バビロニア・バンガード級宇宙戦艦

登録日:2012/05/02 Wed 22:40:06
更新日:2023/09/09 Sat 21:36:36
所要時間:約 4 分で読めます






マザー・バンガード!

全艦、攻撃態勢に移れ!


機動戦士クロスボーン・ガンダム』に登場する戦艦。
クロスボーン・バンガード(CV)がU.C.0123年頃から建造していた。

艦の上部にマストが存在するなど、まるで旧世紀に存在していた帆船のようであり、艦の前方には女神を模した巨大なレリーフが彫り込まれている。
また、マストの後方からはビームを放出でき、CVの紋章を象ることが可能。
これはCVの貴族主義者達の意向によるものらしく、おかげで既存のどの戦艦とも一線を画す外見を持つことになった。

とはいえ、別に外見だけが取り柄の「張り子の虎」というわけではなく、建造するにあたり当時の最新技術が惜しみなく投入された。
そのため、艦としての性能もかなり高いものとなっている。
長期間にわたる作戦行動のための基地としても運用できるように多数の機能が与えられ、その結果、全長900mにも及ぶ大型艦となった。

推進システムとしては艦後部に熱核ロケットエンジンが搭載された。



○武装
  • 対空機銃
艦体の各部に設置されている。

  • メガ粒子砲
マスト部と両舷に装備。
主にマスト部の方を使用している。

マスト部に装備している。

  • ビームシールド
艦体を囲むリング状の発生装置から展開される。
艦体全てを覆うこともできるが、エンジンが20分程度で臨界に達してしまうため、長時間の展開は不可能。
元々は単独で大気圏突入するための装備とされる。




■同型艦

バビロニア・バンガード/マザー・バンガード

ネームシップの1番艦。
艦隊旗艦としての運用を想定して建造されており、コスモ・バビロニアの象徴になることも考慮されていたと思われる。
…が、結局完成したのは全てが終わった後のU.C.0128年であった。

本艦の最大の特徴は推進システムに最新技術のミノフスキードライブを採用していることで、これによって高い加速性能を得ている。
また、このシステムは推進剤などを一切使わないため、短期間かつ補給なしでの惑星間航行が可能である。
システム使用中は「光の帆」が展開されるが、これはビームサーベルとほとんど同じ性質を持つ。
この技術は本艦にのみ採用された「極秘中の極秘」……とされていたが、実際には他の同型艦にも搭載される予定ではあった。
普段は前述の熱核ロケットエンジンを使用して存在を秘匿している。

ミノフスキードライブは既存の戦艦よりも素早く連邦軍を攻撃するために採用された*1。木星との戦いで活かされたのは偶然である。
そんな木星が、後に似たような理由でミノフスキードライブ搭載機を作っているのは中々に面白いだろう。

ちなみに内部には大気圏突入用のカプセルが複数格納されている。

艦長はベラ・ロナ
元々は「バビロニア・バンガード」として完成され、反貴族主義者達を乗せて処女航海を行っていたが、謎の爆破事故で轟沈した。

…と思われていたが、実は無事であった。
この事故は木星帝国によるもので、これがきっかけで帝国の存在に気づいたベラ達は海賊軍を結成。彼らの野望を阻止すべく、艦名を「マザー・バンガード」に変えて運用されることになった。

帝国の拠点が衛星イオにあると判明し、基地を襲撃するが、裏をかかれた上に物資のほとんどを使い切ってしまったため疲弊してしまう。
それでもなお追撃を行うが、ザビーネが叛乱を起こしたり、死の旋風隊(デス・ゲイルズ)の襲撃への対応でマストの一部をへし折ったりと更に疲弊。
地球圏到着後は地球連邦軍と木星帝国の挟撃でフルボッコにされてしまい、最後はクルーを脱出させるために自爆。クルー達はカプセルで地球へと降下した。


○艦載機



エオス・ニュクス号

コスモ・クルス教団代表のシェリンドン・ロナ座乗艦である、バビロニア・バンガード級2番艦。全体的な設計の見直しが行われた結果、全長が700mとなった。
連邦への敵対意思がないことを示すべく、武装とミノフスキードライブは全て撤去されている。

サナリィの補給船に代わってマザー・バンガードに補給物資を運んできた。
木星戦役の終盤では地球連邦軍を援護するため、コロニー軍を率いて戦場へとやってきた。

木星戦役後は宇宙戦国時代が長引いたことで経営が悪化したコスモ・クルス教団の手を離れ、所有者を転々とした後に木星共和国のテテニス・ドゥガチの手に渡り、夫のカーティス・ロスコと共に地球圏における活動の拠点としていた。
しかし、木星で政変が起こった後は木星タカ派に制圧され、艦内にコールドスリープ状態のテテニスを残したまま、
木星から賛美歌の国へと管理が委託され、サイド7のグリプス2内部で保管されていた。
後に賛美歌の国がケルベロスを完成させるのに役立てられており、内部にはミノフスキードライブを搭載した場合の一部システムや運用データが残っていたので、それらを有効に活用している。
こちらをベースとしてミノフスキードライブ搭載艦を造ることも考えられたようだが、エンジン部の破損が酷かったために使える部品を密かに外してケルベロスへ移植することになった。

テテニスを救出した後は、キュクロープスの預かりとなり修理が進められた。
首切り王が予告していた決戦に対して持ち出され、ビーム・セイルを展開して姉妹艦の成れの果てのケルベロスへと突撃し中破させるが、
首切り王によってケルベロス共々真っ二つにされ、最後のバビロニア・バンガード級は失われた。



フリッジド・クイーンケルベロス

DUST』に登場。
バビロニア・バンガード級3番艦、及びそれを改装したミノフスキードライブ搭載艦。
元々はベラと対立していた貴族主義者の過激派グループが建造させていた艦で、マザー・バンガードの基礎設計を流用している。
マザー・バンガードとエオス・ニュクス号が外交・式典等での運用も想定していたのに対し、こちらは戦闘力だけを追求した純粋な戦闘艦となっている。
女神のレリーフが本艦では3つ付けられており、その下には2連装メガ粒子砲が1門ずつ隠されている。
もう少しで完成というところでコスモ・バビロニアが崩壊したため、実戦を経験することも無く、ミノフスキードライブも積まれず名無しで未完成状態のまま放置されていた。

その数十年後に貴族主義者の残党達と裏取引した賛美歌の国が買い取り、各所の装飾を外してエオス・ニュクス号内に残っていたデータを元にミノフスキードライブを不完全ながら再現し、ミノフスキードライブ搭載艦として完成させた。
ちなみに艦名は裏取引の際に暫定的に「フリッジド・クイーン」と名付けられ、買い取り後に「ケルベロス」へと改名された。

賛美歌の国の旗艦として運用され、その速さを生かしてコロニーに対して散発的な襲撃を繰り返しており、賛美歌の国――首切り王の恐ろしさを知らしめる役割を担っている。
艦体から放出される3本の光の翼は、さながら三つ首を持つとされるケルベロスの様。



■関連機体

スピードキング

アナハイム・エレクトロニクス社が回収したマザー・バンガードの帆を使って造ったミノフスキードライブの実験機。サナリィでは「イカロス」と呼ばれている。
中央部には申し訳程度のヘンテコMSがコントロールユニットとしてくっついている。
この状態でもMS6機を載せたまま地球から木星まで一週間で移動できる程の加速力と航続距離を持つ。

ローズマリー・ラズベリーが乗り込んでテストしていたが、地球へと落下。光の帆を使ってなんとか大気圏を突破し、不時着したがグレートバレーの崖にハマって動けなくなってしまった。さらに引っ掛かった場所が悪く衛星写真では見えなかったため長年野晒しにされていた。

その後、トビア達によって回収され、アンヘル・ディオナとドッキングさせて運用された。
鋼鉄の7人」作戦でコロニーレーザー「シンヴァツ」を破壊しようとアンヘル・ディオナを分離させて突撃させたが、MA形態のディキトゥスに文字通り「握りつぶされて」逆に破壊されてしまった。


林檎の花(マンサーナ・フロール)

機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト』に登場。マザー・バンガードと同じくミノフスキードライブを搭載した高速船。
ミノフスキードライブの研究が縮小されたサナリィから木星が研究員を引き抜いて開発されたが、木星にはミノフスキードライブを運用するだけの下地も技術も無かったので、殆ど一からの研究になったという。
マザー・バンガードの前半分に似たフォルムをしているがわざと似せているわけではなく、同じようなコンセプトで船を作った場合、このフォルムが最適化されたものであるからである。*2

地球を含めた他の惑星から遠く離れた木星にとって、高速で移動するためのは何をするにも便利な物であったため、テテニス・ドゥガチの指揮の下で建造された。
初任務として木星が行った外宇宙探査計画の中で、カーティス・ロスコがサナリィのデータから発見した幽霊船*3を発見、
積み荷であったクロスボーン・ガンダムや試験兵装、そして地球外生命体エンジェル・コールを回収するが、それが強い毒性を持つ細菌兵器であったため、
林檎の花の船長であったエリンがエンジェル・コールをザンスカール帝国に売りつけようと実験機『パピヨン』で逃走する。
その後、林檎の花はエリンを追うための部隊『新生海賊軍(クロスボーン・バンガード)』の旗艦として転用された。

最終決戦ではエンジェル・コールによって汚染されてしまったため、同じく汚染されたキゾの戦艦やカオスレルと共に太陽へ向かい、甲板上でMSによる最終戦が行われたのち、太陽へと突入した。

〇艦載機

パピヨン

木星共和国が開発したモビルクルーザー。
かつて帝国が使っていたモビルシップと同様、モビルスーツの技術を転用して作られた艦である。

これもまたミノフスキードライブの実験機であり、補給無しで木星―地球間を1年弱で移動することが出来る(かなりギリギリだが)。
ただ、これ自体は戦艦ではないのでやはり武装の類は無く、せいぜい光の翼をビームシールドに転用する程度。

ユピテル財団から離反したエリンが奪いエンジェル・コールと共に地球圏へと逃げるも、エンジェル・コールのワクチンを開発できなかったことから、感染してしまった自分ごと膨大な熱量を以って焼却することを決意。
ジャブローに廃棄されていたモビルスーツを使って灼熱地獄を生み出そうとするが、エンジェル・コールを狙うキゾによりエリンは取り出され、残る船体は灼熱と核ミサイルによって消滅した。



スパロボ
現時点で『クロスボーン』の本編再現があった『第2次α』のみ登場。
他の戦艦のようなサブパイロットは残念ながらいないが艦の性能が高く、艦長のベラがニュータイプなこともあってかなり強い。
戦艦でありながら雑魚の攻撃を軽々と避け、高い移動力で敵陣に切り込み突撃をブチ当てる様はベラ専用モビルアーマーとも呼ばれる。
原作と異なり撃沈されることもなく最後まで戦える。

Gジェネ
サイズは大きめだが、移動力が高めなうえに汎用艦なので地形適応を気にせず出撃でき、戦艦では数少ないビームシールド持ちなので反撃不能な場合でも防御が選択できるのが魅力。





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最終更新:2023年09月09日 21:36

*1 この設定をそのまま受け取れば、ブッホ社がミノフスキードライブの実用化に成功した最初の企業となるかもしれない

*2 いわゆる収斂進化である

*3 木星戦役時に海賊軍に荷物を届けようとして難破したサナリィの輸送船