ひみつ道具を利用した商売

登録日:2024/12/31 Tue 17:48:00
更新日:2025/04/23 Wed 13:34:24
所要時間:約 30 分で読めます





ここでは、漫画ドラえもん』における、ひみつ道具を利用した商売について記述する。




【概要】

『ドラえもん』と言えば、野比のび太がひみつ道具を悪用した結果、しっぺ返しを食らうという結末が多い。
その悪用パターンについては大小のイタズラやいじめっ子への過剰攻撃などが主立つが、中には道具の持つ有用性を対価に利益を得る「金儲け」という悪手も度々見られる。

のび太が計画するこれらの商売は最終的には失敗に終わることが多い。
だが、勉強はてんでダメでも道具が絡んだ途端天才的なひらめきや発想を見せるのび太の特異な人間性や才能といった真骨頂を表している。
同時に、就職できず起業し自ら火事でオジャン*1にした未来においても健在な彼自身の商才やバイタリティにも直結していると見て取れる。

しかしその一方で、道具に潜む欠点や危険性等注意点に対し無知だったこと、需要や供給に対する理解度の欠如、そもそも経営戦略や事業に無理が生じていたことで失敗に終わるケースも存在する。
酷い時には一銭の利益も得られぬまま多額の負債だけを残し廃業といった悲惨な事例も。


先に書くが、




※犯罪です




※犯罪です




大事なことなので二回言いました




あくまで個人的に使うための道具なんだ。金もうけなどもってのほか。


そもそも作中でドラえもんが何度か説明しているように、ひみつ道具はあくまで私的使用および公的使用でも非営利を前提に生産されるものであり、営利目的で使用することは未来の法律で禁じられている。発覚次第、莫大な罰金が課せられてしまう。
また21世紀の我々の目から見ても高額転売や違法試聴、超危険ガスの販売など倫理的に「これ大丈夫じゃねえだろ」と一目でわかるようなものもありF先生は半世紀以上前からこれらの悪徳ビジネスに対する警鐘を鳴らしていたのかもしれない……。

もっとも、この設定自体は連載途中のエピソードから登場したこともあり、話によっては度々なかったことにされている。
そのため、回によっては事業を考案したのび太にドラえもんが大いに賛同することさえある他、のび太ではなくドラえもん自ら起案した商売もある。中には金儲けそのものが目的ともいえるひみつ道具まで登場したことすらあった。
また、それによって警察に注意ないし逮捕されるようなエピソードも皆無なので、ドラえもんの嘘か誇張の可能性も否定しきれないところもある*2

そんなのび太たちがこれまでに興したひみつ道具による数々の商売記録を、日本標準産業分類の大分類に基づいて紹介する。
なお、この項目で扱うものは事業内で金銭授受が発生する営利活動であり、無償による人助けなどボランティア(非営利)にあたるもの、料金設定がないものは商行為に当たらない*3ため、ここでは扱わないものとする。

※具体的な商号・屋号・事業名が登場しない場合は仮の名称を記載する。◆は事業起案者。

【電気・ガス・熱供給・水道業】

●ドラ会社

登場エピソード 『地底のドライ・ライト』(てんコミ第33巻)
従業員 ドラえもん(社長*4兼セールスマン)、のび太◆
使用道具 ドライ・ライト
料金設定 100g:100円→200円→300円→500円
事業内容 エネルギー事業

太陽光から生成された未来の新エネルギー「ドライ・ライト」は、熱源や光源などあらゆる場面に活用できる無限の可能性を秘めていた。原料は日光なので生産コストもかからない。

エネルギー資源の枯渇が不安視されゆく現代にとって、そして小遣いとドラ焼き不足にあえぐネコ型ロボットにとっても、この画期的な新エネルギーは救世主になり得るではないか。
道具の商売に反対するドラえもんをのび太が口車に乗せ、ドラ会社は発足した。

この事業ではのび太のひらめきだけでなく、ドライ・ライトの実演販売や見本サービスなど効果的な販促によって需要獲得につなげるドラえもんの手腕とドラ焼き食べたさに阿漕な価格吊り上げを繰り返す腹黒さが見もの。

経営はかなり順調だったものの、とある一つのうっかりミスにより廃業に追い込まれることとなる。


【情報通信業】

●のび太放送協会

登場エピソード 『のび太放送協会』(大全集第5巻)
従業員 のび太、ドラえもん
使用道具 テレビ局セット、チャンネル割りこみスイッチ
料金設定 スポンサー料:500円
事業内容 テレビ放送事業

将来テレビディレクターを目指すと語るスネ夫に対抗し「テレビ局の社長になる」と意気込んだのび太。これにドラえもんも大賛成したことで、のび太放送協会が開局した。

番組のアイディアこそ湧き出るものの、付きまとうのは金の問題。どうにか近所の売れないパン屋がスポンサーに就いたものの、スポンサー独断による恐ろしくつまらない長時間番組の強行により視聴率は激減。
ディレクター志願のスネ夫の提案で放送した「ビックリカメラ」で巻き返しを図るが、色々あってジャイアンを歌手として歌番組に出演させることになってしまい、視聴率は一気に0%へ
とうとう予算は底をつき、出演希望者(静香たち)から逆に「出演料」を徴収するという体制に切り替えてしまうのだった

●テレビ局

登場エピソード 『テレビ局をはじめたよ』(てんコミ第11巻)
従業員 のび太*5(社長)、ドラミ◆
使用道具 インスタントテレビ局*6
料金設定 不明
事業内容 テレビ放送事業

歌番組出演を果たしたズル木に自慢されたのび太は、どうしてもテレビに出たい欲が抑えきれない。「なら自分でテレビ局を作ればいい」というドラミの発想により開局に至った。

各番組でクラスメートに出演を依頼、近所の銭湯や菓子屋などスポンサーも付き始め快調かに思われたが、「のび太放送協会」と同様、タレント・スポンサー共に編成を無視した勝手な進行が目立つように。肝心の視聴率も下落の一途を辿り、1日で閉局となった。

●ノビタレコード

登場エピソード 『ジャイアンの心の友』(てんコミ第11巻)
従業員 のび太、ジャイアン(所属アーティスト)
使用道具 レコード製造機
料金設定 不明
事業内容 レコード制作・販売・アーティスト契約

きっかけは親切心を通じていじめっ子と親密な関係を築こうというドラえもんの提案から。歌手を夢見るジャイアンのために全自動でレコードを製造できるひみつ道具を提供したのび太は見事「心の友」と認められるのだった。

『乙女の愛の夢』でデビューを果たした新人歌手・剛田武。彼の力強き「営業」の甲斐あって町中からはジャイアンの歌声が響き渡るように。のび太との仲も友好になり、これで一件落着かに思われたが…。

●遠写かがみ広告

登場エピソード 『かがみでコマーシャル』(てんコミ第14巻)
従業員 のび太◆、ドラえもん
使用道具 遠写かがみ
料金設定 15秒スポットCM放映料:100円
事業内容 広告代理、広告配信

周囲の鏡に映像を写し出すという悪戯にしか使い道のない「遠写かがみ」。そんな道具にさえ新たな活路を見出すのが商売の雄・のび太である。

それは鏡や窓、水たまりなど町中の透き通る物に映像を写すコマーシャルの放映サービスというもの。

大儲けすると踏んだドラのびは喜び勇んで広告主を探すが、近所の商店街はCMが要らないほど軒並み繁盛していることや、あまりに斬新過ぎる広告手法故になかなか契約に漕ぎ着けず。

苦労の末に目をつけたのは裏通りの売れない和菓子屋。
品質は良いが立地や外観で損をしているこの店をモニターに、半ば強引に大々的な宣伝広告に乗り出す2人だったが…。

発想こそ見事だったものの、人を惹きつける広告はおいそれと生まれるものではない業界の厳しさを思い知らされたのび太たちであった。
しかし、ある事がきっかけで…?

放映系3つは実現したひみつ道具項で触れているように、YouTubeやニコ動に動画を投稿すること自体が名声、果ては職業となった現在では「YouTuberを連載当時の世情なりに予見した」作品ともいえる*7。ノビタレコードもシンガーソングライター系のチャンネルは普通に存在するし、作曲作詞の腕さえあればボーカロイドソフトを買ってくればジャイアンに相当する人物すら不要で"公式"配信チャンネルを開設可能であることを考えればこれに含めてよいだろう。というかボーカロイド・ボイスロイド自体ひみつ道具色の強いソフトウェアといえなくもないか。
ちょっと考えればアウトすぎる企画を強行してチャンネルごとつぶれた、なんか、現代の漫画だとまあまあ「ダメすぎる動画投稿者」のステレオタイプとして使われてるし…

●週刊のび太編集

登場エピソード 『週刊のび太』(てんコミ第17巻)
従業員 ドラえもん◆、のび太、編集ロボット*8
使用道具 雑誌作りセット、遠写かがみ
料金設定 1冊:100円
事業内容 漫画雑誌の発行

新人まんが賞に作品を応募したが佳作にすら載らず不満顔ののび太。客観的に自分の漫画を見れねーのか*9
「載らないならば自分で雑誌をつくればいい」というドラえもんのアイディアから「週刊のび太」は産声を上げたのだった。
だが、のび太渾身の力作「だけ」を掲載した創刊号はタダでも読まないレベルの低クオリティーが仇して一冊も売れず。在庫は全てちり紙交換行きに。

その後、編集ロボットを交えての緻密なマーケティングによる誌面改善を重ねた第2号は打って変わって完売を達成。次作についても読者から大いに期待されていたが、のび太先生のご都合につきわずか2号で廃刊となった。

有名漫画家の作品を見本として入れて新作を出力し、第2号に掲載していたが権利的には完全にアウトである

●テアトルのび

登場エピソード 『のび太の部屋でロードショー』(てんコミ第18巻)
従業員 のび太◆、ドラえもん◆
使用道具 ただ見セット
料金設定 〈映画〉1回:2000円
〈後楽園中継〉1回:10円、年間定期:100円
事業内容 劇場用映画・プロ野球中継・コンサート等の上映・ライブ配信

カメラとなる送信機をその場所に取り付けるだけで、受信機を通じて映像を投影できる『ただ見セット』。ドラえもんはのび太にこの道具を利用した暗い知恵を吹き込む。


あちこちの映画館や劇場に、とりつけておくんだ。

すると、ただで映画やしばいが見られるの!

あとはもうおわかりだろう。『テアトルのび』なる劇場を立ち上げた2人は、映画館のみならず、球場や国技館、武道館などあらゆる施設に送信機を設置。
現代でも問題となっている違法動画配信サービス…わかりやすく言えばCMシリーズ『映画泥棒』や『あげるくん』で怒られてるあれの先駆けである。

何よりひみつ道具じゃなくても十分アウトな商売ドラえもんが嬉々としてのび太に持ち掛けている点が本話のミソ。一応失敗に終わったとはいえとことん救いようのない悪ノリっぷりである。


【運輸業・郵便業】

●二次元収納

登場エピソード 『チッポケット二次元カメラ』(てんコミ第20巻)
従業員 のび太◆
使用道具 チッポケット二次元カメラ
料金設定 1回:10円
事業内容 倉庫業

どんな物も写真に収めてコンパクトに収納することができる『チッポケット二次元カメラ』で、「物の置き場に困っている人のために」と収納ビジネスを始める。
写真だけに置き場となる「倉庫」は家のアルバムを使用。しかし、偶然来客があったためにとんでもないトラブルが発生し…

●のび太航空

登場エピソード 『のび太航空』(てんコミ第28巻)
従業員 のび太◆(機長)、ドラえもん(航空管制官)、静香(スチュワーデス)
使用道具 三輪飛行機、タケコプター
料金設定 わずか飛行距離1kmまたは飛行時間10分:10円(重量超過による加算運賃検討中)
事業内容 国内線旅客機の運航、空港運営

ジャンボジェットのパイロットを夢見るのび太が「今すぐパイロットを始める」の一声でいつもの空き地に開設した空港兼航空会社。国内線のみ。
当初こそいつものメンバーから「幼稚」と相手にされなかったものの、間もなく掌返しとばかりに利用客となる。

しかし、人力で2人乗りなど所詮「未来の遊園地にある遊具」に本式旅客機並みの輸送性能や座席の快適性が期待できるはずもなく、スチュワーデスの緊急雇用によるサービス面拡充が関の山。
その後発生したハイジャック事件・ハイジャック犯の爆撃・機長が乗客に放尿する奇行・墜落事故*10の影響で1日と待たず廃業となった。

●ドラネコたっきゅうびん*11

登場エピソード 『地図ちゅうしゃき』(てんコミ第45巻)
従業員 のび太
使用道具 地図ちゅうしゃき、虫眼鏡
料金設定 1個口:10円
(※作中では開店記念サービスにつき無料)
事業内容 小口荷物の輸送

キャッチコピーは「やすい!はやい!かくじつ!」。10円で好きな場所(一般的な地図に収録されているエリアに限る)へ荷物を即時送り届ける新時代の宅配サービス。
だが、届け先となる地点を正確に指定しなければならない器用さを要する配送システムが仇なし、最初の依頼すら「かくじつ」に届けられなかった上、発送元の荷物を汚損という運送業にあるまじき不祥事を犯した。
営業に訪れたのび太は開店記念として無料サービスとしたため一円の利益も得られず終いに。
「どこでもドアの方が早いんじゃないの」とは静香の弁。(のび太は「それじゃおもしろくない」と反論していたものの)その通りとしか言いようがない


【小売業】

●夜の販売

登場エピソード 『夜をうります』(てんコミ第10巻)
従業員 のび太◆、ドラえもん
使用道具 つけると暗くなる電球
料金設定 1時間レンタル:10円
事業内容 照明器具の販売・レンタル

光ではなく闇を放つ電球という一見需要のなさそうな代物も、のび太の観察眼にかかればお客も飛びつく人気商品に。事実、日常生活において暗闇を必要としている人も少なくなかった。
ついには暗い方が仕事が捗ると宣う者も現れ…。
最後に若干ケチはついたものの、商売として致命的というほどではなく、全体的には成功と言える。

●古物商即売会

登場エピソード 『自動販売タイムマシン』(てんコミ第11巻)
従業員 のび太
使用道具 自動販売タイムマシン
料金設定 トモエ鉛筆(4銭):1円
事業内容 菓子類・文房具類のディスカウント販売

新しいカメラが欲しいが金欠ののび太は、過去や未来の商品を当時の価格で購入できる『自動販売タイムマシン』に着目する。
顧客からの前金を元手に、物価が安かった昭和前期の商品(鉛筆、チョコレート、キャラメル等)を販売機より仕入れ、「半額以下」と銘打った現代基準の適正価格による超激安即売会を空き地で開催。
顧客はのび太と同年代の子供ばかりだったこともあり、「デザインが変わってる」と思われるだけで当時の価格に利益を大幅に上乗せしている疑惑をかけられることはなく、4銭の鉛筆1本を25倍の1円で売るという転売としては…少なくとも現代社会が前提の作品としては…暴挙レベル*12の所業に異議を唱える者もいなかった。
結果、莫大な利益を得られご満悦ののび太。この後事業とは直接無関係の消費行動で大損害を被ってしまうのだが、一応商売としては珍しく大成功したといえる。

●のび太グッズ販売

登場エピソード 『キャラクター商品注文機』(てんコミ第28巻)
従業員 のび太
使用道具 キャラクター商品注文機
料金設定 不明
事業内容 オリジナルキャラクター商品の企画・販売

好きなキャラクターのグッズを製造・購入できる道具で、自らをモチーフにした「のび太グッズ」を売り出すことにしたのび太。
そもそもの経緯は、この注文機が有償であることを知らずに大量の品物を注文してしまったことから転売で元を取るためというもので、いつもの金儲けとは目的が若干異なる。
のび太プラモ、のび太超合金のび太えんぴつ、のび太ノート、さらには女の子をターゲットとした人形やパンツなど豊富なラインナップを強みとしていたが「そんなかっこ悪いものタダでも要らない」「字が下手に書けそう」「成績が下がるんじゃないの」などとボロクソにこき下ろされ一個も売れなかった

のび太が興してきた数あるビジネスの中でも指折りの相当額な大赤字を記録。のび太の商才も彼自身の需要の無さには敵わなかったようだ。

なお現実世界のキャラクターグッズには印税があるが子供にはわかり辛いためかそっちでも儲けられるのかは不明。

余談だが、現実ではS.H.フィギュアーツなどに「のび太の高年齢層向けフィギュア」が存在する。

【不動産業・物品賃貸業】

●アパートごっこ

登場エピソード 『アパートの木』(てんコミ第10巻)
従業員 のび太、ドラえもん
使用道具 アパートごっこの木
料金設定 家賃1ヶ月:100円
事業内容 アパート建築・経営

アパート暮らしに憧れるのび太のために、地面に植えると地下茎が部屋のように変形する『アパートごっこの木』をドラえもんが使用したのが発端。部屋は幾つにも分かれているため友達も住まわせることにした。家賃はなんと100円。安過ぎる。

快適・激安の地下アパートは大好評だったものの、この道具にはドラえもんも知らなかった大きな落とし穴が…。夢のアパートは一日にして潰えたのであった。

この件によって入居者らの家財道具も大きな損害を被ったため、かなりの負債を抱える結果になったと思われる。

●四次元マンション

登場エピソード 『四次元たてましブロック』(てんコミ第27巻)
従業員 のび太
使用道具 四次元たてましブロック
料金設定 家賃1ヶ月:100円
事業内容 マンション経営

自宅の階数を自在に増減できる『四次元たてましブロック』の魅力に取りつかれたのび太はまたもや賃貸経営を画策。
ワンフロアで家賃は月100円。だから安過ぎる。トイレなどは共同で1階のみ*13、大家の家庭的事情によるさらなる増築でタワマン化が進むにつれ*14、エレベーターなども設置されていない点など不便要素が目立つ地雷物件となった。

●厚みぬきとり駐車場

登場エピソード 『厚みぬきとりバリ』(てんコミ第39巻)
従業員 のび太◆
使用道具 厚みぬきとりバリ
料金設定 1台:10円
事業内容 駐車場経営

物体の厚みを抜き取りペラペラにできる道具を知ったのび太は、いつもの空き地が駐車場代わりにされている問題の解決という名の金儲けを閃めかせる。

1台10円という破格値かつ全く場所を取らない画期的な駐車場ビジネスは順風満帆に見えたが、厚みを抜き取った物は水に濡れると元に戻るという特徴が屋外駐車場とはあまりにも相性が悪く……。

●体のパーツレンタル

登場エピソード 『手足七本目が三つ*15(てんコミ第7巻)
従業員 のび太◆
使用道具 つけかえ手ぶくろ、人造目玉、その他体の部品(手・足・鼻・口など)
料金設定 1日:10円
事業内容 人工身体部品の賃貸および移植

顔のパーツや手足などを簡単に付け替えしたり好きな位置に取り付けることができる『つけかえ手袋』。
お年玉はもらえたが物価高に悩むのび太は、ドラえもんの制止を振り切り「体のパーツを1日10円レンタル」という新たなグロテスクすぎる商売を思いつく。
スネ夫宅に招かれたのび太は、自らお腹に取り付けた「口」と「腕」で、こっそりおやつを食べるというイタズラを仕掛ける。その後、友達の前でネタばらしがてら饒舌な宣伝を披露。
セールスマンの才を心憎いほど見せつけるが、肝心のパーツが欠陥だらけな上、所望するあるパーツがないことを聞かされて逆上したジャイアンが暴れたことであえなく廃業となった。

※あくまで道具のレンタルであるため、この項目では「物品賃貸業」として扱うが、つけかえ手袋の性質上、整形手術あるいは義肢装着サービスが発生するため「医療」に該当する可能性もある。

【娯楽業】

●有料ハイキング場

登場エピソード 『へやの中の大自然』(てんコミ第20巻)
従業員 のび太◆
使用道具 地面じゅうたん、けしきテント、立ち木スタンド他
料金設定 1名:10円
事業内容 室内遊戯場運営


山はまねくよ
徒歩一分で
きみは山の中にいる
さわやかなミドリ
小鳥の声
小川のせせらぎ
さあ行こう!!

ひみつ道具で自分の部屋を山の中のような空間に改造したのび太。「有料ハイキング場にして金儲けしてはいけない」というフリ全開の忠告を残し外出したドラえもんをよそに、またもや新事業に手を染めてしまった。上記のやたら詩的なキャッチコピーからして、後ろめたさは欠片もなかったことは間違いないだろう。

そこそこの集客はあったものの、元はのび太の部屋であることも忘れ、本物の自然と同感覚で好き放題した客らに部屋を汚され、ママに叱られてしまうのび太だった。
儲けがどうなったのかは不明。


【サービス業】

●廃品リサイクル

登場エピソード 『タイムふろしき』(てんコミ第2巻)
従業員 のび太◆、ドラえもん
使用道具 タイムふろしき
料金設定 不明
事業内容 廃品回収、リサイクル品販売

おなじみ『タイムふろしき』で、古い品物を新品に戻し販売するという商売を思いついたのび太。
静香やスネ夫から不用品を回収し、新品に戻すところまではうまくいったものの、ふろしきをスネ夫に盗られてしまったため事実上の廃業となった(戻した新品のその後の扱いは不明)。

●ネズミたいじ会社

登場エピソード 『ネコが会社を作ったよ』(てんコミ第15巻)
従業員 ドラえもん◆、のび太(窓口)、子ネコ4匹
使用道具 タイマー、デンデンハウス
料金設定 1ヶ月:100円
事業内容 害獣駆除業

拾ってきてしまった捨て子ネコがママに見つかりやむなくもらい手探しを行うもアパート暮らしで飼いにくかったりネコを食っていると思われる超絶やべーやつに追いかけられたり*16と難航していたのび太。そこでドラえもんは、飼い手がおらずともネコたちが自立して暮らしていけるシステムを考案する。

毎日規則的に任意の行動ができるようになる『タイマー』を使い、ネコらに契約先の家庭へネズミ駆除の仕事に向かわせ、料金をペット屋に払い込んでもらう。そしてペット屋には毎日キャットフードをネコたちに支給させる…という仕組みである。
その日からネコたちは、住処兼事務所となるデンデンハウスを拠点とし、家々を周りネズミ退治で生計を立てるようになった。

利益はあくまでネコの月給扱いで全て餌代に充てられるため、作中に登場するひみつ道具を使用した商売としては異例の「金儲け目的ではない、第三者の生活を保証するための起業」である。現実だと「週刊ビッグイシューの編集部・運営本部」などに趣旨が近い*17
また、作中で最後まで成功した事業として描かれた数少ない例とも言える。

●のび太消毒社

登場エピソード 『狂音波発振機*18(てんコミ第17巻)
従業員 のび太◆、ジャイアン*19
使用道具 狂音波発振式ネズミ・ゴキブリ・南京虫・家ダニ・白アリ退治機*20
料金設定 1回:100円
事業内容 害虫・害獣駆除業

ジャイアンの歌がネズミやゴキブリなどに対し圧倒的な殺傷力を持つことを知ったのび太が立ち上げた害虫駆除業者。ジャイアンの有毒音波が必須となるため*21、本人には各地でワンマンショーの巡業と偽った上で駆除に利用。

源家、骨川家と確かな結果を残してきたのび太消毒社だったが、予期せぬ来客によって創業以来最大の危機が訪れる…。

●ヘソリンガス供給

登場エピソード 『ヘソリンガスでしあわせに』(てんコミ第25巻)
従業員 ジャイアン◆、スネ夫
使用道具 ヘソリンスタンド
料金設定 1回10円
事業内容 「ヘソリンガス」の供給

1回体に取り込む度に30分間痛みや苦しみを感じなくさせる『ヘソリンガス』をのび太から知ったジャイアンとスネ夫がスタンドを借りて商売を始めてしまう。

例によって料金だけは良心的だが、「危険なひみつ道具」でも説明されている通り、問題点は「痛み」という身体への危険信号を打ち消してしまうヘソリンガスの危険性とその効果への慢心からくる中毒性。
実際、一度ガスを注入した多くのクラスメートが中毒状態になっており、「ひかり号に撥ねられる」「東京タワーから飛び降りる」など何処まで冗談か判断しかねる危険な行為について軽々しく口にする者まで現れる始末。

以上のことから、やってることは麻薬の密売と変わらず、一歩間違えれば人命に関わる事態になっていたかもしれない。
そもそもこんな道具を出したドラえもんや販売する未来デパートも大概だが…。

●なんでもひきうけ会社

登場エピソード 『なんでもひきうけ会社』(てんコミ第37巻)
従業員 のび太◆、静香(秘書)
使用道具 スペアポケット、かべ紙会社、ガードマンロボット、もはん広告ペン、万能コピー、復元光線、インスタントロボット
料金設定 依頼内容による
事業内容 総合サービス

ドラえもんのポケットに着目したのび太がこっそり始めたビジネス。

この回では「ひみつ道具を金儲けに使ってはいけない」という未来の法が改めて強調されており、これまでに何度ものび太の甘言に乗せられてきたドラえもんも彼の提案に猛反発したため、のび太がスペアポケットを盗む形での事業となった。
また、のび太の動機も「単に会社を作り儲けたい」という程度の目標で、事業内容については定められておらず顧客からの依頼内容に応じて使う道具も様々だったりなど、他の道具ビジネスとは毛色が大きく異なる。
ある意味のび太のひみつ道具商売の総決算ともいえる「なんでもひきうけ」る総合事業である。

ひみつ道具を抜きにすればほぼ同一のサービスを「(街の)なんでも屋」として行っている事業者は結構見られ、創作物でもテレ朝作品だと戦隊シリーズなどに営んでいる人物が登場している*22。性質上営利ではないがトロピカる部も旗揚げの経緯とかはかなり近い。
この点ではのび太の「可能であればなんでも依頼を引き受けることが事業」というのそのものはあまり非現実的でもないものではあるだろう。

●不用品回収

登場エピソード 『ハメルンチャルメラ』(てんコミ第41巻)
従業員 のび太◆
使用道具 ハメルンチャルメラ
料金設定 1回:10円
事業内容 ごみ・廃品回収

『ハメルンチャルメラ』は、吹くと物がひとりでに山の中へ行ってしまうラッパ型の道具。これを粗大ゴミに使えば労力を伴わずに山へ廃棄できることができると考えたのび太は早速商売に利用する。

山の自然を破壊するビジネスとしては問題ありだが*23、最終的に620円もの儲けを得ており、かなりの成果を出したといえる。


【公務】

厳密には商売行為ではないが、ひみつ道具を通じて経済活動が発生した公務事業について記述する。

●税金ごっこ

登場エピソード 『税金鳥』(てんコミ第22巻)
従業員 ドラえもん◆
使用道具 税金鳥
税率 所持金~999円:10%
1,000~9,999円:30%
10,000円~:70%
事業内容 徴税

お小遣いの金額差に不満を漏らすのび太の頼みでドラえもんが『税金鳥』を出したのが事の発端。小遣いや貯金の総額に応じて税金を徴収するシステム*24にジャイアンも大賛成。

使途はジャイアンズのユニフォームや球場、まんが図書館などやけにスケールの大きいものばかりが挙がっていた。
税金使途として適正かは疑問がつくものばかり。*25

なお、徴税対象は所持金および新たに得た所得のみであり、贈与税は対象外であった。スネ夫はこれを利用して脱税を働いている。

●雲の王国

登場エピソード 大長編『のび太と雲の王国
従業員 のび太◆、ドラえもん
使用道具 雲かためガス、ロボッター、自動万能工事マシン他
料金設定 1株:100円
事業内容 株式国家

雲の上に王国を造るユメのようなプロジェクトを進めるのび太とドラえもん。
『ロボッター』を使った「雲ロボット」や工事機などは生産効率が向上するもあいにく数が限られ、さらなる導入には「予算」という実にユメのない壁が立ちはだかる。
そこでのび太がひらめいたのは、王国建造の株主を募り資金を確保するという「株式王国構想」
ノーヒントで国債システムを思いつくあたり、賢いのかなんなのか…

それまで秘密にしていたジャイアン、スネ夫、静香に株を買ってもらうことになり、静香は1株、ジャイアンは半株*26、金持ちのスネ夫はなんと300株も購入した。
スネ夫も大株主としてジャイアン相手にも威張っていたが、あっさり形勢を覆されていた。


【余談】

実は原作者である藤子・F・不二雄先生こそ、小学生の頃に金儲けを見出すセンスの持ち主であった。
戦時中だった当時、学校では魚の肝を飴玉のように固めた「肝油」を一人あたりひとつ配給していたのだが、これが欲しくなった彼は効率的に取得する方法を思い付いた。
それは似顔絵を描く代わりに肝油をもらうというもので、後にコンビを組むことになる我孫子氏と共に肝油の荒稼ぎに精を出したのだという。

こうした金儲けのセンスはのび太に留まらず、『パーマン』のパーマン4号ことパーやんも発揮している。
彼はのび太のようなドジ要素が薄いおかげで、同作のファンからは「頭脳明晰な有能キャラ」と評価されるまでに至っているうえ、ある短編ではあちらの主人公に「商売人の先輩」かつ「超常的な力を『世のために使うからこそ』営利に使う判断をした先達」として助言を与えるシーンまで存在する。

【関連項目】

  • ドラえもんのどら焼き屋さん物語 - カイロソフトのゲーム作品。どら焼き屋を経営するおじいさんに代わって、ドラえもん達がひみつ道具を総動員しつつ大繁盛を目指すという内容。ゲームのコンセプトが成り立たなくなっちゃうのでひみつ道具の営利利用禁止については勿論なかったことにされている。



将来といわず、いますぐWiki籠りをはじめる。

え?



のび犬 VV !|< ! 伐イ〒ネ±

門偉いだらけ、戶悪寺門木疋のエ貝日に、お囚りの万へ
わがネ±が、伐わりに遍隼いたします
どんなξ白言巳・杉止も、おイチせTさい

〜 米”十 全 〜
1囘 10冉

お間い会わせは野比のび犬まで




のび太くん、これじゃなんて書いてあるのかわからないよ

じゃあ、もはん広告ペンを貸して



のび太 Wiki 代行社

間違いだらけ、所要時間不足の項目に、お困りの方へ
わが社が、代わりに編集いたします
どんな追記・修正も、お任せ下さい

〜 料 金 〜
1回 10円

お問い合わせは野比のび太まで


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最終更新:2025年04月23日 13:34

*1 実は潰れたのは火事から2年後である。どうやら一定の経営力はこちらの歴史でも持っていた模様

*2 ただし、時空犯罪者やそれを取り締まるタイムパトロールは度々登場するので、何らかの法的措置がある可能性は否定できない

*3 例として『カムカムキャットフード』本当に客を招くまねき猫の配布事業、あくまで本人やジャイアンからのお願いの形で何度か行っているジャイ子の同人サークル結成の参加希望者探しなど

*4 のび太が指名。

*5 「ドラミちゃん」ではのび太郎。

*6 わさドラ版での名称。

*7 そもそも『ドラえもん』単体の公式chが現在はある。考えようによってはまさに『ドラえもん』を作っている人たちが作中のひみつ道具に追いついたともいえる

*8 『雑誌作りセット』の一部。

*9 のび太の漫画に対する審美眼は周囲からも一目置かれており、「面白いと思った漫画はヒットする」という自負があるほど。メタ的に言えば『週刊のび太』の時点でその設定がなかったのだが。

*10 ちなみにさりげなく日航350便逆噴射事故が当時の時事ネタとして組み込まれている

*11 わさドラ版では「ドラねこきゅうびん」。「宅急便」がヤマト運輸の商標であるため。

*12 作品世界の前提からして一般的な転売ヤーと異なる、を含めれば「高額な乗り物(しかも作中基準でも盗品)を転売したあげく、起動キーを別売にした」などこれ以上にノーモラルな主人公もwiki内に項目がある。のび太がまずいのはひみつ道具前提とはいえ現代設定+フリマサイトではなく(身元が確実に割れる)対面販売でこれやった点

*13 一応原作当時では「いわゆるアパートであれば」バスルーム系統が共用の1つだけ、のことはまだ珍しくなかったようだ。『クレヨンしんちゃん』のまたずれ荘をさらにショボくしたのを想像してもらえればおそらくだいたいあってる

*14 家がマンションにされていることを知り怒った玉子からのび太が逃れるために階数を増やした。このエピソードのオチもこれが前提

*15 てんコミでは『ねこの手もかりたい』に改題。

*16 流石にヤバすぎたためか水田アニメでは熱烈な猫好きの女性に変更された。ただしこっちはこっちで両目がハートのクンカーであるため別の意味でヤバいが......

*17 あちらは国内・海外共通でホームレスの社会復帰支援が主目的。

*18 現在の版では『驚音波発振機』

*19 会社の存在は知らされていない。

*20 現在の版では「驚音波発振式ry退治機」余談ながらドラえもんの道具の中では名前が最も長い。

*21 ドラえもんが退治機専用のテープを紛失したため。他のエピソードでもジャイアンの歌が「ひみつ道具使用上は兵器や駆除系の農薬に等しい」扱いをされることはたまに見られる

*22 後者は屋号や先斗本人による事業内容説明は明らかに異なるが、少なくとも作中で請け負っている「始末ひきうけます」の内容はノッさんの「町内のニーズ、なんでも引き受けます」とほぼ同様の依頼も見られる

*23 のび太の性格を考えると、後で別のひみつ道具を使って処分するつもりだった?

*24 10000円以上の7割という税率は高すぎると思われるかもしれないが、消費税がなく税収の大半を所得税が担っていた掲載当時、現実の所得税の最高税率も7割程度だった。

*25 国家直営の組織が野球チームを持っていた例自体は国鉄スワローズ(球団名の通り、現在のヤクルト)がある

*26 企業や証券会社にもよるが、売買単位未満での取引を認めているところは実際にも少なくない。そもそもたいていの大手証券会社は100株を建前上の最低取引単位としているが、実際には「対応している銘柄限定」「証券所が開いている時間帯の取引限定」など条件付きで1株単位での売買ができるところは珍しくなく、のび太が購入口数・購入者数を増やすの優先で半株購入もありにすることを思いついていても不自然ではないと思われる