緊急テレポート(遊戯王OCG)

登録日:2024/12/08 Sun 00:16:39
更新日:2025/03/29 Sat 11:39:45
所要時間:約 3 分で読めます





これがサイコデュエルの威力だ……よく味わってくれよ

では、さらばだ……

緊急テレポート》とは、遊戯王OCGに存在するカードの1つ。略して「緊テレ」と呼ぶことも多い。
第6期第1弾のパック「THE DUELIST GENESIS」が初出。

カードテキスト

《緊急テレポート》
速攻魔法(準制限カード
(1):手札・デッキからレベル3以下のサイキック族モンスター1体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターはこのターンのエンドフェイズに除外される。

概要

遊戯王では全てのモンスターカードに「種族」が割り当てられており、それは重要な意味をもたらす。
何故なら、特定種族のモンスターを支援する種族サポート効果がそれぞれ存在し、その恩恵に預かることができるため。

そしてこの頁で紹介する《緊急テレポート》は、サイキック族を助力する効果であり、延いてはサイキック族という種族の意義の一つとして認められている。

何よりの長所は、一切のコスト・条件・制約無しにレベル3以下のサイキック族モンスターをデッキから取り出すという、破格の「軽さ」
当時のサイキック族カードはライフに纏わるコストや効果が多かったのだが、こちらには《サイコ・チューン》などと異なりライフロスすら無い点が珍しかった。
さらに《増援》などの「サーチ」ではなく直接フィールドに出す「リクルート」なので、発動して即座にボード・アドバンテージに直結できている。
デッキと手札から選べるため、万一モンスターを素引きした場合でも事故を低減できる点も嬉しい。
また発動回数制限も無いため、手札に複数枚《緊急テレポート》があってもそれぞれ問題なく発動できる。

手軽に発動できるため、このカードを相手の手札誘発の囮にして本命展開を通す、
または通常の展開中に相手の妨害を受けた場合でも仕切り直す「貫通札」としても適性が高い。

デメリットとしてエンドフェイズ時に除外されてしまうが、低レベルというのもあり、そのターン中に各種素材として使ってしまえば関係ないことである。
登場時ではS素材に限定されるが、S召喚到来とともに現れたサイキック族は初期から複数のチューナーを擁していた。

効果も有効なのでサーチ等のアドバンテージを稼ぐ効果を即座に使ったり、表示形式の指定もないので下級アタッカーを用意したりと、使い方の幅はかなり広い。
また登場当時は《メンタルマスター》が使用可能だった(というか同じパックに収録)ため、あちらのリクルート効果も併せ柔軟なS召喚を実現していたという。

速攻魔法なので相手ターンでも発動させることは可能。
しかし相手ターンだと素材にするのは困難であり、このカードは「自分メインフェイズにモンスターを特殊召喚し、それを素材に大型モンスターを召喚」する用途が主なので、この目的で使用する機会は少ない。
ただし《幽鬼うさぎ》など、この用途に適したモンスターもいることは覚えておきたい。

採用デッキ候補

基本的に【サイキック族】系統であれば、真っ先に採用すべきカードとしてあげられる。
複数の種族が混在したデッキであっても、その中のサイキック族モンスターがデッキの鍵になる場合は優先して採用される。
これは【バスター・モード】【リブロマンサー】等が該当する。
一方で【サイキック族】であっても、レベル3以下が全く存在せず種族への依存性も低い【ジャックナイツ】【クシャトリラ】では下記の出張運用をしているのと大差ないため、採用されることは少ない。

そして、レベル3モンスターを特殊召喚するカードとして、様々なデッキで出張要員として活躍し、今でもそれなりに視野に入る存在である。
特にランク3のX素材目的で強力な【P.U.N.K.】ギミックのカードが効果範囲に含まれているため、ランク3中心のデッキで評価が高い。
《緊急テレポート》で《No-P.U.N.K.セアミン》をリクルートし、その効果で《No-P.U.N.K.フォクシー・チューン》をサーチする。
そして《No-P.U.N.K.フォクシー・チューン》の効果で別の星3P.U.N.K.をリクルートすれば、召喚権を残してランク3をX召喚できる。
この時に《Jo-P.U.N.K.Mne.スパイダー》をリクルートすれば、モンスター無効罠の《Jo-P.U.N.K.デンジャラス・ガブ》をついでにサーチできる。
それ以外(ギミックに枠を割きたくない場合)では、S召喚以外だと特殊召喚後はバニラになるが素引きしても容易な自己特殊召喚で腐らない《サイコウィールダー》《サイコトラッカー》や、優秀な手札誘発かつ特殊召喚から効果を使うことも一応できる《幽鬼うさぎ》が主な候補。


この効果で特殊召喚したモンスターは、エンドフェイズ時に除外されるためターンを跨いで場に残すことはできない。
殆どの場合は特殊召喚したターン中に素材として消費するため適用される機会は訪れないが、全く機能していないわけではない。
そのため、それが問題になるデッキでも採用を見送る理由にはなる。

例えば《珠の御巫フゥリ》を特殊召喚する場合。
詳しい性能説明は【御巫】の頁に譲るが、装備魔法を含めた自分のカード全体に耐性を付与させる、高い盤面維持能力を持っている。
これで相手ターンを凌ごうとなる場面もままあるが、《緊急テレポート》で特殊召喚した場合は次のターンを迎える前に除外されてしまう
【御巫】だけでは除外された《珠の御巫フゥリ》を再利用する手立てが無いため、《御巫の水舞踏》で手札に戻してデメリットを解除し別途召喚するなどの一手間が発生する。

《珠の御巫フゥリ》という強力カードへのアクセス手段を得ることはできるため、採用するメリットは大きい。
しかし「デメリットのせいで厄介な状態に陥る」ことを嫌い、《緊急テレポート》を採用しない構築も存在る。

制限動向

このカードは過去に2度、制限カードに指定されている。
いずれも【サイキック族】の活躍とは別に、《緊急テレポート》と一部のサイキック族が出張したことに伴う規制である。

  • 2009年3月1日~制限カード指定
登場から約一年が経過したタイミングで制限指定を受ける。
そもそも当時はS召喚の黎明期であり、デッキからチューナーを引き摺り出せるだけでも大変に有り難がられていた
特殊召喚するモンスターも
  • 実質攻撃力1900の下級アタッカーとして殴ってもよし、星3のチューナーとして素材にしてもよしの八面六臂の活躍を見せる《サイコ・コマンダー》
  • 相手ターンに特殊召喚することで相手の攻撃を無効にし、自分の他のモンスターを戦闘破壊から守る《クレボンス》
と「デッキを選ばす使える」汎用モンスターがいたため、【サイキック族】の垣根を越え様々なデッキで無理なく使用ができた。

特に《サイコ・コマンダー》の存在は大きく、適当な下級モンスターと合わせ《ブラック・ローズ・ドラゴン》を始め星6,星7のSモンスターをS召喚できる。
そして地属性であったため《ナチュル・ビースト》の素材にできる点も、高い評価の一因であった。
当時は星4チューナーはデメリットを抱えて当然という事情も後押しし、「星8より星6,星7の方がS召喚しやすく強い」とまで言わせたほど。
このカードが、それだけの影響力を持っていたことの証になる。

  • 2012年3月1日~準制限カード、2012年9月1日~無制限カード
流石にS召喚発足から期間も経過し、カードプールが拡充されたことで《緊急テレポート》以外の選択肢も増加傾向にあった。
それを受けて、準制限を経て一度無制限カードまで緩和される。

  • 2016年4月1日~制限カード指定
【超量帝】が活躍した影響か、再び制限カードに指定。
このデッキでは《超量士ブルーレイヤー》が《緊急テレポート》の効果範囲に該当し、特殊召喚すれば他の超量をサーチできる。
この時に《超量士レッドレイヤー》をサーチしておけばそのままA召喚し、《帝王の開岩》で帝をサーチできる。
さらにここで《天帝アイテール》をサーチすることで次の相手ターンにA召喚し、盤面構築が捗るという寸法。

  • 2018年7月1日~準制限カード指定
同デッキが環境から退いたためか、準制限カードに緩和されている。

これ以降は現在に至るまで準制限カードのまま立場を維持している。
上記の【P.U.N.K.】を初め、《緊急テレポート》から特殊召喚でき即座にカード・アドバンテージを稼ぐカードも増加。
しかしその動きが環境のインフレに伴い「適正」と判断されたようで、以降は「時々見かける」位の丁度良い立ち位置になっている。

関連カード

《緊急アポート》
通常罠
(1):自分の墓地・除外状態のレベル5以下のサイキック族モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。

WORLD PREMIERE PACK 2024で来日した通常罠。
除外デメリットがなくなり、特殊召喚可能範囲がレベル5まで広がった代わりにリクルートではなく墓地・除外ゾーンから特殊召喚に変更されている。除外ゾーンが対象なのは《緊急テレポート》の除外デメリットを意識したものだろうか。
罠カードなので引いてすぐに使えず、墓地か除外ゾーンに対応モンスターを用意する必要がある、と即効性は《緊急テレポート》より劣っている。
また墓地からなら《戦線復帰》、除外ゾーンからなら《竜嵐還帰》がレベル・種族制限なく行えるというのも問題。

こちらを使うなら蘇生と帰還の両方に対応している柔軟性を活かしたい。
その上で、特殊召喚時に効果が発動するモンスターや相手ターンに特殊召喚する必要がある《被験体ミュートリアGB-88》辺りの特殊召喚を狙うのが基本となるか。

イラストでは《緊急テレポート》のイラストに写っている《メンタルプロテクター》が《パワー・インジェクター》にぶつかっている。
《パワー・インジェクター》は《アポート》のイラストに写っている所からするに、《パワー・インジェクター》が《アポート》で呼び寄せようとした所に《緊急テレポート》で《メンタルプロテクター》がやって来て鉢合わせしたのだろうか。

アニメの活躍

アルカディアムーブメント総帥ディヴァインが使ったカードで、カーリー渚との二度のデュエルで使用。

一戦目では《サイコ・コマンダー》を特殊召喚し、《占い魔女 チーちゃん》を戦闘破壊させてディヴァインの勝利となった。
この時、わざわざ手札から特殊召喚している(後のシーンで手札枚数が1枚減っている)舐めプ行為が確認できる*1
二戦目では《メンタルプロテクター》を特殊召喚するために発動し、そのまま《マジカル・アンドロイド》をS召喚した。今度はちゃんとデッキから特殊召喚している。


またWRGP編にてチームユニコーンのジャンが、アンドレの才能を語る際のイメージ映像にこのカードが登場している。
他に移っていたカード内容から【コアガジェット】と思われる。


追記修正は、《緊急テレポート》で特殊召喚したモンスターをうっかり除外させてしまった方がお願いします。

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最終更新:2025年03月29日 11:39

*1 どうしても《サイコ・コマンダー》を出す必要があれば別だが、この時ディヴァインは攻撃力400以上のモンスターを特殊召喚すれば勝利できる状況だったため、手札の《サイコ・コマンダー》にこだわる理由が無い