母親の「暑がり」という体質も受け継いでしまったため、強力な炎を放出できるにもかかわらず「暑さに弱い」=「炎に対して極端に耐性のない」身体となってしまい、このことが後に最悪の悲劇へと繋がってしまう…

"個性"カウンセリング

自他理解の歪みを矯正し、社会性の擦り合せを施す情操教育。
超人社会では必須となっているが決して完璧なプログラムではなく、個人差をより感じてしまうという問題点も存在する。

"個性"の研究

"個性"との共存がある程度成し得た現代では"個性"の研究も進んでいる。
“個性”の発動原理などは不明だが、その変異した生体部分(毛髪など)を培養して“個性”が発動する素材として扱う技術も発達しており、ヒーローコスチュームでは“個性”の発動時邪魔になりがちな衣服を本人の細胞から培養した組織で構成・本人の個性発動時に素材を同期させることが可能になっている。

  • “個性”因子
基本となる人体に特別な仕組みを+αする仕組み。
作中では+αされた仕組みを「“個性”」、+αを「“個性”因子」と呼んでいる。
相澤消太の抹消は、この因子を一時的に停止させている。

  • トリガー
本編や外伝ヴィジランテ-僕のヒーローアカデミア ILLEGALS、劇場版に登場する違法ドラッグで、正式名称は「“個性”因子誘発物質(イディオ・トリガー)」。
使用者の“個性”を極端化(ブースト)する効能と理性を欠落させる副作用があり、効き目が強いほどより顕著に現れる。
『ヴィジランテ』登場のナックルダスター曰く「一般人をヴィランにする薬物」。
薬の種類によっては常用者は舌が黒く変色するため、ナックルダスターはそれを判断材料にしている。
日本では流通が禁止されており、ファットガムによればアジア製は効果が短く、アメリカ製なら効果が1〜2時間続く等、産地によって品質もまちまちらしい。
また「ブースト」と呼ばれる同様の効果を持つ薬品も存在する。

  • 個性消失弾
オーバーホールが開発した“個性”を人体から消してしまう弾丸
未完成の弾丸は相澤の抹消のように一時的に“個性”を使えなくするだけで時間経過で“個性”が回復するが、完成品の弾丸は“個性”そのものを人体から完全に消失させるというチート級の性能を持つ。
当初は“個性”因子を直接破壊していると推測されていたが、実際は弾丸に壊理の「対象を巻き戻す」個性因子を含む彼女の細胞等を利用していた


【負の面】

危険性

上記の通り"個性"は千差万別で、登場する"個性"の多くは一見大したことがなさそうな"個性"でも使い方次第で容易に人を殺めてしまうとてつもない危険性を孕んでいることがままある。
強力な“個性”を持つが故に使い手自身に、あるいはその周囲の人々に、大きな負担がかかってしまうものもある。
そもそも発現する"個性"は両親の"個性"からある程度の推測は可能ではあるが、基本的に「発現するまでどのような個性かはわからない」というものであり、中には上記の突然変異のように両親どちらの家系にも当てはまらない"個性"が発現することもあるため、そんな能力がある日突然、使い方を理解していない子供に発現するというのは、ある意味恐ろしいことでもある。

以下一例
"個性":ワン・フォー・オール
「力を蓄え他者に譲渡する」性質上、代を重ねるごとに強くなる反面、使い手の身体にも相当な負荷がかかる。
先代にあたるオールマイトは継承した時点でこの"個性"に耐えられるだけの肉体と使いこなせるセンスを持っていたため問題なく扱えていたが、出久が受け継いだ時点で以前の8人の継承者たちの休みない鍛錬で培われた「力の結晶」だったため、当初はパンチ一発放つだけで骨は折れ肉も爆ぜる程の大ダメージを負っていた

"個性":崩壊
五指で触れたものを粉々に崩すことが出来る。
その効果は極めて強力で、人体相手は勿論の事、鉄壁のシェルターとして名高い「雄英バリアー」すらも短時間で粉々に崩せる。
因みに人体の場合だと、一分以内で塵と化すらしく、最近では一分どころか十数秒で崩れている描写も。
五指で触れた途端強制発動してしまう個性でもあり、オンオフが効かない。
そのため、死柄木は普段モノを持つときはどれか指一本浮かせ、五指で触れないようにしている。

"個性":ヘルフレイム
炎系統では地上最強と言われているが、長時間使用し続けることで自身の個性によって体温が上がり続け、身体機能が低下してしまう。

"個性":オール・フォー・ワン
他者から個性を「奪い」自分の物にして使える、またそれを他者に「与える」ことも任意にできる個性。
奪って自分の中に収めた個性を任意に管理でき、さらに複数の個性を組み合わせて同時に発現させることもできる。
個性持ちがまだ迫害されていた超常黎明期において、オール・フォー・ワンはこの個性を使い、力の無い者には"個性"の力を与え、自らの"個性"に悩む者はその"個性"を奪う事で普通に戻す一方で、有用な"個性"は奪って自分のものとし、"個性"に悩む人々を救済して意図的に恩を売り続け、敵対者は複数の個性を同時に使いこなすその圧倒的な力で消し去り、人々を恐怖と畏怖の念で支配下に置くことに成功した。

超人社会において使い方次第では文字通り世界の支配者になれる個性だが、下記の通り“個性”は本来一人につき一つであり、作中世界の普通の人間の身体には複数の個性を持つだけの容量(キャパシティ)がないため、常に複数個性を操るオール・フォー・ワンにとってこの個性は容量問題がついてまわる難しい個性でもある。
この容量問題によりオール・フォー・ワンには何らかのタイムリミットが課せられていたようで、同時に社会にとっては存在そのものが脅威ともなる、みんなに迷惑な“個性”である。

"個性":硬化
ある日ふと目をこすった際に"個性"が発現し、手が硬化したことで右目に傷が残ってしまった。
これは下手をすれば眼球を傷つけて失明していた可能性もあり、発現したのが他者との喧嘩中なら相手を無意識に傷つけてしまうこともあり得たため、本人もしばらく自分の個性が嫌になってしまったという。

"個性":黒影(ダークシャドウ)
影が実体化した分身を操る個性。
影故に光が差さない暗闇ならばその力は倍増するが、その分制御が難しくなり最悪の場合暴走する危険も孕む。
この時黒影の口調は荒々しいものになり、その姿はもはや影の怪物その物に変化する。

  • 13号
"個性":ブラックホール
小型のブラックホールを生み出す事が出来るという、割と規格外と言えるレベルの能力。
その引力を用いての救助を主としているが、無論攻撃にも使える。
しかし小型であろうと、そもそもブラックホール自体がかなり危険な物体であるため、詳しくは語られていないが、発現してから制御できるようになるまで、かなりの苦労をしたと推測できる。

  • プレゼント・マイク
"個性":ヴォイス
常時"個性"発現している異形型を除き、通常4歳頃までに発現する"個性"だが、彼の場合は生まれた時から"個性"を宿しており、その産声で母親と産科医の鼓膜を割ったというエピソードがある。

"個性":蒼炎
複数の人間を一瞬で焼死体に変える程の火力を誇るが、長時間戦えない体質らしく、個性による炎を出しすぎると自身の体を焼いてしまう
これによって戦闘が長引くと顔から出血したり、体中が焦げ臭くなり、これが危険信号となる。

"個性":透過
発動中はあらゆる物や攻撃をすり抜ける透過体質になれる個性。
発動中は実質無敵状態だが、ごく簡単な動作にも一々いくつかの工程を必要とする超上級者向け個性。
笑い話ではなくこの制御の難しさから、同じ個性を持つミリオの父親もヒーローになる夢を諦めている。
また全身を透過させると重力に従い地中に落ちる

そこでは光や音、空気をも透過してしまう為、「見えない」「聞こえない」「空気を取り込めない」ただ落ちていく感覚だけが残るようになるが、この状態で能力を解除すると質量のある物同士が弾き飛ばされる現象が発生し地上に飛び出すことになる。
身体の向きやポーズでポイントを狙うことが可能で、ミリオはこれを利用して瞬間離脱から突然相手の背後に出現する戦闘パターン(傍目にはワープしたように見える)を持っている。
しかし調整を一歩間違えると身体が真っ二つになって死亡してしまう危険がある

"個性":二倍
情報をもとに、物体の複製を作ることができる個性。
その気になれば一国を攻め落とせる程の兵力を生み出せるが、複製体は自我を持ち、ある程度のダメージを負わないと消滅しない特性を持っていたため、かつて自らの分身を大量に従えた際に、複製達が「自分が本物だ」と主導権を巡って争い出し、結果本体である自分は縛り付けられた上、一週間もの間「自分自身の殺し合い」を見せつけられてしまった。
その結果、彼は自分の顔にも重傷を負い、更には精神も病んでしまった上に自分が「本物」であるという確信すら持てなくなってしまった
なお、ホークスから「最も警戒すべき存在」と評された通り、なまじ影響力があるばっかりに場合によっては生存自体を社会から否定されかねない難儀な個性でもある。

"個性":耐久、巨大化、痛覚遮断、エネルギー効率、剛筋、犬、土竜
AFOから複数の“個性”を与えられ、なおかつ改造手術なしで耐えきっているが、これは彼が生来持つ「耐久」により、異常なまでの耐久力・体力を得ているからである。
また知能が低いマキアでも扱えるようにするため、与えられた“個性”はどれも身体強化かつシンプルなものばかりだが、その組み合わせ方*4も相まって非常に強力なものになっており、まさに「どんな能力も使い手や使い方次第で強力になる」を体現していると言える。

  • 外典
"個性":氷操
氷を操る“個性”。
元々は周囲の氷を念動力のように浮遊させて遠隔操作するていどだったが、“個性”の覚醒によって氷そのものの温度を自在に変える力を会得している。
規格外なのはその規模で、能力の及ぶ範囲は半径数km以上と地方都市一つをカバーする。
極小の氷粒から何十、百m規模もの巨大氷塊まで、氷であれば縦横無尽に操ることができ、一般家庭の製氷機内の角氷等を寄せ集めて作った竜を模した氷塊を突撃させたり、氷を足場にして高速飛行するのもお手の物。
氷が溶けてしまった後の水は操ることが出来ず、氷すら楽に溶かす荼毘のような超高温の能力の使い手との相性は良くないが、そうした局面であっても、先述の通り氷の温度を操る能力により周囲の水が凍結する超低温にまで温度を下げて氷を増やせるため、水道管の位置等の水源の場所さえ把握していれば、武器である氷を無尽蔵に増やして広域を自分の支配下に置ける。
当人は低温への耐性が高いようで、肉弾戦の際は氷を纏って物理的な打撃力や防御力を高めることも出来るので、恐らくは氷による攻撃は通用しない。

"個性":新秩序(ニューオーダー)
対象に手で触れた後に名前を呼ぶことでその対象に新たにルールを設定できる“個性”
その効果は生物どころか「大気」など実体のないものにまで及び、理どころか物事の「概念」にまで影響を与えるチート極まりない個性で、その力は「わかっていても対策できない」という「超大国」たるアメリカ合衆国の武力そのものを体現したかのような規格外の超絶パワーとなっている。
なお、「一度に設定できるルールは2つまで」自我を持つ生物に対しては「対象の名前を呼んだ上で対象に手で触れる」という工程が不可欠となるなどデメリットもあるが、それらを差し引いても強力極まりないため、アメリカ合衆国の国防の象徴たる彼女の個性は国家機密として詳細を秘匿されている*5

  • 灰廻航一
"個性":滑走
外伝『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』の主人公で、接地面に力場を発生させ高速移動する個性の持ち主。
…だが途中で力場を集束する事で衝撃弾を発射するという予想外の応用法に開眼し、終盤では訓練にてフル集中すれば金属を打ち抜くほどの殺傷力も持たせられると判明。
当の本人は明確に人を傷つけることを躊躇う性格なのでフル集中版が実地で使用される事は無かったが、ある意味ではどんな個性でも使い方によっては人を傷つけられる実例なのかも知れない。
また序盤では四肢の内三つを接地させないと個性を発動出来なかったが、実は小さい頃個性でバランスを取れず腕に傷が残るくらいコケていた反動で無自覚に安定姿勢を発動条件にしていたためで、慣れた後半では足だけで滑走している。

  • 毒島猛
"個性":毒ガス
外伝に登場した一般人。
毒ガスという個性が原因で体に悪いガスをため込まざるを得なくなっている。
また本編に登場するヴィラン連合のマスタードも同様の"個性"を持っており、使用の際はガスマスクを装着している。

社会適応の難しさ

"個性"の中には殺傷能力こそ低いものの、発動時の効果や自身への副作用が原因で上手く社会に適応できないこともある。
また、“個性”の性質と当人の人格特性は関連しない。そのため、組み合わせの結果おそろしい人物が生まれる可能性も存在する。

"個性":ネビルレーザー
へそからレーザーを出せるが、「体質と"個性"が合っていない」ということから1秒以上出し続けるとお腹を壊してしまい、そのまま放置していると勝手にレーザーが漏れ出てしまうため、青山は普段から常に個性制御のためのベルトを巻いている。

"個性":洗脳
「こいつを洗脳する」と意識した上での問いかけた相手を洗脳してしまう"個性"
無人兵器等には通用しない、思考が伴う複雑な命令は出せない、洗脳効果を持つのは肉声に限定され、拡声器や録音音声では洗脳できない等の制約も多い他、個性の性質が「ヒーローよりもヴィラン向き」と評されやすいもののため、当人はヒーローになることを目指しているにもかかわらず、個性だけを見た他者から「悪いことし放題」「犯罪者っぽい」「もし他人がこれを持っていたらまず悪用を思いつく(心操談)」と常々気味悪がられたり、からかわれたりする副次的なデメリットもある。
ちなみにこの「洗脳」、個性が普及した作中世界観で見ても激レアな個性とのこと。

"個性":変身
「血の香りがするボロボロの人」が大好きらしく、そんな大好きなものの「血を吸う」という常軌を逸した性癖を持っていたが、血を吸うことでその相手に変身するという"個性"の性質も相まって彼女を凶行へと走らせてしまう。
だがこの性癖は生来のもので自身曰く「普通」であり、両親もこの性癖を知ってからは社会に適応させるべく矯正を試み、トガ自身も表面上はそれを受けていたが、中学生の卒業式の際にとうとうその性癖を抑えきれず片思いしていた相手を襲撃する事件を起こしてしまう。
それ以降は自身の個性も活用して行方を晦ませ、気に入った相手を襲撃しては血を吸う生活を送ってきた。

"個性":食
あらゆるものを噛み砕く歯と、あらゆるものを瞬時に消化する胃袋を持つが、その代償で常に空腹感に苛まれ、社会に適合できず迫害を受けてきた。

  • 壊理(えり)
"個性":巻き戻し
父親と母親の系統のどちらにも属さない特異な"個性"であったため、当初は"個性"が不明であった。
ある時偶発的に"個性"を発動させてしまい、父親を巻き戻しで消滅させてしまった事から、母親に捨てられ祖父である死穢八斎會組長に引き取られる。
そこで組長が治崎に壊理の"個性"の解析を依頼したことが治崎の野望の始まりであり、壊理の不幸の始まりでもあった…。

  • 四ノ森避影
"個性":危機感知
自分を脅かし得る強敵が近くに潜んでいると危機感知が止まなくなってしまう。
オンオフできるかは不明だが、とある経緯で強化されたこの"個性"を受け継いだ者は任意でのオンオフはできなくなっている。

  • フレクト・ターン
"個性":リフレクト
劇場版第3弾に登場したヴィラン。
直撃したエネルギーを全て相手に跳ね返す常時発動型の能力。
普段は「アラクネ」と呼ばれる反射制御外骨格で制御しており、自在な調節が可能となっているが、強力な個性故に自他にとって厄介な代物で、常時発動型である所為で服の裏側を油膜状のエネルギー反転物質で覆わなければ着衣すらままならず、眼窩に埋め込んだデバイスが無ければ眼球に入る光も尽く反射してしまうので視力を保てなくなる等の多くの不便がある。
この不便さでは個性を呪いたくなるのも頷ける

個性特異点

作中では「世代を経るにつれ“個性”は混ざり深化していく」という推測を根拠とする、「より強力、より複雑化した“個性”はやがて誰にもコントロールできなくなってしまうのではないか」という終末論が囁かれている。

上記の通り生まれつきの"個性"は両親の物が少なからず混ざり合って継承されていく傾向にあるため、それが繰り返される事で強化された"個性"は、最終的には人類(“個性”の持ち主当人を含む)の手には余る力となってしまうのでは、というのがその概論である。
メインキャラクターで言えば爆豪や轟などがまさに好例であるし、本編における小学生達の持つ“個性”はよりややこしく、そしてより強力なものになっている描写がある。

これは、現在オール・フォー・ワンに付き従っている殻木球大ドクターが過去に提唱したが、オール・フォー・ワン以外誰も真面目に取り合わなかったらしい。
それどころか自分たちにとって邪魔な学説だとして学会からの追放といった弾圧行為に及んでいる。

そもそも“個性”は一人一つであり、作中世界の普通の人間の身体には複数の個性を持つだけのキャパシティがないため、無理に別の“個性”を移植した場合、余程身体に馴染み、浸透する個性でもなければ、その負荷に耐えられずに拒絶反応を起こし、物言わぬ人形のような廃人になってしまう例も多々見られた。
だが極稀に複数の“個性”が交わってワン・フォー・オールのように新たな一つの“個性”となることもある
常に複数個性を操るオール・フォー・ワンにとって容量の問題は深刻であり、元々彼のために始めた研究でもある。
脳無もその研究の副産物だと思われる。

容量に身体を適応させなければ人は制御できなくなり、その兆候は第4世代からあったらしいが、最たる例は「ワン・フォー・オール」であり、初代曰く「特異点を過ぎている」状態に至っている。
実際、この個性は代を重ねるごとに多数の個性を内包していくためあまりにも強大な力となり、故に僅かでも精神がブレれば制御不能となってあらゆる個性が暴走し、更には個性持ちの普通の人間が持てばそれだけで寿命を削ってしまう危険な物と成り果てている。

だが、問題はOFAやAFOのような特異例とは別軸線でも進んでいる。
上記のヤバイのとは関係ない一般市民レベルで、“個性”は複雑で強力で本人にも周囲にも制御が難しいものになってきている。
事実両親の“個性”の特徴を併せ持つ複合型の“個性”持ち同士で結婚し、生まれた子供の“個性”が複合型だった場合、最低4つの“個性”の特徴を持つこととなってしまう。
それが現状のまま重なって行けば、先の世代でどんな怪物が世界中でポンポン生まれるのか?(例えば、上記のスターアンドストライプが生き延びて子供を得た場合、その子はお相手の“個性”と組み合ってどんなややこしい“個性”を持って生まれていたか?)。
殻木ドクターが訴えたそのおそろしい未来像に、本編では誰も回答できずにいる。







追記・修正は"個性"を伸ばしてからお願いします。



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最終更新:2025年04月12日 10:06

*1 例としてハウンドドッグとギガントマキアは同じ「犬」の個性を持っているが、ハウンドドッグが異形型で常時獣人姿なのに対してギガントマキアは嗅覚と聴力を犬並みに強化するだけで外見は変化していない。

*2 体内から水を発射する個性だと診断されたが、実はそれが誤診であり、周囲から水分をかき集める個性だと発覚した等といったケースが挙げられる。

*3 無個性だったがオールマイトから個性を受け継いだ出久は、継承後にこの制度を利用して登録内容を変更した

*4 「痛覚遮断」で痛覚を消すことで「巨大化」+「剛筋」で生み出される凄まじいパワーを怯むことなく振るうことができ、「耐久」+「エネルギー効率」により僅かな栄養と水分だけで三日三晩ぶっ通しで戦い続けては三時間の睡眠で休憩を済ませるといった無茶苦茶な継続戦闘を一ヶ月もの間行うことが出来、休息時でも「土竜」で地中に潜み「犬」で周囲の状況を把握している。

*5 世間一般にはヒーローとしての活動を経てやむなく露見した概要が周知されているに留まっている。