モスク・ハン

登録日:2025/04/27 Sun 19:07:28
更新日:2025/05/20 Tue 11:17:50
所要時間:約 3 分で読めます




俺の理論を応用して、ガンダムの動きを速くしようっていうんだ。


モスク・ハンとは『機動戦士ガンダム』の登場人物。
CV:徳丸完、菊池康弘(機動戦士Gundam GQuuuuuuX)


【概要】

地球連邦軍の技師で電磁工学を専門としている技術者。オーガスタ研究所に勤務しているらしい。
彫りの深い顔に太い唇が特徴的で、言動も何処か高圧的。
部下に多数の技術者を連れておりその腕前はかなりのもの。
…であるが科学者気質であり、誤解を招くような事を言いがちな男である。
だが決して悪人ではなく、他人に対しては非常に不器用ながらも気遣いを見せることもある。


【来歴】

主人公アムロ・レイの急成長する操縦技術にRX-78-2ガンダムがついていけなくなった第40話にて登場。
アムロ達の前に急に現れ、ほぼ同じ顔の部下たちを連れてガンダムに何かしらの細工を始める。
それは「マグネットコーティング」と呼ばれる新技術
疑問に思うアムロに対しブライト・ノアが説明するも「ま、油を指すようなものだ」…と良く理解してない風であった。*1

その後アムロはモスクと話すが、根っからの技術者気質である彼はついつい
「今回のデータだけは何らかの方法で私の手元に届けてほしいものだな」
と漏らしてしまう。
曰くこのマグネットコーティング、碌なテストもしない机上の空論なのである。
この言い分は要するにパイロットは死んで良いとも取れる言葉である。
……のだが、戦いの中で様々な人間と接しており、そして何よりこういう科学者気質な人間の事をよく知るアムロは
「だから人の本音というのは聞きたくありませんね…」
と、怒ったり不機嫌になったりせずに呆れたような答えを返した。
モスク本人もそういう気質は自覚しているのか「全くだ」と返す。

別れ際、アムロに対して「必ず生き延びてくれよ!」と激励を込めるが、向こうからの返しは「データを持ち返すためですね」というもの。
「冷血人間」とからかわれたようなジョークを返されたモスクは「そう、そうだ」とこれまた苦笑しながら消えていった。
このやり取りは印象深く、アムロ・レイという主人公の成長を感じさせると共に、モスクも技術者気質ながら他人を全く気遣えない存在じゃないというのがわかる。

だがモスクさん。人間的には多少問題はあれど、技術者としては本物である。
何故ならマグネットコーティングを施されたガンダムは従来から約30%という機体レスポンス向上の効果があり、その後アムロの操縦についていかないなんて事はなく、むしろエースパイロット+最新鋭機という組み合わせ相手でも圧倒するほど。
要するにライバル連れの女の子に「邪魔です!」とか言われながらテーマソングをバックにボッコボコにされた戦いの裏の立役者である。

本編で出てきたのはたった一話、それも前半パートのほんの数分であるが、それでも深い印象を与えたモスク。
たった少しのやり取りで彼の本質がわかる書き方は富野監督の手腕と言えるだろうか。



【外伝などでの活躍】

ガンダム三号機にマグネットコーティングを施すという点は変わりないが、こちらではかなり怒りっぽい人物として登場。
「油を差すようなもんでしょ」は今回アムロが直接博士に向かって発言したが、それで「いかんかっ、小僧!」といきなり怒鳴られてしまった。
もっとも、アムロが口答えせずにいると急に上機嫌になったことから「見た目に似合わず、善良な人だ」と内心で付き合いやすい相手だと感じていた。
ちなみに、駆動系の摩擦をなくして、運動性は120から130%ほどはアップするだろうと説明した直後にアムロから「エンジンの強化はありませんよね」と確認された際には、
「俺はエンジン専門じゃないから無理だ」「だいたい、マグネットコーティングをした上でエンジンまで強化したら、Gがかかりすぎてパイロットが死んでしまう」と返している。

  • 漫画『機動戦士ガンダム ピューリッツァー』
オーガスタ研究所に在籍していたという設定で登場。
さて、オーガスタ研究所と言えば強化人間を研究している事で有名だが、モスクはそちらの方には関わっていない。
だがグリプス戦役後に閉鎖され職なしになっただけでなく「元オーガスタの研究者」という風評が邪魔をしてなかなか再就職できず、最終的にルオ商会に拾われたようだ。
この漫画での説明によると、本編で行ったマグネットコーティングは、本来ならガンダムNT-1を届けるつもりが叶わずに仕方なく行った「付け焼き刃」であることは認識しており悔いていた。
理論を試し結果が出たというのに満足していない辺り、そういう意味でも彼は「本物の技術者」なのだろう。

また部下にはあのアストナージ・メドッソがいる。どういう絡みをしていたのか気になるところである。

まだまだ性能向上は可能なんだ。頼むからデータだけでも持ち帰ってくれよ...

まさかの再登場。この項目が立ってから数日後の事であった。
そのためコメント欄では「建て主はニュータイプでは」とどよめく事になった。偶然だぞ。
民間の軍事警備会社「ドミトリー」で働いているが、相変わらずの科学者っぷり。
であるが、元々いた連邦軍が負けていたり、理解者に恵まれてなかったりと何処か焦りのようなものが見られるが、同時に素直さも失っていない。
「ドミトリー」が密かに支援するクラン「CRS」のシイコ・スガイの乗るgMS-01 ゲルググにマグネットコーティングを施しているが、恐らくマグネットコーティング技術をクランバトルで宣伝する事も兼ねているかもしれない。
…が、シイコは敗死し、乗っていたゲルググも爆散したため、持って帰ってくるべきデータも吹っ飛んでしまったと思われるなど踏んだり蹴ったりな結果で終わってしまった。
ちなみに制作会社であるカラーの遊び心か、心做しか冬月コウゾウにそっくりなデザインとなっている。

  • 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』
19巻ソロモン編・前に登場。
アニメ版とは大きく容姿が異なり、白衣を着用し、もじゃもじゃ頭と大きな鼻、眠そうな目が特徴のヒゲを生やした巨漢である。基本的には穏やかだが、自分の仕事に口を出してくる者には啖呵を切ることも。
アニメ版の面影はもはや無い。
原作と同様に、ガンダムを改修してマグネットコーティングを施す。その原理をアムロに説明するが、アムロはガンダムを弄られることに嫌気が差しており、喧嘩に発展。
その後駆動実験を乾ドックで行うが、ガンダムが勝手に動き出して制御不能になり事故を起こしてしまった。幸い重傷者は出なかったもののモスクも感電し怪我をする。
出港直前のアムロを見届けるときに必ず生き延びるように言うが、アムロにデータを届けてほしいという本心を見透かされ苦笑いを浮かべた。


モスク本人が出てこない作品でも「マグネットコーティング」が強化パーツで登場する作品もある。
が、一年戦争時の、更に「その場しのぎ」と言われたことから、基本的には運動性、機動性を上げるパーツだが性能は低め。
初期のスーパーロボット大戦シリーズでは限界反応(各機体に設定されているステータスでこれ以上の数値を持つパイロットの能力を制限してしまう)を大幅に上げる為、特に序盤では重宝する事もある。
また、一部のGジェネだと機体スペックがわずかではあるものの満遍なく上がるという効果になっていた事もある。
このように効果は少なめだがその分安価だったり手に入りやすかったりするため、終盤まで重宝するパーツと言えよう
少なくともデメリットのある事が多い「テム・レイのパーツ」よりかは使いやすい。ある意味では両者の性格の違いが現れている。

【余談】

劇場版では彼の出番が省かれている。
なのでガンダムはいつの間にかマグネットコーティングされた事となっている。

ガンダムの初期案「トミノメモ」では42話において 帯電磁波の工学的応用 の権威として登場。ガンダムを追い詰めているのがシャアのキケロガである以外は同じ役割だが、
アムロとの対話でテムからジオンのソフィアという男の理論を流してもらったことと、テムがフラナガン機関に暗殺されたことを告げる役割を持っていた。
マグネットコーティングがニュータイプと関わりが深い設定はこの頃からあったようだ。
なぜテムがおそらくフラナガン機関相手にスパイみたいなことやってるのかは不明である

2025年現在…いや、1980年頃からは主人公機の不調は新型機フラグであるが、1stガンダム放映時は番組タイトルと違う機体の登場はタブーであった。
むしろ改造(というには心許ない戦時中の応急処置)のみでパワーアップするのは、1970年代のスーパーロボット的な展開と言える。
主人公機交代が初めて行われるのは3年後の「戦闘メカ ザブングル」まで待つ事となる。






今回の項目だけは何らかの方法で追記。修正してほしいものだな


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最終更新:2025年05月20日 11:17

*1 実際は関節部分に磁気を帯びさせ、磁力反発の要領でパーツ同士を『浮かせて』摩擦を減らして駆動を滑らかにするので、あながち間違ってはいないのだが。