トーマス・ゼイン

登録日:2024/01/31 Wed 15:06:00
更新日:2025/08/16 Sat 14:09:16
所要時間:約 3 分で読めます




トーマス・“トム”・ゼインとは、レメディー・エンターテイメントの作品間で共有される宇宙「レメディー・コネクテッド・ユニバース(RCU)」の登場キャラクター。


🌀概要🌀

出生名はトーマス・セーン
かつてワシントン州ブライトフォールズで活動していたフィンランド出身の最も偉大な映像作家にして俳優。
1970年7月18日に起きた、ブライトフォールズ近くのカルデラ湖「コールドロンレイク」の湖底火山噴火と同時に行方不明となった。

  • 人物像
ダークブラウンの髪と灰色の瞳の白人男性。
ミスター・スクラッチと並ぶアラン・ウェイクの二人目のドッペルゲンガー

常に役を演じているため人間性は計り知れない。
根っからの芸術家肌であり常人には理解できないような感覚の持ち主であることが示唆されている。
闇の世界に囚われた身でありながら常に余裕の態度を見せ、むしろ物語を生み出し世界を操ることを楽しんでいるようにさえ見える。
特に『Alan Wake Ⅱ』では自分の物語のせいで死人が出ても全く悪びれる素振りを見せず、挙げ句にはアランに成り代わろうとする描写まであるなど、スクラッチとの共通点が散見される。

  • 本編以前の経歴
生年月日は不明。
フィンランドにて生まれ育ち、やがて女優のババ・ジャカラと出会い、恋仲となり、彼女を「女神(ミューズ)」とまで呼ぶようになった。
映画監督としては、この頃に後に代表作と呼ばれることになる『白夜の夜』を製作した…とされるが後述の通り矛盾している。

1960年代にジャカラと共にワシントン州ブライトフォールズへ移住し、名を「トーマス・ゼイン」に改めた(ジャカラは「バーバラ・ジャガー」に改名)。
町の近くにあった古い邸宅を購入して「オーシャンビュー・ホテル」と名付け、アーティスト・コミューンを設立した。
そして活動中に町の近くの森にあるカルデラ湖「コールドロンレイク」に浮かぶ島「ダイバー島」とそこに建つ「バードレッグキャビン」で『詩人トム』という作品を製作したが、これにより全てが狂った

1970年7月10日、『詩人トム』で描かれた通りにジャガーがコールドロンレイクで溺死し、映画の「役」に過ぎない筈の「闇の存在」となってしまった。
7月18日、ゼインも「ダイバー」を演じて湖に飛び込み、そこをスレッショルドとする余剰次元「闇の世界」に沈んでいった。
そして、その日に起きたコールドロンレイクの湖底火山の噴火と同時に行方不明となり、ダイバー島とバードレッグキャビンも消失した。

  • 「ダイバー」時代(1970年〜2012年)
「ダイバー」を演じて闇の存在を監視していた時代。
詳細は後述の[ゼインが演じたキャラクター]を参照。

  • 『畏怖』
2019年10月29日、オールデスト・ハウスがヒスの侵略を受けた際、ジェシー・フェイデンが次元の交差点「オーシャンビュー・モーテルとカジノ」で覗き見たモーテルの一室の中でアランと対面する様子が確認された。
なお、この時のゼインは服装・髪型等の全てがアランとそっくり同じであり、声だけが異なっていた。

ここで初めてゼインの正体が映画監督であることがプレイヤーに開示された。

  • 『Alan Wake Ⅱ』
2023年9月14日のブライトフォールズAWEでは『白夜の夜』に登場する作家と同様に黒いスーツを着ているが、ワイシャツを着ずに 上半身裸にジャケットを直接羽織り革の靴を履いた ワイルドな姿をしていた。
闇の世界のニューヨークに建つ、オーシャンビュー・ホテル665号室の映写機から投影される映像から入れる次元に潜伏していた。

闇の世界から脱出するためにミスター・スクラッチと交渉し、闇の存在がスクラッチとして地上に帰還(リターン)する『白夜の夜』という映画をゼインが製作する代わりに、スクラッチはゼインが地上に帰還する『リターン』という小説を執筆する約束をした。
しかし約束はスクラッチにより反故にされたため彼を恨み、同じく闇の世界に囚われているアランを復讐に利用しようとした。

闇の世界で『殺人事件ケイシー』という映画のセットを製作し、それをイメージ元としてアランに『イニシエーション』という新作を書くように誘導した。

アランとの一度目の遭遇時は、アランと共に『リターン』と『白夜の夜』のアイデアを出したと偽り、『リターン』の原稿が脱出に必要だと言って彼を「オーシャンビュー・ホテル」へ導いた。

二度目の遭遇時は『リターン』がスクラッチにより執筆されたものだと知ったアランにより拘束され、銃を向けられるが、アランと入れ替わろうとしたため射殺された。
志半ばで死んだかに見えたゼインだったが、アランが映画の次元を抜けると、ゼインは額に空いた銃創……の特殊メイクを剥がして平然と復活した。
この描写から、「映画の次元」での出来事はゼインが操っているようである。

ゼインが闇の世界のニューヨークで製作した『殺人事件ケイシー』の映画のセットはアランの小説『イニシエーション』の原型となり、過去、現在、未来が同時に存在する闇の世界で結果としてスクラッチの脱出に繋がってしまった。

また、「映画の次元」から頻繁に出入りしているようで、ティム・ブレーカー保安官と遭遇した際は彼が本物の警官だと知り逃げ去った。

ループの末に辿り着いた「最後の草稿」では闇の世界でキャスパー・ダーリング博士と出会い、直ぐに意気投合し「アートと科学のコラボレーション」のためにどこかへ去っていった。

🌀パラユーティリタリアン🌀

パワーオブジェクトであるクリッカーに触れたことから、その力が結合した超能力者「パラユーティリタリアン」になった可能性が高い。
その能力の詳細は不明瞭だが、作中の描写より映画で演じた役そのものに成り代われる能力だと推察できる。

🌀ゼインが製作した映画・物語🌀

『詩人トム』

監督:トーマス・ゼイン
原作:アラン・ウェイク
■キャスト
・ダイバー……トーマス・ゼイン
・闇の存在……バーバラ・ジャガー
・レディーオブライト……シンシア・ウィーバー
・アシスタント……エミル・ハートマン
ゼインが靴箱に入れていたために無かったことにならずに済んだ作品。
ブライトフォールズへ移住してから撮った映画。
内容は不明瞭だが、この映画に出演したエミル・ハートマンシンシア・ウィーバー、そして何故かジェシー・フェイデンはこの映画の出来事を現実だと思っており、ゼイン=詩人という認識だった。

光の存在「ダイバー」と「レディーオブライト」が「闇の存在」と戦う物語だと思われる。
また、何故か 原作者がアラン・ウェイク になっている。


『ディパーチャー』

ゼインが靴箱にしまっていた原稿。
終盤の展開である「アランがクリッカーを手に湖へ飛び込みジャガーを倒す」部分だけが書かれている。


白夜の夜

監督:トーマス・セーン
原作:ヴェイコ・アレン
■キャスト
・探偵……アレクシ・ケサ
・作家ヴェイコ・アレン……トーマス・セーン
・作家の未亡人……ババ・ジャカラ
・殺人犯……イルマリ・フオタリ
・管理人……アーティ

ゼインが闇の世界でミスター・スクラッチが書いた『リターン』を原作に製作した映画。
つまり新作なのだが、現実と闇の世界では時制が異なるため、現実世界では ゼインの処女作 ということになっている。
キャスト名が微妙に違うのはフィンランド語読みなため。
ゼインの初期の作品とされるスプラッタ映画。
「殺人犯」と「作家の未亡人」により「探偵」が召喚の儀式の生け贄に殺され、行方不明になっていた 「作家ヴェイコ・アレン」 帰還(リターン)するという内容。
なお原作者は ヴェイコ・アレン となっているが正体はスクラッチである。

『殺人事件ケイシー』

監督:トーマス・ゼイン
原作:アラン・ウェイク

■キャスト
・アレックス・ケイシー……サム・レイク
・グランドマスター……トーマス・ゼイン
・FBI捜査官……ロバート・ナイチンゲール
・真の貴婦人……シンシア・ウィーバー
・ニューヨークの警官……マリガンとソーントン
・教授……タミサ・マディソン・ブッカー
・演劇監督……エドワード・フランクリン・ブッカー
・信者……イルモ・コスケラ

ゼインがスクラッチに復讐するため、アランを誘導するために製作した映画。
ゼインが殺害現場のセットを製作し、残りのプロットは現実の出来事が反映されたエコーを元にアランによって紡がれた。
アランとゼインによって生み出された物語は、アランの新作『イニシエーション』の作中作となった。

『クオロンラリ』

監督、主演:トーマス・ゼイン

タイトルはレメディーの過去作『デスラリー』のフィンランド語訳。
『デスラリー』世界はゼインの映画により運命を操られていたことが示唆される。


🌀ゼインが演じたキャラクター🌀

ダイバー


『詩人トム』の主人公である、「詩人にしてダイバー」のトーマス・ゼイン
有名な詩人にして、ダイビングを趣味とする男。
恋人にしてミューズのジャガーと共にコールドロンレイクに浮かぶダイバー島のバードレッグキャビンで暮らし、数々の作品を書いていた。

後述の通り、白いジムスーツ(大気圧潜水服)に身を包み「Bright Presence(光の存在)」と呼ばれる生命体と同化したことによって超常現象生命体と化した。
この姿では頭部の覗き窓から強い光が放射されており、中にいるはずのゼイン本人の姿は全く見えない。

  • 経歴
詳細は不明だが、元々幸福とは無縁の人生を送っていた。
しかし、やがてジャガーと出会い、恋仲となり、一転して満ち足りた日々を送るようになった。
ブライトフォールズでジャガーと共に暮らし、詩人として活動する内にコールドロンレイクには創作を現実に変える力があることに気付く
そしてその力を最大限引き出すために、ゼインはジャガーと共にコールドロンレイクに浮かぶダイバー島のキャビンに引っ越し、そこで数多くの詩を製作していくうちに名が知られるようになっていった。

だが、1970年7月10日にジャガーがコールドロンレイクで溺死したことを機に彼の人生が狂いだした。
悲しみに暮れたゼインは「アシスタント」(演:エミル・ハートマン)の助言に従い、詩の力でジャガーを復活させようと試みた。
その結果、ジャガーは「闇の存在」として復活を遂げた。
闇の存在はゼインに『Dark Presence(闇の存在)』という作品を製作するよう依頼し、自身の力を更に強めようと企むが、ゼインは復活したジャガーが邪悪な存在だと気付き、心臓を抉り出して湖に沈めた。
更に将来闇の存在を倒すことになる「アラン・ウェイク」というキャラクターを創造し、原稿やクリッカー等を靴箱にしまい、「レディーオブライト」(演:シンシア・ウィーバー)に託すと、自らもジムスーツを装着し、靴箱に入れた物以外の全ての痕跡を詩の力で現実から抹消*1してコールドロンレイク=「闇の世界」のへ潜った。

闇の世界で闇の存在と対立する超常現象生命体である光の存在と出会い、自ら肉体を明け渡して闇の存在と化したジャガーを監視し続けていた。
一方で肉体を失ったゼインとジャガーの魂は、「マスターポエム」と呼ばれる詩によって生み出された宇宙「ベイビーユニバース」へと旅立った。

その後、「レディーオブライト」にテレビを介して様々な指示を出して闇の存在との来たるべき戦いに備えさせていた。

「ダイバー」として登場したのは以下の作品。
  • 『Alan Wake』
  • 『シグナル』/『小説家』
  • 『Alan Wake's American Nightmare』
  • 『This House of Dreams』
これら作品での活躍は[光の存在(超常現象生命体)]の個別項目を参照。

作家アラン・ウェイク(ヴェイコ・アレン)


『白夜の夜』に登場する行方不明となった作家。
黒いスーツと白ワイシャツを着用している。
執筆部屋で世界を書き換える
殺人カルト「言葉の教団」が「探偵」を生け贄に召還の儀式を執り行い地上に帰還(リターン)し「作家の未亡人」と再会した。

グランドマスター


『殺人事件ケイシー』に登場する殺人カルト「言葉の教団」のリーダー
ミスター・スクラッチの異名を持つ。
物語の中でのミスター・スクラッチはアラン・ウェイクの皮を被ったトーマス・ゼインの偽名で、常にプラスチックの鹿の仮面を被っている。

  • 『Alan Wake Ⅱ』イニシエーション(アラン編)
物語の中で「FBI捜査官」、「真の貴婦人」、「ニューヨークの警官」を儀式的に殺害し、やがてケイシーと、彼の探偵の役割を奪ったアランの前に現れ、意味深なことを述べて去っていった。

このグランドマスターに殺された四人を演じさせられたロバート・ナイチンゲール、シンシア・ウィーバー、マリガン、ソーントンは 皆現実でも殺されて闇に支配されている
前述の通りゼインが役そのものに成り代われるのだとしたら、スクラッチを演じたゼインはスクラッチそのものになってしまったとも言える。
今後のレメディー・コネクテッド・ユニバースにおける二代目スクラッチとなるのだろうか…?

詳細は個別項目を参照。

リミニエッカ

『クオロンラリ』の主人公であるレーサー(リミニエッカという名は「韻を踏む楔」の意)。

  • 『ナイトスプリングス』エピソード3:時空の破壊者
詳細は不明でポスターのみ登場する。


🌀正体🌀

『Alan Wake Ⅱ』のDLC『ナイトスプリングス』のエピソード3:「時空の破壊者」にて 並行世界に存在する別バージョンの同一人物 の例の一つとしてアラン、スクラッチ、ゼインが挙げられており、ゼインの正体は 並行世界の別のアラン であることが示唆された。

🌀余談🌀

ゼイン、アラン、スクラッチの因果関係は拗れに拗れているが、これは「闇の世界」が過去、現在、未来が同時に存在する次元であり、現実世界の時間とは同期しないためである。

  • アラン・ウェイク
    • ゼイン製作の『詩人トム』の原作である『ディパーチャー』を執筆し、トーマス・ゼインというキャラクターを生み出した。
    • 『イニシエーション』を執筆し、物語の中で「ミスター・スクラッチを名乗るアラン・ウェイクを演じるトーマス・ゼイン」を登場させた。
    • 『イニシエーション』の結末は「スクラッチの正体は闇の存在を宿したアランであったことが判明する」というものであった。
  • トーマス・ゼイン
    • 『ディパーチャー』の結末だけを書いた原稿の中でアラン・ウェイクというキャラクターを生み出した。
    • 闇の世界でスクラッチを生み出した。
    • アランもスクラッチも映画の中でゼインが演じたキャラクターであった。
  • ミスター・スクラッチ
    • ゼイン製作の映画『白夜の夜』の原作である『リターン』を執筆し、トーマス・ゼインが演じるアラン・ウェイクを生み出した。
    • 『殺人事件ケイシー』と『イニシエーション』で、スクラッチの正体はアラン・ウェイクの皮を被ったトーマス・ゼインとされた。
    • しかし『イニシエーション』の結末は「スクラッチの正体は闇の存在を宿したアランであることが判明する」というものだった。


追記、修正は役を演じてからお願いします

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2025年08月16日 14:09

*1 コールドロンレイクのカルデラ火山が噴火してキャビンも沈んだ