六神官(遊戯王)

登録日:2025/04/05 Sat 15:12:42
更新日:2025/05/23 Fri 12:49:29
所要時間:約 7 分で読めます




六神官とは、高橋和希原作の漫画遊☆戯☆王』に登場するキャラクター達。
作中の重要アイテムである「千年アイテム」を所持し、王たるファラオを守り通す6人の神官達である。



以下、ネタバレ多数あります。


【概要】

原作にて、主人公闇遊戯のルーツを巡る「記憶編」にて、過去の人物として登場した。
(以下、エジプト時代の遊戯のことは「王」「ファラオ」と明記する)
3000年前の古代エジプト王朝にてファラオを守護する六人の神官で、それぞれが千年アイテムを所持している。
普段はそのアイテムで罪人の裁判や裁きを行っているが、いざとなれば王の為に命も投げ出す親衛隊のような役割も持っている。
有事の際には「精霊(カー)」と呼ばれる自身に宿す精霊を呼び出して戦う。
(アニメでは腕に装備したディアディアンクから召喚する)
また、所持する千年アイテムの力で、神殿に安置された封印石から「魔物(カー)」を召喚・使役して戦わせることも可能。
いずれのカーも、使役するには(バー)を消費する。そしてカーが傷つくと(バー)も減っていき、(バー)が尽きた際には死を迎えてしまう。

一部の神官は現代の人物に連なる外観や性格をしており、いわゆる「前世」として扱われている。

なお、以下の内容はあくまで「記憶編」での記述であり、本来のエジプトで起こった内容とはかなり違う事は留意点。
この項目では「本来起こった歴史」は「史実」と表記する。



【六神官】

・セト

CV:津田健次郎
所有する千年アイテムは千年錫杖、現代では「千年ロッド」と呼ばれるもの。
その名前や外観、声からして海馬瀬人の前世である事は明白。
作中でも記憶編以前でも遊戯に似た王と対峙する石板や、回想シーンで王を挑発するような台詞を言ってたりと存在自体は暗示されていた。
まんまな名前だが、そもそも「セト」はエジプト神話の神の名前なので、メタ的には「瀬人」という名前の方がこちらから来ているものと思われる。
実は海馬が原作初登場となる「牙を剥くカード」では下の名前は設定されておらず、のちの海馬モクバとの初邂逅の際に彼が兄の名前「海馬瀬人」を名乗る形で判明しているのである。
おそらくこの頃に海馬がラスボスとなるような想定をしたのであろう。

そんな彼であったが、いやまぁうんあの海馬瀬人の前世だけあってやっぱり残酷でエキセントリック
特に罪人には容赦がない他「ナイルを干上がらせてでも王を探し出せ*1」等と部下に無茶振りさせるパワハラっぷりも健在であった。多分部下にはこの人の前世もいる。
実はファラオの父親「アクナムカノン」の弟「アクナディン」の息子である。つまりファラオとは従兄弟の関係である。本人はその事を知らずに育ってきたが。

しかし瀬人程理不尽な事はせず、迷い込んだ異国の少女を救ったりする一面もある他、王に対する忠誠心は本物
「ナイル」発言も行方不明になった王が心配が故に出た言葉であり、実際にファラオが見つかった際には凄く邪悪な表情で嬉しそうに高笑いしていた
部下がドン引きする程の笑い方であった為「王を利用して何かをしでかすつもりか」等と読者からは予想されたが、後の展開的に単に嬉しかっただけとなっている*2
このように一見悪辣に見えるが実際は善人
だが途中助け出した少女「キサラ」と、彼女が持つ「白き龍」のちからや、アクナディンの野望…の下にある息子への愛などが深く混じり合い、やがてファラオと刃を交えることとなる。
しかしそんな状況でも、ファラオに対する忠誠…いや、「友情」は変わることはなく…。
最終的にはファラオの座と千年錘を引き継ぎ、自身が使っていた千年ロッドを新たな神官に譲る。*3
ただ「記憶編」は作者高橋氏が体調不良だった為に当初の予定からかなり話が変わっており、セトの急激な善人化もその影響がありうるのは留意。
とはいえ、「死者への祈り(ペレト・ケルトゥ)」──神官から王への友の詩の存在自体はバトルシティ編から言及されていたため、後付けというわけでもないだろうが。

彼の宿す精霊は、剣士型の魔物「デュオス」
OCG化はされていないが、後に海馬が愛用するブレイドナイトに心做しか似ている。
念波動剣(オーラ・ソード)」と呼ばれる剣を装備し、味方の魔物(カー)を生贄にすることで攻撃力を上げることが出来る。
こちらは海馬が王国編で使用した(実はバトルシティ編でも手札に確認できる)《復讐のソード·ストーカー》の効果を意識したのだろうか。
必殺技はオーラ・ソードによる攻撃「オーラ・クラッシュ」
そしてもう一体、神にも勝る白龍も精霊として使役することとなる。

記憶編の最後、アテムから王位を託される際、「(王の座をかけて)決闘(ディアハ)していただきたい」と頼みながら彼を引き留めるが、死期が迫ったアテムはそれを受けずこの世から去ってしまう。
あくまで記憶編の結末で史実とは異なるかもしれないが、海馬瀬人が闇遊戯との決着にこだわるようになった原因のひとつはここにあるのかもしれない。

なお、後述のシモンが有名だが実は彼も正式な登場は真DMが最初である。


・アクナディン

CV:上別府仁資
所持するアイテムは千年眼。
前王「アクナムカノン」の双子の弟であり、セトの父でもある。
だが千年アイテムを作る際に99人もの人間を生贄にするという悪の所業をするためか、息子であるセトとは縁を切ることとなる。

身に宿す精霊は「ガディウス」。鎧をまとったような人型をしている。
だが、アクナディン自身が高齢なこともあり、バクラのディアバウンドを相手にするには力不足であった。

正直、記憶編の黒幕と言っても過言ではない。
しかし千年アイテムを作り出したのは国の為である他、息子に対する愛情は本物であった。
少なくとも現代の海馬瀬人の養父よりかはマシな存在であると言えよう。
だがその愛情、そして「兄と同じ時に生まれたのに王の影となった」事実は、そんな彼を少しずつであるが悪に染めていくこととなる。
なおこの親子の情はよりにもよって闇遊戯セトを盾にするという方法で利用されることとなる。
(親子の情はあるがそれでも)「セトは我が軍(おれたち)の仲間だ!」とかっこいい事言いながらもやってることも表情もめっちゃ邪悪な事と、バクラの「それを認めたら(セトの)カードをこちらに渡すのか?」という台詞から「史実でも似たような事したんじゃないか」と読者に邪推されている。

ちなみに詳細は省くが、実はこの一連の流れでアクナディンは自らの目標を達成してたりする。


・マハード

CV:小嶋一成
千年(リング)の所持者。
ブラック・マジシャンの前世であり、正義感は人一倍強い。
だがその強すぎる正義感は、千年アイテムが生み出された事を知らずとは言え王に問い詰めてしまい、結果的かつ実質的に死に追いやるなど、少々融通が利かない(さすがに行き過ぎたか、現在はアクナムカノンがマハードに問い詰めやむなく話した流れになっている)。
無論本人はその事を気に病んでおり、だからこそ現王ファラオに対しては過剰とも言える忠誠を誓っている。

かなりの魔力を持つために六神官にスカウトされたらしいが、持っているのがあの千年輪の為か、その悪しき力を抑えつけているために普段は本気を出せないらしい。
その事を懸念してかすでに自分の後継者としてマナという少女を弟子にしている。

身に宿す精霊は「幻想の魔術師」。
ぶっちゃけて言えば顔のない小柄なブラック・マジシャン。
特殊能力として、相手の動きを封じる「幻想の呪縛」を持つ。


基本的には善人なのだが、どうにもその正義感は空回りしがちである。
上述の通り先王アクナムカノンを精神的に追い詰め疲弊させたことに始まり、
盗賊王バクラが国内で暴れ出した際、自らを囮に彼を始末しようと「絶対脱出不可能な王の墓」におびき寄せる…も、バクラは壁抜けの術を持っていたため失敗に終わる*4
その後「幻想の魔術師」と融合し、王の精霊「ブラック・マジシャン」として復活する…も、更なる力を得たバクラに消し炭にされる(その際の顔芸と「ファラオー!」という断末魔はたまにネタにされている)など、とことん貧乏くじを引きがちである。
とはいえ古代の因縁にケリをつけたのも彼の一撃であった。

そんなこんなで若干ネタキャラのような扱いをされていたが、遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONSにて王の出陣の際に先陣を切る形で登場するというかっこいい出番をもらえ、そのイメージの払拭に成功した。


・アイシス

CV:島本須美
所有する千年アイテムは千年タウク。六神官の紅一点。
イシズ・イシュタールの前世と思われる。

精霊は「スピリア」。
戦闘能力は高くないようで、特殊能力も敵の攻撃から自身や仲間を守る「虹の防御壁」という防御的なもの。
ただ、作中では千年タウクの能力と組み合わせて、偵察や捜索の面で役に立っていた。
原作では同僚の死を越えて生き延び、セトの即位後も神官を続けている。

アニメでは大幅に出番が増えた。
砦を守る翼竜に良く似た魔物を駆使し、敵と対峙する他、マハードに対して恋心を抱いている節もあった。
そして最終的にはゾークから王を守るために囮となりその生命を散らすのであった。
その為かイシズはアニメでは「闘いの儀編」でブラック・マジシャンが登場した際に感傷深そうな反応をしていた。


・シャダ

CV:佐々木望
所持するアイテムは千年錠。スキンヘッド。
シャーディーとは声優が同じで背格好も似ているが関係性は不明である。
そっくりさんという事と原作では不自然に行方を眩ませたために「もしかしてラスボス?」等と噂されたがそんな事はなく、余り目立った活躍は見せなかった。


・カリム

CV:川中子雅人
所持するアイテムは千年秤。
六神官の中で唯一誰の前世っぽくも重要でもない数合わせのような存在であるが、忠誠心は本物であり、シャダに自らの命を賭して力を託す一面もある。
また、アイシスに恋心を抱いていると思わしき描写もある。
目立った活躍はないが、筋肉質な肉体とおかっぱ頭という外観は妙に印象に残りやすい。
珍説として後のエルフの剣士というものもある。

声優を務める川中子氏は後に遊戯王5D'sにてゴーストを演じる。


【元六神官】

・シモン・ムーラン

CV:宮澤正
元六神官の1人。
武藤双六にそっくりであるが、ほぼ引退し好々爺である現代と違い、古代エジプトではまだ現役さながらの厳しさを持ち合わせている。
現代のファラオになってからは一線を退き執事のような状態になっていたが、シャダの死後に千年錠を持ちあがり再び戦いに赴く。
そしてなんとエクゾディアを召喚し巨悪に立ち向かうも…。

記憶編に先んじてゲーム版に初代から登場していたキャラクターである。名前もプロデューサーであった下村聡のもじりと思われる。
ゲーム版のシモンは一貫して目元と手元以外が隠れた格好をしており、そしてなぜか肌が青いが、目元だけで双六そっくり。
作品によって最強キャラだったり最弱キャラだったりと強さの幅がやたらと大きい。
ストーリーの都合上、基本的には現代に登場する謎の人物となるが、古代エジプト編がある真DMでは王子(=闇遊戯にあたる主人公)の教育係として記憶編と似たような(真DMの方が先だが)立ち位置で描かれた。

双六が千年パズルを手に入れた際の回想にて、ファラオの幻に「待ってたよ、シモン」と語りかけられているため、双六の前世に類する存在であることはほぼ間違いないと思われる。
要するにあの髪型は古代エジプトからずっと遺伝し続けているというわけである。

ちなみに遊戯王関係の事で「ここだけの話」の語尾に良くつけられる「密に、密に」という台詞は彼のものである。
だがそれは「現代から古代エジプトに飛び王として祀られている」闇遊戯の混乱を「父王の墓が荒らされている」為と勘違いし、安心させようと「すでに王の墓は完成している」事を小声で伝えるというシーン。
シモンは安心させようとしたが、ファラオは自分の墓がすでに作られてることに事に更にショックを受けてしまうのだった。

その他、マハードの前任の千年リングの保持者がいると思われるが、恐らくは故人。


【関連人物】

・マナ

CV:中尾友紀
マハードの弟子の少女。花も恥じらう13歳。
背格好はブラック・マジシャン・ガールをそのままエジプト風にした感じ。
天真爛漫でお調子者な性格であり、魔法の修行もサボリ気味であったが、それでもマハード達からは愛されていた。
アニメではファラオの幼馴染という設定が追加され、より関係が深くなったほか、記憶の世界の住人でありながら表遊戯たちの存在を認識している描写もでている。

魔術師としてはまだまだ未熟だったが、師匠であるマハードの事は本気で慕っていた。
その為彼が死んだ後は「立派な魔術師になる」事を新たに誓い、やがて若くして精霊を召喚できるようになった。
最終的には新たな六神官になったようだ。
ただ師匠から千年輪も受け継いでいる。史実とは異なりゾークの邪念が消えたため継承できたのか、史実でも継承し邪念を抑え込んでいたのかは不明。



追記・修正は、幼馴染の少女に凄くエッチな衣装を着せた王がお願いします。


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最終更新:2025年05月23日 12:49

*1 もちろん、これ自体は現代で言う「蟻の子一匹通すな」と同じような単なる比喩表現だろうが

*2 初期プロットではファラオと闇の大神官と敵対する第三者ポジションになる予定だったので、メタ的には伏線だったのだろう。

*3 史実においては、千年錐は記憶戦争の最後でファラオと闇の大神官の魂を封じたまま砕け、遊戯が組み上げることに成功するまでそのままなので、継承は起き得ない。千年アイテムの引継ぎと六神官制度の継続がされたについても定かではない。

*4 アニメではマハードの精霊、「シャドウ・グール」から壁抜けの術を奪うシーンが追加された