精気を吸う骨の塔(遊戯王OCG)

登録日:2022/03/24 (木曜日) 03:51:11
更新日:2024/04/20 Sat 15:26:54
所要時間:約 6 分で読めます





精気(せいき)()骨の塔(ボーンタワー)

効果モンスター
星3/闇属性/アンデット族/攻 400/守1500
自分フィールド上にこのカード以外のアンデット族モンスターが存在する場合、
このカードを攻撃する事はできない。
アンデット族モンスターが特殊召喚に成功する度に、相手のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。

概要

遊戯王には時々いる、あんまりモンスターらしくない名前のモンスターのひとつ。
イラストも完全に建物である。
禍々しいだけあって唯の塔ではなく、イラストをよく見ると《ゴブリン突撃部隊》の精気を吸っていることが分かる。

何気に出番の多いカードでもあり、《アンデットワールド》及びその関連カードのイラストに多々登場している。
向こうの世界ではポピュラーな存在なのか、氷肌玉ガイドが観光案内している様子も確認されている。
その割にストラクR「アンデットワールド」で再録されず、第4期を最後に絶版になってしまっている。
マイナーなカードとはいえ、絶版というのはこのカードのファンにとっては筋を抜かれるように悲しいことなので、いつの日か再録されることを願うばかりである……。


それでは効果を見ていこう。

一つ目は自身への攻撃を逸らす効果。
「戦いもこなせる武者」とは言い難い攻撃力なので、この効果で戦闘を避けられるのは嬉しい。
が、通常のビートダウンではわざわざこのカードを庇う理由も維持する理由もないので、活きる場面はあまり無いだろう。
なお、の塔が2体揃えば攻撃されない壁になる。
「攻撃されない」と書いてあるカードを二枚出す時点で「今は攻撃をされると困る」という意図が露にバレてしまうため、あまり長続きはさせづらい。
とはいえ、後述のコンボに失敗した場合に時間が稼げる可能性はある。

そして二つ目は、アンデット族の特殊召喚をトリガーにしたデッキ破壊効果。
一回当たりの枚数は少ないものの、トリガーは非常に緩い。
効果は重複するので、複数枚フィールドに揃えればそれだけ速く相手デッキを抜きにできる。

注意しないといけないのは、《精気を吸うの塔》自身の特殊召喚時にはデッキ破壊はできないこと。
先に「の塔」を出しておいて、そのあとで別のモンスターを特殊召喚してやる必要がある。
逆に言えばアンデット族ならなんでもよく、予め「の塔」がいるときに二体目を特殊召喚した場合、先に出しておいた一体目の「の塔」の効果で2枚のカードが墓地に送られる。
以降は、アンデット族が特殊召喚されるたびに2+2=4枚のカードが墓地に送られることになる。


このカードを軸にしたデッキを以下に二つ記載する。

【アンデットデッキデス】

《精気を吸うの塔》を頂に据えた【デッキ破壊】
アンデット族の非(ボーン)な展開力を活かして一気にデッキを破壊しつくすことを狙う。
ただし流石のアンデット族と言えど、展開のために手間がか(かるた)めに、大規模な特殊召喚が大という事実に変わりはない。
無計画な特殊召喚てデッキ破壊の前にリソースを使い尽くしてしまった場合、待っているのは返しのターンでの敗北である。

かといってチンタラと時間を費やすようでは、相手の迅速かつ怒涛の攻勢を受け、ごとミンチになる末路は明白。
「できるだけ早く、何なら1ターンで破壊しつくす」ことはデッキ破壊の幹である。

そのため、以下のカードやテーマを併用することが多い。

  • 《地獄の暴走召喚》
《精気を吸うの塔》を複数用意することでデッキ破壊のスピードをアップできる。
相手のデッキが40枚の場合、《地獄の暴走召喚》があれば6回の特殊召喚でデッキデスが可能になる。
  1. ゲームスタートの初手5枚ドロー。 →35枚
  2. 1枚目の《地獄の暴走召喚》を発動。
  3. 《地獄の暴走召喚》を適用できれば《精気を吸うの塔》2枚を特殊召喚。 →1枚目の効果で35枚から33枚に*1
  4. 以降、アンデット族を一度特殊召喚するたびに6枚のデッキ破壊が行われる。
    6枚×6回=36枚破壊になるので、相手のデッキが空になる。

  • 《アンデットワールド》
アンデット族のギミックだけでは限界が見えるなら、他のモンスターの力を借りる方法。
《グローアップ・バルブ》などの自己特殊召喚効果を持つモンスターをアンデット族として特殊召喚し、トリガーに利用する。
またトリガーとなる「アンデット族の特殊召喚」は相手のアンデット族モンスターでも条件を満たす。
そのため《アンデットワールド》と併せて置くことで、相手に特殊召喚を躊躇わせることにも繋がる。

連続シンクロ召喚を当流にしたテーマであり、特殊召喚回数を多く稼ぐことが可能。
回数制限のない自己蘇生効果を持つ《麗の魔妖-妲姫》をまで酷使して回数を稼ぐ。
相手が増殖するGでも使おうものなら破壊が加速し、あっという間にデッキもも残らず消し飛んでしまうだろう。
でもニビルは勘弁な!
1ターンのうちに相手のデッキを削り切って1ターンキルまで持ち込めるポテンシャルもあるので、使い手次第では侮れないカードに化ける。

問題は、そこまで円に特殊召喚を行えるなら普通にビートダウンした方が早いという点。
特殊召喚メタ モンスターメタ 墓地メタ をモロに喰らう欠点もあって、実力はパッとせず「水母の」なデッキになっている。
尤も「水母の」ということは「地雷デッキ」ということでもあり、実際に成すすべなく敗北した報告も稀に挙がっている。

【絶望タワー】

【アンデットデッキデス】の派生。
悚然*2とさせるデッキ名だが、
なんと「相手からデッキ破壊されることで展開していく」という異色のビートダウンデッキ。

大まかな筋書きはこのようになる。
まず《ギブ&テイク》《強制転移》などの「送り付けカード」を使い、自分の《精気を吸うの塔》を相手フィールドに特殊召喚する。

その状態でアンデット族モンスターを展開すると、《精気を吸うの塔》によって自分のデッキが破壊されてしまう。
しかし、アンデット族は「墓地からの容易な蘇生」を真頂とする種族。
墓地にアンデット族が溜まれば溜まるほど、特殊召喚できるアンデット族の質と量は増えていく。
そんなアンデット族を「継続的に墓地供給できる」状況がいかにた頭蓋(すかる)ことかは、【アンデット族】使いならば身に染みるほど感じているはず。


あとは一例として、《精気を吸うの塔》が墓地に送ってくれた《馬頭鬼》などの効果でアンデット族を特殊召喚。
それが《精気を吸うの塔》のトリガーになって再び墓地にアンデット族が送られ、《ゾンビキャリア》を《シノビネクロ》《グローアップ・ブルーム》の効果を…
という具合に、墓地肥やしと特殊召喚を連綿と続けることができる。

更に、相手フィールドの《精気を吸うの塔》で々と……いやコツコツと墓地肥やしを行うため「相手によって墓地に送られた」という条件を満たせることもポイント。
相手のカードで墓地に送られることが召喚条件になっている《闇より出でし絶望》を特殊召喚出来たり、《ジャックポット7》の特殊勝利を狙うこともできる。
ちなみに、このデッキ名の由来はこの「闇より出でし絶望」と「の塔(タワー)」を単純にくっつけたもの。

前述の《アンデットワールド》があれば、ライトロードの《ライトロード・ビースト ウォルフ》*3といった、どこの馬のとも分からんメンツもトリガーになる。
…ここまでくるとさすがにロマンコンボがすぎるが。


一見すると墓地肥やしを惜しみ*4、それどころか相手を利用してまでしゃぶるとんでもないデッキ。
インパクトで言えば他のどのデッキにも負けない【絶望タワー】だが、やはり無視できない欠点もある。
それはとにかく「安定しない」こと。

まず【絶望タワー】する場合、《精気を吸うの塔》を送り付けないといけない。
《サモン・ソーサレス》がエラッタされる前はいざ知らず、「送り付け」も本来はが折れる行為である。
そもそも送り付け手段が揃わず事故を招き、何もできなくなる危険も付きまとう。

そして肝心の墓地肥やしも「デッキの上から墓地に送る」と、不確実性が付きまとう方法。
墓地肥やしの成果は水物になり、戦況を思い通りにコントロールし辛い。
最悪の場合、墓地を肥やしても後が続かず無駄に終わることもある。

つまり《精気を吸うの塔》のために身を削ったところで、必ずしも有利になるとは限らないのが苦しいポイント。
墓地肥やしは【アンデット族】の子なので、そのギミックにヒビが入るのはどうしても避けないといけない。

他方、インフレの影響によりピンポイントにアンデット族を墓地に落とせる屋台が充実していた。
牛頭鬼《ユニゾンビ》《堕ち武者》《霊道士チャンシー》《イモータル・ドラゴン》等、数もそろっている。
送り付けという迂遠な手順をはさむこともなく、一折るだけで頂な墓地肥やしができてしまう。
爆発力は圧倒的に【絶望タワー】が上であるものの、とにかく安定してデッキを回せる利点がこれらのカードにはある。
そして勝率の期待値で見ても、安定したピンポイント墓地肥やしの方に軍配は上がる。

そもそも「デッキの上から墓地に送る」タイプの墓地肥やしが一般的だったのは
デッキからピンポイントに墓地に送る」タイプが桁並み厳しく取り締まられていたこともあったからである。

そのため、現在では墓地肥やし目的で【絶望タワー】をするご利益がかなり少なくなっている。
微塵*5もない…というのは言い過ぎだが、無な要素が多い点は否めない。
うまくまわれば次々とアンデット達が並ぶ様は壮観だが、
展開力にしても爆発力にしてもよりお手軽に上回るデッキが多い昨今では老に鞭打ってまで使いたいかというと、やはり難しい。


尤もこの絡みしている*6様も「現時点」ではの話。
トリガーも緩く回数制限の無いデッキ破壊なので、ハジケる素質を持っていることは事実。
何かの拍子にハジケないことを祈るばかりである。




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最終更新:2024年04月20日 15:26

*1 モンスター数ではなく特殊召喚の回数をカウントするので、二体同時に特殊召喚しても1回判定である

*2 身の毛がよだつ、と同じ意味

*3 デッキから墓地に送られた時、自己再生する

*4 やるべきことをサボり、なまけること

*5 ほんのわずかであることのたとえ

*6 悪い状態から抜け出せないことのたとえ