登録日:2025/05/07 Wed 20:58:08
更新日:2025/07/14 Mon 08:03:00
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赤いガンダムのパイロット! お前が選ばれた奴じゃないと証明してやる!
《そうすれば……私は……》
基礎データ
型式番号:gMS-01
全高:18.0m (頭頂高:17.5m)
本体重量:42.2t
武装:ビーム・スプレーガン ×2
ビーム・サーベル
搭乗者:シイコ・スガイ、ボカタ
機体解説
ジオン公国軍が
地球連邦軍から
鹵獲したガンダムを解析し量産化に成功した汎用MS。U.C.0085においてジオン軍の制式採用機の一つである。
この機体、なんといっても目を引くのは
あからさまに「ジム」めいた外見。
ゲルググ好きだけど「ジム」と呼ばれてる「サイボーグクロちゃん」の鈴木一郎が見たらどう思うだろう。
開発系譜としては、gMS-αことガンダムの
マスプロモデル、つまり正史でいうところの
ジムそのものにあたる。
正史でゲルググと呼ばれたMS-14はこの世界でも存在していたのだが、シャアがガンダムを鹵獲したことでそのリバースエンジニアリングが優先されて開発計画が中止されてしまっている。
おそらく正史における地球連邦軍のV作戦のようにジオンがガンダムの実戦データを応用する形で代替の開発計画を進めた結果、ジムのような姿をした機体となったとみられる。
一方でMS-14の対抗馬とされたギャンはU.C.0085になって非常にオイシイ活躍をしており、ジオン独立戦争で先んじて投入されていたリック・ドム共々ツィマッドが良い思いをしているジオニック涙目なことになっている。
武装は小型ビームライフルが二丁にビームサーベルが一本つくだけという非常にシンプルな構成をしている。
リバースエンジニアリング元であるガンダムとは相違点も多く、
ビームライフルが二丁拳銃化した一方でサーベル本数は減少しており、どちらもリアスカート部にマウントする形式を取っている。
もちろん一般兵向けの量産機のため、アルファ型サイコミュやビットは非搭載なほか、ジムにあった頭部バルカン砲やシールドも装備していないようである。
それでも正史のジムとゲルググと同様の高い汎用性を持つため扱いやすく、何よりザクなどと比べるとビーム兵器が使えるため、性能は良いという事は間違いない。
全体的に近~中距離での戦闘を想定した仕様となっている。
(ザクよりはコストは高そうだが、後述の件も考えれば恐らくジオン国の今後の主力量産機を担う存在になるだろう。正史のゲルググと違い恵まれた機体である)
それもあってか、ジオン独立戦争から6年が経過したU.C.0085でも現役の機体という都合上、ザクや
リック・ドムとは違い民間への払い下げも行われていない。
しかしながら劇中では
民間の軍事警備会社「ドミトリー」が経路は不明ながら本機を入手してクラン「CRS」に提供しており、コモリ・ハーコートは
ジオン内部からの横流しを疑っていた。
デザイン
全体ラフ及び前面デザイナーは山下いくと。背面および細部ディティールは射尾卓弥。
赤いガンダムの量産型ということで胸部構造やつま先の反った造形には近いものがある。
その一方で
GQuuuuuuX同様、膝下からは大きな推進剤タンクが隠れており、肘関節の接続方式は片側支持に変更、背バックパックもスラスター噴射角度を調整できるようになっているなど、
赤いガンダムからの変化を感じさせる部位も多い。
また上記の通り原典の
ジムとも共通点が多く、特徴的なバイザーも
ドムが混じりながらも再現されているし、
スガイ機に至ってはカラーリングがまんまジムである。
一方で作中における開発経緯が
まったく違うので原典である
ゲルググとの関連性はあまり感じられないが、口部分の動力パイプやその接続部にあたる出っ張った「鼻」の部分があったり、メインカメラを搭載した所謂「チョンマゲ」部分の側面にディテールが設けられゲルググのトサカを思わせる意匠になっていたりとよく見ると要点は抑えたデザインにはなっている。
なお口部分については後に「潜水士マスクのイメージでデザインして、偶然ジオン系ぽいデザインになってしまった」といくと氏が解説している。
一般機
劇場版・TV版8話の第二次ソロモン会戦にてソドン格納庫で確認された機体。緑基調の、いわゆるジオンカラーで塗装されていた。
公式の設定画公開で詳細に塗り分けが判明し、正史のゲルググ量産機と同じ配色と判明している。
スガイ機
元連邦軍のエースであるシイコ・スガイがクランバトルに参加するために用意された機体。
上記の通り正史におけるジムのカラーリングが施されている他、「ドミトリー」に所属する
モスク・ハン博士の手により関節摩擦を軽減できる特殊な改造(名称は言及されなかったが、
マグネットコーティングと見て間違いないだろう)が施されている。
「ドミトリー」はシイコ・スガイ、ボカタのクラン「CRS」の母体企業として密かにバックアップしており、クランバトルを通じてMS開発用の戦闘データを得るため、そしてマグネットコーティング技術を売り込むための宣伝を兼ねていると見られる。
加えてシイコが得意とするスティグマ攻撃用の装備が搭載されていた。
ボカタ機
シイコの相方として参戦したCRSのボカタが搭乗した機体。
カラーリングは白地にグレーと緑で、強いて言うなら
ジムキャノン・Ⅱや
ジムⅡ(エゥーゴ仕様)を彷彿とさせる。
どちらにしても連邦チックなカラーリングを施しているのは間違いない。二人とも連邦のパイロットだからだろうか。
こちらに摩擦キャンセルが施されていたかは不明。少なくともスラスター出力と耐久力はスガイ機に劣る模様。
武装
赤いガンダムと違い小型サイズのビームライフル。2丁装備。
一撃の威力は欠けるが小型故に取り回しに長ける。
非使用時は腰部リアアーマーにマウントされる。
腰部リアアーマーに1本搭載されたオーソドックスなビームサーベル。
特に変わった形状や機能もなかったが、プラモ化に際しては両端からビーム刃を発振する「ビームナギナタ」が使用できるギミックが追加された。
スティグマ攻撃
言わずもがなMSやパイロットへの負荷は桁違いに跳ね上がり、スティグマ攻撃を多用していたスガイ機は最終的に左腕が過負荷で分解・破損してしまっている。
同じ荷重がかかる敵機側のワイヤー固定具の方が先に外れそうなものだが、そちらはかなり頑丈らしい
劇中では摩擦キャンセルによる高速AMBACとの合わせ技で、マチュとシュウジを翻弄し続けるほどの高速移動を実現した。
ちなみにスティグマとは聖痕という意味。敵対したMSに残された不可思議な傷跡から命名された。
作中での活躍
劇場先行版における第二次ソロモン開戦において、MSの帰還を誘導する役回りで僅かに登場。
この際はザクやドム同様に緑色のカラーリングであり、これが本来の配色であると予想される。
そしてテレビアニメ版第4話『魔女の戦争』にて本格登場。
赤いカラーリングのスガイ機は、元連邦軍で100機以上の撃墜数を誇るユニカムで、「魔女」として恐れられていたシイコ・スガイがパイロット。
灰色と緑を基調としたボカタ機は、元連邦軍のパイロットであるボカタが搭乗している。
スガイはかつてのジオン独立戦争中に赤いガンダムによってMAVを殺されており、その敵討ちが目的だった。
……と思われていたが、アンキー曰くスガイが抱えるのは執着。ソロモンで消えながらまた現れたガンダムを自ら倒すことで、「望む全てが手に入る『ニュータイプ』など存在しない」ことを証明するつもりだった。
いざクランバトルが幕を開けるとシイコはGQuuuuuuXには目もくれず、赤いガンダムに猛攻を加える。
スティグマ戦術による予測不可能な軌道や、ワイヤーを利用したビームライフルの遠隔操作などを駆使し、
シュウジを翻弄。
ガンダムハンマーも破壊し、順調に赤いガンダムを追い詰めていく。執着しすぎと諫めるボカタがスラスター過負荷で脱落しても全く意に介さない。
「私のために死んで!ニュータイプ!」
「僕はまだ死なない。」
「ガンダムが、そう言っている」
ビームライフルの遠隔射撃によってガンダムを袋の鼠と追い込んでトドメを刺そうとしたその時……
そこにはビームライフルとビームサーベルだけが漂い、確かに捉えていた赤いガンダムの姿はなかった。
目の前の状況を飲み込めていなかったところ、赤いガンダムに背後から不意を突かれコックピットを串刺しにされる。
「僕の願いは一つだけ。それ以外は何もいらないんだ」
「…それがお前の望むすべてか」
ガンプラ
「HG GQuuuuuuX」にてスガイ機とボカタ機が発売。
機体名が最大のサプライズ要素という事情もあり、詳細な商品情報は放送日の昼というスガイ機発売日の3日前とかなりギリギリのタイミングまで伏せられていた。
それぞれの違いはカラーリングのみであり武装などに変化はない。
ビームライフル二丁とビームサーベル、そしてスティグマ攻撃用にリード線と専用ハンドパーツも付属。
GQuuuuuuXキット全般に言えることだが、設定通りの豊富な色分けと広い可動域を両立している。
特に肩の可動範囲は目を見張るものがある。
また、プラモデルオリジナルギミックとしてビームサーベルエフェクトは上下同時に付けることが可能。少しはビームナギナタらしくなる…かもれない。
余談
ゲルググ自体は『Beginning』の第二次ソロモン開戦時や劇場先行公開PVに登場していたが、機体名だけは隠されていたこと、スガイ機にはジムそのものに酷似したカラーリングが施されていたこともあって視聴者は「GQuuuuuuX版ジムではないか」と勘ぐっている者が多かった。が、これ自体制作側によるミスリードでありゲルググと判明した際の界隈には大混乱に陥った。(一応、上記の頭部の特徴からゲルググだと予想する声も少数ながら存在した)
戦時中開発されたゲルググを戦後も使っているとされているジオンだが、正史の連邦もティターンズなどの一部部隊は新型機を開発・導入していたものの
大半の部隊はジムの改修機であるジムⅡなど戦時中の機体の改修機を使用しており、グリプス戦役が本格化したことでようやく一般部隊の機材更新が進むなど
正史・パラレル共に戦勝国が戦後動乱がない時の懐事情が芳しくないのは共通していたりする。
後にジオンの主導権を握っているギレン派が戦後も戦略兵器としてビグ・ザムの生産を続けていた・MSを過小評価している節が見受けられたことから
戦後もMSの開発を続けたキシリア派と異なり、ギレン派はMS開発にリソースを割かなかったのがゲルググの更新が進まなかった可能性が浮上している。
追記・修正は望むものすべてを手に入れられた人にお願いします。
- 単に「ガンダムの量産型で軽キャノンより性能上」ってだけで調達してきただけな気がするぞ。なんならシイコはワンオフ機を求めてたし -- 名無しさん (2025-05-08 22:30:29)
- ↑どうだろ?ポメラニアンズの反応的にいつもは軽キャノンだったっぽいんだけど今回は手に入らず代わりにゲルググを何処からか経由で手に入れたのかも -- 名無しさん (2025-05-08 22:30:48)
- ゲルググが実際にスティグマ攻撃に耐えられるかはやってみないと分からないだろうし、単にマグネットコーティングのテスト台としてより高性能な機体を使いたいモスク・ハン達の利益と合致しただけだと思う。ポメラニアンズのリアクションからして軽キャノンは普通に払い下げられてるっぽいし、それが手に入らなかったから代理の機体として入手困難なゲルググ、は筋が通らない -- 名無しさん (2025-05-08 23:38:16)
- サイド3の博物館に未完の名機としてYMS-14が展示されていたり架空戦記として早期完成したYMS-14が主力機になってジャブロー制圧する小説が書かれてたりしてそう -- 名無しさん (2025-05-09 01:44:45)
- 正史ゲルググがヅダのポジションに? -- 名無しさん (2025-05-09 07:03:09)
- ↑ツダ枠になったけどどっちかというと正史のギャンポジじゃないかな(正史でコンペ争って負けた方) -- 名無しさん (2025-05-09 11:17:22)
- スティグマの負荷で壊れたのって左腕じゃね?右腕でビームサーベル振ってるんだし -- 名無しさん (2025-05-10 01:33:41)
- ゼータではゲルググの外観をしたネモ(ジムっぽいがジムじゃないMS)というものもあったな。あとそれとは逆にファンが「ネモは見た目ジムで中身ゲルググ(みたいなもの)」とか言ってた。妙な因果を感じなくもない -- 名無しさん (2025-05-10 09:04:21)
- ハイザックを見た時のジオン残党の気持ちが分かった気がする。 -- 名無しさん (2025-05-10 09:36:43)
- ↑2 「ネモの中身はゲルググ」はその「ネモの部品を使ってゲルググをレストアした」場面からファンが拡大解釈したものだからかなりグレーゾーン。そもそもネモはリック・ディアスや百式をベースにジム系の設計を取り入れた感じだからジオン系の技術は使ってるけどゲルググとは接点が薄いし…とは言え「ジオン系の技術をベースに連邦の設計を取り入れた」ネモと「連邦の機体をベースにジオンの技術で作り上げた」ゲルググ(GQuuuuuuX版)は奇しくも対の様な関係になってるのは面白い -- 名無しさん (2025-05-10 15:28:16)
- 背面の特に脚部周りの情報量が多くて -- 名無しさん (2025-05-12 18:59:16)
- ガンダムの実戦データを元に簡略化してこうなったとすると、この世界のシャアは肘に負担のかかる腕力バトルのようなことはあまりやらなかったんだろうか -- 名無しさん (2025-05-12 22:54:51)
- ↑確かシャアの操縦技術は整備士が褒めるぐらい見事なレベルらしいからアムロみたいにガンダムの限界まで引き出せなかったんだろう -- 名無しさん (2025-05-12 22:56:27)
- 個人的にゲルググで気になったのがなんでバイザーじゃなくてモノアイ×3みたいな感じにしてあるんだろ? -- 名無しさん (2025-05-12 23:07:41)
- ↑×3この世界には腕に負荷がかかりやすいガンダムハンマーがなかったという説を推したい。 -- 名無しさん (2025-05-13 00:01:49)
- ゲルググがこうなるならグフやジオン水泳部の面々もジオニストの方々が血涙を流しながら憤死しそうな感じになってそう(適当) -- 名無しさん (2025-05-13 07:41:37)
- ↑さすがにグフや水泳部とかはそのままだと思うぞ、リックドムがそのままの姿で名前も同じだから -- 名無しさん (2025-05-13 11:03:18)
- この技術ツリーだとハイザックはザク3になれそう -- 名無しさん (2025-05-13 11:07:36)
- これ見よがしにビームスプレーガン持ちおって! -- 名無しさん (2025-05-13 18:11:53)
- 山下いくと曰く「オリジナルのジムのゴーグルは単体で強調するとドムっぽくなるし、かと言って他にいじれる部分もないんで、相性の良さそうなパーツを付け足す方向に舵切って潜水マスク風にしたらたまたまゲルググっぽい口元になった」とのこと -- 名無しさん (2025-05-14 22:36:12)
- スティグマ攻撃でグフ・カスタムのヒートロッドを思い出した。 -- 名無しさん (2025-05-19 21:57:07)
- コメントのログ化を提案します -- 名無しさん (2025-05-26 10:24:50)
- イェーガーとかあるのかな? -- 名無しさん (2025-05-29 14:27:59)
- コメントをログ化しました -- (名無しさん) 2025-06-03 09:14:27
- 他の歴史でゲルググにのったシャアが死亡したから、ララァがゲルググの見た目を変えるアプローチしてたとかいう説まで出てくるくらいには見た目が変わった理由が謎。 -- (名無しさん) 2025-06-07 16:46:00
- 陸戦型ゲルググとかも見てみたい。 -- (名無しさん) 2025-06-09 19:49:45
- ↑シンプルに陸ジムか陸ガンのカラーリングになっただけになりそう -- (名無しさん) 2025-06-12 00:27:34
- シャア専用ゲルググ(GQ)は作られていたとしてもララァが乗せてくれなさそう -- (名無しさん) 2025-07-07 22:06:56
- ゼクノヴァ砲で向こう側に飛ばされたア・バオア・クーの兵士が向こう側のジオン残党と遭遇したら、ゲルググの見た目のせいで「仲間のふりして不意打ち狙う連邦兵」と誤解されて撃たれそう。で「ジムって何だよ!?どう見てもゲルググだろ!?」って通信で訴えかけて向こう側ジオン残党が困惑しそう -- (名無しさん) 2025-07-10 13:52:00
- ジョニー・ライデンの帰還に登場する高機動型ゲルググ改はマグネット・コーティングが施されたゲルググという共通点がある。そちらはアナハイム製なのでジオン系の駆動方式にマグネット・コーティングが使えないという問題を解決している -- (名無しさん) 2025-07-13 21:56:53
最終更新:2025年07月14日 08:03