光の教団(DQⅤ)

登録日:2025/02/05 Wed 00:20:00
更新日:2025/04/16 Wed 21:40:19
所要時間:約 9 分で読めます





【概要】

光の教団とはゲーム『ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁』に登場する宗教団体。
そして主人公の運命を狂わせ続けた元凶とも言える敵組織である。
表向きは『教団の教えに従えば光の国へ辿り着ける』を謳い文句とする宗教団体だが、実態は魔王ミルドラースの配下である大教祖イブールが伝説の勇者の誕生を阻止するために暗躍していた、魔物が牛耳る悪の組織。
各地から数多くの子供*1や多くの人間を拉致して奴隷とし、本拠地であるセントベレス山の頂上に大神殿を建設するための過酷な労働をさせていた。


【作中の動向】

光の教団の名前自体は青年期後半に出てくるが、組織自体は幼少期から関わりがある。
主人公とヘンリーは幼少期に組織の幹部、ゲマによって目の前でパパスを殺され、しかも上述の様に過酷な強制労働を強いられていた。
そんな生活を10年続け青年になった主人公とヘンリーは元々は教団で働いていたが奴隷の身に落とされた女性マリアと出会い、マリアを看守から助けたことでマリアの兄ヨシュアからマリアを託され共に脱出することになる。
何とかどう考えても死亡する可能性が高い手段で脱出に成功した三人は新たな人生を歩み始めるのであった。


それから時は流れ、プレイヤーがパーティーに加えていればやがて生まれた2つの新たな命と共にマスタードラゴンの力を借りて、妻の救出のため、かつて少年時代を過ごした因縁のある大神殿に乗り込み、教団の親玉である大教祖イブールを倒したことで教団は崩壊した。

また、ルラフェンの町では信者のおばさんが「イブールの本」という布教用の本を売っている。
3000Gとかなり割高だが、用途は何もない。PS2版では使うと本を読んでみた感想がでてくるようになったが、やっぱりそれだけ。
攻略本などで描かれる装丁は確かに豪華であるものの、教団へのお布施の意味も含めた価格かも知れない。
一応売却も可能*2なので、反応を楽しんだら売るのも手である。
リメイク版ではすごろく場でも最大2冊手に入る。アイテムコンプに興味がないなら換金してしまおう。

ちなみにこの本を名産品博物館に展示しようとすると「まだ名産の域には達していないようだ」とナレーションされる。
まだ、ということは未来にはいずれ名産品として認められるようになるのだろうか?
なおこのメッセージはイブールの本専用のものであり、地味に優遇されている。


【主な構成員】


大教祖

光の教団のトップを務めるワニの姿をした魔物で、青年期後半で主人公一行と相対することなる。
地位としては基本的には「大教祖」と呼ばれているが、単に教祖と呼ばれる事もある。

詳細は項目参照。

幹部

パパスの命を奪い幼少期の主人公を誘拐して奴隷に追いやるなど、主人公の人生を狂わせた仇敵とも言える存在。
オリジナル版ではイブールに仕えており、死に際も「教祖様」と呼ぶなど敬っていた。

一方でリメイク版ではミルドラースにのみ直接の忠誠を誓っており、イブールが主人公に敗れた際にはトドメを刺しに現れている。
ただしこちらでも表向きは「人間たちを集めるカタチだけの教祖」としてイブールに仕えてはいたようで、上記のイベントではイブールから「わしに対してそのクチのききかたはなんだ?」と言われている。

詳細は項目参照。

  • ラマダ

青年期後半に戦うことになる光の教団の神官*3
ギガンテスの色違いの姿をした魔物。当初は主人公の母親のマーサに化けていたが主人公との会話後に戦闘になる*4
なお、当人曰く「大教祖イブールさまにかわりこの神殿を治めている」との事だが、実際のイブールは大神殿の中にちゃんといる。
主人公を騙すために化けていた時のセリフであるため、マーサの姿で表に立つための方便かもしれない。

ポジション的にはイブールの最側近で光の教団のNo2ポジションだと思われるが、戦闘面では1ターンに1回行動しかしてこなく、ここに乗り込む直前にボブルの塔で戦ったゲマやほぼ同時期に戦うであろうブオーン*5と比べても強さでかなり劣るのは否めない。
まあブオーンはDQ5屈指の強ボスなので比較するのは可哀想かもしれないが、ゲマより弱いのは擁護出来ない。

とは言え通常のギガンテスとは異なり、ベギラゴンやマヒャドも唱えてくる芸達者な一面もある。


構成員

ただし、ジャミとゴンズの2名に関しては、光の教団に所属しているかどうかは不明(あくまで「ゲマの私兵」である可能性もある)。
ジャミの部下である2体のモンスターについてはなおの事である。

ゲマの部下であるケンタラウスの色違いをした魔物。
主人公の仇敵の魔物の一人でデモンズタワーにて青年期前半で相対することなる。強さはゴンズよりはマシ。

詳細は項目参照。

ゲマの部下であるソルジャーブルに似た魔物。
主人公の仇敵の魔物の一人でゲマの前座として青年期後半に相対することになるが強さはお察し

詳細は項目参照。

  • オークLv20
ジャミの部下であるオークの色違いの魔物。
ルカナンを使用して守備力を下げた後に直接攻撃が主な戦闘スタイルで、流石に通常のオークと比べれば強いが、回復を怠らず普通に戦えば苦戦する相手ではないだろう。
ねむりの耐性も弱いのでまどろみのけんを装備させて殴るだけで完封も可能。

  • キメーラLv35
ジャミの部下であるキメラの色違いの魔物。リメイク版以降はトサカが生えた。
オークLV20を倒した直後に戦うことになる。オークLV20よりは遥かに強く1ターンで2回行動したり、全体攻撃のヒャダルコを唱えると言った厄介な一面も持っている為、体感的には上記のゴンズより強く感じる人もいるかもしれない…。


一般信者

  • ルラフェンのおばさん
上記の通り「イブールの本」を売ってくれるおばさん。
彼女は教団の教えが心底素晴らしいものと信じているようだが、他の町人からは訝しげに見られている。
リメイク版では町の教会の本棚にもイブールの本が置かれており、おばさん以外にも信者がいるのかも知れない。

  • アルカパの宿屋の女将さん
ビアンカが住んでいた宿屋を買い取って経営している夫婦の奥さん。
青年時代後半になると入信したようで、宿屋の売上から教団へのお布施を納めているようだが、これっぽっちでは足りないと愚痴をこぼしている。
教団は信者に対してかなりの搾取をしているようだ。
またこの女将さんの様子を見たビアンカ*6は大変ショックを受けていた。


【関連人物】

  • マリア
光の教団で働いていた女性だったが、SFC版では教祖のイブールのお気に入りの皿を割ったというだけ、リメイク版では拷問されていた奴隷の子供を庇ったことでイブールの不快感を買ったため、一気に奴隷に追いやられてしまう。
青年期開幕直後に看守にムチで痛めつけられていた所を主人公とヘンリーに助けられ、兄の手引きで主人公やヘンリーと共に大神殿を脱出して流れ着いた修道院で修道女となる。後にヘンリーの妻となり、コリンズという男の子を設ける。

  • ヨシュア
マリアの実兄で光の教団で働いている兵士であるが、奴隷に落とされたマリアを常に気にかけていた。そんな中看守からマリアを助けた主人公とヘンリーに出会い、他の囚人とは違い目が死んでない二人にマリアを託して大神殿から脱出させる手引きを行った人物であり、主人公にとってはいわば大恩人でヨシュアが主人公を脱出させた行動が後に勇者誕生に繋がったことを考えると、彼も密かな世界の英雄の一人と言えるかもしれない。
…なのだが、彼が手引きした脱出手段というのが、死体廃棄用の水路で三人を樽に入れてセントベレス山から海面まで真っ逆さまに落とすというどう考えても助からないであろう凄まじい方法であった。こんなルートとは知らなかったんだろうけど
まあ、DQ世界の住人はどいつもこいつも平然と塔から飛び降りたり、挙げ句天空城から地上に飛び降りたりするので、落下ダメージには強いのだろう。

その後は主人公達の逃亡の手引きをしていたことがバレて投獄されてしまったらしく、そこで死亡した。青年期後半に乗り込むことになる大神殿では彼の白骨遺体を確認し、ダイイングメッセージを見ることができる。その内容は最後まで妹のマリアを案じていたものであった…。

  • ジージョ
青年期前半と後半の間に起こったイベントにより石化した主人公を購入した、とある富豪の子供。
主人公が買い取られた時に赤子であったことから主人公の息子&娘とは年齢が近いことが推測される。
主人公が買い取られてから数年は両親に愛されすくすくと育っていたものの、走り回れるほどに成長したある日、突如魔物に誘拐され消息不明となってしまう。
その後は大神殿にて奴隷にされており、見つけ出せるはずもなかった。
リメイクでは富豪の家はジージョの部屋が誘拐事件当時からそのままの状態で残されており、夫婦のことを考えると非常に痛ましくなる。

それから数年後、とある旅人と成長した子供2人が富豪の家を訪れ、ストロスの杖を使い主人公を石化から解放した事で事態は動き始める。
その2年後に主人公一行が元凶であるイブールを倒した後は、ジージョも富豪の元に帰ってきている姿を確認する事が出来る。
しかしこの時点で10歳くらいのはずなのに大人のキャラクターグラフィックが使われており、ユーザー達にネタにされている(同じく「王様と共有グラなせいで急にジジイになるデール」はリメイク版以降変更されたのにジージョだけは変わっていない)。

余談だが、彼の家周辺にはゴーストおばけキャンドルといった俗に言う『仲間モンスター今更四天王』の一角を仲間にすることが可能なのでモンスターコンプリートを狙うなら訪問必須の場所となっている。

  • 大神殿の奴隷たち
大神殿を建造するために世界中から集められた奴隷達。
老若男女問わず様々な人間達が魔物によって強制労働を強いられており、死者も出ているのか墓も多くあり上述のタルで死体を捨てている。
主人公が奴隷にされた時点で既に奴隷を使って神殿を作る作業は始まっていたようであり、軽く20年以上はこのような非人道的なことが行われていたのは間違いない。
ヘンリーやジージョのような勇者誕生阻止のために拉致された高貴な身分の子供達の他にも、主人公のように家族を奪われ強制的に誘拐されて来た者や、教団の勧誘に釣られた信者達などがいるが、その多くは過酷な労働で喋る気力も失っている。
大神殿完成後はラマダに洗脳されて教団の忠実な信者にされていたが、主人公達によってラマダとイブールが倒されたことで洗脳が解け、各々の故郷に戻れたと思われる。

  • ラインハットのごろつきたち
ラインハットの古代の遺跡を拠点にしている三人組のごろつき。
何らかの理由で光の教団と繋がりがあったようであり、当時の王妃(後の太后)にヘンリー抹殺を依頼されたものの、売り飛ばした方が金になると思い込みヘンリーを殺さずに教団に売り飛ばそうとしていたため、ラインハットにゲマが来る原因でありパパスが死に主人公が10年も奴隷をさせられる元凶とも言える連中。
その後、王妃にすり替わったモンスターによって口封じされたと思われ、二人は誰にも気付かれず無惨な白骨死体となっており、別の犯罪で投獄されてる生き残った一人もその際の恐怖でうなされ続けているという哀れな末路を遂げた。
なおそいつの捕まっている牢屋を開けてやると躊躇なく脱獄する
小説版ではゲーム本編よりも良識のある人間として描かれており、酔っ払ったフリをしてリュカを見逃しており、誘拐も不本意だったようである。

  • 駆け落ちした恋人たち
青年時代前半に登場。
身分違いの恋に落ちたことで故郷を捨て、レヌール城に辿り着いた一組の男女。
青年時代後半になると既に城を離れており、成仏もせず未だに現世をエンジョイしているエリック王によると旅立つ前に「光の国へ向かう」と話していたらしい。
その後の彼等の消息は不明である……。

  • ボトルシップを売る旅の商人
リメイク版から登場した人物。
港町ポートセルミにて、土産物としてボトルシップ(空きビンの中に船の模型が入っているアレ)を1個1000Gで販売している。主人公たちも名産品として購入可能。
本人曰く適当なところで切り上げて噂の光の国に行くつもりだったらしいが、ボトルシップが予想外にバカ売れしたためこのままポートセルミで商売を続けることにしたとのこと。
ちなみにこのボトルシップは彼が趣味で作った物なのだが、とある人物が「かなりの腕前の職人の手によるもの」と評するほど見事な出来映えらしい。大ヒットしたのもその出来の良さによるものなのだろう。
彼がもしも実際に光の国に行っていたらその末路はロクなものではなかったことは想像に難くないので、彼は自らの作品によって命を救われたことになる。
まさに芸は身を助く。

DS版で追加された主人公の嫁候補。
主人公と結婚した場合はここに囚われることになるのは他の2人と同じだが、とある作品彼女の踵落としにより、大神殿をセントベレス山もろとも真っ二つにカチ割られるというとんでもない逆襲を受けた。


【英語版DQ5】

DS版以降の英語版では、構成員はいずれもチェスの駒に見立てられた名前になっている。
  • イブール→King korol
  • ラマダ→Queen Ferz
  • ゲマ→Bishop Ladja
  • ゴンズ→Slon the Rook
  • ジャミ→Kon the Knight
  • オークLv20→Orc Pawn
  • キメーラLv35→Chimaera Pawn

そして彼等の首魁であるミルドラースが「Grandmaster Nimzo」。
Grandmasterとはチェスにおける最高位のタイトル、Nimzoとは「ニムゾ・インディアンス・ディフェンス」というチェスの定跡、もしくはそれを考案した棋士「アロン・ニムゾヴィッチ」から。

また光の教団も「Order of Zugzwang」となっている。
Zugzwang(ツークツワンク)とは「悪手しか指せない」「駒を動かしたら必ず悪化する(でもパスは不可能なので動かすしかない)」局面を指すチェス用語である。


【小説版】

ゲーム中では単なる悪の組織でしかないが、小説版ではイブール周りの掘り下げが行われており教団についても成り立ちなどが作りこまれている。
イブールは元々エルヘブンの民でマーサに恋心を持っていたが、マーサがパパスに駆け落ち同然でさらわれたことで絶望。
救いを求めて天への塔へと登るが、その頂上に何も無かったことで完全に神に対して絶望してしまう。
そして大魔王ミルドラースに魂を売り、やがて訪れる終焉に対するために我に続けと布教活動を行ってきたのが光の教団の正体であった。
つまりトロッコに乗って遊んでたマスタードラゴンが諸悪の根源
大神殿での決戦では原作と違ってイブールの死と共に神殿が崩壊し始めるが、生き埋めになりかけたところをロッキーの捨て身のメガンテで救われる。
奴隷にされていた人々も海上で待機していたグランバニアの船『麗しのビアンカ号』に収容されて皆故郷に送り届けられた。



追記・修正は高貴な子供を誘拐して奴隷にしない方にお願いします。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/
+ タグ編集
  • タグ:
  • DQ
  • DQ5
  • ドラクエ
  • ドラゴンクエスト
  • 宗教団体
  • イブール
  • ゲマ
  • ジャミ
  • ゴンズ
  • ラマダ
  • マリア
  • ヨシュア
  • ヘンリー
  • 大神殿
  • ジージョ
  • 敵組織
  • オークLv20
  • キメーラLv35
  • 光の教団
  • イブールの本
  • セントベレス山
最終更新:2025年04月16日 21:40

*1 ミルドラースの予言によれば『高尚な身分の子供が伝説の勇者になる』との事で、ヘンリー、ジージョと言った王族や資産家の子供が誘拐対象とされる事が多かった。なお主人公も王族だが光の教団がそれを把握していたかは不明。

*2 SFC版では同額の3000Gで売れるので一切損はしない。リメイク版では何故か売却額が4000Gに上がっており、転売で1000G儲けられてしまう。

*3 DQ大辞典には「大僧正」と言う記述もあるが、ゲーム中にそういった記述はないため、出典不明。『アークザラッド』に登場する「ラマダ大僧正」との混同かもしれない。

*4 この時の会話次第では、パーティ全員が呪われた状態で戦闘開始となる。

*5 ブオーンに挑むタイミングは最速で青年期後半開幕直後から戦え、妻を救出後に妻と共に挑むことも可能であるため討伐時期はプレイヤー次第。ただし彼を倒さないと魔界に行くのに必要な最後の鍵が入手出来ないので討伐は必須である。

*6 女将さんの方はビアンカのことを覚えていなかったが、宿屋を売りに出す際に顔を合わせていたらしい。