キラー・トマト/キラー・ポテト(遊戯王OCG)

登録日:2025/06/24 Tue 01:29:53
更新日:2025/06/26 Thu 20:07:32
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お前はトマトか!

俺はポテトだ!



《キラー・トマト》および《キラー・ポテト》とは、共に遊戯王OCGのカードである。

キラー・トマト


キラー・トマト
効果モンスター
星4/闇属性/植物族/攻1400/守1100
(1):このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。
デッキから攻撃力1500以下の闇属性モンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する。

初出は「Pharaoh's Servant -ファラオのしもべ-」
戦闘破壊された時に攻撃力1500以下の闇属性モンスターをリクルートする効果を持っている。

非常に緩い条件でリクルート先のモンスターを選べるため、採用すれば効果を発揮できるデッキは多い。
所謂「リクルーター」であり、闇属性以外の5つの属性についても同じ効果のモンスターが存在するシリーズカードを成している。

当然このカード自身も攻撃力1400かつ闇属性であり、同名のカードの効果でリクルートできる。
リクルート効果にはターン1制限が付いていないため、シンプルな使用法として、《キラー・トマト》を連続で出して、戦闘ダメージをある程度抑えつつデッキを圧縮するなどの芸当も出来る。


かつては【トマトハンデス】(通称「トマハン」)と言うデッキ形態の初動のカードとして利用されていた。
以下のようなハンデスが可能なカードをリクルートすることで、相手とのリソース差を詰めてジリ貧に追い込み、戦闘で堅実に相手を追い詰めていくデッキであった。


効果モンスター
星3/闇属性/アンデット族/攻 300/守 200
(1):このカードは戦闘では破壊されない。
(2):このカードが直接攻撃で相手に戦闘ダメージを与えた場合に発動する。
相手の手札をランダムに1枚選んで捨てる。
(3):フィールドの表側表示のこのカードは効果の対象になった場合に破壊される。

効果モンスター
星4/闇属性/戦士族/攻1400/守1500
このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、以下の効果から1つを選択して発動する事ができる。
●相手の手札をランダムに1枚捨てる。
●相手のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。


当時も《白い泥棒》、《トゥーン・ヂェミナイ・エルフ》、《地獄将軍・メフィスト》といった別の強みを持ったハンデスモンスター達は登場していたが、それらは皆「《キラー・トマト》に対応しない」という点で評価を下げられるほどであった。
時代的に種族サポートなどがまだ充実しておらず、当時の【トマハン】に入れない戦闘型ハンデスモンスター達の差別化は難しかったのだ。

また、ネタとしてはD-HEROの1枚である《D-HERO ダブルガイ》とこのカードのコンボ、通称「キラトマダブルガイ」と言う、制約上成立しえないコンボをVジャンプが誤って紹介してしまうという事件が話題にされる事が多い。*1
詳細は当該項目を参照。


ただ、これらは過去の話である。
戦闘によってしか効果を使えないこのカードは、先攻1ターン目には何も仕事をしないことになり、効果を使うまでが遅い。
また、相手にこのモンスターを攻撃してもらうか、相手の攻撃表示のモンスターに自爆特攻をしないといけないという、相手への依存度の高さも問題である。
そのため、いくらリクルート先には困らないといえども、有効な活用法を見出しにくいのが現状である。

ただ、強みとして戦闘破壊を効果トリガーとしている関係上、「ダメージステップに発動する」という点が挙げられる。
昨今の遊戯王でのメジャーな妨害手段である手札誘発、例えば《灰流うらら》はダメージステップ中に効果を使用できない。他にも《墓穴の指名者》にも引っかかりにくい。
現代の妨害カードであっても、このカードを止められるカードばかりではないのだ。
実際似た様な理由込みで「《天盃龍チュンドラ》規制後の【天盃龍】に《仮面竜》の採用が試された」様な事例は存在し、時代の進みによりこのカードでリクルート可能なモンスターの数も当然ながら増加しているため、将来またキラトマが環境に大きな影響を与える日が来る・・・・・・かも知れない。

もし現代で使うとすれば、後述の《キラー・ポテト》同様、【ユベル】だろうか。
攻撃力0の闇属性モンスターが主役のデッキであり、バトルフェイズに「ユベル」モンスターを出すことにも意味がある。


元ネタ


このカードの元ネタとされているのは「アタック・オブ・ザ・キラートマト」という1978年にアメリカで公開された映画とされている。

内容は人を襲うようになったトマトとそれに対抗する人間達によって繰り広げられるホラーコメディ映画。あまりホラーには見えないのは秘密。

クオリティについてお世辞にも高いとは言えず、トマトの攻撃方法がどう見てもハリボテの大きなトマトが坂をころころと転がって人間に突撃してきたり、画面外から雑に投げられて人に向かって飛んできたりと言った、ストーリーも序盤で何の脈絡もなくいきなりヘリコプターが墜落するシーンが展開され*2、その後の展開についても非常にカオスになっている。

だが、そのあまりにも突き抜けたカオスさが却って「Z級映画」として人気を呼ぶ結果となっており、後に3つもの続編が作られたり、アニメなどの他媒体展開もなされている。
*3

なお誤解なきように言っておくと、本作が超低予算で撮られた低クオリティ映画なのは事実だが、その低クオリティっぽさはすべて狙って作られており天然のクソ映画ではない。日本で言うならカブトボーグ系のおかしさを狙った映画といえばわかりやすいか。

海外版のイラスト


実は《キラー・トマト》は日本版と海外版でイラストが大きく異なっており、海外版のイラストは日本版に比べて凶悪さが大きく増したものになっている。
これは日本版の《キラー・トマト》のイラストがハロウィンで出てくるジャック・オ・ランタンを連想させるものになっており、宗教的な問題もあってより元ネタのポスターに寄せる形で変更を余儀なくされたものと思われる。カボチャじゃないのに。


アニメ版

バトルシティ編の「遊戯vsパンドラ」戦で登場している。といっても効果は使われず、《黒魔族復活の棺》のコストとして生け贄にされただけであるが。
原作での同じシーンでは正体不明のカボチャ頭の魔術師の姿をしたモンスター*4が使われていた。

また遊戯王ARC-Vでは、榊遊矢が読んでいた雑誌に上記の【トマトハンデス】が掲載されていた。


キラー・ポテト


キラー・ポテト
効果モンスター
星4/闇属性/植物族/攻1400/守1100
(1):フィールドのこのカードが効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。
「キラー・ポテト」を除く、攻撃力1500以下の闇属性モンスター1体をデッキから攻撃表示で特殊召喚する。

初出はVジャンプ(2023年6月号)付属カードで、《キラー・トマト》によく似た顔を持つポテトという派生カード。
ステータスは全く同じで、リクルート効果を持ち、さらにリクルート先まで同じ。
違いとしては、こちらは戦闘ではなく効果による破壊に対応している。

一見すると戦闘破壊以上に相手依存となってしまう・・・・・・様に見えるが、効果破壊で墓地に行くのであれば相手のカードでなくても良いところが強み。
昨今の遊戯王では自身のカードを効果で破壊しながら展開するデッキは多く、利便性では《キラー・トマト》に比べて大きく向上していると言える。
汎用カードでも《ブラック・ホール》・《激流葬》辺りに巻き込んでしまえば良い。

しかも、《キラー・トマト》に合わせたゆえか、最近のカードでは基本となっている「名称ターン1」の制約が存在しない。
あちらと違い同名のカードのリクルートこそできなくなっているが、《地獄の暴走召喚》などで複数体フィールドに用意し、それらを破壊すればモンスター3体のリクルートを行う事が出来る。

現代のカードであっても、自身にも特殊召喚されるモンスターにも何の制約も課されないまま、これだけ広い範囲のリクルートを行えるカードは非常に珍しい。
加えて植物族はリクルート手段も充実しており、フィールドに置くだけならばそれほど難しくも無いだろう。
そのため、効果を起動する算段さえ付けば、突然意外なモンスターを出せるカードとして大きく活躍できるだろう。


ただし、ダメージステップにしか効果が発動しないことが妨害の当てられにくさにもつながっていた《キラー・トマト》に比べて、破壊のタイミングが自由になった分、相手視点では手札誘発や《墓穴の指名者》で対策しやすくなっている。
特に、1ターン中の複数発動をもくろんでいる状態で《墓穴の指名者》を打たれてしまうと、狙いが一気に瓦解してしまう事になる。
基本的にコンボで使用する事になるため、リクルート効果を妨害されるとより痛手が大きくなる事は必然的。
他のカードを使ってこうした要注意カードを消費させ、安全度を高めてから使用したい。


採用が考えられるデッキ

ユベル】・【破械

どちらも、自身のモンスターを破壊することによる展開に長けた悪魔族デッキ。
【ユベル】は全員が闇属性で、さらに大型モンスターでさえ攻・守0であることも特徴であるため、リクルート先にも困らない。
【破械】には闇属性モンスターの数こそ少ないが、その名の通り破壊効果を非常に多く持つ。【ユベル】の展開を伸ばす目的で「破械」カードが少量採用される構築も多い。
ただし、一部のカードの効果で悪魔族縛りが付くことに注意しよう。

【ヴィサス】

主人公となる《ヴィサス=スタフロスト》は、このカードを破壊することで自身を特殊召喚しつつデッキの初動となる。
展開の中で「スケアクロー」「マナドゥム」等のカテゴリにアクセスでき、破壊したこのカードを《クロシープ》等で蘇生してさらに何度も破壊することも難しくない。
最初に《スケアクロー・ライヒハート》をリクルートして展開を盤石にし、次々と他のモンスターを呼び出そう。

ヴァレット

自身のカードを破壊することに長けた闇属性統一のドラゴン族デッキ。レベルが4である点も噛み合う。

【植物族】

《フレグランス・ストーム》で破壊することで、闇属性モンスターをリクルートしつつ1~2ドローという大きなアドバンテージを得られる。
デッキ全体としては効果による破壊が得意なわけではないが、注目すべきはこのカードをリクルート可能な《ローンファイア・ブロッサム》の存在。
効果破壊の算段がついている時だけ《キラー・ポテト》、そうでない時は他のカードをリクルートするという柔軟な動きが可能である。


余談

  • 《キラー・トマト》がイラストに含まれるカードに《ワンダー・クローバー》があるのだが、そちらでは《逆ギレパンダ》に《ロード・ポイズン》共々潰され、無残な姿になってしまっている。ついでによく見ると《グリグル》が《逆ギレパンダ》の武器にされている。潰されている2体はどちらもレベル4の植物族(《ワンダー・クローバー》の発動コスト)で、かつ戦闘破壊をトリガーとしてモンスターを展開するカードになっている。

  • 《キラー・トマト》については海外版でイラストが大きく変わっていたが、《キラー・ポテト》では特にそのような変更はされておらず、日本版と同じイラストのまま出されている。また、イラストをよく見ると芽が出ており、そこから花が咲いている。ジャガイモの芽にはソラニンと言う毒が、トマトにはトマチンという毒素が含まれている為、それで相手を殺すのかもしれない。

  • DMシリーズにおける《キラー・トマト》は効果なしのモンスターになっているのだが、フレイバーテキストが「トマトを口に入れられ、窒息した人間がこのような姿になった」と言う、衝撃的すぎる内容になっている。

  • 意図的かどうかは不明だが、トマトとジャガイモはどちらもナス科の野菜という共通点がある。そこに目を付け、トマトにジャガイモの耐寒性を与えるべく、細胞融合技術を使って合体させた「ポマト」が作り出された事もあるため、《キラー・トマト》と《キラー・ポテト》の融合体が登場する可能性もあるかもしれない。

  • 凶暴なトマトのモンスターという事から、髪型がトマトっぽいとネタにされた榊遊矢が凶暴性や好戦的な一面を見せるとキラートマト呼ばわりされる事がある。


追記・修正は《キラー・トマト》《キラー・ポテト》の鮮度も効果も腐らせないようにしながらお願い致します。


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最終更新:2025年06月26日 20:07

*1 一応、D-HEROモンスターは打点が低いモンスターが多く、攻撃される時の打点補助が出来る「D-HERO ダガーガイ」、戦闘ダメージを帳消しにできる「D-HERO ダイナマイトガイ」がカテゴリ内にいるため相性がいいこと自体は事実なのだが。

*2 このシーンは撮影地の近くで起きた本当の墜落事故をシーンの一部に流用したものとされている。

*3 劇中の狭い会議室で机に乗って奥の席へ移動しようとするシーンは、チェンソーマンのOP内でパロディシーンとして盛り込まれている。

*4 何故かカード名もステータスも空欄で、イラストのみが存在する珍妙なカードだった。「守備表示モンスターはプリズム加工でステータスや効果が確認できない」という初期の設定が生きていたのだろうか?