ゲルググ(GQuuuuuuX)

登録日:2025/05/07 Wed 20:58:08
更新日:2025/05/09 Fri 11:17:22NEW!
所要時間:約 4 分で読めます






赤いガンダムのパイロット! お前が選ばれた奴じゃないと証明してやる!

《そうすれば……私は……》



ゲルググとは、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』に登場するMSである。
正史である『機動戦士ガンダム』に登場するゲルググはこちらや、ゲルググの派生機一覧を参照。

基礎データ

型式番号:gMS-01
全高:18.0m (頭頂高:17.5m)
本体重量:42.2t

武装:ビーム・ライフル ×2
ビーム・サーベル

搭乗者:シイコ・スガイ、ボカタ

機体解説

ジオン公国軍地球連邦軍から鹵獲したガンダムを解析し量産化に成功した汎用MS。U.C.0085においてジオン軍の制式採用機の一つである。
この機体、なんといっても目を引くのはあからさまに「ジム」めいた外見。
ゲルググ好きだけど「ジム」と呼ばれてる「サイボーグクロちゃん」の鈴木一郎が見たらどう思うだろう。*1

開発系譜としては、gMS-αことガンダムのマスプロモデル、つまり正史でいうところのジムそのものにあたる。
正史でゲルググと呼ばれたMS-14もこの世界でも存在していたのだが、シャアがガンダムを鹵獲したことでそのリバースエンジニアリングが優先されて開発計画が中止されてしまっている。
おそらく正史における地球連邦軍のV作戦のようにジオンがガンダムの実戦データを応用するという形で代替の開発計画が進められた結果、ジムのような姿をした機体となったとみられる。

武装は小型ビームライフルが二丁にビームサーベルが一本つくだけという非常にシンプルな構成をしている。
リバースエンジニアリング元であるガンダムとは相違点も多く、
ビームライフルが二丁拳銃化した一方でサーベル本数は減少しており、どちらもリアスカート部にマウントする形式を取っている。
もちろん一般兵向けの量産機のため、アルファ型サイコミュやビットは非搭載であるが、ジムにあった頭部バルカン砲やシールドも装備していないようである。
それでも正史のジムとゲルググと同様の高い汎用性を持つため、扱いやすく、何よりザクなどと比べるとビーム兵器が使えるため、性能は良いという事は間違いない。

それもあってか、ジオン独立戦争から6年が経過したU.C.0085でも現役の機体という都合上、ザクとは違い民間への払い下げも行われていない。
しかしながら横流しは起きており、劇中に登場したスガイ機もボカタ機も民間の軍事警備会社「ドミトリー」越しの不正ルートで入手した機体である。

デザイン

全体ラフ及び前面デザイナーは山下いくと。背面および細部ディティールは射尾卓弥。

赤いガンダムの量産型ということで胸部構造やつま先の反った造形には近いものがある。
その一方でGQuuuuuuX同様、膝下からは大きな推進剤タンクが隠れており、肘関節の接続方式は片側支持に変更、背バックパックもスラスター噴射角度を調整できるようになっているなど、
赤いガンダムからの変化を感じさせる部位も多い。
また上記の通り原典のジムとも共通点が多く、特徴的なバイザーもドムが混じりながらも再現されているし、
スガイ機に至ってはカラーリングがまんまジムである。

一方で作中における開発経緯がまったく違うので原典であるゲルググとの関連性はあまり感じられないが、口部分の動力パイプやその接続部にあたる出っ張った「鼻」の部分があったり、メインカメラを搭載した所謂「チョンマゲ」部分の側面にディテールが設けられゲルググのトサカを思わせる意匠になっていたりとよく見ると要点は抑えたデザインにはなっている。

一般機

劇場版の第二次ソロモン会戦にてソドン格納庫で確認された機体。緑基調の、いわゆるジオンカラーで塗装されていた。

スガイ機

元連邦軍のエースであるシイコ・スガイがクランバトルに参加するために用意された機体。
上記の通り正史におけるジムのカラーリングが施されている他、「ドミトリー」に所属するモスク・ハン博士の手により関節摩擦を軽減できる特殊な改造(名称は明かされていないが、マグネットコーティングと見て間違いないだろう)が施されている。
「ドミトリー」はシイコ・スガイ、ボカタのクラン「CRS」の母体企業として密かにバックアップしており、クランバトルを通じてMS開発用の戦闘データを得るため、そしてマグネットコーティング技術を売り込むための宣伝を兼ねていると見られる。*2
加えてシイコが得意とするスティグマ攻撃用の装備が搭載されていた。

スティグマ攻撃

軽キャノンでも行えるため本MS独自の戦術技法ではないがここで解説する。
ワイヤー移動とスラスター移動を組み合わせて使用する事により三次元的な移動を可能とする戦術。
ちなみにスティグマとは聖痕という意味。敵対したMSに残された傷跡から命名された。

具体的な原理を解説すると、MSのマニピュレーターに搭載されたワイヤーを敵機体へと射出しワイヤーを巻き取ることで、
通常のAMBAC*3では不可能な立体的機動を可能とする戦術。*4

言わずもがなMSやパイロットへの負荷は桁違いに跳ね上がり、スティグマ攻撃を多用していたスガイ機は最終的に右腕が分解してしまっている*5

作中では雷のように変則的な軌道を描きマチュ達を翻弄した。

作中での活躍

劇場先行版における第二次ソロモン開戦において、MSの帰還を誘導する役回りで僅かに登場。
この際はザクやドム同様に緑色のカラーリングであり、これが本来の配色であると予想される。

そしてテレビアニメ版第4話『魔女の戦争』にて本格登場。
赤いカラーリングのスガイ機は、元連邦軍のユニカム*6として恐れられていたシイコ・スガイがパイロット。
灰色と緑を基調としたボカタ機は、元連邦軍のパイロットであるボカタが搭乗している。
スガイはかつてのジオン独立戦争中に赤いガンダムによってMAVを殺されており、
その敵討ちを目的としてクランバトルに参戦。


いざクランバトルが幕を開けるとシイコはGQuuuuuuXには目もくれず、赤いガンダムに執着を見せる。
スティグマ戦術による予測不可能な軌道や、ワイヤーを利用したビームライフルの遠隔操作などを駆使し、シュウジを翻弄。
ガンダムハンマーも破壊し、順調に赤いガンダムを追い詰めていく。

「私のために死んで!ニュータイプ!」
「僕はまだ死なない。」
「ガンダムが、そう言っている」

ビームライフルの遠隔射撃によってガンダムを袋の鼠と追い込み、トドメを刺そうとしたその時……
そこにはビームライフルとビームサーベルだけが漂い、確かに捉えていた赤いガンダムの姿はなかった。

目の前の状況を飲み込めていなかったところ、赤いガンダムに背後から不意を突かれコックピットを串刺しにされる。

「僕の願いは一つだけ。それ以外は何もいらないんだ」
「…それがお前の望むすべてか」


今際の際には遺された息子を想い笑顔で亡くなった。
もしも彼女が過去を忘れられていたなら息子と夫と三人で幸せに生きていただろうか。
彼女のそんな復讐に囚われた母親としての呪縛を解くためにも、あえてシュウジはこうしたのかもしれないだろう。

ガンプラ

「HG GQuuuuuuX」にてスガイ機とボカタ機が発売。
それぞれの違いはカラーリングのみであり武装などに変化はない。
ビームライフル二丁とビームサーベル、そしてスティグマ攻撃用にリード線と専用ハンドパーツも付属。

GQuuuuuuXキット全般に言えることだが、設定通りの豊富な色分けと広い可動域を両立している。
特に肩の可動範囲は目を見張るものがある。

また、プラモデルオリジナルギミックとしてビームサーベルエフェクトは上下同時に付けることが可能。少しはビームナギナタらしくなる…かもれない。

余談

ゲルググ自体は劇場先行公開PVに登場していたが機体名だけは隠されていたこと、スガイ機にはジムそのものに酷似したカラーリングが施されていたこともあって視聴者は「GQuuuuuuX版ジムではないか」と勘ぐっている者が多かった。が、これ自体制作側によるミスリードでありゲルググと判明した際の界隈には大混乱に陥った。

追記・修正は望むものすべてを手に入れられた人にお願いします。

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最終更新:2025年05月09日 11:17

*1 鈴木一郎は劇中で「ジム」と呼ばれているが好きなMSがゲルググだと言っていた。その後、鈴木一郎同様のガンダムマニアで愛車の消防車にゲルググの鼻を付けていたほどである、消防士の女性キャラ「めぐみ」と結婚する事になるのだが、ネットでは「ジムと呼ばれた男とゲルググが好きな女子がくっついた結果、ガンダムでジムの顔が付いたゲルググが生まれるというバタフライエフェクトが起きた」という意見も上がった。

*2 ジオン独立戦争後は正史のデラーズ紛争のような大規模な軍事衝突が無かったと思われ、そうしたMS開発や新兵器開発のテスト、実戦の場として違法な競技であるクランバトルに軍事系の企業や、そこに所属する技術者などの関係者が公然の秘密として参加していたりすると思われる。違法な競技に企業が関わっているというのはコンプライアンス的から見れば問題に当たるのだが、関与している企業や運営側は治安組織などに尻尾を掴まれていない、あるいは尻尾を掴みに行けないような状態の様子となっている。

*3 MSの四肢を動かすことで方向転換する方法

*4 ちなみにテレビアニメ第4話のコンテと演出を担当していたのが、『進撃の巨人』アニメ版の監督を務めていた荒木哲郎氏である。

*5 この点や、軽キャノンの肘がゲルググとは違って両側支持である点から、「関節強度ではガンダムや軽キャノンよりも劣るのではないか」と考察する意見もある

*6 100機以上撃墜したエースパイロットを意味する言葉で、ラテン語で「唯一のもの」を意味する。ちなみに正史での連邦軍の撃墜スコアを見ると第1位がジム・スナイパーカスタムに搭乗していたテネス・A・ユングが149機、第2位はお馴染みのアムロ・レイ、第3位が「踊る黒い死神」ことリド・ウォルフが68機とされており、シイコは少なくとも第3位のリドを上回る成績であり、凄いものだとわかる。