登録日:2024/09/26 Thu 20:35:46
更新日:2025/04/20 Sun 20:30:24
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《フォッシル・ダイナ パキケファロ》とは、『遊戯王OCG』に存在するカードの1枚である。
2007年8月24日発売の
「ザ・ヴァリュアブル・ブック10」で《霧の王》と共に付録として初登場。その後も何度か再録されている。
カードテキスト
効果モンスター
星4/
地属性/
岩石族/攻1200/守1300
(1):このカードがリバースした場合に発動する。
フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て破壊する。
(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
お互いにモンスターを特殊召喚できない。
概要
荒野を疾走する
パキケファロサウルスの化石という、躍動感あふれるイラストが特徴。
2025年4月時点で他にパキケファロサウルス由来の有名カードが無いこともあり、「
パキケ」と略されることがほとんどである。
特殊召喚メタに関わる2つの効果を持っている。
(1)はリバースした時に特殊召喚されたモンスターを全て破壊する効果。
破壊耐性で凌がれたりカウンターされることを踏まえると不安要素は多い。
特殊召喚への妨害としてはこのカードの(2)や《
神の宣告》系を含めた「そもそも特殊召喚を成功させない」方が確実性は上である。
しかし「既に特殊召喚されたモンスターに後から対処できる」ため(2)の隙を埋められるのは小さくない利点。
リバースという手間や前述の不安要素から上手く決まらない可能性もあるが、手段としてあるに越したことはない。
自分のモンスターも破壊してしまうが、これに頼らざるを得ない状況で自分のモンスターが並んでいることは少ないので、あまり気にしなくてもいい。
一応優勢盤面に保険のつもりで適当にセットしてたら自爆、とかはしないように注意。
なおこの効果は「リバースした時に」発動するが、かといってこのカードは
リバースモンスターではないので間違えないように。
(2)はこのカードの目玉となる、お互いにモンスターを特殊召喚できなくなる永続効果。
《
ヴェルズ・オピオン》や《
No.68 魔天牢サンダルフォン》と異なり「どんなステータスのモンスターも、どんな方法でも」特殊召喚できなくなる。
ご存じの通り現在では特殊召喚をしないデッキは極めて少数なので、多くのデッキを苦しめるメタ効果として機能する。
それこそ付録時の袋とじに書かれた謳い文句
「全ての決闘者を封殺せよ」に違わぬ封殺能力を存分に発揮する。
自分にも特殊召喚禁止の影響が及ぶ……のは事実だが、
「このカードを召喚する前なら好き放題特殊召喚できる」「このカード自体は特殊召喚できる」
という要素から、召喚するタイミングを柔軟に調整しやすい。
ある程度でも盤面を作った後に出せれば、大抵の相手は「まずこのカードを除去しないと他のモンスターも対処できない」という状況に陥る。
最終的に「このカードが生き残っている=自分も後続を出せないが、相手はそもそも全く展開できていないので有利」という構図を期待できる。
評価
「モンスターを特殊召喚できない」メタ効果について決闘者に聞くと、代表格としてまず《フォッシル・ダイナ パキケファロ》の名が挙がることも多い。
つまりはそれだけ、このカードのメタ効果の強力さが周知されていることの証左なのである。
類似するメタ効果を持ったモンスターは他にも複数いるが、このカードのならではの長所は
「メタ範囲の広さ」「召喚制限の無い下級モンスター故の取り回しの良さ」「後出しでも使い道がある」
といった部分にある。
このカードの登場時期はその後1年足らずで
S召喚が導入され、それにより特殊召喚が徐々に「特殊」ではなくなりつつあった時代。
攻守値の低い小粒モンスターを並べて大型モンスターを召喚するという流れはここから始まっている。
これらは、このカードが登場後早い時期から一定の評価を成されてきたことを意味している。
もっとも、このカードが登場した当初はそれでも特殊召喚が現在と比べて少なかったのも事実。
当時はまだ「下級アタッカー」という概念も未だ現役だった頃。
特殊召喚だけ封じてもたかが攻撃力1200、守備表示にしたとて100しか変わらないモンスターでは適当に処理されてしまう場面も多かった。
……というか現在でもさすがにちょっと低いため、相手テーマの普段は素材になるだけの下級に案外攻撃力があって突破されることもよくある。
下級モンスターの戦闘力が形骸化しかかっている昨今だが、このモンスターに向き合った時、人はその大事さを思い知ることになる。
通常召喚された1体さえ止めれば耐えられるため、罠カードなどでバックアップしてやるのが理想である。
また当然ながら耐性などは全く持たない。当時はシンプルな除去カードの採用率も高く、そういったカードで処理されることも多かった。
といってもこの辺りの弱点は類似カードにも共通しているため、対策はしやすい。
総じてS召喚が導入される前、特殊召喚が重要視されていない時代だからこそ作られた産物であったといえよう。
相性の良いカード
出した後に保護・維持するカードについては、似たような扱いの
結界像の項目にも記述があるためそちらを参照してほしい。
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/地属性/岩石族/攻2300/守1800
レベル4モンスター×2
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードのX素材を1つ取り除き、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●デッキから岩石族モンスター1体を手札に加える。
●手札から岩石族モンスター1体を裏側守備表示で特殊召喚する。
《フォッシル・ダイナ パキケファロ》をサーチできるカードその1。
如何に強力なカードといえど、デッキ眠っていては意味は無いのである。
ただしこのカードはランク4Xモンスターなので、組み合わせるには当然だが召喚権を残してX召喚ができるだけの展開力が必要になる。
最近は通常召喚を使わずとも特に問題なく展開できるテーマも珍しくないため、そんなデッキが第二の矢として忍ばせることもあるとかないとか。
一方で展開力を犠牲に嫌がらせに特化した【メタビート】では、自分の妨害ギミックとかち合うような特殊召喚ギミックなど入れても仕方ない。
この方法はまず使えないだろう。
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):EXデッキの「No.101」~「No.107」のいずれかの「No.」Xモンスター1体を相手に見せて発動できる。
種族か属性が見せたモンスターと同じで、
そのモンスターのランクと同じ数値のレベルを持つモンスター1体をデッキから手札に加える。
その後、自分の手札を1枚選んでデッキの一番上に戻す。
このカードの発動後、ターン終了時まで自分はXモンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。
《フォッシル・ダイナ パキケファロ》をサーチできるカードその2。
EXデッキの《
No.106 巨岩掌ジャイアント・ハンド》を見せることでをサーチできる。
このカード自体が《七皇昇格》でサーチできること、なにより
何の下準備も無く引いてすぐに使える点がとても便利。
これらのカードや追加の妨害札も引ける《
命削りの宝札》《金満で謙虚な壺》も併用すれば、何かしらのキーカードに触れることはできるはず。
発動後にXモンスターしか召喚できない問題も、展開力を放棄した【メタビート】には無いも同然。
【メタビート】ではこちらの方が優先されるだろう。
地属性モンスター全般を支援するテーマ。
カードの消費は多いが蘇生に長けており、「《フォッシル・ダイナ パキケファロ》自体は特殊召喚できる」という長所をここで活かすことができる。
特に重要なカードは《春化精の女神 ヴェーラ》。
相手ターン中に
任意のタイミングで地属性モンスターを蘇生できるので、自分の展開を邪魔せずに場に用意することができる。
地属性に特化したデッキとなるので、耐性の隙を埋める《
ナチュル・ビースト》等も併用すれば盤石の構えとなる。
一方で攻守値の低さをフォローする手段には乏しい。
そのため、メタ範囲は少々狭くなるが攻撃力が2750ある《
アモルファージ・イリテュム》が優先されることも多い。
アニメでの出番
アニメ版でのテキストは以下の通り。
星4/地属性/岩石族/攻1300/守1300
このカードは攻撃した場合、ダメージステップ終了時に守備表示になる。
このカードが戦闘でモンスターを破壊した時、
そのモンスターの守備力分の数値をこのカードの守備力に加える
(この効果は相手ターンのエンドフェイズまで続く)。
戦闘に勝つたびに守備力を上げる「壁」という、OCG版とは全く異なる効果であった。
後にOCG化されたジムのカードを元にした
【化石】は融合召喚デッキなので、先に召喚すると融合召喚ができなくなってしまうため噛み合わない。
一応補足しておくと、当時のアニメ・漫画登場カードがOCG化される際に全く別物の効果になることは珍しい事ではなかった。
そして実はこのカード、効果の他にもアニメ版とOCG版で異なる部分がもう1つある。
それは攻撃力。OCG版ではアニメ版より攻撃力が100下がった1200になっている。
実はこのデュエルではダメージ計算に誤りがあり、正しい計算結果でデュエルを続行した場合勝敗が逆転していたという致命的な過ちが存在している。
そしてその誤りを正すためにこのカードの攻撃力が100下げられるという、前代未聞の措置が取られているのだ。
計算誤りが発生した戦闘は《中生代化石騎士 スカルナイト》と攻撃力が半減した《E-HERO インフェルノ・ウィング》。
ここで覇王十代側のLPが本来よりも100多くなってしまった。
そしてジムは覇王十代を残りLP50になるまで追い詰めた後で敗北してしまう。
つまり正しくダメージ計算をしていれば、覇王十代側のライフは50も残らずジムが勝利できていたのだ。
モンスター攻守値を1カ所だけ変更した上で最終的な帳尻を合わせるには、このカードか《
地球巨人 ガイア・プレート》の攻撃力を100下げるしかない。
あちらがアタッカー役として登場する都合、こちらの攻撃力を下げる始末となったと思われる。
なお攻撃力が100下がった影響で、後年に登場した《
機巧牙-御神尊真神》などの「攻撃力と守備力の数値が同じ」モンスターを支援する効果を受けられなくなったという細やかな弱体化が起きている。
追記・修正は特集召喚を封じながらお願いします。
- どういう理由で特殊召喚メタの効果に変更されたのか謎。キャラのイメージにも全く合わないし、原作再現の欠片もない。GXのカードは漫画版(ダークロウ等)もそうだが、偶にわけわからんメタ効果付けられることがあるんだよな -- 名無しさん (2024-09-26 21:34:11)
- おそらく当時の環境でもアニメ効果は使いづらいと判断されたのかな。屈指の特殊召喚メタにはなったけど、お陰でジムのデッキを再現しようとすると後のカードとかみ合わせが悪くなるという…。 -- 名無しさん (2024-09-26 22:29:25)
- アニメの都合で攻撃力が100下げられたけどこの100の差で泣かされる事って結構あるのかな? -- 名無しさん (2024-09-26 22:39:09)
- 今まで項目がなかったとは意外 -- 名無しさん (2024-09-26 23:06:18)
- 性能云々抜きに原作再現屁ほども目指してない時点でクソだと思う -- 名無しさん (2024-09-27 01:02:53)
- GXのはやたらとカード名を使っただけのOCGオリカが多い -- 名無しさん (2024-09-27 02:14:03)
- 今更だけどアニメとOCGで効果まるっきり変えますってアニメが販促になってなくない…? -- 名無しさん (2024-09-27 07:36:43)
- ↑アニメや漫画といった原作に敬意を払ってないからね仕方ないね -- 名無しさん (2024-09-27 07:58:34)
- 仮に実装が遅かった(化石融合と同時期だったら)アニメ効果+αになったのだろうな。 -- 名無しさん (2024-09-27 08:09:03)
- レダメもアニメ効果関係ないしな ヴァリアンツのエース -- 名無しさん (2024-09-27 08:53:57)
- 一緒に入ってる霧の王もかなり違うしなぁ。自身の以外の効果無効だから方向性は違えど封殺できる効果ではあったけど -- 名無しさん (2024-09-27 09:15:40)
- ネオス・ワイズマンもそうだったけど5期辺りのカードは原作からかけ離れたカードにされる事多かったですね。いや、このパキケ然りレダメ然り結果的に原作効果より強くなってるカードもそこそこありますけど…… -- 名無しさん (2024-09-27 09:38:56)
- SS封じもだけどリバース効果も強いんだよね -- 名無しさん (2024-09-27 10:09:27)
- 記事冒頭の文だけと、折角ならジムが使った時の台詞の方がいいかな?といっても手元にGX無いから似合うやつ分からんけど。 -- 名無しさん (2024-09-27 13:29:15)
- なんでこの時期のカードって原作とはかけ離れた効果にされたんだろ?フォートレスなんて原型もないし。(なんならサイドラメタになってるしで) -- 名無しさん (2024-09-27 13:56:23)
- ↑フォートレスはオーバーの亜種みたいになってたから効果をまるっきり変えたのはなんとなく分かる(それでもリアタイ時は効果違くねって思いはあったかが)。5ds以降はこの反省かウィラコチャみたいなアニメならでは無茶苦茶なのでも無ければ原型も無い程変わるってことは減るが() -- 名無しさん (2024-09-27 14:38:11)
- ↑2 GX期は高橋先生の手を離れ独自性を模索していたという推測があります。さらに初期はカオスの影響、後期はシンクロが控えているからバランスを苦慮していたのかも。↑フォートレスはアニメ効果だと未来オーバーで1キル狙えるから(震え声)。 -- 名無しさん (2024-09-27 20:57:56)
- ATK下がった件は、出た当時はともかく今の封殺性能だと少しでもステータス下がってよかったなって感じだ -- 名無しさん (2024-09-27 23:20:54)
- 化石融合がカテゴリ化したし、パキケもこのカテゴリのサポートカードしてリメイクしてほしい -- 名無しさん (2024-09-28 22:55:25)
最終更新:2025年04月20日 20:30