ザ・ヴァリュアブル・ブック(遊戯王)

登録日:2025/04/19 Sat 11:50:13
更新日:2025/04/27 Sun 00:31:52
所要時間:約 5 分で読めます




ザ・ヴァリュアブル・ブックとは、遊戯王OCGに関連する書籍の1つ。
正式名称は「遊☆戯☆王 オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ 公式カードカタログ ザ・ヴァリュアブル・ブック」。
略称は「ヴァリュアブル・ブック」の頭文字から「VB」がよく用いられる。
ちなみによく間違えられるが「ヴァリアブル・ブック」ではなく「ヴァリュアブル・ブック」である。

遊戯王原作が連載された週刊少年ジャンプと同じく集英社から発行されている。
また、ここでは同じようなカードカタログ「MASTER GUIDE」についても扱う。


【概要】

その名の通り公式のカードカタログであり、大体年に一度*1発売されている。
1年間の間に登場したカードを全て網羅しており、コラボカードやプロモカード、イラスト違いも掲載されている。
また特典カードもついてくる。
内訳としては原作、アニメで登場したカードやその派生がほとんどで、効果も強力なものが多い。
遊戯王OCGは基本的に絶版していない書籍付属カードが再録される事は稀であり、そのためにデュエリストを悩ませることも多々ある。*2


【内容】

このヴァリュアブルブック、常に更新されていくゲームの攻略本よろしく、読み物としても普通に面白い。
例えばまだ女性型モンスターが少なかった頃には「美少女コンテスト」なるものが開かれており、かの《治療の神ディアン・ケト》がモンスターカードじゃないのに参加するもバッサリ選考外となるというものもある。

またDUEL TERMINAL辺りから力を入れ始めている「原作に由来しないOCG独特の世界観」についても語られている。
遊戯王OCGは基本的にカードのイラストでストーリーが粗方分かるようになっているが、それでも取りようによっては解釈が分かれるものが多い。
エフェクト・ヴェーラー》や《No-P.U.N.K.セアミン》の性別は未だ議論されてるし……。

その為にザ・ヴァリュアブル・ブックはある程度の補足を入れているのである。
またこの本で判明する設定も多く、実際のデュエルだけでなく設定も追っているプレイヤーは必見と言えるだろう。
但し、OCGストーリーの原作はあくまでもカードのイラストであり、ザ・ヴァリュアブル・ブックやマスターガイドの記事はあくまでもカード作成担当とは別の人物*3による解説書(二次創作)に過ぎない点は留意する必要がある。
ドラクエの『モンスター物語』『知られざる伝説』とか、仮面ライダーシリーズ等なら昔の児童誌掲載の情報と近い媒体と言って良い。
後の新カードにより設定がひっくり返るだとか、そもそも解説自体にツッコミどころがある*4とかもザラであり、オフィシャルな書籍ではあるものの一から十まで「公式設定」として取り扱うにはかなり微妙な要素も多い。
あくまでも一解釈として受け止め、本書の設定を嫌がる人に押し付けたり別の解釈を否定しにかかるのは慎むべきだろう。

烙印】や【ヴィサス=スタフロスト】【罪宝】といった長編ストーリーは次号に話が跨ぐ傾向があり、それ自体が1冊の本にできるほど読み応えがある。
単に小説形式にしているだけではなく、そのカテゴリに沿った内容であることも多い。
例を上げるとスポーツを題材とした【ARG☆S】はスポーツ新聞のような紹介記事、対戦型ボードゲームを題材とした【ヴァリアンツ】はゲーム「VV(ヴァリアンツ・ウォー)」の攻略記事となっている。
他にも【ラビュリンス】は2人のメイドの会話形式であり、彼女達があれやこれやと大騒ぎする様子が描かれている。
一方でコミカルなものだけでなく【蟲惑魔】は森に迷い込んだ人間が少女型のナニカに襲われるも、殺虫剤を持っていて助かった……というホラー形式めいたものもある。
この辺りは流石、ホビーやゲーム記事を毎月作っているVジャンプ編集部の手腕と言うべきか。

ジェネクス】のように後の書籍で大きく設定が変更・追加された例もある。そのせいでこれまでのストーリーに多少矛盾が生まれているが。
詳しいストーリーや設定は項目を参照してもらいたいが、戦争に巻き込まれた被害者兼世界を守るために戦い散っていった正義の味方だと思われていた小さなロボットジェネクス達が、実はラスボスの手先で世界を破壊する目的を持った大いなる脅威だった……というこれまでの設定とは180度正反対の新事実に決闘者たちは驚愕した。

イビルツイン】はVBEXにおいて、表の顔は人気バーチャルライバー、裏の顔は凄腕の怪盗コンビとして紹介されていた。
しかし、後年のVBEX5では、配信に力を入れたいリィラと裏家業に専念したいキスキルとの間で擦れ違いが生じているという妙に生々しい(配信者あるある)新設定が明らかとなった。*5
同書では他にも、所謂リーク系炎上系配信として人気を博すトラブル・サニーや、筋肉系配信(!?)で子ども受けの良いマグネッツ1号2号などが紹介されている。*6

非常に優秀な出張要員として環境で大暴れした【デモンスミス】に、後発で《紅涙の魔ラクリモーサ》というエッチな悪魔のお姉さん新規が追加され、VBEX5で彼女の詳細な設定が明らかになったのだが…
それによると、《魔を刻むデモンスミス》は偶然遭遇したラクリモーサも他の悪魔達と同じように強制契約*7しようとしたが、「契約」=「結婚」だと勘違いしたラクリモーサがデモンスミスに一目惚れしてしまい力を貸すようになった。というラブコメのような設定が明かされた。
《紅涙の魔ラクリモーサ》には『このカード名はルール上「デモンスミス」カードとしても扱う。』という【デモンスミス】というテーマ的にも重要な効果を持つのだが、上記で明らかになった設定のせいで、「自分のことをデモンスミスだと思い込んでいるヤベー女」だとか「テキスト欄で勝手に女房面してくるおもしれー女」だとか決闘者達の間で散々に言われることとなってしまった。
また、彼女の力を100%引き出すには愛の言葉を囁きかける必要があるというめんどくせー女設定も明らかになっている。頑張れデモンスミス…

(印象深いストーリーがあればドシドシ追記してください!)

もちろん、カードゲームとして楽しんでいる層にも満足の行く記事がある。
それがこの1年の環境で台頭したカードやレギュレーション変更によるデッキの移り変わり。
サンプルデッキも掲載されており、デュエリストとしても読み応えのある内容である。


【MASTER GUIDE】

ザ・ヴァリュアブル・ブックの派生として「MASTER GUIDE」がある。
内容もヴァリュアブルブックを純粋にパワーアップさせたような内容であり、総ページ数は250ページ近くと中々分厚い。
表紙にはアニメ主人公の小さなイラストが書かれた以外はほぼ一色という、シンプル故に逆にインパクトのあるものになっている。

遊戯王5D'sの際に発売された「3」はDUEL TERMINAL関係の記事もあった為か、発売された週のオリコンランキングで書籍総合部門第1位を記録した。

基本的には「アニメ最終回」のタイミングに発行され、その期のまとめのような内容となっている。
発行時期の都合から、特典カードは《ネオス・ワイズマン》《シューティング・クェーサー・ドラゴン》《No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ》といった物語最終盤で活躍したカードが多い。

遊戯王VRAINS終了時に発売された「6」以降は発刊されておらず、代わりに「ザ・ヴァリュアブル・ブックEX」と銘打ったヴァリュアブルブックの新シリーズが発刊されている。


【主な付録カード】

《スカルライダーの復活》、《スカルライダー》

一番最初の記念すべきカード。
ちなみにこの時は「初回限定特典」という扱いだったが、その後も普通についているので単なる名目だったようだ。


キャラクターカード

3にて登場したカード。
新たなルールを追加するカードであったがペガサス》が強すぎマース!
テキスト不備等も多かった為、出てきたのはこれだけであった。

ちなみに3でOCGとして登場したのは《ロケット戦士》と《悪夢の鉄檻》。
どうにも城之内の使用カードは書籍付録にされがちである。


《死霊騎士デスカリバー・ナイト》

8にて登場したカード。
一応アニメでバクラが使用したカードだが、通常モンスターだったものが魔改造されている。
特殊召喚できず妨害効果が敵味方問わず強制発動など現代基準では扱いにくいものの、最大級のステータスを持つ闇属性の下級効果モンスターに妨害効果という組み合わせは登場当時だと破格。
登場から数年の間、これを採用したグッドスタッフの通称が【〇〇カリバー】となるくらいには環境に顔を出していた。


《ネクロフェイス》《封印の黄金櫃》

9にて登場した今でも有用なカード
特に《封印の黄金櫃》は単にデッキからカードを除外する除外版《おろかな埋葬》のような扱いになっている。
《ネクロフェイス》のデッキ破壊力も高く、特にカード1枚1枚に課せられた役割が大きくなってる近年では、このカードに一部のキーカードを飛ばされたせいで、デッキが機能不全に陥るケースもないとはいえない。

フォッシル・ダイナ パキケファロ

10で登場した特殊召喚メタの化身。
場に存在するだけでお互いにモンスターを特殊召喚できなくなる強力な制圧・封殺効果を持ち、【メタビート】系のデッキでは主力として活躍している。
シンクロ召喚の登場以降時代が進むにつれ、連続特殊召喚による大量展開が当たり前となり、相対的にこのカードの制圧力と影響力が向上している。

【メタビート】以外のデッキでは【アダマシア】や【ヴァリアンツ】などに採用され、他の制圧モンスターを並べたうえで最後の一押しとして場に出し、ド鬼畜な制圧盤面の構築に一役買っている。

シングル戦オンリーでサイドデッキから対策札を入れることができないマスターデュエルでは、その制圧力とメタ性能の高さから制限カードに指定されている。

10で登場したもう1つのカードは《霧の王》。
妥協召喚が可能な最上級モンスターで、フィールドに居るとリリースを防げる生きた《生贄封じの仮面》。効果と関係なく、条件無しで妥協召喚できるレベル7のモンスターである為、最初期の【征竜】にて、《可変機獣 ガンナードラゴン》と共に採用されて一時的に市場価値が高騰した実績もある。あちらと違い、水属性である為《瀑征竜 タイダル》のコストにできた点も評価された。
流石に効果が限定的過ぎたか、今まで再録、テキスト整備がされておらず「生贄」という単語が使われ続けている。


No.16 色の支配者ショック・ルーラー》《No.11 ビッグ・アイ

14で登場したエクシーズモンスター。
《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》は余りのロック性能の高さを誇るゲキヤバカードであり、2025年4月現在はヴァリュアブルブック出身カードでは《第六感》と並んで禁止カードとなっている。
《No.11 ビッグ・アイ》もランク7と出しづらいが単純なコントロール奪取という破格の効果であり、これもかなりの売れ行きであったとか。なお、こちらも制限カードに指定された過去を持っている。


《リンク・デコーダー》

EX3にて登場したサイバース族のリンク1モンスター。
「CYBERSTORM ACCESS」で強化された【サイバース族】の連動強化にあたる。
その効果は、自身が攻撃力2300以上のサイバース族リンクモンスターの素材になった場合に墓地から蘇生する(蘇生後にフィールドから離れると除外される)。
展開力に優れた【サイバース族】デッキでは、こいつを展開に噛ませるだけで簡単にリンク値が1つ増える優れものである。
属性に縛りが付く【転生炎獣】や【海晶乙女】などには組み込みにくいが、それ以外の【サイバース族】デッキではほぼ必須カードと化している。

2025年4月現在、OCG・TCGを問わず環境の第一線で活躍している【M∀LICE】にも当然採用されている……のだが、TCGでは【M∀LICE】を規制するため、2025年4月の海外版リミットレギュレーションでなんとこのカードが禁止カードに指定されてしまった。

ちなみにEX3のもう1枚《E・HERO フレイム・ウィングマン-フレイム・シュート》も優秀な中継効果を持ち、【HERO】デッキで活躍している。


《ファントム・オブ・ユベル》

EX4にて登場。
「PHANTOM NIGHTMARE」で大強化された【ユベル】の最後の一押し
融合カードを必要とせず、手札・フィールド・墓地のモンスターを素材に出せるお手軽融合でモンスター効果無効を用意できるという破格の性能。
また、特殊召喚に1ターンに1度といった制限もないため、手札や墓地のリソースが続く限りこのカードを2体3体と展開し、リンク召喚などの各種素材に使用するという展開札兼妨害札として大活躍した。
これにより【ユベル】は環境デッキに躍り出た。
だが、余りにも強力過ぎる上に複数枚積んでも問題ないということで品切れが続出
改めて遊戯王OCGのパワーと、書籍付録について考えさせられる1枚となった。

EX4のもう一枚の《デーモンの光来》も強力カードなのは忘れてやらないでください。


《魂宿りし暗黒騎士ガイア》

EX5にて登場。効果外テキストにより、ルール上「ミレニアム」カードとして扱われる。
「暗黒騎士ガイア」カードとしては初のレベル6で、レべル5以上のモンスターがいればリリースなしで召喚可能。
場にいる間は相手モンスターのレベル操作してS召喚やX召喚を妨害しつつ、《心宿りし青眼竜》での除去範囲を広げられる。
また、自身以外のレベル5以上のモンスターをリリースし、相手のモンスター効果の発動を無効化と、これもパワーカードである。
だがそれ以上に普通の《暗黒騎士ガイア》が魂宿ってない方と言われる事となってしまった。流石に可哀想過ぎる。

ちなみにもう一枚は《バイス・シャーク》。
こちらも魔法・罠への無効妨害を用意できる初動札という、【シャーク】を大幅に強化した重要なカードである。


余談

読み応えのある内容であるのは確かだが、特典カード付き書籍の宿命で、カードだけ回収された本書が古本屋で投げ売られていることも多い。
稀にカードが残ったまま売られているものもあったりするので、古本屋で見かけた際もチェックしてみると良いかもしれない。



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最終更新:2025年04月27日 00:31

*1 当初は不定期に出版されていた。

*2 逆に言えば、すぐに絶版することはなく何度も再販されるということでもある。近年は古い物は絶版したようだが、代わりに《封印の黄金櫃》のように需要の高いカードの再録も行われている

*3 2025年時点での最新刊はいずれも「Vジャンプ編集部」名義。恐らくカードイラスト以上の資料は貰っていると思われるが、どれぐらいの設定を共有できているかも不明

*4 単純な取り違え等のミスと思われる内容ではなく解釈自体が明らかに不自然なのは「ガガギゴ」のストーリーが顕著。弱肉一色を学芸会、つまづきを失恋と解説するなどかなりギャグ的な二次創作のノリが強い

*5 VBEX5発売の少し前にライバー姿のリィラと怪盗姿のキスキルがそれぞれ新規カードとして登場したが、上記の擦れ違いによってそれぞれがソロ活動しているのではないかと決闘者たちの間で考察されている。

*6 それら同業のライバルが増加し、配信者としての人気を脅かされていることにリィラが焦り、その結果として配信に傾倒しすぎるようになったらしい。

*7 《魔を刻むデモンスミス》は倒した悪魔を強制的に契約させ武器や道具として使役している。