クロスボーン・ガンダムX-11/X-12/X-13

登録日:2022-10-05 23:59:00 (Wed)
更新日:2025/02/23 Sun 21:06:32
所要時間:約 9 分で読めます









クロスボーン・ガンダムX-11/X-12/X-13は『機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST』『X-11』『LOVE&PIECE』に登場するモビルスーツである。
X-14についても解説する。


概要

クロスボーン・ガンダムと言えば、宇宙世紀0130年代にサナリィが開発しクロスボーン・バンガードによって運用されたモビルスーツだが、その流れを汲む中で最後発となるのがこの機種である。
最大の特徴はサナリィ製ではなく木星共和国製であるということ。
型式番号はサナリィでのF97-〇やCVにおけるXM-X〇から共和国製を表すJMSX-〇〇に変わり、ナンバリングもサナリィ製クロスボーン・ガンダムから仕切りなおされている。

木星でのクロスボーン・ガンダムは過去のアレコレから悪い意味で有名だが、技術レベルが下がった宇宙世紀0160年代において、
0130年代の高級機であるクロスボーン・ガンダムは木星にとって有益であると判断され、木星の戦力として加えようと研究されるようになった。
ベースとなっているのは木星勢力での運用実績と完璧なデータがあるX-0




クロスボーン…お前とは共に随分と戦ってきたな!


クロスボーン・ガンダムX-11

型式番号:JMSX-11
所属:木星共和国→共和国テテニス派

武装:
バタフライバスターB×2
シザーアンカー
ビームシールド/ブランド・マーカー
ビームサーベル
ヒート・ダガー
(ほか、X-0の標準装備は一通りあると思われる)

パイロット:
カーティス・ロスコ


計画の第一歩として生み出されたX-0のコピー機。細かい部分では代替パーツが使用されているが、基本的にはX-0と同スペックである。

0156年にロールアウトされ、量産化に必要なデータ収集のベース機としてテストされたあと解体保存されていたが、
こっそりとテテニス派の管理下に置かれ、カーティス最後のミッションのために再建、調整されて投入された。
ハロロから株分けされたハロロロが搭載され、戦況分析をサポートする。
が、パイロットの気質の違いからかイマイチかみ合わない。オリジナルの製作者がオタク過ぎたか…

X-0のコピーという事もあってカラーリング以外はX-0によく似ているが、腹部ダクトの形状変更はX-0の運用時に結果的に意味がないことが分かったためかX-1~3の形状に戻されている*1
カラーリングはX-1のような濃紺と白が中心で、X字スラスターの骨の中心に濃紺のラインが入っているのが特徴的。アンテナはX-0と同じく太めで紅白色。
このカラーリングはX-0のカラー案の一つ(没案)が元になっているようだ。*2


各種武装に関してはX-0など過去のクロスボーン・ガンダムの項目を参照にされたし。




見ろ!
私は巨人だ!

X-12 トゥエルヴ

型式番号:JMSX-12
所属:オリンポスの下僕

武装:
頭部バルカン×2
ビーム・サーベル/ビーム・バルカン×2
シザーアンカー
ニードル・フルーレ
ABCマント(左肩のみ)
ビーム・シールド/ブランド・マーカー
ヒート・ダガー
ブレンネン・クゥラー

パイロット:
イオ


X-11を可能な限り木星技術に置き換えて再設計した、木星版クロスボーン・ガンダム第二号(あるいは三号)。一号はコイツ

0159年の完成当時はX-11と同様のカラーリングで性能も同程度だったとされるが、それに満足しなかったタカ派が微調整や追加パーツの開発を続けている。
同年に実戦投入されているが、この時点ですでにイオが使用するために用意されていたため、パイロットに合わせて薄紅色に塗り替えられていた。
0169年のカーティス・ロスコ暗殺任務に投入されたX-12は、テンタクル・スラスターをはじめとしてよりイオに合わせた装備へと変更されている。

背面のスラスターはデザインの違いこそあれど、クロスボーン・ガンダムのX字スラスターと同様の働きを持つ。
一方、テンタクル・スラスターはX字スラスターを基にした改良版で、1本につき10個もある噴出口を強化人間が巧みに操ることで高い旋回性を発揮する。
素の状態では木星機らしく大腿部スラスターが取り付けられているが、テンタクル・スラスター装備時は同スラスターが十分な推進力を発揮したので外され、空いた部分は収納スペースとなった。

コア・ファイターは大気圏内での飛行を想定していないため、元になったF97のコア・ファイターの変形機能が省かれて先端部が折りたたまれた形状で固定されている。
機能的には同じなので、通常のクロスボーン・ガンダムとX-12でコア・ファイターの部分を取り換えることも可能。ただしフィギュア化は難しい。
コックピットのバイオセンサーを介して強化人間が接続することで、思考とX-12の動きを同調させることができる。これは機体外からでも可能。

なお、戦闘中にイオが時折X-12として描かれるため、MSと戦う巨女という何ともフェチ全開な絵面となっている。流石は長谷川先生。

デザインモチーフの一つがベルばら風なので、帽子をかぶったような頭部やレイピア&片側マントなどおフランスな雰囲気を漂わせる。
もう一つのモチーフはタコ。言わずもがなテンタクル・スラスターがそれである。ノーティラスやカングリジョといい木星人は海産物が好きなのかもしれない。

武装

  • ニードル・フルーレ
レイピア型のビームサーベル。
マシン本体とつながったケーブルから直にエネルギー供給を受けることでビームシールドを貫く。

  • ABCマント
左肩にだけ装備されている。これはフェンシングを得意とするイオに合わせた配置で、ニードル・フルーレの採用も同様である。

  • ブランドマーカー
両手首に埋め込まれている三角形の機器から発生する。正式名称不明。
劇中ではブランドマーカー状態のみ使用したのでシールド機能については不明だが、クロスボーン・ガンダムの系列として、また小型モビルスーツとして搭載していると思われる。
刺突武器として使うためか、従来の木星系ビームシールド発生器とは形状が異なる。

  • ヒート・ダガー
元と同じ足の裏から出せるナイフだが、取り外しができるかは不明。

ほか、クロスボーン・ガンダムの標準武装は頭部バルカン砲を除きすべて揃っている。
(シザーアンカーは1個減っているが)


ファータモガーナ・フォーゲル

テンタクル・スラスターに隠されていたもう一つのスラスター。X-12をテスト機として並行開発していた新型スラスターのうちの一つ。
しかし、完成度の問題からテンタクル・スラスターと合体させてX-12に搭載された。

木星が大好きなミノフスキー・ドライブを搭載したものだが、やはりというか上手くいかず稼働時間は15分、しかも使用後にパーツがお釈迦になってしまう。
光の翼の収束率はファントムと同程度の約45%*3V3スラスターという同程度の性能で壊れない後付けタイプミノドラもあるので、木星の悲しい技術力が垣間見える。

このスラスターを作動させるには解除コードが必要で、作動と共に専用武装のボウガン型ビーム放射器ブレンネン・クゥラーも解禁される。
ゴーストガンダムのフレイムライフルをアイデア元とした武装で、火炎放射器の様にビームをモビルスーツへと浴びせることで、
関節部分にビームを入り込ませて動きを奪う。攻撃範囲が広く、多対一での戦闘で真価を発揮する。

なお、解除コードはそのまま名前の「蜃気楼(ファータモガーナ)()(フォーゲル)」だがこれはファントムの「蜃気楼(ミラージュ)(・ワゾー)」と同じ意味である。前者がドイツ語で後者はフランス語。
シュヴァインといい、どうやらオリンポスの下僕ではドイツ語がブームのようだ。




警告する!警告する!
ムーン・ムーンに近づいてはならないっ!

クロスボーン・ガンダムX-13


所属:木星共和国テテニス派→ムーン・ムーン→無敵運送

武装:
ビームザンバー
ロングライフル(名称不明)
ライフル(名称不明)
ビリー
バタフライバスターB
実体盾

パイロット:
ニコル・ドゥガチ
カーティス・ロスコ


X-11を元にした量産検証モデル。

コストダウンのために一部伝導パイプの露出、ビームシールドの撤廃がされているが、
クロスボーン・ガンダムとしてのスペックは衰えておらず、非ミノフスキードライブ機としてはトップクラスの機動性を誇っている。
……はずなのだが、"本物"に乗ったことがあるカーティスは動きが悪いと感じており、ケチった分のしわ寄せがあるようだ。
なお、現段階では目標コストまでの削減は達成できていない。

カラーリングはX-11と同じく濃紺と白がベースだがX字スラスターの紺のラインは無い。胸の髑髏マークも無い。
スラスター先端はX-2改の様に肥大化し、足の排熱ダクトもファントムのような形状へと変更されている。
コストダウンのために自国で慣れた技術を積極的に使っているのだろうか。

サナリィの廉価版クロスボーン・ガンダムであるフリントと比べると、コストダウンの方向性が違うとはいえ、性能が落ちてしまっている所にやはり木星を感じてしまう。
人命重視のコア・ファイター機能を残しているあたりは進歩と言えるかもしれない。タカ派がリードしたらこれも消えてしまいそうだが…

X-13改

バスターランチャーとビームシールドが追加されたX-13。
装備が追加された以外の差異は不明。改の名を持つクロスボーン・ガンダムの先輩に倣って、本当に装備追加だけなのかもしれない。

武装

  • ビームザンバー
なぜかバタフライバスターではなくこちらを使用していた。バタフライバスターBとの比較用にでも作られたのだろうか?

  • ロングライフル
打つ前に壊れてしまったので実弾かビームかは不明。
アシスタントの同人誌によるとムーン・ムーン製であり、ムラサメの随伴機用として密かに造られていたが、ミガッサでは扱えなかったのでX-13に貸し出されたという。

  • ライフル
ムーン・ムーンのミガッサが持っているものと同じ、ショットガンのような形状のライフル。
ご時世的に実弾の可能性が高い。

  • ビリー
過去にブラックロー運送がサナリィから格安で引き取ったサイコミュ偵察機。
ブラックロー運送の倉庫に沈んでいたものが掘り出され、中身の記録ユニットを爆薬へと詰め替えて誘導爆弾として使用された。

  • ビームシールド/ブランドマーカー
  • バスターランチャー
X-13改への改装時に追加された。
バスターランチャーはX-2改の物と似ているが、持ち手の部分が少し異なる。

  • バタフライバスターB
  • 実体盾
カーティス搭乗時にそれぞれ装備していた。盾にはⅩⅢと書かれている。


X-13 ハーフクロス

X-13の製作に携わっていた地球圏のとある工房が勝手に製造&販売して流出したX-13のうち1機を、キュクロープスが回収し改修した姿。
データから復元されたフルクロスユニットを左肩にだけ装備しているため、フォントからハーフクロスと呼ばれた。
また側頭部にバルカンの弾倉を追加した事で肥大化し、二角帽子みたいなフォルムになっている。
武器はショットランサー(おそらくヘビーマシンガンタイプ)を所持。
元からなのかはわからないが、カラーリングは貴族主義者受けする黒で染め上げられている。

パイロットはキュクロープスのアーノルド・ジルベスター大佐。彼がネオ・コスモバビロニアで催されるMS闘技会へ参加するために参謀のフォントが用意した。
アーノルドにはボルケーノという専用機があるが、全身に火器を持つボルケーノでは闘技会のルールに引っ掛かるとフォントは考え、この時代の貴族主義のお膝元であるネオ・コスモバビロニアの民衆受けを意識した機体に仕上げている*4

『LOVE&PIECE』1巻のメカニック解説によると、U.C.159年時点で、木星共和国がブラックロー運送からのれん分けした系列企業「ブラックロー工房」にパーツ製造を委託すべくX-13の設計図を開示。
しかしその直後の政争で発注者のカーティスがタカ派に幽閉された結果パーツの引き取り手も入金もない状況に陥り、その資金回収を目的として少なくとも6機が密造され、流出する結果となった。
これにはフォントも記事冒頭に挙げたように激昂、「数える方の身にもなってみろォオ」と読者の気持ちを代弁するようなセリフを残している。



X-14 フォーティーン

型式番号:JMSX-14

上記3機によるテストを経たうえで生まれた木星産量産型クロスボーン・ガンダムの完成形。
地球圏の混乱が思った以上に著しく、経済低迷の影響から現在は凍結中……のはずだったが0171年には実戦投入されており、ある程度の完成を見ているようだ。
X-12をベースにX-13のコストダウン要素を取り入れた機体となっているが、ここまでくると木星版クロスボーン・ガンダムというより、むしろ部分的にクロスボーン・ガンダムの長所を取り込んだバタラ
あるいは小型化して作りやすくしたアマクサといった感じでより木星らしさが増している。
具体的なコストは不明だが、総合性能はザンスカール戦争時のゾロアット相当とされ高い水準にある。
今後十数年にわたって木星の基礎モビルスーツとして使用される予定。

クロスボーン・ガンダムの特徴的な武装はテストによって扱いの難しさが判明したため、外観から見て取れるビームシールドを除いて撤廃されており、携行武器を持たせる形になっている模様。
一方、元々のクロスボーン・ガンダムになかった点として「コア・ファイターの換装による用途の変化」が新たに見出されており、
通常はX-12のフレキシブル・スラスターを使用し、近接戦闘(とおそらく強化人間の搭乗)を想定した場合はテンタクル・スラスターに、
機動戦闘を想定の場合はファータモガーナ・フォーゲル(完成品)に取り換えるとされている。
ここにきてクロスボーン・ガンダムが先祖返り(?)を起こす形となった。
ざっくり言ってしまうと、木星産クロスボーンシリーズの実質性能自体は無印『クロスボーン・ガンダム』時代=サナリィ側の130年代の近辺をぐるぐるしている水準と思われる。

フォーティーン スナイパーカスタム

おなじみの木星バスターランチャーと狙撃用スコープを装備した状態。
スラスターはグランパスに対抗すべくファータモガーナ・フォーゲルを装備している。


作中での活躍

X-13(改)

番号とは逆にX-13から登場した。パイロットはニコル。
カグヤを連れてムーン・ムーンへと降りようとする無敵運送を足止めするも、アンカーと共に地球へと落下し成り行きで一緒にリュグージョへ潜入。
リュグージョ内部で起動したムラサメを誘導し、スラスターを破損しつつアンカーと共にムラサメを止めた。

再灯火の日の戦いではビリーを操り、賛美歌の国の足止めしてアッシュ達の脱出を助けることに成功する。
ただ、ニコルは高速戦艦ケルベロスの轟沈を狙っていたらしく、多少傷つけるにとどまった戦果には落胆していた。

その後、両親と共に木星へと帰るニコルと共にX-13も木星行きの船へと載せられるが、脱走してきたニコルの後を追ってX-13も父の計らいで戻り、ついでにX-13改として追加装備を手に入れた。

そして宇宙世紀の大詰めである「DUST計画」ではカグヤのクレインと共にネオ・1バンチコロニーを守る迎撃ラインを構成する。
パイロット同士が微妙な関係だが、どちらも長距離射撃が可能という点を見込まれての配置だろう。
そのままコロニーと共に地球へと降下し、計画最後の仕上げをクレインと共に担った。

これらの活躍に先立ち、10年前には地球圏で活動していたニコルの父カーティスの乗機として稼働していた。
だがこの時はカーティスが本来のクロスボーン・ガンダムに乗り慣れていたせいもあり、ヌエボ・アラナに負けている。
おそらく、この時カーティスが乗っていたものと後にニコルが乗るX-13は同一のものだろう。

X-11

「DUST計画」の裏側で、木星圏の政争に投入される。
カーティスがイオを捕らえ、彼女の動きを制限するためにX-12とコア・ファイターを入れ替えたため、X-11(テンタクル・スラスター)という見た目はミスマッチな状態に。

襲撃してきた「オリンポスの下僕」部隊との戦いでは敵の数の多さから苦戦していたが、ファータモガーナ・フォーゲルを解禁したことで次々と散らし、
これまでの戦いで培ってきた戦い方を応用した奇策とX-12との連携で、指揮官機であるシュヴァインも撃破した。

X-12

X-11と同じく木星圏の政争に投入されるが、カーティスによって捕らえられコア・ファイターを入れ替えられたことでオリジナル機に近い状態に。
一時戦場から離れるも、最後はX-11と共にシュヴァインを撃破する。

0159年にはサイド2「レム」でのミッションにて投入されており、「女エージェント」を演じるイオの機体として使われた。

X-14

0171年に新機体グランパスのテストに乱入し、遠距離からグランパスを付け狙い続けた




追記、修正は巨女フェチか年上貧乳フェチの方がお願いします。

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最終更新:2025年02月23日 21:06

*1 木星は短期間で失われたとはいえ過去にX-2も入手しているため、そちらのデータを基にしたと思われる

*2 没案は長谷川先生の公式ブログアーカイブから確認できる

*3 V2ガンダムを100%とした場合の数字

*4 木星戦役における宇宙海賊クロスボーン・バンガードの活躍が語り継がれていることから、宇宙戦国時代においても貴族主義者たちの間ではクロスボーン・ガンダムの知名度は高い模様。ただし、当時の指導者でありながら反貴族主義を貫いたベラ・ロナに一杯食わされて出資させられていた事実はフォント曰くあまり知られていないようだ。