デッキ破壊(遊戯王OCG)

登録日:2021/09/12 Sun 09:13:17
更新日:2024/01/01 Mon 17:49:12
所要時間:約 22 分で読めます




デッキ破壊とは、カードゲームにおける戦術のひとつ。
相手のデッキ(山札)のカードの一部または全部を、捨て札にするなど他の場所へ送ることで、勝利手段とする、または勝利のための補助手段とする戦略のこと。
本項目では『遊戯王OCG』におけるデッキ破壊について解説する。

相手ではなく、自分のデッキを墓地に送る戦術も多いが、これは「墓地肥やし」「デッキ圧縮」と呼ばれ別物。
アニメでは遊戯王5D'sアポリアがデッキ圧縮戦略を「私は、私のデッキを破壊する!」と表現している。
こっちの目的は、墓地利用や、デッキ枚数を削ってキーカードを引く確率を上げることが目的。
デッキ破壊デッキとかち合うと、お互いスリリングなことになる。


●目次

概要

主に二種類の目的で使用される。

勝利手段としてのデッキ破壊

遊戯王OCGの勝利条件には、「相手のデッキが0枚で、カードをドローすべき時にドローできなかった場合」という物がある*1
決まった名前はないが、「デッキ切れ」「デッキデス」「山札切れ」「ライブラリアウト(ライブラリーアウト)」などと呼ばれている。
デッキ破壊の大きな目的はこれであり、相手のライフ等に関係なく勝利できる術として古くから使われてきた。

かつて、「サイバー・ポッド」や「現世と冥界の逆転」(エラッタ前)のような有力なカードが存在していた環境では、しばしば使われていた。
当時は第6期以前でシンクロモンスターが登場しておらず、
今のような高速でEXデッキからモンスターをどんどん展開するようなゲーム性になっていなかったことも影響している。

一方で、OCGではプレイヤーのライフポイントに対してモンスターの攻撃力が高く、基本的にビートダウンを狙う方が扱いやすい。
更に現在は、「灰流うらら」などの手札誘発カードによって対策が増加しており、ライフロス狙いよりも手間のかかるデッキ破壊は構築・運用難易度が高い。


妨害手段としてのデッキ破壊

妨害手段としてのデッキ破壊は、相手の切り札を墓地に送る事で、相手の戦略を狂わせる事を目的とする。
しかし、漠然とデッキを数枚墓地に送るだけでは、致命的な被害を与えることは難しい。
むしろ、相手を有利にさせる可能性も高く、「死者蘇生」などで墓地に送ったカードを再利用されてしまう危険性もある。
デッキ破壊効果が半ばデメリットと認識されていたり、ビートダウンデッキに「ニードル・ワーム」が採用されない理由でもある。

また、昨今のデッキはフィニッシャーをEXデッキのモンスターに頼ることが多く、EXデッキを直接破壊する戦略も増えてきた。
EXデッキのカードは、枚数が少なく、蘇生制限などから再利用が少々難しいため、一枚破壊されるだけでも致命的な被害を被る事がある。
「旧神ヌトス」のようにEXデッキから墓地に送られても効果を発動できるカードで対策される可能性もあるが、EXデッキの破壊は概ね強力な手段として認識されている。


デッキタイプ

以下、主なデッキ破壊手段の解説

遊戯王史上最も実績のあるデッキ破壊ワンキルデッキ。
「サイバー・ポッド」を「浅すぎた墓穴」や「リバースソウル」で使いまわしてデッキを削る。
「王家の神殿」とドロー系罠のコンボでデッキを圧縮し、「硫酸のたまった落とし穴」でリバースを行う。
キーカードの「サイバーポッド」が禁止カードなため現在は構築不可能。「硫酸のたまった落とし穴」もリバース効果を発動できないエラッタが成された。

  • 【メタポワンキル】
メタモルポットを1ターン中に何度もリバースさせてデッキ切れを狙うデッキ。
理屈は上の三原式と同様。「メタモルポット」の効果でコンボに必要なパーツを自力で調達できるのが利点。
「メタモルポット」は第11期現在でも制限なので今でも構築することは可能であり、未だに主流のデッキ破壊デッキでもある。

  • 【カオスループ】
デッキのモンスターに「カオスポッド」3枚とフィニッシャーの1枚だけを入れ、2体のモンスターを1ターン中に何度もリバースさせてワンショットキルを狙うデッキ。
「召喚制限-猛突するモンスター」を発動させておくことにより「カオスポッド」の特殊召喚後に即座にリバースされるため、無限ループが発生しデッキ破壊が行われる。
このフィニッシャーに「ニードルワーム」などを入れることでデッキ破壊による勝利が可能だが、キーカードの「召喚制限-猛突するモンスター」のサーチが難しいのが難点。
亜種として、「ニードルワーム」の代わりに「ポイズンマミー」でバーンを狙う型や、「聖なる魔術師」や「闇の仮面」でバーンカードを回収して勝利する型もある。

現世と冥界の逆転」(エラッタ前)の効果で相手のデッキを0にするコンボデッキ。
トゥーンのもくじ」や「サンダー・ドラゴン」で高速で自分のデッキを圧縮した後、「魂の解放」で相手の墓地をすべて除外。
そして「現世と冥界の逆転」を発動して相手をライブラリアウトに追い込む。
このデッキが使えた頃は「マキュラ」が現役だったので自分のターン中に発動可能であり、次のドローフェイズに即相手を敗北させることができた。

キーカードの「現世と冥界の逆転」は当然禁止となり、その後エラッタとともに制限緩和。
発動条件が変更されたので、以前のような使い方はできなくなったが、一応同じコンセプトでデッキを組むことは可能。

アニメ『遊戯王5D's』に登場したテーマ。
「デッキ破壊」「ビートダウン」「バーン」の3つの要素を扱うのだが、個々のシナジーが薄く中途半端なテーマになってしまっている。
全てを組み合わせることは非現実的なので、大量のデッキ破壊を狙える《C・スネーク》を主軸にした構築が組まれる。
一応、コンボが上手く決まれば30枚前後のデッキ破壊を狙えるため、現状は辛うじて形にはなるファンデッキといった扱いに留まっている。

手札0枚の状態で戦うソリティアテーマ。
基本的には1ショットキルパーミッションとして組まれるが、デッキ破壊として組むことも可能。
そもそもインフェルニティは、(あくまで理論上は)「不可能なことは何もない」とまで言われるデッキであり、
「幻子力空母エンタープラズニル」を使いまわして相手のデッキを全て除外するループが考案されている。
ただし、相手のデッキを除外しきるまで数時間かかるため実用性はないに等しい(大会では制限時間がある為)。

スケパレ軸、と呼ばれるタイプがデッキデスを主軸とする。
低速デッキなので速攻で相手のデッキを破壊し尽くすことは難しいが、
再利用が非常に難しい裏側除外で除去するため墓地・除外利用からの逆転をされることがないのが利点。

  • 【アンデットデッキデス】
アンデット族が特殊召喚される度に相手のデッキを2枚墓地送りする「精気を吸う骨の塔」を軸にしたデッキ破壊。
アンデット族は墓地からの特殊召喚手段がものすごく多いため、構築の幅は広い。

お互いのモンスターをアンデット族にする「アンデットワールド」を張った状態で何度もリンク召喚を行ったり、連続でシンクロ召喚が可能な「魔妖(まやかし)」を活用するなど、色々な型がある。

上記の亜種。
なんと「相手にこちらのデッキを破壊することを強要する」タイプのデッキ破壊デッキ。厳密にはそれを利用したアンデットビート。
「精気を吸う骨の塔」を送りつけ、その効果を利用して墓地アドを増やし、
相手の効果によってデッキから墓地送りされた時に自己再生する《闇よりの恐怖》・《闇より出でし絶望》や《馬頭鬼》による、
アンデット蘇生などで展開を行いそれにより骨の塔の効果を発動して更に墓地を肥やし……を繰り返す。

デッキ切れ敗北は「ペンギン・ナイト」の墓地リセット効果で回避し、一度回りだせば満足するまで延々と展開が続けられる。
無論、「精気を吸う骨の塔」を自分の場に出して通常のデッキデスを行う事も可能。

今までありそうでなかった、テーマ単位でデッキ破壊そのものをコンセプトとしたカード群。
戦闘を完全に放棄する代わりに、各種速攻魔法を駆使して相手のデッキをどんどん除外し、デッキ切れに追い込むのが基本戦術。
墓地送りではなく除外なので、墓地に落としてしまったカードを再利用される心配もない。でもサンドラは勘弁な!
登場と同時期に「王宮の勅命」が禁止になって魔法テーマが活躍しやすくなったこともあり、環境でも注目を集めたテーマである。


個別カード

「勝つためのデッキ破壊」系

  • ニードルワーム
デッキ破壊の代表的なカード。
リバースすると、相手のデッキトップから5枚墓地に送る下級の昆虫族。
墓地に送れる枚数はそこそこ多いのだが、このカードを採用するだけでは相手のデッキを0にするのは難しく、特化した構築が必要となる。

ただし、ランダムな墓地肥やしではキーカードを墓地に送れる確率も、デッキ圧縮や墓地肥やしに繋がる確率も同等。
その上、第3期第4期には「開闢」や「終焉」の召喚条件を満たすという致命的な失策を犯す可能性すらあった。
11期現在では、墓地を利用できるカードはさらに増え、半端なデッキ破壊は逆に首を絞めることとなる。

初心者はこの手の効果を過大評価する傾向があるので、ビートダウンに採用するという光景がよく見られた。
相手の切り札を使われる前に墓地に落とせ、あわよくばデッキ切れを狙えるという理由からである。
初期のOCGを触っていた諸兄は特にシナジーもなくこのカードを入れていたのではないだろうか?

このモンスターの性質を正しく理解した瞬間が初心者からの脱却の時である。

  • カオスポッド
同じく代表的なカード。
リバースすると、フィールドのモンスターを全てデッキに戻させる。
そして戻した数だけモンスターが出るまでデッキをめくり、下級モンスターだけを裏側守備表示で特殊召喚させるというフィールドリセットができる下級の岩石族。

要するにモンスターを全て裏側守備表示モンスターへ入れ替えてしまうのだが、この時条件に当てはまらない上級モンスターや魔法・罠カードは全て墓地送りにできるため副次的に不定数のデッキ破壊を行える。
エクストラデッキに戻ったモンスターはカウントされないが、それでも単純にバウンスとして働く。
もちろん攻撃されたり相手ターンに罠カードでリバースした時にも発動できるし、特殊召喚したモンスターはすぐに表示形式を変更できないため、相手の追撃を防いだり展開を妨害したりといった動きが可能。
リバースした時に戦闘破壊が確定していなければ自分もモンスターをめくらないといけないため自分のデッキも破壊することになるが、上記のニードルワームを呼び出したりもできるため長年使われ続けている。

デッキ破壊を抜きにしても防御能力は一際優れており、一時は制限カードに登ったことさえある実力者。
海外では禁止カードにまで指定されていた。

  • 手札抹殺
お互いに手札を全て捨て、その枚数分だけドローする効果を持つ。
単体では然程のデッキ破壊能力を持たないが、何らかの方法で相手に大量の手札を抱え込ませた状態で使用すれば、
それらを全て捨てさせつつその分だけドローさせる事で一気にデッキを削り取る事が可能となる。
そのままでは相手に大量の墓地肥しとドローを許しただけになり得るので、
更に他のカード、例えばもう一度手札を全て捨てさせるメタポなどと組み合わせたい所。

自分の墓地に15枚以上カードがある時に発動可能で、
互いの墓地とデッキのカードを全て入れ替えてしまうという恐ろしい罠カード。

エラッタ前は自分の墓地にカードが15枚以上あればよかったので、
デッキ圧縮の後に相手の墓地を空にしてから発動することで一気にデッキを0にするという戦法が可能だった。
上述したようにかつては三原式と並ぶデッキ破壊ワンキルの代名詞として猛威を振るっていた。

また「デッキのカードを回復できる」という点から【トランス】に採用され、
試合の時間を目一杯まで使って勝利することでマッチキルするという目的に使われたこともあった。

現在では無制限となっているが、エラッタにより互いの墓地に15枚以上のカードが必要となった
また、デュエル中に1度しか発動できないようにもなり、かつてのような活躍は望めないカードとなっている。
一応、「轟雷帝ザボルグ」でEXデッキのカードを15枚墓地に送るなどすれば、相手のデッキのみを0にすることは可能。

原作ではイシズ姉様が使ったことで有名なカード。社長のウイルスカードを逆利用して敗北寸前まで追い詰めた。

  • ヘル・テンペスト
お互いのデッキ・墓地のモンスターを全て除外するという、最高クラスのデッキ破壊効果を有する速攻魔法。
発動条件の「自分が3000以上の戦闘ダメージを受ける」というのは「トーチ・ゴーレム」あたりを送り付ければ割と簡単に達成可能。

問題は自分のデッキ・墓地も除外されることと、フィールドに直接干渉しないので、発動のダメージ源に使った相手フィールドのモンスターには別途対処の必要があること。
意外に構築の塩梅が難しい一枚。

  • ネクロフェイス
自身が除外されるとお互いのデックトップから5枚除外する下級のアンデット族
墓地送りではなく除外なので、安易な再利用を許さない点がメリット。
ザ・ヴァリュアブル・ブック9で同時に収録された「封印の黄金櫃」と相性がよく、除外するだけでデッキを削れ、2ターン経てば手札に加えることができた。

無制限だった時代は2枚目以降のこのカードが除外されると更に除外が連鎖し、10枚以上のデッキが削られることもあった。
ミラーマッチだとさらに愉快なことになる。
制限カードになる前は酒呑童子と組み合わせた【酒ネクロ】で猛威を奮った。
制限された現在は、ものすごい攻撃力になる「ダ・イーザ」や「D.D.ダイナマイト」でライフを削りきるデッキが主流。

なお、普通に召喚すると「除外されたカードを全てデッキに戻し、戻した数×100攻撃力が上昇する」という、全く逆のことをする。
そのため、除外エンジン兼デッキ破壊に使えるカードでありながら、自身がそのメタカードという特異な性質を持っている。


  • プレゼントカード
相手に全ハンデスした後で5枚ドローさせる罠。
いわゆるノーマルレアにありがちな相手に恩恵を与えるカードの1つ。

あらかじめ手札を捨てさせるとはいえ相手に5枚もドローさせるのはかなり危険であり、何らかのサポートが必要。
しかし、見方を変えれば相手のデッキを5枚削れるということであり、デッキ破壊のみを狙ったデッキでは選択肢に入る。

ちなみに「ギフトカード」というカードもある。そちらは相手のLPを3000回復させる効果で「シモッチバーン」で使われる。

  • トリックスター・リンカーネイション
相手の手札を全て除外し、その枚数分引き直させる罠。
また、墓地から除外することで「トリックスター」モンスター1体を蘇生できる。

上のプレゼントカードと性質は似ているが、こちらは除外なのでハンデスしたカードを再利用されにくい。

デッキを削る以外にもいくつか使い方があり「トリックスター・マンジュシカ」や「グリード」でバーンダメージを与えられる。
「ドロール&ロックバード」とのコンボに至っては相手の手札を全て除外させるという恐ろしい状況を生み出す。

カテゴリに属するカードかつフィールド魔法であることからサーチの手段が異常に充実しており、
「テラ・フォーミング」or「盆回し」→「ライトステージ」→「キャンディナ」→これ
……といった具合に計8種類のサーチカードに対応する

カード名は「リンカーネーション」ではなく、「リンカーネション」なので注意。
宣言の際は間違えないように気を付けよう。

なお、この「トリックスター」はあろうことか遊戯王VRAINSヒロインである財前葵が使用するカード群。
第10期が始まって早々これである

デッキ破壊に特化した効果を持つエクシーズモンスター。
特に採用率の高い「強欲で貪欲な壺」に対する強力なメタカードとしてデザインされている。

「妨害のためのデッキ破壊」系

第9期になって登場した最上級帝の1つ。
アドバンス召喚したモンスターなら1体のリリースで済み、召喚時にモンスター1体を破壊する。
文面上は除去効果だが、破壊したモンスターのレベルまたはランクの数だけエクストラデッキのカードを削る効果が付いており、そちらを目当てに使われる。
大抵は自身を破壊するため、8枚のカードを使用不可能にする。
デッキによってはこの時点で投了もの。

自分のEXデッキもついでに破壊するため、《虹光の宣告者》や《旧神ヌトス》を墓地に送るなど、様々な利用法が考案されている。

攻撃力1000以下のモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時に発動可能で、
そのモンスターと、相手の手札・デッキから同名のモンスターをまとめて除外する罠。
低攻撃力のモンスターを展開の起点とするデッキに非常にぶっ刺さるカードである。
甲虫装機が流行した時は「奈落」が効かない「ダンセル」を駆除するためによく使われた。
盤面とデッキからまとめて除去できるため一時期はサイドデッキの常連となっていた。

元になったのは「連鎖破壊(チェーン・デストラクション)」で、
そちらは攻撃力2000以下のモンスターに対して発動できるが、
フィールドのモンスターには一切干渉せず、持ち主の手札・デッキから同名のモンスターを破壊するのみとなっている。

手札からこのカードを捨てることでEXデッキから自分のモンスター1枚を見せ、それと同名の相手のモンスター全てを除外する。
EXデッキに採用率が高い特定のカードを狙い撃ちにできる効果で、サイドデッキから投入されることが多い。
欠点としては自分で使わないにもかかわらずそのモンスターをEXデッキに入れる必要があり費用がかさみやすいこと。


おまけ

特定の条件の闇属性モンスターをリリースすことで発動する罠カード。
相手のフィールドと手札を確認して該当するカードをすべて破壊した後、3ターンにわたってドローしたカードを確認し、特定のカードをすべて破壊する。
例えば、《魔のデッキ破壊ウイルス》ならば攻撃力2000以上の闇属性モンスターをリリースし、相手の攻撃力1500以下のモンスターをすべて破壊できる。
主にサイドデッキに入れられるカードだが、ぶっ刺さる相手に使えば一気に相手のデッキを機能不全に追い込める強さがある。

なお、OCGでは名前に反して全くデッキを破壊しないデッキ破壊の語源が壊れた。
破壊するのはフィールド、手札と3ターンの間にドローしたカードである。死の手札破壊ウイルス
……ただ、《死のデッキ破壊ウイルス》はエラッタにより本当に「デッキのモンスターを破壊する」カードとなった。
ただし、ウイルスの癖にデッキのカードを破壊するかは相手が任意で決められるという奇妙な効果になっている。

とりあえず「炎王」や「シャドール」相手に発動するのは自殺行為なので気を付けよう。

  • 増殖するG
特殊な条件下で使用者をデッキ切れに追い込むカード。
本来は相手が特殊召喚する度に1ドローという大量展開メタのためのドローカード……なのだが、
インフェルニティジャンクドッペルを始めとした特殊召喚を繰り返すソリティアデッキを相手にした場合、
強制効果のために自分のデッキを全て引かされて自滅するということがたまにある。

流石に30回近い特殊召喚ができるデッキは稀だが、デッキ圧縮をした後だと可能性が上がる。
それが嫌ならちゃんと他の「ヴェーラー」などの直接展開を止められる手札誘発もいれような!


原作・アニメで登場したデッキ破壊

いずれも強力すぎる物が多いため、OCG化の際には別物になっている。

  • 最終突撃命令
OCG版では場の全モンスターを攻撃表示にする永続罠カードだが、
原作ではお互いに自分のデッキを残り3枚になるように選び、残りを墓地に送るという最強最悪最凶のデッキ破壊&墓地肥しカードだった。
そのままOCG化すれば手札抹殺なりメタモルポットなりで相手を即死させられるため、効果が全く別物になるのも当然であろう。

映画「光のピラミッド」で海馬の使用したカード。
攻撃力500以下の闇属性モンスターが戦闘で破壊された時に発動でき、相手のデッキからランダムに10枚のカードを墓地へ送る。
バランス調整が難しいためかOCG化はされていない。

KCグランプリ編で登場したカード。
モンスターのサーチ効果と、相手モンスターに戦闘を強要しつつ攻撃モンスターを破壊し更にその攻撃力の半分分のダメージを与える効果を持つ代わりに、
維持コストとして自分のデッキの半分を墓地に送るという重いコストを強いられる。
本来は大会優勝賞品としてペガサスがデザインしたプロモカードであり、デュエルでは使用不可能なカードだったのだが、
このカードを所有していたジークは不正行為により、使用を可能にしたばかりかコストを相手に支払わせるという悪質極まりない改竄を行い、
実質的に相手の戦闘を封じつつ凶悪なデッキ破壊を行うカードと化している。
OCG化された際には本来の効果を基に「自分スタンバイフェイズ毎にデッキの上からカード10枚を裏側表示で除外する」というコストになっている。


原作・アニメでの扱い

デッキ破壊は負けフラグ」と呼ばれ、デッキ破壊を仕掛けた側が勝つことはほとんどない。
現在、自らデッキ破壊戦術を仕掛けてデッキ切れで勝利したデュエリストは未だに現れておらず、
デッキ破壊で決着がつくパターンは「相手のコンボを逆に利用した結果、デッキ破壊で勝利した」というものが大半である。
また、そのまま放っておけば勝てたのに、挑発に乗ってしまって攻撃を仕掛けたのが切っ掛けで負けてしまうという事例もよく見られる。

デッキ破壊自体はピンチを分かりやすく演出できるため、そこそこの頻度で登場する。
上記の通り、遊戯王はドロー出来なくなったタイミングが敗北であり、デッキが切れた時点では敗北にならないため、デッキを1枚だけ残し、最後のドローを起点に逆転までが様式美と化している。

なお、アニメARC-V第1話には「デッキ破壊も立派な戦術のひとつ」「あなたも始めてみませんか?」と書かれたデュエルスクールの看板が登場している。
そんなアニメARC-Vだが、最終的に歴代のアニメ作品で初めてデッキ破壊を目論んだデュエリストが登場しなかった。あらら……残念。
メインデッキが主軸のスタンダード次元ですら、わざわざ「立派な戦術のひとつ」とアピールしなければならない辺り、相当デッキ破壊は肩身が狭い様子。


デッキ破壊を行った決闘者

無印/DM

人形(マリク)戦においてオシリスの天空竜を攻略するため、相手の無限ループを逆利用したライブラリアウトで勝利している。
このデュエルは原作者の高橋和希先生もお気に入りらしい。
また偽造したエクゾディアを使用したレアハンターに対し《連鎖破壊》で勝ち筋を奪って勝利した一戦も決め手はデッキ破壊といえる。

各種「ウイルスカード」により相手のデッキを破壊、勝ち筋を奪う戦術を好む。
しかしながらペガサス戦やイシズ戦など相手にデッキ破壊効果を利用されて自分がピンチになってしまうこともしばしば。
光のピラミッドのシミュレーションでの海馬デッキは闇遊戯にデッキ破壊で勝利している(劇中では闇遊戯のデッキ枚数が41枚だったため失敗した)。

オカルトコンボを用いたデッキ破壊を行う。
記憶編の表遊戯対バクラの一戦が最初からデッキ破壊での勝利を狙った初めてのケースである。

シュトロームベルクの金の城(遊戯王DM)テキストデータを改竄して維持コストを相手に払わせるデッキ破壊を行った。
実際にデュエルしたのは弟のレオンだが、彼は何も知らずに利用されていただけなので、黒幕はジークと言えよう。

  • 北森玲子
遊戯王Rに登場。ロックデッキデス戦術の使い手で、城之内のビートダウンを封殺しつつ山札を削っていった。
実質勝利確定していたのだが、城之内の言葉に誘われて攻撃してしまったことが切っ掛けで敗北した。
この一戦については「相手を口車に乗せて勝ったのは卑怯」「やり方が汚い」などと城之内に対する非難も多く、実際作中でも本田が苦言を呈しているが、
本編をよく読めば城之内は北森を罠に嵌めるために攻撃を誘った訳ではない事が分かる筈である。
そもそもこの北森玲子という決闘者はカードゲームの基本である「モンスター同士の攻防」というものを必要以上に恐れるあまり、
有効に攻撃できる場面ですら守備を固めるだけに済ませる程で、その為デッキ破壊というモンスターの直接的な戦闘を避ける戦い方を続けていた。
デッキ破壊という戦術しか使えなくなってしまっていたが、城之内の説得でカードゲームの妙である攻める楽しさを知ることができたのである。
確かにこの時の城之内の言葉は賛否両論で本田からもツッコまれていたが、彼女に対して「デュエルの楽しさ」を教えた点ではおそらく間違えてはいない。
また、城之内が彼女に攻撃するよう挑発したのも彼女がモンスターの攻撃や破壊に怯えながらデッキ破壊を使用していた為である。
もし彼女が自分の戦術に誇りを持ち堂々とデッキ破壊戦術を使っていれば、多少の挑発など通用しなかっただろうし、城之内も文句は無かったであろう。

GX

  • エックス
エド・フェニックスと同じリーグに所属するプロデュエリストで、デッキ破壊を主軸にしている。
ランキングはエド(10位以内)より上ということで一桁台なのは確実であり、相当の実力者である。
大塚芳忠ボイスで放つ「甘ーい!」が口癖。

「初めて戦った相手に負けたことは一度もない」とされており、デッキ破壊対策をしていない相手には無双レベルの実力を誇る模様。
相手が持つデッキへの信頼を壊すためにいたぶるような戦術を好み、エドによれば「彼に負けたデュエリストは、デュエルに賭ける情熱も全て奪われてしまう」とのこと。

モンスター召喚・特殊召喚時にデッキ破壊させられる効果を持つ《モンスターレジスター》を張りつつ、自分へのデメリットは《トラップ・スルーザー》の永続効果で回避する戦術で十代を翻弄。
モンスターは殆ど出さずに魔法・罠で捌き切りながら、《手札抹殺》や《レベルポッド》による追加のデッキ破壊も挟んで速いスピードで十代のデッキを削り、最終的にはデッキ0枚(次のドローまで敗北)まで追い込んだ。
しかし、自身のデッキも残り14枚まで削れていたことを逆手に取られ、逆に十代に怒涛のデッキ破壊でやり返され、先にデッキ切れで敗北。
デッキ破壊を仕掛けた側でありながら、デッキ切れで敗北した2人しかいないデュエリストの中に加わるという異例の結果となった。

また、一切通常のビートダウン戦術を取らずにデッキ破壊に特化して戦ったデュエリストとしては、現シリーズで唯一の存在である。

上述のエックスとの戦いで《N・グロー・モス》をサンドバッグにすることで戦術を逆利用し勝利した。
本人がデッキ破壊での勝利について疑問視する発言をした後のこの行動にはデュエリストとして勝利には貪欲な十代のリアリスト面につながる…という声も*2
やっぱり、ライフを削るのがデュエルだろ!

十代のデッキに斎王自身のカード《アルカナフォース0-THE FOOL》を仕込み、コイントスによって効果が変わるデッキの不安定さを制御。
コイントスによって自分か相手のどちらかに毎ターンデッキ破壊を行う、《愚者の種撒き》(未OCG化カード)によるデッキ破壊を行った。
デッキ破壊の枚数は自分フィールドの「アルカナフォース」モンスターの攻撃力に比例するため、攻撃力4000の《アルカナフォースEX THE DARK RULER》を特殊召喚したことで一気に13枚ものデッキ破壊を行っている。

…が、10枚前後まで削ったところで十代にコンボを崩されてコイントスを操れなくなり、今度は自分がデッキ破壊をさせられた挙句、十代にたっぷり肥えた墓地のカードを利用されてしまう。
中途半端なデッキ破壊がどれだけ相手にメリットを与えてしまうかを証明する形となった。

5D's

ダークシグナーとして洗脳された時に、ジャックが(カードのセットをカーリーに任せて)デュエルを行った際に、ワームを軸としつつダークシンクロモンスター、《漆黒のズムウォルト》をエースに据えてデッキ破壊を展開。
カーリーの判断ミスもあってジャックのデッキを徹底的に追い詰めるも、ジャックとカーリーの夫婦漫才運命のラストドローからの反撃で敗北し、牛尾本人も正気に戻った。

2番手ブレオがデッキ破壊に特化した戦術を行った他、3番手のジャンもその戦術を引き継ぐ。
ジャンは遊星のデッキを0枚にし、そのままターンエンドしていれば実質的にデッキ破壊で勝ちだったのだが……

「自分」のデッキを破壊するという珍しい戦法を使う。ライトロード?インフェルノイド?知らんなあ
これは魔法カード《アフター・グロー》への布石であり、5枚のパーツをデッキから特殊召喚するアニメ版機皇帝もセルフデッキ破壊に一役買っている。

ZEXAL

遊馬のデッキに友情ごっこを経て「Vカード」を入れさせ、《Vain-裏切りの嘲笑》によりデッキ破壊を行った。
エースカードの《No.104 仮面魔踏士シャイニング》もデッキ破壊効果を持つ。
これに対し遊馬はデッキ破壊による墓地利用や、デッキ残り1枚になった時点で墓地に送られたカードからデッキトップのカードが何かわかった上でのプレイングを行う等初期に比べデュエルスフィンクスが格段に上昇している事を表現した。
このデュエルは、強烈な顔芸や声優の熱演といった面が話題となったデュエルでもある。

《NO13 エーテリック・アメン》により遊馬のデッキを一枚残して全てオーバーレイユニットにしてデッキ破壊するという前代未聞の戦術を披露。
この時素材枚数はなんと33枚。もはやフィールドにもう一つのデッキが出現しているようなものである。
なお、エリファスの戦術はあくまでもRUMを駆使して出したエクシーズモンスターによるビートダウンであり、
デッキ破壊は相手の戦術を崩しそのビートダウンを通しやすくするためのおまけの戦術である

ラッシュデュエル

  • 洗井新太
デュエルディスクにチート機能を付けて堂々とチートで戦う決闘者の汚点と言うべきデュエリスト。汚れが気になる性格らしいが、1番の汚れは彼自身の戦術である。
デッキトップを入れ換えるチートにより、相手にドローを強いる《洗浄のサンタクロス》を一気に3体展開。相手の手札を増やしたところで、さらに手札を全て捨てて同じ枚数を引かせる《潔癖大将ビッグ・タイディ》によって大量にドローをさせてデッキ切れを狙った。
が、相手がここまで無敗のルークなのが運の尽き。事前に置いてあった罠により妨害され、相手の手札を増やしすぎた結果返しのターンで手札をフル活用され敗北。「お前弱いだろ」と言われる惨めな姿を見せつけた。






追記・修正は相手のデッキを0枚にしてからお願いします。

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最終更新:2024年01月01日 17:49

*1 勘違いされやすいが、デッキが無くなっただけでは勝敗は決しない。

*2 もっとも、グロー・モスによる直接攻撃が失敗した後、グロー・モス自身が促した戦術でもあるが。