ゲルググ(GQuuuuuuX)

登録日:2025/05/07 Wed 20:58:08
更新日:2025/05/26 Mon 10:24:50
所要時間:約 4 分で読めます






赤いガンダムのパイロット! お前が選ばれた奴じゃないと証明してやる!

《そうすれば……私は……》



ゲルググとは、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』に登場するMSである。
正史である『機動戦士ガンダム』に登場するゲルググはこちらや、ゲルググの派生機一覧を参照。

基礎データ

型式番号:gMS-01
全高:18.0m (頭頂高:17.5m)
本体重量:42.2t

武装:ビーム・ライフル ×2
ビーム・サーベル

搭乗者:シイコ・スガイ、ボカタ


機体解説

ジオン公国軍地球連邦軍から鹵獲したガンダムを解析し量産化に成功した汎用MS。U.C.0085においてジオン軍の制式採用機の一つである。
この機体、なんといっても目を引くのはあからさまに「ジム」めいた外見。
ゲルググ好きだけど「ジム」と呼ばれてる「サイボーグクロちゃん」の鈴木一郎が見たらどう思うだろう。*1

開発系譜としては、gMS-αことガンダムのマスプロモデル、つまり正史でいうところのジムそのものにあたる。
正史でゲルググと呼ばれたMS-14はこの世界でも存在していたのだが、シャアがガンダムを鹵獲したことでそのリバースエンジニアリングが優先されて開発計画が中止されてしまっている。
おそらく正史における地球連邦軍のV作戦のようにジオンがガンダムの実戦データを応用する形で代替の開発計画を進めた結果、ジムのような姿をした機体となったとみられる。

武装は小型ビームライフルが二丁にビームサーベルが一本つくだけという非常にシンプルな構成をしている。
リバースエンジニアリング元であるガンダムとは相違点も多く、
ビームライフルが二丁拳銃化した一方でサーベル本数は減少しており、どちらもリアスカート部にマウントする形式を取っている。
もちろん一般兵向けの量産機のため、アルファ型サイコミュやビットは非搭載なほか、ジムにあった頭部バルカン砲やシールドも装備していないようである。
それでも正史のジムとゲルググと同様の高い汎用性を持つため扱いやすく、何よりザクなどと比べるとビーム兵器が使えるため、性能は良いという事は間違いない。
(ザクよりはコストは高そうだが、後述の件も考えれば恐らくジオン国の今後の主力量産機を担う存在になるだろう。正史のゲルググと違い恵まれた機体である)

それもあってか、ジオン独立戦争から6年が経過したU.C.0085でも現役の機体という都合上、ザクやリック・ドムとは違い民間への払い下げも行われていない。
しかしながら劇中では民間の軍事警備会社「ドミトリー」が経路は不明ながら本機を入手してクラン「CRS」に提供しており、コモリ・ハーコートはジオン内部からの横流しを疑っていた。


デザイン

全体ラフ及び前面デザイナーは山下いくと。背面および細部ディティールは射尾卓弥。

赤いガンダムの量産型ということで胸部構造やつま先の反った造形には近いものがある。
その一方でGQuuuuuuX同様、膝下からは大きな推進剤タンクが隠れており、肘関節の接続方式は片側支持に変更、背バックパックもスラスター噴射角度を調整できるようになっているなど、
赤いガンダムからの変化を感じさせる部位も多い。
また上記の通り原典のジムとも共通点が多く、特徴的なバイザーもドムが混じりながらも再現されているし、
スガイ機に至ってはカラーリングがまんまジムである。

一方で作中における開発経緯がまったく違うので原典であるゲルググとの関連性はあまり感じられないが、口部分の動力パイプやその接続部にあたる出っ張った「鼻」の部分があったり、メインカメラを搭載した所謂「チョンマゲ」部分の側面にディテールが設けられゲルググのトサカを思わせる意匠になっていたりとよく見ると要点は抑えたデザインにはなっている。

一般機

劇場版の第二次ソロモン会戦にてソドン格納庫で確認された機体。緑基調の、いわゆるジオンカラーで塗装されていた。

スガイ機

元連邦軍のエースであるシイコ・スガイがクランバトルに参加するために用意された機体。
上記の通り正史におけるジムのカラーリングが施されている他、「ドミトリー」に所属するモスク・ハン博士の手により関節摩擦を軽減できる特殊な改造(名称は言及されなかったが、マグネットコーティングと見て間違いないだろう)が施されている。
「ドミトリー」はシイコ・スガイ、ボカタのクラン「CRS」の母体企業として密かにバックアップしており、クランバトルを通じてMS開発用の戦闘データを得るため、そしてマグネットコーティング技術を売り込むための宣伝を兼ねていると見られる。*2
加えてシイコが得意とするスティグマ攻撃用の装備が搭載されていた。

ボカタ機

シイコの相方として参戦したCRSのボカタが搭乗した機体。
カラーリングは白地にグレーと緑で、強いて言うならジムキャノンⅡやジムⅡ(エゥーゴ仕様)を彷彿とさせる。
こちらに摩擦キャンセルが施されていたかは不明。少なくともスラスター出力と耐久力はスガイ機に劣る模様。


武装

  • ビームライフル
ビームスプレーガンに似た形状の小型サイズのビームライフル。2丁装備。
腰部リアアーマーに搭載され、小型故に取り回しに長ける。

  • ビームサーベル
腰部リアアーマーに1本搭載されたオーソドックスなビームサーベル。
特に変わった形状や機能もなかったが、プラモ化に際しては両端からビーム刃を発振する「ビームナギナタ」が使用できるギミックが追加された。

スティグマ攻撃

軽キャノンでも行えるため本MS独自の戦術技法ではないがここで解説する。
ワイヤー移動とスラスター移動を組み合わせて使用する事により三次元的な移動を可能とする戦術。
具体的には、MSのマニピュレーターに搭載されたワイヤーを敵機体へと撃ち込み、ワイヤーの張力で敵機中心に通常のAMBAC*3では不可能な、素早く立体的な回り込みを実現する戦術*4である。

言わずもがなMSやパイロットへの負荷は桁違いに跳ね上がり、スティグマ攻撃を多用していたスガイ機は最終的に左腕が過負荷で分解・破損してしまっている*5
同じ荷重がかかる敵機側のワイヤー固定具の方が先に外れそうなものだが、そちらはかなり頑丈らしい

劇中では摩擦キャンセルによる高速AMBACとの合わせ技で、マチュとシュウジを翻弄し続けるほどの高速移動を実現した。

ちなみにスティグマとは聖痕という意味。敵対したMSに残された不可思議な傷跡から命名された。


作中での活躍

劇場先行版における第二次ソロモン開戦において、MSの帰還を誘導する役回りで僅かに登場。
この際はザクやドム同様に緑色のカラーリングであり、これが本来の配色であると予想される。

そしてテレビアニメ版第4話『魔女の戦争』にて本格登場。
赤いカラーリングのスガイ機は、元連邦軍で100機以上の撃墜数を誇るユニカム*6で、「魔女」として恐れられていたシイコ・スガイがパイロット。
灰色と緑を基調としたボカタ機は、元連邦軍のパイロットであるボカタが搭乗している。

スガイはかつてのジオン独立戦争中に赤いガンダムによってMAVを殺されており、その敵討ちが目的だった。
……と思われていたが、アンキー曰くスガイが抱えるのは執着。ソロモンで消えながらまた現れたガンダムを自ら倒すことで、「望む全てが手に入る『ニュータイプ』など存在しない」ことを証明するつもりだった。

いざクランバトルが幕を開けるとシイコはGQuuuuuuXには目もくれず、赤いガンダムに猛攻を加える。

スティグマ戦術による予測不可能な軌道や、ワイヤーを利用したビームライフルの遠隔操作などを駆使し、シュウジを翻弄。
ガンダムハンマーも破壊し、順調に赤いガンダムを追い詰めていく。執着しすぎと諫めるボカタがスラスター過負荷で脱落しても全く意に介さない。

「私のために死んで!ニュータイプ!」
「僕はまだ死なない。」
「ガンダムが、そう言っている」

ビームライフルの遠隔射撃によってガンダムを袋の鼠と追い込んでトドメを刺そうとしたその時……
そこにはビームライフルとビームサーベルだけが漂い、確かに捉えていた赤いガンダムの姿はなかった。

目の前の状況を飲み込めていなかったところ、赤いガンダムに背後から不意を突かれコックピットを串刺しにされる。

「僕の願いは一つだけ。それ以外は何もいらないんだ」
「…それがお前の望むすべてか」


今際の際には遺された息子を想い笑顔で亡くなった。
もしも彼女が過去を振り切り、己の境遇を受け入れたなら、息子と夫と三人で幸せに生きていただろうか。何よりも、一年戦争の頃に敵としてガンダムと出会い、仇を討つべき相手となってしまった時点でこうなる宿命だったのだろうか。
彼女のそんな妄執に囚われた母親としての呪縛を解くためにも、残酷な手段かもしれないがあえてシュウジはこうしたのかもしれないだろう。
彼女もまた、ガンダムによって人生を狂わされ、その憎しみに囚われてしまった哀しき被害者だったのかもしれない。


ガンプラ

「HG GQuuuuuuX」にてスガイ機とボカタ機が発売。

機体名が最大のサプライズ要素という事情もあり、詳細な商品情報は放送日の昼というスガイ機発売までかなりギリギリのタイミングまで伏せられていた。
それぞれの違いはカラーリングのみであり武装などに変化はない。
ビームライフル二丁とビームサーベル、そしてスティグマ攻撃用にリード線と専用ハンドパーツも付属。

GQuuuuuuXキット全般に言えることだが、設定通りの豊富な色分けと広い可動域を両立している。
特に肩の可動範囲は目を見張るものがある。

また、プラモデルオリジナルギミックとしてビームサーベルエフェクトは上下同時に付けることが可能。少しはビームナギナタらしくなる…かもれない。


余談

ゲルググ自体は『Beginning』の第二次ソロモン開戦時や劇場先行公開PVに登場していたが、機体名だけは隠されていたこと、スガイ機にはジムそのものに酷似したカラーリングが施されていたこともあって視聴者は「GQuuuuuuX版ジムではないか」と勘ぐっている者が多かった。が、これ自体制作側によるミスリードでありゲルググと判明した際の界隈には大混乱に陥った。(一応、上記の頭部の特徴からゲルググだと予想する声も少数ながら存在した)

戦時中開発されたゲルググを戦後も使っているとされているジオンだが、正史の連邦もティターンズなどの一部部隊は新型機を開発・導入していたものの
大半の部隊はジムの改修機であるジムⅡなど戦時中の機体の改修機を使用しており、グリプス戦役が本格化したことでようやく一般部隊の機材更新が進むなど
正史・パラレル共に戦勝国が戦後動乱がない時の懐事情が芳しくないのは共通していたりする。


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最終更新:2025年05月26日 10:24

*1 鈴木一郎は劇中で「ジム」と呼ばれているが好きなMSがゲルググだと言っていた。その後、鈴木一郎同様のガンダムマニアで愛車の消防車にゲルググの鼻を付けていたほどである、消防士の女性キャラ「めぐみ」と結婚する事になるのだが、ネットでは「ジムと呼ばれた男とゲルググが好きな女子がくっついた結果、ガンダムでジムの顔が付いたゲルググが生まれるというバタフライエフェクトが起きた」という意見も上がった。

*2 ジオン独立戦争後は正史のデラーズ紛争のような大規模な軍事衝突が無かったと思われ、そうしたMS開発や新兵器開発のテスト、実戦の場として違法な競技であるクランバトルに軍事系の企業や、そこに所属する技術者などの関係者が公然の秘密として参加していたりすると思われる。違法な競技に企業が関わっているというのはコンプライアンス的から見れば問題に当たるのだが、関与している企業や運営側は治安組織などに尻尾を掴まれていない、あるいは尻尾を掴みに行けないような状態の様子となっている。

*3 MSの四肢を動かすことで方向転換する方法

*4 ちなみにテレビアニメ第4話のコンテと演出を担当していたのが、『進撃の巨人』アニメ版の監督を務めていた荒木哲郎氏である。

*5 この点や、軽キャノンの肘がゲルググとは違って両側支持である点から、「関節強度ではガンダムや軽キャノンよりも劣るのではないか」と考察する意見もある

*6 撃墜王。ラテン語で「唯一のもの」を意味する。ちなみに正史での連邦軍の撃墜スコアを見ると第1位がジム・スナイパーカスタムに搭乗していたテネス・A・ユングが149機、第2位はお馴染みのアムロ・レイ、第3位が「踊る黒い死神」ことリド・ウォルフが68機とされており、シイコは少なくとも第3位のリドを上回る成績