サモン・ソーサレス(遊戯王OCG)

登録日:2018/9/30 Sun 13:30:00
更新日:2024/04/02 Tue 05:09:15
所要時間:約 8 分で読めます





サモン・ソーサレスとは遊戯王OCGのカードの1枚。
LINK3のリンクモンスターで特定のカテゴリに所属しないOCGが初出のカード。
サモソと略されることが多く本項目ではこの略称を使用していく。


【概要】

月間遊戯王Vジャンプ2018年1月号に書籍付属として登場したカード。
ソーサレスは魔法使いを意味するソーサーの女性形。
イラストはピンク髪でBMGのような露出度がやや高めの黒い魔法使いの衣装に身を包んだ女の子。
注目されたのはその効果で「とりあえず今回のVジャンプは買っておくべき」と言われる程の物だった。

【カードの効果】

リンク・効果モンスター
◀   ▶
リンク3/闇属性/魔法使い族/攻2400
トークン以外の同じ種族のモンスター2体以上
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがリンク召喚に成功した場合に発動できる。
手札からモンスター1体を、このカードのリンク先となる相手フィールドに守備表示で特殊召喚する。
(2):このカードのリンク先の表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターと同じ種族のモンスター1体をデッキから選び
このカードのリンク先となる自分・相手フィールドに守備表示で特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。

OCGをそこそこプレイしている人なら明らかにヤバい効果があるのが見えたと思うが解説に移ろう。


【解説】

(1)の効果は手札のモンスターをこのカードの相手のリンク先に特殊召喚できるというもの。
特殊召喚さえできれば出せるモンスターに制限はなく効果も無効にはならないが出先は相手であるためただ使うのであればただの自滅行為。

(2)の効果のために使う手もあるが消耗が激しくなりがちの上に相手にモンスターを利用されてしまうため、
緊急時以外はお勧めできないので基本的にはこの効果に頼らずこのカードのリンク先にモンスターを用意できるようにしたい。

なのでイヴリースなど相手に送り付けて嫌がられるモンスターを送り付けたい所。
この目的に使うために存在する限り一切の召喚行為ができなくなる超魔神イドが少し値上がったりした。
後は送り付けてサンドバッグにしたり、コントロール奪取カードで奪い返すなどの方法で使う事ができる。

メインとなるのが(2)の効果。
このカードのリンク先のモンスターと同じ種族のモンスターをデッキからこのカードのリンク先に特殊召喚する。
すなわち、種族が同じでデッキからの特殊召喚にさえ対応していれば、レベルがいくら高くても引っ張り出せる非常に広範囲なリクルート効果である。
サポートに乏しい幻神獣族すらもリクルート可能。

特殊召喚したモンスターの効果は無効化されてしまうが、
それは(当たり前のようにカード名指定が無いので)フィールド上だけの話で、墓地効果などは何の問題もなく使える。よってそういったカードを使う事が基本になる。

参照にするモンスターはリンクマーカーが上についているため相手のモンスターを指定することも可能だが、
相手が目的の種族のモンスターを出してくれるかに加えどの位置に出すかという問題があるので安定しない。
基本的には自分で用意できるようにしておきたい。

リクルートしたカードや種族を参照にするために使ったモンスターを使い更なるリンク召喚に繋げたり、
シンクロ召喚エクシーズ召喚を行ったりと、更なる展開に使うことが出来る。
尚この効果はリンクマーカーの性質上、蘇生などで場に再度呼び戻した場合は使う事ができない。
またリンク先を参照にする効果のためこのカード自身が除去されると効果が不発になる。幽鬼うさぎは天敵。

ついでに攻撃力も2400あるため、呼び出したモンスターと共にワンキルにも十分貢献できるステータスをも併せ持つ。

非常に広範囲なリクルート効果を持っているが、問題となるのはリンク召喚の条件が「トークン以外の同じ種族のモンスター2体以上」で「LINK3」であること。
最低でも同じ種族のモンスターをトークン無しに3体揃えなければならず、その上で(2)の効果を使うなら更にモンスターがもう1体必要になる。
実質LINK4であり強力な効果に対する重さはそれに見合っていると言える。








…と言う事はなかった。



【ソリティアを更に加速させた下地たち】

リンク・効果モンスター
◤ ▲ ◥
◀   ▶
リンク2/水属性/機械族/攻1500
チューナー1体以上を含むモンスター2体
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがリンク召喚に成功した場合に発動できる。
手札・デッキからレベル3以下のチューナー1体を守備表示で特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは、このターン効果を発動できない。
(2):相手のメインフェイズ及びバトルフェイズにフィールドのこのカードを除外して発動できる。
EXデッキからSモンスターのチューナー1体をS召喚扱いで特殊召喚する。

リンク・効果モンスター
◤ ▲ ◥
◀   ▶
リンク2/光属性/戦士族/攻1600
戦士族モンスター2体
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがリンク召喚に成功した場合に発動できる。
デッキから戦士族モンスター1体を手札に加える。
このターン、自分はこの効果で手札に加えたモンスター及びその同名モンスターを通常召喚・特殊召喚できず、そのモンスター効果も発動できない。
(2):デッキから装備魔法カードを任意の数だけ墓地へ送って発動できる(同名カードは1枚まで)。
墓地へ送ったカードの数と同じレベルの戦士族モンスター1体をデッキから特殊召喚する。

問題児満載の「LINK VRAINS PACK」にて、ゆるゆるな召喚条件で強大な展開力をもたらすLINK2が既に登場していた。
サモソが出たのはこのパックの後。

そもそもエクストラの圧迫がある程度許容できれば、「素材指定のないリンクモンスター」であるリンクリボー&プロキシー・ドラゴンなどが利用できる。
これらのリンクモンスターを経由するだけで「トークンを使わずにリンク3」ごときの条件は楽々クリアできるのだ。

唯一の抑止力であった「重さ」が消えた事により、強力な展開能力が残ったこのカードは大暴れすることになる。
SPYRAL登場からLINK VRAINS PACKによって加速していた、リンクモンスターを盤面に先に並べきる先攻制圧ゲーが最高速に達した。

ハリファイバーとファイアウォール・ドラゴン(以下FWD)との組み合わせは、
しょっちゅう先攻エクストラリンクやループによるワンキルを行っており、FWDの中継点としては非常に優秀だった。
前述の通り特殊召喚したモンスターはフィールド上では効果は無効化されるが墓地へ行けば関係は切り離される。
そのためリンク素材などにして墓地へ送った後にFWDの(1)の効果で墓地から回収することで手札誘発を構えたり、(2)の効果で回収したモンスターをそのまま効果を復活させた状態で特殊召喚することが出来る。
もはや効果無効化が機能しているのか怪しいデメリットと化していた。

この3つの組み合わせはリンクモンスターが更なる展開用の素材を呼び出すという、
リンクモンスターがやると特にまずい組み合わせを連鎖的に行ってしまうので、初動の軽さや条件の緩さに対して異常な展開力を発揮していた。

特に機械族はハリファイバーからオライオンを特殊召喚してこのカードをリンク召喚すれば、
即座にリクルート効果の使用が可能になるため特に恩恵が大きかった。

【ABC】では格納庫やABCが一切ない状態からドラゴンバスターを立てたり、
キャノン・ソルジャーによるワンキルなど色々やりたい放題やっていた。

結果としてほとんどのデッキにおいてほぼ必須カードと言っていい状態になっており、Vジャンプの付属カードでありながらシングルの値段はVジャンプの値段の4倍前後まで跳ね上がった。エアーマンの再来である。


ハリサモソFWDというお手軽展開ルートがあれば何でもできると言っても良いような状況であり、当然制限改訂の度に規制候補に挙げられるカードになっていた。
「ハリファイバーとFWDを規制すれば問題ないからサモソは規制しなくていい」という声もあれば「こいつ自体も十分ヤバい」という声もあり
「こいつの規制は様々なデッキの可能性を奪う事に繋がるから規制すべきではない」と言う声もあれば「どんなデッキにも入っていてデッキリストの固定化が酷いから規制すべき」という声もあり
「もう売っていない雑誌付属カードだからアニメ事情や販売事情で規制しにくいFWDやハリファイバーの代わりに規制される」という声もあれば「再録で一儲けしたいだろうからスルーされる」と言う声もあり…
規制されるかどうかについては意見の分かれる話となっていた。


【そして】

2018/10/01改訂において無制限カードから一気に禁止カードに指定されることになり、OCGでリンクモンスター初の禁止カードというある種の快挙を成し遂げる事となった*1
最近はありすぎるが登場から1年持たずの禁止化であり、Vジャンプの書籍付属カードとしてはマキュラが禁止化*2された2005/03/01以来の約13年半ぶり。
このカードに頼った展開ルートは非常に多かったため多くのデッキは影響を受けることになり、展開手段の見直しを求められることとなる。


このカードと一緒に禁止されたアマゾネスの射手メガキャノン・ソルジャー同様FWDの被害者と言われる事もあるが、このカードが禁止となった理由がそれだけかと言われればかなり怪しい。

FWD関係ない展開ルートも存在しており、FWDとは強いシナジーがあったが別に無くても十分過ぎる程に強く、FWDを採用しないデッキでも活躍していた。
連続リンク召喚が主な活躍だったがシンクロ、エクシーズのサポートとしてもかなりの強さであり、縛りが緩すぎた故にあまりにも汎用性が高すぎた。

ハリファイバーを規制しろと言う声もあるが結局ハリファイバーは最も汎用性の高い展開ルートに過ぎず、
LINK VRAINS PACKにはハリファイバーの他にも召喚条件が緩い割に強力な展開支援能力を持つリンク2が存在しているため、結局そちらが代わりに使われるだけだろう。あと一応ハリファイバーはシンクロの援助という名目があった。

そういった意味ではその前にFWDなんとかしろよというのは満場一致の意見だろうが
代用になるカードが現状存在しないこちらを先に潰したのは間違いではないと言える。
ちなみに、FWDは1ターンに1度だけ、サイバース族限定とエラッタを受けて釈放された。

デッキからカードを引っ張り出してくるというのは遊戯王の歴史の中でも危ない効果であることは何度も証明されており、
それを緩い条件でやってくるこのカードも大概な存在だったのだ。

実際海外ではFWDが禁止、ハリファイバーが未登場の状態からこのカードが禁止になったためこのカード自身も相当ヤバい事が証明された。

「大体どのデッキにも入りその召喚方法で初の禁止カードになった」と言えばDDBが近く、
「緩い条件で汎用性の高い『デッキからカードを引っ張り出す効果』でソリティアを支援し過ぎた」と言えばチェインが近い存在かもしれない。
周辺のカードの変化によって徐々に力をつけていたチェインと違い、こちらは登場当時から舞台が整っていたため最初から大暴れしていた違いはあるが。


【まさかのエラッタそして釈放】

そして2024/4/1、まさかのエラッタが実施されてパーフェクトルールブック2024の付録カードとして登場。
同時に禁止から一気に無制限へと解除となった。

リンク・効果モンスター
◀   ▶
リンク・効果モンスター
リンク3/闇属性/魔法使い族/攻2400
【リンクマーカー:上/左下/右下】
トークン以外の同じ種族のモンスター2体以上
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがL召喚した場合に発動できる。
手札からモンスター1体を効果を無効にして、このカードのリンク先となる相手フィールドに守備表示で特殊召喚する。
その後、この効果で特殊召喚したモンスターと同じ種族のモンスター1体を
デッキから効果を無効にして守備表示で特殊召喚できる。
この効果でデッキから特殊召喚したターン、
自分はデッキから特殊召喚したそのモンスターと元々の種族が同じモンスターしか特殊召喚できない。

素材指定は変わってないが、リクルート出来るのが相手フィールドに送りつけたモンスターと同じ種族のモンスターになったのが最大の変更点。
エラッタ前は相手の場に送りつけをしなくても自分の場のリンク先のモンスターを参照してリクルートを発動出来たが、エラッタ後はリンク召喚時に送りつけ→送りつけたモンスターと同じ種族のモンスターをリクルートをまとめて処理する様になったため、前もってリクルートしたいモンスターと同じ種族のモンスターを手札に持っておく必要が生じる様になった。
また、自身の効果でモンスターをリクルートした場合、そのモンスターと元々の種族が同じモンスターしか特殊召喚出来なくなる制約がつくため、以前の様な汎用モンスターを利用した展開がしにくくなっている。
更に相手の場に送りつけるモンスターは手札のモンスター限定・送りつけたモンスターの効果は無効化、とデメリットのあるモンスターを送りつける戦術も厳しく取り締まられてほぼ不可能になった。

それでもおそらく本来想定された通りに種族統一デッキなら出しやすい上に送りつけるモンスターとリクルートするモンスターの確保は難しくなく、その後の展開への支障も少ないため展開力の補強としては便利である事には変わりがない。
ただし、魔法使い族デッキ以外の場合はこのモンスターをリンク召喚する前になんらかの制約が付かない様に展開ルートには気をつけたい。



追記・修正は(2)の効果を起動したら幽鬼うさぎが直撃してターンエンド宣言することしかできなくなってからお願いします。

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最終更新:2024年04月02日 05:09

*1 TCGでは半月ほど前に有効となった改訂で《トロイメア・ゴブリン》が先に禁止指定された

*2 現在はエラッタを受けて釈放済み