かぼちゃマスク(閃光のハサウェイ)

登録日:2023/04/25 Tue 00:26:37
更新日:2025/05/06 Tue 03:47:52
所要時間:約 7 分で読めます








連邦政府閣僚各位に申し上げる。わたしは、マフティー・エリンだ





「かぼちゃマスク」とは、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の冒頭に登場するキャラクター。

「かぼちゃマスク」は原作小説内での呼称。
劇場版でのクレジットは(他のハイジャッカーも同様)「ハイジャック犯」でこの二つがサンライズ公式設定の呼称である。
サンライズ準公式設定の呼称は、SDガンダムGジェネレーションシリーズでは「ハイジャッカー」。
いずれの媒体でも、本名は不明。




CV:柴本浩行(Gジェネレーション SPIRITS)/新祐樹(劇場版)



【概要】

かぼちゃマスクは、1989年2月28日に発売された小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(上)』に登場した架空のキャラクター。
ハイジャッカーの中心人物である男性で、私設軍隊「オエンベリ軍」に属している。
同作の主人公ハサウェイ・ノアやヒロインギギ・アンダルシアが搭乗するスペースシャトル「ハウンゼン」を襲撃した。
ハウンゼンを襲撃したのは、同機がアデレードで行われる地球連邦政府の中央閣僚会議に参加する地球連邦政府の高官やその家族らが搭乗しており、彼らを人質とすることで地球連邦政府から身代金を要求するためであった。

オエンベリ軍はマフティーと表面上の活動目的は同じに思われていたため、ハイジャッカーが独自に動いた結果マフティー側は行動予定を狂わされることとなり、特に事件に直接巻き込まれたハサウェイ・ノアは小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(中)』でその件について、オエンベリ軍リーダーのファビオ・リベラに苦言を呈している。


【外見】

◇原作小説版◇

頭部は、ハロウィンに使われるジャック・オ・ランタンのフルフェイスマスクを装着している。
他のハイジャッカーも顔がバレない様にする為、魔女海賊などのマスクをつけていて、彼らの呼称も魔女マスク、海賊マスクといった具合である。
マスクの形状は、原作では挿絵でも彼自身の上半身が映らないアングルのため不明。

SDガンダムGジェネレーションシリーズ

SDガンダムGジェネレーションF』は片方が丸、もう片方が三角形のアシンメトリーな大きい目が特徴的。

◇劇場版◇

劇場版では口部分から上下2パーツに分かれる構造になっており、マスク側面でピン留めされている。
また劇場版独自の設定で、額にマフティーのマークも付けられている。
劇場版で初めてマフティー・ナビーユ・エリンの組織のマークが設定された為である。


性格

マフティー・ナビーユ・エリンを騙っているが、その性格は本物のマフティーであるハサウェイ・ノアとは似ても似つかない粗暴なもの。
旅客機をハイジャックしているという緊張状態の為か、ハイジャッカー達はナーバスになっていたという事情はあるが、かぼちゃマスクは乗客の些細な言動に対して声を荒げたり、ハウンゼンに搭乗していた内2名を射殺するなどの凶行を行うほどの冷酷さを見せた。
また、下調べも碌にせずに襲撃しており、無軌道・無謀な部分が目立ち、その事から地球連邦軍大佐のケネス・スレッグからは違和感を持たれていた。


【所属組織】

かぼちゃマスクを始めとしたハイジャッカーは、「オエンベリ」と呼ばれるオーストラリア北部の町*1を拠点とする私設軍隊「オエンベリ軍」に所属している。
オエンベリ軍は、マフティーの基地がオエンベリにあると信じた者達が集まったことで形成された反連邦政府組織で、連邦軍地球方面軍の将軍が作り上げたマフティーとは一切関係がない組織であった。

マフティーは「地球連邦政府の高官を粛正する組織」と世間から認知されていたから、オエンベリ軍所属であるかぼちゃマスクは、彼らの世間からの注目度を利用して、マフティーを騙ることで閣僚達を威圧していたのである。


【劇中での動向】

◇原作小説版◇

大気圏に入って間もないハウンゼンをベース・ジャバーで強襲し、自身を含め、4人でハイジャックを敢行。

ケネス・スレッグに対して武装解除を指示しながら、そのまま乗客に対して目的を告げ、必要以上の会話はしないよう釘を刺しつつ確認のために乗客に点呼を取らせる。


この際、保健衛生担当大臣のハイラム・メッシャーが空気を読まずにハイジャッカーの身辺について質問してきたため、その場で射殺。*2


そのまま点呼を続けた時に、乗客の中にブライト・ノアの息子、ハサウェイがいる事に気が付く。
反軍・反思想の持主と聞いていたためか、彼には「今は人質になってもらう」とやや好意的な反応を示した。
目の前にいる彼こそが本物の「マフティー・ナビーユ・エリン」であるとも知らずに……。


その後、ケネスを拘束した上で点呼を終え、自身が射殺したハイラムの死体の片づけを要求。
立候補したハサウェイとパーサーの青年がそれを実施したところで、彼の妻が遺体に駆け寄って発狂しながら「殺してくれ」と言う旨の言葉を吐いたため、そのまま彼女も射殺した。

この様に思わず激昂するハサウェイ。それに対して持っている銃で脅しをかけるかぼちゃマスクだったが……。



マフティーだなんて、ウソをいう連中なんか、やっちゃったら!?



同じくハウンゼンに搭乗していた少女、ギギ・アンダルシアの発した予期せぬセリフでたじろいだところにハサウェイからの強烈なアッパーカットを顎に食らい、あえなくノックダウン。

他のメンバーもハサウェイ(+ケネス)からの思わぬ反撃であっさり倒され、ハウンゼンの奪還も完了し、同機は元々の着陸予定地である中国の香港ではなく、フィリピンのダバオに不時着。


倒されたかぼちゃマスクはケネスの手引きで不時着先で他のメンバー共々軍施設に収容されることになった。

そして、このハイジャック事件によるスケジュールの乱れがマフティー動乱を左右する結果となった…。


◇劇場アニメ版◇

シチュエーションが微妙に変更され、襲撃時の使用機体がギャプランに変更。
またハイジャックのメンバーも6人になっている。かぼちゃマスクの行動も僅かに変更されている。

こちらでは、ハウンゼンがオートパイロットとなっているため、かぼちゃマスク達ハイジャッカーは、パイロットを皆殺しにするなど、凶悪性を前面に押し出した演出である。

行動の順番が一部変更されている点以外は基本的な行動内容はほぼ同じである。
しかし、大きな変更点は、乗客の確認時にギギがわざと彼らに聞こえるようにタブレットでアニメを見始め、「マフティー・ナビーユ・エリン」の言葉の意味(スーダン語、アラブ語、古アイルランド語の合成による「正当な予言の王」) に対する遠回しな揶揄をし、それに対してかぼちゃマスクが困惑するシーンであろう。
これは、ギギがなぜかぼちゃマスクが偽物のマフティーで、ハサウェイこそが本物のマフティーだと気付いたかという部分を、劇場版では新規にマフティーのマークを設定することも含め、かぼちゃマスクは、マフティーの組織のシンボルである名前を揶揄されている事に気が付かなった為、ギギはその類まれな洞察力で彼の嘘を見破ったという設定になっているのだ。

その後、小説と同様に、かぼちゃマスクは保健衛生大臣ハイラム・メッシャーとその妻を殺害し、怒りの眼差しをハサウェイに向けられる。
そして……。


やっちゃいなよー!


やっ…いなよ。そん…のなんか…



……!?


やっちゃいなよ。そんな偽物なんか!




かつて自身が惹かれた少女クェス・パラヤの残留思念とギギの思惟。
2人の声がオーバーラップして、ハサウェイの耳を震わせる。一方、かぼちゃマスクの視点からは、ギギがいきなり大声を上げたようにしか見えないため驚愕していた。
そして、ハサウェイが見たかぼちゃマスクの覆面の下の目は動揺していた。それを逃さず、ハサウェイは一瞬の内に反撃を開始。
かぼちゃマスクは、ケネスから押収した拳銃を奪われて左太ももを撃ち抜かれる、そして、マシン・ガンのストックで頭部を殴打されノックアウトされた。

その後のハイジャック犯制圧の流れもハサウェイがほぼ自力で事を成した小説版とは異なり、拳銃でハイジャッカーを2名撃って無力化し、弾切れになっても関節技で一人を気絶させるなど、獅子奮迅の活躍を見せるハサウェイであったが、ピエロマスクに拳銃を向けられた所を間一髪ケネスに救われるなど、小説とは異なった進行である。


ダバオ不時着時には全員が素顔の状態で拘束されていたが、その中に左太ももに包帯を巻かれた、短髪でやせ気味の男がおり、その近くに潰されたかぼちゃのマスクがあったため、彼がかぼちゃマスクの正体と思われる。

劇場版ではハウンゼンのパイロット達を殺害し、行き先をオーストラリア(具体的な都市は不明)に変更していたとされている。
もし仮に本拠地であるオエンベリに向かっていた場合、ケネスの前任であるキンバレーの率いるキンバレー部隊が前日から始めているオエンベリでの不穏分子の掃討に巻き込まれていたであろう。しかし、エンドロール後の一枚絵では、オエンベリ軍がグスタフ・カールを倒している一枚絵が挿入されるなど、もしハイジャッカーがオエンベリ軍に合流していたのなら、この攻勢に乗れていたのかもしれない。


【客演】

アラサーOLハマーン様

漫画『アラサーOLハマーン様』に登場。
ハマーン・カーンが見ているホラー映画「閃光のゾンビ」の主役という役割で、その背後にはゾンビになっているハサウェイ・ノアらしき人物とハイラム・メッシャーらしき人物も映っていた。


SDガンダムGジェネレーションシリーズ

SDガンダム GジェネレーションF』にて「閃光のハサウェイ」シナリオの冒頭で初登場し、その後も同シリーズの「閃光のハサウェイ」シナリオで何度か登場している。
ハイジャックの流れ自体は他にメンバーが登場しないことや殺害人数が減っている事を除けば大体同じ。
基本的にハサウェイにボコられてアッサリ出番が終わる。

またGジェネFでは戦わないキャラクターにも能力値が設定されており、図鑑ではステータスを確認することもできるが、かぼちゃマスクのステータスは機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に出てくる子供たちよりも低い



【劇場アニメ化後の反響】

マフティーを騙ったせいで、登場から早々にハサウェイに排除される噛ませ犬のかぼちゃマスクだが、Youtubeで公開された「冒頭15分53秒(Aパート)」はハイジャッカーの起こした事件がメインの内容になっていた。
だが、その中で彼の発したセリフの1つ、「悲鳴を上げるな。神経が苛立つ!」「悲鳴を上げるな 陰茎が苛立つ」と、自動字幕機能によって低俗極まりない発言と認識されてしまい、一躍ネタキャラとしての地位を確立した。


◇コラボグッズ◇

ハイジャッカーの着ていたジャケットがコスパから発売。
かぼちゃマスクの柄のTシャツなどのグッズが展開されており、更には「京かえら」と「STRICT-G」のコラボで{着けていたマスクのストラップなどをはじめとする彼を模した様々なグッズが販売された。
冒頭で十把一絡げに退場させられたモブの1人とは思えないほどの好待遇を受けている。


◇The Pumpkin Danceと掛け合わせたMAD◇

その後、かぼちゃのマスクを纏った黒服の人物が踊る海外のネットミーム動画、「The Pumpkin Dance」と劇場版「閃光のハサウェイ」の主題歌であるAlexandrosの「閃光」をの一部を組み合わせて(曲側のテンポに合わせて)高速再生するMAD動画が権利者の許諾なく作られたが、インターネットでの知名度を引き揚げることになった。

「地球連邦政府に反省を促す為に攻撃をしている」というマフティーの行動内容に合わせて「地球連邦政府に反省を促すダンス」、あるいは単に「マフティーダンス」と言うネットミームとして定着し、数々のMAD動画が作成されることとなった。


【演者】

2007年11月29日に発売されたゲーム『Gジェネレーション SPIRITS』でCVを務めた柴本浩行は、同作で『機動戦士Zガンダム』のトーレスアポリー・ベイ役を務めており、かぼちゃマスクは兼役であった。
劇場版でCVを務めた新祐樹は、同作の出演以降は、2024年に発売されたVR映画『機動戦士ガンダム:銀灰の幻影』で主人公(男)を、2025年に公開された映画『機動戦士Gundam GQuuuuuuX Beginning』では、シャア・アズナブル(GQ)役を演じており、宇宙世紀の主要キャラに抜擢されている。


いいかいっ! 手前等!この記事はマフティー・エリンがやっていることなんだ。それを忘れるなと忠告したはずだ。
まだ、立つなよ!編集は、おわっていないっ!もう一回や二回は追記する覚悟はあるんだからなっ!

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最終更新:2025年05月06日 03:47

*1 オーストラリアに実在する町は「オエン"ペ"リ(OenPelli)」なのだが、小説ではスペース・コロニーの移民時代に地名が誤って登録された結果「オエン"ベ"リ(OenBelli)」になったとされている。

*2 自身はこの行為を「処刑」と称し、ハサウェイに咎められた時も「仕方なかった」と言っている。