太陽拳(ドラゴンボール)

登録日:2024/11/24 Sun 00:30ː00
更新日:2025/01/20 Mon 15:44:55
所要時間:約 10 分で読めます




天津飯!!! 技を借りるぜぇっ!!!!


太陽拳!!!!!




【概要】

鳥山明の漫画『ドラゴンボール』に登場する技の一つ。
全身の気を発光させ相手の目をくらますという技で、直接的なダメージは皆無だが相手の視力を一定時間奪うことできる。
使用時には両方の手を開いた形で、手のひらを自分側に向けて左右から額にかざすというポーズをとる*1

元々は鶴仙流に所属していた天津飯の技である。
初使用時には「新鶴仙流」と天津飯が発言しており、気功砲や舞空術といった鶴仙流の奥義を知る亀仙人もこの技は知らない様子だったので、おそらく彼が独自に開発したものと思われる。
しかし、気を用いる技の中では難易度は高くないらしく、悟空やクリリンなどもこの技を使える。
クリリン曰く『それほど難しい技じゃない』との事。


【性能・強さ】

ド派手な必殺技の応酬のイメージが強いDBらしからぬ……というか大抵のバトル漫画の水準では大して役に立たなそうな、いかにもな「小技」だが、
溜めいらずの簡単な動作で不意を突いて使える上に明らかな格上の相手にも普通に通用するという驚くべき優秀さを誇る。
性質上、逃走に用いるにはうってつけの技。
気を探知する技術を持たず肉眼で相手の位置を判断するしかない相手に作中で用いた際には必ず成功しているあたり、この技の優秀さがうかがえる。

逆に気の探知や空気の流れなどで相手の動きを目に頼らず察知して戦える相手には効果が薄く、後述の第23回天下一武道会では目くらましした悟空自身が目視せずに天津飯の動きを察知したことで天津飯を驚かせている。
魔人ブウ編ではヤコンと魔人ブウが、前者は光の差さない暗黒星に移動し、後者は煙幕を展開することで、それぞれ視力を封じて襲いかかったが、
いずれも視力に頼らず気の動きや空気の流れ、殺気の強さなどを読み取った悟空・ベジットによってあっさりいなされるという展開が描かれている。

とはいえ重要な感覚の一つである視覚を一時的に潰す効果は大きく、不意打ちで使われた場合にはそのような能力を用いる達人でも行動を阻害する効果は十分に発揮できる。
事実、人造人間編で使用された際には神*2と融合したピッコロや、サイヤ人編で悟空と同じく神の修行を受けたはずのクリリンですら引っかかって行動を阻害されている。
単に視界を封じるだけの暗黒星や煙幕と違い、強烈な光で視神経を通じて脳にも一時的な麻痺やダメージを与えるのだろう。

またサングラスがあればかなり緩和できるらしく、作中では第22回天下一武道会決勝戦の孫悟空VS天津飯戦において亀仙人のサングラスを拝借した悟空が防ぐことに成功している(実況兼審判のおっちゃんもサングラスをしていたので見えていた)。


なお天津飯やクリリンのイメージが強いせいで誤解されがちだが、断じてハゲ頭の反射で光らせている訳ではない。
良い子はハゲ相手に太陽拳でイジるのはやめてあげよう。
*3


【原作で使われた場面】


原作では8回使用されている。


作中で初登場したのは第22回天下一武道会準決勝の天津飯VSジャッキー・チュンとの試合である。

天津飯はジャッキーに対し『少し本気を出す』と言い、太陽拳を使用してジャッキーの目をくらます事に成功し、後頭部にひざ蹴りを食らわせてダメージを与えることに成功している。


  • ②第22回天下一武道会:天津飯VS孫悟空

第22回天下一武道会決勝戦の天津飯VS孫悟空戦。
悟空に押されていた天津飯は状況を打開するために太陽拳を用いるが、太陽拳をジャッキーとの試合で見ていた悟空は審判のおっちゃんだけが目が眩まなかったのはサングラスをかけていたからだと知り、亀仙人のサングラスを勝手に借りて目くらましを防ぎ、天津飯に一撃食らわせることに成功している*4
悟空が戦闘に関しては機転がきく一面が少年期からあることを見せた場面の一つとも言える。

なお、直後に亀仙人にサングラスを返そうとしたところを天津飯に攻撃され、サングラスは割れてしまった。


  • ③第23回天下一武道会:孫悟空VS天津飯

第22回天下一武道会から3年後の第23回天下一武道会準決勝の天津飯VS孫悟空戦。
天津飯は四身の拳で四体の分身を作って12の目で悟空に対抗しようとするも、悟空は空中で太陽拳を使用して天津飯の目をくらませることに成功*5
皮肉なことに天津飯は自身の技で窮地に追い込まれてしまうのであった。



ナッパを退けてベジータとの死闘に突入した悟空であったが、死闘の最中、ベジータは自身の技で大猿になり大幅に戦闘力が上がったことで悟空は徐々に押されていく。

この状況を打開するために悟空は最後の切り札である元気玉の使用を決断するが、ベジータは大猿になったことでスピードも大幅に上がり悟空は元気玉のエネルギーを集める時間を作れずにいた。

そこで太陽拳を用いて時間を稼ぐことにした悟空は、ベジータに太陽拳を使用して目をくらませることに成功
最終的にベジータの気功波により元気玉の威力は減ってしまったが、太陽拳を用いたことで元気玉のエネルギーを集めることにはしっかり成功している。

ちなみに冒頭の台詞はこの時に悟空が発した台詞である。
いろいろな理由でネット上ではなかなか知名度を誇るセリフとなっている。



フリーザ一味に始末されそうになっていたデンデを救出したクリリンと悟飯であったが、
フリーザの側近であるドドリアに追跡されてしまい、ドドリアに追いつかれそうになっていた所でクリリンはデンデを悟飯に託し、ドドリアに対して太陽拳を用いてドドリアの目をくらませ逃走に成功する

クリリンの当時の戦闘力がドドリアの約1/10~1/15程であったことを考えると、太陽拳がかなり格上にも通用することを証明した最初の場面といえる。



第二形態になったフリーザが悟飯を痛めつけている場面で、デンデの治療により復活したクリリンが悟飯からフリーザを離すために気円斬と共に使用した。
上記のドドリア以上にクリリンとは実力に圧倒的な差があるフリーザ相手にも目をくらませる効果はしっかり発揮されたため、太陽拳の株が更に上がった場面と言える。



第一形態のセルでは流石に1対3(トランクス・ピッコロ・クリリン)では分が悪いと判断したのか、セルが太陽拳を使用して逃走に成功している。
セル自身の発言からすると天津飯の細胞はセルには使われていないようで*6、そのためピッコロはセルが使用したことに驚いていた。敵キャラで使用したのは原作ではセルだけである。
もっともセルは太陽拳を使える悟空の細胞とデータを持っているのでセルが太陽拳を使えても不思議ではなく、またこの時のクリリンの発言で太陽拳がそれほど会得難易度が高い技ではないことが判明した。
そもそもピッコロは悟空が使った太陽拳しか見たことがないので「天津飯の技じゃなかったのか」と驚くのも微妙におかしい感はある*7


  • ⑧人造人間編:セルVSトランクス、クリリン、16号18号

17号を吸収して完全体まで後一歩のセル第二形態が完全体になるために使用した場面。トランクスがそれを防ごうとしてセルに向かっていくがセルは大陽拳で目をくらませてトランクスの意識を逸らすことに成功する。
もちろんクリリンや18号も同様で、抵抗もできないまま18号は吸収されてしまった。

この場面ではその場にいた16号もしっかり目がくらんでいる。人間ではない完全なロボットタイプの人造人間にも太陽拳が通用することが描かれている場面である。
16号には戦闘力を感知するレーダーも備わっているのだが、カメラへのダメージが大きかったのか、16号のレーダーは大まかな距離は分かっても近接戦闘で頼りになるレベルの精度まではなかったのかは不明。
ちなみにセルがここで太陽拳を使っていないと、クリリンが18号を突き飛ばして代わりに吸収されてしまい、セルはセルリンへと進化を遂げるらしい……



【余談】


  • 天津飯が太陽拳を使って相手の目がくらんだ隙にクリリンが気円斬を使えば、サイヤ人編で悟空抜きでもナッパを倒せたのでは?』と読者から疑問を持たれることもあるが真相は謎である。
    仮に事前に打ち合わせしてそういうコンボをできていたとしても、
    「太陽拳は自分を中心に閃光を放つという技の性質上、仲間が多い状態では使いづらい*8
    …と、そのような戦法が取れない状況であった*9
    仮にナッパはどうにか倒せたとしても、その後のベジータ戦ではナッパとベジータでは戦闘力に雲泥の差があるので、ベジータ相手に一度種が割れた気円斬と太陽拳のコンボが通用するかどうかは更に疑わしい。
    • さらに、フリーザ編での「太陽拳で目がくらんだフリーザに気円斬を使ってしまえば勝てたのでは?」というのも言われている。
      なんと言ってもその直前にはクリリンの気円斬がフリーザの尻尾を斬ってしまっており、しかもベジータ戦とは違って、フリーザさえ倒してしまえば後は気にすることのない戦況である。
      クリリンは「ベジータに追撃してくれ」と頼んでいたが、直撃しても効くかどうか分からないベジータのエネルギー波よりも、ついさっき連発した(そしてフリーザ様が必死になって避けていた)気円斬を使えとは突っ込んだ読者もいるのではなかろうか。もっとも、フリーザは後に自分の技で真っ二つになっても生きていたので、下手に追い詰めて本気にさせなくて正解だったかもしれないが…。*10
      いちおう、フリーザが下半身を切られてもエネルギー波を撃てたのは悟空から気を分けてもらったからであり、切られた直後は浮遊もできず助けを求めるしかなかったので、気円斬の連発が可能ならば通用したとみられるが。
    • また、初期の天津飯から、その後の(戦闘力で言えば桁がいくつも違うだろう)セルに至るまで「太陽拳を使った直後に気功波のたぐいを使用する描写が無い」という点は一貫している*11
      先述の通り太陽拳は全身の気を出力する性質の技であるため、気を一点に集めて放つという真逆のプロセスを経て放つ気功波をすぐさま撃つのは技の特性の問題として難しいのではないか? という考察もある。


  • ドラゴンクエストⅥ 幻の大地攻略本の下巻にて挿絵付きで特技を紹介するページがあるが、「まぶしいひかり」という相手の目を眩ませる特技のあるページのハッサンの挿絵は、ポーズがほぼ「太陽拳」そのままである。
    また、SFC版ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ…においてゾーマが使用するいてつくはどうのモーションもよく似ていることから太陽拳と呼ばれることがあるが、ゾーマは手のひらをこちら(相手側)に向けて頭上にかざすもので、よく見ると細部が異なっている。

  • ゲーム『ドラゴンボール ゼンカイバトル』や『ドラゴンボールファイターズ』ではクリリンの技に太陽拳が採用される一方、天津飯の技には採用されないという一種の逆転現象が起きている*12
    • また作中では使用していないが、一部ゲーム作品ではセルジュニアが使用している。


追記・修正はそんなに難しいことじゃない。
悟空だって、オレだって出来るんだ……。

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最終更新:2025年01月20日 15:44

*1 例外として、クリリンがドドリアに使用したときだけ両手を指を閉じたチョキの形にして、指の背を自分側に向けて額にくっつけるというポーズ(わかりやすく言うとウルトラセブンのエメリウム光線)になっている。また天津飯は親指を自分側に向けて相手に4本の指を見せていたり、原作のセルは第一形態が三本指だったりで「使い手によりかざす指の本数が違う」と表現されることもある。

*2 上記の視覚に頼らない戦術を悟空に伝授した本人。

*3 ただしクリリンは自分の頭に太陽光を反射させて悟空の目を眩ませることで隙を作ったことはある

*4 天下一武道会のルールでは防具の着用は禁止だが、物理的な防御能力のないサングラスのような装身具については特に規制はない。後に悟空の息子である悟飯もサングラス装備で参加している。

*5 この直前に「4人に増えることは弱点にもなる」と指摘されており、視覚が4倍になったことで太陽拳が余計に効いてしまっている

*6 ただしアニメでは、天津飯の細胞も使われている事がセルゲーム時に判明している

*7 元は天津飯の技だとその場で悟空と天津飯が会話しているので「天津飯の技」と知っている事自体はおかしくない。

*8 後に悟飯がいる状況でクリリンが使っているが、事前に自分の方を向かないよう言ってから使っている。

*9 ちなみにナッパ戦当時のクリリンが太陽拳を使えたかどうかは不明。それからほどないフリーザ編序盤で使えたので、すでに盗み取っていた可能性は高いが……。もっとも、かつてのかめはめ波のようにぶっつけ本番で使った可能性はある。

*10 その気になればフリーザは第一形態であっても星を消し飛ばして宇宙に退避することで問答無用の勝ち方が出来る

*11 攻撃自体は例があって、ジャッキー・チュン戦では膝蹴りを打ち込んではいる。

*12 『Sparking!』シリーズでは両者使用可能、『ドラゴンボール ザ ブレイカーズ』では天津飯のトランスボールで太陽拳が入手できるなど、天津飯の技として登場している作品もちゃんとある。