マジカル・アンドロイド(遊戯王OCG)

登録日:2024/11/29 Fri 23:08:02
更新日:2024/12/25 Wed 21:30:37
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心の深淵に燃え上がる我が憎しみのよ!

黒き怒濤となりて、この世界を蹂躙せよ!

シンクロ召喚。現れろ、《マジカル・アンドロイド》!


《マジカル・アンドロイド》とは、遊戯王OCGに存在するカードの1つ。
第6期第1弾のパック「THE DUELIST GENESIS」が初出。

カードテキスト

《マジカル・アンドロイド》
シンクロ・効果モンスター
星5/光属性/サイキック族/攻2400/守1700
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
自分のエンドフェイズ時、
自分フィールド上のサイキック族モンスター1体につき、自分は600ライフポイント回復する。

概要

ロング茶髪の女性型アンドロイド(人造人間)のモンスター。
「アンドロイド」という名前からして機械族にも聞こえるし、何ならロイドと名前が付くからビークロイドの仲間だし、「マジカル」という名前で魔法の杖のようなものを持っているため魔法使い族に見えなくもない、
しかして正しい種族はサイキック族である。

効果は1個、自分のエンドフェイズ時にライフを回復する効果を持っている。

自身もサイキック族なので最低でも600回復が確約され、倍率もまずまずなのである程度数を揃えれば中々の値にはなる。
またこの効果は重複できるため、《マジカル・アンドロイド》を2体並べれば2400、3体並べれば5400の回復になる。
流石にここまで展開する(+EXデッキを圧迫する)のは難しいが、回復効果としての勝手はそこそこ。

ただし欠点としては、そもそもライフ回復という効果そのものが軽視されている点
自分のライフを増やす行為は「敗北から遠ざかる」に留まり、「勝利というゴールに近づく」ことはできていない。
また相手が攻勢に回れば数千のライフは簡単に消えてしまうこと、そしてそうした相手の行動を止める「制圧」の方が昨今では重要視されていることも大きな逆風。

漠然と使うだけでは働きに乏しいため、何かしら有効活用する術を見つけたいところ。

まず候補に挙がるデッキは、収録当時の【サイキック族】。
当時のサイキック族の効果設計からして「ここで回復して他のサイキック族のライフコストを賄ってね」という意図の効果であることは間違いない。
サイキック族に限らず《神の宣告》などのライフコストを持つ強力カードは既にあったので、共存させる使い方も択になる。
また【サイキック族】では召喚条件の緩さを活かし、《アルティメットサイキッカー》の融合素材にする分にも都合がよい。
「このカードを素材に上位のSモンスターを出し、墓地に送ったこのカード含むサイキック族で《ミラクルシンクロフュージョン》」という形は、少し後に登場した除外サイキックなどのギミックとも相性が良く自然に狙える。
この点はKONAMIも承知の上だったのか、DUEL TERMINALではディヴァインが専用ボイスを引っ提げて《ミラクルシンクロフュージョン》による融合召喚を行っている。

常にライフコストを要求するキーカードを持つ【天変地異コントロール】の様なデッキでも、ひとまずの延命手段にはなり得るかもしれない。
一方【デーモン】の場合は、《メンタルスフィア・デーモン》の方が優先される。

ライフコストの他に「ライフを回復する」ことそのものを活かす目論みも存在する。
その候補にあがっていたのが【アロマ】【キュアバーン】である。
【アロマ】のカードはLP回復をトリガーに発動する効果を持つため、そのトリガー役として抜擢できる。
種族は一致しない上に回復効果がエンドフェイズと遅い点は噛み合っていないが、S召喚して場に置くだけで勝手に回復してくれる一定の利便性はあった。
ただし12期の強化で「植物族しか特殊召喚できない」制約と引き換えにした強化が来たことで、この役目を終えている。

【キュアバーン】も同様で、置いておくだけで自動的に《ビッグバンガール》のトリガーになってくれることから重宝されていた。
他には《オネスト》やS素材にした《サニー・ピクシー》を《光の精霊 ディアーナ》の特殊召喚コストに転用できる点も嬉しい。
種族を活かしこのカード自体を素材に《サイコ・ヘルストランサー》をS召喚して、起動効果の回復でダメ押しできるなど行動の選択肢を増やせる有力な一枚である。

評価の変遷

ぶっちゃけ、第6期基準で言っても効果は微妙、バニラと大差ない程度の評価である。
時間制限のある大会では既定のターン数が終わった際に、ライフが多いプレイヤーが勝利となるルールであるエキストラターン及びエキストラデュエルでまれに役に立つことはあった。

だが、このカードが登場した当時、多くのユーザーが《マジカル・アンドロイド》を愛用していた。
というのも、そもそもS召喚の黎明期であり《A・O・J カタストル》と共に素材縛りが無いレベル5のSモンスターとして貴重な立場を得ていたことが要因。
素材縛りが無いレべル5なので《ジャンク・シンクロン》1枚からS召喚でき、多くのデッキで気軽に採用できた。
効果で言えば、当時基準では強力な除去効果を持つ《A・O・J カタストル》に比べればこのカードは大きく劣る。
しかし、あちらはDUEL TERMINAL出身のカードで入手機会に難があり、その点こちらはレギュラーパックにノーマルで収録されたため入手は容易。
軍資金(お小遣い)に限りがあった少年少女デュエリストにとって、これは何にも代えがたい利点であった

入手機会の他にも、《オネスト》の効果を受けられる光属性であること、それを抜きにしても「帝クラス」の攻撃力を持ち当時のレベル5Sモンスターで一番高い攻撃力を持っている点も良しとされていた。
最大のライバルである《A・O・J カタストル》は遊戯王OCGの最大派閥である闇属性の前ではただの攻撃力2200に成り下がってしまうことから、攻撃力2400は差別化点としては十分な利点となっていた。
特化させると回復効果も案外馬鹿にならないことから、前述の通り回復を積極的に生かすデッキの採用も見られたという。

しかし時が経過するとともに、続々と新たなSモンスターが登場していく。
他のレベル帯に優秀なSモンスターが増え、展開力も増したことで高レベルのSモンスターも召喚しやすくなり、夙に立場は怪しくなっていく。

そして《マジカル・アンドロイド》の「汎用枠」としての立場を奪った決定的な1枚があった

それがTG ハイパー・ライブラリアン》である
同じ「素材縛りが無いレベル5のSモンスター」であり、カード・アドバンテージを大きく稼げる、とても比較しようがない、現代でも通用するくらい極めて優秀な効果を提げて登場し、全盛期は制限カード送りにされたほど。
しかも攻撃力も同じ2400であり、種族・属性くらいしか差別化しようがない。
更に属性で言えば《TG ハイパー・ライブラリアン》は《A・O・J カタストル》を上から殴り倒せる闇属性である。
光属性である《マジカル・アンドロイド》は最大の利点である《オネスト》が準制限カードになっており、トドメに《TG ハイパー・ライブラリアン》登場から約三ヵ月後に制限カードとなってしまったため、属性による優位性は負けていると言って良い。
おまけにこのカードは週刊少年ジャンプの付録カード。なので本誌を購入すれば確定で入手でき入手難易度が低い。
制限カードになったのなら2枚目として……? とも一瞬思うかもしれないが、それでも《A・O・J カタストル》で十分である。*1

ここから《マジカル・アンドロイド》は汎用カードとしての立場を失い、【アロマ】【キュアバーン】といった回復効果を活躍するデッキでの採用が主になっていく。
しかしそれもSモンスターの強化、さらにその後のX召喚の登場により活躍は困難になってくる。
【キュアバーン】の場合は除去カードが豊富になるにつれ、「1体のモンスターを長時間維持する」狙い自体が困難になってしまい、デッキそのものが成立しないほどの逆風にさらされてしまう。

第6期に出たカードに対して酷な話ではあるが、第12期現在ではこのカードを活躍させるのは難しい。
EXデッキのモンスターそのものの選択肢が膨大に増えたことで、あえて「レベル5のSモンスター」に拘ることも無くなってしまった。

一応、「レベル5のサイキック族Sモンスター」は他にはテーマ縛りのある《ダイガスタ・ガルドス》しか居ないため、サイキック族縛りの強いシンクロテーマが登場した時、ワンチャン日の目を見ることもあるかもしれない。
さすがにそんなテーマが出たら代わりになるSモンスターも一緒に登場すると思うけどな。


関連カード

《サイコ・ヒーリング》
通常罠
自分フィールド上に表側表示で存在するサイキック族モンスター1体につき、
自分は1000ライフポイント回復する。

《マジカル・アンドロイド》が描かれている罠カード。あちらと同じパックに収録されている。
回復倍率は《マジカル・アンドロイド》よりも高く、フリーチェーンで発動できるため相手の《サイクロン》などの除去効果を空振りさせることも期待できる。

ただし根本的な話として「回復のためだけにカード1枚を使う価値があるか」という問題が存在する。
サイキック族のSモンスターには自前で回復効果を持ったカードも多く、使い捨ての回復効果を要する場面は当時の【サイキック族】でもそうそう訪れなかった。
フィールド上にサイキック族モンスターを多く召喚できたなら、むしろ攻勢に回るべき場面なのでその辺りもミスマッチしている。

この辺り、登場当時の《マジカル・アンドロイド》も「回復効果」ではなく「召喚しやすいSモンスター」であることを評価されていたことが分かる。


アニメの活躍

アルカディアムーブメント総帥ディヴァインが使ったカードで、カーリー渚(ダークシグナー)とのデュエルで使用。

《クレボンス》と《メンタルプロテクター》を素材にS召喚し、自身の効果でLPを600回復し先攻1ターン目からライフ・アドバンテージを稼いだ。
しかし次のカーリーのターンで、「マグマックス」効果を持つ《フォーチュンレディ・ファイリー》に破壊され、2400の効果ダメージと400の直接攻撃ダメージを受けさせてしまう。

次のディヴァインのターンでは《早すぎた埋葬》で蘇生し、直接攻撃でダメージを与えつつ1200のLPを回復し、次に《メンタルスフィア・デーモン》をS召喚する手筈を整えた。
しかし1ターンしか猶予を与えなかったカーリーにそんな手は通じず、次のターンで《地縛神 Aslla piscu》により破壊され、1600の効果ダメージを受けたことでディヴァインは敗北した。

そもそもこの試合でディヴァインの役が「ダークシグナーのかませ犬」であったことを抜きにしても、《マジカル・アンドロイド》に対してかなり辛辣な描写がなされている。
というのも前述の通り、「回復効果を使った次のターンに破壊され、回復分を上回るダメージを受ける」流れが2度も発生している。
ライフ回復そもそもの目的「負けにくくなる」すら全うさせていない役回りは慈悲がない。

また攻撃方法は杖から火の玉を一発放つという地味なもので、直接攻撃を受けたカーリーは怯みすらしていない。
前のターンで直接攻撃した《フォーチュンレディ・ファイリー》(ATK400)では、ディヴァインが壁に叩きつけられ攻撃後に直立できないほどだったというのに…。

他にも、
  • そのデザインや効果に反してやけに召喚口上が禍々しい(というか、このカードのことが全く反映されてない「ディヴァインの感情」でしかない)
    • もっと言えば彼のエースである《メンタルスフィア・デーモン》の口上もディヴァインが抱えたこの世への恨みが滲むもので、どちらにも「出そうとするカードの要素がほぼ無い」という特異性がある。
  • 召喚演出や攻撃方法で「炎」が強調されているが、このカードは光属性
と、何かと細かい突っ込みどころが多い。


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最終更新:2024年12月25日 21:30

*1 しかも《TG ハイパー・ライブラリアン》の登場とほぼ同時期に《A・O・J カタストル》は再録され、入手難易度が大幅に緩和されている