マフティー・ナビーユ・エリン

登録日:2023/06/01 (木) 18:37:53
更新日:2023/12/20 Wed 15:44:35
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世間は、みんなマフティーが好きみたいですよ




マフティー・ナビーユ・エリンとは、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に登場する組織。
作中では同組織のリーダーを担当するハサウェイ・ノアの偽名としても使われているが、当項目では主に組織としてマフティーを取り扱う。



【概要】

宇宙世紀0100年代以降における反地球連邦組織及びテロ武装組織。
組織名はスーダン語*1、アラブ語、古いアイルランド語という3つの言語を利用した造語で、「正当なる預言者の王」という意味が込められている。

マフティーを率いている人物は組織と同じ名前を名乗る人物であり、その正体はハサウェイ・ノア。
しかしハサウェイの存在はあくまでも「組織のトップのマフティー」という架空の人物を演じているに過ぎない。
実際の組織の黒幕はクワック・サルヴァー*2という初老の男性だが、この人物の正体については現在まで詳細は分かっていない。
少なからず連邦関係者であることは事実であり、その正体は現役の連邦政府の要職だった可能性も示唆されている

組織の理念としては人類を地球から追い出して宇宙に追放することによる地球環境の健全化。
大雑把に言えば一種のエコテロリズムとか環境テロリストなどと呼ばれる類の組織と解釈出来るだろう。
マフティーが活動していた時期の連邦政府は、世襲制の腐敗による特権階級層の地球の土地の独占とそれを進めるためのマンハンターを用いた地球市民の虐殺が問題化していた。
そのため、マフティーはMSを用いた連邦政府の要人の殺害や放送の電波ハイジャックによって活動の解説などを行っていた。
また、ハサウェイは軍隊を気取るマンハンター自体には嫌悪感を抱いていたが、マフティーとマンハンターの組織の理念には少なからず共通点はあった。

概念的には言い訳の余地がないテロリスト集団(そもそも「暗殺団まがい」「テロはあらゆるケースでも許されない」と演説で語っている)ではあるが、ハサウェイの意向もあって攻撃対象はあくまでも連邦関係者のみであり、民間人への攻撃は避けていた。
実際に作中では虐殺やインフラの破壊という行為には出ておらず、テロの予告の際には民間人への避難勧告も出していた。
しかし、MSを使う以上は生身の一般市民に被害を出さないという状況を作ることは不可能に近く、テロ活動に巻き込まれて犠牲になる人々は多く出ている。
一昔前のジオン残党軍や無関係の人間でも虐殺することを好んでいたマンハンターと比べると民間人的には相対的に害悪度はマシだったかもしれないが、組織の最終目標を考えれば民間人もいずれ地球上からの追放対象となる。

テロ組織としてはMSを多数所持しており、アナハイム・エレクトロニクス社とも密かに関係があったことから高級機のガンダムタイプを発注している。
サルヴァーは連邦軍の要職にいたとも噂されているが、そのノウハウがしっかりと活かされていたらしく、軍の編成や拠点の隠蔽などの動きも洗練されていた。

連邦政府の腐敗に対して苦しんでいた民間人からはマフティーの活動に対して支持する声もスペースノイドを中心に多かった。
一方で完全に共感されていたという訳でもなく、マフティーに対して嫌悪感を持つ層や消極的に支持しながらも暇人と思う人もいた模様。
宇宙世紀0100年代はマンハンターに対するヘイトが絶頂期を迎えていたのでマフティーにマンハンターへの攻撃を望む声が多く、何故彼らはマンハンターを襲わないのかとも言われていた。

【略歴】

◇設立

黒幕のサルヴァーが謎めいた人物であるため、マフティーという組織の詳細については分かっていない。

ハサウェイのリーダー就任の流れとしては、かつてのシャアの反乱で心に傷を負っていたことで鬱病の治療も兼ねて植物監察官の候補生として地球で実習をしていた時期にあり、その最中にサルヴァーと出会ったことが原因である。
サルヴァーによってマフティーの存在やマンハンターの悪行と特権階級の腐敗を教えられたハサウェイは、マフティーやシャア・アズナブルの思想を学習して共感を覚えることになる。
マフティーの活動に参加したハサウェイは1年程度で下っ端から中枢の戦闘員へと出世し、やがて表向きの組織のリーダーとして「マフティー・ナビーユ・エリン」を名乗ることになる。

こうしてハサウェイが率いるマフティーによる連邦政府の特権階級に対する戦いが始まった。

◇マフティー動乱

宇宙世紀0105年にオーストラリアのアデレードで地球連邦政府の中央会議が行われることになり、マフティーはこれを襲撃することになった。
アデレード会議では『地球帰還に関する特例法案』の採択が決まるとされており、この法案が成立すれば連邦官僚の特権の強化とマンハンターが地球上の人々を虐殺して駆除するという差別的状況が正当化される危険があった。
マフティーは法案の廃止をしなければ会議に集まる閣僚を粛正することを宣告し、Ξガンダムを操ってハサウェイは襲撃を仕掛ける。

アデレードを防衛するキルケー部隊と衝突するマフティーは爆撃に成功し、自軍も大きな被害を出しながらも半数程度の閣僚を殺害することには成功する。
ところがキルケー部隊側によってハサウェイとΞガンダムはビーム・バリアの罠にまんまと誘導され、機体は撃墜された末にハサウェイは大火傷を負いながら連邦側に拘束された。
法案自体も既に可決されてしまっていたこともあり、アデレード襲撃は完全に失敗に終わったのだった。

◇その後

アデレード会議襲撃が失敗に終わり、表向きのリーダーのハサウェイは正体を明かされた末に軍事裁判も行わずに即刻死刑となった。
一方で黒幕のサルヴァーは正体を把握されなかったことによってマフティーの残存戦力は地下に潜りながら再度反抗の機会を伺う形になり、連邦はマフティーを完全に潰すことには失敗した。
ところが、宇宙世紀ではその後は大規模な反連邦の武装蜂起は20年近く経過したオールズモビル紛争まで勃発することはなく、少なくとも「マフティー」という組織が表舞台で再度目立つことはなかったようだ。

連邦政府はブライト・ノアの動向を捏造してマスコミにリークすることで、今後の反乱分子への遠回しな恐喝と処刑の正当化による世間からの組織の好感度稼ぎを狙った。
ところが、マフティーの残党による子殺しをさせた(という形の)連邦への非難などもあって、むしろ世間から好感度を稼ぐには逆効果であることが予見された。
その影響なのかは不明だが、マフティー動乱後は『ルー・ラヴァータ』と呼ばれるマフティーと似た組織が登場するなど、連邦政府の官僚に対する地球上の不法居住者による攻撃は続いたようだ。
マフティーと戦ったケネス・スレッグは連邦から離れ、100年後になるかもしれない覚悟でハサウェイやシャアが復活するような組織…所謂「第二のマフティー」の設立を決意する。

マフティー動乱を終えた連邦政府による地球の独占化は進み、彼らの独占化に加担するマンハンターはマハという強大な軍閥組織へと発展して人々の虐殺を進めるのだった。

【関連組織】

宇宙世紀0100年代初頭にはマフティーと似たような小規模な反連邦組織は地球上にいくつかあり、それらの組織がマフティーを自称することもあった。
サルヴァーはこういった組織の武装蜂起に対しては運動の成果として好意的な姿勢を見せていた。

◆オエンベリ軍

オーストラリア北部のオエンベリにて設立された私的軍隊。フォビオ・リベラが首領を務める。
不法地球居住者によって構成された陸軍的な性質を目指している反連邦組織であり、マフティーの名前を勝手に騙って活動していた。
マフティーが関与していない組織だったのだが、目的自体は一致していたこともあって正式にマフティーに取り込まれることになった。

作中の冒頭でハウンゼンをハイジャックしたかぼちゃマスク率いるハイジャッカーはオエンベリ軍の一派。
ハイジャッカー連邦軍からの身代金を要求していたのは組織の陸軍設立のための活動資金を集める意図があった。

【メカニック】

□モビルスーツ

  • Ξガンダム
  • メッサー

□艦船・サブフライトシステム

  • ヴァリアント
  • シーラック
  • ギャルセゾン

【メンバー】

  • ハサウェイ・ノア
  • クワック・サルヴァー
  • イラム・マサム
  • ブリンクス・ウェッジ
  • レイモンド・ケイン
  • エメラルダ・ズービン
  • ガウマン・ノビル
  • カウッサリア・ゲース
  • ケリア・デース
  • ゴルフ
  • シベット・アンハーン
  • ジュリア・スガ
  • チャチャイ・コールマン
  • ミツダ・ケンジ
  • ミヘッシャ・ヘンス

【余談】

  • 歴史的には一瞬だけ登場した組織というレベルもあって『閃光のハサウェイ』以外の作品で触れられる機会は少ないが、『機動戦士ガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのメモリーより―』では言及される場面がある。

  • 劇場版アニメ公開時のPVにおけるハサウェイとガウマンらマフティーとレーンによる台詞の一連の流れが、ネット上で一時期「マフティー構文」としてインターネットミームになったことがある。






自分が、マフティー・ナビーユ・エリンであります。
今日まで、自分を中心とした追記・修正が、アニヲタWiki(仮)においでになった荒らしの誤字・脱字を粛正してまいりました。

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最終更新:2023年12月20日 15:44

*1 原文ママ。現代のスーダンでは公用語のアラビア語や英語を筆頭に無数の言語が使われており、またアラビア語にもスーダンにおける方言や訛りに類するものはあるが、独立した「スーダン語」として扱われたり分類されたりする言語は無い

*2 やぶ医者を意味するドイツ語であり、偽名・コードネームである