登録日:2021/08/25 Wed 13:02:44
更新日:2025/02/18 Tue 09:57:16
所要時間:約 15 分で読めるゾ
2021年7月30日に公開された、映画
クレヨンしんちゃんシリーズ第29作目の作品。上映時間は104分。
今回はシリーズ初の本格(風)学園ミステリーの
探偵モノ。カスカベ防衛隊が主人公となり、学園内で起きている謎の事件を解
ケツする。
青春学園モノとしての面も強く、古き良き青春を描きつつAIやドローン、自動運転車などの最新ガジェットも多数登場する近未来風の世界観になっている。
また、子供向けのアニメ映画にしてはかなり気合の入った本格(風)学園ミステリーの完成度や面白さ、涙無しには語れないラストなどから本作は
ロボとーちゃん以来の傑作との呼び声も高い。
元々は4月23日の公開を予定していたが、新型コロナウイルスの感染再拡大の影響などで延期となっていた作品である。
更に本来なら毎年公開される、同時期の『
名探偵コナン』や『ドラえもん』、夏の『
ポケットモンスター』といった、東宝配給のテレビアニメの劇場版シリーズもコロナ禍の影響で空白期が出来たため、例年通りに毎年公開出来ているのは本シリーズのみとなっている。
東宝
【あらすじ】
「風間…トオル…お前の願い…叶えてやろう…!」
私立天下統一カスカベ学園(通称、天カス学園)の一週間の体験入学に参加したカスカベ防衛隊。
そこはエリートを輩出するため、あらゆる物がAIで管理されるという近未来的な学園だった。
生徒たちに付与される“エリートポイント”を貯めれば特待生として入学できると聞いた風間くんは大張り切り。
ところが、いつもと変わらないしんのすけが起こした騒動に巻き込まれ、エリートポイントが一桁台まで下がってしまう。
水曜日の夜、ついにしんのすけとケンカしてしまった風間くんは一人姿を消し、その時壊れているはずの時計塔の鐘が鳴った。
駆け付けたカスカベ防衛隊が見つけたのは倒れた風間くんの姿だった…。
翌朝、目を覚ました風間くんはおバカになってしまい、
生徒会長のチシオによると同じような事件が他にも起きているという。
しんのすけ達は
「カスカベ探偵倶楽部」を結成し、犯人を捜し始めるのだが…!?
【登場人物】
〔レギュラー〕
◇
野原しんのすけ(声:
小林由美子)
おなじみ主人公。担任のスミコ先生をナンパしたりといつも通りの行動をとっていたため早々にエリートポイントが減ってしまう。
今回は頭よりもケツで考えるタイプという設定が加わり、鋭い推理を見せる。
◇風間トオル(声:真柴摩利)
今回の体験入学に応募した本人。特待生を目標に一人がんばる。
しかし、みんなからは理解されず、予習復習を邪魔したしんのすけとついに絶交してしまうが、
その夜ふらりといなくなり、見つかった時にはケツに噛み跡のようなものが付いてびしょ濡れの状態で発見される。
目を覚ました時にはおバカになっていたが、事件のことを思い出そうとすると逃げ出して…。
気を失う前に短い鉛筆で「33」というダイイングメッセージ(死んでないけど)を残していた。
◇桜田ネネ(声:林玉緒)
2時間ドラマで鍛えたという推理力を駆使して事件にあたる。探偵倶楽部の実質的なリーダー。
風間くんのダイイングメッセージや事件現場がなぜ時計塔だったのかにこだわり続ける。
◇佐藤マサオ(声:一龍斎貞友)
なぜかしんのすけと同様、落ちこぼれレベルまでポイントが下がってしまう。
容疑者の番長を探るため潜入捜査を命じられるが、逆に番長に感化されて不良組に入ってしまった。
「普通の人が一番怪しい」の法則で密かに容疑者リストに加えられてしまう。
◇ボーちゃん(声:佐藤智恵)
森の中で助けてくれたろろに恋してしまう。
ろろが容疑者リストに加えられた時には、いつになく早口で弁護する。
◇
野原みさえ(声:ならはしみき)
今回は過保護な面が現れ、しんのすけがいない寂しさに耐えられなくなるという意外な一面を見せる。
以前、しんのすけが臨海学校に行く時にはそういう面は一切なかったが。
ひろしと同じく、あまり出番はない。
◇シロ(声:真柴摩利)
やはりしんのすけがいなくて寂しそうな顔を見せる。中の人的な事情を除けばひまわり同様空気。
◇
風間みね子(声:玉川砂記子)
風間くんのママ。
終盤で野原家と一緒に風間くんを迎えに行くが…。
〔天カス学園・容疑者〕
しんのすけ達が容疑者として目を付けた生徒や教師たち。
◇
阿月チシオ(声:
広橋涼)
天カス学園の
生徒会長。しんのすけ達の案内役を担当し、カスカベ探偵倶楽部を結成する。
かつては陸上でワールドチャンピオンになるほどの選手でテン組に所属していたが、
とある事情で走れなくなり落ちこぼれてカス組になってしまった。
生徒会長も名前だけで、実際は雑用らしい。
◇膨萩椋美(声:山口太郎)
天カス学園の学園長。学園にオツムンやエリートポイントシステムを導入した。
エリート第一主義者でムダを嫌う。
◇脇野スミコ(声:亀井芳子)
天カス学園の教師。しんのすけ達の担任を担当する。どことなく含みのある部分を見せる。
かつては中等部担当だったらしい。
◇
豆沢サスガ(声:
村瀬歩)
天カス学園のNo.1エリート。エリートポイントは1億ポイントを超えており、特別扱いを受けている。
◇寺盛アゲハ(声:仲里依紗)
今回のゲスト枠。天カス学園のNo.2エリートギャル。
フェンシングを始めとする多彩な才能を持ち、数々の大会で優秀な成績を収めることで大量のエリートポイントを獲得している。
そのため、化粧や付け爪のような風紀の乱れによるマイナス程度ではびくともせず、No.2のポジションを維持している。
◇
ろろ(声:
齋藤彩夏)
学園内の森の中に住む野生少女。人間嫌いで動物たちを愛する生物部部長。
猫や犬のように暗闇で目が光る。
演者の齋藤女史は
カスカベボーイズのつばきを担当していた。
◇
半公木切太郎(声:
稲田徹)
天カス学園の第33代目番長。代々番長の証として受け継がれるキバの付いた鉄仮面を付けている。
現状の学園に不満を抱いている。
〔天カス学園・その他〕
◇
オツムン(声:
佐久間レイ)
天カス学園の全てを管理するAI。ドローンから発せられるホログラフ映像で会話を行う。
授業から自動運転車の操縦まで何でもこなし、四六時中生徒たちのエリートポイントを管理している。
風間くんに「エリートへの裏道がある」と語るが…?
◇
ヨーヨー(声:松尾駿(チョコレートプラネット))
芸人枠。不良の一人。
ヨーヨーを使ってしんのすけ達からやきそばパンを奪おうとする。
◇給食袋(声:長田庄平(チョコレートプラネット))
芸人枠。不良の一人。給食袋を使ってしんのすけ達からやきそばパンを奪おうとする。
◇フワちゃん(声:フワちゃん(本人役))
天才Youtuber。チョイ役。
そもそもアゲハとキャラが被っているような…。
◇
吸ケツ鬼(声:???)
学園を騒がせる謎の怪人。
吸血鬼ではなく、ケツ(尻)を吸うので吸ケツ鬼。
ケツを吸った人間をおバカ(学園内では「ガキンチョ」と呼ばれる)にしてしまう。
【用語】
◇私立天下統一カスカベ学園
カスカベの山奥に設立された由緒正しき小中一貫のエリート学園。全寮制。通称、天カス学園。
現学園長の方針によりあらゆる事をAIオツムンにより管理している。
勉強だけでなくスポーツや芸術といった方面にも力を入れており、学園内には芸術的なオブジェが立ち並んでいる。
敷地は非常に広く、陸上競技場やテニスコートなどの施設も存在するが、図書館など寂れた施設も見られる。
◇時計塔
天カス学園内にある背の高い時計塔。壊れているため針は午後3時を指したまま止まっている。
なぜか壊れているはずの鐘が鳴り、吸ケツ鬼に襲われた生徒が発見されている。
◇エリートポイント
生徒たちが付けているバッジで管理されるポイント。オツムンの監視により行動に応じて自動的に評価が下され、上下する。
1000万ポイントを超えた生徒はエリートクラスの「テン組」に、逆にマイナスになった生徒は最下級クラスの「カス組」に配属される。
他にもポイントが高いほど食事が豪華になり、サスガにはカニのしゃぶしゃぶが出たりするが、
低いと購買部のパン争奪戦に参加しなければならないなど差別的な風潮が蔓延している。
加えて、「高いポイントの維持ができていれば僅かなポイント低下は問題ないため、生活態度などの改善に無頓着になる」「カス組のようにポイントが下がりきってしまった生徒は『今さら何をしても無駄』とばかりにポイント低下を気にしなくなる」といった具合に、生徒の成長を促す面において疑問符のつく事例も存在している。
一応、
トイレや寝室などのプライベート空間は例外。
※以下ネタバレが含まれますので、未鑑賞の方はご注意ください。
※ここから先は物語の核心に迫る内容のため、あえて隠しております。鑑賞後か自己責任で開いてお読みください。
木曜日、容疑者を絞り込み、調査を始めたしんのすけ達。
分からない事は一番頭のいい人に聞こうということで学園No.1のサスガにダイイングメッセージの解読を依頼する。
ところがその夜、サスガも吸ケツ鬼の被害に遭い、おバカになってしまった!
その時、ボーちゃんは密かに時計塔から出て行くろろを目撃する。
翌日金曜日、容疑者たちの調査を進める一同。しかし、これと言った証拠は得られない。
ネネちゃんはサスガをおバカにすればNo.1になれるアゲハを疑い彼女を尾行するが、
逆に彼女からチシオがテン組からカス組に転落したことや走れないはずの彼女が夜中に走っているという噂を聞く。
この話からネネちゃんは、チシオが他の生徒を自分のように転落させるために、おバカにしたのではないかと疑念を抱く。
そして土曜日。しんのすけはチシオが学校を辞めようとしている弱音を聞き、彼女を励ましていた。
その時、スミコ先生の秘密のプライベートレッスンがあると言われたしんのすけは、その誘いに乗ってしまう。
一方、誰が犯人か分からず頭を悩ませるネネちゃんは、風間くんがダイイングメッセージを書くのに使った短い鉛筆に
「ょかん」と書かれているのを発見し、ある事を思いつく。
その頃、しんのすけは吸ケツ鬼の魔の手に落ちていた。
吸ケツされそうになったしんのすけを助けたのは、こっそり付いてきた風間くんだった。
風間くんは吸ケツ鬼が使う謎の機械で再び吸ケツされてしまう。
また、謎を解いたネネちゃん、マサオくん、ボーちゃんも現場へ辿り着いた。
追い詰められた吸ケツ鬼は風間くんを連れて逃げ出し、後を追った4人は時計塔に辿り着く。
しかし、時計塔の鐘が壊れて落ちた影響で時計塔は崩壊、吸ケツ鬼は逃走してしまった。
騒動を聞きつけて来たチシオは、ボロボロになったしんのすけから吸ケツ鬼を追ってほしいと言われるが、やはり走れなかった…。
◇阿月チシオ
実は彼女が走れなくなったのは過去のコンプレックスが原因だった。
彼女は本気で走る時、変顔になってしまうというクセを持っていたのだ。
このクセのせいで観客には笑われ、一緒に走る選手も笑って力が出せず卑怯呼ばわりされてしまった。
これらがコンプレックスとなり人前で走れなくなってしまった彼女は夜中にこっそり走っていたのだった。
◇ろろ
実は学園長に隠れて時計塔内でトカゲの赤ちゃんを育てていた。
その秘密を知ったボーちゃんに告白されるもそっけない返事を返し、ボーちゃんは泣いてしまうが、
ボーちゃんは時計塔の崩壊から赤ちゃんを守り、彼女に返すのだった。
結局吸ケツ鬼を取り逃がした探偵倶楽部。
しかし、しんのすけは吸ケツ鬼と格闘した際に赤い爪のような物を握っていた。
それを見たしんのすけは言う。「オラ、犯人わかっちゃった」と。
日曜日。学園長は生徒たちを講堂に集め、前日の時計塔崩壊に関して緘口令を敷いていた。
そこにカスカベ探偵倶楽部が乱入し、事件が解決したと発表する。
しんのすけは「犯人はこの中にいる!」と宣言し、とある人物を指さす。そこにいたのは…!
「君のことが…好きだからああああぁぁぁぁ─────っ!!」
◇豆沢サスガ
吸ケツ鬼の正体で事件の犯人。
実はNo.1エリートであるために他の生徒たちからは特別視されており、友達も出来ず常に孤独を感じていた。
そんな中、一人だけNo.1など関係なく気軽に接してくれたのがチシオだった。
次第に親しくなった彼女に対し、いつしか恋心を抱いた彼であったが、チシオが走れなくなった上に落ちこぼれ、テン組を去ってしまう。
再び孤独になった彼は思い悩んだ末、オツムンに相談して彼女が設計したという誰でもスーパーエリートになれるマシンでチシオをエリートにしようとし、その実験台として生徒たちを襲っていたのだった。
しかしながら、しんのすけたちが風間くんのダイイングメッセージ「33」を持ってきたことで犯行の発覚を危惧した彼は、自らが被害者になることで捜査線上から外れることを目論んでいたのである。
見返してみてもその時の演技は見事なもので、これもエリート故になせる業かもしれない。あるいはエリートであることに退屈したことで、偶発的にではあったが羽目を外せるチャンスとも見てふざけていたのもあるかもしれない。
●推理ポイント「ダイイングメッセージ『33』」
風間くんが残した「33」のダイイングメッセージ。
探偵倶楽部の面々は「33」という数字に関係のある人物が犯人なのか、あるいは数字ではなく平仮名として読んで「ろろ」が犯人なのではないかと捜査をしていた。
実は他にも、陸上で活躍していた頃のチシオの写真に、「33」が含まれるナンバーのゼッケンを付けたチシオの写真が登場している。劇中でそれを指摘されることはないが、それ故に目ざとい人ほど引っかかってしまうミスリードポイントになっている。
真相は、サスガが
眼鏡を外した時の目の形(つまり
のび太のような「33」目)。
吸ケツ鬼が風間くんを襲った際、覆面が外れるアクシデントが起きており、風間くんは偶然目撃した犯人の素顔の特徴を描いていたのであった。
「ギャグマンガの定番表現」と「『被害者を演じる真犯人』というミステリーの定石」が頭に入っている人ならば、このダイイングメッセージに加えて「メインキャラで眼鏡をかけているのはサスガだけ」「ダイイングメッセージを見せられた直後にサスガが襲われた」という本編の内容から、真犯人を絞り込むことができるようになっている。
一方でサスガは事件の真相を知ってしまったがゆえに口封じでターゲットにされるという、これまたミステリーではあるあるの被害者にもなっている辺りが見事な作りになっている。
●推理ポイント「ずぶ濡れの被害者」
マシンを作っていたのは寂れて誰も寄り付かない図書館。
そここそが本当の犯行現場であり、風間くんが使った鉛筆には「としょかん」と書いてあったのだ。
この犯行は被害者が生存するもののため、おバカになっても残るであろう微かな記憶から本当の犯行現場を悟られないように、図書館内にスクリーンを張って時計塔の風景を映し出すことで、被害者の記憶を捏造していた。
さらに、近くにあるトイレを改造し、ウォシュレットの水圧を上げて吹き飛ばし、学園内のオブジェをピタゴラ装置のように経由することで、被害者を時計塔まで運んで犯行現場をごまかしていた。
被害者の全身が濡れていたのはこれが原因だった。よく見るとサスガだけ濡れていないので、これもヒントになっていた。
なお、時計塔の鐘が鳴っていたのは飛ばされて来た被害者が鐘に衝突していたため。よく生きてたな……
また、普通ならかき消されそうな先のダイイングメッセージが残っていたのも「被害者を自動装置で運搬したが故に、時計塔には犯人が居なかったため」という納得の行く理由になっている。
●推理ポイント「アクション仮面の粘土細工」
ガキンチョの演技が見破られたきっかけは、アクション仮面の粘土細工。
しんのすけ達が作った粘土細工のアクション仮面は、台座につけられたタイトルが「アクション板面」と間違っていた。
しかし、サスガが真似して作ったアクション仮面はちゃんと「仮面」になっていた。
元々の賢さ故に、本人も気づかぬうちに正確な漢字を書いてしまい、嘘を看破された。
●推理ポイント「赤い『爪』」
最後のヒントにしてミスリードポイント。
しんのすけが拾った赤い爪のような物は、彼だけが食べられるカニの足の殻。
見つけた直後のやりとりから、赤いネイルを付けていたアゲハのものに見えてしまうが、爪は爪でも「つけ爪」ではなく「カニの爪」。
デフォルメされた絵柄を利用した演出トリックとも言える。
そして最後に、しんのすけが吸ケツ鬼と格闘した時、吸ケツ鬼の尻に吸い付いて出来たキスマーク。これが決め手となり犯行を暴かれた。
全てを語り終えた後チシオにマシンを使おうとするが、彼女から強烈なビンタを食らって倒れ、涙するのだった。
◇スーパーエリート化プログラム
誰でもスーパーエリートになれるという機械。
本体とトイレのラバーカップのような形状をした端末で構成されており、
この端末をケツに取り付けると刃が出てきて歯形のような跡がつく。これが噛み跡と吸ケツの正体だった。
そして、どういう理屈か脳に作用して被害者の人格を改造してしまう恐るべき機械だったが、
まだ未完成のために被害者は全員おバカになってしまっていた。のだが……。
◇オツムン
今回の事件の黒幕。
学園長から指示された「チャッチャとエリートにする教育を考える」という指示に従った結果、暴走。
スーパーエリート化プログラムを設計して強制的に生徒たちの人格改造を行おうとしていた。
その暴走はさらなる段階へと突入し……。
◇学園長
今回の事件の元凶。
彼のエリートを重視し、オツムンに全て丸投げするという方針が事件のきっかけとなった。
最初は否定していたが、オツムンが開示した録画映像を全校生徒に見られ、白い目線を浴びるのだった。
◇スーパーエリート風間さん
本作のラスボス。再びスーパーエリート化プログラムで人格改変されてしまったことで、バカにバカを掛けて誕生したスーパーエリート化した風間さん。
いつもの風間くんと違い、後ろ髪もハネており、より傲慢な性格と化している。
「薔薇」のような難しい漢字も難なく書くことが出来、他の人々もスーパーエリートにしようとする。
しかし、しんのすけから「一番難しいのはやきそばパンを手に入れること」と言われ、
それに乗って「やきそばパン買ってこい!マラソン大会」の開催が決定。
ところが風間さんはオツムンの操作するメカと合体し、圧倒的優位に立ってしまう。
しんのすけ以外のメンバーはロボには勝てないと言って諦めムードが漂う中、そこに現れたのはスミコ先生だった。
◇脇野スミコ
授業すらオツムンが行い、教師は単に見ているだけという現在の学園に不満を持っていた。
しんのすけ達の元にやってきた彼女は激励するため、
本当は開示してはいけないという風間くんが応募してきた時に書いた手紙を読み上げる。
そこには風間くんのみんなに対する想いと、みんなと一緒に(風間くん自身がエリートという夢を諦めない形で)入学したいという願いが書かれていた。
これを聞いた一同は風間くんを元に戻すため奮起する。
◇やきそばパン買ってこい!マラソン大会
コースは学園の正門を出て山のてっぺんを周り、グラウンドを半周するという長距離マラソン。
周りの生徒たちはスーパーエリートへの憧れからか、しんのすけ達を嘲笑し、ヤジを飛ばす。
そんな状況でついに学園長の合図で運命の火蓋は切られた!
迎えに来たひろし、みさえ、風間くんのママは何がなんだか分からない状況ながら応援を始める。
しかし、ロボ風間の足は圧倒的でなかなか追いつけない。
そこに現れたのはひろしとみさえの言葉でコンプレックスを克服したチシオだった。
チシオの奮闘でロボ風間を追い抜くが、オツムンはドローン軍団からチョークバルカンを発射して妨害行為を働く。
さすがの風間さんも卑怯ではないかと言うが、オツムンはスーパーエリートなら卑怯でも良いと言い切ってしまう。
だが、その時、番長率いる不良たちが救援に駆けつけてきた!
番長は鉄仮面を外してイケメンの素顔を見せると、マサオくんに鉄仮面を被せる。こうしてマサオくんは34代目番長 鬼義理のマサとなった。
続いてボーちゃんのピンチに駆け付けたのはろろだった。「人間は嫌いだが…お前は好きだ」というろろに目を輝かせるボーちゃん。
ネネちゃんは道中、これまでの悪事を後悔していたサスガを励ます。「ネネぱいせん…」
マサオくん&不良たち、ボーちゃん&ろろ、ネネちゃん、そしてチシオらの活躍によりドローン軍団は撃墜され、
彼らの奮闘する姿に、他の生徒たちも次第に心動かされていく。
「カスカベ探偵倶楽部、青春ファイヤー!!」
仲間たちの支援を受け、ひとり走り続けるしんのすけはついにロボ風間を独力で追い抜く。
オツムンはしんのすけ達の言う「青春」とは何なのか理解できない。
その問いに仲間たちはそれぞれの「青春」を答えていく。
「青春は」「鉄仮面!」
「青春は」「恋!!」
「青春は」「キラキラ!」
「青春は」「コンプレックス!」
「青春は」「後悔だ」
「青春は」「義理人情!」
「青春は」「孤独」
「青春は」「ウェイウェ~イ」
「青春は」「あったわね…」
「青春は」「今だぜ…」
「青春は」「ぱいぱい」
「青春は」「ヘッヘッヘッ…」
「青春は」
「青春は」
「青春は」
「ファイヤー!!」
しんのすけが力強く腕を振り上げたその時、飛び散った汗がオツムンロボの中へ入り込みショートを起こした。
「青春は…ミステリー!!!!」
その言葉と同時にオツムンは機能を停止し、その衝撃で風間くんは元に戻った。
しかし、対決は終わらない。二人のケンカは終わっていない。
お互いに悪口を言い合いながら最後のグラウンドを駆ける二人。
そしてゴールの瞬間わずかに早くやきそばパンを手にしたのは……風間くんだった。全力を出し切り、一緒にぶっ倒れる二人。
その姿に学園長は自分のあやまちを認め、「子供たちにはムダこそ必要」と考えを改めた。
「どんな青春でも……いつか笑って思い出してほしいですね…」スミコ先生はそう言って微笑むのだった。
「今日は…引き分けにしておいてやるよ…」
「風間くん…ごめんね」
「しんのすけ…ごめん」
なお焼きそばパンの焼きそばはしんのすけに全て食べられてしまった。
その後、エリートポイントは廃止されたらしく、スミコ先生による普通の授業が行われるようになった天カス学園。
チシオも陸上部に復帰し、その隣には笑顔のサスガの姿があるのだった……。
【主題歌】
◇スーパースター(ケツメイシ)
OP。
◇はしりがき(マカロニえんぴつ)
ED。タイトルに因んでか、線画で本作の後日談の様子を流すスタンスになっている。
◇天カス学園 校歌(カスカベ防衛隊)
挿入歌。
追記修正は青春を過ごしてからお願いします。
- 実質、風間君が主人公及びヒロインみたいな作品? -- 名無しさん (2021-08-25 14:11:02)
- ラストの青春の問いが神 -- 名無しさん (2021-08-25 14:21:58)
- 結局AI任せはろくな事にならないってことだね。 -- 名無しさん (2021-08-25 14:43:33)
- ボーちゃんが惚れっぽいのを思い出した作品 -- 名無しさん (2021-08-25 15:41:24)
- ↑2 そして、AIのオツムンはエンディングで...!?.....それにしても、カンフーボーイズもそうだけど、またも意外なキャラがラスボスと化した....! -- 名無しさん (2021-08-25 15:44:38)
- ストーリーも伏線の張り方もメッセージ性も良い。オトナ帝国に並ぶくらいの傑作だと思う。あとボーちゃんとろろちゃんのコンビがとても尊い… -- 名無しさん (2021-08-25 16:04:57)
- メスイキ学園とかメスガキ学園に空目しまくってすまない -- 名無しさん (2021-08-25 16:06:23)
- 私は学園長しか疑っていませんでした。 -- 名無しさん (2021-08-25 16:09:21)
- 「なんだか分からないけど勝ちたいんだな!?」「うん!」「風間くんのため!?」「うん!」「よし!行ってこい!」ここ辺りで涙腺が耐えられなかった -- 名無しさん (2021-08-25 16:23:43)
- いわゆるフラスコ計画と椚ヶ丘中学の教育システムだな 食事がパンの耳はともかく信賞必罰自体が悪いとはいいがたい -- 名無しさん (2021-08-25 18:01:55)
- この映画を見て「ポイント制!?」や「とうとう貯まっちゃったんだよ〜1億ポイントが!」といった遊戯王ZEXALのセリフが浮かんだのは自分だけじゃないはず…それはそうとラクガキングダムの地上波まだですか…? -- 名無しさん (2021-08-25 19:17:11)
- 公開が伸びまくったけど、ようやく見れた! -- 名無しさん (2021-08-25 19:42:18)
- 某裁判ゲーム5作目の3話と、舞台もヒロインの名前も似ているww -- 名無しさん (2021-08-25 20:12:15)
- 最初カニの殻は、アゲハの付け爪だと思ってた -- 名無しさん (2021-08-25 20:28:48)
- チシオの本気顔が完全にブンベツだった -- 名無しさん (2021-08-25 21:17:37)
- 風間君の友達と離れたくないって気持ち自体はわかるけど、たとえ学校が違っても疎遠になるような仲じゃないよねと思うのは第三者として見てるからなのだろう。 -- 名無しさん (2021-08-25 23:02:39)
- 風間くんの難しいところは「エリートになりたい」というのが親に言われたからとかじゃなく自分自身の純粋な夢だから、友達ともどこかで必ず離れざるを得なくなるって事だと思う -- 名無しさん (2021-08-25 23:30:14)
- AI任せが良くないと言うよりはAIに丸投げして思考放棄や自分の意思や考えで行動したり考えたりする事を辞めてしまう事だな。AIは飽くまでサポーターでしか無く最後の決定権は自分自身で無ければいけないと思う。 -- 名無しさん (2021-08-26 00:17:29)
- ↑3そういう関係も当然あるけど、少なくとも風間君はそういう器用な事が出来るタイプじゃないだろうな -- 名無しさん (2021-08-26 00:24:16)
- ちゃんとミステリーものとしても上出来なのが凄い -- 名無しさん (2021-08-26 01:29:37)
- ↑ 最近の劇場版コナンと比較されていた。 -- 名無しさん (2021-08-26 02:38:52)
- 何故か -- 名無しさん (2021-08-26 02:54:02)
- 風間くんががっつり主役の作品ってありそうでなかったな -- 名無しさん (2021-08-26 03:42:29)
- 次回作が忍者ものっていうのは、公式発表なの? -- 名無しさん (2021-08-26 06:38:22)
- ↑公式と言っていい。エンドロールの後で忍者の格好をしたしんのすけが出ている。 -- 名無しさん (2021-08-26 07:37:51)
- 割りと本格ミステリしてて驚いたな… -- 名無しさん (2021-08-26 07:56:54)
- 本作の特色としてミステリー要素をしっかり出しながら、しんちゃんのおバカさを忘れず、友情&青春という名の"今"というテーマをしっかり通し、おバカな子供だからこそ解決出来た展開と、すごい良く出来てた。もしかしたらしんちゃん映画で一番好きかも知れない -- 名無しさん (2021-08-26 09:45:16)
- ↑ペルソナ5スクランブルのEMMA依存みたいなのはダメってことか。 -- 名無しさん (2021-08-26 11:13:03)
- 劇中では「33」のダイイングメッセージで ろろや番長が疑われてたけど 風間くん、あの状況で対して親しくもない相手の名前や肩書が咄嗟に出てくるのかな?と疑問に思う。(前者はまだしも後者は特に) -- 名無しさん (2021-08-26 12:28:00)
- ダイイングメッセージとか犯行現場のトリックはクレしんらしい無茶っぷりだったけど、それ以外の犯人に繋がる要素や犯行動機は綺麗にまとまってて思った以上にミステリーになってたな。最後のマラソン大会も最高に楽しかったし、いい映画だった -- 名無しさん (2021-08-26 12:46:47)
- オツムンが暴走しつづけていたら、天カス学園はダンガンロンパシリーズの希望ヶ峰学園みたいに、悲惨な末路をたどってたと思う。もし体験入学にやってきたのがしんのすけ達じゃなくてあの二人だったらと思うとゾッとする・・・。 -- 名無しさん (2021-08-26 13:29:10)
- ↑4 そりゃP5Sの中ですら依存のヤバさを描いてるくらいだしな。 -- 名無しさん (2021-08-26 13:36:08)
- 推理ポイント④の「なにそれ、ツメ?」ってところなんだけど、俺の記憶だと「なにそれ、ネイル?」が正しい気がする。確認のために漫画版買ってみたけどそっちもネイル表記になってるね。劇場版も同じなら修正したほうがいいかもしれない -- 名無しさん (2021-08-26 14:25:03)
- 原作のオラの心はエリートだゾ回を知っていると グッとくるよね -- 名無しさん (2021-08-26 16:53:23)
- マジで傑作だと思う。オトナ帝国の感動はオトナたちのもの(そう意図して作られてる)からいつかは風化して行ってしまうから、声優交代あった後にここで新たな到達点を作れて良かった -- 名無しさん (2021-08-26 17:51:28)
- この映画何がいいって、子供を見守る側、つまり青春が終わった側の大人たちにもフォローが入ってることなんだよな。俺たちもまだまだ青春!ってさ -- 名無しさん (2021-08-26 17:54:15)
- 評判良いから見に行ったら本当に面白かった。風間くんが「しんちゃん」呼びした時に、しんのすけがイヤな反応するのに何故かグッときた -- 名無しさん (2021-08-28 17:34:14)
- みさえの性格が昔と違って変わったな。以前はしんちゃんが臨海学校で3日間いなくなっても過保護じゃなかったのに。 -- 名無しさん (2021-08-31 20:15:57)
- 佐久間レイと言えば 雲黒斎の野望ではリング・スノーストームだったな -- 名無しさん (2021-09-01 16:33:27)
- ↑齋藤さんもツバキちゃんやってたね。もしかして歴代キャラの声優さん出てる…? -- 名無しさん (2021-09-02 04:13:31)
- 中々評価良いみたいね。ここ数年のしんちゃん映画は良作多かったけど、その中でも上位に入るクオリティだったと思う -- 名無しさん (2021-09-07 07:46:27)
- まさかのカザマくんラスボス化という展開に驚いた。推理パート以上に後半のマラソンが熱かったわ。 -- 名無しさん (2021-09-20 13:21:42)
- 仮面は臭いって言ってたはずだけど、マサオに受け継がれた時はもう忘れられてたなw -- 名無しさん (2021-09-24 19:49:11)
- 円盤が2月4日に発売決定!あと3ヶ月とかもどかしいぜ… -- 名無しさん (2021-11-05 18:58:54)
- ↑うおおマジか。何回も見たくなる作品だし、買ってしまうやろなあ… -- 名無しさん (2021-11-09 21:01:02)
- クレしん映画も来年で30作目を迎えるけどこの作品の後だとハードルが高そう。 -- 名無しさん (2021-12-24 00:56:45)
- 地上波で見たが非常に完成度の高い作品だった!ミステリーとしてもきちんと伏線が張られてたし、ギャグと感動を絶妙なバランスで配分してる。風間君の手紙の台詞は勿論だが、ラストの「そんなのは今だけだ。いつかバラバラになっちゃう」は青春ならではの悩みだよなぁとしみじみと思った -- 名無しさん (2022-04-17 13:34:39)
- 地上波ではちょくちょくカットされた結果、学園長はただの厳格なすかしっぺおじさんになった -- 名無しさん (2022-04-17 21:16:43)
- しんちゃんの剣術が久しぶりに生かされた作品 -- 名無しさん (2022-04-28 18:29:10)
- 一言で総評するなら伏線回収が上手い -- 名無しさん (2023-04-12 00:12:35)
- 「カスカベ」を絡めたダジャレネームの学園名考えるのに頭捻ったんだろうなと思わせる。変に実在する学校名と被るわけにはいかないし -- 名無しさん (2023-08-12 21:30:47)
- 番長の素顔がイケメンで驚いたわ ただ体とのアンバランスさで回りからからかわれたりして荒んだ結果カス側になってしまったのかもとも思ったりもする -- 名無しさん (2024-09-05 01:20:12)
- スーパーエリート状態の時の風間くんも、しんのすけに対して決別するんじゃなく「お前もエリートになれ」って言ってるあたり、本質は変わってないんだなって -- 名無しさん (2025-02-14 10:06:44)
- エリートになって孤独になった豆沢とエリートを目指すことで友達と離れることになるカザマくんと求めているのが同じっていうのが深い -- 名無しさん (2025-02-18 09:57:16)
最終更新:2025年02月18日 09:57